OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

カーネーションと夏木マリ

2012-02-29 15:55:49 | 歌謡曲

お手やわらかに / 夏木マリ (キング)

日頃、テレビドラマは全くと言っていいほど観ないサイケおやじにしても、現在 放映中のNHK朝ドラ「カーネーション」は面白い!

そう、素直に思って、鑑賞しています。

しかし、もちろんリアルタイムでは無理なんで、毎日録画しておいて、時間が出来た時に纏めてのお楽しみではありますが、番組スタート時から欠かさずというのは、恥ずかしながら、本当に何年ぶりか? という状況です。

それはご存じのとおり、ファッションデザイナーとして世界的に有名なコシノ三姉妹の母親で、自らも戦前から大阪の岸和田で洋裁店を独立開業していた小篠綾子をモデルにした物語なんですが、実はサイケおやじの祖父は大正時代からテーラー、母も数年前まで洋裁店をやっていたので、そういう業種や業界については子供の頃から慣れ親しんでいた所為もあり、最初は母が楽しんでいたところに釣られたというわけなんですが……。

なんとっ! いよいよヒロインの晩年が描かれる物語の流れから主役女優が交代となり、それを夏木マリが演じるとあっては、もはやドキドキ感は高まるばかり!?

ちなみにテレビドラマの中の小篠綾子や三姉妹は、当然ながら別の役名での登場でありますが、キャラクター造形や物語展開は現実的な部分の重なりが大切にされ、中でも役名が直子=川崎亜沙美のコシノジュンコはクリソツ! 全く、どっから探してきたのかと思われるほどですねぇ~~~~、この驚嘆の意味として。

ですから、他の出演者のアクが些か薄まっている点は否定出来ませんが、しかしヒロイン・糸子≒小篠綾子を演じた尾野真千子は岸和田弁のセリフも違和感が無い、実にナチュラルなコテコテ感が素晴らしく、またお笑い芸人のほっしゃん。の常に煮詰まった佇まいと演技も最高♪♪~♪

という状況ですから、かなりの視聴率を稼いでいるらしいんですが、小篠家の内部事情としては有名な姉妹確執がそれなりに描かれ、小篠綾子本人の長年の不倫騒動が逃げずに演出されたところも、人気の秘密かもしれません。

ただし、あくまでもドラマですから、真実と異なるソフトタッチの綺麗事も当然あるわけで、例えば前述の不倫騒動が劇中ではあっさり片付いたり、三姉妹の結婚や離婚、再婚の顛末等々は禁断の領域!?

まあ、そのあたりは今後の物語展開のお楽しみなわけですから、いよいよ晩年のヒロインを演じる夏木マリの登場が、実にたまらないというわけです。

それはサイケおやじがセクシーシンガーとして大ブレイクした頃からの夏木マリファンであり、実は密かにコンプリートコレクションに勤しんでいるという事情もあり、また役者としての自我の強い芝居も好きなところから、う~ん、これはどうなるんでせう!?

全く期待と不安がゴッタ煮の心境なんですねぇ……。

さて、そこで本日掲載した1枚は、そのお色気歌謡路線で人気を集めていた昭和49(1974)年当時の夏木マリが出したヒット盤で、とにかくA面の「お手やわらかに」はブラスロックとニューソウルを巧みに融合させた、まさにリアルタイムの最先端歌謡ポップス♪♪~♪

しかも決してイケイケではなく、極言すれば同時代のカワイコちゃんアイドルが歌っても不思議ではない、絶妙の「ぶりっ子」フレィヴァーがあるんですねぇ~♪

う~ん、流石に作詞:阿久悠、作編曲:川口真の企みは深淵というか、抜群の歌唱力はもちろん、既に秀逸な演技力を兼ね備えていた夏木マリなればこその世界が楽しめますよ。

ということで、そこまでやっていた夏木マリですから、70歳以降の老女を演じたとて、小篠綾子という稀代の女傑の色気はきっちり滲ませるものと思います。

それはサイケおやじが以前、仕事の関係で唯一度だけお会いしたご本人の存在感の強さを忘れていないからで、当時は既に80代半ばであったはずなのに、流石はファッション界を生き抜いてきた証なんでしょうか、妙に「女」の部分が濃かったですねぇ。

しかも、なかなかハートウォームな人柄は忘れ難い印象でありましたが、それにしても後年、人気ドラマのヒロインに描かれようとは想像も出来ませんでした。

最後になりましたが、既に述べたようにサイケおやじの母親は洋裁業でしたから、このドラマ鑑賞については様々な解説も詳しくあって、時には有難迷惑でもありますが、味わい深い事も確かです。

例えば洋裁業は戦中・戦後、本気モードで寝る暇も無いほどの盛況であり、それゆえにお客さんは何かしらの「お遣い物」を持参しないと仕事は頼めず、特に戦中は食物がその中心でしたから、配給が当たり前の時代にも所謂「ひもじい思い」は無かったとか!?

