OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

朝からイテテ……

2007-03-31 17:25:12 | Weblog

昨日で、どうやら私の仕事も一定の成果を残せたと思うのですが、これで「鬼」とか「情が無い」と言われたら、立つ瀬がありません。

あんた達の思惑どうりの仕事をしたはずですぜっ!

確かに、今の職場に出向してからは、非情な事もやりましたよ。

でも、なぁ~。

なんて事を思いつつ、朝風呂に入ろうとしたらスベったはずみにバスタブの渕にアバラ骨あたりを強打して!

本当に息も出来ないほどの状態で浴槽の中に沈みました。

まあ、お湯が少なかったので、そこまででしたけど、これも天罰か……?

で、どうにかシップして、痛み止め呑んで活動してますが、各所に出向いても痛みで……。

それにしても最近目立ってきた脂肪の付き具合があったので、これで済んだようにも思います。ヘタすりゃ、肋骨骨折で肺にキズがつき、そのまんま浴槽で血を吐いて窒息死……。という事態もあったかもしれません。

自分の悪運の強さというか、憎まれエネルギーのおかげで、今、こうしてキーボードをたたけるわけです。

ということで、本日の1枚はお休みさせてください。

明日からは4月♪ 気合を入れなおしていきます。

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アルおじさんのグルーヴ

2007-03-30 16:13:49 | Weblog

実質的な年度末ということで、なんか忙しない1日が過ぎています。

去り良く人、新しく挨拶に来る人……、来客多数で気持ちも引き締まりました。

ということで、やはり本来のジャズモードに立ち返り――
 
This Is Uncle Al / Jesper Thilo (Music Mecca)

全くイケてないジャケットに写っている黒人が「アルおじさん」こと、Alvin Queen という黒人ドラマーなんですが、リーダーの Jesper Thilo は白人のテナーサックス奏者です。

この人は欧州を中心に活動していて、そのスタイルはモダンスイングというか、中間派ハードバップというか、とにかく王道の歌心と楽しいドライブ感が素敵♪

このアルバムはそんな魅力が存分に楽しめるワンホーン盤で、録音は2001年9月29&30日、メンバーは Jesper Thilo(ts)、Olivier Antunes(p)、Jesper Lundgaarrd(b)、Alvin Queen(ds) というガチンコな面々が揃っています――

01 Some Of These Days
 いきなり古くて楽しいスタンダード曲が、思いっきり居直ったように演じられますから、たまりません♪
 まずリズム隊が強力で、特に若手の Olivier Antunes が遠慮会釈の無い激烈なアドリブを聞かせれば、背後からはベテランのベース&ドラムスがビシバシと襲い掛かってきます。
 すると Jesper Thilo が温故知新のテナーサックスで、存分に自己主張! 滑らかでモリモリと吹きまくる、これが王道ジャズの底力でしょうか! ところがリズム隊が超モダンなんですから、烈しく楽しい黄金期の全日本プロレスのような演奏になっています。

02 We Will Be Together
 これがまた、王道路線を邁進するミディアムテンポのバラード演奏です。
 Jesper Thilo は泣きのフレーズと低音域を上手く使った雰囲気奏法で押し通す、それなりの貫禄を聞かせてくれますが、ここでも Olivier Antunes が新しい感覚を披露していますので、なかなか新鮮な雰囲気です。
 もちろんドラムス&ベースもピアノとグルになっていますからねぇ~。なんかリーダーが浮きそうで……。
 つまり、そこが良いんです♪

03 Frelimo
 これは楽しいジャズサンパ♪
 Jesper Thilo は軽めの音色で楽しくノリまくりなんですが、リズム隊が本性剥きだしのガチンコぶりなんで、油断出来ません。歌心優先のリーダーに負けじとビート感優先で弾ける Olivier Antunes のビアノが痛快!
 もちろん Alvin Queen もパワー派の面目躍如というか、決して潔いとは言えないドラムソロが逆に泥臭くて、好感が持てます。

04 Dardanella
 ゲッ、これは1970年代モード?
 と思った次の瞬間、Jesper Thilo はこれ以上無いほどの和み感覚でテナーサックスを鳴らしてくれます。サビの展開でグイノリになる仕掛けがニクイところ♪ 本当に自信満々という吹奏が新しい感覚のリズム隊を圧倒しているのでした。
 
05 Indiana
 するとこれが、リズム隊の逆襲というか、お馴染みの名曲を勢い満点にスイングさせた快演になっています。
 しかも原曲がビバップ誕生の経緯を秘めたコード進行なので、ここでの思いっきりの良いバンド演奏は痛快そのもの! Jesper Thilo が烈しくブローすれば、リズム隊が阿吽の呼吸で煽りまくりです♪
 もちろん Olivier Antunes のビアノは若手らしい斬新なアイディアに満ちていますし、Alvin Queen も負けじと大車輪ドラムソロ! この人はケニー・ドリューのバックとかで有名ですが、こんな爆裂演奏が一番合っているように思います。
 最後にはタネ明かしのビバップテーマが出ますよっ♪

06 If I Could Be With You
 これはシブイ! ベッシー・スミスが歌っていた片思いのラブソングですからねぇ~♪ 個人的にも大好きな名曲です。
 それを Jesper Thilo は、最初からベースとの2人芝居♪ 続けてドラムスとピアノが入ってからは、少しずつ熱い心情吐露に移ります。変幻自在のリズム隊も素晴らしいですねぇ~♪ 
 Olivier Antunes のビアノは、もちろん最高ですが、ツボを押えた Jesper Lundgaarrd のベースがソロに伴奏に、素晴らしいかぎりだと思います。
 また中盤で飛び足すボーカルは誰でしょう? 完全に味の世界で、ホロリとさせられます。そしてラストテーマを抜群の解釈で聞かせてくれる Jesper Thilo のソフトな歌心にも感涙するのでした。
  
