OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ワイルド・チェリーのファンキーな唇

2009-05-31 10:59:53 | Soul

プレイ・ザット・ファンキー・ミュージック / Wild Cherry (Epic / CBSソニー)

1970年代の遊び場のひとつに、ディスコがありました。

まあ、これは今でもそうなんでしょうけど、特に例の「サタディ・ナイト・フィーバー」が大当たりした前後は、老いも若きもフィーバーしまくっていましたですね。

ただしサイケおやじは、そうした場所は正直、好きではありませんでしたから、つきあい程度で、決して自発的に行くことはなかったのですが、しかしディスコで流行っている曲には、思わずカッコイイ~~♪ とシビレてしまうことが度々でした。

本日ご紹介の曲もそのひとつで、昭和51(1976)年秋頃には大ヒットしていましたが、ジャケットにも印刷されているように、アメリカでのチャートの首位も必然と認めざるをえません。

そのヘヴィでタイトなビート、粘っこいグルーヴとキメのリフの潔さ、抑揚のないメインのメロディを下世話に歌っていくボーカルとコーラスの合わせ技には、自然に身体がノセられてしまいます。う~ん、ファン~キ~~~♪

しかし演じているワイルド・チェリーというバンドは、なんとオール白人のおっちゃんバンドだったらしいですよ。そしてこの曲のヒットにより、メンバーチェンジや仲間揉めが頻発したらしく、それほど後が続かなかったのは、如何にも芸能界どっぷりの事情があったようです。

このあたりは、例えば南部ソウルのスタックス全盛期のスタジオミュージシャンが白人主体だったとか、あるいは黒人経営と信じられていたモータウンにも白人スタッフが多数参入していたとか、なかなか一筋縄ではいかない事実のひとつでしょう。

ただ、素敵な曲と演奏の前には、そうした裏話は関係ないわけですが……。

そしてサイケおやじが、もうひとつこの曲に思い入れがあるのは、このエロキューションなジャケット♪♪~♪

実はこのシングル盤を買ったのは、同年11月に封切られた日活ロマンポルノ「色情妻・肉の誘惑(西村昭五郎監督)」を観た帰り道だったんですが、その作品に出演していた渡辺とく子という、唇が最高に色っぽい女優さんの名演がダブルイメージだったというわけです。

ちなみに彼女は翌月封切りの「夕顔夫人(藤井克彦監督)」でも、最高の演技で谷ナオミと対峙していますよ♪♪~♪

ということで、本日は如何にもサイケおやじの本性剥き出しの1枚ということで、お開きと致します。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

癒しのローズ・ガーデン

2009-05-30 09:56:03 | Pops

ローズ・ガーデン / Lynn Anderson (Columbia / CBSソニー)

ちょっと前から連日、バカ役人の相手で疲れきった週末です。

物分かりが悪いくせに露骨な接待の謎掛け、さらに文句が多くて頭が下がらないという、最低の奴なんですが、こんな者に諂っている自分が尚更に情けないですよ……。

全く上の腐れを下のバカが支えているという、我が国の構造的な問題点を痛感しました。

そこで今朝は、スカッと爽やかに明るい、1971年春のヒットポップス♪♪~♪

今となっては南沙織のデビューヒット曲「17才」の元ネタとして、あまりにも有名になっていますが、リアルタイムでのヒット性感度は抜群でした。ラジオのヒットパレードでのチャート独占は言わずもがな、テレビの歌謡番組でも我が国のポップス系女性歌手によってカパーされることが度々でしたし、前述の南沙織がデビュー前に各局のオーディションやリハーサルで歌っていたという伝説も残されています。

肝心の主役、リン・アンダーソンはアメリカの北ダコダ州生まれの白人美女で、両親もプロにミュージシャンという音楽一家で育ちました。この曲を出した当時は23歳だったようですが、レコード裏ジャケットにある解説では、「典型的なヤンキー娘で、トップ・マーク号という愛馬にムチをあて、ジャガーの車を乗り、ホンダのオードバイをあやつる」というスーパーレディと紹介されています。

う~ん、そんな感じもしますねぇ~♪

もちろん音楽的な実力は大したもので、当時の女性カントリー系の歌手では3本の指に入る人気があったそうですし、パンチがあって爽やかな胸キュン度数の高いボーカルは、この名曲「ローズ・ガーデン / Rose Grden」を歌うにはピッタリでした。

そして日本男児の弱点のひとつである、素晴らしい「金髪」も良い感じ♪♪~♪

ちなみに曲を書いたのは、あの、ジョー・サウス! 本来は土の香りが得意な南部系のソングライターが、こんな軽いポップなメロディを作っていたのですから、やはりこれはミラクルヒットが当然なんでしょうか!?

そんなこんなをひっくるめ、本日もまたこれから、バカ野郎の相手をしに出かけてきます。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ダサ~いジャケットのペッパー名演集

2009-05-29 09:42:35 | Jazz

Omega Alpha / Art Pepper (Omega / Blue Note)

今日は久々に朝から頭の中にジャズが鳴りだして、目が覚めました。

う~ん、このメロディは、なんだっけ……?

と思う間もなく体は自然にレコード棚の前に来ていて、そこで取り出したのが、このダサ~いジャケットのアート・ペッパーです。

内容は全盛期アート・ペッパーが残したワンホーン演奏の金字塔で、リアルタイムではオメガという録音機器の会社がオープンリールだけで発売したという、ある時期までは「幻」の名演集でしたが、確かレコード盤化されたのは1970年代に入ってからでしょうか? 我が国ではテイチクレコードから2枚のLPとしてベストセラーになりました。

もちろん私は、そのテイチク盤はしっかりとコレクトしていたのですが、1987年のある日、某中古屋のエサ箱漁りをやっていたサイケおやじの背後で流れていたのが、そのオメガセッションのアート・ペッパーでした。

ところがその最中、突如として流れてきたのが、今朝、私の頭の中で鳴っていた「Summertime」です。これには最初??? 次いで仰天! そして深~い感銘♪♪~♪

歓喜悶絶を必死で押さえ、店のカウンターで確かめてみると、確かにそれはアート・ペッパーの演奏で、しかも情けないジャケットという本日ご紹介のアルバムでした。

いゃ~、恥ずかしながら、オメガセッションにこんな未発表演奏があるなんて、この時まで知らなかったのがサイケおやじの、ジャケットに劣らない情けなさです……。

このアルバムはブルーノートが1970年代後半からスタートさせていた発掘企画のひとつとして、通称「LTシリーズ」の中の1枚ですが、ご覧のようにセンスを疑いたくなるようなジャケットデザインが徹底的にモダンジャズを否定しているようで、その評判は極めて良くありません。