他にもちょいと書くのは憚られる事情を様々に知ってみると、「カーネーション」の脚本が如何に細かく作られているか、感心してしまいましたですねぇ~♪

また実在の人物をモデルにしたドラマゆえに、登場人物の虚偽あれこれも楽しく、最近じゃ女優の「白川ななこ」とか、歌手の「ジョニー」なぁ~んていう、あっ、この人はあの人だろうなぁ~~♪ という楽しみもありますよ。

そして夏木マリへの期待も、高くなるのでした。

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ガセネタも楽しきクリームのベスト盤

2012-02-28 15:10:31 | cream

The Best Of Cream (日本ポリドール)

ネットが無かった昭和の時代には、今の様に簡単に各種の情報が取れませんでしたから、勢い錯綜した真偽に振り回される事も少なくありませんでした。

例えばサイケおやじの周辺では、本日ご紹介の日本編集によるクリームのベスト盤LPが、一時はその対象として騒がれましたですねぇ。

 A-1 Sunshine Of Your Love
 A-2 World Of Pain / 苦しみの世界
 A-3 Dance The Night Away / 夜通し踊ろう
 A-4 We're Going Wrong / 間違いそうだ
 A-5 Outside Woman Blues
 A-6 Crossroads
 B-1 White Room
 B-2 Wrapping Paper / 包装紙
 B-3 Born Under A Bad Sign / 悪い星の下に
 B-4 Sweet Wine
 B-5 Rollin' And Tublin'
 B-6 Strange Brew

なんとっ! オーラスに収録の「Strange Brew」が、全くの別テイク!?!?

しかし、結論から言えば、それは全くのガセネタだったんですが、現在では皆様も良くご存じのとおり、この「Strange Brew」は本来「Lawdy Mama」という、クリーム解散後に発表されたスタジオアウトテイク曲を改作したものであり、そうした情報は既にファンの間では知られた事でした。

そして、その経緯が様々な尾ヒレと共に流布される時、クリームが真のスーパーグループとして決定的な名声を得る証明作品としての2ndアルバム「カラフル・クリーム / Disraell Gears」が、後にマウンテンを結成するフェリックス・パパラルディという天才によってプロデュースされたという実態は極めて重要であり、1967年5月に行われたニューヨークでのレコーディングセッションこそが、新しいロックを確立させた現場のひとつでありました。

で、それは最初、実質的にはクリームによるセルフプロデュースとしてスタートし、問題の「Lawdy Mama」は古いブルースをエリック・クラプトンがアレンジしたものだったんですが、結果的に頓挫したマテリアルをレコーディングエンジニアとして参加していたフェリックス・パパラルディが補作加工し、見事に「Strange Brew」へ変身させたと言われています。

もちろん、その手腕からフェリックス・パパラルディは正式にクリームのプロデューサーに昇格するわけですが、その過程で作られた「Lawdy Mama ~ Strange Brew」の幾つかのバージョンがあるという現実の真相は!?!?

まあ、このあたりは10年ほど前に出たクリームの4枚組CDセットに「version 1」という肩書きで最初期の「Lawdy Mama」が登場し、これまでアルバム「ライブ・クリーム / Live Cream」にオマケ的に収録されていたテイクが「version 2」に改称された事により、その秘密の一端が明かされたわけですが……。

さて、ここで問題となるのが、ど~して本日ご紹介のLPにそうした逸話がデマとして紛れ込んだのか!?

その点は、なかなか意味深じゃないでしょうか……?

