OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

史上最強のゲット・ヤー

2009-12-31 10:49:42 | Rolling Stones

Get Yer Ya-Ya's Out! 40th Anniversary Deluxe Edition
                                            / The Rollong Stones (Abkco / ユニバーサル)


ストーンズが1969年の北米巡業から作られた名作ライプ盤のデラックスエディション!

実はご存じのとおり、これは本来、前座出演した黒人ミュージシャン達の演奏も収録したアナログ盤2枚組LPの企画でしたが、発売元の英国デッカレコードから却下され、結局はストーンズの演奏だけを収めた1枚物として発売された経緯があります。

また同時に、歴史的に名高い海賊ライプ盤「Liver Than You'll Ever」が驚異的な売上となったことから、本来は映画用に録られたと思しき音源から制作されたという実情もありますから、その内容の濃さと諸々のエピソードは、まさにロック全盛期の証明でもありました。

そしてついに本年12月、待望の発売となったのが、本日ご紹介の「40周年記念箱」というわけですが、嬉しいことに本来の企画をさらに拡張した音源と映像の多角的なサービスが流石にデラックス♪♪~♪ 3枚のCDとボーナス扱いのDVDが1枚には、ライプ全盛期へと踏み込んでいった上昇期のストーンズの真実が記録されています。

☆Disc-1:Get Yer Ya-Ya's Out! Original Remaster
 01 Jumpin' Jack Flash (1969年11月27日)
 02 Carol (1969年11月28日、昼の部)
 03 Stray Cat Blues (1969年11月28日、昼の部)
 04 Love In Vain (1969年11月26日)
 05 Midnight Rambler (1969年11月28日、夜の部)
 06 Sympathy For The Devil (1969年11月28日、昼の部)
 07 Live With Me (1969年11月28日、夜の部)
 08 Little Queenie (1969年11月28日、昼の部)
 09 Honky Tonk Women (1969年11月28日、昼の部)
 10 Street Fighting Man (1969年11月28日、昼の部)
 このパートについては、オリジナルのアナログ盤収録の音源をリマスターした事になっていて、その詳細については本サイト「サイケおやじ館」内の拙稿「転石音盤史 1970 part 1」を参照していただきたいのですが、そこでも述べたとおり、ライプ音源といっても、後にスタジオで様々な手直しが行われたのはミエミエでした。
 参考までに、海賊盤音源やファンクラブ用の資料から、基本となった録音年月日を入れておきましたが、「11月28日の昼の部」に関しては、おそらくこれまでにコンプリートな音源がブートでも発掘されていないようで、当然ながら私も全貌を聴いたことがありません。
 ただし通称「アップルアセテート」と呼ばれる、この公式ライプ盤の未完成ミックス音源が様々なプートで流通しておりますから、そこでの顕著な違いとか、完成されるまでの試行錯誤がファンにとっては嬉しいところでした。
 で、今回の音質等々は、現行の2002年のリマスターバージョンと基本的な変化はそれほど感じられないものの、低音域の輪郭が幾分、補正されている感じがしています。

☆Disc-2:Unreleased Tracks
 01 Prodigal Son (1969年11月28日、夜の部)
 02 You Gotta Move (1969年11月28日、夜の部)
 03 Under My Thumb (1969年11月27日)
 04 I'm Free (1969年11月27日)
 05 Satisfaction (1969年11月28日、昼の部)
 このパートは公式ライプ盤には未収録の音源集で、もちろんリアルタイムの北米巡業のステージでは定番だった演目ですから、悪いはずがありません。
 ただしこれだったら、当時のライプステージ全体を再現する編集が望ましかったのが本音です。もちろんオリジナルの「ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト!」と音源がダブりますから、無駄という実態もあるんでしょうが、そこはストーンズですよっ。
 ストーンズも、会社側も、こういう中途半端な姿勢があるから、ブートの需要も尽きないというのが結論では、ちょっと……。
 肝心の演奏については流石に公式音源とあって、アコースティックセットの「Prodigal Son」と「You Gotta Move」におけるミックとキースのシンプルな姿勢、また「Satisfaction」での激したバンドの勢いが克明に楽しめると思います。

☆Disc-3:B.B.King, Ike & Tina Tutner Sets
 01 Everyday I Have The Blues / B.B. King
 02 How Blue Can You Get / B.B. King
 03 That s Wrong Little Mama / B.B. King
 04 Why I Sing The Blues / B.B. King
 05 Please Accept My Love / B.B. King
 06 Gimme Some Loving / Ike & Tina Turner
 07 Sweet Soul Music / Ike & Tina Turner
 08 Son Of A Preacher Man / Ike & Tina Turner
 09 Proud Mary / Ike & Tina Turner
 10 I've Been Loving You Too Long / Ike & Tina Turner
 11 Come Together / Ike & Tina Turner
 12 Land Of 1000 Dances / Ike & Tina Turner

