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サイケおやじの生活と音楽

ひし美ゆり子の一網打尽

2011-04-30 15:17:44 | Movie

サイケおやじ版予告篇:不良番長一網打尽 (東映)

昭和47(1972)年のサイケおやじにとって、「不良番長一網打尽」の公開は一番の重大事件でした。

なにしろ「菱見百合子」が「ひし美ゆり子」となった最初の銀幕作品であり、また以降の彼女が披露していく新しい魅力を決定的にした1本ですからねぇ~~♪

ここまでの経緯については拙稿「鏡の中の野心」にも書いていますが、とにかく東宝を離れてから別名義での成人映画出演は、リアルタイムでは知る人ぞ知るであったにしても、男性週刊誌のグラビアで美しいヌードを披露した衝撃は強烈でした。

もちろん当時は高校生だったサイケおやじにとって、それは嬉しくもありましたが、前述した成人映画「鏡の中の野心」への出演は全く知る由もなく、ただ触れてはならない大人の事情を強く想像させられ……。

ですから、その彼女が前述した「不良番長・一網打尽(野田幸男監督)」に出演されるというニュースは、喜び以外の何物でもありませんでした。

ちなみに「不良番長」は当時の東映ではシリーズ化していたドル箱プログラムピクチャーのひとつで、主演は梅宮辰夫、そして脇を固める山城新吾、鈴木やすし、安岡力也等々のカポネ団の面々が、毎度バイクを乗り回して悪い事のやり放題! そして最後には大組織のヤクザを相手に大暴れという展開に加えて、一般映画ではギリギリのお色気場面と究極の破天荒ギャグがウリという、史上屈指の痛快バカ映画!?!

当然、「一網打尽」も同じラインで製作されており、ではその中で菱見百合子はどのような演技を見せてくれるのだろうか?

と、私は大いに期待していたのですが、結果は予想以上に鮮烈でした。

まず芸名が「ひし美ゆり子」になっており、掲載したポスターの画像からも一目瞭然、そこに登場した彼女は黄色いシャツの裾を胸のところで結わえ、その下は素肌にノーブラだと思います。

さらにメイクも幾分キツイ雰囲気で、微笑みも艶然としたものを含んでいるように感じました。

こういう部分は東宝での最終作「ゴジラ対ガイガン」で演じた空手使いの美女役でも、例えば大人のメイクやキツイ台詞回し、そしてタバコを吸ったりする演技演出にも滲んでいたのですが、物語の中で侵略者の正体がゴキブリ系生物だったと知って一瞬気を失い、その後、怯えた表情を見せる場面は、間違いなく友里アンヌの雰囲気を想起させていました。

それがこの作品ではどうなっていたかというと……。

初登場の場面の台詞が叫び声に続いて「チキショウ!」です!?!?

続いてヤクザに捕まって平手打ち!?!

衣装も露出度の高い赤色のホットパンツだったんですねぇ~♪

そして次に登場した場面では赤いコート姿!

しかもテーブルの上に飛び乗り、そのコートを脱ぎ捨ててオールヌードの全身で仁王立ちですよっ!

もちろん肝心な部分にはボカシというか、ワザとらしいクロベタが入れてありましたが、この時ほど、サイケおやじはカポネ団の一員になりたいっ! と思ったことはありません。

他にもノーブラに赤いベスト&ミニスカでびしょ濡れになって踊ったり、シースルーの戦闘服とかサイケデリックなポンチョ姿等々、恥ずかしながら未だ多感な十代だったサイケおやじには、前述したヌード・グラビアを見ていたとはいえ、まさに目の潰れるような、そして下半身を直撃してくる場面の連続でした。

実は劇中でのひし美ゆり子の役は、ヤクザにコキ使われていたヨーコというソープ嬢(リアルタイムではトルコ嬢)という設定で、なんと1日に10人も接客させられる重労働に耐えかねて逃げ出したという境遇なんですが、しかしヨーコは自らの職業であるソープ嬢を恥じていませんし、自分の魅力が男を虜にする素晴らしい肉体と美貌である事を認識し、むしろ誇りを持っているのです。

ただし、少~しばかり社会の一般教養に疎いところから、ペテンを使ったカポネ団のシノギの中では足手まといになったりするところから、なんとか自力で頑張ろうとするのですが……。

この流れの中では当然、彼女には下卑た演出が与えられ、大切な秘部にメンソレ、マッチ売りの少女、立ちション、あそこがガバガバ等々、とてもここでは詳らかに書けないほどメッチャメチャがテンコ盛り!

