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随筆紹介  散歩    文科系

2024年01月26日 09時23分17秒 | Weblog
随筆紹介  散歩     K.Kさんの作品です   

 元旦に近くの神社へ娘家族と初詣に出かけた。帰り道で前を歩いていた夫が「手をつなごうか?」と、不意に振り向いて私の顔を見た。結婚して五〇年、無骨な夫にしては初めてのことに戸惑う。いつも先に行っていたのに。どうした心境の変化? 今年から心を入れ替えたか? 首を傾げて怪訝そうにしていると、前を歩いている若い二人が手を繋いでいるのを見て感化されたとか。
「どうすればいいのかな?」自分の手を見ていう。それならば私もおずおずと手を出す。お互いに指をがっちり組むと力が入りぎごちない。なかなかしっくりとこない。
 もたもたしていると、後ろから歩いていた高校生の孫娘が、「こうするといいよ」と、細く白い指先を、夫のごつごつした指に絡ませた。夫は「そうか」と頷いて二人はそのまま足取りも軽く歩き出した。女子高生と手をつなぐなんて、お年玉効果か? 初詣のご利益なのか? と思ったが、上機嫌な夫の後ろ姿に黙っていることにした。
 周りの散歩している人は、カップルは手をつないだり肩を寄せ合ったり、仲の良さが伝わってくる。夫婦は夫が前を女性が少し後ろを歩くのが多い。並んでも微妙な距離感がある。
 背の高い男の人と小柄な女性が一緒に散歩するのは無理があるのでは? と気になる。女性は男性の胸までしかない。奥さんに気を遣ってゆっくりと歩く。女性はそれでも一生懸命に下だけを見て早足でついて行く。景色など眺める余裕はない。男性はこれでは運動にならないだろうと思えるほどに遅い。身長差があると、足の長さも違い、歩幅も大きく変わる。そこまでして二人で散歩するこだわりがあるのだろうか? とさえ思ってしまう。
 どちらかが出不精で一緒に行かないと散歩を面倒がるとか、俺に従えとか、夫婦にはそれぞれの事情をあるのだろう。大きなお世話かもしれないが、それぞれ都合のよい時間に、自分の体調に合わせて歩くのがベストだと思うのは、私のわがままだろうか?
 以前は私も夫と一緒に散歩をしていた。だが、身長差が二〇センチあり歩幅が違う。夫が私に合わせるとゆっくりとなり、歩いた気にならずイライラしているのが分かる。「先に行っていいよ」というと、さっさと前に行き、あっという間に見えなくなった。この方が私も急がなくてもいい。
 ところが、曲がり角で夫は待っていた。私が手で曲がる方向を指すとまた、歩き出す。これの繰り返し。これでは道端や庭に咲いている花も見られない。夫も自分のペースで歩きたいのに我慢している。
 話し合って別々に歩くようになり、今では時間もお互いの都合のよいタイミングで快適。
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