07 Day Dream
 お馴染みデューク・エリントン楽団の十八番ですから、迂闊な解釈は出来ない有名曲を、Jesper Thilo は情緒満点に熱く吹いています。ゆるやかなリズム隊も良いなぁ~~~♪ と再認識のスローグルーヴがたっぷりです。
 一般にこういう吹奏は、テナーサックスだと低音サプトーンを期待してしまうのですが、Jesper Thilo は中高域を主体に別種のムードを醸し出しているんですねぇ~♪
 また Olivier Antunes がエバンス派の本性を現す瞬間も楽しめますし、Jesper Lundgaarrd のベースが野太く雄弁なソロを展開して存在を示すのでした。

08 Bohemia After Dark
 こんな人気ハードバップ曲を臆面も無くやってしまうこのバンドは、どうなっているかと言えば、Jesper Lundgaarrd を中心としたリズム隊のテーマ演奏が心地良く、特に Alvin Queen のブラシが気持ち良過ぎます♪
 そのまま続くアドリブパートも最高にグルーヴィで、Jesper Lundgaarrd がもう最高です! 野太く歌うベースの王道!
 そして Olivier Antunes が、これまた良い! ファンキーな歌心と新主流派っぽいノリが絶妙のブレンドになっています。もちろん背後で煽る Alvin Queen のゴスペル調のドラムスも突進力満点! あぁ、何時まもでも聴いていたいです。
 肝心の Jesper Thilo はちょっと古臭いフレーズとノリを意図的に使ったような温故知新のハードバップに撤していて、リズム隊のミスマッチが強烈な印象を残しています。
 
09 Turn around
 ゲッ、オーラスはオーネット・コールマンが書いたブルースの隠れ名曲じゃ!?
 このマイナーなんだかメジャーなんだか、ちょっと不思議なテーマを、このバンドは極めて真っ当なハードバップで演奏してくれますからねぇ~♪
 そのグルーヴの源は、粘っこいミディアムのビートを敲き出している Alvin Queen でしょうか、ハッとするほど素晴らしいです!
 そして Jesper Thilo も、そのあたりは百も承知のモリモリ吹奏で、暑苦しいばかりのフレーズ連発に撤しています。また Olivier Antunes もグッとくるグルーヴィピアノを披露♪ なんて最高なんだっ! 思わず叫びそうになりますよ♪

ということで、ジャケットの内輪ウケとは裏腹に内容は秀逸! 熱くてグルーヴィなリズム隊と温故知新のテナーサックスが徹頭徹尾、ジャズの楽しさを追求した演奏ばかりです。

そして個人的には若手白人ピアニストの Olivier Antunes を見つけた喜びに浸っています。この人の出自や履歴は知らないのですが、とにかくこの名前があれば、その作品は迷わずゲットする所存です。

ちなみにこのアルバムのジャケットはデジパック仕様の4面見開きという豪華盤なんですが、中身に掲載の写真がこれまた???という勿体無さ……。ただしリーダーの Jesper Thilo は、テナーサックスが小さく見えるほどの大柄な白人おやじということが確認出来ます。

う~ん、やっぱりなぁ、とここでの吹奏に納得しきりです。

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ホロ苦い歌謡曲

2007-03-29 17:34:22 | Weblog

例によって、ちょっとジャズモードに入らなくなりました。

こういう時期は昭和歌謡曲というのが、私の定番ですので――

荒木一郎 Golden★Best (ウルトラヴァイヴ)

俳優であり、優れたシンガーソングライターの草分けでもあり、また手品師、芸能プロデューサーとしても活動した荒木一郎は、昭和の芸能界では決して忘れられることのない天才です。

女優・荒木道子の長男として生まれ、まず俳優として頭角を現した後、昭和40年頃からはシンガーソングライターとして脚光を浴び、当時「空に星があるように」「いとしのマックス」「今夜は踊ろう」という3大ヒット曲を出しています。

しかし少しずつ俳優業に専念するようになり、独特のカッコ良さはハードボイルド&オトボケの絶妙なブレンドでした。

さらに昭和50年代に入ると、アルバム中心の音楽活動に加えて、他の歌手のプロデュースや楽曲提供で冴えた仕事をしています。

さて、このアルバムは「ベスト盤」ですが、選曲が特別に素晴らしく、前述した3大ヒット曲はリメイクバージョンという凝り様です。演目は――

01 ジャニスを聴きながら
02 懐かしのキャシィ・ブラウン
03 君に捧げるほろ苦いブルース
04 りんどばーぐスペシャル
05 12月
06 明日から
07 ミスター・ロビンソン
08 空に星があるように
09 紅の渚
10 いとしのマックス
11 今夜は踊ろう
12 あなたといるだけで
13 妖精の詩
14 あなたのいない夜
15 都会午前四時
16 MIOのテーマ
17 THE WAY OF THE CROSS(十字架の道)
18 要通りの踊子
19 朝は暗いままで
20 荒木一郎の恋歌
21 美しい涙のためのバラード
22 今日にさよなら

なんと言っても、初っ端の「ジャニスを聴きながら」が最高に素敵です。一応、あおい輝彦のオリジナルヒットになっていますが、作者本人のバージョンはシャラララ、シュワシュワの女性コーラスが気絶するほどキュートで爽やか! 荒木一郎の鼻歌唱法とバッチリの相性が素敵です♪ いゃ~、何度聴いても、たまりませんよ♪ これが昭和です。

また荒木一郎流儀のR&B歌謡「りんどばーぐスペシャル」も、泣きのメロディとブルースな歌詞が、中年男には胸キュンでしょう♪ ちなみに今、この曲をバンドで練習中!

同様にクールファイブ調のコーラスが泣かせる「荒木一郎の恋歌」も、グッときます。

気になる3大ヒット曲のリメイクでは「今夜は踊ろう」のファンキーロック風味が温故知新の味です。これもバンドでやりたいなぁ~♪ 脱力しきった荒木一郎のボーカルも実に良いです。

また「君に捧げるほろ苦いブルース」や「要通りの踊子」の懐古趣味歌謡曲やフォーク調の「あなたのいない夜」も魅力満点♪

あぁ、昭和歌謡の裏ベスト盤という感じですよっ!

