クトゥルー神話などを読み耽る時に、サンマルク、ドトールなどにはよく足を運ぶが、元来シャレオツな喫茶を巡るなどという趣味は持ち合わせてはいない。
ただ、一度赴かねばなるまいと思っていた個人経営の喫茶店がひとつだけあった。
それは、大阪本町の船場センタービルのB2Fの地下食堂街にある「スカーレット」という喫茶店。
大阪出る用事があるときに寄ってみようと以前からずーっと思っていたのだが、土曜日は15:00に閉店してしまい、日曜・祝日は定休日でなかなかタイミングが合わなかったのだ。
しかしこの喫茶、ネットにもあまり詳しい情報が載っていなく、辿り着くまでかなり迷った。食べログというナビサイトに地図は載っていたが、ビルの地下2階なんてこともかかれてなかったし。
一番恐れたのが、もう閉店して営業してないのでは?ってことだったが、店の看板を発見したときは心からホッとした。
ここの喫茶店の存在は、私がTwitterでフォローしている手塚治虫先生のご息嬢であられるるみ子さんのつぶやきから偶然知ったのですが、まぁ純喫茶雑誌などにも取り上げられることのない商店街の商売仲間相手にひっそりとやっているという感じのほんとうに小さな喫茶店。
で、私がこの喫茶のどこに興味を持ったのかというと、まぁすでにお気づきの方もいらっしゃると思いますが、この喫茶の看板マスコットであるマコちゃんが実は手塚治虫先生が生前に考案したキャラクターなんですね。
実際店を発見した時は、想定外の規模の小ささとレトロっぽさに唖然。
でもものすごくかわいらしくていい雰囲気の店。
マコちゃんがいる!ステンドグラスの!やっと会えたね!
大阪のコーヒー豆の会社「福田珈琲」の以前の社長さんが手塚治虫先生と同窓であったことから、店のマスコットキャラを依頼し生まれたのがこのマコちゃんだったんですね。
ゆえにどの手塚マンガにもマコちゃんは登場してはおらず、本当にこのコーヒー店のためだけのキャラなんです。
つまり、手塚ファンの間でも知る人ぞ知るキャラなんですね。
まぁ宝塚の手塚治虫記念館に訪れたことのある方なら、マコちゃんの絵柄のはいった巾着袋に包まれた「珈琲は黒い魔女」っていう商品は見かけたことあるかと思います。
鏡にも窓にもマコちゃんが!
スカーレットの店のマスターは、よくいるナニワの初老のオヤジさんといったところ。
食べログにランチ店と書いてあり昼メシ時だったので「ランチてあります?」とオヤジさんに聞くと、「え?そんなんおまへんで。見ての通り小さい喫茶店でっさかい」と訝しがられた。
ネット情報にランチて載っていたというと、「それは向こうが勝手に書いたデタラメですわ。せっかく来てもろたのにすんませんな」とえらい申し訳なさそうだった。
ま、でもこの店に来ることが目的だったのでランチなどは初めからどうでもよくて、とりあえずトーストセットを注文。
写真見てもろてもわかるように、もう昔ながらの味。
トーストも、なんでこういう純喫茶みたいなところで食べるとこんなにもおいしく感じられるのか。
ブレンドはその辺のチェーン店とはやっぱわけが違う。コクがあるというか、美味。
私が手塚マンガファンでこの店に訪れたと告げると、オヤジさんはにわかに嬉しそうな反応を示した。
案外私のような客がこの喫茶に訪れることは滅多にないらしい。
ここのマスターもやっぱ幼少の頃に手塚マンガを嗜んできた世代の人で、店番を前のオーナーから譲り受けた当初は訪れるお客さんにこの店のマスコットが手塚治虫がデザインしたものであることを自慢してたらしいが、やっぱり反応が悪く「はぁ」みたいな感じだったので、次第に言わなくなったとか。
まぁ私みたいなファンからしたらたまらんのやけどね。
元々話し好きの人みたいで、その日は1時間以上もこのオヤジさんと手塚マンガ話やこの店の成り立ちみたいな話で盛り上がってしまった。
実はマコちゃんをこの店の看板キャラにするにあたって、手塚プロダクションとちょっと混み合ったややこしい大人の事情があったなど。
