OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

こっちも、よろしく

2008-02-29 15:38:41 | Weblog

今日は4年に一度の特別な日ですが、別に得したという気分じゃなく、かえって1日、余計に仕事をさせられている気分なのは、自分だけでしょうか?

ということで、本日は忘れられかけている名演盤を――

Perception / Art Farmer (Argo)

多分、アート・ファーマーが全篇でフルューゲルホーンを吹いた、最初のアルバムじゃないでしょうか?

トランペットよりも柔らかな音色のフルューゲルホーンは、歌心優先主義者のアート・ファーマーにとって、後々まで代名詞となるわけですが、これは決して軟弱な仕上がりではありません。

しかしリーダー盤としては、前作「アート」があまりにも名盤過ぎて、このアルバムが注目されそこなったという事はあるでしょう。

録音は1961年10月25~27日、メンバーはアート・ファーマー(flh)、ハロルド・イバーン(p)、トミー・ウィリアムス(b)、ロイ・マッカディ(ds) というワンホーン体制です――

A-1 Punsu
 アート・ファーマーが自ら十八番のアドリブフレーズを良いとこどりして作ったようなオリジナル曲♪ ハロルド・メイバーンのセンス抜群のイントロに導かれ、軽快なリズムに乗って爽やかなメロディが柔らかく吹奏された瞬間から、あたりは桃源郷です。
 もちろんテーマからアドリブにかけての境目は絶妙の曖昧さで、それはつまり全てがアート・ファーマーの美メロ主義で貫かれている証でしょう。躍動的なリズム隊とのコンビネーションも申し分ありません。
 ハロルド・メイバーンもトミフラっぽいところにマッコイ節を交えた好演ですから、思わずニンマリ♪ “真似っこ”と言う無かれですよ。
 またトミー・ウイリアムスのベースも、そのまんま、ビル・エバンスのトリオへ行ってしまいそうな雰囲気が秀逸ながら、惜しむらくは録音が薄くて残念……。それゆえに私は低音域を強めて再生しています。するとロイ・マッカディのドラミングまでもが、一層シャープに楽しめるのでした。

A-2 The Day After
 ジャズテットでの同僚トロンボーン奏者=トム・マッキントッシュが書いた素晴らしいバラード曲♪ それをアート・ファーマーが静謐な想いを込めて、じっくりと吹いてくれます。
 ほとんどがテーマメロディとその変奏ですが、劇的なリズム隊の存在感も強く、これも隠れ名曲・名演だと思います。
 それにしてもトム・マッキントッシュは、けっこう良い曲を沢山書いているので要注意ですねっ!

A-3 Lullaby Of The Leaves
 有名スタンダード曲をアート・ファーマーが十八番の展開で聞かせた快演です。ベースとの協調関係で提示されるテーマメロディの快適さ、続くリズム隊の入り方もグッときますが、アドリブパート先発がベースソロというのも、気がきいています。
 このトミー・ウィリアムスが実に良い感じ♪ それに絡んでいくアート・ファーマーという緊張感も最高ですし、ドラムスとピアノを呼び込んでからのアドリブ展開も絡み中心で、バンド全体のグルーヴが凄い一体感で迫ってきます。
 ロイ・マッカディのビシバシドラミング、今度はビル・エバンスしそうなハロルド・メイバーンが憎めません。

A-4 kayin'
 珍しくブリブリっと始る曲展開がアート・ファーマーらしくありませんが、躍動的な演奏は何時しか楽しいハードバップになるというオリジナル曲です。クッションの効いたリズム隊が快感♪ ハロルド・メイバーン中毒になりそうです。あぁ、このリズム隊のピアノトリオ盤があったらなぁ~~~。
 肝心のアート・ファーマーは作者の強みを活かしたアドリブ構成がやっぱり秀逸で、独自の柔らかな歌心を存分に披露しています。

B-1 Tonk
 レイ・ブライアントのオリジナル曲で、如何にもというメロディと曲構成を完全に活かしたアート・ファーマー以下のカルテットは、流石の名演を聞かせています。ロイ・マッカディのブラシが実にシャープで、全体をきっちりと引き締めているんですねぇ♪
 グイノリのベース、上手い合の手のピアノも流石の存在感ですから、アート・ファーマーも緊張感溢れるアドリブに撤しながら、随所にニンマリする歌心がシブイところです。もちろんハロルド・メイバーンも良いですよっ♪

B-2 Blue Room
 これも有名スタンダード曲を素材に和みの世界を展開していくという、アート・ファーマが十八番の名演が楽しめます。ゆったりとしたテンポでベースとの2人芝居から始め、ピアノとドラムスの控えめな伴奏、そしてじっくりとしたアドリブで演奏を熟成させていくアート・ファーマー♪
 フルューゲルホーンの甘い音色が静謐なスピリットで彩られた至福の時間が、ここにあります。