ちなみにサイケおやじが、このデマに惑わされたのは、どうやら中古屋巡りをしている仲間からの情報であって、結果的にそれまでは見向きもしなかったブツを探すという、ある意味では「ひとつのお楽しみ」が生まれたのですから、一概に怒るわけにもいきません。

ということで、本日書いたのと似たような思い込みや勘違いは他にも多々ありまして、そんなところも、また中古盤漁りの醍醐味(?)というわけです。

そして実際にアッと驚く新発見も、きっちり出てくるんですよねぇ~♪

例えば、このクリームのベスト盤LPであれば、本来がバラバラだった音圧等々を調正するためでしょうか、オリジナルバージョンよりは全体的にエコーが強くなっていたり、あるいは日本盤特有の幾分モコモコした音質がそれと相まって、妙にサイケデリック風味が濃くなっていたりと、ミョウチキリンな鑑賞フィーリングがあるように思います。

いやはや、これだからレコード集めは止められませんよっ!

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国もお金が無いからねぇ……

2012-02-27 15:55:53 | Weblog

朝っぱらから、国税関係で虐められています。

なんか不条理なものさえ感じるんですが、相手は理解してくれませんねぇ。

ということで、またまた本日の1枚は休載、申し訳ございません。

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幻の10年の悲喜こもごも

2012-02-26 16:07:54 | Rock

幻の10年・東芝オデオン盤 / The Yardbirds (Columbia / 東芝Odeon)

昨夜、ど~~しても早急に現金が必要となった友人から引き受けさせられた往年の「お宝」シングル盤20枚!

その理由は尋ねないのが友情とは言え、相場よりはずぅ~っと安かったんで、かなり追いつめられているんだろうなぁ……。と、心配させられたのは事実です。

でも、だったら、無担保でお金を融通してあげるのが友情なのかもしれませんが、相手にも当然プライドがあるわけですし、サイケおやじ本人の心の狭さもあって、まあ、セコイ言い訳を綴っています。

そして本音を言えば、掲載したヤードバーズの1枚が欲しかったんですよねぇ、それなりに音源は持っているんですが、多分、これが日本盤オリジナル?

う~ん、しかしそれにしても、こういうブツが金融商品として取引される時代になった事は悲喜こもごもですよ。

ということで、本日は厄払いが必要かもしれません。

件の友人には申し訳ありませんが、それも世の常と思うのでした。

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ジョージ・フェイムについて、まずはちょっぴり

2012-02-25 15:41:10 | Pops

ポニーとクライドのバラード / Georgie Fame (CBS / 日本コロムビア)

昭和40年代の我国で、今となっては必要以上に称賛されていた洋画のひとつが「俺たちに明日はない / Bonnie and Clyde (アーサー・ぺン監督)」だったと思うのは、独りサイケおやじだけでしょうか。

ご存じのとおり、この作品は1930年代のアメリカに実在したボニー・パーカーとクライド・バロウのカップルが銀行強盗や殺人等々の重犯罪を続けた末、警官隊に包囲され、射殺されるまでの顛末を描いた所謂アメリカンニューシネマの決定版というのが、正当な評価でしょう。

もちろんサイケおやじも青春時代に鑑賞し、そのカッコE~という意味合いのクールな演出や温故知新のファッション感覚、主役のフェイ・ダナウェイとウォーレン・ビューティーの存在感の強さにはシビれるところが多々ありました。

しかし、それに追従するが如き映画やテレビドラマが夥しく作られていく現実が積み重なると、基本的に天の邪鬼なサイケおやじは辟易するばかり……。

また主題歌として1968年にヒットした本日ご紹介の「ポニーとクライドのパラード / The Ballad Of Bannie & Clyde」にしても、丸っきりワザとらしい、所謂ヴォードヴィル調の疑似ジャズソング!?

不遜にも、そんな感じにサイケおやじはリアルタイムから思っていたんですから、今となっては額に汗が滲みます。

当然ながら、歌っているジョージ・フェイムはフヌケのジャズシンガー?

なぁ~んて、失礼がら、本当にそう思っていたんですよ、当時は。

ところが現実のジョージ・フェイムは、これまた皆様ご存じのとおり、今日では日本でもすっかり人気が定着したクラブミュージックの人気歌手にして、グルーヴィなオルガン奏者であり、1960年代のロンドンをクールに彩ったニクイ奴!