 ある意味では今回の復刻の大きなウリが、このパートです。
 つまり40年前の企画が、ようやく実現したというか、既に述べた本来の2枚組LPの1枚になるはずだった音源が、これだと思われます。おそらく収録されたのも、ストーンズのライプと同じマジソン・スクエア・ガーデンじゃないでしょうか? このあたりは、これまでの海賊盤でも全く聴けなかった音源ですから、確証はありませんが、興味深々♪♪~♪
 そして結果は、素晴らしいです!
 まず前半のB.B.キングは、ご存じモダンブルースの大御所にして、そのギタープレイとゴスペルフィーリングが濃厚な歌唱はロックにも多大な影響を与えた偉人として、今日では黒人芸能の域を超越した存在になっていますが、当時のアメリカでは白人が自発的に楽しめる一般的な人気はなかったと言われています。
 もちろん本人やスタッフは白人マーケットを意識したレコーディングも当時はやっていたのですが、実際の巡業ライプは黒人中心のサーキットでしたから、堂々と白人ファンの多いストーンズの前座というのは、相当に思いきった登場だったと思います。しかもバンドは全盛期の勢いが見事すぎる時代とあって、ハナからケツまでシビレが止まらない演奏ばかり!
 お馴染みのご挨拶という「Everyday I Have The Blues」から定番だった嘆きのブルース「How Blue Can You Get」と続く構成は、わかっちゃいるけど、やめられない♪♪~♪ 躍動して呻き、豪快にウネり、むせび泣くギターとボーカルのコンビネーションをがっちりと支える鉄壁のバンドアンサンブル! いみじくもB.B.キングがMCで「ストーンズに感謝しよう、だって君たちはB.B.キングが楽しめるんだから」という言葉に嘘はありません。
 それは後半のアイク&ティナ・ターナーのパートでも、尚更に鮮やかで、実は同時に制作されたストーンズ初の本格的劇場用映画「ギミー・シェルター」でも、その極一部が観られた濃厚なステージパフォーマンスが存分に楽しめますよ♪♪~♪
 ただし、それゆえに、ここは音源だけなのが非常に残念……。映像が観たくなるのが人情という贅沢は、決して独り言ではないはずです。ここは次なる発掘が待たれますね。
 ちなみにアイク&ティナ・ターナーが意識的に取り上げたと思われる「Gimme Some Loving」「Proud Mary」、そして「Come Together」といった白人ロックバンドのヒット曲を痛烈なR&Bに変換させるエグイ技の数々は、ストーンズが黒人ブルースやR&Bをカパーし、さらにパクっていた事実の裏返しとしても、当時の芸能界の本質が如実に浮き出た現象かもしれません。もう、最高ですよっ!

☆Disc-4:Bonus DVD
 01 Introduction
 02 Prodigal Son
(1969年11月27日)
 03 You Gotta Move (1969年11月27日)
 04 写真撮影
 05 スタジオでのキース
 06 Under My Thumb ~ I'm Free
(1969年11月28日、昼の部?)
 07 Satisfaction (1969年11月27日)
 08 Credits
 これまた、ボーナスというには驚愕の映像集!
 まず演奏部分ですが、音源的には Disc-2 と同じ演目でありながら、別テイク&別バージョンという恐ろしさです。ここは全く個人的な推察として、プート音源等々から演奏データを付記しておきましたが、映像ソースとしては映画「ギミー・シェルター」からの素材を上手く繋ぎ合わせたドキュメント作品として、とにかく物凄い中味の濃さは圧巻!
 特にステージ裏でのストーンズや関係者の様子は、まさに当時の状況の縮図で、なんとジミ・ヘンドリクスも登場! キースやミック・テイラーと簡単なギターセッションまでやっています♪♪~♪ また「Satisfaction」では客席で熱狂するジャニス・ジョプリンの姿もご覧になれますよ。さらに映画制作の関係者とかジャケット撮影現場の様子は、これまでもプート映像で少しは出回っていたとはいえ、日本盤は字幕付きですから、状況がリアルに楽しめます。
 そしてサイケおやじが特に感銘を受けたのが、「スタジオでのキース」というパートです。ピアノを弾いたり、マスターテープを探したり、当時はスタジオのエンジニアで、後にはストーンズのプロデュースも担当することになるクリス・キムジーと作業する真剣さは、歴史のヒトコマにさえ見えてきます。
 それと、例のオルタモントへと移動するストーンズとグレイトフル・デッドの面々がヘリコプターを待っている場面も、後の混乱を鑑みれば、なかなか味わい深いと思います。

ということで当然、サイケおやじには歓喜悶絶のプレゼントになりました。もちろんゲットしたのは日本盤なんですが、それはDVDの字幕がキメ手というわけです。

ちなみに商品仕様は掲載した写真のとおり、豪華な箱に入ったデジパック体裁のディスクが4枚、当時の北米巡業のボスターを縮小したレプリカ、豪華なハードカパーのブックレット、さらに日本盤には翻訳解説書とオリジナル「ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト!」のイギリス盤を縮小再現した紙ジャケットが付属するという大サービスが嬉しいかぎり♪♪~♪

そして実は今回、前述した映画「ギミー・シェルター」のリマスターDVDも同時に発売されているのですが、ボーナスDVDに収録の映像は、そのオマケ部分でもご覧になれない素材が使われていますから、要注意!

しかし、これでも、まだまだ出し惜しみしているとしか言えないところが、確かにあるんですよねぇ~~。こうなったら、ど~~しても長生きして、その後は地獄でも天国でも、一生ついていく決意を固めるのでした。

最後になりましたが、今年もお世話になりました。

こうして独善的な戯言プログを続けられたのも、皆様のご厚情があればこそと、感謝しております。

来年も、よろしくお願い致します。

コメント (6)
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初期のシカゴへ思い入れ

2009-12-30 13:32:14 | Rock

シカゴと23の誓い / Chicago (Columbia)

ブラスロックの王者というよりも、私の世代では2枚組の王者として屹立したのが、シカゴというグループでした。

ご存じのとおり、シカゴは1969年に正式レコードデビューした時から、完全にアルバム優先で政治的なメッセージも含んだ力強い歌と演奏をやっていたわけですが、同時にシングルカットされたヒット曲のインパクトも絶大な人気バンド!

ですから、どうしてもアルバムを聴きたいというのは人情なんですが、当時の我国の中高生でシカゴの2枚組LPが買えた者は、極僅かではなかっでしょうか。なにしろデビューから3作目までが何れも2枚組、さらに4作目にあたるライプ盤が驚異の4枚組だったのですから、目の前は真っ暗でした。それも1969年から1971年にかけての短期間だったんですよ!?!