B-3 Change Partners
 これが躍動的な新感覚ハードバップです! ロイ・マッカディの烈しいドラミングと歌心優先というアート・ファーマーの対決を軸に、ハロルド・メイバーンの大ハッスル、さらにはグイノリで蠢くトミー・ウィリアムスというカルテットの魅力が爆発! 思わず熱くなりますねぇ~♪
 ちなみにロイ・マッカディはキャノンボール・アダレイ(as) やソニー・ロリンズ(ts) のバンドレギュラーも務める万能型の名手ですが、ここでの熱演は目からのウロコ♪ 歯切れの良いシンバル、ビシッとキメるスネアとタム、クライマックスのソロチェンジも含めて、何度聞いても凄いです。

B-4 Nobody's Heart
 そして前曲の熱気をすうぅぅぅ~っと気持ち良く冷ましてくれるのが、この演奏です。夜の底が白くなるという、川端康成のようなメロディ展開は、アート・ファーマーだけのフルューゲルホーン天国♪ それを充分に理解しているリズム隊、特にハロルド・メイバーンの伴奏と控えめなアドリブも最高です。
 最後に聞かれる無伴奏パートでのフルューゲルホーンが、何とも言えない味わいの深さです。

ということで、個人的には前述の「アート」よりも好きなほどです。

そして最初は日本盤を買ったんですが、何故かジャズ喫茶で聞いた時よりも寝ぼけ音質が??? 最初は自分の貧弱なオーディの所為かと納得もしていたのですが、アメリカ盤のシャキッとした音は、やっぱり魅力の根源と目覚めてオリジナル盤をゲット♪

ところが自分の不注意でB面に針飛びキズを作ってしまい、泣きました。

現在は紙ジャケット仕様のCDを聴いていますが、これがリマスターも秀逸♪ 懸念していたシンバルのキレ、あるいはベースの低音域も若干ではありますが補正されていますので、後はオーディ再生でお好みに調整すればOKでしょう。

これまた未聴なのは勿体無いという隠れ名盤だと思います。

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デビュー盤ならこっちが好き

2008-02-28 17:22:08 | Weblog

やっぱり雪国です。風が強くて雪が舞う!

こんな日にはハードバップが一番です!

ということで――

Introducing Lee Morgan With Hank Mobley Quintet (Savoy)

ハードバップの天才トランペッターだったリー・モーガンは、弱冠18歳でバリバリのトップをとったという部分に天才性が認められるわけですから、そのデビュー盤は既にして快演が“お約束”♪

一応、公式の初レコーディングはブルーノートの「インディード!」とされていますが、このアルバムはその翌日録音も含んでいますから、果たしてどちらが先に発売されたのか、ちょっと興味深いものがあります。

ただしこちらは、ジャケットにも小さく記載されているとおり、本来はハンク・モブレーのリーダーセッションをリー・モーガン名義に転用したそうですから、そのあたりからも当時の話題性が窺えます。

気になる録音は1956年11月5&7日、メンバーはリー・モーガン(tp)、ハンク・モブレー(ts)、ハンク・ジョーンズ(p)、ダグ・ワトキンス(b)、アート・テイラー(ds) という御馴染みの面々です――

A-1 Hank's Shout
 景気の良いアート・テイラーのドラミングに導かれて始る典型的なハードバップです。テーマメロディからアドリブまで、全くの「モブレー節」が全開していますから、ついついニンマリ♪ ハンク・ジョーンズの控えめな伴奏が、これまた良い感じです。
 そして続くリー・モーガンが、いきなり進軍ラッパのような突進ぶりを披露してくれます! 絶妙のリズム感で繰り出してくる躍動的なフレーズの嵐は、これぞハードパップの魅力が満載ですねっ♪ 個人的には前述したブルーノートのセッションよりもノリが良いと感じています。
 クライマックスではドラムスとの対決もあって、当時の勢いが上手くパッゲージされたのではないでしょうか。

A-2 Nostalgia
 早世したトランペッターのファッツ・ナバロが書いたオリジナルで、タイトルどおり懐古調が入った哀愁の名曲なんですが、ここでのリー・モーガンはテーマ吹奏からミュートを使い、なかなかの味わいを出しています。
 そしてアドリブパートでもグルーヴィなリズム隊が揺るぎませんから、自在に飛翔しては我に返るという展開が如何にもリー・モーガン! つまり最初からほとんど個性が出来上がっていたのは、天才の証でしょうねぇ。
 ちなみに先発でアドリブを展開するハンク・モブレーは幾分モゴモゴした音色、暖かい歌心でジワジワと盛り上げていますが、それすらもリー・モーガンの露払いになっているほどです。
 またハンク・ジョーンズの落ち着いたピアノ、躍動するベースとドラムスのコントラストも絶妙で、個人的には気に入った演奏になっています。終盤のソロチェンジからラストテーマに繋がるところもグッときますよ♪

