OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

クリームの素晴らしすぎるライブの世界

2019-12-09 17:40:51 | cream
■Goodbye Tour Live 1968 / Cream (UMC)
 
バンド・オブ・ジプシーズの越年ライブ箱の興奮も冷めやらぬサイケおやじの前に、またまた強烈なブツが登場するという、ちょっぴり早い来年のお年玉がクリームの所謂解散ツアーからの音源集です。

で、公表された情報によれば、収録されているのは下記4ステージのライブ音源!

 ★Disc-1:1968年10月4日、オークランドコロシアム
   01 White Room / ▲
   02 Politician / 政治家 ▲
   03 Crodssroads
   04 Sunshine of Your Love
   05 Spoonfull
   06 Deserted Citied of the Heart / 荒れ果てた街 ▲
   07 Passing the Time
   08 I'm So Glad
 ★Disc-2:1968年10月19日、L.A.フォーラム
   01 White Room
   02 Politician / 政治家
   03 I'm So Glad
   04 Sitting On Top of the World
   05 Crossroads
   06 Sunshine of your Love
   07 Train Time
   08 Toad
   09 Spoonful
 ★Disc-3:1968年10月20日、サンディエゴ・スポーツアリーナ
   01 White Room
   02 Politician
   03 I'm So Glad
   04 Sitting on Top of the World
   05 Sunshine of your Love
   06 Crossroads
   07 Train Time
   08 Toad
   09 Spoonfull
 ★Disc-4:1968年11月26日、ロイヤル・アルバート・ホール
   01 Introduction
   02 White Room
   03 Politician
   04 I'm So Glad
   05 Sitting On Top of the World
   06 Crossroads
   07 Toad
   08 Spoonful
   09 Sunshune of Your Love
   10 Stepping Out

      ※ グッバイ・クリーム
      ▲ ライブ Vol.2
      ◎ LIFE IN 12 BARS / エリック・クラプトン
 
ということで、実は皆様ご存知のとおり、上記した音源はクリームのブートの中でも特に知られているソースで、これまでも度々様々な闇商品が出回っていたもんですから、新鮮味が薄いのは確かです。

なにしろ一番に売れたと思われる「The Last Goodbye」は、発売予定の公式盤と同じ中身の4枚組で、しかもほとんどがサウンドボードのマルチトラック音源であり、きっちりたステレオミックスは、それまでのブートとは一線を画した素晴らしさでしたからねぇ~~~♪
 

サイケおやじもゲットして直ぐに聴きまくりでしたから、これがオフィシャルのリマスターを施されたならば、まさに怖いもの見たさ以上の喚起悶絶は必至としか言えません。

ちなみに、ここまでのクリームのオンタイムの実情は既に歴史にあるとおり、同年7月10日、エリック・クラプトンが突如として解散を表明した事からの流れであり、名盤「クリームの素晴らしき世界 / Wheels Of Fire」の発売直前という全盛期の衝撃ですから、ファンもマネージメントも愕然としたにちがいありません。

もちろん、この背景にはメンバー間の人間関係の縺れが大きな要因と認められているとおり、ジャック・ブルースとジンジャー・ベイカーの対立はステージでの演奏の中にも、強烈な自己主張となって表れており、それがクリームというハードロックなジャズバンドの即興演奏パートでは最高の魅力に繋がっていた事は、残されたライブ音源を聴けば明らかでしょう。

しかし、エリック・クラプトンにとっては、やはりそれが重荷だったんでしょうか……。

過密スケジュール等々の問題もあったそうで、「他の道を見つけた」という様な発言を後のインタビューで語っていたエリック・クラプトンの言葉からしても、クリームは常にギリギリの危険な限界の上に成り立っていたのかもしれません。

そして必然として、新作アルバム「クリームの素晴らしき世界 / Wheels Of Fire」を携えての巡業は「サヨナラ公演」となり、だからこそレコード契約等々の諸問題を解決する手立てのひとつとしてでしょう、各地でのライブギグが録音されていたという推察は易いところです。

実際、解散後に発売されたクリームのアルバムやエリック・クラプトンのサントラ盤には、その音源が使われていた証として、上記した収録トラックに注釈を入れておきましたが、それと同等の演奏にたっぷりと浸れるだけでも、ワクワク感は否定出来ません。

またロイヤル・アルバート・ホールのライブは、映像も残っていて、テレビ放送からビデオソフトまで作れている事は皆様ご存知のとおりであっても、純粋な音源だけのリマスター盤は、おそらく今回が初めてのオフィシャル化と思われますので、これまた大いに楽しみです。

気になる発売日は来年の2月に予定されていますので、サイケおやじとしては再び前述のブートを聴き直し、幾分かの内容紹介を試みる所存です。

あぁ~~、凄く楽しみだぁ~~~!
 
