今日は何気にペット売場をのぞいて見ました。可愛い猫や犬がいるので、和みます。
しかし、いつも次の瞬間に、こいつら売れ残ったらどうなるんだろう……。ペットのバーゲンとか聞いた事、無いしなぁ……。大きくなったペットを売っていないしなぁ……。
なんて、結論が必然的に暗~くなってしまう事が、心をよぎります。
よく見ると、売られているペット達も、こころなしか必死に媚を売っているような……。
あ~ぁ、現実は悲しいなぁ……。なんか太宰治モードに入りそうなんで、本日の1枚は明るく楽しい、これっ!
■Bottoms Up / The Three Sounds (Blue Note)
スリー・サウンズはジーン・ハリスのピアノを中心に聴くのが正解か? なんて愚問をいつも自問自答するほど、楽しく纏まったトリオです。それはアンドリュー・シンプキンス(b) とビル・ドゥディ(ds) の2人が、目立たないながら、いつも良い仕事をしているからです。
このアルバムは彼等がブルーノートと契約してのセカンド・アルバムで、録音は1959年の2月11日、とにかく軽く、楽しく、聴きやすくという主義主張が徹底された仕上がりです。
まずA面1曲目の「Besame Mucho」からして、ラテン・ロックのリズムが、ここぞで4ビートに転化するという、全くこちらがそうなって欲しいと思うとおりの演奏です。ソウルフルにアドリブするジーン・ハリスのピアノは言わずもがな、変幻自在のリズムを叩き出すビル・ドゥディのドラムスが素晴らしいです。
2曲目もお馴染みの人気スタンダード「Angel Eyes」ですが、これは真夜中のムードを下世話な感覚で処理したところが、上手いというほかはありません。アドリブ・パートで頻繁に出るウキウキするようなフレーズは、ミスマッチの極みです。
3曲目は個人的に大きなスタンダードの「Time After Time」が、これも下世話なラテン・リズムで処理されていて、琴線にふれてきます。極限するとレッド・ガーランド(p) がさらに下卑た感じではありますが、ジーン・ハリスのピアノは何故か憎めないものがありますね♪
そしてA面の最後が派手なノリを披露する「Love Walked In」です。それにしてもテーマ終りのブレイクで炸裂するジーン・ハリスの高速ファンキー節が最高! もちろん続くアドリブ・パートも大見得の連続です。ドラムスとピアノのコンビネーションをがっちり支えるのアンドリュー・シンプキンスの落ち着いたベース・ランニングも流石です。
そういう楽しさはB面で、尚一層、顕著になります。まず「I Could Write A Book」では、このトリオがお得意のリズム・パターン進行が延々とあり、満を持して楽しいテーマ・メロディが奏でられる瞬間が、たまりません♪ そしてミディアム・テンポで軽快にスイングしていくジーン・ハリスのピアノは、もちろんファンキーです。ブロック・コード弾きによる盛り上げというお約束も、きちんと守られています♪
続く「Jinne Lou」はジーン・ハリスのオリジナルで、作者がピアノとセレスタの二刀流を使い分けて楽しく聞かせてくれます。このセレスタという楽器はバイブの音がする鍵盤楽器と思って下さい。こういう二重奏は、なかなか味がありますが、それはもちろん、ブルースという隠し味が利いているのでした。
さらに「Nothing Ever Changes My Love For You」は躍動的なラテン・リズムが、やがて哀愁を滲ませるトリオの演奏にピッタリのアレンジで、当にスリー・サウンズでなければ表現出来ない境地だと思います。
そしてオーラスの「Falling In Love With Love」は再びのバカノリ大会♪ トリオが一丸となってアップテンポで突進していく様は痛快ですし、それが行き過ぎて、だんだん演奏そのものが早くなっていくというあたりが、最高に憎ません! これがジャズなんですねぇ♪
ということで、この黒人ピアノトリオはやっぱり楽しいです。その秘密は黒っぽくファンキーな中にも洗練された白人っぽさがあることで、これはナイトクラブでの下積みがあってのことかもしれません。ただしそれは純ジャズとして軽蔑すべきものでは無く、むしろそれこそが、モダンジャズが本当に人気があった時代の要請であり、現在では失われてしまった素晴らしい部分だと思います。