OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

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寒い夜にはぶる~すを

2005-11-30 16:26:51 | Weblog

今年も残り少なくなり、急に寒くもなりました、ということで本日は、ぷる~すな1枚です――

Super Sessino / Al Kooper (Sony)


ロックの歴史を紐解く時、ギタリストの時代が間違いなく、ありました。

それは特に1960年代後半からの数年間で、ここにエリック・クラプトンやジェフ・ベックというジャンルを超越して凄い達人から、ブルースに拘り続けたり、あるいはスタジオワークで真価を発揮したり、はたまた、ライブステージで強烈な印象を残していた者まで、ロックといえば、まずギターという公式が成り立っていたのです。

で、このアルバムも突き詰めればギターアルバムに他なりません。その主役は天才的な白人ブルース・ギタリストのマイク・ブルームフィールドです。ご存知のように、彼はシカゴでポール・バターフィールドと共にブルース・ロックをやっていたのですが、あくまでも天才とキチ●イは紙一重という世の常を打ち破ることが出来ず、この時点でも自分がリーダー格となって結成したバンドのエレクトリック・フラッグを辞めた浪人状態でした。

ただし、このアルバムそのものの名義は、当時のトレンディ男、アル・クーパーになっています。この人もまた、飽きっぽいというか、潔いというか、とにかく流行を作ってはすぐにそれを放り出す人で、この時点では、自分で作り、人気上昇中のブラッド・スウェット&ティアーズを辞め、コロムビア・レコードのスタッフ・プロデューサーになっていたのです。

そして何か録音しなければならない羽目に陥り、急遽、昔馴染みのマイク・ブルームフィールドと共演セッションを目論み、出来たのがこのアルバムというわけです。ちなみに昔馴染みとは、この2人はボブ・ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」等の、所謂、歴史的なフォークロックの録音セッションに参加していたという、縁故関係でした。

とはいえ、ここで録音されたのは、リラックスしたジャム・セッションで、それはちょうどジャズの現場に近いものでしたが、当時のロックはビジネスとしてジャズよりは権利関係が複雑だったことから、共に名前を成した者どうしが気軽にバンドを組むことは珍しい事とされました。それゆえに、そこを逆手にとったアルバム・タイトル「スーパー・セッション」はインパクトが強かったのです。

肝心の演奏、そしてメンバーは、マイク・ブルームフィールド(g)、アル・クーパー(key.vo,g)、バリー・ゴールドバーグ(p)、ハーヴィ・ブルックス(b)、エディ・ホー(ds) で、1968年5月に録音されています。

まずA面1発目の「Albert's Shuffle」から大名演で、ミディアム・テンポのブルース・インストが、マイク・ブルームフィールドの素晴らしいギターで綴られていきます。その透明感のある音色、心に突き刺さるフレーズ、素直に感情を爆発させたアドリブの組み立て等々、とにかく非の打ち所がありません。他のメンバーも頑張っているのですが、これはマイク・ブルームフィールドが全ての曲です。あぁ、ブル~ス♪

それは2曲目の「Stop」も同様で、ここでは8ビートのブルース・ロック・インストが演じられますが、溢れ出すブルース魂は、よりハードエッジに迫ってきます。

しかし、一転3曲目の「Man's Temptation」はアル・クーパーのボーカルを前面に出してホワイト・ソウル味に仕立てた、ある意味では息抜きの場になっていますが、個人的にはかなり好きです。

そして4曲目はサイケ・ジャズ・インストの「His Holy Model Makesty」で、4ビートも導入されていますが、中心となるアル・クーパーのキーボードのアドリブがペンタトニックばっかりで、退屈です。しかしマイク・ブルームフィールドのギターは鋭く、インドのラガ・モードまで使って刺激的にスケールアウトしたりして、健闘しています。

こうして煮詰まったところで辿り着くのがA面ラストの大ブルース大会「Really」です。ここでもマイク・ブルームフィールドのギターは凄い! と言う他はありません。まるっきり、コピーして下さい、と言わんばかりの永久不滅フレーズばかりで、どうやったらこんなインスピレーションが湧き出るのか、天才は違うという証明になっています。

ところが、これで燃え尽きたのか、マイク・ブルームフィールドは翌日のセッションには現れず、失踪……! どうやら不眠症と薬物依存が極限まで達していたらしく、そこで急遽起用されたギタリストが元ブッファロー・スプリングフィールドで、後にCSNを結成するスティーヴ・スティルスです。

演奏されたのはボブ・ディランの「悲しみは果てしなく」、ドノバンの「魔女の季節」、ブルースの古典「夜明けに恋は無い」、そして短い「ハーヴィの曲」で、正直に言うとA面よりもテンションの低い出来になっています。それでも「魔女の季節」は名演ですが……。

ということで、このアルバムはA面が全て! と言い切ってしまいます。否、極限すれば「Albert's Shuffle」だけでも良いんです♪ これこそ1960年代ロックのひとつの頂点かもしまれせん。

そこではホーン・セクションがダビングされていますが、近年のリマスターCDには、それを抜いたピュアなバージョンがオマケに入っていますし、残りテイクの「Blues For Nothing」が、どうしてこれがボツなのか? と思わせる凄さで屹立しています。またフィルモアのライブから、これも未発表の「Fat Grey Cloud」も貴重です。

ということで、マイク・ブルームフィールドは、けっして黒人ブルース・ギターそのものをやっている人では無いのですが、その美味しい部分を白人ロックの中で最良の形で表現した偉大なギタリストです。ジャケ写からネタ元に繋げてありますので、ぜひとも聴いてみて下さい。

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誰だっ!

2005-11-29 17:14:16 | Weblog

誰だ! 私の固焼き煎餅を袋ごと粉々にしたのは? 分かっているよ、袋の上に何か重いものを落としたんだろぅ。犯人は速やかに名乗り出るように!