で、本日ご紹介はシカゴのセカンドアルバムとして1970年に発売され、忽ち世界中で大ベストセラーとなった初期の傑作なんですが、それは諸外国ではLP2枚組であっても、1枚物とそれほど大差の無い価格で販売されていたという事実を知ったのは、かなり後の事でした。

そしてリアルタイムでは決して買うことの出来なかった、この人気盤を私がゲットしたのも、発売から2年後に開催された某デパートでの輸入盤セールだったのです。

 A-1 Movin' In
 A-2 The Road
 A-3 Pome The People
 A-4 In The Country
 B-1 Wake Up Sunshine
 <Baliet For A Girl In Buchannon>
 B-2 Make Me Smile / ぼくらに微笑みを
 B-3 So Much To Say, So Much To Give
 B-4 Anxiety's Moment
 B-5 West Virginia Fantasies
 B-6 Colour My World / ぼくらの世界をバラ色に
 B-7 To Be Free
 B-8 Now More Than Ever
 C-1 Fancy Colours
 C-2 25 Or 6 To 4 / 長い夜
 C-3 Prelude
 C-4 A.M. Mourning
 C-5 P.M. Mourning
 C-6 Memories Of Love
 <It Better End Soon>
 D-1 1st Movement
 D-2 2nd Movement
 D-3 3rd Movenent
 D-4 4th Movement
 D-5 Where Do We Go From Here

上記の収録演目は邦題どおり、23のパートに分かれていますが、実はLP片面毎の組曲形式であることは、これも記載クレジットから推察出来ると思います。

ですからシングルカットされ、大ヒットを記録した「ぼくらに微笑みを」や「長い夜」も当然ながらシングルバージョンでは決定的な編集が施されていますから、初めてアルバムの流れの中で聴くそれらの楽曲に対する違和感を払拭出来ないものが、私の世代にはあるんじゃないでしょうか。

しかし、そうした功罪は確かに存在するものの、アルバム全体としての完成度と密度は相当なもので、ジャズやR&Bに加えてクラシックや現代音楽のスパイスも効かせた秀逸な曲作りとアレンジが、見事に纏まった歌と演奏で楽しめるのです。

ただし率直に言えば、例えばソウルフルなボーカルでスタートするA面初っ端の「Movin' In」では、中間部の4ビートによるパートが学生バンドっぽかったり、また今となったは些か古くなってしまったアレンジや意識過剰の歌詞が全篇にありますから、相当に感情移入しなければ聴いていられないところが確かにあります。

特に歌詞の内容については、当時のアメリカでは深刻な感心事になっていたベトナム戦争の泥沼状態やロック革命の挫折と個人主義の台頭……、等々がしっかりと歌いこまれている、そうした情熱と意気込みが各トラックからひしひしと感じられ、ちょいと熱い気分にさせられるのも、また確かだと思います。

まあ、このあたりはリアルタイムからのリスナーだけの感傷かもしれませんが、特にD面で繰り広げられる組曲「It Better End Soon」は直球勝負の心情吐露として、当時のライプステージではそのまんまの曲順で演じられていたそうですから、さもありなん!

またB面の組曲「Baliet For A Girl In Buchannon」も同様で、これは1972年の日本公演から作られたライプ盤にも収録されていますから、バンドの意気込みも格段のものがあるのでしょう。

ちなみに初期のシカゴの楽曲には、我国で独自の大仰な邦題がつけられていましたが、例えば「ぽくらの何々」とか、やたらに連帯意識を求めるような部分が、今となっては賛否両論かもしれませんねぇ。ただし、それが時代の気分でもありました。

そして繰り広げられる演奏の密度の高さは、明らかに前作のデビューアルバムを凌いでいるのは間違いなく、テリー・キャス(vo,g)、ロバート・ラム(vo,key)、ピーター・セテラ(vo,b)、ダニー・セラフィン(ds)、リー・ロクネイン(tp,vo)、ジェームス・パンコウ(tb)、ウォルター・パラゼイダー(sax,fl,cl) という7人組の人気は沸騰したのです。

それとバンド名なんですが、デビュー当時は「シカゴ・トランジット・オーソリティ」と名乗っていたところ、同名のバス会社からのクレームがあったとかで、このアルバムからは正式に「シカゴ」に統一され、例の印象的なロゴがジャケットを飾っていますが、それじゃ味気ないと思ったのか否か、日本盤が「シカゴと23の誓い」という邦題になったのは味わい深いところでしょう。尤も現在は「シカゴⅡ」と呼ばれているらしいですが……。

まあ、それはそれとして、中身の熱気はリアルタイムの時代を痛烈に感じさせてくれるものです。特にテリー・キャスのソウルフルなボーカルと熱血のギター、ロバート・ラムの青年の主張みたいな節回し、蠢き系のベースワークとハートウォームな歌唱が魅力のピーター・セテラという個性の確立が、以降のシカゴの更なる飛躍に繋がる萌芽になっています。

また個人的にはジェームス・パンコウの作編曲とトロンボーン奏者としての実力も大好きですねぇ~♪

あと、忘れてならないのは既に述べたようにシングルバージョンとの比較対照という部分で、例えば「ぼくらに微笑みを」では、アルバムB面の組曲「Baliet For A Girl In Buchannon」が実に上手く利用再編集されていることに気がつかれると思いますし、幾つかの異なる編集バージョンが世界各国で実在している事にも要注意です。

もちろん、そうした事情は「長い夜」も同様で、シングルバージョンの編集ポイントが世界各国のシングル盤で異なっているのは周知の事実ながら、個人的には日本盤シングルが一番に耳に馴染んでいる所為もありますが、秀逸だと思います。

ということで、既に述べたように、時代を感じさせてくれ分だけ、今となっては面映ゆく、ヌルイ部分も気になる作品なんですが、この「青さ」が貴重だと思うのは私だけでしょうか。すっかり中年者となった自分には、AORの人気バンドと化したシカゴが正直、物足りなく、その意味では現在の懐メロ路線の方が好きなほどですが、やはり1970年代に発表された熱い作品群には血が騒ぎます。

また同時に、2枚組LPという高価なシロモノが自分の私有となった喜びも別格!

