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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

好きなんだけど……

2006-01-11 18:06:19 | Weblog

独断と偏見は私の持ち味です。もちろん何事につけても思い入れが強いのが欠点です。そんな私が愛聴しているのが、このアルバムということで、ご理解下さい――

Page 2 / ジョージ大塚トリオ (Takt)

日本の独自の文化であるジャズ喫茶の中で、かつて日本のジャズは大いにバカにされた時期がありました。その理由はリズムがズンドコである、やってることがデッド・コピーだ、云々……。確かにそのとおりのところがあります。

しかしその中でも優れた作品が無いわけではありません。例えばこのアルバムは、そういうリズム的な弱点が逆にジャズになっているという稀有な名作だと思います。

メンバーはジョージ大塚(ds) をリーダーに市川秀男(p)、寺川正興(b) という俊英が揃い、録音は1968年です。

まずA面初っ端が当時流行していたジャズロック調の「Hot Cha」で、案の定、ジョージ大塚のドラムスがズンドコビート丸出し! 今の耳にはそれだけに気をとられていると素直に楽しめません。しかし寺川正興のベースが微妙にそのあたりの隙間を埋めているので、全く変態なポリリズムが生まれています。そしてそのウネリの上で市川秀男のピアノが楽しいアドリブ・メロディを次々に聞かせてくれます。

例えばこの曲を今の日本のジャズメンが演奏したら、多分もっとカッコ良く仕上げてしまうでしょう。もちろんそれは分かっています。ただ私は、ここでのジョージ大塚トリオの演奏がどうしても憎めません。

続く2曲目は今やモダンジャズの定番スタンダード「On Green Dolphin Street」で、ご存知のように内外に素晴らしいバージョンが多数存在していますから、これを名演にするのには並々ならぬ度量が必要ですが、結論からいうと、この演奏は見事です。

出だしはトリオのメンバーが縦横に絡むフリーなパートで、これが2分26秒目あたりからアップテンポでお馴染のテーマが弾き出されるという展開になり、そのまんま、モードを主体としたハードな演奏に突入していきます。もちろんトリオのメンバー間では、所謂インタープレーが演じられ、かなり危なっかしい部分も含んでのスリル満点! つまり収拾がつかないような混乱状態とリズムの破綻が間違いなく存在しており、如何にも日本人っぽいリズムとビートがジャズというアフリカ&ヨーロッパの伝統に切り込んでいく瞬間が、何度も楽します。

それはフリージャズという道がつけられていた当時ならではの状況に助けられているのですが、それを約15分かけて、完璧に乗り切ってしまったこのトリオは凄いと思います。

こうして、かなり疲れた後のB面はスタンダードを耽美的に解釈した「I Fall In Love Too Easily」でスタート、これが和みます。もちろん基本はビル・エバンスのバージョンに置いていますが、市川秀男の繊細なピアノ、それに絡みつく寺川正興の打ち震えるようなベース、空間を生かしたジョージ大塚のドラムスが、上手く溶け合った演奏になっています。

そして次がハードバップな「Blues By Five」ですが、ここでも完全にモード&フリーのイケイケ状態! トリオのメンバーが完全にバラバラでありながら、行きつ戻りつしていく様はジャズの醍醐味のひとつだと思います。

続く「Lament」は哀愁モダンジャズ曲のひとつ♪ ここでの演奏も、かなりハードなところを含んでいますが、その部分を裏切っていません。特に市川秀男のピアノは硬質なリリシズムというか、ズバリ良いです!

ということで、かなり賛否両論がある作品だと思います。ダサい! と一刀両断も良し、密かに隠れて愛聴するも良し、名盤と持ち上げて布教活動するも良しという、実は人気盤だと思います。

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奈落の底までつきあうよ

2006-01-10 16:16:55 | Weblog

ついに本日は雪崩に曹禺しました。というか車で山道を走行中、雪の重みで樹木が倒れてきて、前のバンパーをカスッたんです。もちろん傷ついて若干、ガタきましたが、走行には支障なしなので、やや安心です。でもひとつタイミングがずれていたら、今頃は……。

ということではありませんが、本日は奈落の底まで付きあえるという――

Art / Art Farmer (Argo)

聴けば聴くほどに味があるというスルメ盤が、確かにあります。例えばジャズではこのアルバム、一聴には地味ですが、内容は素晴らしい♪ もちろん評論家の先生方もお墨付きを与える名盤です。

メンバーはアート・ファーマー(tp)、トミー・フラナガン(P)、トミー・ウイリアムス(b)、アルバート・ヒース(ds) というワンホーン編成で、録音は1960年9月とされています。

まずA面の1曲目はミディアム・テンポでソフトに歌い上げる「So Beats My Heart For You」が名演になっています。しかし愕くべきは、演奏のテーマ部分が最初は繊細なベースソロで演じられることで、そこにアート・ファーマーの柔らかなトランペットが重ねられていくのですが、この地味~な雰囲気がアドリブ・パートに入っては軽快な4ビートに転生していく瞬間が最高です。それはベースとドラムスの絶妙なコンビネーションがミソで、実はこの2人は当時のアート・ファーマーのバンド・レギュラーでしたから、さも、ありなんです。もちろんアート・ファーマーは歌心が全開です。