B-1 Bet
 これまたグルーヴィなアート・テイラーのシンバルワークをイントロに、なかなか素敵なハードバップのメロディが始りますから、最初っからもう辛抱たらまん状態です。あぁ、この快適なテンポ♪
 そしてアドリブ先発のリー・モーガンが絶品です。緩急自在でありながら、決して本筋を外さないノリの良さ♪ フックの効いたアドリブフレーズ♪ これで18歳なんですから、共演者達もニンマリして唖然でしょうねぇ。もちろんリスナーはモダンジャズ天国です。
 さらにハンク・モブレーも快演で、かなり思い切ったフレーズも吹きながら、最終的にはタメとモタレの世界へ戻るという潔さです。またハンク・ジョーンズが歌心とファンキーな味わいの二重奏♪ 地味な展開の中にキラリと光るピアノタッチがニクイです。 

B-2 Medley
     Softly, As In A Morning Sunrise / Doug Watkins
     P.S. I Love You / Lee Morgan
     Easy Living / Hank Jones
     That's All / Hank Mobley

 ここからはバラードメドレーで、まず初っ端のダグ・ワトキンスが太い音色で豪快にグルーヴすれば、続くリー・モーガンが最高の歌心でテーマメロディを変奏していきます。あぁ、なんて凄いんでしょう♪♪~♪ とにかく全てが歌のトランペットが聞かれますよ。
 リズム隊の伴奏の上手さも言わずがな、ハンク・ジョーンズがトリオで弾く「Easy Living」も隠れ名演だと思います。これも最高っ!
 そしてお待ちかね、ハンク・モブレーがジンワリと吹いてくれる「That's All」は上手くテーマを崩しているのですが、これがかなりアグレッシブというか、甘さに流れていないんですねぇ。それでいて素敵な和みの世界です。ラストテーマでは無伴奏になって、テナーサックスのキーがカタカタ鳴るのも、なんか嬉しいです。

ということで、これもハードバップの名盤だと思いますが、リー・モーガンに限って言えば、圧倒的にブルーノート盤の「インディード!」ばかりがチヤホヤされているような……。

しかし私は完全にこっちが好きで、それはモブレーマニアの所為かもしれませんが、リー・モーガンでは「Nostalgia」と「P.S. I Love You」が物凄く好きですと、愛の告白♪

なんとも言えないキッチュな人工着色っぽいジャケットも、気に入っているのでした。

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今日も転石♪

2008-02-27 16:37:52 | Weblog

ということで、↓でお願い致します。

http://www12.ocn.ne.jp/~nacky/stones/stones33.html

ストーンズ激動の1969年がスタートしたのです。

 

 

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ホッとするデュオ盤

2008-02-26 18:19:03 | Weblog

あぁ~、朝から諸々がトラブル続きでした。

ということで、本日も和みたい一心です――

Ballads & Blues / Tommy Flanagan (enja)

ピアノとベースのデュオ作品は、何故かソロピアノアルバムよりも地味に感じるのは、私だけでしょうか?

だいたい演じているのが男2人という色気の無さ、ともすれば暑苦しい雰囲気さえ漂うというセッションには、これという決定的な名盤も少ないかもしれません。

もちろんオスカー・ピーターソン&レイ・ブラウンという名コンビの諸作やデューク・エリントンが自分の楽団のベーシストと繰り広げた名演の数々は歴史に残るものだと思います。でもねぇ……。

なんていう呆れた想いを抱いていた私の前に、忽然と現れたのがこの作品でした。

主役は名人ピアニストのトミー・フラナガン、そして相方はシブイ技巧派べーシストのジョージ・ムラーツですから、たまりません。なにしろこの2人は以前、人気盤「エクリプソ(enja)」で息もぴったりの名演を繰り広げていたのですから、それから約1年9カ月後という1978年11月15日のこのセッションにも期待は高まったのですが、それは全く予想以上の仕上がりになっていました――

A-1 Blue Twenty
A-2 Scrapple From The Apple
A-3 With Malice Towards None
B-1 Blues For Sarka
B-2 Star Eyes
B-3 They Say It's Spring
B-4 Birk's Works