なんと申しましょうか、名盤には「思い入れ」も必要なんでしょうね。

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せつない年の瀬のプレゼント

2009-12-29 17:10:00 | Rock

Not Wrong Long c/w Under Th Ice / Nazz (SGC / 日本グラモフォン)

今年の年末は本当に酷い仕事地獄……。全然、休めず、です。

皆様は、如何でしょう?

で、そんな中で以前、ちょいと前なんですが、旧知の友が金策に迫られて手放しなブツが、私のところへ到着しました。そして、その中の1枚が、本日ご紹介のシングル盤です。

演じているナッズは、ご存じのとおり、トッド・ラングレンが在籍していたプログレ系ハードポップな人気バンドですが、それは今になっての結果であり、リアルタイムでは3枚弱のアルバムを残して消えています。

それは結局、時流に乗れなかったところもありますが、進み過ぎていた部分が顕著というか、本来はアイドルバンドとなるはずが、相当に凝ったサウンドを作ってしまった所為ではないでしょうか。

このシングル盤にしても、A面の「Not Wrong Long」は後のトッド・ラングレンが発表していくような、実にシンプルでハートウォームなメロディが冴えたポップスの隠れ名曲ですし、裏面収録の「Under Th Ice」は逆に強烈にドライヴしまくったハードロックの大名演!

ちなみに両曲とも、ナッズのセカンドアルバム「ナッズ・ナッズ」に収録されていますが、これはモノラルミックスのシングルバージョンということで、昔から欲しかったのですから、友人の窮地を救うという大義名分には申し訳ありませんが、本音は嬉しかったです。

う~ん、そういえば、本日が期限の手形が云々とか、必死でしたが、どうしたかなぁ。

こちらから、そんな事を確かめるのは関係の無い話ではありますが、気にならないといえば、ウソになります。

なんか、せつない年末です。

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ヘヴィな気分の帰り道

2009-12-28 16:23:48 | 歌謡曲

帰り道は遠かった / チコとビーグルス (日本ビクター)

今年の年末は久々に最悪といって過言ではない忙しさ……。今日はもちろん、明日も、グッツリと仕事に責められそうです。

そして、こんな時になっては当然ながら、ついつい本日ご紹介の大名曲を口ずさんでしまうのですねぇ。

確か流行り始めたのは昭和43(1968)年のちょうど今の時期で、翌年にはウルトラ級の大ヒットになっていましたが、バンド編成からしても、その頃が人気のピークだったピンキーとキラーズを後追いした企画がミエミエでした。

メンバーはチコ=硲千鶴子(vo)、ジョージ堀(vo)、土屋健二(g)、鈴木 篤(key)、富岡盛広(b)、吉田俊夫(ds) とされていますが、何度かのメンパーチェンジがあったようにも記憶しています。

で、このデビュー曲「帰り道は遠かった」は競作として、他のバンドや歌手のレコードも発売されていましたが、チコとビーグルスのバージョンが特に流行ったのは、何といってもチコのコブシとパンチの効いた歌いっぷり、さらにビーグルスの演奏が強いR&Bフィーリングを秘めた歌謡ロックの元祖的な仕上がりだったことに尽きると思います。

歌謡ロックというジャンルが何時頃にルーツがあるのか、定かではありませんが、「帰り道は遠かった」は、まちがいなく、そのひとつじゃないでしょうか?

 か~えりみちは、とぉかったぁ~~♪
 来た時よりも、とぉかったぁ~~♪

あぁ、それにしても名フレーズにして名旋律ですよねぇ~~♪

本当に気分はヘヴィな今日この頃……。これを口ずさまずにはいられません。

ちなみにチコとビーグルスは、極言すれば、これだけの一発屋なんですが、残された音源はいずれも味わい深いですから、CDで纏めてくれませんかねぇ~。もちろん「帰り道は遠かった」だけは、これまでにも昭和歌謡の名曲オムニバス盤では、必ず収録されるという名唱ですから、今更なにをという気持ではありますが。

休みたいなぁ……。

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和みと感傷の黄色い靴

2009-12-27 17:29:20 | 日本のロック

魔法の黄色い靴 / チューリップ (東芝)

年の瀬も、世間の仕事納めからも縁遠く、今日も仕事で鬼の様なことをやってしまったです……。全く自分の業の深さを痛感するわけですが、そんな気分の私でさえも、この曲を聴くと和んでしまうというのが、本日のご紹介です。

歌と演奏は、この「魔法の黄色い靴」で昭和47(1972)年のデビュー以来、我国の所謂ニューミュージックをリードし続けたチューリップですから、そのビートルズ風味が満点なのは言わずもがな、個人的には軟弱という先入観を抱いていた歌謡フォーク組の中では、最初っからバンド形態で登場してくれたのも、天の邪鬼なサイケおやじの言い訳を成立させていました。

とにかく最初の出会いはラジオの深夜放送だったんですが、ギターアルペジオのイントロから極めて自然体に歌いだされるメロディと歌詞の和みは絶品♪♪~♪ それも完全じゃなくて、微妙なシビレを覚えさせてくれるところが、今もってニクイばかりです。

当時のメンバーは財津和夫(vo,g,p)、安部俊幸(g)、姫野達也(vo,key)、吉田彰(b)、上田雅利(ds) という5人で、その頃の流れとしては出身地の九州からは、かぐや姫や海援隊といった人気バンドが成功していた中で、チューリップの飛び抜けた洋楽っぽさは、もちろんビートルズ解散後の虚ろな気持を幾分でも慰めてくれたものです。

初期では「田舎へ引越そう」も、最高♪♪~♪

ただし日頃の言動から、サイケおやじは周囲に対し、決してチューリップが好きだなんて言えず、このシングル盤にしても、わざわざ隣町のレコード屋で買ったほどのツッパリがあったわけですが、そうまでしても欲しかった魅力が、確かにあるのです。