あとやはり、幼少の頃からリアルタイムで初期の手塚マンガに触れてきた団塊の世代の人と、私のように没後に中期~後期の作品に触れて感銘を受けた者とでは、手塚マンガに対する思い入れの観点や価値観が全然違うなということ。
オヤジさんにとっては、やっぱ今みたいにまだマンガとかほとんどなかった時代に『ジャングル大帝』や『アトム』に触れて、その幼少の頃のドギマギした興奮や記憶が強烈に残ってるんですね。
一方私のようなモダンなマンガを読んできた後追いで、しかも18歳くらいで手塚マンガに触れた者にとっては『鳥人体系』や『陽だまりの樹』、そして『火の鳥』らへんの作品に手塚の名作家たる一筋縄ではいかぬ構成力の凄さ、偉大さ、奇天烈さを感じるんですね。
この喫茶に寄る前に、梅田の丸善ジュンク堂の一角に設置された『手塚治虫書店』コーナーに立ち寄ってたんだが、そこで手塚マンガを一冊買ったらオリジナル書籍カバーをしてもらえたので、オヤジさんにそれを見せたところあまり反応が得られなかったことでも、やはり相当のズレを感じてしまった。
ロビタがいっぱいのカバーだぜ。
それでもその日、久しぶりに手塚マンガのことをこんだけ話せたことがほんとうに楽しかったらしく、店を出るときにオヤジさんがレジの奥から創業当時お客さんに配ったというマコちゃんの絵のはいった希少なマッチ箱をくれたときは感激した。
あと、オヤジさんが教えてくれた残念なお知らせがひとつ。
このマコちゃんの絵のはいった「珈琲は黒い魔女」という商品は3月いっぱいで生産中止になるとのこと。
http://kuroimajyo.com/
このマコちゃん巾着袋はなぜか家にひとつだけあったんだけど、だいぶ汚れてたので今回またこの喫茶で新しいのを購入。
にしても残念だ。
でもこの喫茶スカーレットが営業している限り、いつでもマコちゃんに会えるよね。
てなことで、手塚ファンの方は、是非一度かわゆくて情緒あふれるこの純喫茶に訪れることをオススメしておきます。
今日の1曲:『Coffee Shop』/ RED HOT CHLI PEPPERS
ただ、一度赴かねばなるまいと思っていた個人経営の喫茶店がひとつだけあった。
それは、大阪本町の船場センタービルのB2Fの地下食堂街にある「スカーレット」という喫茶店。
大阪出る用事があるときに寄ってみようと以前からずーっと思っていたのだが、土曜日は15:00に閉店してしまい、日曜・祝日は定休日でなかなかタイミングが合わなかったのだ。
しかしこの喫茶、ネットにもあまり詳しい情報が載っていなく、辿り着くまでかなり迷った。食べログというナビサイトに地図は載っていたが、ビルの地下2階なんてこともかかれてなかったし。
一番恐れたのが、もう閉店して営業してないのでは?ってことだったが、店の看板を発見したときは心からホッとした。
ここの喫茶店の存在は、私がTwitterでフォローしている手塚治虫先生のご息嬢であられるるみ子さんのつぶやきから偶然知ったのですが、まぁ純喫茶雑誌などにも取り上げられることのない商店街の商売仲間相手にひっそりとやっているという感じのほんとうに小さな喫茶店。
で、私がこの喫茶のどこに興味を持ったのかというと、まぁすでにお気づきの方もいらっしゃると思いますが、この喫茶の看板マスコットであるマコちゃんが実は手塚治虫先生が生前に考案したキャラクターなんですね。
実際店を発見した時は、想定外の規模の小ささとレトロっぽさに唖然。
でもものすごくかわいらしくていい雰囲気の店。
マコちゃんがいる!ステンドグラスの!やっと会えたね!
大阪のコーヒー豆の会社「福田珈琲」の以前の社長さんが手塚治虫先生と同窓であったことから、店のマスコットキャラを依頼し生まれたのがこのマコちゃんだったんですね。
ゆえにどの手塚マンガにもマコちゃんは登場してはおらず、本当にこのコーヒー店のためだけのキャラなんです。
つまり、手塚ファンの間でも知る人ぞ知るキャラなんですね。
まぁ宝塚の手塚治虫記念館に訪れたことのある方なら、マコちゃんの絵柄のはいった巾着袋に包まれた「珈琲は黒い魔女」っていう商品は見かけたことあるかと思います。
鏡にも窓にもマコちゃんが!