しかし中身はトロトロに極上のレアテイクがテンコ盛りという意地悪なものですから、ここに私が知らなかった名演が隠されていたとしても、苦しい言い訳には決してならない……、と自分に言い聞かせてながら、その場でゲットして来た思い出があります。ちなみに値段は千円台でした。

録音は1957年4月1日、メンバーはアート・ペッパー(as)、カール・パーキンス(p)、ベン・タッカー(b)、チャック・フローレンス(ds) という今では夢のカルテット♪♪~♪

A-1 Sufe Ride
 自作自演でアート・ペッパーが十八番にしている熱いブルースですから、ここでもアップテンポの快演が披露されます。その激情的な表現と並立する絶妙の憂いが、まさにペッパー流儀のぶる~す、なんでしょうねぇ~♪
 もちろん浮遊感溢れる独特のタイム感覚も全盛期の証だと思います。
 バンドが一丸となって突進する勢いも素晴らしく、ゴツゴツしたタッチでファンキーな匙加減も味わい深いカール・パーキンスのピアノも嬉しいところです。

A-2 Body And Soul
 あまりにも有名なスタンダード曲のメロディがアート・ペッパーならではの叙情性でフェイクされていく、これぞジャズの楽しみの決定版がここにあります。そう断言して憚らないのがサイケおやじの決意表明!
 実際、じっくり構えて力強いリズム隊を従えたアート・ペッパーの即興魔術が冴えわたり、思わずのけぞってしまう閃きフレーズ、秀麗なメロディの膨らませ方は天才的でしょう。
 カール・パーキンスのピアノ、ベン・タッカーのペースのアドリブにも、ハッとするほどの意気込みが感じられますよ。

A-3 Too Close For Confort
 これも和み優先のメロディが仄かにせつない名曲スタンダードですが、それをさらに魅力的なものにしていくのが、アート・ペッパーの素晴らしさ! その泣きのフレーズを多用したアドリブ展開は、ミディアムテンポのグルーヴとジャストミートの潔さで、ファンキーなカール・パーキンスのピアノとの相性もバッチリです。
 しぶといベースとドラムスの見せ場も後半に用意され、モダンジャズの楽しさが徹底期に追求された名演だと思います。

A-4 Summertime
 さて、これが私を驚愕させた問題の演奏です。
 曲はジョージ・ガーシュインが書いたお馴染みのメロディですが、前述したテイチクから発売の2枚のLPには入っていなかった演奏ですし、実際に聴いてみれば、アート・ペッパーならではの憂いに満ちた表現が全篇で滲み出た仕上がりなんですから、ちょっと眩暈がするほどです。
 スローで重心の低いテンポ設定と思わせぶりを多用しながら、実は相当に尖鋭的な表現も含んだアート・ペッパーのメロディフェイク♪♪~♪ さらに泣きながらの激情的なスパイラルフレーズによるキメ! そして何よりも真摯なジャズ魂がナチュラルに発散されているのを痛切に感じてしまいます。
 それはカール・パーキンス以下のリズム隊にも同様にあって、まさに一期一会というか、こんなセッションが日常的に行われていたとしても、全く羨ましい奇蹟の時代だったと思います。

B-1 Fascinatin' Rhythm
 これもガーシュンの曲ですが、その溌剌とした明るいメロディをアップテンポの中で独特の翳りを滲ませて表現するアート・ペッパーが十八番のスタイルは、実に素晴らしい限り♪♪~♪ やはりこれも天才の成せるワザだと思います。
 正直、演奏そのものは、些か纏まりに欠けているような気も致しますが、バンドメンバー全員が閃き優先主義を貫いているのは流石じゃないでしょうか。

B-2 Begin The Beguine
 さてさて、これまたアート・ペッパーが生涯の名演のひとつと、サイケおやじが断言して憚らないトラックです。
 曲はお馴染みのラテン物ですから、アート・ペッパーにとっては薬籠中のものとはいえ、導入部のラテンビートグルーヴから一転しての4ビートスイングの心地良さ! その中を自在に浮遊しつつも、キメのメロディフェイクは決して外さないアドリブの妙技、翳りと愁いと官能美のコントラストも鮮やかに泣きじゃくるアート・ペッパーの魅力が、見事に凝縮されていると思います。
 ハードエッジに迫ってくるリズム隊も強力で、グイノリファンキーの味わいを隠さないカール・パーキンス、強いアフタービートまで叩いてしまうチャック・フローレンス、そしてブンブンブンのベン・タッカー!
 極めて自然体のジャズグルーヴとメロディの魔法が見事に融合した完成度は、些かラフな全体のムードに支えられているように感じますが、それがジャズなのかもしれません。

B-3 Webb City
 オーラスはパド・パウエルが書いたビバップど真ん中の名曲名演なんですが、それにしても初っ端からの団子状の録音が大迫力!? このリズム隊の強靭さは、ちょっと同時代では珍しい雰囲気だと思います。
 それゆえにアート・ペッパーも何時も以上に覇気のあるアドリブ意欲が空回り……。いやいや、そこから熱血の展開に持って行く唯我独尊が存分に楽しめます。

ということで、収録された演奏は何れもが素晴らしく、まさにアート・ペッパーの存在意義を強く感じるのですが、前述した日本盤LP2枚には計11曲が収められていたことを鑑みれば、物足りないのも事実です。

このあたりはアメリカ本国でのオメガセッションの復刻状況が、イマイチ明確に分かりませんので断言ば出来ませんが、それにしてもこんな素晴らしい演奏が、こんな中途半端な形でしか公表されないのは、現実の厳しさでしょうか。

オメガセッションの全貌については、今日でも完全に纏められてはいないようですが、時折小出しにされる未発表演奏や別テイクの存在からして、またまだ「お宝」が埋蔵されている可能性もあると信じています。

それはここに収められた演奏だけの判断でも、その録音の状態がバラバラで、モノラルミックスもあれば、微妙なステレオ感のあるテイク、あるいは不揃いな録音バランスの混在……、等々が謎を深めているわけですが!?