――まずは「With Malice Towards None」が素晴らしすぎる名曲・名演です! 美しい哀愁をたたえたテーマメロディも最高ですが、そのテーマを巧みに変奏して美メロのアドリブを紡ぎだすトミー・フラナガンのセンスは最高♪ 寄り添うジョージ・ムラーツも全てが「歌」というベースを聞かせてくれます。

ちなみにこの曲はトミー・フラナガンが十八番としている隠れ名曲で、私は1980年代終り頃、ニューヨークでトミー・フラナガンが若手を入れたトリオで演じているのを聴いていますが、そこでも全く同じような展開でしたから、このバージョンの完成度の高さに納得しています。

またド頭の「Blue Twenty」はファンキーな変則ブルースながら、随所にキラリと輝く味なフレーズが素敵ですし、シンミリと始ってジワジワと熱くなっていく「Blues For Sarka」は、ビル・エバンスも真っ青の深遠な世界が描かれています。特に後者ではジョージ・ムラーツの緊張感溢れるベースワークが印象的♪ タイトルとは違って全然ブル~スしていないのも味わい深く、それは「Birk's Works」の正当性との比較で、さらに楽しくなるでしょう。

そして歌物では「Star Eyes」の軽やかな響き、「They Say It's Spring」での弾むような歌心が流石です。もちろん心からのスイング感も最高ですから、ジョージ・ムラーツのベースも存分に自己主張していますが、決して我侭ではないので好感が持てます。

それとモロにモダンジャズの「Scrapple From The Apple」は、ジョージ・ムラーツが過去にローランド・ハナ(p) とのデュオで名演を残しているだけあって、トミー・フラナガンも些か力んだ雰囲気ですが、それも良い方向に作用して結果オーライ♪ う~ん、人間臭くて好きです♪

ということで、かなり隅々まで名演だと思うのですが、やっぱり地味でしょうか……。もちろん私にしても車の中では聴きませんが、ハードな仕事の合間とか、ちょっとはホッとしたい時間にはジャストミートの1枚だと思います。

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ジャケ良し、演奏も良し♪

2008-02-25 17:00:50 | Weblog

とにかく今日は、癒しが欲しくて取り出したこれを――

Good Pickin's / Howard Roberts (Verve)

美女ジャケットとしては、あまりにも有名な1枚♪ それゆえに状態の良いオリジナルは、かなりの入手困難というブツなので、昭和50年代中頃に我国で復刻された時には迷わずにゲットしています。

そして癒し系のジャケットからは想像もつかないストレートアヘッドな内容の良さにも、感動するのです。

録音は1957年、メンバーはハワード・ロバーツ(g)、ピート・ジョリー(p)、レッド・ミッチェル(b)、スタン・リーヴィ(ds)、ビル・ホールマン(ts,arr) という西海岸バリバリの連中で、スマートなアレンジとガッツ溢れるジャズ魂が最高に楽しめます――

A-1 Will You Still Be Mine
A-2 When The Sun Comes Out
A-3 All The Things You Are
A-4 Lover Man
A-5 Rekaxin' At Camarillo
B-1 Godchild
B-2 Easy Living
B-3 Between The Devil And The Deep Blue Sea / 絶体絶命
B-4 The More I See You
B-5 Terpsichore

――まずは冒頭「Will You Still Be Mine」の快適なスイング感と強烈なグルーヴにウキウキさせられます。ハードボイルドなイントロのアレンジ、そしてスマートなテーマメロディのアンサンブルも素晴らしく、もちろんアドリブパートではハワード・ロバーツの流麗なフレーズとピッキングの妙技が存分に楽しめるんですねぇ♪ 続くビル・ホールマンも柔らかな歌心と硬派なジャズ魂を聞かせてくれます。

ちなみにハワード・ロバーツはスタジオセッション主体の仕事をやっているので、あまりジャズメンとは認識されないところもありますが、しかしそのジャズ心は本物だと思います。

それはこのアルバムを聴けば納得出来るはずで、スタンダード曲中心の演奏ながら、けっして甘さに流れることがありません。

繊細な表現力が冴える「When The Sun Comes Out」や「Lover Man」では、同時にかなりしぶとい黒っぽさがあったりします。

またリラックスした「Easy Living」での雰囲気の良さ♪ 有名スタンダードの「絶体絶命」や「The More I See You」での歌心優先モード♪ そして「Rekaxin' At Camarillo」や「Godchild」というビバップど真ん中の曲でさえ、間然することの無いアンサンブルとモダンジャズのカッコ良さを満喫させる演奏に仕立てあげられています。

ハワード・ロバーツのギタースタイルは、はっきり言えばバーニー・ケッセルの亜流かもしれませんが、独自のフレーズ展開をきちんと持った名手であり、意外なほどにファンキーな感覚もありますから、侮れません。

共演のリズム隊は言わずもがなの堅実さですし、ビル・ホールマンが予想外の力演で、ちょっと吃驚です。

さらにオーラスの「Terpsichore」はハワード・ロバーツが書いたオリジナルのブルースなんですが、重厚で粘っこい雰囲気が横溢し、とても西海岸派の演奏とは思えないほどです。う~ん、これは当たり前すぎる「All The Things You Are」の白人っぽさと比べて、とても同じバンドとは思えないほどですよっ!