それゆえに彼女をアンヌの化身とイノセントに思い込んでいるファンにとっては、あまりにもショッキングな役だと思います。

しかし、それを全く陰湿さを感じさせず演じられたのは、ひし美ゆり子の女優としての資質じゃないでしょうか。

劇中のヨーコは孤独でありながら、男を虜にせずにはおかない魅力的な肢体と美貌、また浮世離れしたほど純情な心を持った女性に描かれています。

ですから自分の肉体でお金を稼ぐ事に捨て鉢な気分は感じていても、根底にあるナチュラルな自信は決して揺るぎません。なにしろ梅宮辰夫に「もっと自分を大切にしろよ」とまで言わせてしまうんですからっ!

もちろん、ひし美ゆり子ならではの余韻の残る台詞回しが、そうした場面では最高の魅力を発散するんですねぇ~~♪

つまりエグ味のある役柄であるほどに、唯一無二の特質が発揮されると思うんですよ。

ご存じのとおり、この作品には「友里アンヌ」のモジリネタとされる「真理アンヌ」も出演しているのですが、劇中の彼女は嘘泣きも上手い、まさに狡い美女の典型に描かれていることを鑑みれば、ひし美ゆり子の役柄と演技の存在感は尚更に強い印象を残すはずです。

ということで、以降のひし美ゆり子は所謂「脱ぎっぷりの良い女優」のひとりとされる評価も多いわけですが、だからと言って彼女の魅力がそれだけだったはずもありません。

あらためて述べるまでもなく、当時の映画産業は完全に斜陽でしたから、失礼ながら彼女だって霞を食べて生きていられたはずもなく、自著やプログで告白されているとおり、東宝との契約を終えた後は経済的に不安定な現実から、女優以外のあれこれもされていたようです。

しかしヌードを披露したり、成人映画への登場が現代のAVに出演することよりも遥かに背徳性が強かった時代、ひし美ゆり子は明らかに自分の演じていた事に自信とプライドを持っていたはずで、それは前述したとおり、劇中のヨーコと重なる姿勢じゃないでしょうか?

また、そうでなければ荒野に可憐な花を咲かせるが如き演技も残せなかったでしょうし、今もってアンヌと崇められている神聖を維持出来ているはずも無いと確信するところです。

このあたりは、あくまでもサイケおやじの思い込みとお断りしつつ、今回は予告篇として一端切り上げますが、近いうちに本サイト「サイケおやじ館」では、もう少し書きたいところを掘り下げたく思う次第です。

その意味で「不良番長一網打尽」こそ、菱見百合子&ひし美ゆり子のファンには絶対に避けて通れない「踏み絵」なのかもしれません。

そして新刊「万華鏡の女」も必読でしょうね(敬称略)。

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ミニスカと原田糸子の昭和的エロス

2011-04-29 16:36:44 | 歌謡曲

■ジャマイカの青い浜辺 / 原田糸子 (クラウン)

いよいよゴールデンウィークがスタートしたものの、今年は不景気に大震災とマイナス要因が強く作用し、加えて今後の電力不足が予想される事から休めず、そして遊ばずという皆様も大勢いらっしゃると思います。

もちろんサイケおやじも仕事優先モードになっておりますが、しかし享楽的な音楽ぐらいは許されるでしょう。

そこで本日ご紹介のシングル曲は西野バレエ団の看板娘のひとりだった原田糸子が昭和43(1968)年春に発売したもので、まずは自然体に素晴らしい彼女の肢体にグッと惹きつけられるジャケットが秀逸♪♪~♪

ヒップから太股、そして絶妙に力が入った爪先への流れ♪♪~♪

こういう脚線美の見せ方ってのも、たまらないでしょう♪♪~♪

ご存じのように、前述した西野バレエ団からはレ・ガールズと呼ばれた素敵な美女軍団が当時の我国芸能界を席巻しており、原田糸子は金井克子、由美かおる、奈美悦子と共に人気を集めていましたが、特に高身長を活かしたダイナミックな存在感は本当に魅力的でした。

