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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

和みの首吊り盤

2006-01-17 16:31:12 | Weblog

今日は、ちょっと昔話を――

Runt. The Ballad Of Todd Rundgren (Bearsville)

ピアノに向かいながら首吊りしている男! 不気味なジャケットでしょう……。

誰だって死にたくなる時があるように、私もそういう時期がありました。

高校生の時、ある事情からメチャクチャに落ち込んで、死んでしまいたいという日、フラリと立ち寄った中古盤店で出会ったのが、このアルバムです。

いろいろなLPレコードが突っ込んである、通称エサ箱を、何となく漁っている時、突如、私の前に現れた首吊りピアノマン! 思わず手にとりましたねぇ……。

その頃、昭和47(1972)年ですが、トッド・ラングレンなんて、日本ではほとんど知る人も無い存在でした。しかしそのジャケットは強烈な印象で、中身は分からなくとも、買わずにいられないほどの衝撃を私に与えたのです。値段は800円でした。

で、家に帰って聴いてみると、これが驚愕! 自分の好みモードにズバッと入った、和みのポップス曲がぎっしり詰まっていたのです♪

その曲調は、アル・クーパー~ローラ・ニーロ系のユダヤ人メロディの美しき流れ、仄かに屈折した偏愛メロディとでも申しましょうか、例えば山下達郎の「潮騒」とか「2000トンの雨」が好きな人ならば、きっと気に入る曲ばかりです。

そういえば、この3人は、いつも同じような曲ばっかり作っていますね♪

ちなみにこのアルバムは、後に幻の名盤としてポップスマニアの間では決定的な評価を与えられていくのですが、当時の私はそんなことは全く知らず、ただ好きだという感情だけで今日まで愛聴し続けているのでした。思えばオリジナル盤が800円という値段も、後からの高値からすれば、神様の思し召しだったのかもしれません。

もちろん聴くにつれて慰められたというか、死ぬ気持ちが無くなったのは言うまでもありません。むしろ、せつなく甘い感傷に浸ってしまった自分が、今では恥かしいという……。

で、今日もまた、昼時に聴いているこの作品は、現在CD再発されている紙ジャケット仕様のものです。これは音質が最高に向上していて、オススメです。

最後になりましたが、トッド・ラングレンは1960年代後半からナッズというバンドで活動し、1970年からはソロとして独立しましたが、自身がマルチプレイヤーなのでスタジオでの作業に没頭して幾つかの作品を発表するという、まあ、ポップスオタク系のミュージシャンです。

しかしそのセンスは業界内では高く評価され、マニアに信奉されて今日に至っています。もちろん本人もユートピアというバンドを率いてライブ活動も行っていますし、隠れ名曲を沢山発表しているので人気も高いのですが、あくまでもポップスマニア向けという位置付けにある人です。

その中では、このアルバムこそ、万人向けというかも、一番聴きやすく、末永く愛聴出来る作品ではないかと思います。

収録曲は全て傑作ですが、まず初っ端からクラビネットが唸り、重層コーラスが素敵な「Long Flowing Rove」が楽しく、続く「The Ballad」でシンミリとさせられます。そして「Waing Wall」ではピアノの弾語りから幽玄の世界が展開され、ほとんど山下達郎のスロー物の世界に引き込まれます。もちろん、こういう世界はトッド・ラングレンの方が元祖ですが♪ ただし黒っぽさは、ほどほどです。

また「A Long Time, A Long Way To Go」は何となく初期~中期イーグルスのようなハーモニーとカントリー・フレイバーが漂いますし、「Be Nice To Me」は極みつきの和み名曲♪ オレに優しくしておくれ……、と泣きそうに歌うトッドの女々しさには共感です。ピアノの弾き語りと多重コーラスで織りなされるこの甘さと素敵なメロディは、どうしたら浮かんでくるのか!? まあ、元ネタはスモーキー・ロビンソンなんでしょうが、トッドの天才性がたっぷり出ています。

それは「Hope I'm Around」でもたっぷりと味わえますが、ここでの甘いメロディとコーラスを聴いていると、これはほとんどイーグルスのバラードの世界だと感じるはずです。全くイーグルスもやってくれますねぇ~、ふっふっふっ。

またトッド流ギターポップスが「Parole」で、ウキウキしてきますよ♪

ということで、これは局地的名盤ではありますが、ジンワリ染みて和みの世界に浮遊する作品です。

コメント (2)
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