とにかく捨て曲無しの充実度です。私は車に常備して、日々、泣いていますよ。

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同時代を生きる喜び

2007-03-28 17:56:25 | Weblog

昭和を代表する偉大な植木等が天国へ召されてしまいました。

なんか悲しいというよりは、植木等と同時代に生きられたことに感謝する気持ちです。

同じことはストーンズにも言えるわけで、今でも現役で頑張っているには脱帽ながら、やはり全盛期のライブを体験しそこなった悔しさが……。

そこで本日は――

Ladies And Gentlemen (Definitive Master Edition) / The Rolling Stones (4 Reel)

ストーズがライブ最強時代に企画制作した映画「レディース&ジェントルメン」は、配給元とのトラブルがあってオクラ入りした世界遺産ですが、もちろん海賊盤の世界では定番の中の大定番!

ビデオ時代から幾多のブツが出回っていますが、ついにというか、今のところ最も充実した内容なのが、本日の1枚です。

内容は1972年の北米巡業中のステージを完全映像化したフィルムを元に、劇場公開用のワイドスクリーン仕様、そしてテレビ放送用のフルスクリーン仕様の2つを収録したDVDならではの大盤振る舞い♪

しかもボーナス映像として、未発表映像や当時のストーンズを伝えるドキュメント映像までも収録されています。

また気になる音声部分は、これもいろいろな海賊盤CDとして出回っていた音源を綺麗に同期させていますから、鑑賞していてストレスがありません。従来のブツは、このあたりがズレたり、合っていない部分が散見されていましたからねぇ。

で、演目は以下のとおりです――

01 Brown Sugar (1972年6月25日、1st Show)
02 Bitch (1972年6月24日、2nd Show)
03 Gimme Shelter (1972年6月24日、1st Show)
04 Dead Flowers (1972年6月24日、1st Show)
05 Happy (1972年6月24日、1st Show)
06 Tumbling Dice (1972年6月25日、1st Show)
07 Love In Vain (1972年6月25日、1st Show)
08 Sweet Virginia (1972年6月24日、1st Show)
09 You Can't Always Get What You Want (1972年6月25日、1st Show)
10 All Down The Line (1972年6月25日、2nd Show)
11 Midnight Rumbler (1972年6月25日、2nd Show)
12 Bye Bye Johnny (1972年6月25日、1st Show)
13 Rip This Joint (1972年6月24日、2nd Show)
14 Jumping Jack Flash (1972年6月25日、1st Show)
15 Street Fighting Man (1972年6月25日、2nd Show)

とにかく若かったメンバーの姿も眩しく、当時27歳だったミック・ジャガーのツイスト&シャウト! レスポールで流麗に弾きまくるミック・テイラーの妙技♪ タイトかつワイルドなチャーリー・ワッツの寸止めドラミングにきっちりあわせてくるビル・ワイマンのイナタイノリ! そしてオーブンチューニングの5弦ギターでリズムとリフをキメまくるキース・リチャーズのカッコ良さ♪

もう失禁寸前の素晴らしさ! まさに一家に1枚という絶対の推薦盤です。

海賊盤という性質上、声を大には出来ないものの、ストーンズを体験するなら、まずこれからです。てっ、結局言ってしまった……♪

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今日は倦怠

2007-03-27 18:05:13 | Weblog

いろいろあって、倦怠した1日でした。

こういう日には、自然体で聞ける、このアルバムを――

Tiny Caper / Jon Hazilla (Double-Time)

リーダーについては、私は知らない人なんですが、ピアノトリオで演目が良いので、買ってしまったCDです。しかも中古バーゲンの叩き売り! 3枚1000円位でしたね、3年ほど前ですが……。

で、リーダーの Jon Hazilla は白人ドラマーです。

録音は2000年11月30日、メンバーはブルース・バース(p)、ジョン・ロックウッド(b)、そして Jon Hazilla(ds) となっています。そして気になる演目は――

01 Vernell
02 Hello Young Lovers
03 Tiny Caper
04 Spindo
05 Tivolli
06 Fractals
07 Paper Moon
08 Footprints
09 Misty Night / Lights Are Low

という、なかなかシブイ選曲です♪

特に有名スタンダードの「Hello Young Lovers」や「Paper Moon」には気を惹かれるところで、恥ずかしながら私は、いきなりCDの選曲ボタンを合わせてしまったほどです。

すると前者はボサノバアレンジで爽やかに、後者はメリハリの効いた4ビートで、全くの正統派に演奏されていましたから、まずは一安心♪ Jon Hazilla のドラムスもシャープなライト感覚で好ましいかぎりですし、ブルース・バースも歌心優先の中にも新主流派っぽいニュアンスを織り交ぜて聞かせてくれます。

またアルバムタイトルになった「Tiny Caper」は、ご存知、クリフォード・ブラウン(tp) が書いた西海岸的な名曲ですから、ここでも穏やかな解釈で和みます。

しかし、Jon Hazilla のオリジナルという「Vernell」「Spindo」「Fractals」の3曲では、けっこう硬派なアプローチが展開され、ブルース・バースが十八番の1970年代風ジャズピアノの真髄が楽しめます。それはモードとハードバップをセロニアス・モンクで味付けしたような好ましい演奏なんです♪

まあ、些かジャズ喫茶的な表現になりましたけれど、これが本当に往年のジャズ喫茶モードなんですねぇ~~~♪ ジョン・ロックウッドのベースにも落ち着きと重さがありますし、Jon Hazilla も大ハッスルしていますが、必要以上の力みが無いので好感が持てます。

またその意味で、ウェイン・ショーター(ts) が書いた有名モード曲「Footprints」が秀逸な解釈になっています。トリオの3者が、かなりバラバラをやりながら進行する演奏なんですが、暗黙の了解の絆がしっかりしていますから、聴いていて自然と熱くなります! あぁ、演奏時間が4分半というのが、勿体無いです!

