おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

二番煎じ

2024-08-05 13:43:39 | 日記
 なかなかオリンピックをテレビでチェックするというのは時間がかかって大変だが、陸上100メートルでサニブラウンが負けてインタビューを受けているところはたまたま見ることができた。準決勝で自己記録となる9秒96を出したにも関わらず、決勝に進めず「1ミリ、1ミリですが前進できているが、それ以上に世界はもっともっと前進している」と答えていたのが印象的だった。

 かつては人間が100メートルにおいて、10秒を切るのは不可能だと考えられていた。人間の体の構造上無理だというのである。だから、カール・ルイスが9秒99を出した時というのは衝撃だった。が、今そんなことを言っていたら、「いつの時代の人ですか」と言われてしまう。なんたって、今回のパリ五輪では、決勝に出場した選手全員が9秒台だったからである。

 水泳の100メートル自由形も、僕が子どものころは人間には50秒を切ることはできないと言われていた。ところが現在の世界記録は46秒4である。僕が想像していた以上に世界はもっともっと前進していたのである。

 前人未到という言葉がある。破天荒も同じ意味だが、それまで誰もやったことがないことに到達することだ。が、面白いのは誰かが到達した途端、まるでそれまでかかっていたリミッターが外れたかのように、次々に突破する人たちが出てくることだ。科学技術の進歩により、より達成が可能になるという側面があるだろうが、それ以上に心理的なものがあるように思える。

 かつてあれだけ世界が一番乗りを競ったエベレストなんて、観光登山者のために大渋滞をおこしている。

 そういう世界を見ていると、「2番じゃだめなんですか」と言われると、「2番じゃ意味がないんです」と答えたくなる。スマホのような唯一無二の商品が世に出るには、ひとりの天才を要するが、そのあとに雨後の筍のように出てくるそれを真似た商品を作るのに、天才は必要なくなる。いくら2番手が大勢いても、世の中を変えるには、心理的リミッターを外すことができる1番がいなくてはならないのである。
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