まあ、このあたりは地元の本屋でSM誌を買えない事情と似ているといえば、ミもフタも無いわけですが……。

本日のように完全に非情な鬼となった私には、カーラジオから偶然にも流れてきた「魔法の黄色い靴」で和んだ瞬間、あぁ、自分にもまだ、優しさが残っていたんだなぁ、とハードボイルドな感傷に浸ってしまい、自嘲したのが本日のオチなのでした。

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ヤードバーズの最期の名盤

2009-12-26 14:43:29 | Rock

Little Games / The Yardbirds (Epic)

お若い皆様には想像もつきかねる事かもしれませんが、1970年代の我国ではヤードバーズのレコードを聴くことが非常に困難な時期がありました。

その原因はもちろん、音源の権利と契約の複雑な事情によるものですが、それとは逆にヤードバーズと言えば、エリック・クラプトン、ジェフ・ペック、そしてジミー・ペイジという所謂「ブリティッシュロックの三大ギタリスト」が順次在籍した偉大な伝説に彩られたバンドという持ち上げ方が、我国の音楽マスコミでは特に顕著でしたから、当時はほとんどまともに聴けなかったオリジナル音源を収録したLPが、ますます法外に値上がりしていたのです。もちろん散発的に発売されていたシングル盤も、尚更でした。

まあ、このあたりはその頃、ロックの廃盤を扱う店そのものが少なかった所為もあるんですが、それゆえに中古盤のセール大会でヤードバーズのオリジナル音源アルバムが出るという情報が、その催しの目玉として宣伝される騒ぎもあったほどです。

さて、本日ご紹介は、そうした人気のヤードバーズが末期に残したオリジナル音源によるアルバムの1枚ですが、なんとこの体裁によるリアルタイムの発売はアメリカ優先だったという事情が、尚更に伝説と幻想を強くしていた罪作り!?!

そこにはマネージメントの縺れとか、バンド内部のゴタゴタがあったと言われていますが、当時のメンバーはキース・レルフ(vo,hca)、ジミー・ペイジ(g)、クレス・ドレジャ(b,g)、ジム・マッカーティ(ds,vo) という4人組になっており、1967年春頃から制作が開始され、完成したのが、このアルバムでした。

 A-1 Little Games
 A-2 Smile On Me
 A-3 White Summer
 A-4 Thnker, Tailor, Soldier
 A-5 Glimpses
 B-1 Drinking Muddy Water
 B-2 No Excess Baggage
 B-3 Stealing Stealing
 B-4 Only The Black Rose
 B-5 Little Soldier Boy

ところが同じセッションから作られた幾枚かの先行シングルが、いずれも本国イギリスでは不発でしたから、それまで契約のあったEMIはイギリスでの発売を見送り、そこで何とか実績のあったアメリカのエピックからオリジナル仕様で発売されたという経緯は、その後の諸々に影響しています。

ちなみに当時のプロデューサーは敏腕のミッキー・モストでしたが、ヤードバーズの前任ギタリストのジェフ・ペックを引き抜く形で新プロジェクトを立ち上げていた因縁もあり、またグループ内部の人間関係も悪化していたと言われていますから、スタジオでもライプの現場でも雰囲気は決して良好ではなかったそうです。しかし、このアルバムに収録の各トラックからは、それゆえの緊張感とか結果オーライのハイブリットな感覚が上手く表出されていて、なかなかに聴き応えがあります。

まずA面初っ端には英国トラッドとサイケデリックロックをハードに化学融合させたような「Little Games」がすんなりと置かれ、続く正調ブルースロックの「Smile On Me」ではヤードバーズのイメージどおりの演奏が展開され、いずれもジミー・ペイジの本格的なロックギターが冴えまくり♪♪~♪ しかも随所にインドや中近東系のムードがミックスされた裏ワザがシブイところです。

こうしてついにやってしまうのが、「White Summer」における東洋趣味丸出しのインストパートの潔さ! ジミー・ペイジのアコースティックギターからは、なんとなくスティーヴン・スティルスやディヴィッド・クロスビーの十八番を連想させられますが、打楽器はインドがモロですし、これはこれで当時の流行最先端だったサイケデリックのひとつの側面を見事に表現していると思います。

まあ、これは当時を体験した者だけの独善かもしれませんが、実際、不思議な気持良さがあるんですねぇ~♪

さらに痛快ロックな「Thnker, Tailor, Soldier」から幻想サイケデリックな「Glimpses」へと続く流れもまた、1960年代ロック最良の瞬間を記録していると思うばかりです。特に「Glimpses」は様々な効果音やテープ操作、シタールような響きやハードエッジなギター、倦怠メロディのコーラスにドロ~ンとしたベースの存在感がヤミツキになるほどです。

う~ん、何度聴いても、このA面の流れは、たまりませんねぇ~~♪

そしてB面にレコードをひっくり返せば、いきなり始まるブルースロックの「Drinking Muddy Water」が、当然ながら本場アメリカはシカゴの雰囲気を作り直し、イギリス風に軽く仕上げた味わいが素敵です。正直、初めて聴いた時は、もう少しヘヴィなムードも欲しかったんですが、この軽さというか、些か物足りないあたりが、当時のヤードバーズの魅力じゃないでしょうか。

その意味では続く「No Excess Baggage」がハードなフォークロックという趣になっているのが、大正解! ジミー・ペイジのギターはエッジが鋭く、ベースのドライヴ感やドラムスのヤケッパチな雰囲気が如何にもロックです。

さらにラヴィン・スプーフルみたいな「Stealing Stealing」やアシッドフォークな「Only The Black Rose」は、明らかに当時の流行に迎合したものかもしれませんが、後に知ったところによれば、ハードになるばかりのバンドの姿勢に反発を感じていたキース・レルフとジム・マッカーティの主張が通った演奏かもしれません。