ただし残念ながら、このアルバムはリズム隊の録音がオフ気味なので、その醍醐味が薄いのが難点……。それ故に名演がぎっしりなのに、地味な扱いしか受けていないのだと思います。ですから聴く時は低音を強調しておきましょう。

2曲目は、これも地味~なスタンダード曲「Goodbye, Old Gril」ですが、スローな展開の中に素晴らしい歌心をちりばめた最高の出来になっています。特に繊細なトミー・フラナガンのピアノはソロにバックに本領発揮です♪

そして3曲目はガーシュイン兄弟が書いたスタンダードの名曲「Who Cares」が、アップテンポで爽やかに演奏されます。アート・ファーマーの吹奏は、力強い中にも繊細な歌心と自分だけの「節」を持っていることが良く分かる演奏だと思います。またトミー・フラナガンのピアノも秀逸です。

さらにA面ラストの「Out Of The Past」は共にジャズテットを結成した盟友ベニー・ゴルソン(ts) 作曲による哀愁ナンバーですから、たまりません。まさにアート・ファーマーの為にあるような曲で、ミディアム・テンポでスイングしながら、そこはかとない風情の美メロが次々に湧き出てくるアドリブ・パートは、もう最高です。リズム隊も絶妙のサポートですし、演奏を聴きながら、何時しかホロ苦い思い出や感傷に浸ってしまうという、決定的な名演です。

それはB面に入って冒頭の「Younger That Springtime」でも同じ事♪ この曲は大ヒットミュージカル「南太平洋」の主題歌として有名なので、ジャズでも多くのカバー・バージョンが吹き込まれていますが、ここでの演奏はその筆頭にあげられても不思議ではない、素晴らしい完成度があります。トミー・フラナガンの素敵なセンスが光るイントロから、アート・ファーマーのソフトな情感が溢れたテーマ吹奏、さらにベースとドラムスの的確なサポートが完全に一体となったコラボレーションの素晴らしさということです。もちろんアドリブ・パートも完璧で、中でもトミー・フラナガンは畢生の名演! 聴くほどに魅せられてしまいます。

その輝きは次の「The Best Thing For You Is Me」の華やかな部分に直結し、アップテンポでバリバリ吹きまくりながら、けっして歌心を蔑ろにしていないアート・ファーマーは流石です。

そしてお待ちかねの泣きのバラードが「I'm Fool To Want You」です。なにしろ、いきなりフワッとテーマの美味しいところを吹くアート・ファーマーには完全に脱帽です。素直に吹奏していながら、その温か味と和みを泣きのフレーズに繋げていく様は、本当の名人芸♪ じっくりとお楽しみ下さい。

さらにこれまでの名演をキチッと締め括るのが最後の「That Old Devil Called Love」で、こういう知る人ぞ知る隠れ名曲を、ジンワリとモダンジャズにしてしまうアート・ファーマーは最高です。その吹奏はテーマからアドリブと完璧な歌いまわしで、私はこのアルバムの中では一番好き! と言いきってしまいます。トミー・ウイリアムスのベースソロも繊細な味をたっぷりと披露していますし、これこそ、スルメ味ジャズの真骨頂かもしれません。

ということで、ちょっと聴いただけでは地味~な演奏ばかりですが、じっくりと何度も聴いてみて下さい。必ず、ハマリます。一生付きあっていける棺桶盤になるでしょう。

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九死に一生

2006-01-09 18:00:13 | Weblog

本日は大雪の山中にある集落に行ってきました。完全に雪の壁の中の道、物凄い峠を越え、急角度のカーブを幾つも上り下りして辿り着きましたが、道路は完全にアイスバーン状態! そこへサラサラの粉雪が積もっているので、ブレーキが効きません! 昇りは良いんですが、下りが命がけ……。二度ほど危ない場面がありましたです。

幸い天候がそれほど荒れていなかったので、九死に一生というところでした。疲れた……。

ということで、本日は究極の和み盤を――

It's Time For Tina / Tina Louise (Urania)

女性シンガーは美人の方が良いにきまっています。

こんな事言うと、お叱りをうけますかな……。でも、私的にはそれでも良いと思わせされるのが、ティナ・ルイスという美人シンガーです。元々は女優らしいのですが、とにかくジャケットを見てもらえばお分かりのように、グラマーな美女♪

もちろん歌声も、そのとおりの声とムードで、期待を裏切りません。

このアルバムはおそらく彼女の唯一の作品でしょうか? なんでも、この録音の直後に大金持ちと結婚・引退されたそうです。

本日は何も言いません、とにかく聴いて、そのムードに浸っていただきとうございます。

とりあえず、ジャケ写からネタ元へリンクもしてありますので、よろしくです。

 

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止められない楽しさ

2006-01-08 16:13:13 | Weblog

もう、やめろっ! と言われても、止めたくないほど雪ばっかりです。おまけに明日は緊急の仕事で、物凄い山奥に行かなければなりません。この雪で行けるのかなぁ……。

まあ、その話は明日ということで、本日はこれで楽しみます――

Cookin' ! / Zoot Sims (Fontana)

ズート・シムスは白人テナーサックスの雄として、スタン・ゲッツと人気&実力を二分する存在ですが、共にスイング時代の黒人テナー奏者のレスター・ヤングが生み出した歌心満点の流麗なスタイルを源にしていながら、ゲッツはクール派、ズートは和み派というところでしょうか。