ということで、ジャケット良し、中身良しという必殺盤だと思います。これも未聴の皆様には、ぜひっ♪

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コーヒー飲みながら

2008-02-24 18:04:29 | Weblog

勤務地の雪国へ戻ってみれば、家は真っ白な雪に埋もれていました。

昨夜は物凄い暴風雪で車も視界が無く、ほとんど走れなかったそうですね。事故も多発したらしい……。

ということで、さっきまで除雪していましたです。やっぱり雪国は大変だぁ。そこで一息ついて、熱いコーヒー飲みながら、痛快に楽しいアルバムを――

Where Do We Go From Here ? / Don Randi Trio (Verve)

ジャズ喫茶の人気盤から一躍、ピアノトリオの名盤へと昇格したアルバムです。そのきっかけは、主役であるドン・ランディが“ブルーアイドソウルのピアニスト”としてガイド本に紹介された事らしいのですが、なるほど上手いことを言うもんです。

確かにドン・ランディは白人ならが、なかなか黒いフィーリングでピアノを鳴らしますからねぇ~♪ 一度虜になると、抜け出せない味わいがあります。

しかし最初、私の前に登場したドン・ランディは、西海岸のスタジオセッションプレイヤーのひとりでした。例えばニール・ヤングやスティーヴン・スティルスがやっていたバンドのバッファロー・スプリングフィールドの名盤アルバム「アゲイン」で聞かれるウイントン・ケリーっぽいピアノとか、いったい誰が弾いてるのか?

という疑問の中から浮かびあがってきたのが、ドン・ランディでした。

尤も最初はクラシックを勉強していたらしいのですが、ある日ジャズに転向し、しかし1960年代中頃からは現実の厳しさ、つまりロックの台頭とジャズの衰退によってスタジオの世界へと転身したようです。

そしてこのアルバムは、その前に残された素晴らしくも楽しい1枚♪ 録音は1962年1月31日~2月1日、メンバーはドン・ランディ(p)、リロイ・ヴィネガー(b)、メル・ルイス(ds) という充実のトリオです――

A-1 T.J.'s Blues
A-2 Waltzing Matilda
A-3 I Love Paris
A-4 That's All
B-1 Take Six
B-2 Interlude
B-3 Autumn Leaves
B-4 Gypsy In My Soul

――まずは冒頭「T.J.'s Blues」の大ハードバップブルースにKOされるでしょう。ガンガンゴンゴン突き進むドン・ランディのゴスペルビアノというか、ファンキーでありながら、けっこうロック色も強かったりするのがミソかもしれません。山場ではボビー・ティモンズ+ジュニア・マンスというブロックコードの乱れ打ちが痛快です!

またラテンビートで突っ走る「I Love Paris」とか4/6拍子のジャズロックが楽しい「Take Six」では、アドリブが限りなく正統派4ビートの味わいに拘っていたりして、ニンマリさせられます。もちろん歯切れが良くて黒っぽいスタイルが存分に楽しめるんですねぇ~♪

それとリラックスした歌心、美メロのアドリブ&テーマ変奏が胸キュンの「Waltzing Matilda」や「That's All」の素直なノリの良さ♪

そして夥しいジャズバージョンが存在する「Autumn Leaves」は、中でもウルトラ級の隠れ名演じゃないでしょうか。全くこちらが思っているとおりに演奏してくれるというか、元ネタはウイントン・ケリーなのがミエミエなんですが、憎めません♪ その前に置かれた「Interlude」との前後関係も秀逸だと思います。

さらにオーラス「Gypsy In My Soul」での爽快感! ツボを外さない共演者のサポートも素晴らしく、アップテンポでブッ飛ばすトリオの一体感も見事です。

ということで、ファンキーで歌心も満点♪ しかも痛快至極な傑作ピアノトリオ盤なんですが、一部からはドン・ランディがハードバップの様式美を演じているだけという悪口も聞かれます。

でもそれは、あまりにも出来すぎという事ゆえだと、私は思います。だって、聞いていて楽しければ良いじゃないですかぁ~~。それが否定されたら音楽全てから「楽」という文字を取り去らないといけませんぜっ。

ちなみにジャズ喫茶では「枯葉」ゆえにB面が定番かもしれませんが、私はA面派です。ド頭からの2連発が最高なんですよっ♪ 左にドラムス、真ん中にピアノ、右にベースという潔いステレオミックスも実に良いと感じているのでした。

未聴の皆様には、ぜひっ!