スカーレットの店のマスターは、よくいるナニワの初老のオヤジさんといったところ。
食べログにランチ店と書いてあり昼メシ時だったので「ランチてあります?」とオヤジさんに聞くと、「え?そんなんおまへんで。見ての通り小さい喫茶店でっさかい」と訝しがられた。
ネット情報にランチて載っていたというと、「それは向こうが勝手に書いたデタラメですわ。せっかく来てもろたのにすんませんな」とえらい申し訳なさそうだった。
ま、でもこの店に来ることが目的だったのでランチなどは初めからどうでもよくて、とりあえずトーストセットを注文。
写真見てもろてもわかるように、もう昔ながらの味。
トーストも、なんでこういう純喫茶みたいなところで食べるとこんなにもおいしく感じられるのか。
ブレンドはその辺のチェーン店とはやっぱわけが違う。コクがあるというか、美味。
私が手塚マンガファンでこの店に訪れたと告げると、オヤジさんはにわかに嬉しそうな反応を示した。
案外私のような客がこの喫茶に訪れることは滅多にないらしい。
ここのマスターもやっぱ幼少の頃に手塚マンガを嗜んできた世代の人で、店番を前のオーナーから譲り受けた当初は訪れるお客さんにこの店のマスコットが手塚治虫がデザインしたものであることを自慢してたらしいが、やっぱり反応が悪く「はぁ」みたいな感じだったので、次第に言わなくなったとか。
まぁ私みたいなファンからしたらたまらんのやけどね。
元々話し好きの人みたいで、その日は1時間以上もこのオヤジさんと手塚マンガ話やこの店の成り立ちみたいな話で盛り上がってしまった。
実はマコちゃんをこの店の看板キャラにするにあたって、手塚プロダクションとちょっと混み合ったややこしい大人の事情があったなど。
あとやはり、幼少の頃からリアルタイムで初期の手塚マンガに触れてきた団塊の世代の人と、私のように没後に中期~後期の作品に触れて感銘を受けた者とでは、手塚マンガに対する思い入れの観点や価値観が全然違うなということ。
オヤジさんにとっては、やっぱ今みたいにまだマンガとかほとんどなかった時代に『ジャングル大帝』や『アトム』に触れて、その幼少の頃のドギマギした興奮や記憶が強烈に残ってるんですね。
一方私のようなモダンなマンガを読んできた後追いで、しかも18歳くらいで手塚マンガに触れた者にとっては『鳥人体系』や『陽だまりの樹』、そして『火の鳥』らへんの作品に手塚の名作家たる一筋縄ではいかぬ構成力の凄さ、偉大さ、奇天烈さを感じるんですね。
この喫茶に寄る前に、梅田の丸善ジュンク堂の一角に設置された『手塚治虫書店』コーナーに立ち寄ってたんだが、そこで手塚マンガを一冊買ったらオリジナル書籍カバーをしてもらえたので、オヤジさんにそれを見せたところあまり反応が得られなかったことでも、やはり相当のズレを感じてしまった。
ロビタがいっぱいのカバーだぜ。
それでもその日、久しぶりに手塚マンガのことをこんだけ話せたことがほんとうに楽しかったらしく、店を出るときにオヤジさんがレジの奥から創業当時お客さんに配ったというマコちゃんの絵のはいった希少なマッチ箱をくれたときは感激した。
あと、オヤジさんが教えてくれた残念なお知らせがひとつ。
このマコちゃんの絵のはいった「珈琲は黒い魔女」という商品は3月いっぱいで生産中止になるとのこと。
http://kuroimajyo.com/
このマコちゃん巾着袋はなぜか家にひとつだけあったんだけど、だいぶ汚れてたので今回またこの喫茶で新しいのを購入。
にしても残念だ。
でもこの喫茶スカーレットが営業している限り、いつでもマコちゃんに会えるよね。
てなことで、手塚ファンの方は、是非一度かわゆくて情緒あふれるこの純喫茶に訪れることをオススメしておきます。
今日の1曲:『Coffee Shop』/ RED HOT CHLI PEPPERS