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追想ジンジャー・ベイカー

2019-10-20 17:50:51 | cream
Anyone For Tennis c/w ねずみといのしし / Cream (Polydor / 日本グラモフォン)

それがこの世の理とはいえ、近年の拙ブログにおいて、鬼籍に入る偉人の話題が尽きないのは、やはり自分が齢を重ねているからでしょうし、そうは思っていても、悲しい気持ちに変わりはありません。

で、本日は唯一無二の天才ドラマーとして、未来永劫に語れ継がれるジンジャー・ベイカーへの追善供養として、掲載したのはクリームが1968年に出したシングル盤です。

説明不要とは思いますが、クリームはエリック・クラプトン(g)、ジャック・ブルース(b)、そしてジンジャー・ベイカー(ds) という既にキャリアを重ねていた実力派の3人が1966年に結成したロックバンドでありながら、発売されるレコードと実演ライブでは、やっているスタイルが違っていたという真相がイマイチ、我が国では伝えられていませんでした。

もちろん、業界関係者や評論家の先生方は知っていたはずですが、少なくとも日本の洋楽ファン、特にサイケおやじを含む青少年には、とにかく発売されるレコードが全てであった時代、クリームの「顔」はジンジャー・ベイカーであり、それは日本盤7吋シングルのジャケットがほとんどジジイな風貌のドラマーであれば、クリームの実態が尚更に???な印象だったんじゃ~ないでしょうか?

少なくともサイケおやじにとっては一時期、クリーム ≒ ジャジャー・ベイカーってのは変だよなぁ~~!?!

それはそれはミョウチキリンな気分でありました。

なにしろクリームの代表的な名演である「クロスロード / Crossroads」の日本盤シングルからして、スリーブジャケ写がエリック・クラプトンならば納得のはずが、ジンジャー・ベイカーでしたからねぇ~~~!?

しかし、クリームというバンドがクリームであるためには、あのドカドカ煩いジンジャー・ベイカーのドラミングが不可欠なのは揺るがせに出来ない真実です。あの一撃、あの一発における所謂ハードヒットは演奏中の爆裂ドラミングとなり、当時の洋楽雑誌に掲載の写真で見るツインのバスドラの威圧感は、これぞっ! 世界最高のドラマーの証明なのか!?

とまで、サイケおやじに畏敬の念を抱かせたのでした。

さて、そこで掲載のシングル盤が例によってジャンジャー・ベイカーのポートレートなのは当たり前みたいなデザインではありますが、しかし収録A面曲「Anyone For Tennis」はエリック・クラプトンが自作自演のアコースティックギターによる弾き語りが主役のジェントルな歌と演奏で、ストリングスや不思議な笛みたな彩が付け加えられ、ジャック・ブルースのベースは大人しいですし、ジンジャー・ベイカーはパーカッションをポコポコ叩いているだけで、ここには猛烈なクリームが聴けるわけではありません。

ところが、これが罪作りな1枚で、リアルタイムじゃ~、クリームが出していたLPには未収録だったが故に、クリーム信者というか、既に神様のエリック・クラプトンに帰依していたサイケおやじとしては、ど~しても聴きたいシングル盤だったんですねぇ~~~。

実際、ラジオでも聴けず、それでも「エリック・クラプトンが自作自演」と洋楽雑誌では煽っていましたから、なんとか発売から2年後、シングル盤を入手して針を落とした瞬間の胸の高鳴りは、皆様にご理解願えるものでしょうか。

そして同時に喰らった強烈な肩透かし!

前述したとおりの歌と演奏では、LPに入れられなかったのも……、そんな不遜な気持ちばっかりが残ったものでした。

しかし気を取り直してB面を聴いて、またまた驚愕!?!