ただし、このアルバムに関しては、前述した「Summertime」の収録ゆえに高得点というか、少なくともサイケおやじを感動させたわけですから、それは決して無知の涙とばかりは言えません。

あぁ、もっとアート・ペッパーが聴きたくなってきました!

このセッションを纏めたCDも出ているようですから、買ってみようかなぁ~♪

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ロギンス&メッシーナの愛すべき魅力

2009-05-28 11:51:41 | Loggins & Messina

愛する人 / Loggins & Messina (Coulmbia / CBSソニー)

1970年代前半、サイモンとガーファンクルの不在を癒してくれたボーカルデュオのひとつが、ロギンス&メッシーナでした。

この2人は1972年に正式なデビューを果たしたわけですが、まずジム・メッシーナはニール・ヤングやスティーヴン・スティルス、そしてリッチー・フューレイがやっていた今では伝説の名バンドになったバッファロー・スプリングフィールドの末期メンバーであり、それ以前は十代の頃からエレキインストバンドでささやかな成功を収めていた、知る人ぞ知るの存在でした。そして皆様もご存じのように、前述のバッファロー・スプリングフィールド解散の後には、リッチー・フューレイと元祖カントリーロックの最高バンドだったポコを結成し、アメリカでは大きな人気を集めています。乾いた音色のギタープレイも良い感じ♪♪~♪

一方、ケニー・ロギンスは優れたソングライターとして1960年代末頃から業界では注目の存在であり、例えばニッティ・グリッティ・ダート・バンドで1971年にヒットした「プー横丁の家」等々の代表作を持っていましたし、自身も歌やギターでデモテープ作りや様々なセッションのアルバイトをやっていたのが、デビュー前の活動でした。

で、この2人がケニー・ロギンスのデビュー盤制作で邂逅し、本来はプロデューサーの立場だったジム・メッシーナが現場復帰というか、ついにはロギンス&メッシーナとして発売されたのが「シッティン・イン (Coulmbia)」という好アルバム♪♪~♪

これは我が国でもリアルタイムの1972年に発売され、音楽マスコミでは忽ち絶賛されましたが、実はサイケおやじは当然ながらアルバムは買えず、どうにか国営FMラジオ放送からエアチェックしたテープを聴いていたわけですが、正直、ピンっとくるものがありませんでした。

なにしろ当時はストーンズがライブ全盛期の勢いで作った傑作盤「メインストリートのならず者」、スティーヴィー・ワンダーの「心の詩」、ディープ・パープルの「マシンヘッド」、クリームの「ライブ Vol.2」等々に加え、ポール・サイモン、ニール・ヤング、アメリカ、マナサスあたりの名盤が毎月のように出ていたのですからっ! 今となっては凄い時代でしたが、それゆえにロギンス&メッシーナは地味な存在として当たり前だったのです。

しかし翌年になって事態は好転というか、当時としては例外的にシンプルでスカっとしたR&Rの「ママはダンスを踊らない」がシングルヒット♪♪~♪ さらには2作目のアルバム「ロギンス&メッシーナ (Coulmbia)」が再び業界からの高評価によって、いよいよ我が国でもブレイクしたというわけです。

そして本日ご紹介のシングル曲、原題「Thinking Of You」が追い撃ちの大ヒット♪♪~♪

しかも前述したアルバム「ロギンス&メッシーナ」に収録のテイクとは、完全に異なるシングルバージョン!

まずドラムスのイントロから始まっていたアルバムテイクとは決定的に違う、最高にカッコ良いエレキギターのリズムカッティングに、グッと惹きつけられます。またアルバムテイクではブラシ主体だったドラムスが、ここではスティックで8ビートを強調したノリの良さ♪♪~♪ さらにアルバムバージョンではジム・メッシーナのソロだったメインのボーカルを、ケニー・ロギンスとのユニゾンといって過言ではない、まさに歌の楽しさを強調したものに変えた事も結果オーライでした。

楽曲全体に漂うホンワカムードを演出するジム・メッシーナのボリューム奏法による絶妙のギター、間奏でのバイオリンというか、カントリーフィドルの浮遊する楽しさ、そしてハートウォームな曲メロの素晴らしさ♪♪~♪

ケニー・ロギンスのコーラスワークは言わずもがな、驚くべきは演奏全体のリズム的な濃密度を高めているのが、クラヴィネットの大胆な使用でしょう。

このクラヴィネットは、同時期に大ヒットしていたスティーヴィー・ワンダーの「迷信」によって一躍広められたキーボードシンセのひとつですが、基本はカントリー系ソフトロックの西海岸的な味わいが強い「愛する人」の演奏に、こんな斬新ファンクなイメージの楽器を使ってしまうセンスには、今更ながらに驚かされます。

そういう先進的な試みは、実はロギンス&メッシーナの本質というか、この曲のヒットに釣られて後追いで聴いた前述のアルバム「ロギンス&メッシーナ」のA面ド頭には、当時のメジャーな白人バンドには珍しいほどソウル&ファンキーな「Good Friend」という、まさにトンデモ系の歌と演奏が入っていたのですから、二度吃驚でした。

そして彼等の作り出す音楽を聴くにつれ、そうしたファンキーでジャジー、ある意味ではプログレっぽい部分とハートウォームな歌と楽曲の魅力が相乗効果となり、ますます私の心をとらえていくのですが、それは後のお話です。

その意味で、昭和48(1973)年の春から初夏にかけて大ヒットしていた「愛する人」は、決して忘れられない曲になりました。

ちなみにジャケット右下に入れられた「JEANS MUSIC」というロゴが、今となっては微笑ましいですよね。

当時はイーグルスがブレイクする前でもあり、所謂「ウエストコーストロック」なんて言葉はあったかもしれませんが、その実態は極めて曖昧でしたから、こうしたシンプルでありながら都会的なイメージも併せ持ったハートウォームなロックを、各社が次のトレンドとして積極的に売っていた歴史的な証として、それを味わっていただきたいところです。

あぁ、それにしても「愛する人」っていう曲は、リアルタイムでも甘くて親しみやすい魅力に溢れていましたが、それは今でも不滅だと思いますねぇ。

ズバリ、良い曲♪♪~♪

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

青春の旅路を行くガーファンクル

2009-05-27 10:50:56 | Simon & Garfunkel

青春の旅路 / Arthur Garfunkel (Coulmbia / CBSソニー)