ということで、本日の1枚は何もかもぶっ飛ばす爽快盤を――

Hello Herbie / Oscar Peterson (MPS)

オスカー・ピーターソンのアルバムですが、タイトルどおり、主役はギタリストのハーブ・エリスです。

この人は白人ながら、1953~1957年頃までオスカー・ピータソンのトリオで活躍していた名手で、その後はスタジオ・ミュージシャンとして活動していたのですが、その2人が久々に、そして本格的に共演したのが、このアルバムです。

ちなみにピーターソンのトリオは初期にはドラムレスで、構成メンバーはレイ・ブラウン(b)を相棒に、ギターはバーニー・ケッセル、アービング・アシュビー、そしてハーブ・エリスと変遷し、最終的にはギターを外してドラム入りのピアノトリオになり、それは黄金のトリオとして歴史の一部になったのですが、しかしギター入りのトリオにも捨てがたい魅力がありました。

で、このアルバムは1969年に録音されたもので、メンバーはオスカー・ピーターソン(p)、ハーブ・エリス(g)、サム・ジョーンズ(b)、ボビー・ダーハム(ds) という、歴代ピーターソン・トリオの中では最もイケイケのメンツが揃っていた時期です。

まず初っ端の「Naptown Blues」からパワー全開! この曲はウェス・モンゴメリー(g) のあまりにも凄い名演があるのですが、ハーブ・エリスはピーターソン・トリオの強烈な援護を受けて奮闘します。この人はカントリー・ブルースのリックが得意で、それはロックンロール味も内包したものですが、ここでも、それ風のコード弾きソロを聞かせてくれます。そして続くピーターソンが、やっぱり凄い! このグルーヴ、この爆発的なタッチは本当に神業です。もちろんベースとドラムスの2人、そしてハーブ・エリスも完璧なバックを付けていますから、演奏全体が火山の爆発のようなクライマックスを迎えるのでした。

そして2曲目は一転して安らぎ系スタンダード「Exactly Like You」が、最初、ギターとピアノのデュオして演奏されます。しかしアドリブ・パートからは力強いベースと繊細なドラムスが加わって、ジワジワと盛り上げていきます。

3曲の「Day By Day」も、やはり有名スタンダードですが、ここではボサノバ風に演じられます。しかしピーターソンが全てを超越してあまりにも凄いので、ハーブ・エリスも苦闘気味ではありますが、その白人的な解釈はなかなか繊細で、絶妙なコントラストが醸し出されています。

しかしA面ラストの「Hamp's Blues」はスローなモード風展開から、静謐なテーマが見事に変体させられていく様が鮮やかで、ハーブ・エリスも本領発揮の繊細なブルース・フィーリングをじっくりと聞かせてくれます。

B面に入っては、冒頭の「Blues For H.G.」がド迫力! お約束のハードバップ・ブルースが演じられますが、メンバー全員が快調そのもので、全く楽しい限りです。こういう素直なノリは、当時のジャズ界からは消えていたものでしたから、これが1970年代前半のジャズ喫茶あたりで人気盤になるのは当然で、実際、私はこのアルバムでハーブ・エリスの存在を知ったのですが、ジャケ写や演奏されるフレーズから、最初はカントリーのギタリストだと思っていました。まあ、それは、当らずも遠からじ、だったわけですが♪

そのハーブ・エリスが真髄を聞かせるのが、次の「A Lovely Way To spend An Evening」です。テーマの小粋なメロディをミディアム・テンポでピーターソンと上手く絡みながら奏でるそれは、当に職人技です。ピーターソンがかなり黒っぽいフレーズを出していますが、ハーブ・エリスもそれにはブルース・リックで対抗していますし、早弾きが出ればアグレッシブなコード弾きを披露したりして、この2人のコラボレーションは全く楽しく聴けるのです。そしてハーブ・エリスのアドリブ・ソロは歌心たっぷりにスイングしています。

そして大団円はバカノリの「Seven Come Eleven」です♪ オリジナルはベニー・グッドマン(cl) が天才ギタリストのチャーリー・クリスチャンと共に壮絶な演奏を展開した、プレ・ビバップ的な名演でしたが、それをド迫力のハードバップに翻案したのが、ここでのバージョンで、とにかくバンド全体のスイング感覚が常軌を逸しています。早弾きを要求されるハーブ・エリスのテーマ処理は完璧ですし、アドリブに入っても得意のカントリー系のフレーズを上手く使って盛り上げて行きます。サポートするベースとドラムスも、ひたすらバックに徹するあたりが、逆に凄みがあり、特にボビー・ダーハムは大奮闘しています。もちろんピーターソンは神業のスイング! この境地は誰も到達出来ないと思わせます。

ということで、結論から言うと、聴いていてスカッとするアルバムです。余計な事は考えずに聴いてしまうというか、聴いているうちに、余計な事はどこかに吹っ飛んでしまう、そういう演奏が隅々まで詰まっているのです。特にA面ド頭のピーターソンのイントロからテーマへ入っていく時のリズム的興奮、そこから最後まで一気呵成の名盤♪

久々にジャケ写からネタ元に繋げてありますが、ジャズ喫茶でのリクエストはB面をオススメしておきます。もちろん自宅ではA面からいって下さい。

 

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知らぬが仏

2005-11-28 16:42:29 | Weblog

今、問題化しているインチキ建築士による手抜き工事の建物、実は友人の家の近くにもそれがあることが判明し、戦々恐々というか、どうか地震が来ませんようにと、祈る日々だそうです。それにしても、実際、ひどいなぁ……。

ということで、本日の1枚は――

Sounds Of Synanon (Pacific Jazz)

嘆かわしく、悲しい悪習、それがジャズミュージシャンと麻薬の関係です。これで演奏家としての力量を失った者、あるいは命を落とした者、天才でありながら短命だった者、大勢いますね……。しかし、その地獄の渕から社会復帰し、大輪の花を咲かせたジャズメンもいるのです。

例えば、今回の主役、ジョー・パス(g) もそのひとりです。

ジョー・パスは10代の頃からジャズ・ギタリストとして活動していましたが、すぐに麻薬に取り付かれ、ジャズの本場であるニューヨークから追放されて諸国放浪の末にラスベガスあたりのラウンジで仕事にありついていたようですが、結局、麻薬関連で逮捕、療養の繰り返しが続いていました。

そしてついに行き着いた先が、サンタモニカにあった、麻薬やアルコール依存症のリハビリ施設である「シナノン」でした。ここには同じ経緯で入所したミュージシャンも多数おり、所内ではバンドを結成して演奏を行っていたのですが、その中でも特に実力が飛び抜けていたのが、ジョー・パスだったと云われています。