しかもゲッツがジャズ史に屹立する名演・名盤を多く残しているのに対し、ズートは名演があってもジャズの歴史をどうのこうのという意義ある名盤は残していません。ただし、日常的にジャズファンが好む傑作盤は数多く発表しており、今回のアルバムもそのひとつです。

演奏メンバーはズート・シムス(ts) をリーダーに、スタン・トレイシー(p) 、ケニー・ナッパー(b)、ジャッキー・ドゥーガン(ds) という、所謂ワンホーン物です。ちなみにリズム隊は、この録音が行われたロンドンのライブハウス「ロニー・スコット・クラブ」を根城とするトリオで、つまりズートがテナー1本サラシに巻いて~、というか単身渡英して臨んだセッションというわけです。

録音年月日は1961年11月13~15日で、ズートのファンならば先刻ご承知のように、この時期のズートは絶好調で、名演を数多く残していた全盛期! ここでの演奏も悪いはずがありません。

まずA面はズートが十八番のスタンダード「Sompin' At The Savoy」でスタート、ノッケから安らぎに満ちた歌心満点の吹奏を聴かせます。特にソフトなテーマの処理からブレイクを挟んでふくよかにドライブしていくアドリブ・パートは見事ですし、いささか硬いノリのリズム隊をリードして行くがごときグルーヴは最高です。

続く2曲目もお馴染みのスタンダード「Love For Sale」ですが、定番のラテン・リズムの入った展開を逆手にとって、アップテンポで豪快にスイングしていくズートにはイギリスのファンも吃驚でしょう。リズム隊が完全に置き去りにされそうで、それゆえに懸命になっているところが、ジャズならではのスリルと興奮を呼びます。ただしズートはワルノリが過ぎたか、途中から投げやりなブローに突入するの減点だと思います。まあ、それもジャズですが……♪ それゆえに演奏はフェイドアウトして終わります。

しかしAラスの「Somekkbody Loves Me」は違います。この曲も有名スタンダードにしてズートの十八番とあって、いつも以上に豪快にドライブしていながら、ツボを外していません。リズム隊もかなりコナレタ演奏になっています。ただしスタン・トレイシーのピアノは、ここまで常にセロニアス・モンクの影響下にあるようなブツギレのタテノリばかりで残念……。まあ、それが持ち味なんでしょうが、なんとなく素直ではありませんねぇ。

B面に入っては、まず初っ端の「Gone With The Wind」が快演です。このソフトタッチで豪快にスイングするテーマ吹奏は、アンバランスのバランスというか、ミスマッチの極みを上手く昇華した名人芸♪ これがズートの魅力だと思います。もちろんアドリブ・パートも楽しい歌心に満ちています。リズム隊もズートのやり口が分かってきたようで、アメリカのジャズメンでは出せないような不思議なスイング感で楽しませてくれます。

そして続くは、お待ちかねの人気曲「枯葉」です。もちろん期待を裏切らないのがズートです。ミディアム・テンポで、こちらが望んでいるようにテーマを吹き、アドリブ・パートも美メロの嵐♪ テナーサックスという楽器の魅力であるサブ・トーンの囁き、つまり、ふすすすすす~、という響きもたっぷり聞かれますし、泣きのフレーズ、安らぎの溜息、魂の咆哮……、当にズート・シムスここにありという名演です。

こうしてアルバムは大団円、このクラブのオーナーである英国ジャズ界屈指のテナー奏者であるロニー・スコット、その盟友であるジミー・デューカー(tp) が加わってのブルース・ジャム「Desperation」が猛スピードで演じられます。もちろん全員熱演ですが、最後にソロをとるズートが実力と貫禄の見せつけるのは当然で、まったく4分に満たない演奏が惜しまれるカッコ良さです!

ということで、これは荒っぽい中にも楽しくスイングするズート・シムスを徹頭徹尾楽しめる作品です。巷では名盤扱いではありませんが、機会があれば聴いてみて下さいませ♪ ジャケ写からリンクしてあります。

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新しい盤も聴いています

2006-01-07 18:37:35 | Weblog

雪が半端ではありません。雪国の恐ろしさをおもいしらされている毎日です。地元の人の話では、冬本番はこれからとか……。クワバラクワバラ……。

ということで、本日はこれにしました――

You'll See ! / The Anniversary Quartet (Cellar Live)

新年ですから、新しいというか、現役バリバリのメンツによるアルバムも聴いてみましょう。

The Anniversary Quartet とは、カナダにあるライブハウス「セーラー・ライブ」の4周年祭に特別編成されたバンドで、メンバーはエリック・アレキサンダー(ts)、マイク・ルドンヌ(org)、ピータ・バーンスタイン(g)、ジョー・ファンズワース(ds) という、日頃から気心の知れた盟友達とあって、本当に伸びやかな演奏になっています。ちなみに録音は2004年でしょうか、もちろん「セーラー・ライブ」での実況録音盤です。

1曲目の「After The Love Has Gone」はAORの名曲だと思いますが、ここではゆる~いドドンパのリズムで処理されているので、全体に何となくオトボケ気味……。はっきり言うと肩透かしです。これでいいのか……?