こうして向かえた大団円のメドレーが、また和みます♪ この緩やかグループは気抜け寸前なんですが、サウナの後の生ビールのような♪ 心地良い汗と倦怠感がたまりません。

ということで、全篇を通してリーダーのブラシとステックが共に嫌味無く、ブルース・バースもでしゃばる事が無く、さらに縁の下の力持ちに撤するベースの存在という、ちょっと地味な表現ながら、これが所謂「三本の矢」なのです。

おそらく、これは、どうってことない出来栄えなんでしょう。ただ、こういうブツを、こよなく愛してしまうのがサイケおやじです。

それにしてもブルース・バースは、往年のノリがあって好きですねぇ♪

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真剣勝負は美しいか?

2007-03-26 16:02:00 | Weblog

昨日の大相撲、優勝決定に絡む取組みは、美しくなかったです。

まず横綱が本割で変化すれば、決定戦では、それを逆手にとった大関が変化!

もちろん反則では無いし、充分な心理戦があってこそ成り立った真剣勝負なんでしょうが……。

私的には全く美しくないという決着でした。真剣勝負って、こんなつまらんもんだったんでしょうか?

ということで、本日は――

Strike Up The Band / Pete Jolly & His West Coast Friends (Atlas)

ピート・ジョリーのリーダー作になっていますが、実はアート・ペッパーのワンホーン盤というのが、発売当時から暗黙の了解でした。というか、アート・ペッパーを録音したかった製作会社が、契約関係をクリアするための手段としたと、ジャズマスコミは堂々と伝えていましたですね。

なんかピート・ジョリーがダシに使われた気がして、このピアニストが大好きな私は複雑な気分になっていましたが……。

それはそれとして、やっぱりこのアルバムが出た時は嬉しかったですねぇ~♪ もちろん内容にも期待していました。というのは、1970年代中頃に本格的にカムバックしたアート・ペッパーが、ヒステリックなモード色に染まったスタイルから少しずつ往年の歌心と情緒を取り戻し、両方がバランス良く交じってきていたという、いよいよこれから「もう一花」の時期でしたから! ちなみに発売は日本優先で、1980年でした。

録音は1980年2月26&27日、メンバーはアート・ペッパー(as)、ピート・ジョリー(p)、ボブ・マヌグッセン(b)、ロイ・マッカーディ(ds) という、やっぱり「アート・ペッパー・カルテット」です――

A-1 Strike Up The Band
 お約束のマーチドラミングから始まるアップテンポの演奏ですが、個人的にはこのアルバムの中で一番ガックリきた出来でした……。
 まあ、こちらの期待が大きかった所為もあるんでしょうが、アート・ペッパーの吹くフレーズには、何か1音足りない雰囲気があります。やれやれ、大丈夫かなぁ……。
 またピート・ジョリーは粋でグルーヴィなピアノを弾かせたら天下一品の存在ですが、ここでは「お仕事」のような雰囲気で、これも???……?
 ところが終盤、ドラムスとアート・ペッパーの対決あたりから、俄然、その場に熱い空気が漲っていくのですから、ジャズは本当にわからんものです。

A-2 You Go To My Head
 そして、この有名スタンダードのスローバラードで、雰囲気が一変します。
 アート・ペッパーは「泣き」の心情吐露に撤しますが、それは様々な苦難に満ちた人生が滲み出たといったら、生意気でしょうか。とにかく、今、この歳になった私には、リアルタイムで聴いていた1980年当時よりも感情移入出来る部分が多くなっています。
 そのスタイルは往年の手数の多い変幻自在なフレーズよりは、訥弁ながらも鋭い音選びと往年のファンが忌み嫌う、あのヒステリックなゲロ吐きの音色を交えたものですが、その歌心というか曲解釈の奥深さは絶品だと思います。
 決して原曲を蔑ろにしない姿勢も最高です♪

A-3 I Surrender Dear
 この曲は1956年にアート・ペッパー自身が決定的な名演を残しているので、些か分の悪さが隠せません。実際、ベースがヌルイ雰囲気ですし、アート・ペッパーのテーマ解釈~アドリブに入るブレイクも、往時のインスピレーションには及びません。
 残念ながらリズム隊にも精彩が……。
 しかしピート・ジョリーが新しい感覚を入れながらも本領発揮♪ 終盤でのアート・ペッパーとの掛け合いも結果オーライです。
 まあ、ここまでにしておきます。

A-4 Y.I.Blues
 ところが一転して、これがなかなかの名演です。
 曲はブルースを基本にした幾何学的なテーマの擬似ジャズロックなんですが、妙な緊張感があって、気に入っています。
 アート・ペッパーも気分がノッたというか、アドリブパートは快適な4ピートでグルーヴィに吹きまくり♪ それは新しいフレーズとノリを主体にしながらも、往年の「ペッパー節」が随所に飛び出す嬉しい展開なんです♪
 リズム隊も勢いがあって鋭く、失礼ながら決して一流とは言えないロイ・マッカーディが奮戦すれば、ピート・ジョリーも余裕で実力発揮です。また如何にもこの時代らしい電気増幅系の音色でグルーヴしているボブ・マヌグッセンもOKでしょう。

B-1 Night And Day
 有名スタンダードをボサロックで解釈していますが、初っ端から脱力したアート・ペッパーが心地良く、マヌケ寸前のベースも良い味という変態的な和みが好きです♪
 そのあたりはピート・ジョリーにも伝染し、先発するアドリブでは華麗なフレーズに緩いビート感がたまりません。何時しか4ビートに移行している全体のノリも最高です。
 肝心のアート・ペッパーは、全盛期を思わせる手の込んだフレーズと緩急自在のアプローチでリズム隊を翻弄していますよ。一瞬、場がシラケ気味になって、再び纏まっていくような雰囲気が、スリル満点です。