なんとっ! 歌っていたのがエリック・クラプトンでもジャック・ブルースでもない声で、つまりはジンジャー・ベイカーが自作自演のニューロックだったんですねぇ~~~!

曲調は抑揚の少ない、所謂モードジャズっぽい演奏にトーキングの節回しが乗っているだけと言えばミもフタもありませんが、被ってくるストリングスはマジカル期のビートルズみたいですし、ワンパターンのリフが積み重ねられる中で蠢くジャック・ブルースのベース、そして終盤では幾分小さ目のミックスなのが勿体ないほど凄いエリック・クラプトンのギターが唸るんですから、たまりません。

実はこの「ねずみといのししい」はクリーム畢生の名盤アルバム「クリームの素晴らしき世界 / Wheels Of Fire」のスタジオ録音パートに既に収録されていたトラックではありますが、A面がショボかった反動で、当時はこっちばっかり聴いていたのがサイケおやじの本性です。

う~ん、こ~なってみると、ジャケットスリーブがジンジャー・ベイカーのデザインで大正解!?

そんな確信とも勘違いとも言い訳出来ない心持になっていたのが中学時代のサイケおやじでありました。

そして衷心より合掌。

あぁ……、あの世でもジャック・ブルースと喧嘩セッションしている偉人ドラマーが目に浮かぶばかりです。
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魔法の道具だったワウワウ

2013-03-09 15:53:53 | cream

White Room / Cream (Polydor / 日本グラモフォン)

昨日、ちょっと書いたトーキングモジュレーターと同じく、サイケおやじが好きなエフェクターにワウワウがあります。

これは皆様ご存じのとおり、足で操作するペダルを踏んだり離したりするタイミングで、例えばギターならば単音で弾くフレーズにワウワウワウワウワなぁ~んていう効果が作れますし、リズムギターとの合わせ技だと、例えばニューソウルでは定番の使い方になっているサイケデリック調のアフロビートみたいなサウンドが出せるんですねぇ~~♪

しかし、それゆえに演奏者のリズム感の卓越が求められるわけでして、つまりは演奏しているうちに身体そのものがピートにノッていないと、とんでもないヘタレをやってしまうのは必定!?

もちろんサイケおやじにしても、必死の練習をやったところで、生まれつきのリズム感の悪さという言い訳を弄する他はないほど、トホホをやらかしてばかりなんですが、好きなものは好きと居直っている次第です。

で、それほどの魅力があるワウワウをサイケおやじが知ったのは、クリームが演じた本日掲載のシングル盤A面曲「White Room」における、エリック・クラプトンのニューロックギター(?)が最初でありました。

ただしリアルタイムだった1968年、未だ純真少年だったサイケおやじに「ワウワワウ」というエフェクターは知る由もなく、う~ん、この音はトレモロアームでも無いし、なんだろう……???

という魔法にかけられていたのが本当のところです。

当然ながら、その頃はGSブームも絶頂だったんですが、少なくともテレビに出演するようなバンドでワウワウを使っていたギタリストは見たことがありませんでしたし、そもそもエフェクターと言えば、簡単なエコーマシンかファズがどうにか普通になりつつあった程度ですからねぇ~。

やっぱり本場第一線のトップグループは、出している音が違う事を痛感させられました。

そして件のワウワウ=ワウペダルの存在を知ってからは、特に高校に入ってエレキギターを手にした事もあり、その魔法の道具を使ってみたくてしょ~がありませんでしたが、もちろん自分で買えるわけもなく、周囲にも所有している友人や知り合いがいませんでしたので、夢想は広がるばかりだったんですが……。

初めてそれを使える事になってみると、既に述べたように、自らのリズム感の悪さをあらためて思い知らされたのですから、いやはやなんとも、お恥ずかしい話です。

しかしワウワウには、もうひとつ、裏ワザ的な使い方があって、ギターでソロパートを弾いている時のキメの瞬間、ワウペダルをグッと最後まで踏み込めば、バーストした特有の歪みサウンドが得られるんですねぇ~~♪

これがかなり、気持良いんですよっ!