それを発見したのが、「シナノン」のスポンサーの1人であるリチャード・ボックで、ついに自身が運営するレーベルのパシフィック・ジャズで録音することになったのが、このアルバムとジョー・パスが世に出る経緯でした。

録音は1961年、メンバーはデイヴ・アラン(tp)、グレッグ・ダイクス(bration-horn)、ジョー・パス(g)、アーノルド・ロス(p)、ロナルド・クラーク(b)、ビル・クロフォード(ds)、キャンディ・ラトソン(per) となっていますが、もちろん全員が「シナノン」の入所者で、つまりはジャンキー、しかもそこで初めて楽器を手にした者もいたそうです。しかし、ここで聴かれる演奏は非常にタイトで、しかもウエストコースト・ジャズ特有の爽やかさに満ちています。

ただし、個々のメンバーのアドリブ・パートは、それまでのハードな生き様の心情吐露というか、なんとも言えない哀しみとか、人生の深みが表出された部分があり、これはけっして麻薬中毒者を庇っているわけではありませんが、それ故に、なかなか魅力的な演奏が聴かれるのでした。

まずアルバムの冒頭、「シナノン」の設立者=チャールズ・E・デデリッチに捧げられた「C.E.D.」は、沸き立つようなジョー・パスの流麗なギターからラテン調のテーマが楽しく、アドリブ・ソロも快調です。

続く「Aaron's Song」はファンキーなブルースで、デイヴ・アランのハスキーな音色のトランペットがハードボイルドなフレーズを綴って、強く心に残りますし、ジョー・パスのギターも仄かに泣いていて、シビレます。

そして3曲目の「Stay Loose」は密やかな哀愁がこもった名曲で、初っ端からジョー・パスのギターが素晴らしく、歌心満点のアドリブ・メロディは流石です。また作曲者のアーノルド・ロスのピアノも、楽しくて、やがて悲しき宴のような味がたまりません。リズム隊のチャカポコ・リズムが、これまた耳に残ります。

それはA面ラストの祝祭的な名曲「Projections」に繋がり、ソロの先発はグレッグ・ダイクスのバリトン・ホーンですが、この楽器はチューバを小型にしたようなもので、トロンボーンのような音域が出てきて、和みます。しかしジョー・パスのギター・ソロは緊張感がいっぱいで、テンションの高い演奏になっています。

B面は、アップテンポのウエストコースト風ハードバップの「Hang Tough」で幕開けですが、ここでのジョー・パスが本当に素晴らしいの一言です。まったく淀みない早弾きで、魅力的なアドリブ・メロディーが泉のように出てくるのです。そして続くデイヴ・アランのトランペットがハスキーに泣くのですから、もう、完全降伏です。この哀愁♪ 最高です。

そのデイヴ・アランをフィーチャアしたのが、次のミディム・スロー曲「Silf-Image」です。なにしろ唯一無二のハスキーな音色で、哀切のフレーズをジワジワと流してくるトランペットの魅力には、心底、惹きつけられます。そしてもちろん、ジョー・パスも翳と温もりに満ちたギターを聞かせてくれるのでした。

で、アルバムの〆は意味深なタイトルの「Last Call For Coffee」で、明日への希望を感じさせる明るい演奏です。チャカポコ・リズムにノッた各人のアドリブが、とにかく楽しい♪ そしてジョー・パスのギターが軽く弾いているようでいて、メチャ、上手いです。ちなみに裏ジャケの写真でみると、この時のジョー・パスはフェンダーのジャズマスターのようなソリッドボディのギターをプレイしていますね。弘法は筆を選ばず、ということですかねぇ~。なんでも「シナノン」に入所した時のジョー・パスは、ギターも売り払って無一文だったそうですよ。

ということで、このアルバムは実質的にはジョー・パスの初リーダー盤的な位置付けになりましょうが、それをしっかりサポートしているが、ピアニストのアーノルド・ロスです。この人は参加メンバー中、この時点では一番有名なミュージシャンで、スイング時代から活躍し、リーダー盤も出していました。ですから、このセッションでも随所に味のある演奏を聞かせてくれます。

こうして社会復帰の足掛かりを掴んだジョー・パスは、やがてパシフィック・ジャズ・レーベルと契約し、数枚のリーダー盤の他に、有名・無名のスタジオ・セッションをこなすようになり、隠れた実力者として高く評価されていきます。そしてついに1970年代になって大ブレイクするのですが、それは、また次の機会に取上げるとして、とにかく、このアルバムはジャズと麻薬という腐れ縁から、重いテーマを明るい希望に変えていく、そのドキュメントとしても興味深い作品です。

しかし、収められ演奏は素晴らしい♪ ジャズのほとんど全ての魅力があると思います。少し前にCD化されたはずですが、今は廃盤でしょうか? とにかく、このアルバムも見つけたら、即、ゲットすることをオススメします。

また、ジャズ喫茶でならば、B面をリクエストして聴いてみて下さい。

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レッドスネークはもう出ない……

2005-11-27 17:15:19 | Weblog

「レッド・スネーク、カモ~ン」で楽しませてくれたショパン猪狩が亡くなられましたねぇ。この人は日本で最初に女子プロレスの興行団体を旗揚げした人でもありました。

衷心よりご冥福をお祈り致します。合掌。

ということで、本日の1枚もギタリスト特集を継続し、悲しみはぶっ飛ばせという――

Pat Martino Live ! (Muse)

ジャズ界きっての硬派ギタリストが、パット・マルティーノです。もちろんスタイルは王道の正統派で、1967年に名門レーベルのプレスティッジと契約し、初リーダー盤を出した時は20歳だったという天才です。そして1970年までに5枚のアルバムを同レーべルから発表していいます。

それは当然、その時代ですから、演奏はモードを使い、ロックビートはもちろんのこと、サイケ色に染まった演奏まで披露していますが、特徴的なのは、とにかく妥協をせずにバリバリと弾きまくるスタイルです。そこにはウェス・モンゴメリーとタル・ファーロウという2人の偉大な先輩ギタリストの影響が大きいのですが、同時期に脚光を浴び始めたジョージ・ベンソンとの比較では、よりクールな部分が魅力になっています。しかもその隙の無いスタイルは、スケール練習の垂れ流しと紙一重の部分が確かにありますが、その危険な香りを含んだアドリブ・メロディはスリル満点なのです。