B-2 Everything Happens To Me
 個人的に大好きなスタンダード曲なので、大いに期待し、また聴くのが恐かった演奏です。
 しかしアート・ペッパーは若かりし日の名演を差し置いて、中年者の苦界境を見事に表現していると思います。もちろん、こんな気持ちはリアルタイムの私には感じなかったものですが、その頃でさえ、けっこう感動した演奏でしたから、今になって感慨もひとしおという老いの境地には、まだ早いと思いたいのですが……。
 やっぱり、良いです♪

B-3 Out Of Nowhere
 全員がリラックスした雰囲気で臨んだスタンダード曲の解釈に、ゾッコン、惚れなおす快演です。
 まずピート・ジョリーの粋なイントロからロイ・マッカーディのブラシが入る瞬間、そしてアート・ペッパーが躊躇いがちにテーマを吹奏していくあたりからして、グッときます♪ あぁ、泣きのフレーズが、心地良いです♪
 それはアドリブパートでのタメの効いた展開とか、完全に曲想を読みきったような歌心の妙、おまけに緩いテンポを自在なノリに変えていくという、完全にアート・ペッパー十八番の展開です♪
 またピート・ジョリーが素晴らしいです! 何の変哲も無い雰囲気でありながら、この粋な感覚は、この人の持ち味としか言えません。一応、この盤ではリーダーでありながら、製作者側の意図に従って引き立て役に回っているという物分りの良さは、自分の実力に相当な自信がなければ、出来ないでしょう。流石です。

ということで、全体には往年の演奏に及ばない部分が多々あるのですが、何か憎めないというか、大多数のファンが求めるアート・ペッパーというイメージに、かなり近づいた出来栄えだと思います。

特に「You Go To My Head」や「Everything Happens To Me」というスローな歌物には、独自の哀感が漂っていて、おそらく自然体で演じたアート・ペッパーそのものという演奏だと思います。

些か苦しくて、独り善がりの言い訳ばかり書き連ねましたが、中身はとっても気に入っているアルバムなのでした。

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マット・デニス名曲集

2007-03-25 17:07:08 | Weblog

今日は北陸に大地震!

かなりの被害が出ているようです。そして被災された皆様には心からお見舞い申し上げます。

ということで、とりあえず本日は、心温まるこれを――

Will You Still Be Mine ? / Celebrating The Music Of Matt Dennis
      Jan Lundgren, Tom Warrington & Joe LaBarbera
(Fresh Sound)


ジャケットに微笑むのは、有名な作曲家にして弾き語りの名手というマット・デニスその人ですが、演奏しているのはヤン・ラングレンのトリオという、ちょっと紛らわしいアルバムです。

で、真相はご推察のとおり、マット・デニスの代表曲をヤン・ラングレンのトリオが正統派に撤して聞かせてくれた優れもの! 3年近く前に出たCDですが、今でも愛聴している1枚です。

録音は2003年5月10&11日、メンバーは前述のとおり、ヤン・ラングレン(p)、トム・ウォーリントン(b)、ジョー・ラバーバラ(ds) というセンスの良い面々です。そして演目は全て、マット・デニスが書いた有名曲ばかり――

01 Let's Get Away From It All
02 Violets For Your Furs / コートにすみれを
03 Relax
04 Everything Happens To Me
05 Will You Still Be Mine ?
06 Angel Eyes
07 That Tirde Routine Called Love
08 The Night We Called It A Day
09 Show Me The Way To Get Out Of This World
10 Little Man With A Candy Cigar
11 We Belong Together
12 Spring Isn't Spring Anymore

という演目にあっては、1曲毎に私なんかがウダウダ言っても仕方が無い名曲・名演の連続です。

ヤン・ラングレンは北欧出身の若手で、粋なセンスの塊のような温か味のあるピアノが素晴らしく、原曲のツボをしっかりと押えた歌心には何度聴いてもジャズの楽しさを認識させられます。

またベースのトム・ウォーリントンは白人の中年おやじながら、なかなかのテクニシャンであり、野太いグルーヴも出せる隠れ名人でしょう。

そして、ご存知ジョー・ラバーバラは晩年のビル・エバンスを支えた、多分のこのトリオでは一番の有名人じゃないでしょうか? 私は特に好きなドラマーで、この人が敲いた演奏に駄演無しと思っています。もちろん入っている盤はノー文句で買っているほどなんです♪

肝心の演奏は、いきなりアップテンポで始める「Let's Get Away From It All」が最高に楽しく、快適なスイング感と絶妙な歌心に満ちた展開には、完全に虜になるはずです。そしてアルバム全体への期待が否が応でも高まるという仕掛けなんですねぇ~♪

同様にスマートなスイング感に満ちた「Will You Still Be Mine ?」は、ジョー・ラバーバラのブラシに小気味良いネバリがあって、トリオ全体がグルーヴィな雰囲気になっていくその瞬間、ステックで煽りまくって痛快な展開! ただしヤン・ラングレンが若気の至りというか、やや新しいフレーズやノリになっているのが好き嫌いの分かれ目かもしれません。

またトリオ全員がブルージーな感覚で迫る「Show Me The Way To Get Out Of This World」も良い味だしまくり♪ 特にトム・ウォーリントンのベースが光ります。

そして気になるスロー系では、お目当ての「コートにすみれを」が当然のように素晴らしい出来栄えです。この、じっくり構えてイタズラに騒がない雰囲気は正統派の証でしょう。実際、全く普通っぽいピアノスタイルで迫るヤン・ラングレンは地味と思われがちですが、自然体の輝きが滲み出た風格さえ感じさせてくれます。

それは私の大好きな曲である「Everything Happens To Me」や人気曲「Angel Eyes」でのソロピアノ演奏にも顕著で、凝った事をしない素直さが好印象です。特に後者は重いビートを伴ったドラムスとベースが入った瞬間に、全く別世界へ飛翔する展開が本当に見事!