2曲目の「11 Years」はアップテンポのモード曲で、なんとなく1960年代後半のブルーノートっぽいカッコ良さがあります。エリック・アレキサンダーもバリバリ吹きまくっていますが、私が何時も不思議に思うのは、この人の歌心の無さで、あえてそういう部分を避けて演奏していると解釈するぺきでしょうか……。本当に無機質というか、美味しいフレーズを吹かないんです。ここでもそれは何時もどおりです。

しかしピータ・バーンスタインは違います。何気なく弾いているようですが、実はかなり構成を考えているように感じます。それとオルガンのマイクがディープ・パープルのジョン・ロードしているところは、ご愛嬌で♪

3曲目はJ.J.ジョンソンが作曲した、モダンジャズでは泣きの名曲というスローな「Lament」ですので、本来はエリック・アレキサンダーがお約束のムード満点なテナーの真髄を聴かせなければならないはずですが、なんとここではハードにブローするばかり……。全く無機質なんですねぇ……。そしてそれにつられて、ピーター・バーンスタインまでもが、頑なにテーマを処理するのですから???です。

あぁ~、つまんないなぁ……、というところで始まるのが4曲目の「You'll See」で、これはアップテンポのハードバップ♪ ようやくバンドのエンジンがかかって来たという雰囲気ですから、エリック・アレキサンダーの硬質なスイング感が活きています。

それは続く5曲目のスタンダード「Delilah」を、レア・グルーヴのファンキー・アレンジでブチカマシてくれるところで一気に開花します。ただしマイクのオルガンのノリがイマイチなので、欲を言えば、ここはエレキ・ベースを入れてブリブリに演奏して欲しかったところです。それでもエリック・アレキサンダーは全開ですし、ジョー・ファンズワースのドラムスはシャープなので、まあ合格でしょう。

ちなみに演奏メンバーは全員が白人なので、全体にライト感覚が出すぎているキライがあります。しかしそれが現代のジャズかもしれません。悪く言えば、黒人ジャズの表面だけ撫で回して形式を真似ているに過ぎないと思います。実際、本場では黒人のジャズメンの方がギャラが高いと言われていますし、嘆かわしいところではありますが……。

そういうジャズ魂を試されるのがオーラスの「Cherokee」です。この曲はスタンダードですが、モダンジャズを創出した天才=チャーリー・パーカー(as) はこの曲のコード・バリエーションを研究してビバップを生み出したと言われていますので、特にサックス吹きは避けて通れないはずです。

で、ここではエリック・アレキサンダーがアップテンポで無伴奏のブレイクを積み重ね、根性をみせています。そのスリルは本当にジャズの醍醐味♪

こうして盛り上げておいて、ラストはグルーヴィなブルースが短く演奏されます。しかし、個人的にはこういうところを、もっとやって欲しかったんですがねぇ……。

ということで、特に凄い演奏というわけではありませんが、現代ジャズ・シーンの氷山の一角をという趣旨です。私はけっして昔は良かったね……、という主義ではありませんが、こんな上っ面の演奏が主流になっている今の北米ジャズ界には???です。これでは皆、欧州物に走ってしまうのも無理からんところ……。まあ、いいか……。 

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疲れたっていいじゃないか

2006-01-06 17:24:22 | Weblog

こんな雪なのに新年会だとぉ~! おまえら、よく疲れないねぇ……。

ということで、疲れない人には疲れるアルバムを――

Another Day / Oscar Peterson (MPS)

突進力では誰にも負けないピアニストがオスカー・ピーターソンでしょう。驚異のテクニックに支えられた物凄いドライブ感と天性のスイング魂! それが思う存分発揮されたのが、このアルバムです。

ただし、それゆえに聴きとおすと、疲れます!

まずA面ド頭の「Blues For Martha」からガンガン飛ばしてます。イントロの高速両手同時弾きから強引なテーマの弾奏、そして硬質なブルース魂の開陳と続くあたりで、聴いているこちらは圧倒されます。

このアルバムでの共演メンバーはジョージ・ムラツ(b) とレイ・プライス(ds) という、どちらかと言えば平素は繊細派の2人ですが、ここではヒーターソンの豪快極まりないノリに振り回される格好で爆発しています。

とにかく破壊力満点の演奏!

それは2曲目の「Greensleeves」でも変わりなく、お馴染みの愛らしいメロディがグリグリと陵辱されていく感じです。実際、ピーターソンはかなり突っ込んだフレーズを多用していますし、また、それと対照的に繊細な美メロも散りばめていきますが、それが入れたり出したり状態で……♪

そして3曲目の「I'm Old Fashioned」はピーターソン・トリオではお約束のメカニカルなバカノリ大会♪ こういう演奏はアドリブの華麗さばかりではなく、実は緻密なアレンジがしてあるらしく、それはピーターソン自身が己のテクニックを基に作り出しているものなので、このトリオに加わる共演者は物凄いテクニックと音楽性を要求されるわけです。ここではジョージ・ムラツの流れを損なわないベースソロと隙間を完璧に埋めながらスイングしていくレイ・プライスのドラムスに、それが証明されています。

そのあたりはA面ラストの「All The Things You Are」におけるボサノバ・アレンジにも顕著で、このアルバムの中では比較的安らぎのある演奏が、三位一体で仕上げられていく様が楽しめます。