サイケおやじが、それにハッと気がつかされたのは、1970年代も後半の事でしたから、このシングル曲「ポニーとクライドのパラード / The Ballad Of Bannie & Clyde」が流行ってから既に10年近くも経っていましたし、加えてそれは軽妙洒脱な持ち味が決して作為的なものでは無く、本来の資質であった点に集約されているような気がしたのです。

つまり、「ボニーとクライドのパラード / The Ballad Of Bannie & Clyde」は、一説によると本人の意向よりはプロデューサーやレコード会社からの要請で歌わされたと言われていますが、結果的にヒットしたのは、ジョージ・フェイムにはジャズもR&Bも、白人感覚でお洒落にやれるセンスがあったからでしょう。

そして実際、ここに聞かれるヴォードヴィル調の音楽もまた、温故知新の流行りとして、後々まで我国の映画やドラマの劇伴に流用されている事は述べるまでもありません。

ということで、本日はサイケおやじとジョージ・フェイムの邂逅の入り口を、少~しばかり書いてみました。もちろん掲載した私有のシングル盤にしても、リアルタイムで買ったわけではなく、実は映画好きの友人から譲り受けたものですから、大きな事は言えません。

そしてジョージ・フェイムの本質についても、実は未だ理解出来ない部分がありますので、映画本篇「俺たちに明日はない」に対する暴言共々、ご容赦願いたいところです。

失礼致しました。

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本気だった1969年のラスカルズ

2012-02-24 15:44:39 | Rock

See c/w Away Away / The Rascals (Atlantic / 日本グラモフォン)

ヤング・ラスカルズとしてのデビュー期から、既に黒人ソウルミュージックにどっぷりだったラスカルズが、もはやブルーアイドソウルと言うよりも、ますますソウルジャズに接近して行った時期のシングル盤が本日のご紹介です。

世に出たは1969年でしたが、しかし皆様もご存じのとおり、ラスカルズにしてもその途中経過には所謂サイケデリックに耽溺していた作品が残されており、それらについては追々に書きたいと思っていますが、とにかくバンドサウンド中心主義に立ち帰ったような姿勢は初期の白人R&Bスタイルの発展系として、なかなか好ましい限り!

それはA面収録の「See」からして、ヘヴィに突進するハードロックを基本にブリブリにドライヴするエレキベースが強烈無比な存在感を誇示するのですから、たまりません♪♪~♪

ちなみにラスカルズは、エディ・ブリガッティ(vo,per)、ジーン・コーニッシュ(g,vo)、フェリックス・キャバリェ(org,p,vo)、ディノ・ダネリ(ds) という公式デビュー以来の顔ぶれですから、ここでのエレキベースは助っ人の仕事であり、それが当時の業界では第一人者であったチャック・レイニー!

という真相を知ったのは、後に「See」が収録されている同名LPを入手してからなんですが、それにしてもラスカルズ本体をがっちりサポートし、全篇のグルーヴをハードロックとソウルミュージックの幸せな結婚に導いていく手腕は流石だと思います。

なにしろ、実はキャッチーなメロディが全く出ない楽曲を最後まで圧倒的な勢いで聴かせてしまうのも、それゆえの事と納得させられるんですよっ!

しかし、ラスカルズの面々も決してそれに負けていないのが、この「See」の大きな魅力であって、そのエレキベース共々に大きくミックスされたドラムスのハウスっぽいバタバタ感や骨太に泣くギター、サイケデリックの残滓の如きコーラスとくれば、なにかボブ・ディランの曲をザ・フーが演奏し、それをノーザンソウルビートで味付けしたと書けば、少しは共感いただけるでしょうか。

ただし当然ながら、提出されているのはラスカルズそのものに他なりません。リードを歌うフェリックス・キャバリェの熱血ボーカルとキーボード主体で書かれたと思しき曲作りも良い感じ♪♪~♪

そこでB面収録の「Away Away」こそが、リアルタイムの真骨頂とでも申しましょうか、これまたサイケデリックのニューロック的発展形と言えばミもフタもないんですが、ギターとキーボードによるアドリブの応酬やブリブリにドライブしまくったエレキベースをさらに煽るドシャメシャなドラムス!

当時、ここまでゴッタ煮のハードロックをやらかしていたバンドは、ちょいと類似が発見出来ないと思いますし、当然ながらソウルっぽい隠し味は「隠し」になっていないジーン・コーニッシュの自作自演は狂言寸前かもしれませんねぇ~♪

実際、これをライプでやったら、延々としたアドリブがどうにもとまらない!?

