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もう手遅れ、米「新インド太平洋戦略」 文科系

2022年02月14日 00時08分29秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 この11日、米バイデン政権が包括的な「インド太平洋戦略」を発表した。その解説にもいかめしく、「地政学上最大の試練」と位置づける「中国の挑戦」に対して、「友好国との連携強化で対抗する」を狙いとして。が、この戦略はもうすでに遅すぎて、あちこち穴だらけに見える。

 まず「特に関係が悪化している日韓両国に言及」なのだそうだが、中韓関係はすでにもう、ほとんどの日本人が知らないこんな重大事態にまで至っている。このことについて旧拙稿を抜粋すると・・・

【 日韓断絶ここまで、韓国国防白書  文科系 2019年01月16日 
 目立たない記事だが、今日の中日新聞3面に大変なニュースが載っている。日韓断絶がここまで来てしまったかとため息が出るような。18年版国防白書の内容を抜粋してみよう。
 何よりも問題と言えるのは、こんな下り。
『南北関係の改善を受け、北朝鮮を「敵」とする従来の表記を削除した。日本については、「自由民主主義と市場経済の基本価値を共有している」との文言が消えた』
『日本に関しては、周辺国との軍事交流・協力の記述では、16年版は日本、中国の順だったが、中国、日本と入れ替えた。』

 北朝鮮を敵とする記述を消して、日本とは基本価値を共有しているとは言わなくなり、軍事協力でも日本より「まず中国と」と国防白書に明記したというのだから、その日本関係変化を一言で言えばこんな姿勢、表現になる。日米に対して背中を向けて、中国の方へと、遠ざかって行った、と。
 そしてこのことは、近未来の米中関係予測からして、従来世界政治地図をも塗り替える途轍もない行動だと解釈するほかは無い。隣国韓国は日米に根本的不信を持つに至ったのだ、と。トランプ暴政下になってもなお揉み手を擦るようにしてアメリカに近づいている安倍日本政権に対して、文政権がそんな日本よりも中国との軍事協力を重視し始めたというのであれば、韓国はアメリカからも距離を置く決意をしたということである。(以下略)】

 こういう経済・外交政策と韓国内格差是正政策によってこそ、国民一人当たり購買力平価GDPや平均賃金で韓国は日本を追い抜いていったのである。国内最低賃金を時給1000円に上げて内需拡大に韓国が方向転換した時には、日本マスコミは「求人がなくなる」と軽蔑の眼差しを投げていたのではなかったか。

 次に、韓国以外の米の「インド太平洋の(主要)友好国」はどうなのか。豪州は別にして、フィリピンとタイにプラスしてインドだが、それぞれを観てみよう。

 インドは最近、主要国防ミサイルさえロシアから買って、アメリカが怒り狂った国である。この同じロシア・ミサイルをトルコも買うことになって、やはりアメリカが怒り狂ったのも有名な話だ。というように、インド・中国に国境紛争があるにしても、外交にはとてもしたたかな国であって、アメリカの言うがままになる国ではなくなっている。

 フィリピンはと観れば、中国との南シナ海問題ではアメリカの言うとおりにはならずにまず「両国で独自解決を図る姿勢」だし、そもそも米軍地位協定を長く破棄していたが、やっと去年維持表明をし直したというような間柄でもある。この国の物経済の対中接近が大きくなる一方だからこうなっているというのも、明らかだろう。
 また、タイはと観れば、ミャンマーと同じでクーデターをやったことがある上に今も政府実権を握っているに等しい軍がアメリカの言うことを聞かず、中国に接近している。タイ軍部の反米姿勢がまた韓国政府と同じで、アジア通貨危機がタイ・バーツを起点として起こったことによって日米金融にいじめ抜かれたその嫌悪感から来るものだというのも明らかなことではないか。

 これら東南アジア諸国すべてが、「新自由主義経済」を標榜して金融では他国から大儲けしながら物経済ではブロック経済や保護貿易主義を取って理論でも利己的暴力国家になったアメリカから距離を広げて中国にどんどん近づいて行ったのだから、物経済が弱いアメリカがこれらを巻き込むなどはほぼ不可能なことだと言いたい。


 僕はこうしてもう、トゥキディデスの罠でいう覇権超大国からアメリカは落ちていくと確信している。西欧諸国もウクライナのNATO加盟無しでロシアとの調整を進めているようだし。アメリカもまさか中国に核兵器は使えないし、世界大戦も起こせないだろうし。物貿易で負けたアメリカに対して、その金融進出も半ば閉ざしたアジア諸国になっていくだろう。

 こうして日本だけが、なぜかアメリカ以上に「対中先制的防衛体制構築」、「そのために軍事のGDP比2%国へ」と大音声しているのだ。安倍晋三ご一統がそんな時代錯誤の国民貧窮路線の旗頭なのだが、僕には面白いほど国際的頓馬に見えるのである。

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