そのあたりは、いちいち細かいことを書き連ねても虚しくなるだけです。とにかくこのアルバムを聴いて嬉しくなかったら、私は素直に謝るだけです。

それとこのCDの付属ブックレットが32頁の分厚いもので、マット・デニスの近況・近影やディスコグラフィが載っているのも楽しいです。

また録音にも温か味があり、音作りそのものも分厚い感じが良いですねぇ~♪

まあ、騙されたと思って聴いてみて下さいませ。ズバリ、愛聴盤になりますよ。

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痛快なマリガン♪

2007-03-24 19:41:57 | Weblog

本日は久々に街へ出て色々とネタを仕入れてきました。ネットやメールの通販も便利ですが、やはり現物に接しての獲物狩りは楽しいです♪

連日のストレスや疲れもブッ飛びましたですよ。

ということで、本日は――

Jerry Mullign At The Village Vanguard (Verve)


ジェリー・マリガンと言えばチェット・ベイカー(tp) と組んだピアノレス・カルテットの大当たりで、アドリブ優先のプレイヤーという印象もありますが、反面、緻密なアレンジと自由なアドリブを両立させた大人数のバンド演奏も得意にしています。

そこに一番勢いがあったのは、1960年代初め頃に率いていた「コンサート・ジャズバンド」時代だと、私は思います。

このバンドは、その名前から推察すると、おそらくダンスホールあたりでの営業はやっていなかった純粋鑑賞用のグループだと思います。実際、残された音源を聴くと、メンバー全員がイキイキと躍動して素晴らしいアドリブ合戦を繰り広げたり、反面、練り込まれたアレンジを正確に再現しつつ、ソロプレイヤーを盛り立てていく協調性が見事な演奏ばかりです。

このアルバムは、そんなバンドのライブにおける凄さを見事に味わえる傑作で、録音は1960年12月11日のクラブ「ビレッジバンガード」、メンバーはジェリー・マリガン(bs,p,arr) 以下、クラーク・テリー(tp)、ニック・トラビス(tp)、ドン・フェララ(tp)、ボブ・ブルックマイヤー(vtb)、ウィリー・デニス(tb)、アラン・ラルフ(tb)、ジーン・クイル(as,cl)、ボブ・ドノバン(as,fl)、ジム・レイダー(ts)、ジーン・アレン(bs.bcl)、ビル・クロウ(b)、メル・ルイス(ds) という錚々たる顔ぶれです――

A-1 Blueport
 アルバム冒頭を飾るに相応しい熱演で、とにかくアップテンポで自然発生的なアレンジの中、各人のスリル満点なアドリブが連続します。落ち着いたビル・クロウのベースと烈しく煽るメル・ルイスのドラムスが生み出すグルーヴも、実に良いです♪
 アドリブパートでは、リズミックなジェリー・マリガン、小型ズート・シムスという風情のジム・レイダーが快演! ボブ・ブルックマイヤーは例のモゴモゴした音色と歌心のコントラストが面白く、もちろんバンドアンサンブルでも要の働きをしています。
 そのアンサンブルは、デキシーランドをモダンにしたような集団即興演奏であり、また痛快な切れ味のキメがビシッと出た、これぞジャズの楽しみを満喫させてくれるものです。10分超の演奏ながら、全く飽きませんよ♪ ちなみにトランペットソロはクラーク・テリーかと思いますが、いかがなもんでしょう?

A-2 Body And Soul
 ジャズでは定番の有名スタンダード曲ですが、彩り豊かなアレンジが強く、ちょっとそこに気がつかないところもあります。まあ、それだけジェリー・マリガンが冴えていたのか、凝りすぎだったのか、真相不明の部分もありますが、全体をリードしてアドリブに撤する本人の意向を尊重したバンドメンバーの力量を信じて聴くしかないと思います。
 個人的には煮えきっていないと……。

A-3 Black Nightgown
 アメリカのサスペンス映画「私は死にたくない」に使われていたテーマ曲で、ジェリー・マリガンによるジャズバージョンのアルバムも傑作とされていますが、ここでの演奏もなかなかハードボイルドで素敵です。
 適度に荒っぽいバンドアンサンブルが如何にもライブという力感で、カッコイイとしか言えません。ジェリー・マリガンもツボを押えたアドリブで見事な答えを出してくれます。
 またボブ・ブルックマイヤーやクラーク・テリーの親しみ易いソロも、短いながら秀逸だと思いますが、ここではバンドアンサンプルが全てかもしれません。ズバリ、カッコイイです!

B-1 Come Rain Or Come Shine
 これも有名スタンダード曲なので、元メロディがどのように編曲されているかという楽しみがあります。もちろんジェリー・マリガンは原曲を大切にしていますが、ふくよかなバンドアンサンブルと歌心優先のジェントルな雰囲気は流石だと思います。
 ただしテンポが緩い所為か、ややダレ気味の部分があるのは残念です。

B-2 Lady Chatterley's Mother
 思わせぶりなタイトルとはウラハラに痛快な演奏になっています。あぁ、このシャープで膨らみのあるバンドアンサンブルと小気味良いリズムアレンジ! もう最高ですねぇ♪
 もちろんアドリブパートでもボブ・ブルックマイヤー、クラーク・テリー、そしてジェリー・マリガンが大ハッスル! 全体が躍動的な楽しさに満ちているのでした。

B-3 Let My People Be
 ここで聴かれるカウント・ベイシーの様なピアノはジェリー・マリガンが弾いていますが、演奏もカンサスシティ・スタイルの強烈なスイング感があって、なかなか楽しいものになっています。
 そしてこういう演奏が十八番になっているボブ・ブルックマイヤーのオトボケも良い味ですねぇ~♪ メル・ルイスの噴出し笑いのようなドラムスも素敵だと思います。
 またジム・レイダーはレスター・ヤングの役割でしょうか、ソフトで流麗なスイング感に黒っぽい感覚も滲ませて好演すれば、クラーク・テリーは自然体のジャズ魂を披露して貫禄を聞かせてくれます。あぁ、何時ものことながら、これがジャズだと思います♪

ということで、ジェリー・マリガンばかりでなく、バンドメンバーが一丸となって作り出した楽しいライブ演奏なんですが、良く聴くと、若干のテープ編集疑惑もあると感じます。しかし良いアルバムには変わりないので、あえてその部分は書きません。