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本日の猫事情

2008-02-23 18:19:38 | Weblog

日頃からエグイ映画ばかり鑑賞しているというサイケおやじも、たまには癒しが欲しい!

 ということで、観たのがDVD「本日の猫事情」♪

五匹の猫を飼う女性イラストレーターの物語です。

まあ、そこはかとない猫好きの心情が、実に良いですね♪

ちょっとは自分の生活態度とか、考えることにもなりましたです。

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'50年代のバルネ・ウィランが好き

2008-02-22 17:14:56 | Jazz

本日はニャンニャンニャンで、猫の日だそうです。

猫=キャットは熱心なジャズファンのことでもありますから、本日はジャズの日でも納得しますかねぇ。

ということで、本日は――

Barney Wilen Quartet Newport '59 (Fresh Sound)

バルネ・ウィランはフランスや欧州をメインに活動していたテナーサックス奏者で、一時は前衛に走ったこともありながら、実はハードバップ愛好者には常に気になる存在だったと思います。

なにしろ4ビートをやらせてはデクスター・ゴードンやソニー・ロリンズ、そしてハンク・モブレーあたりの影響下にありながら、独自の歌心とジャズ魂を持った正統派♪ 黒っぽい音色も実に素敵です。

そして1980年代後半からは日本人好みの新作レコーディングも増えて、人気を確固たるものにしているのですが、モダンジャズ全盛期の1950年代の録音には、やはり格別の良さがあります。

このアルバムは、そんな時期のバルネ・ウィランを記録した発掘音源のCDで、なんと1959年7月4日のニューポートジャズ祭でのライブ! しかもメンバーが強烈で、バルネ・ウィラン(ts,ss) 以下、秋吉敏子(p)、トミー・ブライアント(b)、ロイ・ヘインズ(ds) という物凄さです――

01 Introduction
02 Passport
03 `Round Midnight
04 Barney's Tune

 司会者の短いメンバー紹介の後、秋吉敏子のアグレッシブなイントロ、さらにテンションの高いロイ・ヘインズのドラミングに導かれて始るのが、チャーリー・パーカーが書いたビバップのブルースですから、このモダンジャズど真ん中のグルーヴに、まずはシビレます♪ う~ん、バルネ・ウィランが流れるようなフレーズを積み重ねて快調♪♪~♪ ただし秋吉敏子が、やや不調です……。ちょっと新しいことをやろうとして力んだ雰囲気なんでしょうか……。それでも後半は持ち前のビバップ魂を発揮しています。
 続く「`Round Midnight」ではバルネ・ウィランが、あの艶っぽいソプラノサックスを存分に披露♪ 音色が実に素敵ですし、ミステリアスなテーマメロディをお洒落な雰囲気に変換していく感性が素晴らしいところです。アドリブフレーズにも新しさがありますねぇ。秋吉敏子の伴奏も、ハッとするほど良い感じ♪ そのまんま入っていくアドリブパートも、なかなか聞かせてくれますよ。
 そしてバルネ・ウィランのオリジナルという「Barney's Tune」は、某ビバップの有名曲を元ネタに、様々な名曲を繋ぎ合わせたようなメロディが楽しく、アップテンポの快演となっています。リズム隊も本調子のサポートで熱気満点ですから、あぁ、これが最後の演目となるのが悔しいですねぇ~。秋吉敏子の過激なピアノが凄いです。

ということで、このパートは22分ほどですが、音質も普通に聞けるほどに良好です。そしてここから先はオマケ扱いで――

05 No Problem / 危険な関係
06 Niguel's Party

 これは度々出ているパリでのライブ音源で録音は1959年、メンバーはバルネ・ウィラン(ts)、クラーク・テリー(tp)、バド・パウエル(p)、エリック・ピーター(b)、ケニー・クラーク(ds) というオールスタアズです。しかし期待される「危険な関係」にはバド・パウエルの働きが極めて少なく、演奏そのものも些か緩みが感じられます。
 しかし続く「Niguel's Party」は、なかなかファンキーなハードバップ! クラーク・テリーの思わせぶりは、元祖マイルス・デイビスという感じでニンマリします。またバルネ・ウィランは歌いまくって黒っぽいという魅力が全開しているのでした。
 ちなみにこの2曲も音質は良好です。