また、素直な歌と演技のナチュラルな雰囲気の良さこそが、今に至るもマニア泣かせの存在だと思います。

それは映像の世界では一際輝き、例えばSF好きにとっては必須のコスチュームである宇宙スーツ姿が眩しかった「宇宙怪獣ギララ(昭和42年・松竹)」は、コアな特撮ファンからは厳しいご意見ばかりの作品でありながら、全ては彼女の存在がそれを中和させるほどです。

なにしろ劇中では、ピチッとしたスラックスのヒップあたりには下着のラインの存在も凝視させられるところですし、共演の外人ヒロインだったペギー・ニールと和崎俊哉をめぐって恋のさやあてのあげく、シャワー室では裸体で石鹸の蹴りあいを演じてくれましたからねぇ~♪

もちろん、ここは足と肩から上だけの描写ですが、なかなか刺激的な名場面なんですよ♪♪~♪

さて、肝心の楽曲「ジャマイカの青い浜辺」は、今日の感覚からすればタイトルからレゲエを想像させられますが、発売当時のジャマイカは中南米のカリプソ音楽圏という認識でしたから、ここでも軽いラテンフィーリングを活かした正統派青春歌謡曲に仕上がっています。

う~ん、それにしても原田糸子の屈託の無さが微妙なお色気を滲ませる、そのコントラストのアブナサは特にサビの展開で堪能出来るんですが、これは実際、憎たらしいほど可愛いですねぇ~~♪

所謂「ぶりっ子」とは一線を画する良さがあるんです。

ということで、こういう明るく、健康的なエロスもまた昭和の魅力でした。

あっ、そういえば今日は「昭和の日」でしたねぇ。

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スケベ心にご用心

2011-04-28 17:32:26 | Weblog

久々にやられましたっ! ウイルスにっ!

所謂洋ピン物のファイルをDLで買ったら、その中のひとつに入っていたんです。

まあ、大切なものはバックアップとってありますが……。

全部、やり直しか……。

我ながらスケベ心を出した事に悔恨ですよ。

皆様もご用心下さいませ。

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正々堂々のデビューだったクルセイダーズ

2011-04-27 16:38:57 | Jazz

Freedom Sound / The Jazz Crusaders (Pacific Jazz)

フュージョン全盛期の1970年代にクルセイダーズとして大活躍していた人気グループの、これは未だモロジャズをやっていた当時に作られたデビューアルバムです。

そしてこの時期に愛着を抱くファンが今も多いという現実は無視出来ないでしょう。

なにしろバンド名に「ジャズ」という単語が堂々と使われていますからねぇ~~~。

しかしそれは決してシリアスな面を強調するではなく、むしろ大衆的なモダンジャズを新しい感覚でやろうとしていたと推察出来る、そうしたクルセイダーズの姿勢に共感しての事でしょう。

ですから如何にもデビュー作に相応しい意気込みと幾分の未完成な部分が絶妙のコントラストとして記録されたこのアルバムが、決定的な人気を集めるのも当然かと思います。

録音は1961年5月、メンバーはウェイン・ヘンダーソン(tb)、ウィルトン・フェルダー(ts)、ジョー・サンプル(p)、スティックス・フーパー(ds) の4人がメインのクルセイダーズで、ここでは他にロイ・ゲインズ(g) とジミー・ボンド(b) がサポートメンバーとして参加しています。

ちなみにクルセイダーズを語る時、必ず問題となるのがレギュラーベース奏者の不在なんですが、ご存じのとおり、ウィルトン・フェルダーはスタジオセッションの世界でも堅実で個性的なエレキベースの名手として後に活躍する事を鑑みれば、実際のライプの現場でもそれを演じていた事は想像に易いのですが、だからと言って、これまた非常に魅力的な本業のテナーサックスが鳴っていなければ、あの魅力的なクルセイダーズのサウンドにはならないのですから、事態は複雑!?