ちなみにこの2人は同郷らしく、共にジャック・マクダフ(org) のバンドに相前後して雇われていたそうで、ライバルというよりも親友だったそうです。

で、このアルバムはレーベル移籍後の1972年に、ニューヨークのクラブで録音されたライブ盤です。メンバーは Pat Martino(g)、Ron Thomas(key)、Tyron Brown(b)、Sheman Ferguson(ds) という4人組みで、徹頭徹尾、ハードな演奏が繰り広げられています。

まず初っ端の「Special Door」からアルバムのA面全部を使い切った長尺演奏ですが、流れるように演奏をスタートさせるパット・マルティーノのギターは、その運指、ピッキング共に完璧の一言です。おそらくこの人は、かなり太い弦を使っていたはずで、なんとそれを大理石のピックで弾くという剛の者なのです。

で、演奏はフリーなインタープレイを挟みつつも、4ビートを基調としてスピード感満点に全力疾走するバンドのグルーヴが最高です。もちろん全く淀み無く刺激的なフレーズを綴っていくパット・マルティーノは、本当に神業ですし、そこに執拗に絡んでくるタイロン・ブラウンのエレキ・ベース、とロン・トーマスのエレピ、激しく切り込んでくるドラムスのシャマーン・ファーガソンが強烈です。しかもバンドとしての纏まりが、これ以上無いほどです! メンバーそれぞのパートに青春の迸りにような情熱が感じられる演奏です。

それはB面も同様で、まず「The Great Stream」もメチャ、カッコ良いテーマから高速4ビートで演じられますが、そこにはロックビートが内包され、キメのフレーズも鮮やかにアドリブに入るあたりは、いきなり興奮させられます。バンド全体としてのノリも最高ですし、こういうハードなものを聴いていると、身も心もジャズ者としての幸せを感じてしまいます。本当に山場がいたるところに現れては消えていくという名演なのでした。

そしてクライマックスが有名R&Bを取上げた「Sunny」です。当然、演奏はボサ・ロックビートで、テーマはパット・マルティーノがオクターブ奏法で素直に弾いているので和みますが、アドリブ・パートでは妥協せずにハードに弾きまくります。しかし、ここではテーマのメロディとコード進行の美味しい部分を随所に活かしてくれるので、泣きそうになるほど素敵なフレーズが連発されます。しかも3分20秒目あたりからは、メンバー全員の絶妙のサポートで、得意の高速弾きまくりからキメ技的な泣きのフレーズに繋げるので、ライブの観客も感極まって3分50秒目あたりでは拍手が♪ もちろんスピーカーの前の私も同時に感動しているのです。

このあたりは同じギタリストのグラント・グリーン風のアプローチですが、それはソウル味というよりはロック的な展開で、これは黒人と白人の違いかもしれません。ちなみに書き遅れましたが、パット・マルティーノはアラブ人とイタリア人のハーフというのが定説です。

あと、どうしてもリーダーの神業ギターばかりが印象に残ってしまう作品ではありますが、他のバンドメンバーも日本では無名ながら、なかなか素晴らしい演奏を披露しています。特に「Sunny」での大技・小技のサポートは、それだけ聴いていても楽しくなります。

ということで、このアルバムはジャズ喫茶の人気盤です。もちろんリクエストは「Sunny」が入っているB面です。そしてレコードに刻まれた観客の拍手・歓声と一緒になって、イェ~ィ! と叫び、盛上がるのが1970年代のジャズ喫茶でした。もちろん店のマスターも黙認していましたねぇ♪ 当然、アルバム自体のセールスも良かったと思います。

しかし残念ながら、現在CDは廃盤状態らしく……。ですから、ジャズ喫茶でリクエストして聴いてください。もちろんB面がオススメです。必ず熱くなりますよ、イェ~ィ! そして見つけたら、即、ゲットして下さい。けっして後悔はしない名盤です。

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あ~ぁ、驚いた!

2005-11-26 16:29:02 | Weblog

正直言って、今日は驚きました。なんと映画館が満員♪ それも邦画ですよ! 作品は「三丁目の夕日」でした。何にせよ、めでたい、めでたい♪ 無性に嬉しくなったですよ。映画館は潰したらダメです。

肝心の映画本篇も楽しめました。私の世代には、子供の頃の懐かしい風景がいっぱいです。今度はGS映画とか歌謡映画みたいな世界、作って欲しいですね。

ということで、本日もギタリスト特集、その第2弾――

Tal / Tal Farlow (Verve)

1950年代モダンジャズ期において、最高のギタリストはタル・ファーロウだと思います。

この人は白人でギターは何と独学だったらしいのですが、そのスピード感、ごまかしが無い歌心満点のアドリブ・フレーズ、そしてリズムに対する変幻自在のアプローチ等々、とにかく物凄いテクニックとジャズ魂を持っているのです。

で、このアルバムは1956年に、当時のレギュラー・バンドで吹き込んだ傑作で、メンバーはタル・ファーロウ(g)、エディ・コスタ(p)、ヴィニー・バーグ(b) というドラムレスのトリオになっていますが、当時、長期クラブ出演をメインとして活動するバンドは、この編成が普通でした。つまりこういうピアノ・トリオが恒常的に出演している店に、ワンナイトの契約でいろいろなバンドや歌手がタイバンという形で登場していたのです。当然、演奏は一晩に3~4セットはやっていたようです。したがって、この録音時にはメンバー間の息もピッタリということで、比類なき快演が残されたというわけです。

まず、冒頭は和みのスタンダード曲「Isn't It Romantic」で、ここでも定石どおりにミディアム・テンポで演奏されていますが、いきなりギターとピアノのユニゾンで流れてくるテーマが素敵な響きです。そしてアドリブ・パートに入っては、タル・ファーロウが高音域で弦をミュートさせた巧なソロを聞かせ、そのまんま中音域に移っては得意の早弾きフレーズを披露、さらにタメのあるプルース系のリックまで入れ込んで、素晴らしい展開で聴き手を圧倒してくれます。なにしろアドリブ・フレーズが皆、歌になっているという素晴らしさ! これは本当に驚異です。さりげなく入れるハーモニックスも憎い限りです。

