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反政権論客への対策あれこれ    文科系

2020年05月17日 19時06分34秒 | 国内政治・経済・社会問題

 櫻井よしこと憲法学者小林節とのある論争を、今一度まとめて報告してみたい。憲法というもの、その中での権利と義務の正しい扱われ方の理解に関わり、右の方々全体、特に安倍首相自身も検察官定年延長問題発言に現れているように無理解もしくは無視が明らかになっていることであるから。次いで、ノーベル物理学賞・益川敏英に対して、こともあろうに外務省役人らが押しかけてきて、ある申し出をしにきたというそのことも報告してみたい。

①櫻井は、現憲法に対して、義務が不足し、権利が多すぎると常に叫んできた。

②対して小林は、こう反論した。
A そもそも憲法とは、国民の権利を侵害しがちな政府に対してこれだけの権利を守りますと国民が政府を縛って、約束させたもの。このためにそもそも近代憲法が生まれたのであるというのが、立憲主義の理念である。
B だから、原理的に権利が多くて当たり前だし、義務は別の書き方がしてあるのだ。それは、
C 現日本国憲法に於ける諸権利は、「公共の福祉」に反しない限りという一つの条項によってすべて縛られている。そこでは、公共の福祉への義務として、すべての権利に制限が存在すると言えるのである。

③こうして櫻井の①が誤っているのは、②のA~C全てに無理解であるということだ。①はそういう彼女の不勉強、無理解、あるいは曲解が示されているに過ぎない。

④こういう国民の権利を縮小する新たなイデオロギー的理論も生まれつつある。それは、政治献金制度とそれによって政治が買われている実情とを正当化するような議論である。こんな批判が出来るだろう。
A 金持ちの権利も憲法によって普通に守られている上に、さらに政治献金を認めるというのは、金で政治をもっと多く買い取ってよいとすること、それを認めることである。
B その結果、金持ち減税、ロビー活動による利己的諸施策などが出来ることになる。
C これを正当化する議論も生まれてくる理屈だ。その一例が「納税は公共サービスの対価だ」とか「私は納税者のためにこそ政治を行う」という議論だろう。桜井の代理人が、小林節にそういう「理論誘導」を打診してきたと、小林自身が語っている。正しくは「納税は、収入の対価です」とも。
 国家を金持ちの所有物にして恥じない、前近代的な議論を新たに復活させようとしている事にならないか、とも。

 ここの結びだが、グローバリズム新自由主義が国家論をここまで堕落させてきたと、そんなことが示されていると思う。アメリカ大統領選挙にはいつの間にか一兆円を超える金が出るようになっている。アメリカはこうなったしまったから、民主主義国ではなくなったのだと思う。「私は納税者のために政治をやる」と語った大統領選挙共和党候補者がいる。ニューヨークのコロナ死者率では、人種によって2・5倍以上の差がある。昨今の世の中では公共というものがどこかに消し飛んでしまったように見えるのもこんなところからだろう、なるほどということだ。

 検察官の勤続年限をこういう理論の体現者である政治家に渡すようなことがあってはならない。ちなみに、新自由主義政経論自身が誤りだったと、アメリカにおいても実質否定され、反省論議も大々的に始まった。実質否定されたというのは、トランプの保護主義突入政策をさしている。

 この議論に付けたあるコメントも、ここに追加する。

【 官僚の工作も (文科系) 2016-03-27 20:04:06
 国家役人、官僚による世論工作の一部を近頃垣間見た思いである。

①一つは、上の櫻井「理論」。その「アシスタント」による小林節変節工作。
「櫻井は『納税は公共サービスの対価だ』と言っている。これを小林先生のセリフにしてほしい。バシッと決まりますから」
 この言葉は、櫻井による小林の取り込み工作とも見える。が、こんな大きくて、巧妙な工作をば櫻井個人は全く思いつくはずもないし、こんな必要さえ彼女には存在しないだろう。後ろで、野党憲法論の最大論客の一人になっている小林節を懐柔しようとの大きな企みが存在したと確信するのである。そして、この背後には、そういうこと専門の政府部門があるにちがいないと僕は推察した。

②ノーベル賞の益川敏英さんの連載手記が中日新聞夕刊に載っているが(16年3月)17日木曜日のここにこんな下りがあったと記憶する。
 益川さんのところに、外務省関係者らが数人やって来た。軍事研究に関わらないという名古屋大学平和憲章を変えさせるための政府行動の一環であったようだ。益川さんは、米原爆製造に携わったオッペンハイマーの話を対置して、彼らを撃退したという。
「戦争抑止力になるかも知れないと製造協力したが、使わないという約束が破られてしまった。それで次の水爆製造には非協力を貫いたら、スパイの嫌疑をかけられて研究者生活がめちゃくちゃにされた」

 アメリカには国家政策に関わる研究機関が数多くあると聞く。日本にもこれはあろうが、官僚、役人による政府寄りの研究、宣伝、学者工作などが最強なのだろうな、きっと。と、そんなことを思い巡らしていた。】

コメント
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