ところがB面に入ると、またまた強烈なスイング大会! 有名スタンダードの「Too Close For Comfort」が猛烈なドライブ感を伴って演奏されます。それは全く息つく暇もないほどのアドリブとリズムの洪水に満たされており、聴いていて完全に疲れます。

ピーターソンもピアノを弾きつつ、アドリブ・メロディを口ずさむ人ですが、全くそのとおりに指が動いているという物凄さですし、レイ・プライスのヤケクソ気味のドラムスも笑えます。あぁ、このトリオは何処へ向かっているのでしょうか……。

その答えが、続く「The Jamfs Are Coming」です。曲調はゴスペル色が濃厚ですから、ゆったりしたタメ、ここぞで爆発するグリッサンド、さらに破壊的なブロック・コード弾きというピーターソンの至芸がたっぷり満喫出来ますし、もちろん随所に超高速フレーズが強引に挿入されていきます。

脇を固めるジョージ・ムラツ&レイ・プライスも、そのあたりを汲んで健闘している様が、何ともジャズそのものだと思います。

そしてB面3曲目は、お待ちかねのスロー物という「It Never Entered My Mind」が、流麗に演じられますが、もちろんピーターソンのことですから、ダイナミックなノリと繊細極まりないピアニズムがたっぷりです♪ ただし後半から入るベースとドラムスは、やや戸惑い気味なのが残念です。

こうして辿り着いたオーラスの「Carolina Shout」は、再び明るく激しい大スイングのブルースです。この曲は古いジャズというか、ブギウギがオリジナルなので、ピーターソンもそのあたりのノリとフレーズを随所に入れ込んで自らが楽しんでいる雰囲気なのが素敵です。う~ん、それにしてもピーターソンの恐ろしさ! 全く疲れを知らないこの演奏スタイルは人間国宝でしょう。

ちなみに、この録音は1970年11月とされており、おそらくピーターソンが最も突進していた時期だと思います。ですから、聴いていて疲れること、請け合いです。体調が良い時に聴くことをオススメ致します。

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ミスマッチ盤

2006-01-05 17:18:21 | Weblog

今日も雪が酷くなってきました。いったい、いつまで降り続くのか???です。よくもまあ、これだけの物が空中に浮かんでいるという、本当に不思議です。

という雪国からの1枚は――

My Point Of View / Herbie Hancock (Blue Note)

ハンコックほど保守本流から改革派、さらにフュージョンやラップの世界と、めまぐるしく音楽性を変化させながら、常に第一線で活躍したジャズメンはいないでしょう。しかもそれを同時多発的にやってきたのですから、これは驚異です。

そういう、悪く言えばいささか節操が無い部分は、すでにデビュー当時から滲み出ており、リーダー盤2作目にあたるこの作品には、後に開花する様々なネタが埋もれています。

メンバーはハービー・ハンコック(p)、ドナルド・バード(tp)、ハンク・モブレー(ts)、グレシャン・モンカー3世(tb)、グラント・グリーン(g)、チャック・イスラエル(b)、トニー・ウィリアムス(ds) という、なんだかミスマッチのオンパレードみたいですが、そこにまず、面白味があるのです。ちなみに録音は1963年3月19日、つまりハンコックとトニー・ウィリアムスがマイルス・デイビスのバンドに抜擢される直前の演奏ということになります。

A面1曲目は当時のブルーノート・レベールがイチオシだったジャズロック路線の「Blind Man, Blind Man」で、これはハンコックが街角で演奏する盲目のブルースマンをイメージして作ったと告白しているからでしょうか、当然の如くグラント・グリーンの単音弾きギターが大活躍しています。それに続くハンク・モブレーも待ってましたのR&Bフレーズの連発です。

またここではホーン隊とハンコックのピアノによるバックのリフが心地良く、トニー・ウィリアムスもシャープなロックビートを叩き出していますが、チャック・イスラエルは、俺はほんとは、こんなのやりたくないんだよぉ~、というような、どうしていいのかわからない状態なのが笑えます。ちなみにこの人は当時、ビル・エバンスのトリオで繊細なベースを弾いていたのですからねぇ、分かるような気も致します。

しかしハンコックは容赦なくファンキービートのピアノソロを展開し、これにはラムゼイ・ルイスも吃驚でしょうね♪

そして2曲目が、これまた素晴らしい「A Tribute To Someone」です。曲調は完全にマイルス・デイビスのバンドで演じてもいいような豊かなハーモニーと優しいメロディが魅力的♪ まずドナルド・バードがリードする主旋律を芳醇に膨らませていくハンク・モブレーのセカンドテーマの処理が最高です。そしてアドリブパートに入ってはドナルド・バードが輝きながら飛翔し、ハンク・モブレーは独特の間合いの取り方で、誰にも真似の出来ない味を披露しています。

肝心のハンコックは、まずバッキングのコード弾きが完全にマイルス時代と同じです。もちろんトニー・ウィリアムスもそうです。チャック・イスラエルもこういう曲調では本領発揮で、今しもマイルスのトランペットが出てきそうなところが、嬉しいというか、今では皮肉な巡り合せになっています。