そして続くエディ・コスタのピアノが、これも持ち味の硬質スイング全開で、ひとりフーガのパターンまで聞かせてくれます。それと聴き逃せないのがヴィニー・バークの強靭なベース・ワークで、ソロとバッキングの両方で実力者としての本領を発揮しています。

という、この演奏全体は和やかなムードで、ジャズ喫茶でも激しいレコードの次にこの盤のこの曲が鳴り出すと、店全体がホノボノとなるのでした。しかしその演奏密度は非常に高く、特にギターを演奏する皆様ならば既にお気づきのように、タル・ファーロウの弾くフレーズは物凄く難しいのです。というか、いったいこんなフレーズはどうやってフレットを押さえているのか、不思議になるはずです。実は、後で知ったのですが、この人は手がとても大きかったそうですよ、ハハハハハッ……。

そういうわけですから、続く「There Is No Greater Love」での超絶アドリブにも、ただただ、感銘して聴きいるのみです。特にテーマのフェイク、アドリブに入る直前のブレイクから続くソロパートの何気ないスピード感は最高です。もちろん弾きだされるメロディは高低音を満遍なく使っています。

そして次の「How About You」はさらにテンポアップして迫ってきますが、何の淀みも無くバリバリ引きまくるタル・ファーロウには完全に脱帽です。しかもスケール練習的なフレーズが皆無なのですから、本当に凄い! またエディ・コスタのピアノが快調ですし、ヴィニー・バーグのベースも最高です。

さらに急速調のA面ラスト「Anything Goes」ではバンドのコンビーネーションが最高調に達していて、三者三様の思惑と暗黙了解が素晴らしく、中でもタル・ファーロウの何のごまかしも無いソロは、パンクテイストまである音の歪みとハーモニックスまで聞かせる荒っぽい迫力が見事です。またエディ・コスタも得意の打楽器奏法の片鱗を出しています。

B面に入っては、まず「Yesterdays」が強烈至極! 普通、この曲はゆるやかなテンポで演奏されるのですが、ここでは激しい急速バージョンにアレンジされていますから、バンド全体の目論見は半端ではありません。なにしろ、エディ・コスタの打楽器奏法が最初のテーマの部分から表出していますし、タル・ファーロウのギターが、またしてもド迫力です。しかし、この曲ではやっぱりエディ・コスタです。低音域で炸裂する、その激しい鍵盤叩きは、ほとんど前衛ジャズのセシル・テイラー(p) 状態! ちなみにこの人は、我国の大西順子(p) にも大きな影響を与えていますし、隠れファンも多いことが、今では周知の事実になっています。

しかし一転して次の「You Don't Know What Love Is」はスローな展開で、ジンワリとしたムードが心地よく広がっていきます。ただしそれは、軟弱ではなく、あくまでも骨太の雰囲気がハードボイルドで魅力があるのです。

その硬派な部分は続く「Chuckles」のガッツ溢れる演奏に受け継がれます。ここでは全員が白人ながら、なかなかファンキーな演奏が展開され、アレンジされた部分とアドリブ・パートのコントラストも鮮やかです。

そしてフィナーレの「Broadway」は、全く隙の無いフレーズを綴るタル・ファーロウが、本当に見事です。この流れるようでいてメリハリの効いたソロは、軽く弾いているようでいて、しかし聴くほどにその恐ろしさが身に染みてまいります。凄い……!

ということで、このアルバムはアップテンポの曲が多いのですが、それでいてドラムスがいないことが全く気にならないという、驚異の出来栄えです。そのスイング感はバンド全体が良く纏まっている証であり、トリオのメンバーがお互いの音を良く聴いて演奏しているのが自然と感じ取れます。全曲が名演・快演の必聴盤♪ 例によってジャケ写からネタ元へリンクしてあります。

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トン汁よりも熱いジャズ

2005-11-25 14:38:57 | Weblog

最近、すっかりトン汁に、ハマっています。昼飯の出前の弁当屋が持ってくるんですが、車の中で加熱してあるので、アツアツで♪

まあ、給食の業界も過当競争気味らしく、いろんな業者が売り込みに来ますから、サービスも良くなってきて嬉しいかぎりです。でも、付加価値をつけるよりも値段を下げたほうが良いという気もしますね。これは贅沢かなぁ……。

ということで、本日の1枚はギター特集第1弾ということで――

Further Adventures Of Jimmy And Wes (Verve)

ジミー・スミス(org) とウェス・モンゴメリー(g) !

ともにジャズ界に留まらず、その楽器演奏者としては頂点に立つ2人の共演盤ですから、悪いわけが無いのです!

しかし、このアルバムは同じ2人の共演盤「The Daynamic Duo (Verve)」の影に隠れている印象があるのも、また事実です。何せそのアルバムは巨匠2人の丁々発止の激突を、オリバー・ネルソン指揮・編曲のオーケストラが盛り立てた豪華絢爛仕様でしたからねぇ~♪

でも、それ故に、私のような屈折気味のジャズ者は、もっとピュアな2人の共演が聴きたいという欲求不満に陥っていくのですが、それを解消してくれたのが、この作品です。

メンバーはジミー&ウェスに加えて、グラディ・テイト(ds) とレイ・バレット(per) という実力派打楽器コンビで、1曲だけ、オリバー・ネルソンのオーケストラがバックについていますが、これは前述した「The Daynamic Duo」とは逆の構成で、つまりこの2枚は兄弟関係にあるのでした。

で、まず冒頭の「King Of The Road」は、雰囲気的に仄かなゴスペル味がある穏やかな曲で、もしかするとクリスマス関連曲かもしれません。しかし演奏は熱いです! 何気なくテーマを弾くジミー、そしてフワッとアドリブに入るウェスの肩の力の抜け具合が、逆に密度の濃い展開を導き出しているのは流石です。もちろんウェスは単音弾き~オクターブ奏法~コード弾きと、得意の展開で山場を作ります。

ちなみにオクターブ奏法とはウェスが完成させた驚異のギター奏法で、その名のとおり、ギターでオクターブの2つの音を同時に弾くというスタイルです。しかも基本的にウェスはピックを使わず、親指のダウンストロークだけで弦を弾くのですから、ネックとフレットを押さえる指の腹で、不必要な音をミュートしなければならないという、非常に高度なテクニックが要求される必殺技になっています。

