ハルヒル本番当日の朝は、4時半に起きて、朝食を済ませた。5時には高崎駅近くにあるビジネスホテルを出て、すぐ脇のコインパーキングに停めてある車に乗り込んで、指定された駐車場へ向かった。
大会参加者に割り当てられる駐車場は幾つかあり、私はメイン会場から3kmほど離れた場所にある「高崎食肉センター」であった。
道が空いていれば30分ほどで着くが、駐車場が近くなってくると道は、参加者の車で渋滞していた。
6時過ぎに駐車場に着いた。私のスタート時間は7時半を過ぎる予定であったので、時間的には随分と余裕があった。
ロードバイクを車の荷室から降ろして準備を進めた。空は曇り空であった。天気予報では雨の心配はないとのことであったので一安心である。
ロードバイクに跨ってメイン会場へ向かった。メイン会場にはスタート前の参加者のための広い待機エリアがあり、数多くのローディーがスタートを待っていた。
1時間ほどの時間、スタートを待っていると、私たちのグループのスタート地点への移動が始まった。
1グループで約300名づつスタートしていく。スタートゲートを潜ってもすぐに計測開始ラインがあるわけでなく、しばらくは助走区間があるようであった。
スタート地点は普通の商店街の中であった。グループの後方に位置していたのでスタートゲートは視界には入ってこなかった。
スタートの合図があって集団の前方の方から順番に左足のクリートをペダルに嵌め込んで動き始めた。
私も、そのウェーブに乗って、スタートした。少し進むとスタートゲートがあり、その下を潜った。ボランティアの方々の「頑張って・・・」という声援を受けながら、しばし助走区間をゆったりと走った。
61歳という年齢や現在の脚力を考えると「無理はできない・・・パワーメーターの数値は気にせずに、余裕をもって前半は走ろう・・・」と、思いながら計測開始ラインを待った。
計測監開始ラインを越える際にサイコンのスタートボタンを押した。サイコンのタイマーの数字が動き始めた。
サイコンに表示されるパワーの数値はなるべく見ないようにして、「これくらいの負荷であれば、まだ余裕があるはず・・・1時間以上はこのペースを保てる・・・」と、主観的に思える負荷でペダルを漕ぎ続けた。
前半には斜度が厳しいエリアはほとんどなく、時折斜度が緩むエリアもあるので、比較的快調に走っていけた。
ハルヒルには三つのコースの設定がある。「初心者コース」「榛名神社コース」「榛名湖コース」である。距離が「初心者コース」は3分の1、「榛名神社コース」は3分の2となっている。
「初心者コース」のゴール地点を越えた。3分の1ほどの距離を走った。「完走はできそうだな・・・このペースであれば、最後まで脚はもちそうだ・・・」と感じていた。
「初心者コース」のゴール地点を越えると、平均斜度が上がってくる感じがあった。脚が徐々に重くなってくる。
コースには、お揃いの黄色いジャケットを着たボランティアの方々がカーブ地点や給水所に立っていて、声援を送ってくれる。
無理のないペースで走っているので、後半に入ってもペースを落とすことなく、淡々と走っていけた。
すると視界には榛名神社の大きな赤い鳥居が見えてきた。関東屈指のパワースポットと紹介されることもある榛名神社である。
しかし、その赤い鳥居は、「この先の坂は、相当にきついよ・・・覚悟をして・・・」と、ここまで走ってきて疲れている参加者にそう告げる「警告灯」の役割も果たしていた。
この先には最大勾配14%の坂が待ち構えているのであった。