ご存じのように、ヤードバーズが崩壊したのは、この2人が揃って脱退したからですし、その後の活動を知ってしまえば納得する他はありませんが、それにしてもオーラスに置かれた英国トラッドが濃厚な歌と演奏は、なんだかなぁ……。一応は立派なロックなんですがねぇ。

ということで、とっちらかった印象も強い内容ではありますが、そこは伝説のヤードバーズ! その後の「鉛の飛行船」へと発展する様々な要素も強く感じられますし、これが制作発表された1967年当時のロック最先端が、間違い無く楽しめると思います。

またリアルタイムのイギリスや我国で発売されなかったのは、犯罪といって過言ではないでしょう。入手に纏わる苦労の諸々を実体験された皆様も大勢いらっしゃるはずです。

で、サイケおやじも当然ながら、これを当時は聴くことが出来ず、しかし存在を知ってからは、ますます主体的に聴きたいと願うようになりました。そして時が流れた1974年、ある幸運からアメリカに行くことが出来た私は、現地の中古盤屋で普通に置かれているこのアルバムを発見し、速攻でゲットしてきたわけですが、値段も全く他の商品と大差が無かったのですから、アメリカって本当に凄いなぁ~、と心底、思いましたですね。

さらにその後の発売状況としては、確か1985年頃にジャケット違いのイギリス盤が登場し、CD時代となってからは1991年頃だったでしょうか、アルバム収録の全曲に加えて関連音源をプラスした拡張版が出ています。

ただし、特にCDに顕著なんですが、オリジナルのアナログバージョンとは明らかに異なるミックスが散見され、またリマスターによって音の雰囲気そのものが変わってしまったのは、賛否両論でしょう。

しかしCDであったとしても、一度は楽しんで下さいませ。おそらくは後悔しないと思います。当然ながらセッションに助っ人参加した名人プレイヤー達を推測するのも、また面白いはずです。

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聴き易いディランも良いでしょう

2009-12-25 14:54:19 | Singer Song Writer

New Morning / Bob Dylan (Columbia)

以前の「風に吹かれて」でも書いたとおり、これは私が初めて買ったボブ・ディランのLPです。と言っても、掲載したジャケ写は後に買い直した輸入盤ですが、そうなったのも、実は最初の日本盤が焼失したからで、そこには個人的に悲しい思い出がありますので、経緯について今回は、ご容赦願います。

で、とにかく最初に聴いた本格的なディラン体験としては、これで正解だったと今は思っています。

もちろん古くからのファン、あるいはディラン信者の皆様にとって、このアルバムはそれほどの存在感ではないかもしれません。

しかし私にとっては、ちょうど昭和46(1971)年という我国では空前のフォークブームの中で、その神様と崇められていた偉人の新譜として、邦題「新しい夜明け」に接することは大きな第一歩だったのです。

 A-1 If Not For You
 A-2 Day Of The Locusts / せみの鳴く日
 A-3 Time Passes Slowly / 時はのどかに流れてゆく
 A-4 Went To See The Gypsy / ジプシーに会いに行った
 A-5 Winterlude
 A-6 If Dogs Run Free
 B-1 New Morning / 新しい夜明け
 B-2 Sign On The Window
 B-3 One More Weekend
 B-4 The Man In Me
 B-5 Three Angels / 3人の天使
 B-6 Father Of Night

結論から言えば、ボブ・ディランの諸作中では、特に聴き易い1枚だと思います。

ジョージ・ハリスンも歌っているA面冒頭の「If Not For You」は、浮遊する曲メロをカントリー系フォークロックで彩った爽やかさが心地良く、逆にヘヴィなロックビートでゴスペル風に歌う「せみの鳴く日」へと続く流れは、1970年代ロックの王道を行くものでしょう。

ちなみにバックを務めた参加メンバーは、アル・クーパー(p,org,g)、チャーリー・ダニエルス(b,g)、バジー・フェイトン(g)、ラス・カンケル(ds) 等々、錚々たる名手が裏ジャケットに記載されていますが、ボブ・ディラン自身もギターやハーモニカの他にピアノやオルガンを弾いています。

そしてそれが、このアルバムに特徴的なサウンド作りの要として、実際にピアノが大きく使われているあたりが、これまでのボブ・ディランに対する私の印象を変えたポイントでした。

おそらくはボブ・ディランのピアノの弾き語りが最初にあったであろう「時はのどかに流れてゆく」は、妙に不思議な和みに満たされていますし、ピアノとオルガンとドラムスが浮かれた調子の「ジプシーに会いに行った」、まさに幸せなワルツを奏でる「Winterlude」が続いていく中でのボブ・ディランの歌いっぷりは、それまでのイメージとして強かった意図的なメロディ外しから、相当に丁寧なものへ変っていると感じます。

そのあたりは、ついにA面のラストでやってしまう、4ビートによるジャズ歌謡「If Dogs Run Free」で全開♪♪~♪ モダンジャズとブルースがたっぷりのピアノはセッションミュージシャンが弾いているのでしょうが、ボブ・ディランの意外にもキマッている語り気味のフェイクが良い感じ♪♪~♪ またデュエットの女性ボーカルはメイレッタ・スチュワートが歌うスキャットで、これがなかなかに粋な仕上がりなんですねぇ~♪ イノセントなジャズファンも、ちょいと良い気分にさせられてしまうんじゃないでしょうか。

そうしたボブ・ディランにしては些か軟弱な部分は、後に知ったところでは、他人の楽曲を主に歌った前作「セルフ・ポートレイト」でも顕著だったわけですが、個人的には決して「お遊び」や「煮詰まり」ではなかったと思いますし、そんな目論見があったとしても、このアルバムの聴き易さと無縁ではないはずです。

その意味でB面ド頭のアルバムタイトル曲「新しい夜明け」は、如何にも従来のディラン調が強く出た所謂ディランロック! また同系の「One More Weekend」はさらに力強いブルースロックのディラン的な解釈として、何度聴いてもカッコイイです!

