OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

お風呂♪

2006-01-13 15:23:26 | Weblog

さてさて、今日は久々に実家に帰る予定です。何事も起りませんように……。そして本日は約束どおり、これを――

I Get A Boot Of You / Marty Paich (Warner Brothers)

昨日の「踊り子」に続いて、本日はその姉妹盤「お風呂」です。その通称については、ジャケ写をご覧いただければ納得の1枚でしょう♪

内容に関しても「踊り子」の路線を踏襲しており、録音はそれから約半年後の1959年の6月末~7月初旬、メンバーはジャック・シェルドン(tp)、アル・ボルチーノ(tp)、コンテ・カンドリ(tp)、ボブ・エネボルゼン(v-tb)、ジョージ・ロバーツ(tb)、アート・ペッパー(as)、ビル・パーキンス(ts)、ビル・フッド(bs)、ピンス・ド・ローサ(fhr)、ビクター・フェルドマン(vib,per)、ラス・フリーマン(p)、ジョー・モンドラゴン(b)、メル・ルイス(ds) という前作の主要人物を残しつつ、勝るとも劣らない布陣です。

もちろんここでの目玉もアート・ペッパーの参加ですが、今回のマーティ・ペイチがアレンジに専念しているところも要注意かもしれません。

で、A面はデューク・エリントンが書いた永遠のジャズ・テーマ「It Don't Mean A Thing」が、もちろんウエストコースト・ジャズらしく、要所に多彩な仕掛けを施してあるものの、文字通り「スイングしなけりゃ意味ないよ」状態で、豪華絢爛に演奏されます。そのアドリブパートの先発はアート・ペッパーで、リズムの隙間を縫うような得意のリックを連発して華麗に飛翔すれば、他のメンバーも負けてはいません。しかもそのバックではシャープなホーン隊のリフとビクター・フェルドマンのバイブによる隠し味ハーモニーが浮遊するのですから、身も心もスイングさせられます。

2曲目はスローな「No More」がジャック・シェルドンのハスキーなトランペットを中心にして演奏されますが、全体のアレンジが豊かなハーモニーに彩られており、良い気持ちにさせられます。

続く「Love For Sale」はお約束のラテンリズムも交えて鮮やかに演奏されますが、アドリブパートではビクター・フェルドマンのバイブが素晴らしい! またアレンジが最高にシャープで冴えています。

4曲目は愕くなかれ、ジャズ・メッセンジャーズでお馴染みという黒人丸出しのファンキー曲「Moanin'」です! しかもこれをアート・ペッパーが熱いエモーションでアドリブするのですから、そのあまりの突っ込みの鋭さには仰天です。そしてコンテ・カンドリのトランペットも熱っぽく、またアレンジも最高にハードボイルドでカッコ良いです♪ 白人の演奏だからといって聴かず嫌いになっていると損をするバージョンだと思います。

そしていよいよ、このアルバムの目玉という「Violets For Your Furs」はアート・ペッパー畢生の名演になっています。スローな展開の中で泣き濡れていく情緒と、それを堪えて涙を隠すハードボイルドな男の心情がたっぷりと味わえるのです。思わず溜息が……、という演出はもちろん、マーティ・ペイチによる絶妙なアレンジの賜物で、この1曲だけでこのアルバムの価値があると言っても過言ではありません。

続く「What Am I Here For / Cottontail」はその余韻を残しつつ巧にアレンジされたエリントン・ナンバーで、前半ではビクター・フェルドマンのバイブが爽やかにスイングし、サックス陣が華を添えるあたりに旨味があります。そして後半はメル・ルイスの軽快なドラムスに煽られて、バンド全体が強烈にスイングしていく醍醐味が♪ ここでもまたビクター・フェルドマンが素敵ですし、猛烈にドライブするアート・ペッパーにもゾクゾクさせられます。

さらに続くエリントン・ナンバーは、まず和みの「Warm Valley」がビル・フッドのバリトンサックスをメインに、比較的オリジナルの雰囲気を壊さないよう配慮されているあたりが、逆に流石だと思います。

それは最後の「Things Ain't What They Uses To Be」でデューク・エリントンへの敬意として表されているように感じます。なにしろラス・フリーマンのピアノがエリントン色を濃くしていますし、ミディアム・テンポでスイングするリズム隊の間のとり方が、全くのそれになっています♪ このグルーヴィな雰囲気がジャズ、ですね。アート・ペッパーはもちろん快演です。

ということで、これまたアート・ペッパーのウラ名盤♪ 幸いなことに昨日ご紹介の「踊り子」とカップリングでCD再発されています。ただし残念ながら、ここに掲載した「お風呂」のジャケ写は付いていません。とりあえずネタ元にリンクしてありますが、ジャズ喫茶でリクエストして現物ジャケットに接するのが、一番かもしれません。

コメント
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