ということで、最近のワウワウはオートマチックというか、繋ぐだけで簡単にそれらしい効果が得られる機種もありますが、やはり人力マニュアルでやったほうが面白いに決まっています。

まあ、それが古いタイプのサイケおやじの本音ではありますが、エリック・クラプトンやジミヘン、そしてシカゴのテリー・キャス等々、その方面の名人達だって、アナログでやるところに個性を発揮していたのですから、ちょっとでもワウワウに興味を感じるのであれば、練習あるのみ!

個人的には完全に「下手の横好き」ではありますが、死ぬまで捨てきれないエフェクターがワウワウなのでした。

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ガセネタも楽しきクリームのベスト盤

2012-02-28 15:10:31 | cream

The Best Of Cream (日本ポリドール)

ネットが無かった昭和の時代には、今の様に簡単に各種の情報が取れませんでしたから、勢い錯綜した真偽に振り回される事も少なくありませんでした。

例えばサイケおやじの周辺では、本日ご紹介の日本編集によるクリームのベスト盤LPが、一時はその対象として騒がれましたですねぇ。

 A-1 Sunshine Of Your Love
 A-2 World Of Pain / 苦しみの世界
 A-3 Dance The Night Away / 夜通し踊ろう
 A-4 We're Going Wrong / 間違いそうだ
 A-5 Outside Woman Blues
 A-6 Crossroads
 B-1 White Room
 B-2 Wrapping Paper / 包装紙
 B-3 Born Under A Bad Sign / 悪い星の下に
 B-4 Sweet Wine
 B-5 Rollin' And Tublin'
 B-6 Strange Brew

なんとっ! オーラスに収録の「Strange Brew」が、全くの別テイク!?!?

しかし、結論から言えば、それは全くのガセネタだったんですが、現在では皆様も良くご存じのとおり、この「Strange Brew」は本来「Lawdy Mama」という、クリーム解散後に発表されたスタジオアウトテイク曲を改作したものであり、そうした情報は既にファンの間では知られた事でした。

そして、その経緯が様々な尾ヒレと共に流布される時、クリームが真のスーパーグループとして決定的な名声を得る証明作品としての2ndアルバム「カラフル・クリーム / Disraell Gears」が、後にマウンテンを結成するフェリックス・パパラルディという天才によってプロデュースされたという実態は極めて重要であり、1967年5月に行われたニューヨークでのレコーディングセッションこそが、新しいロックを確立させた現場のひとつでありました。

で、それは最初、実質的にはクリームによるセルフプロデュースとしてスタートし、問題の「Lawdy Mama」は古いブルースをエリック・クラプトンがアレンジしたものだったんですが、結果的に頓挫したマテリアルをレコーディングエンジニアとして参加していたフェリックス・パパラルディが補作加工し、見事に「Strange Brew」へ変身させたと言われています。

もちろん、その手腕からフェリックス・パパラルディは正式にクリームのプロデューサーに昇格するわけですが、その過程で作られた「Lawdy Mama ~ Strange Brew」の幾つかのバージョンがあるという現実の真相は!?!?

まあ、このあたりは10年ほど前に出たクリームの4枚組CDセットに「version 1」という肩書きで最初期の「Lawdy Mama」が登場し、これまでアルバム「ライブ・クリーム / Live Cream」にオマケ的に収録されていたテイクが「version 2」に改称された事により、その秘密の一端が明かされたわけですが……。

さて、ここで問題となるのが、ど~して本日ご紹介のLPにそうした逸話がデマとして紛れ込んだのか!?

その点は、なかなか意味深じゃないでしょうか……?

ちなみにサイケおやじが、このデマに惑わされたのは、どうやら中古屋巡りをしている仲間からの情報であって、結果的にそれまでは見向きもしなかったブツを探すという、ある意味では「ひとつのお楽しみ」が生まれたのですから、一概に怒るわけにもいきません。

ということで、本日書いたのと似たような思い込みや勘違いは他にも多々ありまして、そんなところも、また中古盤漁りの醍醐味(?)というわけです。

そして実際にアッと驚く新発見も、きっちり出てくるんですよねぇ~♪

例えば、このクリームのベスト盤LPであれば、本来がバラバラだった音圧等々を調正するためでしょうか、オリジナルバージョンよりは全体的にエコーが強くなっていたり、あるいは日本盤特有の幾分モコモコした音質がそれと相まって、妙にサイケデリック風味が濃くなっていたりと、ミョウチキリンな鑑賞フィーリングがあるように思います。

いやはや、これだからレコード集めは止められませんよっ!