おそらく当時から幾人かのサポートメンバーを入れながら活動していた事により、このセッションもそれが具象化としたのではないでしょうか。

A-1 The Geek
 ワルツテンポのハードバップで、もちろん時代の要請からジャズロックフィーリングも滲むというウィルトン・フェルダーのオリジナル曲は、これしか無いというクルセイダーズ的な演奏に仕上がっています。
 それは重心の低いジャズビート、トロンボーン&テナーサックスというジャズテット直伝の2管ハーモニーとユニゾンの心地良さ、さらには如何にもファンキーなグルーヴの醸し出し方が、ハードドライヴなアドリブパートと見事に融合したもので、特にジョー・サンプルのピアノは既にたまらない魅力を発散していますよ♪♪~♪
 また作者本人の硬質なテナーサックスの豪快さや助っ人ギタリストのロイ・ゲインズが披露する短くもR&Bな素養も好ましく、もちろんスティックス・フーパーのモダンジャズ王道のドラミングも痛快!

A-2 M.J.S. Funk
 これまたジャズビートを上手く利用した刺激的なテーマからウィルトン・フェルダーのハードボイルドなテナーサックスが炸裂するというアドリブへの入り方が潔いかぎりという演奏ですが、続くウェイン・ヘンダーソンの明朗闊達なトロンボーンや熱血ピアノのジョー・サンプルも手抜きがありませんねぇ~♪
 こういう全力投球はデビュー盤という条件を差し引いても、常にクルセイダーズが持っていた魅力のひとつじゃないでしょうか。
 そして後半はドラムソロから各人のアドリブの応酬という王道路線で締め括られます。

A-3 That's It
 ウィルトン・フェルダーのオリジナルという事ですが、とにかくメチャメチャにカッコE~~♪ まるっきりスタンダード曲をアレンジしたかのようなテーマメロディとアンサンブルがシャープなアップテンポで演じられる時、それはジャズメッセンジャーズとは似て非なる親しみ易さと痛快さが見事な化学変化を誘発した感じです。
 そしてコルトレーンフレーズを適度に使ったウィルトン・フェルダーのテナーサックスから、今度はJ.J.ジョンソンのヘッドアレンジを借用したようなウェイン・ヘンダーソンの稚気が披露されるに及んで、その場は完全に楽しさ優先モードのジャズ天国♪♪~♪
 ただし演奏全体にテープ編集疑惑が濃厚なのは賛否両論でしょうか……。
 個人的にはスティックス・フーパー&ジミー・ボンドのリズム隊が提供するビートの溌剌さに心惹かれます。

B-1 Freedom Sound
 今日ではジャズクルセイダーズを代表する人気演目であり、ジョー・サンプルにしても畢生のオリジナル曲は、何度聴いても感動的なテーマアンサンブルが最高です! それは微妙に幻想的なムードと前向きな姿勢が強く出たものでしょう。
 リズム隊が提供するマーチのビートと新主流派っぽいハーモニーの融合は、各人がクールで熱い気持で自らのパートを演じるしかない境地を導くのでしょうか。とにかくジョー・サンプルのピアノからはキメまくりのフレーズしか放たれませんし、じっくり構えてツッコミも鋭いウィルトン・フェルダーのテナーサックスやエグ味の強いジミー・ボンドのペースも名演だと思いますが、一番印象的なのは、やっぱりグッと力が漲ってくるテーマアンサンブル♪♪~♪
 もしも自分に管入りジャズバンドが組めるなら、絶対に演目に入れたいほどです。

B-2 Theme From Exodus / 栄光への脱出
 映画音楽からのモダンジャズヒットのひとつとして、例えばエディ・ハリスのバージョンが有名な名曲ですから、クルセイダーズの面々も神妙なのでしょうか。
 しかしここでは見事に前曲からのムードを引き継ぎ、厳かにして豪快な演奏に仕上げたのは、流石「ジャズ」とバンド名に冠しているだけのことがあります。そして何んと言ってもテーマをリードし、アドリブパートでは爆裂するウェイン・ヘンダーソンの存在感が強烈ですねぇ~~♪
 それとスティックス・フーパーのヘヴィなブラシが全体をビシッと纏め上げているのも特筆されると思います。

B-3 Coon
 そこでオーラスでは徹底的にスティックス・フーパーのドラミングが楽しめるという趣向がサービス満点!
 と言っても、決してドラムソロの曲ではなく、アップテンポの王道ハードバップの中に変幻自在、強靭なビートをあらゆるリズムを駆使して敲きまくる、まさにドラマー冥利に尽きるような演奏が秀逸ですよ♪♪~♪ もちろん他の面々も力演ばかりですから、熱くなります!

