AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

無謀の旅、這い寄るオッサン

2015年04月07日 | ルルイエ異本
先週の土曜、すでに夕の刻限を過ぎているにもかかわらず、突如新幹線に飛び乗って在住の京都から名古屋まで遠征するという、全く無謀としか思えない衝動に私が駆られたことに関しては、皆さまから呆れ返られるのは致し方がないことと思っている。

4月4日土曜日に、名古屋で『無貌祭祀』なる“ナイアルラトホテップ”をテーマとした忌まわしき冒瀆のイベントが開催されるという情報は以前より聞き知っていた。
http://tantramachine.com/mubou/index.html
そこでは、マジックショーや詩の朗読、イラストの展示、物販などが展開されるということで大変興味をそそるものであった。
展示物には、『図説 邪神浮世草子』で著名な敬愛すべきぎるまんはうす先生の画き下ろしイラストも公開されてるということで(彼のツイートで今回のイベントのことを知ったのであった)、これは是非行ってみようと。それに私の周りでは0に近いクトゥルーファンの方と一度交流してみたいという思いもあった。

ギルマンハウス先生の新作 『因洲枡之嫁入図』


しかし、イベント日が近づくにつれ、最近季節の変わり目で体調も芳しくないし、やっぱなんぼなんでも名古屋まで行くのはしんどいなと思い、参加予約はしていなかった。
色んな意味でこのイベントに参加するのが少し怖かったのである。

ただ、イベントには参加しなくとも、すぐ近くのバーで“クトゥルフバー”なるものを臨時営業しているということで、ここには是非行ってみたいという思いがあって、当日ツイートされてるその冒瀆的なメニューに思わず魅了され、30分で身支度をし電車に飛び乗ってはるばる単身名古屋まで駈けつけたのであった。


名古屋新栄町に着いた頃にはもう22時を過ぎていた。



オオオ・・・、栄の環状列石。



今回は前回の東京とは違って、迷わずスムーズに目的の場所にたどりつくことができた。
『無貌祭祀』のイベントは当然ながらすでに終了しており、会場の中からスタッフさんたちが後かたずけをしている様子が垣間見られた。
となりのビルがすぐ“クトゥフバー”を展開している店の場所で、さっそく足を運んだ。


まず、店の外に貼り出されていた冒瀆的なお飲み物、忌まわしいお食事などのお品書きを見て、店に入るのを一瞬ためらってしまった。


思いきって店の中に足を踏み入れる。店主の姿が見えない。奥の方で作業しているみたいだ。
とりあえず外に貼り出してあったのと同じお品書きを手に取りテキトーにテーブル席に座る。
店内を見渡すと約5名ほどの客がおり、私の席の隣りでは創元推理文庫の『ラヴクラフト全集』やなにやら得体のしれない分厚い書物をテーブルの上に置いて3人の男たちが暗黒神話に関するアカデミックな討論を繰り広げている。
店主がカウンターから顔をのぞかせる。うん、別段浅黒い肌をしているとか、目が異様に見開いているというようなことはない。

まずは、食前酒よろしく「黄金の蜂蜜酒」をオーダー。最初はちょっとこの名称言うの恥ずかしかった。


うん、蜂蜜のほんのりとした甘さがきいていて飲みやすい!これだったら何回でもセラエノの図書館に出入りできるぞ。いまだ完成せぬ我が著※『そりゃえ~の談笑』の執筆もはかどりそうだ。
ただ、残念なことにここの店では石笛の貸し出しはしていなかった。


お次はとにかく腹が減っていたので、冒瀆的な「グールの食卓」をオーダー。


血糊ソースが言いしれぬ不吉感を煽ったが、このソースが甘辛くて美味!肉もやわらかくて食感もよく気がつけば食屍鬼のごとく貪り喰っている自分がいた。
こんな美味い唐揚げを食ったのは何年振りだろうか?
「もしや・・・・この肉は?」恐ろしい考えが私の脳裏をよぎった。いや、この火葬習慣の日本ではありえないことだ。
この肉料理は、まさかダレット卿の『屍食教典儀』のレシピ本から作ったのではあるまいな?


