OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

デュアン・オールマンは突然に…

2020-11-02 19:39:55 | Allman Brothers Band

The Final Note / Allman Brothers Band
             (Allman Brothers Band Recording Company = CD)

  01 Statesboro Blues
  02 Trouble No More
  03 Don’t Keep Me Wondering
  04 One Way Out
  05 In Memory Of Elizabeth Reed
  06 Hot‘lanta
  07 Whipping Post

いゃ~~、前々から存在は噂され、公式リリースが告知されていたとはいえ、ついに我々の前に登場したのが本日掲載したオールマンズのCD!!

なんたって、1971年10月29日に不慮のバイク事故により天国へ召されたデュアン・オールマンのプレイを聴ける音源では、ほとんど最後と云われるライブギグが収録されているんですよっ!

それが件の事故の12日前、つまり……、1971年10月17日のメリーランド州はオウイングス・ミルズにおけるペインターズ・ミル・ミュージック・フェア公演であり、しかし残念ながら、これはトーシロがカセットで客席から録った音源をソースにしています。

ですから、決して音質は良いとは言えませんし、収録演目からもご推察のとおり、ステージライブのフルセットが聴けるわけでもありませんが、音質に関してはオールマンズが自らのアーカイヴで責任を持ったというか、それなりに聴き易いところまで修復されている様です。

ただし、それでも高音質が当たり前となった現代のブートと比較すれば、サイケおやじを含む熱心なオールマンズ信者、あるいは往年のロックファンでも無い限り、それなりの覚悟は必要でしょう。

率直に申し上げれば、高出力のステレオ装置よりはパソコンやスマホのスピーカーやヘッドホンで聴いた方が臨場感や聴き易さはOK?

ってなところが確かにありますし、実際ド頭の「Statesboro Blues」ではマイクのテストをする声が大きく入っており、全体的に「音」そのものが、引っ込み気味なのは、これが限界というところでしょうか……。

実は、この音源は、当時18歳だったラジオ取材記者のサム・アイダスがカセットレコーダーの性能を確かめるために、機器に内蔵のマイクで録ったそうですから、さもありなんと言えばミもフタもありません。

サム・アイダス本人も、49年前の奇特な行動を長い間忘れていたらしく、どうやら友人から尋ねられて思い出したそうですよ (^^♪

ということで、決して万人向けの音源ではありませんが、一聴の価値がある事も確かです。

そうです、間違い無く、オールマンズならではの熱気とロック魂が聴けるんですよっ!

ちなみにCDの仕様は紙製の二つ折りダブルジャケットなのも、嬉しいですよ、個人的には (^^♪

あぁ~~、ジャケ写は当日のショットとされるデュアン・オールマンとレスポールの勇姿で、なんとも染み入りますねぇ~~。

そして今後のオールマンズ音源&映像の公式復刻希望としては、1971年9月16日のニューオーリンズでのライブ音源かなぁ~~。それと、「有る」と噂のワトキンス・グレンの映像とか (^^;

楽しみは、持ち続けていればこそっ!

ですよねぇ~~~ (^^)/~~~

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グレッグ抜きでもオールマン兄弟バンドは始まっていた

2020-09-29 20:47:36 | Allman Brothers Band

Jacksonville Beach 1969 / Allman Brothers Band (Leftfield Media = CD)

  01 Don't Want You No More
  02 Rock Me Baby (imcomplete)
  03 Crossroads (imcomplete)
  04 Born In Chicago
  05 Willie Jean Jam (imcomplete)
  06 Born Under A Bad Sign
  07 She Has Funny Cars
  08 Hey Joe
  09 New Shoes Blues (imcomplete)
  10 Travellin' Music Jam

掲載したのは、オールマン・ブラザーズ・バンド名義の音源としては、最も古いというか、オールマンズがオールマンズと名乗ったばかりの頃、つまり暫定的な歴史としては、グレッグ・オールマンが未だ合流していない時期だった、1969年3月30日のライブギグが聴けるというだけで、ファンにとっては歓喜悶絶!

もちろん、これまでもブートの世界ではお馴染みの音源であり、ネットでも流通してはいるんですが、あらためてハーフオフィシャルとはいえ、プレス盤CDになっていたもんですから、サイケおやじは速攻ゲットさせていただきました。

しかも、内容が全長版と申しましょうか、部分的には様々に収録したブツもあったんですが、今回ご紹介するのは、それなりに音質が安定している様な気がしています。

なにしろ基本的にはライン録りのステレオミックスになっているんですねぇ~~♪

ただし、それでも楽器の定位はグラグラしていますし、ボーカルが全体的にオフ気味……。

ところが、それゆえにデュアン・オールマンのギターが相当に迫ってくる鳴り方でして、まあ、このあたりの感想は十人十色と思います。

で、肝心の演奏メンバーはデュアン・オールマン(g,vo)、ディッキー・ベッツ(g,vo)、ベリー・オークリー(b,vo)、ブッチ・トラックス(ds)、ジェイ・ジョニー・ジョハンソン(ds,per)、リース・ワイナンズ(key,vo) とされていて、そのリース・ワイナンズこそが、後にスティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブルに加入するという歴史を鑑みても、なかなか興味深く聴けると思いますし、その饒舌なオルガンプレイは失礼ながら、グレッグ・オールマン以上の力量が聞き取れるはずです。

しかし、逆にグレッグ・オールマンが不参加ゆえのボーカルパートの弱さは否めず、だからこそ歴史的な意味合いを求めての聴き方になってしまうのが、偽りの無いサイケおやじの本音です。

そこで、サイケおやじの知っている範囲だけではありますが、あらためてオールマンズ結成までの道程を要約すれば、やはり最初はデュアンとグレッグのオールマン兄弟が地元フロリダでのセミプロ活動を基盤として、1965年頃にオールマン・ジョイスと名乗るバンドを結成し、ブルースロックやR&B等々に根差した幾つかのレコーディングを残したあたりが最初のスタートと思われます。

ちなみに、この当時の音源はオールマンズが大ブレイクしてから纏めてLP化されたり、所謂アンソロジー盤等にも収録されているので、興味のある皆様には、ぜひとも聴いていただきたい貴重な資料(?)であります。

そして、1967年頃になるとオールマン兄弟はローカルツアーやライブセッション等々で意気投合したジョニー・サンドリン(ds)、ポール・ホーンズビー(key)、メイブロン・マッキーニー(b) と共にアワ・グラスと名乗る新バンドを結成し、リバティレコードと契約!

ついにLAに進出してメジャーデビューを果たすのですが、1969年初頭までに制作した2枚のアルバムと数枚のシングル盤は何れも売れず、その要因は当時流行のサイケデリック風味のロックとオールマン兄弟以下の面々がルーツとしていたアメリカ南部丸出しのブルースやR&B、あるいは創世期カントリーロック風味の歌と演奏が馴染まず、またレコード会社側からの要請で白人アイドルバンドっぽい雰囲気を求められたから!?

なぁ~んていう、今となっては失笑するしかない現実の壁にブチ当たったらしいのですが、後にサイケおやじが実際に当時のアワ・グラスのレコードを聴いてみたら、確かに中途半端な印象はありますが、グレッグ・オールマンのボーカルは、かなりイケていると思いましたですねぇ~~~!?