しかも歌詞が、それまでのボブ・ディランとは些か違った、明るい分かり易さなんですねぇ。

もちろん「Sign On The Window」や「The Man In Me」といった、暗い翳りとか屈折した心情を歌ったと思われる曲にしても、演奏パートの力強さや分かり易さがありますから、ボブ・ディランの歌声の存在感の強さがイヤミになっていません。特に「The Man In Me」あたりは、レイドバック期のエリック・クラプトンが歌っても許されるような、実にシンプルで濃厚なサウンドスタイルが味わい深いところ♪♪~♪

そしてラス前の「3人の天使」が短い語りでありながら、妙に宗教的なバックのサウンドがクリスマス♪♪~♪ 街にいる天使に気がつかない愚かな人々を描写する歌の内容は、ちょいと哀しいながらも感動しますよ。

こうして迎える大団円が浮かれた調子のボブ・ディランがピアノの弾き語り! しかも歌いまわしが完全に十八番の節ばかりという「お約束」の実践は、潔いと思います。

ということで、アナログ盤の両面を通して、全く退屈しないボブ・ディランのアルバムは、それまでに無かったと思いますねぇ。と言うよりも、既に述べたように聴き易いんですよ。

だいたい英語を完全に理解していない日本人にとっては、まずボブ・ディランのボーカルによる語感の気持良さとか、バックの演奏のカッコ良さ、もちろんメロディの流れに惹きつけられるのが最初でしょう。しかしボブ・ディラン自身は当然ながら歌詞も大切にしているわけですから、それが分からないところでは退屈も避けられないのですが……。

これについては知り合いで、ロックが好きなアメリカ人に以前尋ねたところ、アメリカ人でもボブ・ディランの歌詞を理解している者は少ないんじゃ……、なんて答えをいただきました。

と、すれば、本人のボーカルも含めて、サウンド全体をメインに楽しむ聴き方も正当化されるわけですよね。まあ、これは自分が良い様に決め込んでいるわけではありますが。

そうして、ボブ・ディランを何となく分かったような気分にさせられるのが、このアルバムの良いところかもしれません。ほとんど連日、何回も針を落とした時期がありましたし、さらに「もっとディランを聴いてみよう!」と思わせられるんですよねぇ~♪

なんといっても、表ジャケットの求道者の如きボブ・ディランのボートレイトが、実に説得力の強い素晴らしいです。

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スモール・フェイセスの流行センス

2009-12-24 15:11:35 | Rock

心のひとみ / Small Faces (Decca / キングレコード)

1960年代の中頃、ロンドンで一番にファッションセンスが良かったとされるバンドがスモール・フェイセスだったと言われています。

で、本日ご紹介のシングル盤は、そのジャケットスリーヴの写真からも、そのあたりをウリにしていたことがミエミエなんですが、野暮天のサイケおやじには、どうも……。

しかし、A面に収録された「心のひとみ / My Mind's Eye」には、ノー文句でシビレましたですね。

極言すれば、ストーンズの「Tell Me」をザ・バーズが作り返したような、実にフォークロックで黒っぽい歌と演奏は、スモール・フェイセスがやってこそのオリジナリティが濃厚に楽しめます。エグ味の強いギターと重いビート、時にファルセットも使うコーラスワークと一抹の哀愁を秘めたリードボーカルのバランスの良さ♪♪~♪

恐らく彼等にとっては6枚目のシングル曲だろうと思うのですが、裏事情としてはデビュー期からのデッカレコードを去り、新興のイミディエイトに移籍するゴタゴタが真っ最中に、なんとバンド側の了解を得ずに発売されたという因縁の1枚!

その理由は最初っからアイドル扱いで売り出されたスモール・フェイセスが、本来の音楽性を理解してもらえなかった事もありますが、もうひとつ、契約上の不備からギャラや印税が入ってこないという理不尽もあったようです。

ただし普段着も含めての衣装は好き放題に買えたそうですし、それゆえに何時もカッコ良すぎるファッションでキメていたのは、当時のモッズ族と呼ばれた流行の最先端組の支持を大きく集めていたそうですから、結果オーライだったと思います。

当然ながら、スモール・フェイセスのレコードを買うファンはモッズ族が中心だったのです。

そしてイミディエイトと契約して以降は、それがサイケデリックの流行と歩調を合わせるように、些かの凝り過ぎも感じさせるようなものに変質していくのですから、賛否両論でしょう。

個人的にはスモール・フェイセスは非常に好きなバンドで、特にR&B色が強くてフォークロックの色彩も感じられる「心のひとみ」は愛聴曲のひとつです。

ちなみに以前ご紹介したアルバム「オータム・ストーン」に収録のバージョンと、このシングル盤収録のテイクは微妙にミックスが異なりますし、フランスで発売されたEPバージョンは完全なる別テイクですから、要注意だと思います。

おそらくは人気絶頂だった頃のスモール・フェイセスが、そのファッションセンス共々に楽しめるシングルとして、機会があればお楽しみ下さいませ。

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好きさ好きさのゾンビーズ

2009-12-23 16:08:23 | Rock

好きさ好きさ好きさ / The Zombies (Decca / キングレコード)

これは私の大好きなゾンビーズでは、最初に買ったレコードです。

もちろん、きっかけは以前にも書きましたが、昭和42(1967)年というGSブームの最中に活躍していた我国のカーナビーツが、この名曲の日本語バージョンをヒットさせていたからに他なりません。

掲載したジャケ写にもあるとおり、「これがカーナービー・サウンドのオリジナル本命盤!けというキャッチコピーが、往時を今に伝える証左でもありますが、後に知ったところによると、このゾンビーズのシングル盤はAB面を逆にして日本発売されていたのです。

しかし前述したカーナービーツが、この「好きさ好きさ好きさ」で大ブレイクを果たしたところで、新規巻き返しを狙っての再発となったわけですが、実はゾンビーズのオリジナル楽曲は本人達のバージョンよりも、世界各国で作られたカパーバージョンの方が人気を集めるという、ちょっと辛い現実が今日まで続いているのです。

これは何故なのか?