1970年代初頭からのシンガーソングライターのブームは、つまり自作自演での心情吐露や内省的な歌の表現がメインでしたから、曲を書けないミュージシャンは些か分が悪い時代でした。

それでも楽器奏者、例えばジェフ・ペックのように卓越したギターの腕前があれば、それを逆手にとった活動も注目を集めることが出来たのに対し、ボーカリストの場合はマイナス要因ばかりが……。

しかし、それに敢然と答えを出してくれたのが、アート・ガーファンクルでした。

ご存じのように、この人はポール・サイモンと組んだサイモン&ガーファンクルで大人気を獲得したスーパースタアにして、天才的なボーカリストですが、そのS&Gが1969年に超名作アルバム「明日に架ける橋 (Coulmbia)」を出して以降の活動休止からは、前述したシンガーソングライターのブームを察してか、映画出演ばかりが優先されていました。

もちろん俳優としても個性的なキャラクターは輝いていたわけですが、相方のポール・サイモンがS&G時代から引き続いて作る歌の魅力で発表する単独アルバムが、なかなかの評判を得ていた事実があるだけに、残念至極……。

当然ながらポール・サイモンのソロ作品を聴くほどに、アート・ガーファンクルの不在が強く惜しまれていたのは言わずもがなでしょう。

そして、ついに溜飲が下がったのが、1973年に発表された、アート・ガーファンクルの単独初リーダーアルバム「天使の歌声 / Angel Clare (Coulmbia)」でした。これは一説によると、制作に3年の月日をかけたと言われるとおりの、まさに珠玉のボーカルアルバムで、アート・ガーファンクルが自作の歌はひとつもありませんが、逆に選びぬかれた名曲が素晴らしい歌唱力で表現された、ある意味での「芸術」がぎっしり♪♪~♪

ですから収録曲の中からは「友に捧げる讃歌 / All I Know」が忽ちの大ヒットになっています。

そして本日ご紹介のシングル曲は原題「Traveling Boy」として、やはり同アルバムのA面ド頭に入っていた、実にドラマチックな名曲にして名唱♪♪~♪ 曲を書いたのはソフトロックの王道コンビとして評価も高いポール・ウィリアムスとロジャー・ニコルスですから、その楽曲の素晴らしさは聞かずとも納得される皆様が大勢いらっしゃると思います。

しかも、このシングル盤に収録されたのは、アルバムでは5分あったテイクを3分38秒に編集し、さらにボーカルを強調したニューミックスによる、所謂シングルバージョン! しかも、どうやら日本だけの特別仕様らしいのですから、たまりません。

実際、せつせつとして劇的に歌いあげていくアート・ガーファンクルのボーカルは絶品で、一度聞いたら完全に虜になること、うけあいです。

ちなみに前述したアルバム「天使の歌声」は、プロデュースがアート・ガーファンクル本人とS&Gでお馴染みのロイ・ハリーということで、完全に「明日に架ける橋」のサウンドを引き継いでいますし、バックの演奏でセッションに参加したのは、ラリー・カールトン(g)、ルイス・シェルトン(g)、ポール・サイモン(g)、ラリー・ネクテル(p,key)、ジョー・オズボーン(b)、ハル・ブレイン(ds)、ジム・ゴードン(ds)、ミルト・ホランド(per) 等々、超一流の豪華な面々♪♪~♪

個人的には1970年代最高のポップスアルバムのひとつだと、強く思っています。

そして聴く度に、アート・ガーファンクルは本当に歌が上手いなぁ~、と感動してしまいますねぇ~♪ それが、この特別にリミックスされたシングルバージョンでは、尚更に楽しめます。

如何にも当時というか、Have A Nice Day なジャケットデザインにも懐かしさがこみあげてくるようで、愛着があるのでした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エルトンの歌は僕の歌

2009-05-26 09:48:15 | Singer Song Writer

僕の歌は君の歌 / Elton John (DJM / 東芝)

エルトン・ジョンって、今では奇抜なファッションとか、例のカミングアウトの衝撃とか、あるいは故ダイアナ妃への追悼歌のあれこれとか、そんなイメージが先立ってしまう皆様も大勢いらっしゃるでしょう。

しかしサイケおやじの世代にとっては、優れた作曲家であり、またポップス王道のロックスタアとして、とりとめのない活動の中にも忘れられない人だと思います。

本日ご紹介は、初めての大ヒットとなったエルトン・ジョンの代表曲をA面にしたシングル盤ですが、ジャケットに写るエルトン・ジョンの内省的なイメージと歌が見事に一致した優れもの♪♪~♪

シンプルな原題「Your Song」を幾分大袈裟に作った邦題もニクイばかりですが、これも昭和46(1971)年頃の我が国の雰囲気にはジャストミートで、初春から秋にかけてのロングヒットは、そのおかげかもしれません。

さて、エルトン・ジョンと言えば、当時はシンガーソングライターのひとりとして、そのブームの最中にデビューした印象も強いのですが、実は下積みの長い苦労人であり、現場主義のピアノの上手さから多くのスタジオセッションやライブステージでは縁の下の力持ちをやっていたのが、十代からの活動でした。

また同時に作曲家としての道も歩んでいたのは言わずもがな、自らも様々な場所で歌っていたわけですが、本名のレジナルド・ドゥワイトからエルトン・ジョンの芸名を使うようになったのは1967年頃で、きっかけとなったのが、作詞家のバーニー・トーピンと組んでからだと言われています。

そして2人は多くの名曲を生み出すのですが、この「僕の歌は君の歌」は特に素晴らしいと思います。

その内容は、歌しか書けない詩人、つまりイギリスでは貧乏人の代名詞という男が、お金も才能も無いから、愛する君のために歌を作って贈りますという、まさに愚直な心情吐露!