ということで、実にがっちり仕上げられたアルバムで、しかも人気盤の要素がテンコ盛り♪♪~♪

既に述べたようにクルセイダーズは1970年頃に「ジャズ」という冠を外してから、さらに音楽性を広げ、人気を拡大したわけですが、さりとてそれ以前の音源が忘れられるということはありませんでした。

実際、ジャズ喫茶ではクルセイダーズはお断りでも、ジャズクルセイダーズは大歓迎という店もあったほどですし、ジャズ者が中古屋で漁る定番のブツのひとつが、1960年代の彼等のアルバムであったという真相も否定出来ないでしょう。

特にこのアルバムが初演とされる名曲「Freedom Sound」は、クルセイダーズにしてもステージでは必須の演目だったということで、レコードでもライプバージョンが残されていることから、自然とスタジオバージョンにも人気が集まるという好循環(?)も素敵でしょう♪♪~♪

これは正々堂々、愛聴盤と宣言させていただきます。

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安西マリアのブラスロックなファンキー歌謡

2011-04-26 16:36:54 | 歌謡曲

針のくちづけ c/w 誘惑の年頃 / 安西マリア (東芝)

昨日掲載したキャンディーズの「危い土曜日」に誘発され、同時期に作られていたブラスロックなファンキー歌謡曲を連荘聴きしてしまったのはサイケおやじが何時もの悪癖? そして本日ご紹介はその中のひとつです。

歌っている安西マリアは言わずもがな、昭和歌謡曲フェロモン部門では欠かせない人気者ですが、その彼女に与えられる楽曲は極めて洋楽テイストが強く、さらには歌詞の内容が女王様的S傾向であったり、時にはヤケッパチなズベ公フィーリングが滲んでいたりと、とにかく今でもギリギリのアブナサが魅力でした。

例えばA面の「針のくちづけ」は徹頭徹尾、ビシバシのブラスとリズムが強引に突っ走る演奏に煽られ、幾分不安定な安西マリアの歌唱が逆にOKという、なんとも激ヤバな仕上がりなんですが、本当にヤバイのは「殺したいと思う時があるわ」と、いきなり言い放ってしまう歌詞の中身でしょう。

とにかく聴けば仰天の愛のガチンコというか、生きるか死ぬかの真剣勝負でやってしまうファンキー歌謡のセクシーさは圧巻!

それは作詞:千家和也&作編曲:鈴木邦彦というプロのヒットメーカーが確信犯的に仕掛けた目論見であったとしても、実際に歌いきる安西マリアのエグイといって過言ではない存在感があればこそでしょう。

また、発売された昭和49(1974)年1月という時代では、それが最先端を表現していたと思います。

イントロから炸裂するニューソウルなギターも良い感じ♪♪~♪

ですから同じ作風ながらB面の「誘惑の年頃」が、女の弱さや可愛さをツッパリで覆い隠すような歌詞で表現されたのも、実に用意周到で、これは例によってサイケおやじの穿った独り善がりかもしれませんが、アナログ盤の特質である、A面を聴き終えてから盤をひっくり返し、再び針を落とすという儀式を経て浸る世界の味わい深さです。

つまり連続して聴くと、これが実にひとつの世界を楽しめるんですねぇ~♪

レコードをひっくり返すというのは、その為に必要なエネルギーの補填作業というところでしょうか。

ということで、ちょい聴きには安西マリアの歌唱そのものがイマイチの出来という感もありますし、意図的に水気の多い節回しにも好き嫌いがあるかもしれません。

しかしそこはチラ見せの素肌が刺戟的なジャケ写に免じて、どうかお楽しみ下さいませ。

この路線が次なる大傑作「早いもの勝」に繋がるのも興味深々だと思います。

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スーちゃんの通夜とキャンディーズの思い出

2011-04-25 16:03:41 | 歌謡曲

危い土曜日 / キャンディーズ (CBSソニー)

さて、昨日ご迷惑をおかけした急用ですが、それは学生時代の友人から入った電話でした。

「ど~か、スーちゃんの通夜会場へ連れて行ってくれっ!」

うっ、まさかそんな事を頼まれるとは想像してもいませんでしたが……!?