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ニューロックは音で差をつける

2011-10-18 15:38:21 | cream

Sunshine Of Your Love / Cream (Reaction / 日本グラモフォン)

エリック・クラプトンは説明不要の偉大なロックギタリストで、その早弾きから繰り出されるフレーズ構成はもちろんの事、サイケおやじを殊更に驚愕させたのが、ギターの音色そのものでした。

例えば本日ご紹介の「Sunshine Of Your Love」はクリームの代表的なヒット曲として、今やロックの聖典のひとつになっているとおり、リアルタイムでの衝撃度は実に強烈で、ヘヴィなロックビートを基本に作られた下降ラインのリフや所謂ブルース衝動の白人ロックへの融合応用の凄さは、後付けになるほどの理不尽さがあったと思います。

しかし一番に画期的だったのは、エリック・クラプトンが聞かせていた「エレクトリックギターの音」だったんじゃないでしょうか。

実際、サイケおやじが「Sunshine Of Your Love」を最初に聴いたのは昭和43(1968)年でしたが、それは中学生だった自分にとっては、まさに未知の領域で、なにしろ同時期の我国で活動していたGSのギタリストからは遥かに異なるサウンドだったのです。

ご存じのように、日本人にとってのエレギギターは文化を塗り替えられたといって過言ではない「黒船」でしたが、クリームのエリック・クラプトンはベンチャーズや寺内タケシ等々がそれまで聞かせてくれたエレキとは違う、ある種の「歪み」や「濁り」を強調した音を出していて、それは既に知られていた「ファズ」で作られるジージージジリジリの響きでもなかったんですねぇ。

しかもラジオ放送からでも感じられる、強制的な音圧感!

クリームがエリック・クラプトン(vo,g)、ジャック・ブルース(vo,b)、ジンジャー・ベイカー(ds) という3人だけのグループであった事を鑑みるほどに、それは当時としては驚異的な事でした。

そして洋楽雑誌に掲載されているクリームのライプステージの写真には、大きなアンプが連なって並べられ、エリック・クラプトンはサイケデリックにペイントしたエレキギターを持っているのですから、これは機材からして日本のバンドとは絶対に違うんだなぁ~~~、と痛感させられた次第です。

まあ、今となってはそれがマーシャルのアンプであり、ギターはSGスタンダードを使うことによって作り出されたディストーションサウンド! と簡単に言われてしまうわけですが、リアルタイムでは本当にミステリアスだったんですよっ!

ちなみに、これは定番化している裏ワザなんですが、エリック・クラプトンが十八番のワウワウを使う時、そのペダルを思いっきり踏み込んだ状態で得られるバーストした歪みも、ヘヴィなロックには欠かせない「音」であり、これはサイケおやじも好んで使わせてもらう必殺の一撃になっています。

あぁ、そう言えばワウワウにしても、当時はそんな機器の実態なんてサイケおやじには知る由も無く、どうやってあんな音やフレーズを弾いているのか!? それも謎に包まれていましたですねぇ~。

このあたりはジミヘンに対しても同じ受け止め方だったんですが、本当に不思議だらけだったのが、ニューロックの真相というわけです。

さらにクリームは、そしてエリック・クラプトンは、あの「Crossroads」の大名演で驚異的に美しいエレクトリックギターの「歪み」を披露し、世界中のファンをKOしたのですから、後は信じてついていくだけでした。

ということで、ボーカリストに声質の魅力があるのと同じく、楽器奏者にも音色の魅力を訴える資格と義務があればこそ、音楽は素晴らしいのです。

そして特にロックの場合は、電気増幅された世界観が圧倒的に有利な地位にありますからねぇ~♪

その意味で、実はサイケおやじがゲットした掲載シングル盤はモノラル仕様だったんですが、後に聴く事が出来たアルバム収録のステレオミックスでは、さらにクッキリとしたエレクトリックギターやドカドカ煩いドラムス、そしてハードエッジにドライブするエレキベースの存在が実に屹立していて、これまた驚異の世界でした。

少年期に限らず、驚く事もまた、素晴らしさのひとつだと思っています。

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クリームにもあったトホホなジャケ写

2011-01-03 17:02:02 | cream

スクラップヤード c/w 悪い星の下に / Cream (Polydor / 日本グラモフォン)

エリック・クラプトン(g.vo)、ジャック・ブルー(b,vo)、そしてジンジャー・ベイカー(ds.per,vo) の3人が組んでいたクリームは、まちがいなく世界遺産となるべきロックバンドだと思いますが、それにしては、この日本盤シングルのデザインはなんだっ!?!