しかしそのソフトかつダイナミックな音の響きは最高で、現代ではギタリストの必須テクニックになっているのでした。

それに対抗するジミー・スミスも、ハモンド・オルガンの革新者として余裕の演奏というか、ツボを外さないバッキングとソロからはジワジワとした熱気が伝わってきます。

そのリラックスムードは2曲目の「Maybe September」にも引き継がれ、オリジナルはトニー・ベネットの大ヒットですが、ここでは尚一層、夜のクラブで良い雰囲気という夢の世界が描かれていきます。主役の2人は終生クラブサーキットが主な仕事でしたが、きっとこういう大人のムードの演奏が、連夜繰り広げられていたのでしょうねぇ、羨ましい限りです。特にウェスはツアー嫌いで、地元インディアナポリスでの活動が多かったらしいので、タイムマシンがあれば、そこへトリップしてみたくなる、そんな素敵な演奏です。

そしてA面ラスト「O.G.D.」は、後に「Road Song」と改題されてCTIレーベルから発売されたウェスの大ヒット曲の元ネタです。もちろんボサ・ビートで軽快に楽しくスイングしていますが、ここではCTIバージョンで付いていたストリングスが無いので、よりビートが強い、ハードな演奏になっていて、個人的には大きな演奏です。それにしても、この曲の良さ、特にサビの展開は最高ですねっ♪ ですからウェスのギターも歌心満点のノリを聴かせれば、ジミー・スミスもブリブリ・モリモリ、アドリブを積み重ねていく度に強烈な魅惑のフレーズを連発してくれます。それと聴き逃せないのが、グラディ・テイトのロック味を強めたドラムスとレイ・バレットの隙間埋めのパーカッションで、これだけ聴いていても楽しくなります♪ とにかく、快演!

その楽しさはB面1曲目の、これもボサ・ロックの「Call Me」でもたっぷり楽しめます。まず、テーマ・メロディを歌わせるウェスのギターは最高です♪ 続くジミー・スミスのアドリブも黒っぽさを押さえ、溢れる美メロのアドリブを聴かせます。しかし、ここはやはりウェスです。バッキングの刺激的なフレーズにも唸ります。あ~ぁ、もっと聴いていたいという短い演奏なのが、ミソでしょうか……。

そんな感慨に浸っているところへ襲ってくるのが、次の「Milestones」です。オリジナルはご存知マイルス・デイビス(tp) の代表曲ですが、ここではオリバー・ネルソン指揮・編曲のオーケストラを助っ人に、豪快なアドリブを披露するジミー&ウェスが強烈です。特にジミー・スミスはかなり革新的なフレーズ、コルトレーン風なアプローチを展開しています。

そしてアッという間のオーラスは多分ジミー・スミスのオリジナルという「Mellow Mood」で、タイトルどおりにジャズの成熟した魅力が溢れた演奏です。リズムパターンはラテン・ロック風ですが、アドリブ・パートはあえてジャズのノリを大切しているところがグッときます。つまり演奏者が相互に相手を挑発しながら進行するという、所謂インタープレイの妙味があるのですねぇ~♪ ここでもジミー・スミスがいろんなゴスペル曲を引用してバカノリすれば、ウェスは強烈なツッコミのバッキングで対抗していますから、本当にジャズは素敵です!

ということで、今回もジャケ写からネタ元に繋げてあります。試聴も出来るはずなのですよ。ちょっと聞きにはイマイチかもしれませんが、聴くほどに凄みが滲み出てくるアルバムだと思います。ちなみにCDはボーナストラック付いてます。

アッ、トン汁が冷めてきた……。

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物欲地獄が今日もまた……

2005-11-24 16:45:10 | Weblog

毎年、毎度の事ですが、特にこの時期になると物欲が刺激され、当然、経済的理由から精神衛生上良くない状況に陥ります。

分かりやすく言えば、発売時期を集中させて欲しくない! なんで自分の欲しいブツの発売が集中するんでしょうねぇ……。

メーカーは売れない、売れないって嘆くけれど、こっちは買えない、買えないなんですがねぇ……。

あ~ぁ、今日もまた、嘆き節になってしまって、ご容赦下さい。で、本日のBGMは――

The Other Side Of Benny Golson (Riverside)

ハードロックがあってソフトロックがあるのなら、ハードパップに対してソフトバップがあってもいいんじゃないか? と、ベニー・ゴルソン(ts) を聴く度に思います。

ゴルソンはかなりハードにモリモリと吹くタイプですが、その音色がソフトというか、芯が無いというか、そのあたりで、あまり日本のジャズ喫茶ではウケがよろしくありません。しかし作・編曲者としては一流で、例えば「Whisper Not」とか「I Remember Clifford」等々、モダンジャズの人気曲・名曲を沢山書いています。そのミソは美味しいメロディという点で、歌詞がつけられている曲さえもあるのです。

またアレンジ面では主にトロンボーンを多用した膨らみのあるハーモニーが特徴で、これは何時しかゴルソン・ハーモニーと呼ばれるウリになっているほどです。

音楽キャリアでは、ディジー・ガレスピー(tp) のオーケストラやジャズ・メッセンジャーズで活躍した後に独立し、アート・ファーマー(tp) やカーティス・フラー(tb) とジャズテットというモダンジャズ主流派のバンドを組んでいます。

で、このアルバムは一応は自己名義ですが、盟友のカーティス・フラーと組んで、お目当てのゴルソン・ハーモニーに根ざしたソフトバップをたっぷりと聞かせてくれます。その2人の以外のメンバーは、Barry Harris(p)、Jymie Merritt(b)、Philly Joe Jones(ds) という、ひたすらにハードバップなリズム隊で、当然、フロント陣とのコントラストが素晴らしいアクセントになった快演の連続です、

まず冒頭の「Strut Time」は溌剌としたテーマ、刺激的なリズム隊、そしてハードにスイングする各ソロ・プレイヤーが魅力的で、仄かなファンキー味が決め手になっています。リーダーのゴルソンはコールマン・ホーキンス系の吹奏なんですが、音色がソフトというか、人によってはスカスカに感じるという気抜け型……。それでもひたすらハードに吹こうとする姿勢はジャズそのものだと思います。