あぁ、タイムマシンがあったらなぁ~、この時期のラスカルズのステージは絶対に見たいですよっ!

と、そういう想いは尽きせませんが、現実的にはこれ以前のメガヒット「自由への賛歌 / People Got To Be Free」が黒人公民権運動に与したと白人資本家から糾弾され、ラスカルズは相当な苦境に立たされていたそうですし、このシングルも一般的なヒット性感度が薄かったことから、以降はズルズルと落ち目街道へ……。

それでもファン、というよりもファンキーロックやソウルジャズの愛好者は、このあたりからラスカルズを再発見していく実態は確かにあって、サイケおやじもそのひとりであります。

もちろん、当時のサイケおやじは経済状態が苦しく、ラスカルズのLPは買えませんでしたから、シングル盤で「じっと我慢の子」であり、それでも充分に妄想を膨らませてくれる納得感がありましたですねぇ~、ラスカルズにはっ!

ということで、このあたりが自らの音楽的嗜好の原点のひとつと気がついたのは、実はかなり後の事だったんですが、それゆえに好きなものは好きと言える状況は、確実に今日まで続いています。

いゃ~、本気でラスカルズ万歳! です。

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シャンソン人形の夢に憧れる

2012-02-23 15:41:55 | Pops

夢見るシャンソン人形 / France Gall (Philips / 日本ビクター)

白人美女の対する闇雲な憧れが当時の日本男児には相当にあって、そういう下地を利用されたのが我国の洋楽ポップス流行史へのひとつの考察視点であるとすれば、本日ご紹介のフランス・ギャルは絶対に避けて通れない存在でしょう。

と言うのも、リアルタイムを体験されなかった皆様にしても、掲載ジャケ写の中の清楚でキュートな彼女の魅力が気にならないと言えば、それはウソだろう!? とサイケおやじが決めつける失礼も、それがなにか許されてしまうのはフランス・ギャルなればこそ♪♪~♪

フランス・ギャル~フランスのギャル?

という分かり易さ(?)は今になればこそ、ますます存在意義も鮮やかだと思われますが、彼女は純粋のフランス人ではなくて、確かルクセンブルグかベルギーの出身という疑念も記憶していますが、いずれにせよ、可愛さ余って憎さ百倍という感じが良かったですねぇ~♪

ただし、もちろんサイケおやじがそんなふうに思っているのは、リアルタイムの洋楽雑誌に掲載される彼女のグラビアからのイメージであり、ラジオから流れてくる、まさに「そのとおり」の声と歌い回しによるところです。

それが昭和40(1965)年頃からのロングヒット「夢見るシャンソン人形 / Poupee de cire poupee de son」であり、翌年の来日公演も爆発的な人気を集めていますが、実はその「夢見るシャンソン人形 / Poupee de cire poupee de son」が日本で大いに親しまれたのは、所謂和製ポップス仕様の日本語バージョンがあればこそっ!

正直に告白すれば、サイケおやじは当時から、そっちのカパーも大好きで、と言うよりも、最初にカパー有りきっ!

それが本当のところであって、特に中尾ミエのバージョンが♪♪~♪

ということで、本日は何を言いたいのか、ちょいと自分でも分からなくなってしまったんですが、結果的に歌謡曲と洋楽の垣根の曖昧さこそが、昭和40年代以降の我国芸能界を面白くしていったように感じています。

で、当然ながら、この「夢見るシャンソン人形 / Poupee de cire poupee de son」の日本語バージョンはフランス・ギャルの吹き込みも発売され、それはそれでウケでいたんですが、今となっては中尾ミエや弘田三枝子、南沙織やミミ等々、とにかくアイドルポップスには必須の演目のひとつとして、我々日本人には親しまれているんだと思います。

しかし、オリジナルのフランス語歌詞の内容が「中身の希薄なあやつり人形」の如き意味合いであることも良く知られている事実であって、なにか世間知らずの女性アイドルがそれを歌う事によって、穿った「読み」を妄想させられる手法の上手さ!

ちなみに作詞作曲が、あのセルジュ・ゲンスブールである事も納得の名曲というわけです。

うむ、アイドルポップスは本当に侮れませんねぇ~♪

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スリー・ディグリーズは昭和歌謡曲?