さらにB面1曲目の「King Cobra」は完全にマイルス・バンド状態! 複雑なハーモニー構造と刺激的なビートの嵐がトニー・ウィリアムスには最適です。しかしそれでフロント陣のドナルド・バードとハンク・モブレーという、いささか旧世代のメンバーが霞んでいるかと言えば、否! です。またここでは新世代のトロンボーン奏者としてメキメキ売り出していたグレシャン・モンカーの急進的なソロも聴かれますし、それに影響されたか、ハンコック
も過激にスイングしているというように、新旧入り乱れた快演だと思います。

そういう部分は、続くB面2曲目の「The Pleasure Is Mine」にも表出しており、ハンコックだけの豊かなハーモニー感覚が存分に楽しめる安らぎのナンバーです。もちろんピアノソロにはビル・エバンスの影響がはっきり出ていますが、そこは、ご愛嬌です。

そしてオーラスは、そういう諸々の思惑を爽快にブッ飛ばすゴスペルファンキーな「And What If I Don't」です。このルーズな雰囲気とタメのある黒人感覚、そしてどこかしら知的な風情が漂うミスマッチが、たまりません。

ソロオーダーも知的なハンコック、ファンキーなグラント・グリーン、ハードバップなドナルド・バード、まろやかで黒っぽいハンク・モブレーとお約束をしっかり守った一芸主義が見事です。これがジャズの魅力かもしれません♪

ということで、これはハービー・ハンコックの諸作の中では、一番纏まりが無いというか、散漫な仕上がりと評価されてしかるべきアルバムです。しかしその内容は、曲毎に充実したポイントがしっかり存在していますし、少なくとも「A Tribute To Someone」と「King Cobra」の2曲はマイルス・バンドのバージョンが聴きたくなる名曲だと思います。

告白すると個人的には愛聴していた時期が、確かにありました。

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世の中、ノリです♪

2006-01-04 17:33:57 | Weblog

やはり仕事初めはノリが良くありません。そこで本日はノリ、イッパツというアルバムを――

Everything I Paly Is Funky / Lou Donaldson (Blue Note)

レア・グルーヴがもてはやされる以前の日本のジャズ喫茶では、コルトレーンが神様なので、その対極にあるようなこのアルバムが鳴ることは、ほとんど無かったと思います。少なくとも私は聴いたことがありませんでした。

そもそもこのアルバムを常備していたジャズ喫茶が、当時あったでしょうか……?

フュージョン全盛期にも、それはなかったような……。

で、結局、私がこのアルバムを好きになったきっかけは、バーゲンで3枚千円とかいう叩き売りの員数あわせで買ったのが本当のところです。しかし何気に聴いてみると、これがなかなかに私の琴線にふれる出来でした。

まずA面1曲目の「Everything I Do Gonna Be Funky」からしてゴキゲンです。始まりはスタジオの中でワイワイガヤガヤ楽しそうに雑談があって、♪Everything I Do Gonna Be  Funky~ と歌いだされ、合の手で From Now On と入る鼻歌コーラスが、もう最高です。そしてそのメロディがドナルドソンのアルトサックスに移され、バックでうねるエレキベースにビシバシのドラムスが絡んできて、大グルーヴ大会になるのです。そして全くこのノリは、私が最も好むところで、ペキペキのソウル・ギターやソウルブラザー丸出しのコーラスには完全降伏です。

ちなみにこのアルバムの演奏メンバーは、ルー・ドナルドソン(as)、エディ・ウイリアムス&ブルー・ミッチェル(tp)、チャールズ・アーランド&ロニー・スミス(org)、メルビン・スパークス(g)、ジミー・ルイス(b)、アイドリース・モハメッド(ds) という布陣が、曲によって入れ替わっており、録音も1969年と1970年にまたがっているようです。

2曲目の「Hamp's Hump」も重たいビートがうねる中でメルビン・スパークスのギターが炸裂し、ブルー・ミッチェルのトランペットが如何にもという綱渡りフレーズを綴り、主役のドナルドソンがなかなか登場しないという、勿体ぶったファンキー・グルーヴがたまりません。もちろんドナルドソンは独特のケレンを披露しますし、ロニー・スミスのオルガンがチープなサイケ味で、聴いているうちにズブズブと泥沼に引き込まれそうになる演奏です。とにかくリズム隊のヘヴィなビートが全て!

3曲目は人気スタンダードの「Over The Rainbow」が不思議な夜のムードで演じられますが、本来こういう部分はドナルドソンの得意とするところなので、ワザと音程を外して戻すというウラワザまで披露して盛り上げていきます。

さてB面に入ると、まずド頭がブリブリのブーガール・ナンバー「Donkey Walk」ですから、もうこれは完全にドナルドソンのペースにハマってしまいます。もちろん重たいビートにチープなアドリブ・ソロというミスマッチが、逆に誰でも出来る芸では無いことの証明になっていると思います。そしてここでは、特にメルビン・スパークスが熱演です♪

続く「West Indian Daddy」は完全にハコのラテンバンドというか、1970年代の新宿のデパート屋上ビアガーデンという雰囲気です。なんとなくフュージョン路線の渡辺貞夫という感じもしますが、オトボケもほどほどに、実はゆる~いグルーヴを生み出すべく、真剣勝負なんでしょうねぇ……。