そして〆はこいつ。特製カクテル「狂気山脈」!テケリ・リ!テケリ・リ!マジで発狂しそう。
(下のは「くとぅるうの落とし子」という名のゲソ。)


エルダーサインのビスケット?がのっているので安心して飲むことができたものの、なにやら不可思議で宇宙的な味だった。
ちなみにノンアルコールの「正気山脈」ってのもあった。


それにしても・・・・
暗黒メニューはどれもシャレがきいてて美味でよかったんだが、いかんせん店主の反応が悪く、会話を楽しめるだろうと思ってカウンター席に移ったことを心より後悔した。
時間帯が遅かったこともあり、一般の客はもう帰ったあとで、そこにいた者のほとんどがイベント「無貌祭祀」の関係者やスタッフらしく、とてもじゃないけどその輪には入っていけそうもなかった。
ここの店主も元々ラヴクラフトやクトゥルー神話を嗜んでいたらしいので、せめて店主だけは話し相手になってくれるだろうと思って今回思いきって名古屋まで出向いたのであった。
しかし、こちらが何を話しかけても「そうですねぇ」程度のレスポンスしか返ってこず、その後が続かない。いや、客商売やで。
それとも私の容貌に、深淵からの忌まわしきなんらかの面影でも宿ってたというのか?あまりにも冷たすぎら。
名古屋の人ってよそ者には皆ああいう感じなのかな?それともここの店主がイチゲンさんには特別無愛想なのか。

あと、店のBGMが80年代の洋楽ライトミュージックという・・・もうちょっとゴブリンやセルティック・フロストなど、雰囲気のある冒瀆的なものをセレクトしてほしかった。
ちなみに家からモービッド・エンジェルの『病魔を崇めよ』、人間椅子の『黄金の夜明け』などの音源を持参してきていたのだが、まぁ「これかけて」ってな雰囲気やないよな。


これも海神を思わせる酒やけど、まぁタコ言うだけでいちいちクトゥルーと結び付けてたらキリがない。



今回のイベントで出張出店されてた名古屋の伏見地下街で古書店を営まれている方(bibliomaniaさん)がひとりいて、バー内でも稀覯書のギッシリ詰まった木箱を持ち込み販売を行われていた。
http://bibliomania-books.com/
それキッカケでやっとこの方とはそこそこ実のあるクトゥルー談義を交わすことができたのは唯一の救いであった。
その木箱の中には、アーサー・マッケンの『怪奇クラブ』、絶版のウィリアム・ホープ・ホジスン著『異次元を覗く家』の団精二訳本、菊池秀行の『妖神グルメ』の初版本、旧豪華版『真ク・リトル・リトル神話体系』数冊、クトゥルフ神話TRPG 『マレウス・モンストロルム』、殊能将之著の仏教版ナイアルラトホテップもの『黒い仏』、恐るべき『うちのメイドは不定形』などの、蒼古たる忌まわしき冒瀆の稀覯書がズラリと取り揃えられていた。




その方たちも終電時間でボチボチ帰り始め、とうとう私と店主ふたりきりという堪え難い状況になった。それでもバーの店主は私には一向に話しかけない。私は心の中でこの店主に“冷遇を司る神ムゴン”と名付けた。
そして噛みにくくも飲みこみにくいくとぅるうの落とし子を急いで平らげ、そそくさと店を出た。
そして、二度と再び愛想なきこのバーに足を踏み入れぬことを宇宙に誓った。
店で「グールの食卓」を食ったせいか、地下鉄に乗る気にはなれず、名駅まで徒歩でトボトボ帰った。


はりきってネクロノミコンTシャツを着ていったが、私が店で上着を脱ぐことはなかった・・・



bibliomaniaさんから田辺剛著『魔犬』を購入。今回収穫は極めて少なかったな。



※『そりゃえ~の談笑』・・・アーマがセラエノの大図書館で立ち読みした文献に記されてた神々の秘密を冗談半分にまとめたもの。 


今日の1曲:『Chapel of Ghouls』/ Morbid Angel
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