ここからは全くの私の個人的な推察ですが、例えば「好きさ好きさ好きさ / I Love You」にしても、カーナービーツのバージョンが例のアイ高野のブレイクのキメだった、「お前の~、しゅべぇ~てぇ~~!」が強烈な印象になっているように、かなりの派手さがあるのに対し、ゾンビーズのバージョンは極言すれば地味~な仕上がりなんですねぇ……。

そうした、ちょっと暗いイメージこそが、実はゾンビーズの持ち味のひとつで、実際、洒落たコード進行とクールでジャズっぽい演奏スタイルは、大人の味とでも申しましょうか、同時期に活動していた多くの人気バンドの中では異質だったと思います。

それゆえに本国ではイマイチ、パッとした人気を得られぬままに解散へと追い込まれたわけですが、しかしアメリカではリアルタイムから根強い好評を保ち、また我国でも最近のソフトロック再評価で息を吹き返したのは、ご存じのとおりです。

そして永遠の名曲「ふたりのシーズン」の遅すぎた大ヒットへと続く流れの中にあって、ゾンビーズ本人達は既に別の道を歩み始めていた顛末は、ロック史の中の悲劇でもあり、また彼等の意気地の現れとして忘れられるものではないでしょう。

ちなみにその頃、既に消えていたオリジナルのゾンビーズが、マネージメントの関係から偽物バンドで再編され、「ふたりのシーズン」をウリにした巡業を長年やっていたのは有名な業界エピソードらしいですが、近年は本物のゾンビーズが復活して人気を集めているのも嬉しいのか否か、個人的には複雑な心境です。

何故ならば、ゾンビーズ消滅の後に中心メンバーだったロッド・アージェントが立ち上げたアージェントというプログレ系ロックジャズバンドが、すっかり忘れられているのですから……。

ということで、そのアージェントについては、いずれ取り上げたいと目論んでおります。

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シングル盤で聴くイエスが好き

2009-12-22 14:45:29 | Rock

America c/w Total Mass Retain / Yes (Atlantic / ワーナー・パイオニア)

星の数ほどあるロックバンドの中でも、最高のテクニシャン集団だったのが、全盛期のイエスでした。

まあ、この全盛期を何時にするかで賛否両論は確かにあるわけですが、個人的にはジョン・アンダーソン(vo)、スティーヴ・ハウ(g,vo)、リック・ウェイクマン(key)、クリス・スクワイア(b,vo)、ビル・ブルフォード(ds,per) が前向きの気持で揃っていた1972年頃が一番、そうした特徴と真価を発揮していた時期だったと思います。

それは皆様がご存じのとおり「こわれもの」、そして「危機」というロック史上に燦然と輝く名作アルバムの二連発に結実しているわけですが、当時の感覚としては、これぞっ、プログレの代名詞ともいうべき、綿密にして大胆な構成と知的でダイナミックな演奏が完全融合した内容は、今さら述べるまでもないと思います。

このあたりは個人的に初期のロックジャズ系の演奏の方を好んでいるのが正直な気持です。しかし、そこから文字通りのプログレへと進化していったイエスの凄さは否定出来るものではありません。

ただし、そのあまりにも出来あがり過ぎた完成度に馴染めないだけです。

で、そんな気分の私の前に提出されたのが、本日ご紹介のシングル盤でした。

A面はもちろん、サイモンとガーファンクルの名曲名唱として有名な「America」のカパーなんですが、オリジナルバージョンに顕著だったゆるやかな思わせぶりが、イエスの手にかかると、究極のハードプログレに変転しているところがミソだと思います。

実際、いきなりシンプルでありながらテンションが高いベースのビート、素直なようでいて、実は一筋縄ではいかないジョン・アンダーソンのリードボーカルと綺麗なコーラスワーク、さらにエグイ仕掛けに満ちているギターをメインにしたバンドアンサンブル!

特に中間の静かな展開から豪快なウネリへと変化する後半への突入部分は、その緊張感と爽快感でゾクゾクしてきますよ。もちろんクライマックスでの激しい演奏は「お約束」を超越した、まさにイエスを聴く喜びに満ちています。

ちなみに、これは本来、約10分半ほどの演奏として、アトランティックのサンプラーアルバムに収録されていたものがオリジナルですが、それをあえて4分ほどに編集したのが、このシングルバージョン! 日本ではあまり注目されませんでしたが、欧米ではそれなりにヒットしているようです。

そして肝心のオリジナルバージョンについては、1975年に発売された変則ベストアルバムの「イエスタデイズ」に収録されていますので、聴き比べも楽しいところでしょう。

またB面に収録された「Total Mass Retain」も同じく編集バージョンで、前述した傑作アルバム「危機」からのカットですので要注意!

正統派のファンにとっては、こうしたシングル盤の編集バージョンは邪道とされるのが、プログレを聴く正しい姿勢かもしれません。実際、このシングル盤が発売された1972年には、ロックもアルバムで聴くのが当然になっていましたし、イエスというバンド自体の表現がLP単位の方法論になっていたのは否めません。

しかしサイケおやじのような天の邪鬼は、はっきり言えば、この頃以降のイエスのアルバムは退屈至極……。そして、決して嫌いなバンドではありませんから、どうしてもシングル盤で楽しんでしまうという邪道へと入ってしまうのですが、以前にも「Roundabout」のところで述べたように、シングルバージョンだからといって、イエスという凄腕集団の演じる醍醐味が失われているなんてことは絶対ありません。

否、むしろ凝縮されたスリルと強烈な感性が、尚更に楽しめると思うほどです。

最後なりましたが、学生時代にやっていたバンドで、この「America」をやってみようと無謀な挑戦をした結果は、挫折に他なりませんでした。

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