A面は1969年に発売されたクリームの公式ラストアルバム「グッバイ」から、またB面はその前年に世界を揺るがした最高傑作「クリームの素晴らしき世界」からのカットで、我国では恐らく昭和44(1969)年に出たものです。

告白すれば、若き日のサイケおやじはB面のプルースロック「悪い星の下に / Born Under A Bad Sign」が聴きたくて買う決意をしたのですが、もちろん本命のLPが経済的に手が出なかった事に由来します。

しかし実際にレコード屋の店頭で現物を見た瞬間、ほとんど変態と低能とホームレスのような三馬鹿大将のジャケ写には呆れましたですねぇ……。

正直、買うのを止めようかと思ったほどです。

まあ、それでも音楽そのものの魅力は圧倒的でしたから、結局は入手したわけですが、思えばこの頃の日本グラモフォンから発売されていたシングル盤のジャケットには、例えばクリームなら「Crossroads」、ディープ・パープルならば「Emmaretta」のような、勘違い以上にトホホなデザイン&ポートレイトが少なくないと……。

まさか後世に所謂ネタを残そうとした担当者の目論見だとしたら、それこそ笑い話なんですけど、案外そんなところが真相だとしか思えないのは、お正月ゆえの戯言とご容赦下さいませ。

おめでたい初笑いとなれば、幸いではありますが、これは決してクリームの偉大な業績を貶める意図ではないことを明言させていたたぎます。

失礼致しました。

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そっとしておきたいクリーム

2009-10-11 12:12:35 | cream

Badge / Cream (Polydor)

ロックバンド芸能史で最初に解散記念盤を出したのは、クリームだったでしょうか?

とにかく1969年3月に世に出た「グッパイ・クリーム」というアルバムは、グループとしては初めてチャートのトップにランクされるほどのヒット作になりました。

もちろんこれは解散後に発売された、ある意味ではお金儲けの道具ではありますが、業界のそんな思惑よりは、クリームという偉大なバンドを惜しむファンの気持が、件のアルバムを名盤扱いにしています。

ご存じのようにクリームはエリック・クラプトン(g,vo)、ジャック・ブルース(b,vo)、ジンジャー・ベイカー(ds) というテクニックも音楽性も極めて高い3人が、それこそガチンコでやっていたスーパートリオ! しかもそこには妥協なんて言葉は無かったと言われていますし、人間関係の縺れは日常茶飯事だったとか!?

ですからスタジオセッションでの雰囲気の危なさが、出来あがったトラックにはモロに反映されていたり、またライプステージでは決してナアナアの慣れ合いとは無縁のアドリブ対決が毎度の事でしたから、ファンは何れも、そうした緊張感にスリルを感じていたと思います。

そして行き着く先は当然、解散!

1966年のデビューから2年後の1968年9月には解散声明が出され、同年11月に「さよならコンサート」があって、ついにニューロックを作り上げたクリームは溶けてしまうのですが、その最後の仕事のひとつが、前述した解散記念盤「グッバイ・クリーム」の制作でした。

尤も中身は新録なんて全くありません。録り溜めてあったライプ音源とスタジオでの没テイクに手を入れただけの、所謂レアリティーズです。

そして本日ご紹介のシングル盤は、そこからカットされたスタジオ録音の楽曲なんですが、まず印象的なのが解散という、一般的には悲しい出来事とは全く逆の、実に晴れやかな表情の3人が写るジャケットじゃないでしょうか。これは当該アルバム「グッバイ・クリーム」にも使われていた写真の流用デザインなんですが、まだ世の中の事なんか全然知らない少年時代のサイケおやじは、ちょっと不思議な気分にさせられました。