ただし、肝心の演目がキャロル・キングの作品だったり、ジャクソン・ブラウンの初期作品を強引にソウルっぽく演じてみたりして、このあたりは現在、容易にCDで聴けますので、ご確認いただきたいところです。

そして結局のところ、アワ・グラスは消滅し、デュアン・オールマンは地元へ帰郷したんですが、グレッグ・オールマンだけは、やはりボーカリストとしての才能をレコード会社に認められていたらしく、そのまんまハリウッドに残留したのも、実はアワ・グラスとしての契約が残っていた所為という説も有力です。

つまり、デュアン・オールマンが単独行動でスタジオセッションや様々なバンドでトラをやりながら、再起を目指して集めた面々が、今回ご紹介の音源で確認出来るというわけで、歴史的観点からすれば、グレッグ・オールマンが兄から新バンド結成の連絡を受けたのが、1969年3月だったそうですから、兄弟が実質的に揃わないうちから既に「オールマン・ブラザーズ・バンド」を名乗っていたというのは、ど~にも不思議な気がするわけでして、もしかすると、この音源のステージには当初、別のバンド名で出演契約を結んだのかもしれませんし、当然ながらオールマンズがロックの歴史に名前を残している今となっては、「オールマンズ」で売られても納得するしかありません。

そして、ここでの演奏は実際に楽しめるんですよ、ファンにとってはねぇ~~♪

もちろん、普通のロック好きにとっても、興味深々の音源という事実は変わりません。

そこで肝心の演目について、まずド頭「Don't Want You No More」は言わずもがな、オールマンズのデビューアルバム、その初っ端に収められていたミディアムテンポのブルースロックで、有名なのはスペンサー・デイビス・グループのバージョンではありますが、オールマンズのインストバージョンも侮れませんねぇ~~♪ デュアン・オールマンのギターにサイケデリックロック風味も強いオルガンのアドリブ、そして芯の強いベースの蠢きっ! たまりませんねぇ~~♪

そして続く「Rock Me Baby」はフェードインでスタートしますが、アップテンポで炸裂するオルガンソロが熱く、ボーカルが物足りないとはいえ、デュアン・オールマンのスライドも聴けますし、ちょいと期待してしまうのがクリームの決定的な大名演がある「Crossroads」には、それと同じリフを使っての展開の中で、デュアン・オールマンとディッキー・ベッツのギターユニゾンやアドリブ対決もありまして、これがフェードアウトしてしまうのは残念無念……!?

しかし、これまたバターフィールド・ブルース・バンドでお馴染みの「Born In Chicago」は思わせぶりな導入部からテンポアップしての演奏に熱くさせられますし、再びテンポチェンジしてからのデュアン・オールマンのギターが如何にもの「節」全開で嬉しくなりますよ♪♪~♪

ですから、曲タイトルどおりにジャムセッションっぽいアドリブ合戦が繰り広げられる「Willie Jean Jam」は最後がちょいと尻切れトンボではありますが、それは18分超の長丁場であっても、なかなか興味深く楽しめますし、アルバート・キング畢生の「Born Under A Bad Sign」におけるデュアン・オールマンのギターにサイケおやじは悶絶!

また気になるツインドラムスの見せ場と申しましょうか、それこそが「She Has Funny Cars」でして、まだまだ確定された展開ではありませんが、以降のオールマンズを予想させる演奏でありながら、実はアワ・グラス時代のサイケデリック~ビートポップスの味わいを引き継いだ雰囲気は面白いと思いますし、ジミヘンバーズでお馴染みの「Hey Joe」にしても、未だ自らの進む道を模索しているオールマンズという聴き方が出来るとすれば、中途半端なコーラスやグイノリのギターの凄み共々に、やっぱりファンには嬉しいトラックだと思います。

う~ん、特に11分近い熱演の「Hey Joe」は個人的に大好きになりそうですよ♪♪~♪

その意味でフェードインして始まる「New Shoes Blues」はボーカルが妙にグレッグ・オールマンっぽい雰囲気のスローブルースで、この思わせぶりと暑苦しさこそがオールマンズの土台なのかもしれません。

こ~して迎える大団円は「Travellin' Music Jam」がアップテンポのシャッフルブルースってのは、お約束!

ちなみに全体的に左チャンネルのギターがデュアン・オールマン、右チャンネルがディッキー・ベッツという定位かと思っていたんですが、この演奏に関しては左チャンネルから両者のギターが鳴っている感じでして、だとすれば、ここまでのサイケおやじの聴き方にも大いに問題があるわけですが、それが途中から右チャンネルからもギターが聞こえたりして、なんだか分からなくなるという……。

しかし、それはそれとして、あれやこれやと最初期のオールマンズを楽しめる事は請け合いです。

それでも、これは録音の状態にもよりましょうが、未だツインドラムスの存在感が希薄だったり、ボーカルパートは主にディッキー・ベッツかもしれませんが、デュアン・オールマンが歌っている様なところもありますので、皆様にご確認願いたところです。

ということで、気になる音質は現代のレベルからすれば劣悪かもしれませんが、サイケおやじと同世代の皆様であれば、全く普通に聴けるはずですし、音割れとか定位の不安定さも含めて、これが往年の「ロックの音」とご理解いただければ、結果オ~ライと思い込んでおります (^^;)

オールマンズ、永遠なれっ!

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既に1年前のオールマンズの真相

2019-10-09 17:04:12 | Allman Brothers Band
Fillmore East February 1970 / The Allman Brothers Band (Berr's Sonic Journrls = CD)

  01 In Memory of Elizabeth Reed
  02 Hoochie Coochie Man
  03 Statesboro Blues
  04 Trouble No More
  05 Outskirts of Town
  06 Whipping Post
  07 Mountain Jam

またまたオールマンズの周辺が騒がしくなっているのは、あの歴史的名盤「アット・フィルモア・イースト」の約1ヶ月前のライブ音源が堂々の4枚組CD公式盤「フィルモア・ウエスト '71」として世に出たからでして、それはどうやらオールマンズのローディが所有していたテープをリマスターしたとの情報が伝えられたもんですから、サイケおやじも速攻でゲットし、極力時間を見つけては謹聴し、拙ブログにてご紹介するべく、あれやこれやと思うところを纏めているんですが、その前段として、まずは取り上げておきたいのが、掲載のCDです。

それはタイトルどおり、件の「アット・フィルモア・イースト」よりも遡って約1年前、1970年2月のフィルモアイーストでのライブ音源で、これまでにもハーフオフィシャルというか、1997年にグレイトフル・デッドの自主レーベルから発売されていたCDと基本的に内容は同一です。
 

また、関連ブートも様々に出ていた事は言わずもがなの音源で、実はこのライブギグは1970年2月11日&13~14日にグレイトフル・デッドと共演した時にレコーディングされながら、オールマンズの面々は全くその存在を知らずにいたという逸話があったんですが、真相はデッド・ファミリーのサウンド・エンジニアだったオウズリー・スタンリーが録音していたサウンドボードからのソースですから、今も次々に世に出続けているデッド関連のライブ音源と同様の品質があるのは当然 ♪♪~♪

ただし、残されている大元の音源はテープチェンジ等々の理由からトラックの中には欠落がある不完全な演奏もあり、それゆえに良いところを集めて編集し、1枚のCDに凝縮された理由かと思われます。

というのも、再発された掲載盤が世に出た時、オウズリー・スタンリーのネットサイトでは関連する情報が公開されており、不完全な演奏も含むコンプリート音源集が限定的に販売されておりましたが、サイケおやじは無念にも入手出来ず、それでもダウンロード版だけはどうにかゲットしましたので、データだけ下記に掲載しておきます。

 ★February 11, 1970
  01  In Memory of Elizabeth Reed
  02 Statesboro Blues
  03 Trouble No More
  04 Hoochie Coochie Man
  05 Mountain Jam (Incomplete)

 ★February 13, 1970
  01 In Memory of Elizabeth Reed
  02 Outskirts of Town (Cut)
  03 Mountain Jam (Incomplete)

 ★February 14, 1970
  01 In Memory of Elizabeth Reed
  02 Hoochie Coochie Man
  03 Outskirts of Town (Incomplete)
  04 Whipping Post
  05 Mountain Jam (Incomplete)

さて、いよいよ掲載盤については、まず音質が以前に出ていた「1997年盤」からリマスターされたとの事で、確かにサウンド全体に迫力というか、低音域の厚みが増している感じですし、編集されたと思しき箇所も丁寧に処理し直されたように思います。

で、肝心の演奏内容は、まずこの時点では公式レコード発売の無かった初っ端の「In Memory of Elizabeth Reed」が既に曲の流れや展開が固まっていて、しかも独特の落ち着きがイイ感じ ♪♪~♪

説明不要とは思いますが、当時のオールマンズはデュアン・オールマン(g) とグレッグ・オールマン(vo,key) の兄弟を中心にディッキー・ベッツ(g)、ベリー・オークリー(b,vo)、ブッチ・トラックス(ds,per)、ジェイ・ジョニー・ジョハンスン(ds.per) という面々が、各々の個性を発揮しつつ、グループとしての纏まりにも気を配っていたと思われる、なかなか前向きなヤル気がビンビンに伝わって来る上昇期の勢いが素晴らしく、それが最初は客観的(?)だったと思われる聴衆を惹きつけていく様子が、この音源を聴き進めるうちに感じられるんですが、いかがなものでしょう。

それはベリー・オークリーが歌う「Hoochie Coochie Man」でのブルースロックな熱気、ご存知デュアン・オールマンのスライドが泣きながら絡みつく「Statesboro Blues」や「Trouble No More」は、最も我々が馴染んでいる「らしい」演奏でしょう。

タメとモタレが交錯するツインのドラムスも憎めません ♪♪~♪

またブルース歌謡の「Outskirts of Town」ではミディアムスローでムードに浸りきったグレッグ・オールマンのボーカルにグッと惹きつけられますし、このブル~~スなギター!

あぁ~~、このフィーリングはコピーしようと思ったって、相当の修業と精進を積み重ねなければ、容易には叶わない世界ですよねぇ~~~♪

そしていよいよのクライマックスが所謂ジャムバンドとしてのオールマンズの神髄とも言うべき「Whipping Post」と「Mountain Jam」の二連発ですから、たまりません ♪♪~♪

既に述べたとおり、ここで記録されている音源には完奏されていないトラックがありながら、全体として違和感無く纏まって聴ける仕上げは素晴らしく、それゆえにステレオミックスの長短所と申しましょうか、各メンバーの楽器の定位が演奏中の曲であっても右や左や中央に分散展開(?)され、特に2本のギターがゴッタ煮となっていたり、ツインのドラムスが走ったり、モタついたりの結果オーライ的なポリリズムも、それが生々しいライブの醍醐味!?!

そのあたりを分析鑑賞していると、凄いに決まっているデュアン・オールマンに負けず劣らずのディッキー・ベッツのギターも素晴らしく、本当に熱くさせられますっ!

告白すればサイケおやじは、だからこそ、このライブ盤が大好きなんですよ ♪♪~♪

という本音は決して言い訳ではないつもりです。

ということで、やっぱりオールマンズは最高です。ロックが熱かった時代が、ここに聴けるんですよねぇ~~♪

ちょいとでも興味を抱かれた皆様には、ぜひとも聴いていただきたいと激オススメのCDです。

さあ、次は「フィルモア・ウエスト '71」だっ!
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駆け出したオールマンズの記録

2017-08-12 18:26:31 | Allman Brothers Band
The First Live Recording / The Allman Brothers Band (Lesar Media = CD)
 
 01 Revival
 02 Leave My Blues At Home
 03 In Memory Of Elizabeth Reed
 04 Don't Keep Me Wonderlin'
 05 Don't Want You No More
 06 Born In Chicago
 07 Jam Willie Jean
 08 Travellin' Music Jam
 
最近は権利関係が緩くなったか、それとも版権切れという現実があるのかもしれませんし、関係者が鬼籍に入ったという悲しい事情を鑑み、必ずしもオフィシャルではない音源や映像が堂々と出回っているのは嬉しくもあり、また複雑な心境も否めません。

例えば本日掲載したオールマンズのCDは、ジャケ写に記載された「Legendary Radio Broadcast 1969」というウリ文句に思わず惹きつけられてしまうブツではありますが、内容は以前からブートや私家録音のカセットテープコピー等々で知られていたものですから、決して新しい蔵出し商品ではありません。

しかし、もしかしたら……!?

という期待感をど~しても抱いてしまうのが、ファンの哀しい宿業でして、わかっちゃいるけど、やめられないという、せつない心情で、この音源を簡単にご紹介させていただきます。

まず、「Revival」「Leave My Blues At Home」「In Memory Of Elizabeth Reed」「Don't Keep Me Wonderlin'」はスタジオレコーディングのアウトテイクで、基本はモノラルミックスになっていますが、それなりに聴き易いというか、サイケおやじと同世代で、1970年代からのブートの音質に馴染んでいらっしゃる皆様であれば、これを音質が悪いと敬遠はなさらないでしょう。

もちろんバンドはデュアン・オールマン(g) とグレッグ・オールマン(vo,key) の兄弟を中心にディッキー・ベッツ(g)、ベリー・オークリー(b,vo)、ブッチ・トラックス(ds,per)、ジェイ・ジョニー・ジョハンスン(ds.per) という顔ぶれに定まった頃でしょうから、公式のオリジナルテイクと比較して云々という詮索(?)にも楽しみがあると思います。

ただし、オールマンズはライブが凄い、凄過ぎる所為もあって、今となってはスタジオレコーディングのテイクにつまらなさ、物足りなさを覚えてしまうのも事実ですから、逆に言えば、ここに収録された未完成の音源にはラフな質感共々、我知らず……、グッと惹き込まれるのもサイケおやじの本性です。

そして後半、「Don't Want You No More」「Born In Chicago」「Jam Willie Jean」「Travellin' Music Jam」の4曲は、1969年3月のラジオ放送用ライブと言われている音源で、だとすればグレッグ・オールマンが加入する直前の演奏であり、するとキーボート&ボーカルを担当しているのは、なんとっ!

後にスティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブルに加入するリース・ワイナンスというのが定説で、確かにオルガンソロを聴いてみれば、グレッグ・オールマンよりは手数の多いフレーズやライトタッチのノリが確認出来ますし、同時にボーカルの節回しに軽さがあるのは、これまた物足りないところでしょうか。

ただし、それゆえにサイケデリック&ブルースロックに偏った演奏を素直に楽しめるのは、サイケおやじ的には高得点♪♪~♪

ちなみにグレッグ・オールマンがバンドに入るのは、このライブの直後とされていますから、このライブ音源では薄味という、まさにオールマンズを特徴づける腰の据わったノリと暑苦しさには、あらためてグレッグ・オールマンの存在感を認識させられるんじゃ~ないでしょうか?

それと、実はこの日の録音とされる音源には既に完全版(?)が出回っていて、他にもブルースロックの有名曲等々を演じているんですが、少なくともサイケおやじが聴いた限りでは、今回の復刻CDよりは音質が劣っている印象なんですねぇ……。

一応はサウンドボードからのステレオミックスになっている事からして、近い将来、オールマンズ側からリマスターされた貴重音源集として公式復刻されれば、なかなか反響を呼ぶんじゃ~なかろうか?

なぁ~んて、思っています。

ということで、古くからのオールマンズのファンにとっては目新しい音源ではないと思いますが、未聴の皆様にとっては、一度は接していただきたい音源集です。

ただし、それはこのブツ以外にも同内容のCDが何種類か出回ってきた歴史(?)からして、直ぐにもゲットする必要は無いと考えますし、また近年はスタジオアウトテイクも様々に公式発売されている事からも、正規のアーカイヴ物が出て来るまで待つのも悪くはないでしょう。
 
また、ご紹介のCDには、そんなこんなを解明した解説ブックレットが無いのも減点……。
 
ですから、ここまで述べて来た事は、あくまでもサイケおやじが手持ちの音源や、これまで聴いてきたオールマンズの演奏からの考察&推察が多く、それでも掲載したのは、その時になっての比較対象的資料になればという、なんとも余計なお世話を含んでおりますので、暴言乱文はお許し願いたいところです。

最後になりましたが、本日はちょっぴり時間が空いたので、借りているトランクルームから未視聴のブツをあれやこれや、持ち帰って来ました。

それらをきっちりと鑑賞して後、ご紹介出来ればなぁ~~、と目論んでいるのでした。
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いいじゃ~ないか、オールマンズならば!

2017-06-10 20:51:30 | Allman Brothers Band
Live Chicago 1/31/1970 / The Allman Brothers Band (Shilver Dollar = CD)
 
 
 01 Statesboro Blues (fade-in)
 02 Trouble No More
 03 Don't Keep Me Wondering
 04 Done Somebody Wrong
 05 One way Out
 06 In Memory Of Elizabeth Reed
 07 Stormy Monday (fade-out)

先日のグレッグ・オールマンの訃報には、悲しいというよりは、寂しさがこみあげてきました。

というのも、もちろん故人は偉大なるオールマンズの創設メンバーのひとりであり、看板スタアとして情感溢れるボーカルと決して一流とは言い難いながら、ツボを押さえたオルガン&ピアノでバンドを牽引し、近年の再結成以降は、オールマンズがオールマンズであるための「象徴」として、やはり欠かせない存在でしたからねぇ……。

とすれば、ディッキー・ベッツ(g,vo) の現状を踏まえても、ついにブッチ・トラックス(ds) とジェイモー(ds,per) だけになってしまったオリジナルメンバーが高齢でもありますから、いよいよなのかなぁ……、というのがサイケおやじの偽りの無い気持ちです。

そこで本日はオールマンズが上昇期のライブ音源を収めた発掘CDを鳴らし、故人の冥福とバンドの永劫性に思いを募らせたいと思います。

で、掲載したのは、発売元のデータを信じれば、1970年1月31日のシカゴでのライブ音源をFM放送用に録った、所謂エアチェック物という事なんですが、これは昔っからちょいと知られたブート音源であり、しかも録音日や場所に諸説が入り乱れているという問題作?

それは例えば、録音場所がシカゴではなく、フィルモアウエストであるという説!?

また、そのライブの日時が、ここに記載されたものではなく、「1970年1月31日」というのは、この音源がシカゴで放送された日付だという説!?

そして近年有力となっている説が、これは以前にハーフオフィシャル盤としてリマスター復刻された「A & R Studios:New York, 26th August 1971」と同一音源!?

等々、様々流布されているんですが、サイケおやじとしては、掲載のCDをゲットして実際に鑑賞した後、ますます複雑な気分にさせられてしまったとはいえ、聴いている最中には、やっぱり熱くさせられてしまったですよ♪♪~♪

で、上記した諸問題に関して、サイケおやじが独断と偏見から考察すれば大上段ではありますが、まずこのCDに収められている音源のミックスや音質が、如何にもリアルタイムのラジオ放送からエアチェック致しましたという、一応はステレオミックスながらも、幾分安定性を欠いた、すっきりしないものになっているのは、それなりの結果と思います。

そして前述した「A & R Studios:New York, 26th August 1971」との同一性については、確かに演目はダブっていますし、演奏パターンや聞かれるキメのフレーズ等々は酷似しているものの、各トラックのミックスが違い過ぎるので、なんとも申せません。

そのあたりをちょいと詳しく書かせていただければ、まず冒頭「Statesboro Blues」は、ここでは頭欠けであり、ミックスにしても2本のギターがすっきりと左右に分離していた「A & R Studios:New York, 26th August 1971」の同曲に比べ、ボーカルとギターが左寄り、ドラムスとベースが右寄りという定位になっています。

それが続く「Trouble No More」では、デュアン・オールマンのスライドギターが中央~右寄りにミックスされ直していますし、そうした仕様がCDを聴き進めていくうちに固まっていくというか、オーラスの「Stormy Monday」に至った時には、ギターがはっきりと左右に分離して聞こえるようになるんですから、なんとも結論が難しくなります。

また、当然ながら、各トラックの収録時間も多少の違いがあり、中でも「In Memory Of Elizabeth Reed」の演奏前に行われたチューニングの作業にしても、このブツよりも「A & R Studios:New York, 26th August 1971」に収録のパートは、ずうぅ~と長く入っているんですねぇ~~!?!

等々、他にも比較検討すべきところは多々あるんですが、それでもこのCDで聴けるオールマンズの演奏は、やっぱり好きなものは好きとしか言えない魅力が確かにあります。

特に「Don't Keep Me Wondering」におけるデュアン・オールマンの狂おしいスライド、リズムとビートのアンサンブルがビシッとキマった「Done Somebody Wrong」ではディッキー・ベッツのギターも冴えていますし、もちろんデュアン・オールマンのスライドが炸裂しますから、これぞ南部流儀のブルースロックが存在証明ってなもんでしょう!

それは続けざまに演奏される「One way Out」のカッコ良さにも同様であり、その熱中度は幾分モコモコした音質が反作用的に効果絶大と思うばかりですよ♪♪~♪

う~ん、このギターとドラムスの掛け合いは、常に熱いですねぇ~~♪

さて、そこで気になるグレッグ・オールマンについては、ボーカルに粘っこさと熱気があるのは言わずもがな、「In Memory Of Elizabeth Reed」や「Stormy Monday」で披露されるオルガンプレイにしても、未だマンネリ感よりは説得力が強いのは、そのまんま、当時上昇期だったバンドの勢いというところでしょうか。

ということで、サイケおやじとしては、これはこれで別物として、素直に記載されたデーターを信じて聴いております。

また、紙製の見開きジャケット内側では、デュアン・オールマンの直筆も載っていたりして、好感が持てますよ。

そして正直に書かせていただければ、その音の良さゆえにイマイチ、前半でテンションが上がりきらない印象も感じられた「A & R Studios:New York, 26th August 1971」よりは、その音質が如何にも往年のブートのような掲載のブツが、逆に熱く楽しめるという、全く天邪鬼がモロ出しというのが本音であります、例え両者が同じ音源であったとしても!

あぁ~~、やっぱりデュアン・オールマン(g)、グレッグ・オールマン(vo,key) の兄弟を中心にディッキー・ベッツ(g,vo)、ベリー・オークリー(b,vo)、ブッチ・トラックス(ds,per)、ジェイ・ジョニー・ジョハンスン(ds.per) というオリジナルのオールマンズは最高だぁ~~~♪

きっとグレッグ・オールマンは天国で兄貴のデュアン・オールマンやベリー・オークリーと再会し、一緒に素敵なブルース&ソウルをやっているにちがいありません。

合掌。
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オールマンズは二度死ぬ

2017-01-29 17:51:21 | Allman Brothers Band
Restoration / The Allman Brothers Band (FM Concrt Broadcasts Ltd. = CD)

 01 Introduction
 02 Midnight Rider
 03 Blue Sky
 04 One Way Out
 05 Statesboro Blues
 06 Southbound
 07 Jessica
 08 Good Lovin'
 09 Key to the Highway

その長いキャリアの中で何度も離散集合を繰り返してきたオールマンズではありますが、殊更1986年の短期リユニオンツアーには久々にチャック・リーヴェル(p) の参加が目玉でしたから、そのライブの現場に参集が叶わなかったファンにとっては、本日ご紹介のCDは嬉しいプレゼントでしょう。

それは同年10月31日、ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで開催された「CRACKDOWN」と冠されたベネフィットコンサートに出演したステージからのライブ音源を収録したブツで、ネタ元はFM放送用のソースですから、音質もそれなりに普通に聴けるレベルですし、プログラムも上記したとおり、往年のオールマンズの十八番演目が楽しめるんですねぇ~~♪

しかも件のコンサートにはオールマンズ以外のミュージシャンが大勢登場していたので、適宜ゲストが入っての演奏も聴けるのは興味津々♪♪~♪

とはいえ、やっぱり本当に惹きつけられるのは前述したとおり、チャック・リーヴェルの復帰でありましょう。

というのも、ここまでのオールマンズはデュアン・オールマン(g) とベリー・オークリー(b) という結成時以来のメンバーを事故で失うという危機を乗り越え、1973年に出したアルバム「ブラザーズ&シスターズ」の爆発的な大ヒットから新たな全盛期を迎えながら、グループ内はメンバー間の確執と不仲、さらにはグレッグ・オールマンの悪いクスリによる逮捕から、ついには1976年に分裂解散……。

それでも1979年には再結成の運びとなり、1982年までの間にLP3枚と公式ライブ映像等々を残すのですが、所属レコード会社の閉鎖や様々なゴタゴタがあったようで、再び活動停止に追い込まれていたわけですし、そんな紆余曲折の中にはチャック・リーヴェルが加わっていなかったのですから、ファンにとっての1986年のリユニオンは待ちに待ったという思いです。

で、ここでのメンバーは冒頭に収録されているMCにより、グレッグ・オールマン(vo,org)、ディッキー・ベッツ(vo,g)、ダン・トーラー(g)、チャック・リーヴェル(p)、ブルース・ウェイベル(b)、ブッチ・トラックス(ds,per)、ジェイモー(ds,per) という顔ぶれなんですが、新顔のブルース・ウェイベルは当時のグレッグ・オールマンのバックをやっていたらしく、なかなか堅実なプレイは違和感がありません。

また、ダン・トーラーはオールマンズの最初の解散からディッキー・ベッツが正式に率いたグレイト・サザンのレギュラーでしたから、ベッツ親分とのコンビネーションも良い感じ♪♪~♪ この音源では左サイド寄りにダン・トーラー、センターから右サイド寄りにディッキー・ベッツのギターがミックスされていますので、そのあたりも存分に♪♪~♪

ですから、初っ端の「Midnight Rider」は幾分ギクシャクしながらも、バンド全体から発散されるどっしりしたグルーヴが素晴らしく、続く「Blue Sky」でチャック・リーヴェルのピアノが飛び出す頃には、すっかり気分は綻んでしまいます。

そして「One Way Out」には最初のゲストとしてポール・バターフィールド(hmc)が入り、そのなかなかにカントリー&スワンピーなブルースロックには、思わず腰が浮いたりします♪♪~♪ ただし、これにはデュアン・オールマンの超名演が残されていますからねぇ……、ギターが物足りないと思うのも正直な気持ち……。

それでも、そんなバチアタリの不満を補ってくれるのがグレッグ・オールマンの入れ込んだ(?)ボーカルで、お待たせしました、皆が大好きな「Statesboro Blues」では例の「I'm goin' to the country, baby do you wanna go?」の一節の熱さ、そして「Southbound」においては、ディッキー・ベッツを打ち負かさんとするが如き力みは最高ですよっ!

となれば、当然ながらこの「Southbound」の熱演は半端無く、そりゃ~もう、凄いの一言!!

転がりまくるチャック・リーヴェルのピアノ、ジャジーなフレーズも入ったダン・トーラーのギターに負けじと奮闘するディッキー・ベッツは、殊更後半のツインリードで熱くさせてくれますし、リズム隊の突進力は言わずもがな、もう、このトラックを聴けただけで、このブツの存在価値は充分に高いと思うばかりです。

そしてオールマンズと云えば、今や欠かせない人気演目となっている「Jessica」においても、きっちりお約束のフレーズを弾いてくれるチャック・リーヴェルは看板スタアの存在証明! この楽しさもまた、オールマンズ不滅の魅力でしょう。

こうしてステージはいよいよ大団円!?

オールマンズにしては馴染の無い「Good Lovin'」は、もちろんラスカルズが1966年に放った懐かしのロックヒットではありますが、ここではなんとっ! そのラスカルズの中心メンバーだったフェリックス・キャバリェがゲスト参加して、律儀に歌っています。

さらにオーラスのブルース大会「Key to the Highway」にはミック・テイラー(g)、カルロス・サンタナ(g)、スティーヴン・スティルス(g) 等々が入ってのセッションが繰り広げられますが、こちらは音の整理がゴッタ煮状態で、ちょっぴり煮え切らなさが勿体ない……。

やっぱりこれは、チャック・リーヴェルが一時的にせよ復帰したオールマン・リユニオン・バンドを楽しむのが本筋のような気がします。なにしろ1989年から現在に続く復活オールマンズには、チャック・リーヴェルが入っていないのですからっ!

ただし、このCDには個人的に大きな不満があって、それは収録トラック毎に打たれたチャプターの所為で、曲間の変わり目で一瞬音が途切れるというのは、せっかくノリが良いライブの流れをシラケさせての大減点!

それを改善した別商品も既に出回っているかもしまれせんが、ご紹介したブツに関しては、サイケおやじの使っている様々なオーディオ機器全てでそんな状況ですので、皆様にはお知らせした次第です。

しかし、それでもサイケおやじは、ここに聴けるオールマンズが気に入っています♪

実はネットでも同じ音源は聴けますし、同じメンバーによる別な日の演奏の映像もアップされていますが、やっぱりオールマンズに関しては何故か、パッケージ化されたソフトを持っていたいんですよ。

それもファン心理のひとつとご理解いただければ、幸いでございます。
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全て分かっている楽しみのオールマンズ

2014-09-24 14:27:34 | Allman Brothers Band

Play All Night: Live at the Beacon Theater
             /  The Allman Brothers Band
(Epic / Legacy = CD)

☆Disc-1
 01 Statesboro Blues
 02 You Don't Love Me
 03 End Of The Line
 04 Blue Sky
 05 Nobody Knows
 06 Low Down Dirty Mean
 07 Seven Turns
 08 Midnight Rider
 09 Come On In My Kitchen
☆Disc-2
 01 Guitar Intro ~ Hoochie Koochie Man
 02 Jessica
 03 Get On With Your Life
 04 In Memory Of Elizabeth Reed
 05 Revival
 06 Dreams
 07 Whipping Post

つい最近、例のフィルモアのライブ集大成(?)の箱物を出したオールマンズに対し、そこにはやはりライブバンドとしての存在意義を強く感じているわけですが、ど~してもデュアン・オールマン存命時の音源ばかりが優遇されるのは、致し方ない現実と思います。

しかしオールマンズが以降も存続出来たのは、その宿業的な幻影と戦う心意気を持っていたからでしょう。

だからこそ、バンドの内部事情諸々から離散集合を繰り返しても、ファンはオールマンズそのものを求め続け、ライブステージでは昔っからの同じ様なプログラムを演じ続けてくれる彼等に喜びを覚えるわけでして、それをもはや伝統芸能と言われればミもフタもありませんが、現実的には巡業の集客も良好ですし、スタジオレコーディングの新作よりは、発掘音源も含めてのライブ盤が人気を集めているのですから、サイケおやじも気持ちはひとつ!

そこで本日ご紹介の2枚組CDは今年になって突如(?)世に出た恒例のビーコンシアター物なんですが、1992年3月10&11日という録音データからして、おそらくは同劇場における初めてのロングラン公演を記録した公式音源になりましょうか。

メンバーはグレッグ・オールマン(vo,key,g)、ディッキー・ベッツ(vo,g)、ウォーレン・ヘインズ(vo,g)、アレン・ウッディ(b)、ジェイモー(ds)、ブッチ・トラックス(ds)、マーク・キノン(per)、そして古くから準レギュラーだったトム・デューセット(hmc) という、なかなか充実のメンバーが揃っていますが、もちろん今日的なお目当ては「ディッキー・ベッツ vs ウォーレン・ヘインズ」のギターバトル&コンビネーション、さらには所謂ジャムバンド系のバンドアンサンブルに他なりません。

ところが、そうなると浮かび上がってくるのがグレッグ・オールマンの存在で、はっきり言わせていただければ、キーボード奏者としての実力よりも遥かに凄いのが、ボーカルの説得力ですからねぇ~~。

局地的かもしれませんが、「象徴」なぁ~んていう扱いをサイケおやじは認めませんよっ!

で、肝心の中身は、まず録音とミックスが如何にも現代的な仕上がりになっていて、クリアな音質と各人の立場がはっきりとした定位、さらには臨場感も伝わってくるという迫力は素晴らしいと思います。

ただし、それが逆に綺麗過ぎて、ネチネチした熱気とか泥臭い突進力みたいな往年のサザンロックの特質を薄めてしまっているのも、確かなんですよ……。

そういうサイケおやじの気分を皆様にご承知していただいたところで、殊更気になる前述「ディッキー・ベッツ vs ウォーレン・ヘインズ」の結論から言えば、後者の勝ちでしょう。

中でもディッキー・ベッツの代名詞「In Memory Of Elizabeth Reed」におけるウォーレン・ヘインズのギターソロの物凄さは圧巻で、ど~やったら、ここまでのプレイが可能のかっ!?!

と、思わず呆れてしまうほどです。

しかし、ど~しても避けえないのが、デュアン・オールマンの代用品的なイメージで、それはオープニング「Statesboro Blues」のド頭から、あの鋭いツカミだったスライドギターによるイントロフレーズを丸コピーしているところからして言い訳無用でしょう。

もちろん、それを「芸の無さ」というつもりはありません。

何故ならば、もしも異なるフレーズやアレンジで「Statesboro Blues」がスタートしていたら、やっぱりサイケおやじを含む大方のファンは納得しないはずです。

そのあたりが偉大なバンドを継承運営していく難しさであって、だからこそ万年一日の姿勢が伝統芸能と揶揄されたりもするわけですが、同時に尊敬と安心感を与えくれる真実を否定してはならないはずです。

そして、だからこそ、グレッグ・オールマンのボーカルが必要なのだっ!

なぁ~んて、自分に言い聞かせてしまうわけですが、実際にブルースロック王道路線の「Low Down Dirty Mean」での歌いっぷりの良さに接してしまえば、後は自ずとオールマンズの世界に惹きつけられてしまうんですねぇ~~♪ なにしろバンドとしての纏まりも素晴らしく、終盤で繰り広げられるディッキー対ウォーレンのウエスタンスイング合戦も良い感じ♪♪~♪

また、アンプラグド風味も程好いグレッグ・オールマンが十八番の「Midnight Rider」では、リードとコーラスのボーカルアンサンブルも心地良く、往年のレイドバックが現代的に再現されていますし、有名過ぎるロバート・ジョンソンの古典ブルースをカバーした「Come On In My Kitchen 」におけるアコースティックな味わいも、なかなか捨て難いマンネリ感がたまりません♪♪~♪

ちなみにアルバム全篇を通してのミックスは基本が左にディッキー・ベッツ、右にウォーレン・ヘインズという、当時のステージライブを客席から楽しんでいるのと同じ定位なので、そういう当たり前のサービスをやってくれるところも長いキャリアの証でしょうか。

ですから Disc-2、つまり後半に入ってのギター&ドラムバトルを全面に押し出したプログラム展開も、余計な心配(?)をせずに楽しめるわけでして、しかしそうなっているからでしょうか、上手い事は無類のウォーレン・ヘインズのプレイには、ど~しても感動しない、あるいは出来ないのがサイケおやじの本音なんですよ……。

また、ディッキー・ベッツからも前向きな意思が伝わって来なくて、もちろんきっちりファンが望むところは弾いてくれているんですが、これじゃ~、ウォーレン・ヘインズに押されるのも無理ないか……等々、不遜な気持ちを抱いてしまうのは前述した「In Memory Of Elizabeth Reed」と同じくウリの「Jessica」においてさえ、以下同文???

当然ながら、随所に仕掛けられているオールマンズ伝家の宝刀であるツインリードでキメるリフにしても、スリルというよりは「お約束」の様式美で、例えばジャイアン馬場の十六文キックか、アントニオ猪木の延髄斬りの如し、ひとつの予定調和になっているのが物足りないという、そんな贅沢を言いたくなります。

しかし、ここでも威力を発揮するのがグレッグ・オールマンの存在で、一応は本人オリジナルとクレジットされながら、実はブルースロックの折衷スタイルで迫る「Get On With Your Life」は、その歌いっぷりに牽引されたかのような素直なプレイがバンド全体に行き届いた名唱名演かと思います。

それとあえて特筆しておきたいのがリズム隊の安定感で、看板のツインドラムスではジェイモーのどっしり構えたシンプルなスタイルに対し、手数が多いジャズっぽいパートまで叩くブッチ・トラックスが、ベースやパーカッションをも引き連れてのリズム的興奮度は侮れません。

普通はならば飽きてしまう長いドラム&パーカッションソロがすんなり聴けてしまう「技」があればこそ、大団円に向けての「Revival」「Dreams」「Whipping Post」の楽しさは格別でしょう。

おぉ~、ちょっぴりフュージョンっぽいところもあるんですねぇ~、この頃のオールマンズはっ!?

ということで、それほどの刺激に期待するのは禁物ですが、「全て分かっている楽しみ」を求めるのであれば、なかなか絶好のアルバムです。

特にウォーレン・ヘインズのファンは必聴!

あっ、CDの裏書を読んでみたら、プロデュースがウォーレン・ヘインズになっていました。

とすれば、おそらくは膨大の残されている当時のオールマンズ音源から、我田引水的なチョイスをやったのか?

そういう推測も避けえませんが、しかしディッキー・ベッツの名誉の為に書かせてもらえば、ここでのプレイは決してダメという事ではなくて、イマイチ調子がノッていなかったという、如何にも終わりなきプロミュージャンの日々の表れと思います。

皆様ご存じのとおり、当時のオールマンズは紆余曲折を経て1989年に再集結、ウォーレン・ヘインズを含む新メンバーによる巡業ライブやスタジオレコーディングによる気合いの新作アルバムも出していた頃ですし、このライブ音源の快演「Low Down Dirty Mean」、そして「Nobody Knows」や「Seven Turns」は、そこに収められているディッキー・ベッツ会心のオリジナル曲ですから、軽んじていたらバチアタリですよ。

そして個人的には同時期の1991年にドイツでやったテレビ用のライブ映像を収めたブートやハーフオフィシャルのCDがディッキー・ベッツ的には大熱演だと思っているので、ぜひとも皆様にもお楽しみいただきたいところ!

特にブートとはいえ、件の映像で堪能出来るディッキー・ベッツのコード選びや運指、ピッキングの技巧等々は、神々しいばかりですよ♪♪~♪

だからこそ、逆に言えば、このライブアルバムに物足りなさを感じてしまうのです。

う~ん、それでも楽しんでいるサイケおやじは、本日も自己矛盾しているのでした。

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オールマンズのソウルセレナーデに震える

2012-05-07 15:37:02 | Allman Brothers Band

A & R Studios:New York, 26th August 1971
                                     / The Allman Brothers Band (Leftfield Medie = CD)

オールマンズの裏ネタの中では昔っからブートの定番だった音源のリマスター盤が、本日のご紹介です。

しかも、これまたてっきりブートだと思っていたら、どうやらオフィシャル盤と思われるんですよっ!?

気になるネタ元にしても、FMラジオ放送用のスタジオライプなんで、音質諸々は全く心配ご無用ですし、録音が1971年8月26日とされている事から、デュアン・オールマンの突然の悲報直前、僅か2ヵ月前というのも、あまり言いたくはありませんが、やはり感慨深いものがあります。

 01 Statesboro Blues
 02 Trouble No More
 03 Don't Keep Me Wonderin’
 04 Done Somebody Wrong
 05 One Way Out
 06 In Memory Of Elizabeth Reed
 07 Stormy Monday
 08 You Don't Love Me
 09 Soul Serenade
 10 You Don't Love Me
 11 Soul Serenade (In Memory Of King Curtis)
 12 Hot‘Lanta

しかし、ここまで煽りの文章を綴っていながら、正直に言わせていただければ、この日のオールマンズはイマイチ精彩がありません。

何故か全員がお疲れ気味というか、初っ端の「Statesboro Blues」からしてバンド全体のテンションが低く、それは続く十八番の演目にしても、テンポは緩いですし、演奏のキレも様々に残されているオールマンズのライプ音源に親しんでいればこそ、ぬる~い雰囲気を感じてしまうんですよねぇ……。

なによりもお目当てのデュアン・オールマンにしても、細かいギターワークにミスが散見され、アドリブのインスピーションが失礼ながらパッとせず、マンネリフレーズを積み重ねている状況では……。

う~ん、いくら天才とはいえども、こんな不調の日もあるというのは、天才なればこその気まぐれなんでしょうかねぇ???

もちろん既に述べたように、バンドとしての勢いも鈍く、このあたりは如何様にも弁護出来るんでしょうが、個人的には「In Memory Of Elizabeth Reed」までの前半6曲は、どうにもノリきれません。

しかし、それでも「Stormy Monday」になるとスロ~ブル~スな展開が、だる~い雰囲気の充満ゆえに結果オーライ(?)となり、どうにか恰好がついてきたところでのMCが、このスタジオライプの1週間前に同じニューヨークで刺殺されたサックス奏者のキング・カーチスへの想い……。

おそらく語っているのはグレッグ・オールマンと思われますが、デュアン・オールマンもスタジオの仕事で共演録音を残していますし、それ以外にもソウル&ファンクな現場では接点も多かったはずですから、尊敬と畏敬の念はメンバー全てが共通なのでしょう。

そうして始まる「You Don't Love Me」が、前半のダレ気味の演奏とは一変して感じられる事は、なにもサイケおやじの思い込みだけではないと思います。とにかくハードなエッジがクッキリ蘇ったリズム隊、それに上手くノセられるギターやボーカルのコンビネーションは、我々が期待するオールマンズの実相を伝えてくれるはずです。

しかも演奏中盤のお約束、ギターが独り舞台で心情吐露する場面では、予め決めてあったのでしょうが、デュアン・オールマンがキング・カーチスの「Soul Serenade」をリードし、バンドがそれに合わせていくところは、まさに鳥肌♪♪~♪

ちなみにリマスターされたステレオミックスの定位は左にデュアン・オールマン、右にディッキー・ベッツという2本のギターが屹立していますから、こういう展開は尚更にたまりません♪♪~♪

そして後を引き継ぐディッキー・ベッツとバンドメンバーの阿吽の呼吸も素晴らしく、最終盤で再び緩やかなで思わせぶりなパートに入っての大団円には、ファンならずともシビれるんじゃないでしょうか。ただ、それをしつっこく「Soul Serenade」と二度目の曲タイトルにチャプターしているのは???

まあ、気持は分かりますけどねぇ~~。

ですから一応のオーラス「Hot‘Lanta」が闇雲に熱くなるのは、これまた曲タイトルどおりとはいえ、バンドの面々は案外と冷静かもしれませんし、そうでなくては情に流される結果になったかも!?

ということで、そうやってラストまで聴き通してみると、実はリピートしたくなるのが怖いところです。つまり最初っからノリが悪い演奏云々と書いてしまった事に後悔が滲んでしまい、例えば「Don't Keep Me Wonderin」でデュアン・オールマンが演じるスライドは、やはり尋常ではありません。

結局、オールマンズのファンは殊更デュアン・オールマンが在籍していた時期の演奏に過大な期待を求めるわけですし、それが叶えられるか否かが大きな問題なんでしょう。少なくともサイケおやじは、そうやって聴いてしまう自分を痛感しています。

あぁ、それなのに、それなのに……。

「緩い」とか「精彩が……」とか、とんだバチアタリを書いてしまうのは我儘と言われても反論出来ません。

そこで個人的には「トラック8」の「You Don't Love Me」から聴く事も潔しとする、そんな決意までしてしまうほど、これは罪作りな復刻なのでしょうか。

で、最後になりましたが、これを「オフィシャル」と決めつけていながら、実はそうではないという疑惑もありますので、気になる皆様には早めのゲットをオススメさせていただきます。

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それからのオールマンズ 其の弐

2011-03-01 12:04:44 | Allman Brothers Band

Wipe The Windows, Check The Oile, Dollar Gas
                         / The Allman Brothers Band (Capricone)

サザンロックが隆盛を極めた1976年末、忽然と発売されたオールマン・ブラザーズ・バンドの熱血ライプ盤!

と書きたいところなんですが、今となっては様々な裏事情を含んだ妥協の産物であり、またオールマンズが大衆的なトップスタアバンドに君臨していた所謂全盛期のドキュメントとして、いろんな楽しみ方が出来るアルバムだと思います。

 A-1 intrduction by Bill Graham ~ Wasted Words (1973年11月26日録音)
 A-2 Southbound (1973年11月26日録音)
 A-3 Ramblin' Man (1973年11月26日録音)
 B-1 In Memory Of Elizabeth Reed
(1973年11月26日録音)
 C-1 Ain't Wastin' Time No More (1972年12月31日録音)
 C-2 Come And Go Blues (1973年7月28日録音)
 C-3 Can't Lose What You Never Had (1975年10月22日録音)
 D-1 Don't Want You No More (1975年10月22日録音)
 D-2 It's Not My Cross To Bear (1975年10月22日録音)
 D-3 Jessica (1975年10月24日録音)

上記した演目とライプレコーディングのデータから、これはデュアン・オールマン(g) とベリー・オークリー(b) の突然の悲報からバンドが一念発起! 驚異的に大ヒットさせたアルバム「ブラザーズ&シスターズ」と倦怠の問題作「ウィン、ルーズ・オア・ドロウ」を売りまくった人気絶頂時の記録ですから、選び抜かれた各トラックの出来栄えが悪いはずはありません。

それはグレッグ・オールマン(vo,org,g)、ディッキー・ベッツ(vo,g)、チャック・リーヴェル(p,el-p)、ラマ・ウィリアムス(b)、ブッチ・トラックス(ds,per)、ジェイモー(ds,per) という6人が固い絆のプロ意識を堪能させてくれる名演集であり、しかも「In Memory Of Elizabeth Reed」以外は公式ライプ音源が初登場だったんですから、元祖ジャムバンドのひとつとしてライプステージを圧倒的に支持していた当時のファンには、充分すぎるプレゼントだったはずです。

まずは2枚組LPの最初のA&B面が、サンフランシスコにあったロックの殿堂「ウインターランド」での音源とあって、オールマンズも全くの手抜き無し! 蒸し暑いような鬱陶しさが快感の「Wasted Words」やサザンロック王道のグルーヴが炸裂する「Southbound」、そしてヒットシングル「Ramblin' Man」の軽快にドライヴしまくった歌と演奏は、其々が名演に恥じないものでしょう。

特にデッキー・ペッツは、もちろんデュアン・オールマンには及ばないものの、スライドギターには相当の頑張りが認められますし、十八番のカントリーリックを用いたアドリブソロも、それが「手癖」と言われる最高の褒め言葉に繋がる奮闘が良い感じ♪♪~♪

そしてチャック・リーヴェルの飛び跳ねてローリングするピアノ、粘っこいスワンプ風味がひとつの「芸」として確立されたグレッグ・オールマンの歌いっぷり、さらにリズム隊の重くて歯切れ良いリズムとビートの作り方!

それらが素晴らしいばかりの化学反応を起こして成立するサザンロックの醍醐味は、この時代を代表する「ロックの音」になっています。

しかし各トラックが分離しているというか、1曲終わる度に拍手歓声がフェードアウトするのは、ちょいと興を殺がれる感じが……。

まあ、このあたりはオールマンズが畢生の名演集として歴史に残した「アット・フィルモア・イースト」でさえ、そうなっていたのですから、納得するしかないのかもしれません。

ですからLP片面をぶっ通した「In Memory Of Elizabeth Reed」は流石に聴き応えがあり、しかも結論を先に言えば、とてもジャズっぽいんですねぇ~♪

それが良いのか否かは、まさに十人十色の好き嫌いでしょうが、本来がモードに展開される楽曲だと思いますので、浮遊感さえ表出させるチャック・リーヴェルのエレピやモダンジャズがモロ出しというデッキー・ペッツのバッキングは、明らかにデュアン・オールマン存命時の演奏、例えば前述した「アット・フィルモア・イースト」収録のバージョンと比較しても、かなり洗練されていると思います。

そしてサイケおやじは、ここでのバージョンが決して嫌いではありません。

というか、デュアン・オールマン在籍時のライプバージョンを全く聴いていなかったとしたら、身も心も虜にされる演奏だと思うほどです。

あえて比較すれば、ハードロックジャズなデュアン・オールマンのバージョンに対し、スペースジャズっぽいレアグルーヴな新生オールマンズ!? という感じですから、それは本来、比較しても次元が違うんじゃないか?

なぁ~んて、言い訳まで用意するほどなんですよねぇ~♪

その意味で「Don't Want You No More」に「It's Not My Cross To Bear」という、オールマンズのデビューアルバムからの演目が、デュアン・オールマン抜きのライプバージョンとして公式初披露されたのは興味深く、ブルースロックの基本は大切にしつつも、「お約束」のフレーズを多用して、どこかしらライトタッチに仕上げられたところに時の流れを感じたりします。

ただし同じ日の録音とされる「Can't Lose What You Never Had」は、原曲がマディ・ウォーターズのブルースヒットでありながら、オールマンズにとっては、当時ピカピカの新演目としての緊張感がレイドバックしたフィーリングを上手く中和され、個人的には前述した「ウィン、ルーズ・オア・ドロウ」収録のスタジオ録音バージョンよりも好ましい、決して悪くない感触を覚えます。

また、このアルバムで最も古い音源である「Ain't Wastin' Time No More」は、その淀んだブルース&カントリーな味わいがニクイほどですし、一説には60万人を集めたとされる伝説のロックフェスとなったワトキンスグレンのステージで録られた「 Come And Go Blues」は、タイバンがザ・バンドとデッドだった所為もあるんでしょうか、意図的とも思えるダラダラユルユルの雰囲気が、しぶとい! なんとなく初期のスティーリー・ダンじゃないか? という妄想が浮かんでしまうほどです。

そしてオーラスが人気インスト曲「Jessica」というも、実に用意周到ですよねぇ~♪ どこまでも果てしない快適なノリが持続していく、まさに終りの無いエクスタシーは当時のオールマンズ、中でもチャック・リーヴェルとリズム隊にとっては十八番の展開であり、そこに気分良く乗っかったディッキー・ベッツのギターが見事な快楽性を追求する様は、唯一無二のサザンロックフュージョンでしょうねぇ~~♪

いゃ~、本当に演奏時間の短さが勿体無いですっ!

そして既に述べたように、このアルバムの最大の弱点が、1曲毎にフェードアウトする拍手歓声で、つまりは収録トラックが分離しているので、その都度夢中で聴いていた狂熱に水がさされてしまう事でしょう。

また、それゆえに如何にも寄せ集めというお手軽な仕事が、何か虚しさを感じさせるのです。

つまり収められた演奏音源に対し、プログラムの流れをさらに重視した中で拍手や歓声が整えられ、各トラック毎の音質やバランスも統一した丁寧な編集が施されていれば、これは決定的な名盤になったと思います。

で、そんなこんなの気分に陥っていたリアルタイムのアルバム発売当時、驚愕のニュースが飛び込んできました。

それは、なんと、オールマンズの解散!?

しかも、このライプ盤は、その埋め合わせであったという……!?!

う~ん、その頃の衝撃度は、なにか物の分かったような心境になっていたサイケおやじにしても、決して小さくはありませんでした。

なによりも、サザンロックという流行が真っ盛りでしたし、フュージョンなんていう新手のジャズが注目されていた点に関しても、オールマンズは敢然と迎え撃つだけの音楽性と実力がありましたからねぇ……。

ただし、後になって知る当時のオールマンズの内部事情からは、納得せざるをえない共感を覚えたのです。

それは悪いクスリに絡むグレッグ・オールマンの人の道(?)に外れた行動でした。

ご存じのとおり、言いたくはありませんが、ミュージシャンと悪いクスリの関係は古くからあり、それによって命を縮めた天才も数多いるわけですが、それでも懲りないのが芸能界の悪しき伝統……。

おそらくはグレッグ・オールマンの場合、それが目に余ったのでしょうか、とにかく当局の捜査の対象となり、まずは本人が個人的に雇っていたローディのひとりが検挙され、次いでグレッグ・オールマンにも司直の手が伸びたのですが、ここはアメリカがお得意の司法取引を持ちかけられ、ついに法廷で証言する事との引き換えに免責を得たのですが……。

結局、それによって件のローディは、ほとんど終身刑に近い有罪となり、自らの保身の為に仲間を売ったグレッグ・オールマンはバンドメンバーやスタッフ、そして業界関係者ばかりか、多くのファンからも愛想をつかされ、もちろんオールマンズは解散となるのが当然の経緯でした。

そしてサイケおやじも、そうした内情を知った瞬間、このライプ盤が明らかに契約履行の産物であり、おそらくはレコード会社側がリードして作られたという推察さえ、容易でした。

今となってはオールマンズも和解(?)していますし、それぞれの道を歩みつつも、現在の伝統芸能路線をファンが満足して受け入れている現実の前では、このアルバムもそれなりに楽しく聴けると思います。なにしろリアルタイムでトップバンドに君臨していた黄金時代の記録ですからねぇ~。

文句なんて、バチアタリ!?

しかし、だからこそ、サイケおやじは言います。

どうか、この当時の音源の完全版を出して下さい!

もちろんブートやバンド側のオフィシャルサイトで売っているものもあるんですが、邦題が「熱風」と命名されたこのライプアルバムのコンプリートボックスが出たとしたら、絶対に買ってしまうファンが続出なのは確信しているのでした。

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既に1年前のオールマンズも熱い!

2011-02-05 16:50:28 | Allman Brothers Band

Another Fillmore East Part-1 / Allman Brothers Band 
                                                                           (Vague = bootleg CD)

またまた最近、オールマンズに憑かれているサイケおやじですが、やはり中でもデュアン・オールマン存命時の演奏は格別ですよねぇ~~♪

そこで公式盤はもちろんの事、以前に聴き狂っていたブートまでも引っ張り出している始末というわけで、本日のご紹介は今から10年近く前に出た優良音源のひとつです。

 01 In Memory Of Elizabeth Reed
 02 Statesboro Blues
 03 Trouble No More
 04 Hoochie Coochie Man
 05 Mountain Jam

録音は1970年2月11日のフィルモアイースト!!

ということは歴史的名盤「アット・フィルモア・イースト」に先立つ事、約1年前のオールマンズですから、幾分荒削りのピュアな部分も悪いわけがありません。

もちろんメンバーはデュアン・オールマン(g) とグレッグ・オールマン(vo,key) の兄弟を中心にディッキー・ベッツ(g)、ベリー・オークリー(b,vo)、ブッチ・トラックス(ds,per)、ジェイ・ジョニー・ジョハンスン(ds.per) というデビュー以来の6人組です。

ちなみに気になる音質はサウンドボードのステレオミックスですから、時々はバランスが崩れたり、音のボリュームが急激に上下するところもありながら、全体としては普通に聴けるレベルでしょう。

というか、リアルタイムで世に出た当時は驚異の高音質盤として絶賛されたものです。

そして肝心の演奏は既に述べたとおり、纏まりの悪さや空回りするロック魂の散見が逆に好ましく、翌年にはギラギラしてしまう「In Memory Of Elizabeth Reed」も、この頃は爽快さを感じせる仕上がりでしょうか。

ただしデュアン・オールマンの豪快な弾き倒しは圧巻で、それがライトタッチのデッキー・ペッツと好対照を描くという目論見に繋がっているようです。

そしてデュアン・オールマンと言えば、これっ!

というほどの代名詞となったスライドが炸裂する「Statesboro Blues」が、ギスギスにエグイ音で演じられるんですから、たまりません。グレッグ・オールマンの入れ込んだボーカルやノリまくったデッキー・ペッツのギターも良い感じ♪♪~♪

こういう所謂ブルースフィーリングのロック的な解釈は、英国勢の湿っぽい情感よりも本場アメリカの面目躍如というか、元ネタのシカゴブルースを如何にも粘っこくてハードな味わいで演じきる「Trouble No More」や「Hoochie Coochie Man」の斬新な解釈こそが、ソリッドなハードロックからダイレクトに移行するスワンプロックと呼ばれるのもムペなるかな!?!

ただしこの当時は、後年のレイドバックなんていうユルフンムードは微塵もありませんから、ガッツ溢れる生硬なグルーヴは貴重極まりない歴史的な遺産でしょう。

このあたりはちょいと忘れられがちですが、ツインドラムスとナチュラルにドライヴするベースの存在も侮れず、そこから演出されるポリリズムのウネリは、一切の編集が入っていないこうした生ライプのブート音源でこそ堪能出来るのかもしれません。

当然ながらオールマンズの持ち味のひとつであるジャズっぽさの発露にも、それは大きく関与しているようで、お待ちかねの「Mountain Jam」では、それがあらかじめ組み立てられていたであろう演奏展開だったとしても、全体としては最高に熱くなれる流れが実に自然体だと思います。

実は残念なことに、このCD収録のバージョンは前半のギターソロが始まって盛り上がっていくところで基になったテープが終了したのでしょうか、いきなりベースソロの終盤へと繋がるカットがあります。しかしそこから続いていく、グイノリロック的な起承転結は強烈無比!! お約束のツインリードによるユニゾンリフも心地良く、さらに2本のギターによる飛翔するアドリブ合戦や臨機応変なリズム隊の存在、また必死に踏ん張るオルガン等々、まさにグレイトフル・デッドと並び称される元祖ジャムバンドの魅力が満喫出来ると思います。

あぁ、これだからオールマンズは最高だし、ブートもやめられませんねぇ~~♪

それともうひとつ、曲間に聞こえるチューニングから類推して、デュアン・オールマンのスライドは「オープンE」かなぁ~、という推察と発見も楽しいところでした。

ということで多分、今となっては改訂盤が出ているかもしれない音源ではありますが、自分の中では愛着のあるブートです。

機会があれば、ぜひともお楽しみ下さいませ。

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