07 `Round Midnight
 最後のパートは1950年代末、ドイツでの録音とされる演奏で、メンバーはバルネ・ウィラン(ts)、Evald Heideprim(p)、Karl Theodore Geier(b,cello)、Eberhard Stkengel(ds) というカルテットです。
 まず、御馴染みのテーマメロディがセロで奏でられるという雰囲気が、如何にも欧州っぽいですねぇ。続けてバルネ・ウィランが魅惑の変奏に移るあたりもシブイ♪ あぁ、こうなるとソフトで黒っぽいテナーサックスの音色の魅力が全開していますね。もちろんアドリブも控えめながら、逆にムード重視の展開が、たまりません。

ということで、やっぱり最初のニューポートでのライブが貴重で魅力満点! 告白すれば秋吉敏子が目当てで入手したブツですが、バルネ・ウィランも大変な力演で、好感が持てます。

あぁ、もっと1950年代のバルネ・ウィランが発掘されないかなぁ~。

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擬似メッセンジャーズな名盤

2008-02-21 17:04:09 | Jazz

若い頃は思いもしなかった温泉旅行とか、最近、あこがれます。

というか、ゆっくり休んで癒されたい、それには温泉が一番という単純な発想ですが、無理は承知の夢という段階です。

ということで、本日は――

Byrd's Eye View / Donald Byrd (Transitoin)

マニアの情熱は何物にも変え難い美しさがありますが、それをプロの仕事にした場合、やはり何がしかの困難や問題に直面するのが、この世の常でしょう。

このアルバムはジャズマニアだったトム・ウィルソンという黒人青年が製作したリアルタイム最前線のハードバップ作品で、自ら起こした「トランジション」という超インディーズの中の1枚です。

会社そのものはシカゴにあったと言われており、一応、発売作品数も30枚ほどはあるようですが、そのいずれもが優れた内容の割には流通数が決定的に少ないのが実態でした。

ですからレーベルは3年持たずに潰れ、作られたアルバムは忽ち「幻の名盤」と化したわけですが、その中でも特に人気が高いのが、本日の1枚というわけです。

録音は1955年12月2日、メンバーとドナルド・バード(tp)、ジョー・ゴードン(tp)、ハンク・モブレー(ts)、ホレス・シルバー(p)、ダク・ワトキンス(b)、アート・ブレイキー(ds) という擬似メッセンジャーズ! あの「カファボヘミア(Blue Note)」の旗揚げから僅か1週間後のセッションです――

A-1 Doug's Blues
 タイトルどおりにダグ・ワトキンスのグルーヴィなベースウォーキングに導かれて始る粘っこいブルースです。しぶとい感じのホレス・シルバー、テンションの高いアート・ブレイキーを交えたリズム隊は、本当に強烈ですねぇ♪
 ですからアドリブ先発のドナルド・バードも若手とはいえ、甘やかされている雰囲気は皆無で、徹頭徹尾、真摯にハードバップを追求しています。特に中間部の倍テンポでのノリの良さは素晴らしいです。
 続くハンク・モブレーも、当然ながらタメとモタレの唯我独尊♪ モブレーマニアにとっては芸術的というよりも、これしかないの歓喜悶絶でしよう。バックではホレス・シルバーの隙間埋めのような伴奏がたまりません。
 さらに夭折した隠れ名手のジョー・ゴードンが、ビバップ色の強い存在感で大ハッスルです。ちなみにこの人は、ジャズメッセンジャーズ以前のアート・ブレイキーのバンドに加わっていたこともありますから、ここに参加のメンバーに臆することのない熱演を聞かせています。
 そしてホレス・シルバー以下、リズム隊のパートが非常に充実しています。ギシギシ軋るダグ・ワトキンスのベースも味わい深く、これがハードバップの秘密の一端かもしれません。とにかくジンワリと熱くなる演奏です。

A-2 El Sino
 これもミディアムテンポながら、なかなかファンキー味の強いテーマが印象的♪ もちろん凄いリズム隊ゆえの快適なグルーヴがあって、気持ちよいアドリブを積み重ねるドナルド・バードは楽しいですねぇ。続くジョー・ゴードンも熱気満点のスタイルを披露して、演奏は2人のトランペッターによる対決の趣向となっています。
 このあたりはモノラル録音ですし、アドリブの応酬になると、けっこう音色が似ているので、聞き分けに苦労したりしますが、それゆえに真剣に聴いて熱くさせられますよ♪
 残念ながらハンク・モブレーは抜けていますが、リズム隊が強靭ですから、熱気は最後まで冷めないのでした。