で、この「Badge」は、今日でもエリック・クラプトンのライプステージには欠かせない演目の初演バージョン♪♪~♪ ご存じのとおり、ジョージ・ハリスンとエリック・クラプトンの共作で、ジョージ本人もリズムギターを担当したという、本当に歴史的意義の高いトラックです。

そこにはエリック・クラプトンのリードボーカルとギターソロが、きっちり「お約束」して入っていますが、何よりもグッと惹きつけられるのが、中間部で聞かれる印象的なギターアルペジオの下降リフでしょう。

これはジョージ・ハリスンがビートルズで演じた「Here Comes Sun」にも同じ趣向が確かにありますが、個人的には、こちらが憎めません。

ちなみに私がこのシングル盤を買ったのは「Crossroads」の次で、しかもその時点ではクリームのアルバムは全然買えていませんでしたから、ますますクリーム熱が高くなりました。と、同時に、これで解散という事実にも、せつなくなりましたですねぇ……。

それゆえに後に発売された2枚のライプ盤はリアルタイムでゲットしましたし、公式アルバムも後追いで、思い込みも激しく聴きました。

そしてそうするうちに、やっぱりクリームは解散して良かった……、と思えるようになったのです。何故かと言えば、残されたギンギンドロドロのライプ演奏は、それ自体がリアルタイムの音でしかないのです。つまり1960年代後半の雰囲気しか表現出来ていないと思います。

このあたりは完全にサイケおやじの独断と偏見ですし、実際に同時代を生きた皆様にしても分かってもらえない感覚かもしれません。しかし1970年代に、クリームのような妥協の出来ないライプ演奏をしていたら、それは時代錯誤と言われるでしょう。

またスタジオ録音された楽曲にしても、歌詞の抽象性や曲構成のキメ方が、あまりにも究極まで行っています。つまり基本はトリオでの演奏が、これ以上の発展を許さないスキの無さ! なんですねぇ~。

エリック・クラプトンが後にレイドバックしたり、ジャック・ブルースが懐古趣味的なヘヴィロックに走ったり、またジンジャー・ベイカーが土着のリズムやビートに拘り始めたのも、結局はクリームが良くも悪くも凄すぎたからでしょうか?

ということで、今となっては、そっとしておきたいのが、クリームに対するサイケおやじの心情です。しかし何かのきっかけで、この「Badge」のキメのリフが頭に鳴り響くのは何故でしょう。そっとしておきたいのに……。

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十字路で熱演のクラプトン、でもジャケ写は?

2009-07-21 09:02:47 | cream

Crossroads / Cream (Polydor / 日本グラモフォン)

全てがブッ飛ばされる瞬間って、誰しも一度は経験するものでしょうが、サイケおやじにとっては、このシングル曲もそのひとつでした。

演じているクリームはご存じ、エリック・クラプトン(g,vo)、ジャック・ブルース(b,vo)、そしてジャンジャー・ペイカー(ds,per) というトリオで、それまでのロックの既成概念を大きく逸脱しながら、新しい可能性を見事に提示したバンドでしたが、その凄い部分が日本では、リアルタイムできちんと伝わっていたかといえば、答えは否でしょう。

クリームと他のバンドの一番の違いは、レコードで世に出る演奏とライブの現場での音が完全に異なっていることですが、それは極めてジャズに近いアドリブの応酬でした。

もちろんクリーム以外のバンドにしても、実際のステージではレコードと同じ演奏や音を出しているわけではなく、間奏や全体の纏め方が異なっているのは当然なのですが、それは失礼ながら、ある種の「ごまかし」であり、ミスを転じてスリルになっている事が少なくないのです。

しかしクリームは、それを意図的にやっていたんですねぇ。

つまりロックンロールのジャズバンドというか、ジャズで言えば「テーマ」にあたる曲メロ演奏と歌があって、間奏のパートがアドリブ! それもギンギンにドロドロ!