それはゴスペル風味がついた2曲目の「Jubilation」でも変わりなく、テーマのソフトな処理が、かえってファンキー味を強める結果になっています。相方のカーティス・フラーも、まるでそよ風の中で吹いているようなホンワカな持ち味が全開で、和みます。

そして3曲目の「Symptoms」は大名曲! 白状するとゴルソンの作曲かと思っていたら、実はカーティス・フラーの作品でしたが、実にゴルソン・ハーモニーにぴったりの、泣きを含んだ素敵なナンバーです。したがってアドリブ・パートでも各人がグッとくる美メロを随所に披露しています。特にバリー・ハリスのピアノは、トミー・フラナガン的なソフト感覚が表出していて、かなり珍しい展開になっていますが、曲調によって演奏者の資質までもが変わってしまうという、あぁ、これがモダンジャズの楽しいところなんです。

B面に入ると、いきなりジャズ・メッセンジャーズ時代のヒット曲「Are You Real?」の再演バージョンが痛快です。もちろん、そのミソはソフトな耳ざわりというか、ハードに演奏していながら和み感覚が膨らんでいくのでした。ちなみにゴルソンのテナーのフレーズはコルトレーンになっているのですが……。

続く「Cry A Blue Tear」はスローなブルー・バラードですが、甘さとホロ苦さのバランスが危うく保たれた演奏です。しかし、ややイヤミな部分が???です。

しかしオーラスの「This Night」は、この時期のモダンジャズでしか生まれ得なかった名曲・名演です。何となく曲調が「アマポーラ」しているのが妙に嬉しかったりするのですが、まずミディアム・テンポでホノボノとしたソロを展開するカーティス・フラーのトロンボーンが秀逸です。続くゴルソンのテナーも、そのソフトな音色を活かしたアドリブを聞かせてくれますし、リズム隊も要所を締めるタイトなサポートに終始していて、最高です。

というこのアルバムは、もちろんガイド本等では無視された1枚で、オリジナル盤も廃盤ながら、それほど高値ではなかったと思います。というか、ほとんど見た記憶も無く、私が初めて聞いたのはCD復刻された時でした。しかし、その素晴らしさは、派手さはないけれどもジンワリと染みてくる味がたまりません。

こういう地味なアルバムが日々、作られていた当時のジャズ・シーンは、やはり侮れませんねぇ~。

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久々にと思いきや

2005-11-23 17:59:40 | Weblog

久々に孤独な休日になりましたが、やることは山積みで、まずは庭の枯葉の大掃除です。赴任地で借りている家は、木立に囲まれているので、これがなかなかに凄いものが……。

で、午後からはサイトの更新作業と思いきや、ジャズが好きな若い者2人がやってきて、急遽ジャズ喫茶を開業♪ ただし仕事の話や愚痴はたれるなよっ、とクギを刺しての楽しい一時も悪くないですね。そこで私のイチオシだったのが――

The Message / J.R.Monterose (Jaro)

ジャズはいつの時代もアングラなので、その多くがインディーズでの録音・発売になっています。ですから優れた作品でもロクに流通せずに幻化していくのですが、この作品もそのひとつです。

主役のJRは伝統派でありながら、とても個性的なスタイルを持った白人のテナーサックス奏者ですが、その実力に比して録音は少なく、この作品は1959年に吹き込まれた2枚目のリーダー盤です。

ちなみに、ここまでのJRの活動では、まず1955年に頑固おやじのベース奏者、チャールズ・ミンガスのバンドに入って「直立猿人」という畢生名盤吹き込みに参加したという輝かしい実績がありますが、そのキャリアの中でミンガスと喧嘩してバンドを飛び出し、続いてケニー・ドーハム(tp) がジャズ・メッセンジャーズから独立して旗揚げしたバンドであるジャズ・プロフェッツに入りますが、これも空中分解して後は仕事に恵まれない日々を送っていたようです。

で、このアルパムは久々リーダー作品ということで、メンバーは名盤請負人のトミー・フラナガン(p)、後にコルトレーンのバンドに入るジミー・ギャリソン(b)、小型エルビン・ジョーンズのピート・ラロッカ(ds) という、所謂ジャズの醍醐味が満喫できるワン・ホーン物になっています。

それはA面ド頭の「Straight Ahead」でのタイトルに偽りなしの名演から全開で、ディープな音色のJRのテナーが、いささか不吉な雰囲気を漂わせるテーマを豪快に吹き綴り、アドリブパートもハードなノリで疾走していきます。そしてそれを煽る黒人リズム隊も快調そのもので、特にラロッカのドラムスはJRと激しく対峙していて最高です。もちろんトミー・フラナガンのピアノも繊細かつ歯切れ良いフレーズを連発しています。

そして続くスタンダード曲の「コートにすみれを」は、前曲と一転して優しさと男気に満ち溢れたJRのテナーがたっぷりというスローバラード演奏が♪ この曲はコルトレーンやズート・シムズの名演が有名ですが、このバージョンも勝るとも劣らない出来だと思います。3分に満たない演奏なのですが、それが多くは語らない本当愛情表現という雰囲気で素敵なのです。

しかし3曲目の「Green Street Scene」では、ジワジワと粘液質のフレーズを積み重ねて山場をつくるJRのハードバップ魂がじっくりと味わえますし、A面ラストのワルツ曲「Chafic」では愛らしいテーマから起伏あるアドリブ・メロディが泉のように溢れ出て安らぎます。またここではトミー・フラナガンの演奏も秀逸です。

B面に入っては、まず冒頭の「You Know That」が強靭なリズム隊の煽りを受けて複雑な構成のテーマ曲を見事なアドリブに変換していくJRの吹奏が見事です。

さらにB面2曲目にはモダンジャズの人気名曲「I Remember Clifford」が! これをJRはテナー・サックス本来の持ち味であるフススススス~というサブ・トーンを活かして、ジンワリと演奏してくれますので、もう辛抱たまらん状態になります。魅惑のテーマからアドリブでの元メロディーくずしも見事で、泣きのフレーズもイヤミなく、ストレートにその良さに浸れる演奏だと思います。