B-1 Everything Happens To Me
 マット・デニスが書いた“泣き”の歌物が、ドナルド・バードによって素直に吹奏されています。とは言っても、ハードバップそのもののリズム隊が付いていますから、力強く朗々としたスタイルの中に琴線に触れるフレーズを散りばめるという上手いやり方が大正解♪
 メリハリの効いたリズム隊も実に味わい深いと思いますが、些か芒洋としたハンク・モブレーのアドリブが、これまたモブレーマニアにはジャストミートの快演でしょう。この人だけの歌心が分かると抜け出せないのですよ。

B-2 Hank's Tune
 これぞハンク・モブレーというテーマメロディの合奏からジョー・ゴードンの流麗なアドリブという展開こそ、ハードバップが最高に幸せな時間です。物凄い煽りを聞かせるリズム隊も恐いほどです。
 もちろんハンク・モブレーは俺に任せろ! モゴモゴした音色が完全に活かされるタメとモタレの究極フレーズは誰の真似でもなく、また誰にも真似出来ぬ世界が楽しめるのです。一瞬遅れてスタートするアドリブの入り方なんか、もう死ぬほど最高ですよ♪
 そしていよいよ登場するドナルド・バードは柔らかな歌心を披露して、なおかつテンションも高いというイキの良さ! 明らかにクリフォード・ブラウンの影響がモロ出しになっていますが、それでも個性は明確になっています。
 またホレス・シルバーが、これまた熱演! 揺ぎ無い4ビートでウォーキングするダグ・ワトキンスも強烈過ぎますし、クライマックスのソロチェンジで熱くなるアート・ブレイキーは言わずもがな、擬似メッセンジャーズここにありです。

B-3 Hank's Other Tune
 これもハンク・モブレーの「節」が存分に楽しめるテーマ合奏、そしてアドリブ先発の作者が快演ですから、本当にジャズ者が至福の世界です。粘っこくて躍動的なビートを出してくるリズム隊との息もぴったりなのは、あたりまえだのクラッカー♪
 ですからドナルド・バードもソフト&ハードな大熱演で、吹いている本人が一番気持ち良いのかもしれませんねぇ。ちなみにドナルド・バードはこのセッションからほどなく後にジョージ・ウェリントン(p) のバンドを辞め、ジャズメッセンジャーズに加入していますが、さもありなんです。
 短いながらもファンキーなホレス・シルバーのアドリブは、良い味出しまくりですし、テナーサックス対トランペットの対決も歌心優先でニクイばかりなのでした。

ということで、ハナからケツまで完全無欠のハードバップ♪ しかも意地汚いブロー合戦なんていう無駄な事はしていない潔さですが、こんな優れた作品が長い間、一部のファンにだけ開帳されていたのは何とも複雑です。

我国では1970年代後半になって復刻発売されましたが、話題にはなったものの時代がフュージョンでしたから、飛ぶように売れたということも無く、やはりハードバップが好きなファンにだけアピールしていたのでしょうか……?

ちなみにプロデューサーのトム・ウィルソンは後年、ボブ・ディランやサイモン&ガーファンクルで大当たりをとるわけですが、やはり時代を見る目があったのだと思います。とすれば、このアルバムだって、当時の最先端にヒップな作品だったはずですからねぇ~~♪

おそらく私にとっては、死ぬまで聴き続ける1枚になるでしょう。

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なにをいまさら

2008-02-20 17:24:49 | Miles Davis

今日はタイミングが悪いというか、思いっきり仕事に振り回されました。正直言って、疲れた……。

ということで、本日は――

Kind Of Blue / Miles Davis (Columbia)

今更、私などが云々するアルバムではないほどの名盤です。まさにモダンジャズの金字塔!

メンバーはマイルス・デイビス以下、当時のバンドレギュラーだったキャノンボール・アダレイ(as)、ジョン・コルトレーン(ts)、ビル・エバンス(p)、ウイントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、ジミー・コブ(ds) というだけで、完全降伏でしょう。

録音は1959年の春、なんと発売前から名盤という噂があったそうです。確かに、これは名盤の中の大名盤でしょう。

しかし今日では、オリジナルアナログマスターにピッチの狂いがあったということで、CDでは正確な演奏スピードに補正されているそうですが、う~ん、なんだかなぁ……。

なにしろ、それが発覚したのは発売されてから30年以上たっての事です。とすれば、その間にミュージシャン側がそんな事に気がつかないわけが無く、それでも放置していたのですから、現行CDの演奏が正確なピッチだとしても、それはオリジナルとは言えないでしょう。

ですから、この名盤はアナログLPで聴くのが正しいのです。

ちなみに、その裏ジャケ解説はビル・エバンスが担当しておりますが、なんと「All Blues」と「Flamkenco Sketches」の曲名を取り違えて説明しているという???がありますね。

まあ、いろいろとやってくれるのが名盤の必要充分条件かもしれません。

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