それと、この雰囲気、つまり緻密なバンドアンサンブルと自然発生的なノリ、そしてアドリブ優先の演奏という醍醐味は、秋吉敏子のビックバンドに通じるものがあると感じています。

もちろんそのルーツはデューク・エリントンやカウント・ベイシーなんでしょうが、モダンな味わいのカッコ良さは、明らかにジェリー・マリガンが増幅したものでしょう。

機会があれば、ぜひとも聴いてみて下さいませ。ジャズ喫茶の大音量だと、痛快に燃えますよ♪

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三段活用の人気盤

2007-03-23 17:52:25 | Weblog

水泳のシンクロは、やっぱり見ていてワクワクしますね♪

何故かって、それは言わせないで下さい。ご推察のとおりですから♪

それとスケートも今日から女子が登場しますので、もうルンルンです♪

仕事が厳しい連日の疲れがたまっていますが、気分だけで持ちこたえたような、つまり、もう若くは無いと言いつつも、気持ちは子供のまんまなのでした。

ということで、本日は三段活用のこれを――

Swing, Swang, Swingin' / Jackie McLean (Blue Note)

ハードバップの人気者、ジャッキー・マクリーンの中でも特に人気が高いアルバムが、これでしょう。

なにしろスタンダード中心の演目をワンホーン編成で吹きまくっていますからねぇ♪ ハードスイングに撤したリズム隊には恐さもあり、また選曲が絶対的に良いんです!

そしてジャッキー・マクリーンと言えば、泣きのアルト! それが嫌味無く堪能出来るのでした。

と、まあ、最初から結論を述べるしかない名盤ということです。

録音は1959年10月2日、メンバーはジャッキー・マクリーン(as)、ウォルター・ビショップ(p)、ジミー・ギャリソン(b)、アート・テイラー(ds) という、情熱的な面々です――

A-1 What's New
 ジャズの世界では有名なスタンダード曲で、ボーカル物はもちろん、楽器演奏でも数多の名演が残されていますが、このジャッキー・マクリーンのバージョンも負けず劣らずの快演だと思います。
 ここでは通常よりも少し早めのテンポで力強くハードスイング! いきなりスバリとテーマメロディに斬り込んでいくジャッキー・マクリーンの潔さが光ります。またリズム隊が一体となった力感あふれる伴奏も良いです♪ それゆえにジャッキー・マクリーンも心置きなく泣きじゃくりなんですねぇ~。
 それとウォルター・ビショップのアドリブが冴えていて、後年の名盤「スピーク・ロウ(Jazztime)」に、あと一歩のところまで迫っています。

A-2 Let's Face The Music And Dance
 このアルバムの目玉演奏が、これです!
 一抹のせつなさを含んだテーマメロディを完全に活かしきったジャッキー・マクリーンの熱い吹奏は、必ずや興奮を呼ぶでしょう。オリジナルのメロディに入れる一人合の手の部分が、まず最高に楽しいんです!
 アップテンポで疾走する演奏全体の爽快感も素晴らしく、ジャッキー・マクリーンが勝利の男泣きです! もちろんリズム隊のブッ飛び方も強烈で、好き勝手にグループするジミー・ギャリソン、手綱を緩めないアート・テイラー、そしてノリの良いウォルター・ビショップ!
 もう何度聴いてもグッときて、涙、涙の名演としか言えません。
 当然、ジャズ喫茶でも人気中の大人気演奏で、これが鳴り出すと店内に一体感が生まれたという黄金伝説が懐かしいです。

A-3 Stablemates
 ベニー・ゴルソンが書いたハードバップのソフトな名曲を、結局はハードバッブにしてしまった演奏です。
 ここでもジャッキー・マクリーンの切り口鋭いテーマ解釈が流石! その勢いで最後まで突進していく若き血潮の滾りが熱いです。あぁ、この早いフレーズ展開と音色の妙、そして適度のモタレとギスギス感が唯一無二のマクリーン節です。リズム隊を信頼しきっているのでしょう、余計な気を使わずに吹きまくってしまった結果オーライが、素敵なところです。

A-4 I Remember You
 ジャッキー・マクリーンにとっては師匠筋というか、永遠のアイドルであるチャーリー・パーカーの決定的な名演が残されているスタンダード曲ですから、些か分が悪い雰囲気ですが、物怖じしない姿勢が感じられて、このバージョンが私は大好きです。
 アップテンポでありながら、なかなかのネバリ腰と瞬発力は若さの証明かもしれませんが、歌心の妙は老獪な一面もあって、それは21世紀の今日でも全く古びていない演奏になっています。グリグリなグルーヴが痛快の極みです。

B-1 I Love You
 まずラテンビートを入れたリズム隊のグルーヴが初っ端から強烈です。
 そしてジャッキー・マクリーンが上手くノセられて快調にスイングしていくという、まあ、常套手段の連続なんですが、これが快適で止められません♪
 もちろん曲は有名スタンダードですから多くの名演が残されているので、ヘタなことをやったらリスナーからは見放されるという危険性を孕んでいるという、つまり緊張感とスリルがたっぷりです。
 中でもジミー・ギャリンソのベースソロは斬新な感覚が見え隠れしていて、気に入っています。

B-2 I'll Take Romance
 ジャズばかりでなく、ポピュラー系全般で取上げられることの多いスタンダード曲なので、ジャッキー・マクリーンも油断が出来ない雰囲気ですが、実はここまでの演目が、ほとんど似たようなテンポなので、ちょっと飽きがくる雰囲気になってしまったのは残念です。
 演奏そのものは、決して悪くないのですが……。

B-3 116th And Lenox
 そのあたりを察したのか、この曲だけがジャッキー・マクリーンのオリジナルで、サスペンス&ソウルフルな演奏が新鮮です。
 バックのファンキーな煽り、ひたすらアドリブに精進を重ねるジャッキー・マクリーンの潔さ! ウォルター・ビショップはここでも快調ですが、ジミー・ギャリソンの野太いベースとアート・テイラーのシンバルも聞き物だと思います。

ということで、既に述べたように、全体が同じ様なテンポの演奏になっているのが???なのです。もう少し、じっくりと泣いたスローなバラードとかブルースが入っていれば、決定的な名盤になったと思うのですが、これはこれで、人気盤として認定されていますので♪

特にA面はジャズ喫茶の定番ですからねぇ♪

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イブシ銀って、なに?

