OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

世の中、ノリです♪

2006-01-04 17:33:57 | Weblog

やはり仕事初めはノリが良くありません。そこで本日はノリ、イッパツというアルバムを――

Everything I Paly Is Funky / Lou Donaldson (Blue Note)

レア・グルーヴがもてはやされる以前の日本のジャズ喫茶では、コルトレーンが神様なので、その対極にあるようなこのアルバムが鳴ることは、ほとんど無かったと思います。少なくとも私は聴いたことがありませんでした。

そもそもこのアルバムを常備していたジャズ喫茶が、当時あったでしょうか……?

フュージョン全盛期にも、それはなかったような……。

で、結局、私がこのアルバムを好きになったきっかけは、バーゲンで3枚千円とかいう叩き売りの員数あわせで買ったのが本当のところです。しかし何気に聴いてみると、これがなかなかに私の琴線にふれる出来でした。

まずA面1曲目の「Everything I Do Gonna Be Funky」からしてゴキゲンです。始まりはスタジオの中でワイワイガヤガヤ楽しそうに雑談があって、♪Everything I Do Gonna Be  Funky~ と歌いだされ、合の手で From Now On と入る鼻歌コーラスが、もう最高です。そしてそのメロディがドナルドソンのアルトサックスに移され、バックでうねるエレキベースにビシバシのドラムスが絡んできて、大グルーヴ大会になるのです。そして全くこのノリは、私が最も好むところで、ペキペキのソウル・ギターやソウルブラザー丸出しのコーラスには完全降伏です。

ちなみにこのアルバムの演奏メンバーは、ルー・ドナルドソン(as)、エディ・ウイリアムス&ブルー・ミッチェル(tp)、チャールズ・アーランド&ロニー・スミス(org)、メルビン・スパークス(g)、ジミー・ルイス(b)、アイドリース・モハメッド(ds) という布陣が、曲によって入れ替わっており、録音も1969年と1970年にまたがっているようです。

2曲目の「Hamp's Hump」も重たいビートがうねる中でメルビン・スパークスのギターが炸裂し、ブルー・ミッチェルのトランペットが如何にもという綱渡りフレーズを綴り、主役のドナルドソンがなかなか登場しないという、勿体ぶったファンキー・グルーヴがたまりません。もちろんドナルドソンは独特のケレンを披露しますし、ロニー・スミスのオルガンがチープなサイケ味で、聴いているうちにズブズブと泥沼に引き込まれそうになる演奏です。とにかくリズム隊のヘヴィなビートが全て!

3曲目は人気スタンダードの「Over The Rainbow」が不思議な夜のムードで演じられますが、本来こういう部分はドナルドソンの得意とするところなので、ワザと音程を外して戻すというウラワザまで披露して盛り上げていきます。

さてB面に入ると、まずド頭がブリブリのブーガール・ナンバー「Donkey Walk」ですから、もうこれは完全にドナルドソンのペースにハマってしまいます。もちろん重たいビートにチープなアドリブ・ソロというミスマッチが、逆に誰でも出来る芸では無いことの証明になっていると思います。そしてここでは、特にメルビン・スパークスが熱演です♪

続く「West Indian Daddy」は完全にハコのラテンバンドというか、1970年代の新宿のデパート屋上ビアガーデンという雰囲気です。なんとなくフュージョン路線の渡辺貞夫という感じもしますが、オトボケもほどほどに、実はゆる~いグルーヴを生み出すべく、真剣勝負なんでしょうねぇ……。

しかし大団円の「Minor Bash」はカッコイイ! これは大ハードバップ大会です。曲調はドナルドソンが十八番のアップテンポのブルースですが、ズンドコ・ドラムとツッコミだらけのオルガンが最高にファンキーですから、ドナルドソンも楽しくノッています。当然、2番手のブルー・ミッチェルもお約束のフレーズ全開♪ ただしオルガンのロニー・スミスは、張り切り過ぎてコルトレーンに捧げるような演奏をしてしまいますが、憎めません。

ということで、これは素直に、心底楽しまなければ損をするという作品です。とにかく聴いてみて下さい! という他はありません。もちろんジャズのガイド本には載っていないでしょうから……。例によってジャケ写からネタ元に繋げてありますので、試聴出来るはずです。

コメント (2)
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