まあ、このあたりは、例えば叶姉妹なんかには笑われてしまうに違いないんですが、そこにエルトン・ジョンが珠玉のメロディをつけてしまえば、永遠のラブソングになるのです。

クラシック調のピアノ、それを活かしきったストリングの抑えた響き、さらにウッドベースの存在感の強さ♪♪~♪ また隙間をさりげなく埋めていく生ギターの使い方には、微妙にボサノバっぽい味わいもありますし、途中から入ってくる力強いドラムスを得てからの盛り上げ方も秀逸の極みだと感銘しますが、このアレンジを担当したのが、ポール・バックマスターという才人で、この人もエルトン・ジョンの大成功には必要不可欠でした。

そして、もちろん素晴らしいのがエルトン・ジョンの表現力豊かな歌唱でしょう。まさに自作自演の強みというか、心をこめて語りかける節回しの絶妙なフェイクはコーラス毎に味わい深く、今ではあまりにも有名になった曲メロが何時までも飽きないのは、エルトン・ジョンのボーカリストとしての実力の証だと思います。

今となっては、こんな歌は青春時代にしか通用しないわけですが、リアルタイムの十代だった私には世間の事も女の気持ちも、何ひとつ分かっていなかった頃でしたから、この歌が深夜放送のラジオから流れてくると、なんだか心がホノボノとして、さらにせつない気分になったものです。

それは今でも、ちょっぴり甘酸っぱい感傷として、サイケおやじの心の片隅に残されているもので、確かに今朝、「僕の歌は君の歌」を聴いていると、結局は今になっても世間の事や女の気持ちなんか、全然分かっていない自分に気がついて、思わず自嘲してしまうわけですが……。

ということで、名曲は何時聴いても、やっぱり良いというが、本日の結論です。

ちなみにB面に収録された「パイロットにつれていって / Take Me To The Pilt」はゴスペルロックの隠れ名曲として、これも私は大好き♪♪~♪ ただし歌詞の内容は宗教的でもあり、ニューハーブっぽくもあるようで、私には全くの理解不能なんですが、後年のエルトン・ジョンを思えば、妙に納得してしまうような……。いやはやなんとも、です。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

港で夢みるメリー・ホプキン

2009-05-25 10:22:41 | Pops

夢みる港 / Mary Hopkin (Apple / 東芝)

メリー・ホプキンはビートルズのアップルレーベルからデビューした歌姫♪♪~♪

その清涼な歌声、清楚なイメージ、可憐な容姿で歌われる楽曲の素晴らしさを忘れられない皆様は、きっと大勢いらっしゃると思います。もちろんサイケおやじも、そのひとりですよ。

まずは1968年、18歳でのデビュー曲「悲しき天使 / Those Were The Days」の世界的な大ヒットから始まり、続く2枚目のシングル曲「グッバイ / Goodbye」までが、ポール・マッカトニーのプロデュースというのも、凄い話題になっていました。

もちろんメリー・ホプキンの歌の実力は素晴らしく、ウェールズで生まれ育った彼女は15歳の時から既に地元ではセミプロとして活動しており、テレビのタレントスカウト番組に出演して優勝したことから、ポール・マッカートニーに見出されたというのが略歴です。

こうして忽ち人気歌手となったメリー・ホプキンも、本音は芸能界の体質に馴染めなかったと言われ、実際、ほどなくポール・マッカートニーとの仕事関係は打ち切りとなりますが、その真相には当時のアップルレコードやビートルズの内部事情に関するゴタゴタ、さらに生臭い人間関係があったのは、ここではあえて書きませんが、言わずもがなでしょう。

そうした中の1970年初頭に発売されたのが、本日ご紹介の爽やかな名曲で、アップルからは通算3枚目のシングル盤♪♪~♪ 英米はもちろん、我が国でも春から初夏にかけて大ヒットしていますが、特筆すべきはプロデューサーがミッキー・モストに替っていることです。

ご存じのように、この人は1950年代末から自身も歌手として活動しながら泣かず飛ばす……。それがブリティッシュビートの勃興期にアニマルズやハーマンズ・ハーミッツ等々の制作を手掛けて注目され、ロックの歴史の中では、あのヤードバーズやジェフ・ベックの元祖ハードロックを作り上げた立役者ですから、メリー・ホプキンとの相性には???

まあ、こうした内部事情について、サイケおやじが知るのは、リアルタイムで聴いていた頃から数年を経た後なんですが、それゆえに尚更、この爽やかなポップソングの価値は絶大! ミッキー・モストという名プロデューサーの手腕の確かさも、再認識しています。

また、これも後に知ったことですが、実はメリー・ホプキンにはこの曲の前に完成していたセッションが既にあり、それが日米ではこのシングル盤の後に発売される「ケ・セラ・セラ」です。この有名なドリス・デイのヒット曲のカバーは、もちろんポール・マッカートニーのプロデュースによるもので、ポール自らがベースとギターを弾き、リンゴ・スターまでもがドラムスで参加! さらに原曲には無いメロディパートも付加したという傑作バージョンなんですが、メリー・ホプキン本人には最悪の仕上がりだったとか……。

ちなみに録音されたのは1969年8月ですから、あの「アビイロード」セッションの最中だったというのも、味わい深いところでしょう。

そんなこんなから、リアルタイムではフランスだけでひっそりと発売され、そして「夢みる港」の大ヒットを受けて急遽、日米でも聴けるようになったのです。

しかし、同じくポール・マッカートニーが曲作りにまで深く関わった「グッパイ」や、その「ケ・セラ・セラ」と、この「夢みる港」は決定的に雰囲気が違います。それはパーカッションを多用したラテン風味の強い、とても色彩豊かなアレンジと清楚な彼女の歌声が最高に上手く融合していることでしょう。

デビュー曲の「悲しき天使」や続く「グッバイ」に色濃くあった哀愁というか、ちょっぴりネクラなムードが、ここでは華やかな演奏とメロディ展開の中で、心地良い胸キュンフィーリングへと進化しているのです。

躍動的なエレキベースと爽やかなアコースティックギター、そして些か吃驚させられるようなストリングで作られたイントロのウキウキ感! さらに素敵なメリー・ホプキンのロリータボイスが冴えわたり、サビから効果的に使われるラテンパーカッションの心地良さも絶品です♪♪~♪ ゴキゲンな曲メロは言わずもがな、特に Sunshine~ Sunshine ~♪ のリフレインがいっしょに歌える楽しさは最高ですねぇ~♪

そしてこの路線は同じくミッキー・モストがプロデュースしたシングル曲「幸せの扉 / Knock Knock Who's There」へと受け継がれるのですが、個人的には、それは行きすぎ……。

ですから、この「夢みる港 / Temma Harbour」が尚更に愛おしいというわけです。

ちなみに当然というか、メリー・ホプキン自身にとっても、やはりポップ路線は居心地が悪かったらしく、仄かにゴスペル調の入った隠れ名曲「未来の子供たちのために / Tink About Your Children」を出した後には、ミッキー・モストとも決別しています。