しかし大団円の「Minor Bash」はカッコイイ! これは大ハードバップ大会です。曲調はドナルドソンが十八番のアップテンポのブルースですが、ズンドコ・ドラムとツッコミだらけのオルガンが最高にファンキーですから、ドナルドソンも楽しくノッています。当然、2番手のブルー・ミッチェルもお約束のフレーズ全開♪ ただしオルガンのロニー・スミスは、張り切り過ぎてコルトレーンに捧げるような演奏をしてしまいますが、憎めません。

ということで、これは素直に、心底楽しまなければ損をするという作品です。とにかく聴いてみて下さい! という他はありません。もちろんジャズのガイド本には載っていないでしょうから……。例によってジャケ写からネタ元に繋げてありますので、試聴出来るはずです。

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当たり前の名盤

2006-01-03 17:57:33 | Weblog

今年のお正月は、久々に家族団らんというか、最後には鬱陶しくなったと皆で笑いながら過ごしました。明日から仕事なのはもちろんですが、こういう平和は大切にしたいものです。それは当たり前なんですが、案外この「当たり前」に気づかないのが、終りなき日常というやつです。

で、自戒の意味をこめて、本日は「当たり前」の大名盤を――

Blue Trombone / J.J.Johnson (Sony)

名盤、間違いなく大名盤ですが、これほど人気の無い名盤もないと思われます。

もちろんJ.J.ジョンソンはトロンボーンの大名人ですし、共演者もトミー・フラナガン(p)、ポール・チェンバース(b)、マックス・ローチ(ds) という豪華な顔ぶれなんですが……。

どうやら出来すぎというか、あまりのソツのなさがいけないのかもしれません。

それとこの作品には、いかにもジャズファン好みというオリジナル曲がありません。例えばビル・エバンスの「ワルツ・フォー・デビー」とか、コルトレーンの「インプレッションズ」とか、これが出ないと収まらないというようなヒット曲がないんですねぇ……。

しかし冒頭、A面1曲目の有名スタンダード「Hillo, Young Lovers」は快演です。トミー・フラナガンの上手すぎるイントロに導かれて快調にテーマを吹き綴るJ.J.ジョンソンは、そのまんま流れるようなアドリブ・パートに突入していきます。それはかなりメカニカルなフレーズを使った名人芸ですが、聴き手に必死になっていることを気取られない凄さがあります。

もちろんリズム隊との連携も鮮やか♪ 特にマックス・ローチとのコンビネーションはバッチリですし、フラナガンのアドリブ・ソロも冴えています。う~ん、それにしてもマックス・ローチ! ステックにブラシに八面六臂の大活躍で、個人的にはフラナガン、チェンバース&ローチというトリオでアルバムを残して欲しかったところです。

その素晴らしい部分は2曲目の「Kev」のイントロのドラム・ソロでも完璧で、曲そのものはテーマも無い、全くのアドリブの集合体なので、抜群のスパイスになっています。主役のJ.J.ジョンソンも負けじとバリバリ吹きまくり♪

そして3曲目が、これも人気スタンダードの「What's New」を、極上のスロー・バージョンで聞かせてくれます。ここでのJ.J.ジョンソンはミュートを使っていますが、それほど情に流されることのないクールな佇まいで歌心を披露、続くフラナガンも十八番の展開とあって、完全な素晴さです。

さてA面ラストは、アルバムタイトル曲の「Blue Trombone」ですが、何故かこれが「Part-1」ということで、結論から言うと完成された1曲を2つに分断し、「Part-2」をB面冒頭に収録してあるのです。

で、その曲調は、特にテーマは無いものの、快適なブルースで、その出来は最高! それだけに途中でフェードアウトしてしまうのは勿体無いと、誰もが感じる大名演です。

そしてB面は、その「Part-2」がフェードインしてスタートしますが、ここではリズム隊が大暴れ! 特に何の淀みも無くポリ・リズムでソロを演じるマックス・ローチは怖ろしいほどに凄まじい! 流石のJ.J.ジョンソンもこれには怯えたか、続くソロ・パートではオトボケ・フレーズで逃げる場面さえあります。

しかし次の「Gone With The Wind」では安らぎが提供されます。ここでのJ.J.ジョンソンは再びミュートを使い、軽妙に楽しく演奏しているので、聴いているうちにウキウキしてきます。もしかしたら、こういう味こそがJ.J.ジョンソンの本質かもしれません。もちろんトミー・フラナガンは歌心全開です。

と、一息つくのも束の間のこと、オーラスの「100 Proof」がまたまた大暴風という演奏です。これは一応J.J.ジョンソンのオリジナルということになっていますが、ここでもまた、テーマ・メロディが出ずに、いきなりアドリブの応酬に突入していくのです。もちろんそれは強烈なジャズの醍醐味を満喫させてくれますが、アルバム全体を通して、こういうアドリブ重視の作りが、その出来栄えに反比例して、この作品を人気の無いものにしていると思います。

ちなみに、このアルバムの録音は1957年4月と5月に行われていますが、実は美味しいスタンダード曲がかなり一緒に演奏されており、それは「first Place」という別なアルバムに仕立てられているのです。当然、それは素晴らしい出来栄えですが、何故か名盤扱いにはなっておらず、知る人ぞ知るウラ名盤というのが真相で、全くもって勿体無いかぎりです。

そのあたりに怒りを感じていたら、演奏はいつしか大団円というマックス・ローチのドラム・ソロへ! これが大迫力で、唐突な演奏の終り方への布石というあたりに、あぁ、やっぱりこれは名盤なのだっ! と納得させられてしまうのでした。

というこのアルバムは現在廃盤状態のようです。ジャズ喫茶ではA面が定番のようですが、ここはひとつB面をリクエストして、ウェイトレスの気をひくのも悪くありません。もちろん内容はジャズ喫茶の大音量で聴くのに最適です。 

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定番外

2006-01-02 17:21:02 | Weblog

昨日、今日と、雪国にしては穏やかな天気でした。お正月に映画はつきものということで、映画館にも行きました。後は炬燵で食っちゃ寝大会が定番でしょうか?