2012-02-22 15:33:38 | Soul

荒野のならず者 / Three Degrees (PIR / CBSソニー)

日本の芸能界に多大な影響を及ぼした洋楽スタアとしては、まずベンチャーズが筆頭格でしょうが、1970年代にブレイクした黒人女性ボーカルグループのスリー・ディグリーズが巻き起こした大旋風も決して小さくは無かったと思います。

なにしろ結論から言えば、我国の歌謡曲&歌謡ポップスが急速にシティソウル化したきっかけが、彼女達の登場にあった事は過言ではありません。

その端緒が昭和49(1974)年春から爆発的に流行った「荒野のならず者 / Dirty Ol Man」であり、当然ながら同時期に世界中でメガヒットした事は言うまでもないでしょう。

それほど「荒野のならず者 / Dirty Ol Man」はキャッチーでイカシたソウルミュージックであり、しかも演じているスリー・ディグリーズはルックスもセクシーな実力派として、強烈な存在感を発揮したのです。

ちなみにスリー・ディグリーズは決してポッと出の新人グループではなく、メンバーの出入りも含めた、それなりに長いキャリアを経ての人気獲得とあって、所謂「場慣れした」余裕もさることながら、やはり楽曲の親しみ易さが最大のポイントであり、それがスバリ!

1970年代に一世を風靡したフィラデルフィアサウンド=フィリーソウルのひとつの成果でした。

まあ、このあたりは、前年に我国でも大ヒットしたオージェイズの「裏切者のテーマ / Back Stabbers」が地均し的役割を担った事も無視できませんし、ケニー・ギャンブル&レオン・ハフの裏方とは思えない存在感の強さも特筆するべきだと思います。

しかし、繰り返しになりますが、スリー・ディグリーズという本場のソウルを歌ってみせる女性グループとしての魅力♪♪~♪

それがまた、絶対に侮れないんですよねぇ~~♪

既に述べたように、当時のグループは1965年の正式デビュー以来、数回のメンバーチェンジがあり、この「荒野のならず者 / Dirty Ol Man」を大ヒットさせた頃はフェイエット・ピンクニー、シーラ・ファーガソン、バレリー・ホリディという顔ぶれになっていたわけですが、如何にもニューソウルな衣装の着こなしやステージアクションのカッコ良さは、時には乳首やアンダーヘア(!?)がスケスケのショットを含めたスチール写真だけでもビンビンに伝わってくるほどの衝撃度だったんですよっ!

もちろん人気沸騰時の来日ステージのチケットは予約だけで発売前からソールドアウト状態という伝説すら残されているほどです。

しかも彼女達はそうした人気に溺れる事なく、日本語バージョンのオリジナル楽曲も幾つか、きっちりサービス満点に吹き込んでくれましたから、それらは何れご紹介するとして、そこに我国の職業作家やスタジオミュージシャンが参画していた事も大きな意味がありました。

つまり、例えば筒美京平は既に洋楽テイストを歌謡曲に盛り込む事が得意技でありましたから、流行のフィリーソウルからも当時は大きな「頂き物」を司っていました。

そしてそれがスリー・ディグリーズの大ブレイクによって、何か免罪符の如き許容範囲の広がりとなり、特に女性アイドル歌手&グループが歌謡ソウルに踏み込む道を流行の先端として確立させた点は、今や歴史だと思います。

また同様の仕事を残してくれた作家も夥しく、極言すれば昭和50年代前半までの歌謡界はフィリーソウル抜きには語れないほど!?

それほどスリー・ディグリーズの登場と活躍は強い印象と影響力を残したはずなんですが、どういうわけか現在、何かそこに触れるのはタブーという雰囲気があるのは何故???

現実的にはスリー・ディグリーズがテレビCMにも登場し、来日する度にコンサートが満員だった1970年代後半こそが、彼女達の全盛期だったろうと思います。そして1980年代はイギリスを中心に欧州各地で新たなファンを開拓したというか、当時はちょっと日本では忘れられた存在だった頃の人気に現地で接したサイケおやじは、驚愕と懐かしさにウルっときた思い出があることを、この機会に記しておきます。

ということで、もしも「荒野のならず者 / Dirty Ol Man」が出なかったら、我国歌謡曲の歴史も変わっていたかもしれないと思うのは、サイケおやじの独断と偏見かもしれませんが、当たらずも遠からじ? というのが本音であります。

今となってはスリー・ディグリーズのレコードなんて、珍しくもない!