また同時期には大阪万博コンサートのために来日し、我が国での人気絶頂時を彩りましたが、1972年にはアップルとの契約も更新することなく、鬼才アレンジャーのトニー・ヴィスコンティと結婚! そして第一線のポップフィールドからは引退しています。

ということで、今でも私は聴けば胸キュンの1曲♪♪~♪

その裏側にある諸々の事情を知っても、尚更にそんなドロドロしたものを霧散させてしまう彼女の歌声は、本当に素敵です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クラプトンのぶる~すなドキュメント

2009-05-24 10:18:50 | Rock

Eric Clapton & His Rolling Hotel Special “J” Edition (Idrl Mind = DVD)

エリック・クラプトンの全盛期に作られながら、結局は一般公開もされず、「幻」となっていたドキュメント映画「Eric & His Rolling Hotel」の復刻DVD最新版を、金曜日にゲットしてきました。

もちろんプートですが、「Special“J”Edition」のサブタイトルに偽り無しの日本語字幕付き♪♪~♪ 作品の性質からして、これは嬉しいところです。

内容は1978年秋の欧州巡業の日々、もちろん演奏シーンも楽しめますが、特筆すべきはツアーの移動や日常生活に特別借り切りの列車を使っていたことから、エリック・クラプトンやバンドの面々、友人やスタッフ達のリラックスした様子が上手く纏められていて興味深々♪♪~♪

そしてこの復刻DVDは、そこに細かくチャプターが付けられていますし、画質もこれまでで最高でしょう。

 01 IMP Slate
 02 Smile ★
 03 Opening Title - Layla
 04 The Rolling Hotel
 05 Lay Down Sally
 06 Backstage
 07 Layla ★
 08 Patti And Eric
 09 Tulsa Time ★
 10 The Guys In The Band
 11 When Did You Leave Heaven ★
 12 Tour Management
 13 Roadies
 14 Loving You Is Sweeter Than Ever ★
 15 Got My Mojo Working / Muddu Waters ★
 16 Mannish Boy / Muddu Waters ★
 17 Eric's Dicisions
 18 Badge ★
 19 Song Writing
 20 Wonderful Tonight ★
 21 I Owe My Life To E.C.
 22 The Wrong Bloke
 23 Further On Up The Road
 24 Th Make Somebody Happy ★
 25 Robert Johnson & Jimi Hendrix
 26 Double Trouble ★
 27 Backstage
 28 Cocaine ★
 29 Nine Months Out Of This Year
 30 Further On Up The Road ★
 31 Got Something To Do
 32 Ending - Lay Down Sally

まず冒頭、移動中の列車内で「Smile」を素で歌うクラプトンが憎めません。既に述べたように、この作品はドキュメントですから、全てが歌や演奏の場面ではありませんが、それゆえにこうした軽い部分やリハーサル、曲作りや弾き語りを披露してくれる「エリック・クラプトン」という神格化されたミュージシャンの自然体が最高に輝いています。

一応、実際の演奏や歌のパートには★印をつけておきましたが、映像のBGM部分にも公式テイクと異なるバージョンがあるようですから、それも要注意でしょう。

で、その中ではビッグ・ビル・ブールンジーでお馴染みのブルース歌謡曲「When Did You Leave Heaven」の弾き語りが、もう感涙してしまうほどに、せつない名演! クラプトンの枯れた歌の節回し、アコギの何気無い上手さ♪♪~♪ ここを見るだけで、このフィルムの価値があると断言しても、決して後悔は致しません!

またフォートップスのヒット曲をカバーした「Loving You Is Sweeter Than Ever」はリハーサルでの映像で、これはこの巡業中に正式な演目に加えられ、後に未発表ライブテイクを纏めた4枚組CDセット「Live In The Seventies (Polydor)」でも聴けますが、それまでの経緯が楽しめるというわけです。

ちなみに当時のバンドはエリック・クラプトン(vo,g) 以下、ディック・シムズ(p,key)、カール・レイドル(b)、ジェイミー・オールデイカー(ds,per) という4人組のため、ギターパートは全てクラプトンが担当するというシンプルさが、逆に緊張感満点!

ただし当時のバンドは1974年以来のレギュラーということで、慣れ合いや倦怠、マンネリ気味だったことも事実ですし、その中には酒とギャンブル、セックスとドラッグが万延していたのも事実でした。当然ながら、クラプトンも……。

そのあたりは流石にこの作品の中では触れられていませんが、それにしても悪いクスリにどっぷりと浸かっていたクラプトンが「Cocaine」の熱演を聞かせてしまうのは皮肉です。まあ、個人的にはクリーム時代の「Sunshing Of Your Love」の二番煎じみたいなアレンジが好きなれませんが、ライブの現場では強烈至極なギターソロが格別ですし、観客の熱狂も当然だと思います。

そして気になるのは、やはりパティ・ボイドが登場していることでしょう。

彼女はご存じ、クラプトンの大親友だったジョージ・ハリスンの元妻で、まだ人妻だったパティに横恋慕したクラプトンが、史上最高の不倫ソング「Layla / いとしのレイラ」を書いたのは有名な話ですよね。

その甲斐あって、パティはクラプトンの気持ちを受け入れるのですが、やはりジョージへの罪悪感は打ち消せず、2人は決別……。それからしばらくの間、クラブトンは酒と悪いクスリに溺れた隠遁生活を送ったのは皆様がご存じのとおりです。そして1973年にどうにか再起するにあたっての裏話も含めて、ここでは「Patti And Eric」のパート、そして作品全体の随所でそれが語られていきます。もちろんパティの美しき熟女の存在は強烈! いゃ~、クラブトンが惑わされるのも無理からん……。

もちろん当時の2人は内縁関係でしたし、その日常生活の中から生まれた人気曲「Wonderful Tonight」の大サービスも「お約束」でしょうね。当然ながら曲が作られた有名なエピソードもクラプトン自身が語っています。

そして2人は翌年に結婚するのですが、既にこの頃から酒と悪いクスリで体がポロポロになっていたクラプトン、また同じく酒に耽溺していたパティ……。結局、クラプトンは病気でダウンしての療養生活に入り、再び再起するのですが、パティは酒を捨てられず、2人は破局を迎えることを知っていれば、尚更にこのドキュメントは痛切です。

まさに自然体でブルースを演じていたエリック・クラプトン!

