AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

兄ちゃんチケットあまってへんか?

2019年11月03日 | まったり邦楽
昨日はCocco『Live Tour 2019 “Star Shank”』チケット一般発売日だったので、朝から近所のコンビニに赴いたのであるが。

まぁオリックス劇場だし、今のCoccoだったら以前のように瞬殺でソールドアウトになることはないだろうと、余裕をかましていた私はバカだった。


同じだ・・・・20年前と何も変わっちゃいねぇ・・・

本当にCoccoのチケットはとれない。


先月ミュージックステーション3時間SPに出演し、新曲「海辺に咲くばらのお話」をライブ披露したみたいで、私は観損なったんだが、その時間帯TwitterのトレンドにCoccoの文字が踊り出ると同時に、当クソブログの私が昔に書いたクソみたいなCocco記事へのアクセスが殺到し、Coccoは茶の間にまたかなりの反響を与えたんだなということを窺わせた。

確かにこの曲における「焼け野が原」を彷彿とさせる中間のCoccoの「オオオオ~~~~」という魂の底から突き上げるかのような雄叫びは、生歌やとみんな度肝抜かれるやろなっていうのはなんとなく想像できる。




で、先月はじめにリリースされたCoccoの最新作『スターシャンク』。
本作は、初期Coccoのサウンドの要であった根岸宗孝氏の13年ぶりの全面プロデュースということで、それなりに期待はした。
ただ、2006年の復帰作『ザンサイアン』は散漫とした内容で、前作の『アダンバレイ』にいたっては全く曲を思い出せないほど印象が薄い内容だった(てゆーか全然聴いてないんやけど)。
これは、プロデュース云々というより、全面的に作詞作曲をしているCoccoのその時のバイオリズムに因るところが大きいかと。


今回のアルバム制作にあたって、Coccoは20周年も終わって歌手を辞めてジュエリー職人になろうと、とあるジュエリー屋さんに弟子入りして修行を積む日々を送ってたらしく、宝石のパーツとパーツを繋ぐ「シャンク」という作業をしてたら、音が鳴り出して「これは出さないと」と思ってアルバムを作ることになったんだとか。

アルバム『スターシャンク』について語るCocco。(特典DVDより)



で、最初聴いたときは、「今回もダメか・・・・」という感じだったんだが、それは聴く前から「今のCoccoじゃな・・・・」ていう先入観で聴いていた己のニブくなった感性が故の愚鈍すぎる印象だったとすぐに気付かされた。

いやいや、今回の『スターシャンク』はいい!!

本作は言うなれば、20代の頃の音楽活動を辞める前の絶頂期に出した作品に近い感覚がかなり出た充実の内容であるかと。
ただ、そこにはベテランのメタルバンドがよく陥るような、「原点回帰!」と銘打って若い頃に出した最高傑作をただ意識しただけの、「栄光の時代よもう一度」的な悪あがき感は微塵も感じない。

初期の感覚が戻ったと感じたのは、やはり『ザンサイアン』ではあまり噛み合ってるとは言えなかった根岸氏のサウンドプロデュースが、Coccoのこの度のバイオリズムとうまく合致し、見事な相乗効果が生まれた結果かと思われる。
今回の作品は、とにかく復帰以降の作品によくみられた遊び心が過ぎる番外編的悪ノリなナンバーや、慣れ合い感のキツすぎる楽曲がなかったのがよかった。




椎野氏のダイナミックなドラミングに、厳かなストリングスで幕を開ける「花爛」からしてかなりヘヴィだ。
根岸氏のベース音ものっけから歪ませまくっている。
シリアスな雰囲気を纏う2曲目「2.24」もタイトルからしてかなり意味深なナンバー。
ここで、アルバム『エメラルド』で取り入れたCoccoのウチナーグチ節がほんのり加味された歌唱が霊験あらたかさをもって脳髄に響いてくる。
おそらく普天間基地の移設問題の類をテーマとしたナンバーなのであろう、後半にヘリコプターのプロペラ音、銃撃などのSEがピアノの乱れ音と共に迫ってくるこの根岸氏のミックスがカッコよすぎる!
「四月馬鹿」テイストの、鼻歌まじりに作ったかのような曲調でありながらほんのり切なさも感じさす「夕月」も秀逸。Coccoはこういう曲が本当にうまいね。
洗練された英詩ナンバーも相変わらずバランスよく配置されている。


同時録音?(特典DVDより)



今回はダークでヘヴィなナンバーが6~7割くらい占めてて、打ち込みサウンドもかなり多用されている印象がある。
その要素が色濃く出たのが、ライバッハの楽曲でも始まりそうなインダストリアルなイントロが厳つい「極悪マーチ」。これはCoccoの妖艶で流麗なるウラ声歌唱が効果的に機能した、今までにないくらいのテクニカル指向なナンバーで、これが見事にハマっている。

実は「極悪マーチ」は、19年前にすでにCoccoが同タイトルの詩を綴っている。
2000年の『ライブツアー 9ヶ所11公演』の合間を縫ってCoccoが書き上げたと思われる。
当時の心境を丸々転用したのでないのは一目瞭然だが、自虐的な内容であるのは一緒で、自己嫌悪感が当時の方がエグい。




立て続けにダークな曲調である「Come To Me」は、トチ狂ったようなSEといい、Coccoの悍ましい絶叫といい、チトやり過ぎ感が否めない。
ここまで病んだアレンジにしなくても・・・・ホラー過ぎてひくわ。


最初に本作を聴いて一番いい印象を受けた、Coccoのオシャレポップなセンスが炸裂した「願い叶えば」はMVも作成されている。
若い学生に制作を依頼したというこのラブリーなMVでCoccoと共演している中性的な男性は、本人も関係者も明言はしてないので定かではないが、Coccoの息子であることはほぼ間違いないかと。
だってCoccoソックリやん!(親子ツーショット写真はネット上で公式公開されている)



しかし、よくもまぁこれだけ身内をフィーチャーしたMV撮ったなぁ。
観てるこっちが恥ずかしくなるが、まぁCoccoはいまや何をしてもいい存在だからなぁ。


アルバムラストを飾る「フリンジ」は、最初「あなたへの月」系列の昔からよくあるCoccoの曲だなぁ~ってあまり気にもとめてなかったけど、歌詞の内容が頭に入ってくると、Coccoのエモーショナルな歌唱が心に沁み込んできて、とてつもなく情緒不安定な気分にさせられる。

あの頃なんて 戻ってくるわけなくて 

惨めになって でもまだ眩しくて♪

とてもシンプルな言葉なんだが、なぜか心に響く。
こういうのをサラっと書けるCoccoは、ほんま天才としかいいようがない。


今回のアルバムは、気づけばCoccoの通算10作目にあたる節目の作品。
なので、いままでの10枚のジャケットステッカーがついてきた。
こうやってみると、Cocco画伯の絵のアート性もずいぶん変わってしまったなぁ。



もうCoccoの作品に感動することってないのかなって、前作を聴いて思ったけど、ここにきてまたこれほどまでに私の感情を揺さぶってくるとは・・・・


Coccoは、あと10年は戦える。
コメント
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