そういう観点からしか評価(?)されない彼女達ではありますが、本当は手を合わせるファンだって、絶対に今も大勢存在しているはずです。

不肖サイケおやじも、実はそのひとりであることを本日は告白させて下さいませ。

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デビューから真髄の津々井まり

2012-02-21 14:42:20 | 歌謡曲

人魚の恋 c/w 悪なあなた / 津々井まり (RCA)

今やすっかり姿を消してしまったセクシー歌謡路線があればこそ、昭和歌謡曲は面白かったと思います。

もちろん現在でも、それなりに「エロカッコイイ」なんていう戯言をホザいている女性歌手も居るには居ますが、個人的には少しも自らの性癖を刺激してくれませんから、結局は往年のレコードに対する蒐集熱は高まるばかり!

そこで本日の1枚は、まさに同路線を強力に推進するべく、「セクシージャンボ'70」のキャッチフレーズもジャストミートな津々井まりのデビューシングルとして、昭和45(1970)年4月に発売された幻の人気盤ですが、もちろん「幻」と書かざるをえないは、リアルタイムではヒットしていないからです。

ところが掲載したジャケ写からも充分に納得されるであろう、実に濃厚なフェロモンとポップなフィーリングの見事な融合は、収録された両面2曲の仕上がりを決して裏切りません。

まずA面「人魚の恋」はタイトルどおり、成就してはならない、何か「道ならぬ恋」をメルヘンチックに綴った歌謡フォーク調の佳曲というよりも、それ以前のクラシック風パロックGSヒットの如きマイナーどっぶりの味わいがたまりません♪♪~♪

もちろん津々井まりのほどよい感情の移入も、作詞:山口かおり&作曲:矢野行雄の狙いを体現したものでしょうし、せつないストリングスやチェンバロの響き、胸キュンのコーラスを絶対的に使った馬飼野俊一のアレンジも素晴らしいですねぇ~♪

一方、B面収録の「悪なあなた」はミディアムテンポのソウルグルーヴも心地良い、これが当時のR&B歌謡保守本流の隠れ名曲にして名唱の決定版! 意図的にレイジーな津々井まりの歌い回しが、これまた強い印象を残しますし、終始イカシたフレーズを弾きまくっているギターは間奏もオカズも耳を奪われること必定の裏名演だと思います♪♪~♪

ちなみに「悪」と書いて「ワル」と読ませる、この「悪なあなた」は作詞:山上路夫&作曲:村井邦彦という、当時の歌謡ポップス制作現場では圧倒的な存在感を示していた黄金コンビなんですが、ここに馬飼野俊一が再びアレンジで参画している現実は、あまりにもリアルで素敵な結果を生み出してしまったが故に、夢のよう! そんな常套句が、これほど当てはまる事例も無いかと思います。

と言うことで、皮肉なことに発売から年月を経るほどに高い人気を集めるシングル盤になってしまいましたが、しかし、ひとりでも多くの歌謡曲ファンに再発見されるのであれば、結果オーライなんでしょうねぇ。

そしてここに聞かれる津々井まりの歌の実力は、軽いタッチの発声と芯の強いグルーヴ感が見事に一体化した個性があって、聴くほどにシビれが止まりません。

しかし、それでいて、リアルタイムでは全く売れっ子にならなかったのですから、如何に当時の歌謡界のレベルが高かったのか!?

そのあたりの親近感も含め、特に昭和40年代の歌謡曲を愛でるのがサイケおやじの立場というわけです。

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雪の中から

2012-02-20 16:20:43 | Weblog

う~ん、出先で車のキーを紛失して苦闘してます。

というか、雪の中に落としたみたいで、探すのは至難……。

そういえば「ウルトラセブン」の第25話「零下140度の対決」の中で、モロボシダンがウルトラアイを雪中に落とし、変身出来ずに苦しむという場面がありましたが、そこまで煮詰められた目的意識は無いものの、やっぱりスペアが届くまでの苦境は……。

なんとか、もうすぐに若い者が持ってきてくれる手筈になっていますが、そんなこんなで本日の1枚は無様にも休載致します。

全く、申し訳ございません。

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