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随筆紹介 万葉からだ歌(4)「肌」心暖まるところ   文科系

2012年01月31日 14時54分48秒 | 文芸作品
【 古典はリアル
ー万葉からだ歌(四)ー 「肌」心暖まるところ  N.R 


旅衣八重着重ねて寝ぬれども
 なお肌寒し妹にしあらねば
 ──冬の旅は衣を八重に着重ねて寝るけど、なお肌寒い。妹の肌のぬくもりではないからだ──
 万葉集の歌言葉には”肌のおしゃべり”がいかにも多い。餅肌・鳥肌・肌寒い・肌を許す──などと。さらに温度形容詞も、ひややか・ひんやり・なまぬるい・なまあたたかい。また、ぬるぬる・つるつる・すべすべ・かさかさ・しっとり・ざらざら──の触覚までも”肌の声”だという。
 笹が葉のさやぐ霜夜に七重着る
 衣にまさる妹が肌しも
 こうした肌言葉の流れは、やわ肌の熱き血潮──湯あみして泉をいでしやわ肌にふるるはつらき人の世の絹(晶子)と、現代短歌にたどりつく。
 いうまでもなく、いずれも肌感覚でする語で、皮感覚から出た表記でない。肌のまがりかど、お肌の手当、肌が合う人が、ともするとスキンケアなどと今の人はいう。スキンは皮のこと、皮の手入れだろうか。
 万葉表記の肌は、人肌、心のぬくもり、人間同士のふれ合いの深さで詠まれている。この点、皮は、からだの一番外にあるもので、外界と他者、つねに心を遮断するものであったようだ。だから夫婦、親子、恋人語に皮感覚は入れようがなかったにちがいない。
 性愛文学の中の肌も、死語になりつつある。心を許し合う意味の”肌を許す”や”素肌の恥”などの表記はすっかり消えて”する”、”した”の行動だけの描写になってしまった。”素足”を”生足”などという時代だから、肌感覚語の復活はあきらめるしかない。
 人形師の辻村ジュサブローさんは「私の人形作りは、チリメン布を生かして肌ざわりのよい素肌作りからはじめる」と語る。「酒も、湯たんぽのぬくもりだって、人肌だからね……」とも。
 なお肌感覚のさいたるものは、いじ悪く遠まわしに人を非難する”皮肉”かな。】
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1 コメント

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肌のおしゃべり (らくせき)
2012-01-31 19:06:36
良い表現ですね。
皮膚はおしゃべりをしないでしょうね。

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