2007-03-22 20:36:04 | Weblog

今日は仕事がメチャ忙しいぃぃぃぃ~! 昼メシも食えんぞっ!

トラブル連発! ゴタゴタ、マジギレ、照れ笑い……云々で疲れきりました。

で、今、ようやく聴いているのが――

Trompeta Toccata / Kenny Dorham (Blue Note)

ケニー・ドーハムと言えば、何時もついてまわる形容詞がイブシ銀!

確かに音色がくすみ気味ですし、取り立てて派手なフレーズも出ないアドリブは、地味な印象ですが、でも、やってきた音楽は常に時代の最先端じゃなかろうか……?

まずニューヨークのアングラ音楽だったビバップで頭角を現し、続くハードバップだって、流行の最前線だったはずです。そしてモード系の演奏が主流となった1960年代には、新鋭のジョー・ヘンダーソン(ts) を見出して自己のバンドの看板にしていましたし、他にもスティーヴ・キューン(p) とかリチャード・デイビス(b) といったバリバリのツッパリを起用し続けた姿勢は、けっして枯れた境地の人では無いと思うのですが、いかがなもんでしょう。

で、このアルバムは楽しくも烈しい姿勢を露わにした傑作だと思います。もちろん、イブシ銀という部分も、しっかり味わえるのですが……♪

録音は1964年9月14日、メンバーはケニー・ドーハム(tp)、ジョー・ヘンダーソン(ts)、トミー・フラナガン(p)、リチャード・デイビス(b)、アルバート・ヒース(ds) という味わい深い顔ぶれです――

A-1 Trompeta Toccata
 いきなり哀しくもせつないトランペットの独奏に胸がしめつけられる雰囲気、と書きたいところなんですが、音色のくすみ具合が拍子抜け……。
 しかしアフロロックなリズム隊を従えてからの演奏本編では、そこらあたりを逆手にとったアグレッシブなアドリブが、かなり良い味です。もちろん全体はスパニッシュ風味のモード色に染まっていくのですが、絶妙な温か味が♪
 またジョー・ヘンダーソンが本領発揮のベタベタな擬似フリー! するとトミー・フラナガンが幻想的な伴奏&アドリブで応えるという職人技を披露するのです。リチャード・デイビスの意味不明なベースの存在感も???ながら、やっぱり良い感じなのは、ひとえにリーダーのケニー・ドーハムが本気だからかもしれません。

A-2 Night Watch
 ケニー・ドーハムが書いた十八番のファンキー曲ですから、本人もダーティな音色と温故知新のフレーズを出し惜しみしない熱演です。リズム隊の粘っこく躍動するビートの出し方も最高だと思います。
 しかしジョー・ヘンダーソンは一筋縄ではいきません。保守的に行くと見せかけて、かなりアブナイ雰囲気が滲み出るギリギリが、流石だと思います。
 そこへいくとトミー・フラナガンは安定感抜群で、素直に楽しませてくれます♪ これも名演・名アドリブのひとつでしょうね。

B-1 Mamacita
 このアルバムから出たヒット曲が、これです。
 作曲はジョー・ヘンダーソンという楽しい擬似ジャズロック♪ もちろんブルースが基本になっていますが、ラテンビートの変形のようなボサロックとでも申しましょうか、とにかく素敵なテーマメロディと共にウキウキさせられます。
 リズム隊の仕掛けというか、分かっているとしか言えないアクセントの付け方にも、グッときますねぇ~♪
 アドリブパートでは、ジョー・ヘンダーソンが作者の強みを活かしてリラックスした快演を披露すれば、ケニー・ドーハムはベテランの味を超越した、熱き心の一人舞台です! 繰り出すフレーズは細かいキメの併せ技なんですが、ちょっとハラハラさせられるトホホ感は、完全に狙ったものでしょうねぇ~♪ その中で痛快な一瞬が生み出されると、思わずイェ~とか叫びたくなります。
 またトミー・フラナガンが、如何にも脇役といった風情に撤しているのも、良いです。なにしろリチャード・デイビスが、ちょっと焦れた感じでバックをつけてきますから! それでは皆様、ご一緒に歌いましょう♪ というラストテーマが、さらに素敵に感じられるのでした。

B-2 The Fox
 オーラスはケニー・ドーハムが書いた強烈なハードバップです!
 実はジャズ喫茶では、こっちのB面が定番だと思うのですが、前曲で和んだ空気が、ここでは一転して熱くなっていく雰囲気が、1970年代前半までのジャズ喫茶では、確かにあったと思います。
 ケニー・ドーハムはイブシ銀を捨てて突進していますし、ジョー・ヘンダーソンはモード色が濃いウネウネクネクネの身悶え節で、反抗を試みています。
 緊張感溢れるリズム隊も素晴らしく、リチャード・デイビスは、あの「ファイブスポット」の夢よ、もう一度! するとトミー・フラナガンが「ジャイアント・ステップス」で応えるという美しき流れです♪ アルバート・ヒースの押えたドラミングも、意想外の刺激に満ちていると思います。

ということで、なかなかカッコイイ作品だと思います。しかしケニー・ドーハムは、これ以降、何故か沈黙したというか、公式には活動末期のリーダー盤になってしまいました。

売行きもあまり芳しくなかったようで、直ぐに廃盤だったのかもしれません。実際、日本ではなかなか入手が難しかった時期がありました。

まあ、それゆえにジャズ喫茶の人気盤の末席を与えられたような按配かと思います。個人的には前作の「ウナマス」よりは、こっちが好みという天邪鬼になっておりますが♪

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