その意味でも、この巡業で前座を務めてくれたブルースの巨匠たるマディ・ウォーターズの熱演が2曲も楽しめるのは最高です。しかも激ヤバの歌詞を意訳した日本語字幕がありますので、これはお茶の間じゃ気まずいかもしれませんよ。

ということで、とにかく素晴らしいドキュメント作品だと思います。

既に述べたように、当時のクラプトンは人気盤「Slowhand (Polydor)」の大成功、そして新作アルバム「Backless (Polydor)」を出した直後の絶頂期とあって、その音楽的な充実度は言わずもがな、爛熟して退廃した70年代ロックの王道を邁進していたのです。

それはマンネリの心地良さでもあり、当然の煮詰まりでもあったのでしょう。このツアーが終了して間もなく、バンドメンバー全員に解雇が言い渡され、その失意からでしょうか、カール・レイドルは悪いクスリと酒に溺れ、1980年に亡くなっています。

そうした諸々を知り得た今になって接するこの作品の味わいは、本当に深いところ……。日本語字幕という仕様もありがたく、これは実にじっくりと楽しめるブツでした。

そしてクライマックスでの「Further On Up The Road」は、ジョージ・ハリスンとエルトン・ジョンが飛び入りした痛快なブルース大会で、これも貴重なプレゼントになっています♪♪~♪

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ビリー・プレストンのライブ盤、驚愕の再発CD

2009-05-23 12:40:17 | Soul

Billy Preston Live European Tour 拡張版 (A & M / ユニバーサル = CD)

CD時代になっての再発には驚くべき発掘も多いのですが、このブツにもド肝を抜かれました!

内容はビートルズやストーンズのサポートメンバーとして一躍有名になったビリー・プレストンが1974年に発売したライブアルバムで、その内容は1973年に敢行されたストーンズの欧州巡業から、その前座公演を収めたものです。

メンバーはビリー・プレストン(key,vo) 以下、Huby Heard(key)、Kenny Lupper(key)、Manuel Kellough(ds)、という当時としては画期的な3キーボードのレギュラーバンドに、ストーンズのメンバーだったミック・テイラー(g) が加わっての熱演が楽しめます。

そしてこのアルバムは当然ながら日本盤がリアルタイムで発売され、ニューソウルのファンはもちろんのこと、ストーンズファンにも要注意だったんですが、この復刻CDには「US Version」と「UK Version」のふたつが収録されており、サイケおやじには???

結論から言うと、なんと「US Version」は当時は未発表!?

そして実際に聴いてみると、「US Version」と「UK Version」は完全に異なる演奏と言って過言ではないのです。

ちなみにサイケおやじがリアルタイムで入手して聴いていたのは日本プレスの「UK Version」でありましたから、そのあまりの違いに震えが止まらないほどでした。しかも、それに気がついたのが、昨夜の出来事なんですから、冷や汗もびっしょりでしたよ。

★US Version
 01 Day Tripper
 02 The Bus
 03 Let It Be
 04 Will It Go Round In Circles
 05 Let's Go Get Stoned
 06 Space Race
 07 Amazing Grace
 08 That's The Way God Planned It / 神の掟
 09 Outa-Space

★UK Version
 10 Day Tripper
 11 The Bus
 12 Let It Be
 13 Let's Go Get Stoned
 14 Billy's Bag
 15 Will It Go Round In Circles
 16 Outa-Space
 17 Higher
 18 Get Back

では、何故にこうした事情になったのかは、このCDの付属解説書を読んで納得というか、どうやらリアルタイムではアメリカ盤が出なかったらしく……。それが日本での再発にあたり、本国レーベルから送られてきたマスターが、その幻となっていた「US Version」だったと解説されているのですが、確かに私自身も、問題のアメリカ盤は現物を確認しておりません。

肝心の中身はビリー・プレストンが十八番のキーボードファンクを軸に、この人だけに許されるビートルズナンバーのタフな改変が、なによりも注目でしょう。もちろん英米両パージョンの違いも楽しいところ♪♪~♪

まず「Day Tripper」ではガンガンに迫ってくる三層構造のキーボードグルーヴをメインにしながらも、アメリカバージョンでは随所に得意のリックを弾きまくるミック・テイラーの潔さ! ハードなドラムスの存在感にもロックとソウルの融合が顕著です。しかしこれがイギリスバージョンでは、些かメリハリの無いミックスで、演奏そのものも違っています。

また説明不要の「Let It Be」では、ビリー・プレストン持ち前のナチュラルなゴスペルフィーリングが心地良く、また例の屋上セッションの夢をブッ飛ばすかのようなハードロックファンクに仕立てられた「Get Back」にも、ある意味で溜飲が下がります。もちろんミック・テイラーのギターは燃え上がっていますよ♪♪~♪

このあたりの痛快さは、ビリー・プレストンのオリジナル曲でも遺憾無く発揮され、ファンキーオルガンが炸裂する「The Bus」、自身の大ヒット曲「Will It Go Round In Circles」、そして極みつきのファンキーインスト「Outa-Space」を聴いていると、ストーンズのサポートメンバーでありながら、母屋を乗っ取る寸前にまで強烈な存在感を示してしまった1975~1976年のツアーを予感させますねぇ~♪

実際、ここでの「Outa-Space」は、英米両バージョンとも、激ヤバにカッコイイですよ! ミック・テイラーも自分が率先して楽しんでいる感じが憎めません。スライでお馴染みの「Higher」へと流れていく仕掛けも最高です。

一方、シブイというか、ビリー・プレントンが下積み時代からバックバンドの一員を務めていたレイ・チャールズのヒット曲をカバーした「Let's Go Get Stoned」が、ハートウォームな好演♪♪~♪ ちなみにこれは、ほんのちょいしか歌われなかったイギリスバージョンよりは、きちんとワンコーラスを聞かせてくれるアメリカバージョンがお勧めです。

さらにアメリカバージョンだけに入っている「Amazing Grace」が、これまた説明不要のディープゴスペル! ビリー・プレストンのハモンドオルガンをメインにしたインストながら、この敬虔なファンキームードの良さは絶品ですよ♪♪~♪

そして続く「That's The Way God Planned It / 神の掟」はアップルからのアルバムに入っていた、私の大好きなゴスペルロックの大名曲ですから、このパートがあればこそ、アメリカバージョンに接した喜びは最高潮! もう、なにもいらない! 本当にそう思わされるのがサイケおやじの本性です。

ということで、付属解説書によれば、アメリカバージョンの発掘は既に2002年、公となっていたそうです。しかし私は完全にノーマークでした。そして昨夜、なんとなくCD屋の店頭に並んでいた紙ジャケ仕様のこのブツを発見! 驚愕感動の嵐だったというわけです。

どうやら英米両バージョンが纏めて収録されたのは、これが初めて!?