実は友人はリアルタイムからのキャンディーズファンで、それはファンというよりも信者といって過言ではありませんでした。

なにしろ正式デビュー以前から好きだったと本人が語るように、確か某テレビバラエティで顔見世をやっていた時、既に彼女達の虜になっていたというのですが、とにかく周囲の無理解を超越し、キャンディーズの追っかけのような事までやっていましたから、今回のスーちゃんの突然の悲報には心中如何ばかりか、それはサイケおやじにも充分に納得されます。

そして当然ながらファンも参集を許された彼女の通夜に向かうべく、昨日は朝から用意周到だったそうですが、なんと白内障の手術をした影響なのか、ちょいとした事で転倒し、足を捻挫!

それが昼頃だったそうで、しかも休日とあって医者は休診ですから、応急の湿布を施したものの、痛みで歩行も困難……。

そこでサイケおやじに助けを求めてきたというわけなんですが、何故にサイケおやじになのかと言えば、キャンディーズが現役だった当時、ある事情からサイケおやじは件の友人をバイクの後ろに乗せ、某地方の巡業会場へ向かったことがあるのです。

しかもその時はお礼として当日のチケットを貰っていたおかげで、サイケおやじは生涯唯一度のキャンディーズコンサートに接することが出来たのですが、正直に告白しておけば、私的にはキャンディーズには何の興味もありませんでした。

それでも流石に全盛期だった彼女達のヒット曲は幾つか、自然に知っていましたから、それなりにウキウキした気分は偽れません。おまけに会場は狂信的な野郎どものファンで超満員! とてつもなく濃~~い時間を体験したのですねぇ。

もちろんキャンディーズも精一杯の熱演でした。

ただし連日のハードスケジュールの所為もあり、また会場の狂騒ゆえにレコードで聴かれるようなコーラスワークは荒っぽく、アクションも終盤では動きが苦しくなっていましたですねぇ……。

まあ、そのあたりがライプならではの魅力というところなんでしょうが、それを見事にサポートしていたバックバンドはコーラス隊も含めて、非常に上手かったです。

ちなみにこのバンドが後に和製EW&Fともいうべきスペクトラムに発展したのは今や歴史ですが、そういうブラス入りのディスコ歌謡を歌って踊るキャンディーズには、客観的にその場にいたサイケおやじもシビれました。

そして本日ご紹介のシングル盤A面「危い土曜日」は、そのクライマックスで演じられていた人気曲! しかしサイケおやじは当然ながらその時は曲名も知らず、後で友人に尋ねたという次第です。すると友人は掲載したレコードまでプレゼントしてくれたんですから、持つぺきものはなんとやら♪♪~♪

ですから、今回の急な頼みにも、サイケおやじは断れない義理と友情を感じてしまい、昨日もそれが継続しての行動となったのですが、とにかく車で現地に到着してみると、やはり大勢の弔問客が訪れていました。

う~ん、キャンディーズはリアルにフォーエバーなんですねぇ~~。

最後になりましたが、肝心の楽曲は既に述べたようにディスコ歌謡路線の和製ニューソウルで、作詞:安井かずみ&作曲:森田公一の作風は、発売された昭和49(1974)年春の流行を巧みに取り入れて秀逸♪♪~♪ しかも竜崎孝路のアレンジはパーカッションを全面に出したミックスの効果もあり、熱くて流麗なストリングスや咆哮するブラスとキャンディーズのキュートな存在感が抜群のコントラストで対峙するという、タイトルどおり、実にアブナイ仕上がりになっていますよ。