このあたりが当時の日本では音楽マスコミの伝え方がイマイチ上手くなくて、少年時代のサイケおやじにしても、クリームは凄いらしいが、それは……??? という気分でした。

ところが昭和44(1969)年になって、ようやく日本でも発売された名盤アルバム「クリームの素晴らしき世界 / Wheels Of Fire」のライブパートに入っていた演奏を聴けば、それは怖いほどに真実を突いていたのです。

ちなみに、その「クリームの素晴らしき世界」は欧米では前年に2枚組LPとして世に出たのですが、どういうわけか日本では1枚目のライブパートが「金色」、もう1枚のスタジオパートが「銀色」という、オリジナルデザインを色分けした単独アルバムという形式で発売されています。

それでも1枚が1750円でしたからねぇ……。中学生だった私には、とても買えません。しかし友人が持っていた、その「金色」を聞かせてもらってからは、あまりの衝撃に唖然とするほどでした。

特にA面ド頭に入っていた「Crossroads」の物凄さ!

スピード感満点にカッコ良すぎるキメのリフからスタートし、ドカドカ煩いドラムスとグイノリに蠢くエレキベースに後押しされ、幾分不安定なエリック・クラプトンのボーカルがあって、ついに鳴り響くギターソロの恐ろしさ! 全くそれまで聴いたことのなかった世界でしたねぇ~。音色もフレーズも、またノリそのものが、それまでのロックやR&Bとは完全に異質でした。また背後から襲いかかってくるが如きジンジャー・ベイカーのドラミングも容赦なく、さらに好き勝手に弾いているとしか思えなかったジャック・ブルースのエレキベースが、完全に私の好きな世界です。

それは既にザ・フーのジョン・エントウィッスルやゴールデンカップスのルイズルイス加部の演奏によって知っていたスタイルではありましたが、ジャック・ブルースの演奏はさらに飛躍していたというか、今になって思えば、それはジャズ!

ちなみにジャック・ブルースもジンジャー・ベイカーも当然ながらジャズバンドでの活動がクリーム以前にあったわけですが、それにしてもロックビートでそれをやってしまう発想と実力は凄すぎますねぇ~♪

しかしエリック・クラプトンの存在感は、そんな諸々を完全にブッ飛ばす勢いで、特に2回目のギターソロに入った瞬間の、まさにロックンロールの突然変異的なフレーズと「泣き」が「官能の叫び」に覚醒したようなギターの音色! もちろん当時はセックスなんかしたこともなかったサイケおやじにしても、ここでのバンド各人の絡みは、なんか野獣のような性行為を妄想させられる瞬間までありました。

バンド全体のグルーヴは明らかに「前ノリ」だと思うのですが、エリック・クラプトンのギターソロは独特のタメとモタレがブルースの本質を維持しつつ、完全に「ロックギター」の新しき夜明けという感じでしょうか?

そしてLPが買えなかった私がゲットしたのは、本日ご紹介のシングル盤というわけですが、それにしてもレコード屋の店頭で手にしたジャケットの???の気分は、今でも鮮烈です。

だって演奏は完全にエリック・クラプトンが主役なのに、ジャケ写ではジンジャー・ベイカーのでっかい顔が!?! まあ、当時の雑誌に載っていたクリームの写真にしても、メンバーは長髪に髭、さらに「老け顔」だったとはいえ、これはねぇ……。

ということで、「Crossroads」で完全にエリック・クラプトンに魅了された私は、ビートルズに客演した「ホワイトアルバム」での「While My Guitar Gently Weeps」とか、クリームの他のレコード、ブラインド・フェイスやデレク&ドミノス、さらにゲスト参加していた様々なセッションレコーディングも聴いていくのですが、個人的な気持ちとしては、エリック・クラプトンは、やはり「Crossroads」が最高!!!

ちなみに「Crossroads」は天才ブルースマンだったロバート・ジョンソンのオリジナルで、歌の内容には十字路で悪魔に魂を売るとか、神様に出会うとかいう話らしいというのは後で知ったことですが、とすれば、エリック・クラプトンがクリームの時代に既に「神様」扱いだった事も、納得する他はありません。

実際、ここでのエリック・クラプトンは人間を超越した、何かを感じさせます。

極言すれば、これを聴いていたからこそ、後にエリック・クラプトンがレゲエや気抜けのビールのようなレイドバック、さらにグチっぽい「Wonderful Tonight」をやっても、私は笑っていられたのかもしれないのです。

そして何時か再び、神様は「Crossroads」の瞬間に降臨するはず!

本当に、そう思います。

コメント (2)
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