つまりは聴き比べも楽しいわけですし、何よりもビリー・プレストンの実力とライブの素晴らしさには圧倒されると思います。もちろんミック・テイラーのギターも痛快至極ですよ。

あぁ、再発CDは本当に侮れません!

どうやら限定盤らしいので、気になる皆様は早めにゲットしましょうね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マッコイに救いを求める

2009-05-22 12:13:45 | Jazz

Inception / McCoy Tyner (Impules!)

自分の目下の悩みはジャズモードに戻れない事ですが、まあ、毎日の生活や人生の中では、それも小さい……。

とはいえ、本日は意を決して、このアルバムを取り出してきました。

マッコイ・タイナーの初リーダー盤!

録音は1962年1月10日、メンバーはマッコイ・タイナー(p)、アート・デイビス(b)、エルビン・ジョーンズ(ds) という、コルトレーンのバンドレギュラーだった面々! つまりボス抜きセッションの雰囲気も強い趣旨には強く賛同してしまいます。

A-1 Imception
 いきなりアップテンポでブッ飛ばすアルバムタイトル曲は、もちろんマッコイ・タイナー自作のブルース♪♪~♪ 仄かなマイナー調が後年に顕著となる、如何にもマッコイ・タイナーらしい黒い情念を予感させます。
 そしてド頭からのパド・パウエル調が、今となっては意外かもしません。しかしセッション当時はそれが王道でしょう。さらにアドリブパートに入ってからのマッコイ流モード節にグッ惹きつけられるのは、ジョン・コルトレーンが神様になっていた時期にジャズを本格的に聴き始めたサイケおやじの世代には共通する「パブロフの犬」じゃないでしょうか。
 あぁ、この音符過多の垂れ流し寸前のスケール弾き、それでいて「お約束」の構成力、それを煽るエルビン・ジョーンズのポリリズムドラミングの素晴らしさ! そして底辺をがっちり支えるアート・デイビスの野太いベース!
 やっぱりジャズって、良いです♪♪~♪
 ついついボリュームを上げてしまいますっ!

A-2 There Is No Greater Love
 一転してお馴染みのメロディが心地良いスタンダード曲の演奏は、テーマ部分のピアノとベースの絡みとか、なかなか緻密なアレンジが効いています。
 そして軽快という、マッコイ・タイナーのイメージには似つかわしくない形容のアドリブパートが実に楽しく、それはシャープでヘヴィなエルビン・ジョーンズのブラシに後押しされ、何時までも聴いていたいモダンジャズ天国♪♪~♪ まさに「マッコイ節」が大サービスされます。
 またアート・デイビスの繊細にして豪胆なペースワークは、アドリブも本当に見事ですし、クライマックスでのエルビン・ジョーンズのドラムソロも、憎たらしいほどにキマッています。

A-3 Blues For Gwen
 これもアップテンポのブルースですが、こちらは相当に明るい雰囲気というか、例によってモードに浸りこんだ「マッコイ節」が全篇に網羅されていきますから、ドラムスとベースの存在からして、今にもジョン・コルトレーンの激情サックスが入ってきそうな予感が嬉しいところ♪♪~♪
 それは私のような者には避けられない幻覚かもしれません。
 しかしマッコイ・タイナーは決して露払いの立場ではなく、ここでは堂々のリーダーとして最後まで矜持を保っていると感じます。
 
B-1 Sunset
 B面に入っては、これもマッコイ・タイナーのオリジナルですが、ドラマチックなイントロから優しさが滲むテーマメロディの展開は、ちょっとスタンダード曲を改作したかのようなムードが結果オーライ♪♪~♪
 ゆるやかな黒っぽさが、そこはかとなく漂うメロディフェイクは、実は相当に濃密で、ビル・エバンスやウイントン・ケリーとは完全に異なるマッコイ・タイナーが独自の個性だと思います。そしてジョン・コルトレーンの名盤「バラード」での堅実なサポートも、これが出来ればこその証なのでしょうね。

B-2 Effendi
 これまた如何にも「らしい」、マッコイ・モードが全開の熱演!
 このスケールの響き、ふたつのモードを使ったアドリブ展開の分かり易さ♪♪~♪
 エルビン・ジョーンズの蛸足ドラミングに頑固一徹なアート・デイビスのペースも強いですから、気分は完全にジャズ喫茶黄金時代! ブロックコード弾きを多用して山場を作るマッコイ・タイナーに呼応して、ヤケッパチ気味のドラムソロに突入していくエルビン・ジョーンズという、それこそが熱いわけですが、そこからすぅぅ~っとフェードアウトしていく演奏のラスト部分の余韻も快感♪♪~♪
 流石のプロデュースだと思います。

B-3 Speak Low
 そしてオーラスも、これまた楽しいスタンダード曲の名演で、なんと言ってもテーマ部分でラテンビートを敲きまくるエルビン・ジョーンズが最高です。そして熱い4ビートのシンバルワークもっ! 自然にドラムスばっかりに耳がいってしまうですよ。
 しかしマッコイ・タイナーも負けじと奮闘! 動き過ぎる指先から弾き出されるフレーズのイキの良さは最高ですし、アート・デイビスのベースもアドリブパートの派手なケレンと健実なサポートのバランスが秀逸で、好感が持てます。

ということで、本日は苦し紛れのチョイスとなりました。

つまり個人的な「パブロフの犬」の力を借りなければ、もう、ジャズモードへの復帰は叶わないという危機感があるのですねぇ……。

まあ、別に無理せずに、ここは毎日を好きな音楽ばかり聴いていれば、おのずと道は開けるんでしょうが、そこは地獄の一丁目というか……。

実は告白すると、サイケおやじは数年前の一時期、ヘアヌードの巨乳グラビアとか見ると、なんか胸がいっぱいになって吐き気まで覚えていました。それも今は解消されていて、かえって好きなぐらいですが、なんかジャズに対しても、そういう時期なのかもしれません。

長い目で、今後ともよろしくお願い致します。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする