ま 世の中っつうもんは いろんなことがおきるもんでして・・
そこの沢庵しゃぶって 渋茶でも飲みながら聞いておくんなせぇな
こないだの日曜日の朝のこってす
久し振りに かかあ孝行をしようってんで 車をだしゃ~した
行き先はそれ 前に行ったとき休みだった埼玉の和紙の里なんでさ~
かかあも助手席でウキウキしてやしたよ
「おまいさん 今日は休館日じゃないよね」
「あたぼうよ~べらぼ~め~ 日曜日に休んだしにゃ~おてんとさまの罰があたるってぇもんよ
安心しね~な」
「はいよ おまいさん」
そんでもって 30分も走りこんだ頃でしたかね~
「あらま おまいさん 大変だよ」
「なにがどうした 富くじでも当ったか」
「そうじゃないよ いま思い出したんけど 戸ばくちの鍵ををキチンとかけてきたかね~」
「なにお~ このとおへんぼくめ~~あれだけ戸締りしっかり見ろといってたじゃね~か」
出鼻をくじかれたんで つい乱暴になっちまった
「そんなこといったておまいさん ど~しよう」
「ど~しようも へったくれもねぇ ここからとってけ~すぞ しっかりつかまってろよ」
腕は確かでやす 駕籠かき・・ いや 運転暦48年 キュキューと急カーブを切りやしたよ
異変はすぐに起こりやがった
場所はそれ ついこの間も 相棒の熊のやろうが騙された北区の王子
娘に化けたキツネから 饅頭といわれて馬糞をつかまされ 悔しがってた王子稲荷付近
その王子 最近トンネルをくぐるようになったんで~ 熊のやろうがバイパスってましたがね
交差点で待たね~でもいい こいつは便利なもんですぜ
快適にトンネルに飛び込んでいきやした
???
出口のあたりに 奉行所の役人ばらが・・??
メガネをかけた 藤田まことみたいな役人が御用提灯を振って こっちこい!
なんだ なんだ なにがど~した
「貴殿の交通手形を拝見いたしたい」
「なにお~ 拝見してどうする」
「見れば 奥方といっしょではないか 無謀運転はつつしんでいただきたい」
「お~ おいらは確かに帽子なんぞ被って運転してね~よ 言われなくてもつつしんでるよ」
「いや そうではない 無帽子運転を咎めているのではない 早い話が早すぎたのだ」
「早い話が早すぎた? 遅い話が遅すぎた? なにをわけのわからんことを・・」
「ありていに言えば スピード違反じゃ」
「ありていに言わなきゃどうなる」
「ありていに言わなくともスピード゛違反じゃ」
「どっちにしてもいいけどさ オイラはちっとも違反してねぇよ」
「22キロオーバーじゃよ」
「22キロ~! いってえここは何キロなんで~」
「制限40キロ ちゃんと書いてある」
「40キロだ~~ トンネルの外は50キロじゃね~か」
「外は外 内は内じゃ 鬼は外 福は内というではないか」
「また わけのわからんことを・・煙に巻く気だな この~」
「ともかく 切符を切るから1万5千両を払っていただきたい 後日でよいぞ」
卑怯者! ろくでなし! 鼠取り! 家に帰れば婿殿といわれてんだろ!
あらゆる罵倒にも泰然自若 見上げたもんだよ八丁堀ってなもんでしたね~
こっちも疲れやした
助手席で ハラハラしていたかかあの一言で助かりやしたね
「おまいさん 早く戸締りを見ないと・・」
渡りに舟 どう決着をつけるか困ってやしたからね~
「旦那~ ここはかかあに免じてしき下がるがよ 反則金はお上のテーガク給付金てぇのがでてからでもいいかね?」
「う~ん 例のなにか~ あれ以外にも”ろれつ事件”やらなんやら いま幕府の中では もめてっからな~ 将軍家もいつまでもつか」
「旦那がそんなこと言っちゃっていいのかね」
「そういうな 宮仕えはつらいんじゃよ 家庭もあるし・・」
この藤田まこと 急に頭の中に姑の菅井きんさんでも浮かんだか 急に静かになっちまった
なんだか気の毒になっちまってねぇ 武士は相みたがいってなもんや三度笠
これは前にも言ったけね へへ・・
旦那のよこした切符を受け取っちまった
「おまいさん 悪かったねぇ」
今度は かかあがしょげ返る番だ
「くよくよすんね~ こちとら江戸っ子よ~ 宵越しのテーガク給付金は持たねぇ
パパっと使っちまうのが江戸っ子っつうもんよ~」 (グッスン)
いろいろありやしたが 家に帰りゃ幸いなことに戸締りはガッチリ承知の助
かかぁのかん違いてなもんでした
「あ~よかった ほっとしたよ とんだ1万5千両になっちまったね~ おまいさん堪忍しておくれ」
「ま~いいってことよ こうして盗人にも入られず 安心しただけでもなぁ あのまんまじゃ和紙見学どころじゃなかったぜ」
「そうだねぇ あれ おまいさん・・」
「なんだよ またなんか仕出かしたか」
「そうじゃないよ さっき貰った切符のようすが変だよ」
「ん~?どれ ありゃ こりゃシワシワの葉っぱじゃね~か」
「木の葉っぱかい おまいさん」
「あれ 裏だけ紙だぜ」
「葉っぱの裏だけ紙かい するって~と熊さんみたいに おキツネさんに騙された?」
「藤田まことはキツネだったか こいつぁー参ったさんに成田山 それにしてもよ 王子のキツネさんも粋なヤツだぜ」
「なんでだい」
「考えてもみね~な シワシワの葉っぱの裏の紙だからワシワシだろ 埼玉まで行かなくてもワシ 和紙に会えたじゃね~か」
お後がよろしいようで・・・・チャンチャン♪
本編は 実話に基づいて創作された「落語」です
決して 警察関係者の方々を茶化してるものではありません
くれぐれも 良い子は言いつけたりしないように・・・
そこの沢庵しゃぶって 渋茶でも飲みながら聞いておくんなせぇな
こないだの日曜日の朝のこってす
久し振りに かかあ孝行をしようってんで 車をだしゃ~した
行き先はそれ 前に行ったとき休みだった埼玉の和紙の里なんでさ~
かかあも助手席でウキウキしてやしたよ
「おまいさん 今日は休館日じゃないよね」
「あたぼうよ~べらぼ~め~ 日曜日に休んだしにゃ~おてんとさまの罰があたるってぇもんよ
安心しね~な」
「はいよ おまいさん」
そんでもって 30分も走りこんだ頃でしたかね~
「あらま おまいさん 大変だよ」
「なにがどうした 富くじでも当ったか」
「そうじゃないよ いま思い出したんけど 戸ばくちの鍵ををキチンとかけてきたかね~」
「なにお~ このとおへんぼくめ~~あれだけ戸締りしっかり見ろといってたじゃね~か」
出鼻をくじかれたんで つい乱暴になっちまった
「そんなこといったておまいさん ど~しよう」
「ど~しようも へったくれもねぇ ここからとってけ~すぞ しっかりつかまってろよ」
腕は確かでやす 駕籠かき・・ いや 運転暦48年 キュキューと急カーブを切りやしたよ
異変はすぐに起こりやがった
場所はそれ ついこの間も 相棒の熊のやろうが騙された北区の王子
娘に化けたキツネから 饅頭といわれて馬糞をつかまされ 悔しがってた王子稲荷付近
その王子 最近トンネルをくぐるようになったんで~ 熊のやろうがバイパスってましたがね
交差点で待たね~でもいい こいつは便利なもんですぜ
快適にトンネルに飛び込んでいきやした
???
出口のあたりに 奉行所の役人ばらが・・??
メガネをかけた 藤田まことみたいな役人が御用提灯を振って こっちこい!
なんだ なんだ なにがど~した
「貴殿の交通手形を拝見いたしたい」
「なにお~ 拝見してどうする」
「見れば 奥方といっしょではないか 無謀運転はつつしんでいただきたい」
「お~ おいらは確かに帽子なんぞ被って運転してね~よ 言われなくてもつつしんでるよ」
「いや そうではない 無帽子運転を咎めているのではない 早い話が早すぎたのだ」
「早い話が早すぎた? 遅い話が遅すぎた? なにをわけのわからんことを・・」
「ありていに言えば スピード違反じゃ」
「ありていに言わなきゃどうなる」
「ありていに言わなくともスピード゛違反じゃ」
「どっちにしてもいいけどさ オイラはちっとも違反してねぇよ」
「22キロオーバーじゃよ」
「22キロ~! いってえここは何キロなんで~」
「制限40キロ ちゃんと書いてある」
「40キロだ~~ トンネルの外は50キロじゃね~か」
「外は外 内は内じゃ 鬼は外 福は内というではないか」
「また わけのわからんことを・・煙に巻く気だな この~」
「ともかく 切符を切るから1万5千両を払っていただきたい 後日でよいぞ」
卑怯者! ろくでなし! 鼠取り! 家に帰れば婿殿といわれてんだろ!
あらゆる罵倒にも泰然自若 見上げたもんだよ八丁堀ってなもんでしたね~
こっちも疲れやした
助手席で ハラハラしていたかかあの一言で助かりやしたね
「おまいさん 早く戸締りを見ないと・・」
渡りに舟 どう決着をつけるか困ってやしたからね~
「旦那~ ここはかかあに免じてしき下がるがよ 反則金はお上のテーガク給付金てぇのがでてからでもいいかね?」
「う~ん 例のなにか~ あれ以外にも”ろれつ事件”やらなんやら いま幕府の中では もめてっからな~ 将軍家もいつまでもつか」
「旦那がそんなこと言っちゃっていいのかね」
「そういうな 宮仕えはつらいんじゃよ 家庭もあるし・・」
この藤田まこと 急に頭の中に姑の菅井きんさんでも浮かんだか 急に静かになっちまった
なんだか気の毒になっちまってねぇ 武士は相みたがいってなもんや三度笠
これは前にも言ったけね へへ・・
旦那のよこした切符を受け取っちまった
「おまいさん 悪かったねぇ」
今度は かかあがしょげ返る番だ
「くよくよすんね~ こちとら江戸っ子よ~ 宵越しのテーガク給付金は持たねぇ
パパっと使っちまうのが江戸っ子っつうもんよ~」 (グッスン)
いろいろありやしたが 家に帰りゃ幸いなことに戸締りはガッチリ承知の助
かかぁのかん違いてなもんでした
「あ~よかった ほっとしたよ とんだ1万5千両になっちまったね~ おまいさん堪忍しておくれ」
「ま~いいってことよ こうして盗人にも入られず 安心しただけでもなぁ あのまんまじゃ和紙見学どころじゃなかったぜ」
「そうだねぇ あれ おまいさん・・」
「なんだよ またなんか仕出かしたか」
「そうじゃないよ さっき貰った切符のようすが変だよ」
「ん~?どれ ありゃ こりゃシワシワの葉っぱじゃね~か」
「木の葉っぱかい おまいさん」
「あれ 裏だけ紙だぜ」
「葉っぱの裏だけ紙かい するって~と熊さんみたいに おキツネさんに騙された?」
「藤田まことはキツネだったか こいつぁー参ったさんに成田山 それにしてもよ 王子のキツネさんも粋なヤツだぜ」
「なんでだい」
「考えてもみね~な シワシワの葉っぱの裏の紙だからワシワシだろ 埼玉まで行かなくてもワシ 和紙に会えたじゃね~か」
お後がよろしいようで・・・・チャンチャン♪
本編は 実話に基づいて創作された「落語」です
決して 警察関係者の方々を茶化してるものではありません
くれぐれも 良い子は言いつけたりしないように・・・