こういう逸品が普通に作られていたのは、これもまた昭和歌謡曲全盛期の証だと思います。

ということで、キャンディーズのレコードはこれ1枚しか持っていないんですが、今となっては、やはり彼女達のミニスカと笑顔が眩しくもせつないですねぇ……。

謹んでスーちゃんのご冥福をお祈り致します。

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お詫びと予告

2011-04-24 16:53:12 | Weblog

急用のため、本日は休載致しますが……。

いろんな新ネタが入っているんで、明日に向かってという気持ちです。

よろしくお願い致します。

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百合子とゆり子は万華鏡

2011-04-23 16:38:45 | Movie

万華鏡の女 / ひし美ゆり子&樋口尚文・著 (筑摩書房)

昭和42(1967)年10月1日、忽然とサイケおやじの前に登場したのが、菱見百合子という女優さんです。

それは言うまでもなく、テレビ特撮の最高峰「ウルトラセブン(TBS)」における友里アンヌ隊員としての菱見百合子であって、そのキュートで女の部分が強く出た演技と佇まいは、それまでの所謂特撮ヒロインのイメージを全く新たにする印象でした。

ちなみに当時の彼女は東宝専属で、その先輩にはやはり特撮SF作品では決定的な存在感を示していた水野久美という美人女優がいたわけですが、その水野久美が同ジャンルでは女王とするならば、菱見百合子は女神ということになりましょうか。

実際、件の「ウルトラセブン」では異星人と禁断の恋に落ちるという、当時としてはある種のタブーを演じたことにより、それは神格化の域にまで達したほど現在進行形でファンをシビれさせたのですが……。

それによって以降、菱見百合子=アンヌという図式は両刃の剣だったのかもしれません。

ご存じのとおり、東宝時代はアンヌ役以上のヒットは無く、契約が切れて以降はひし美ゆり子として成人作品や実録やくざ映画にも登場する事により、全く新しい魅力を開花させたわけですが、それでも今もって、ひし美ゆり子=アンヌという図式が消えないというのは、どうなんでしょうか……。

もちろん個人的には友里アンヌが大好きですし、リアルタイムで最初にテレビで接した瞬間の「こんな可愛いひとが、いるのかなぁ~~♪」という、トキメキの気分は現在でも鮮烈な記憶になっています。

しかし同時に、ひし美ゆり子としての演技や存在感も決して忘れることが出来ません。

というよりも、そこには当然ながら、「あの、アンヌ隊員が!?」という気持が無いと言えば嘘になる衝撃度があったのですから、これは男ならば誰しも一緒じゃないでしょうか。

なにしろ彼女には美貌と素晴らしい肉体があり、それゆえに常にセクシー演技を求められるという側面があったにしろ、それを活かさないのはバチアタリとしか言えません。

ですから、今となっては出し惜しみしなかった彼女に対し、感謝の気持でいっぱいではありますが、ひし美ゆり子という女優さんは、一番評価が高かった時期に自らの意思でフェードアウト……。

そこにはファンが絶対に口出しを許されないものがありますし、後には数冊の自著やプログで様々な経緯も明らかにされているとおり、中には相当にショッキングな現実も含まれておりました。

さて、ということで、本日のご紹介は久々の「ひし美本」として本年5月に発売予定の「万華鏡の女」です。

もちろんサイケおやじは現在まで全く読んでおりませんが、一方の著者である樋口尚文は気鋭の映画評論家ですから、サイケおやじを含む盲信的なファンが書くような内容であろうはずがなく、また共著者としてひし美ゆり子本人が加わっている以上、相対的に掘り下げた女優論と確信しております。

平たく言えば、菱見百合子=ひし美ゆり子の欠点さえも曝け出されているんじゃないでしょうか。

その意味で、発売に合わせたトークイベントが催されるのは朗報だと思います。

 日時:5月27日(金)20時スタート、開場19時半~
 場所:銀座シネパトス
 演目-1 ひし美ゆり子出演超レア作品「ぼくはSLをみた」上映(劇場初公開)
 演目-2 樋口尚文×ひし美ゆり子トークイベント
 演目-3 著者サイン会
 
 ※4月29日(金)より前売券発売開始!
  シネパトス前売料金4000円(書籍代2310円税込みを含む)
  ぴあシネマリザーブシート4400円(書籍代含む)

ということで、久々に血が騒ぐというか、ワクワクドキドキの朗報です。

ちなみにひし美ゆり子と言えば「忘八武士道」「好色元禄(秘)物語」「鏡の中の野心」、あるいはテレビ作品「手紙」等々、とにかくセクシーな部分ばかりが目立ちますが、しかし特筆すべきは、そういう役を演じる女優さんには当然というある種の陰湿さが、彼女には無いということです。

それは既にアンヌを演じていた頃からの菱見百合子にも当然あって、あれほど女の部分が目立つ役柄でありながら、生臭みを感じさせないのは驚異的だと思いますねぇ~。

そして誰よりも色っぽく、ナチュラルなフェロモンを滲ませてしまうのですからっ!