そしてオーラスは事ある度にJRが演奏しているオリジナルの「Short Bridge」です。流石十八番だけあって、スタッカートを多様したブツ切れフレーズとリズムへのノリ、一転してレガートスタイルで延々と吹きまくるパートの対比が素晴らしく、既に作ってあったと思われるストックフレーズ的なキメも鮮やかな快演になっています。

ということでJRの基本スタイルはダイナミックなノリと優しいバラード演奏が得意という、ジャズ・テナーのお手本のような人ですが、その個性は一聴瞭然、唯一無二のものがあります。しかし残念ながら、あまり世渡り上手い人ではなかったようで、アメリカではローカルな活動でしたし、1968年に渡欧してからはますますマイナーな存在になってしまいました。しかし近年、様々な発掘音源が出回り始めたのは嬉しいところです。

肝心のこのアルバムは完全なる幻の名盤として、ジャズ喫茶では店の看板にもなっていたお宝でしたが、1970年代後半にジャケット違いのアナログ復刻輸入盤が登場してバカ売れし、後に日本盤も出ています。もちろんCD化もされており、私が愛聴しているのは7年ほど前に日本のヴィーナス・レコードから発売されたものですが、それが今回、紙ジャケット盤として久々に再発されるようです。

白状すると、私はこのアルバムが大好きで、復刻される度に買っているので、紙ジャケット盤も予約している始末です。まあ、それほどに魅力がある作品だと……♪ 例によってジャケ写をクリックするとネタ元に繋がりますので、機会があれば聴いてみて下さい。ジャズの基本を大切にした1枚だと思います。

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こっちにも計画あるよ~♪

2005-11-22 16:00:47 | Weblog

こっちは連日、大忙しなのに、もう忘年会の計画を練っているやつがいます。今日はゲームの景品代をムシンされましたが、否、それはもうすでに考えてある! と言い放ちました。

それは復刻ロマンポルノのDVDを厳選して出す予定♪

ガタガタ言わせんぞ! ということで、本日の1枚は――

Tribute To Sam Jones / Michel Rosciglione (Azzurra)

ハードバップ期に大活躍した黒人ベーシストの故サム・ジョーンズに捧げられたアルバムです。もちろん縁の深いナンバーばかりが演奏されていますが、演じているのはイタリアの俊英ジャズメンで、これがなかなか楽しい仕上がりになっています。

メンバーは Massimo Farao(p)、Michel Rosciglione(b)、Boddy Durham(ds) のトリオを中心に曲によっては Martin Jacobsen(ts) と Giorgio Rosciglione(b) が加わっており、ちょっと上手い学生バンド的なノリではありますが、全員のハードバップ魂は侮れません。

特にドラムスのボビー・ダーハムはオスカー・ピーターソン・トリオのレギュラーも努めたほどの名人で、その黒人的なダイナミックなビート感覚と大技・小技をとりまぜたサポートは素晴らしいもがあります。

肝心の演目は、サム・ジョーンズがキャノンボール・アダレイのバンドで働いていた時のヒット曲「Del Sasser」「Unit 7」そして「Work Song」が嬉しいところで、中でも「Unit 7」はマッシモ・ファラオのピアノが完全にウイントン・ケリーになっていて、たまりません♪ きっとアイドルなんでしょうねぇ~。

そして「Work Song」は Michel & Giorgio によるダブル・ベース体制で演じられる重厚な出来です。一応、この盤のリーダーはベーシストのミッシェル・ロッシグリオーネなんで、見せ場なんでしょうが、基本に忠実なプレイヤーという雰囲気です。しかし、そういう部分は最近のジャズでは案外疎かにされているので、ここでは好感が持てます。

ですから、このアルバムの聴きどころは、なんといってもマッシモ・ファラオの活きの良いピアノです。とにかく、すでに述べたように、ウイントン・ケリーどっぷりのハードバップ・ピアノですから痛快です。また、それを煽るボビー・ダーハムも楽しく仕事をやっている雰囲気が伝わってきて、これも♪♪~♪

それは「Sam Sack」「Oleo」「Minority」あたりのラフな演奏でたっぷり楽しめますが、反面「Girl Talk」等のスタンダード曲での緩やかな大人のノリも捨てがたいもがあります。

ということで、まだまだ日本では無名の彼等ですが、こういう気軽な楽しさというのは万国共通です。ちなみにこのアルバムは最近入手したもので、値段も激安でした。ジャケットをクリックするとネタ元に繋がりますので、機会があればぜひどうぞ。

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ひとときの楽しみ

2005-11-21 15:07:24 | Weblog

なんか、こう、毎日、嘆き節ばっかりで申し訳ないです。しかし実際、仕事がビッシリ、次々に襲い掛かるトラブル……。これが年末まで続きそうです……。

仕入れたネタを楽しむ暇も、本サイトを更新する時間もないんですが、昼メシとかお茶の時間のひとときには楽しいBGMを心がけています。で、本日は――

The Best Instrumentals / Santana (UK Sony)

サンタナといえば、ラテン・リズムに官能のギター! まさしくそれがウリと言って、否定出来ないでしょう。その一番美味しい部分だけを抜き出して編集したのが、このアルバムです。

内容は「君に捧げるサンバ」「哀愁のヨーロッパ」という、冒頭からの2連発がクサミ満点の効果があって、それからは全15曲、泣きと哀愁、琴線に触れるメロディの連続が、サンタナだけのギターでたっぷりと味わえます。

特に「Love Is You」なんて、最初聴いたときは高中正義かと思ったほどの歌謡曲ナンバーで、最高です。また「Moonflower」は、あまりにもラテン歌謡なんで、日本のフュージョン系バンドは恥かしくて出来ないでしょう。それほど、徹底してくれるのが、サンタナの強みなんです。ちなみに「哀愁のヨーロッパ」は来日した時に歌謡曲を聞いて作ったとか!

他にも隠れ名演の「Song Of The Wind」とか、白木マリのダンスが出てきそうな「Soul Sacrifice」も楽しく、「Blues For Salvador」の荘厳な雰囲気もたまりません。

本来はサンタナのアルバムをきちんと聴かなければならなんでしょうが、私のような凡人には、良いとこどりのこんな編集盤が、日常のマストアイテムになっています。

ちなみにこのアルバムには「Vol.2」もあって、そちらにも名曲・名演が凝縮されていますが、個人的愛着度からこちらを推しておきます。

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