ということで、何の脈絡も無いのが本日の1枚です――

Grant Green First Session (Blue Note)

ジャズは20世紀のアメリカが産み落とした偉大な文化ですが、これは21世紀になって発表された、未発表録音集です。

主役のグラント・グリーンは1960年代のブルーノート・レーベルではバリバリの看板だった黒人ギタリストで、主に単音弾きで紡ぎ出されるハードで黒っぽいフィーリングとメロウでソウルフルな歌心が人気の秘密でした。

その前のキャリアは、主にアメリカ中西部あたりのR&Bバンドを主要な活動範囲としていたようですが、やはり実力があったのでしょう、1960年秋頃にニューヨークに出てくると忽ちブルーノートと契約が成立しています。ちなみにこれは、同じブルーノートの人気アルトサックス奏者であるルー・ドナルドソンの推薦だったとか、おそらく当時は自己のバンドに入れていたものと思われます。

で、最初に発売されたのが「Grant's First Stand」というアルバムでしたが、実はそれ以前に行われていたリーダー・セッションが、この音源です。

メンバーはグラント・グリーン(g) 以下、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) という今では夢の組合せ♪ 録音は1960年11月16日となっています。

しかし、実はこれが???の連続です。

まず1曲目の「He's A Real Gone Guy」は、ハードバップではお約束のリフを流用したゴスペル調の演奏ですが、リズム隊の煽りも虚しく、グラント・グリーンの意気ごみが空回りというか、全く調子が出ていません。特にケリーのソロが終わってからのパートでは、ほとんどどうやって弾いていいのか自問自答しているかのようです。

2曲はオリジナルのスローブルース「Seepin'」ですが、本来得意なはずのこうした場面でも、自分を見失ったグラント・グリーンには???です。しかしそれをカバーしようと奮闘するリズム隊は流石です。特にポール・チェンバースは絶妙のサポート♪ ただしここではケリーがちょっと……。

しかし3曲目の「Just Friend」は最初から軽快な雰囲気で良くスイングしています。もっともこれはリズム隊の話で、グラント・グリーンはそれについていくのがやっという、本末転倒なノリが面白いところです。しかし、ここで聴かれるアタックの強いピッキングによる流麗なフレーズ展開は、ちょっと真似出来ないものがありますし、もちろんケリーは◎

4曲目の「Grant's First Stand」は実質的なデビュー盤のタイトルにもなったグラント・グリーンのオリジナルで、ここでの初演もなかなか魅力的です。特にリズム隊の躍動感は最高で、演奏を楽しんでいるのでしょう。縺れ気味のグラント・グリーンではありますが、それ故に憎めない仕上がりになっています。3分48秒目からは、ようやく十八番の針飛び連続フレーズが飛び出します。やはりこれが出ないとグラント・グリーンとは言えません! 後で煽るフィリー・ジョーも絶妙で、特にケリーのピアノソロのバックでの尻叩きがたまりません♪

こうしてようやく調子が出てきたセッションの最後が、快適なテンポで演じられるブルースの「Sonnymoon For Two」です。ただしここに来ても、グラント・グリーンには後年のような執拗なノリが感じられません。バックのリズム隊に助けられている雰囲気がミエミエです。それがために堪忍袋の緒がブチ切れ状態のフィリー・ジョーの投げやりなドラミングが、かえって魅力的になっているほどです。もちろんケリーも右倣えというか、怒りのコード弾きさえやる始末です。まあ、そういうところがジャズの面白いところですね♪

ということで、これはリアルタイムで出せなかった理由が誰でも分かるセッションです。恐らくグラント・グリーンには何らかの事情があって本領発揮出来なかったのでしょう。なにしろ相手が、当時のマイルス・デイビスのバンドで活躍していた超一流のリズム隊ですから、ガチガチに緊張でもしていたのでしょうか?

そのあたりを汲んでのことでしょうか、結局、グラント・グリーンのデビュー盤のセッションは仕切りなおしとなり、それは恐らく常に演奏していたような、オルガンとドラムスの組合せになっています。

で、このアルバムには、その屈辱からおよそ1年後にあたり1961年10月27日のセッションから未発表だった曲が収められています。メンバーはソニー・クラーク、ブッチ・ウォーレン、ビリー・ヒギンスというリズム隊をバックしており、演奏するのはモダンジャズの定番曲「Woody 'n' You」で、それを2テイクやっていますが、これが快調そのもの! とても残り物とは思えないほどです。

ということで、万人にはオススメ出来ない作品ですが、まあ、ジャズの奥深いところを楽しむには最適なブツです。度々引き合いに出しているグラント・グリーンのデビュー盤「Grant's First Stand」と比較する、ちょっとイヤラシイ楽しみ方もありますね。

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