もう、このあたりは奇蹟といって過言ではありませんが、おそらくは近日発売される新刊「万華鏡の女」では、そうした秘密の一端も解き明かされるんじゃないかと楽しみにしているのでした(敬称略)。

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天国へ旅立ったスーちゃん

2011-04-22 15:32:49 | Weblog

日帰り人間ドックにて、検査の真っ最中ですが……。

そんな事から昨日接したスーちゃんの訃報が心に染みますねぇ。

特にキャンディーズのファンではありませんでしたが、やはり同世代の「早すぎる死」には動揺してしまいます。

もちろん病院ですから、検査を待っている間にあれこれと話題も病気関係が多く、幸いにもサイケおやじは癌の兆候が全く無いらしいとはいえ、なにか他人事ではありません。

ということで、本日の1枚は休載させていただきますが、故・田中好子様には謹んで哀悼の意を……。

合掌。

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キャシー中島の秘すれば花

2011-04-21 16:34:55 | 歌謡曲

涙のドレス / キャシー中島 (クラウン)

女のどこにエロスを感じるか?

それは男の命題であって、もちろん十人十色の好みがあるでしょう。

しかし所謂グラマーな美女は、最大公約数のひとつとして許容されるんじゃないでしょうか。

例えば本日の主役たるキャシー中島は、現在でもタレント活動の他にパッチワークや料理本執筆等々、幅広く活躍しておりますが、元々はハーフのモデルとして注目された後、本格的に芸能界へ入ったセクシーな美女です。

そして当然ながら、男性週刊誌等のグラビアにも頻繁に登場し、特に当時としてはかなり大胆な水着姿も披露してくれたわけですが、その基本的姿勢は出し惜しみする必要が全く無いという素晴らしい肉体♪♪~♪

ですから、その頃の芸能界の常として歌手デビューが実現した時、レコードジャケットに過大な期待をしてしまうのも、自然の成り行きだったのですが……。

しかし、いよいよ昭和48(1973)年に発売された彼女の最初のシングル盤は掲載したとおり、ウリだったセクシーな肢体をボディラインごと包み隠したようなジャケ写だったんですねぇ~~!?▼◎?

ところが、ど~~しても隠せないのが、そのポーズゆえのフェロモンの放出で、さらに男好きのする表情と目線が痛烈に魅惑的♪♪~♪

実は告白すると、サイケおやじはシーツに包まった女性の姿にグッと惹きつけられるという性癖がありますから、このキャシー中島にも最高にたまらないものを感じてしまったですよ♪♪~♪

それまでたっぷりと披露されてきた彼女の強烈な肉体が、上手く隠されつつ、羞恥のボディラインをこちらに想像させてしまう目論見は大成功でしょう。

いゃ~、まさに逆もまた真なり!

肝心の楽曲については、当時流行していたブラスロックやニューソウルを巧みに取り入れたアップテンポの歌謡ポップスで、歪むエレギ・ギターに歯切れの良いブラスや低い重心でドライブするリズム隊、そして左チャンネルに定位するワウワウを使ったチャカポコのリズギターがカッコE~~♪

メロディも印象的で、特にサビは昭和歌謡曲ならではの「泣き」を含んだ展開で最高です。

また、気になる彼女の歌唱力は拙い部分も目立ちますが、独特の鼻にかかったボーカルが堪らないものを感じさせてくれますよ。

ということで、当時は春から夏にかけて、女性歌手を水着姿にして出演させる歌番組が多数あり、サイケおやじはそこでこの曲を歌っている彼女の水着姿が今も忘れられません。

昭和歌謡曲が復活している昨今、その辺りの企画もぜひ取り入れていただきたいものです。

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