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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

雪はどこまでついて来る

2006-01-21 18:49:37 | Weblog

雪か……、なんか自分が行くところに雪が付いて回っている感じです。別に反省する必要もないのですが、ちょっと責任を……。

ということで、本日は白地に黒い、このアルバムを――

Sucking In The Seventies / The Rolling Stones (EMI)

1970年代を舐めろ! とは大袈裟なタイトルですが、そう言い放つだけの力が、このアルバムを出した1981年春のストーンズにはありました。

内容はストーンズの裏ベスト的な選曲で、もちろんステージでの定番や隠れ名曲を集めて、当時の配給元だったアメリカのアトランティック・レーベルが編纂したものです。そして、これがまた、全くいろいろいな思惑が詰まった名盤になっています。

まず目玉が「Everything Is Turning To Gold」で、これはシングル盤B面で発表されたアルバム未収録曲! なんとも言えない怠惰な雰囲気が、如何にもストーンズという名演です。

また「When The Whip Comes Down」は1978年のアメリカ巡業から録音された未発表のライブ・バージョンですし、「If I Was A Dancer」も既発とは別テイクが使われています。

さらに「Hot Stuff」「Fool To Cry」「Beast Of Burden」は、これまでプロモーション・オンリーだった編集バージョンですし、「Time Waits For No One」「Mannis Boy」「Crazy Mama」の3曲は、このアルバムのためにわざわざ編集したものを収録しています。いずれもオリジナルを短くしたもので、やや強引なところも目立ちますが、通して聴くと新鮮です。

というように、なかなかマニア泣かせのアルバムですが、当時は編集意図が掴めず、ちょっと手が出せずにいたのも、また事実でした。そして時が流れ、レコードはいつしかCDに転化して、何時の間にかCD再発されていたストーンズの作品群の中で、実は最初に買ったのが、このアルバムでした。理由はもちろん、持っていないから……。

すると仰天! ほとんどが特殊バージョンだったんですねぇ♪ おまけにそのCDもアッという間に廃盤となり……。アナログ盤も何故か、あまり売れていないということで、手放す者も無く……。

こうして有名バンドでありながら、否、有名であればあるほど幻化していくのが、レコード蒐集道の恐いところです。

ところが昨年、ようやくCD再発されました。あくまでストーンズ命という人向けなので、皆様にはオリジナルのバージョンを楽しんでいただきたいところですが、そういう恐さを認識されられた1枚として、本日はご紹介致しました。寒い……。

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冷たくも清々し

2006-01-20 17:07:27 | Weblog

今日は大寒、朝から非常に寒かったです。これから実家に帰るわけですが、その前に思いっきり冷ややかな音楽を聴こうというわけで、本日はこれを――

Chick Corea Piano Improvisations Vol.1 (ECM)

チック・コリアが1970年夏頃にマイルスのバンドを辞め、リターン・トゥ・フォーエバーを結成して大ブレイクするまでの間について、今日ではあまり取上げられることがありませんが、実はジャズ・マスコミではけっこう注目を集めていました。

その主なところはフリー派の黒人サックス奏者であるアンソニー・ブラクストンと組んだ過激なバンド「サークル」での活動や、そのリズム隊だったデイブ・ホランド(b)、バリー・アルトシュル(ds) とのトリオでの欧州巡業等々、それなりに積極的な演奏を聞かせていたのです。

もちろん当時製作されたアルバムはジャズ喫茶でも頻繁に鳴っていましたが、その中で特に人気があったのが、今回ご紹介したソロ・ピアノによる作品です。

これは1971年4月にノルウェーのオスロで吹き込まれたもので、北欧というイメージどおりの冷たい清々しさに満ちた仕上がりになっています。

A面に収められた6曲は小品ではありますが、いずれもチックのルーツであるラテン色、あるいはクラシックや現代音楽、そしてロックやフォークの感覚までもが自在に取り込まれた自由度の高い演奏が魅力です。中でも「Sometime Ago」は後のリターン・トゥ・フォーエバーでもバンド・バージョンとして再演する人気名曲です。

B面は「8つの絵の組曲」と題されているとおり、これも短い8曲が積み重ねられていますが、連続して聴いているうちに、何ともいえない静謐な気分になり、同時に不思議な熱気に包まれている自分に気づかされるという名演です。

フュージョン以前というか、1970年代のジャズ喫茶では、こうしたソロ・ピアノのブームがあり、チックの他にもビル・エバンス、マッコイ・タイナー、キース・ジャレット等々、人気ピアニストならば必須の科目が、それでした。逆に言えば、ソロ・ピアノ・アルバムを作れない者は失格という雰囲気さえあったのです。

で、そのブームの中で特に高い評価と人気を得ていたのが、このアルバムというわけです。ちなみにこれには「Vol.2」もありますが、そちらはフリーと現代音楽色が強いので純ジャズ・ファンには人気薄でした。ただし、あえてそういう作品を作ってしまうのが、如何にもチック・コリアという感じが、私にはするのです。

今日ではこんなアルバムがジャズ喫茶で鳴ることも滅多に無かろうと思いますが、ジャズ喫茶に通われている皆様ならば、1度はリクエストしてみて下さい。A面がオススメです。ちなみにB面は自宅向きでしょうね♪

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やっぱり明るくいきたいねっ

2006-01-19 18:22:12 | Weblog

今日は何気にペット売場をのぞいて見ました。可愛い猫や犬がいるので、和みます。

しかし、いつも次の瞬間に、こいつら売れ残ったらどうなるんだろう……。ペットのバーゲンとか聞いた事、無いしなぁ……。大きくなったペットを売っていないしなぁ……。

なんて、結論が必然的に暗~くなってしまう事が、心をよぎります。

よく見ると、売られているペット達も、こころなしか必死に媚を売っているような……。

あ~ぁ、現実は悲しいなぁ……。なんか太宰治モードに入りそうなんで、本日の1枚は明るく楽しい、これっ!

Bottoms Up / The Three Sounds (Blue Note)

スリー・サウンズはジーン・ハリスのピアノを中心に聴くのが正解か? なんて愚問をいつも自問自答するほど、楽しく纏まったトリオです。それはアンドリュー・シンプキンス(b) とビル・ドゥディ(ds) の2人が、目立たないながら、いつも良い仕事をしているからです。

このアルバムは彼等がブルーノートと契約してのセカンド・アルバムで、録音は1959年の2月11日、とにかく軽く、楽しく、聴きやすくという主義主張が徹底された仕上がりです。

まずA面1曲目の「Besame Mucho」からして、ラテン・ロックのリズムが、ここぞで4ビートに転化するという、全くこちらがそうなって欲しいと思うとおりの演奏です。ソウルフルにアドリブするジーン・ハリスのピアノは言わずもがな、変幻自在のリズムを叩き出すビル・ドゥディのドラムスが素晴らしいです。

2曲目もお馴染みの人気スタンダード「Angel Eyes」ですが、これは真夜中のムードを下世話な感覚で処理したところが、上手いというほかはありません。アドリブ・パートで頻繁に出るウキウキするようなフレーズは、ミスマッチの極みです。

3曲目は個人的に大きなスタンダードの「Time After Time」が、これも下世話なラテン・リズムで処理されていて、琴線にふれてきます。極限するとレッド・ガーランド(p) がさらに下卑た感じではありますが、ジーン・ハリスのピアノは何故か憎めないものがありますね♪

そしてA面の最後が派手なノリを披露する「Love Walked In」です。それにしてもテーマ終りのブレイクで炸裂するジーン・ハリスの高速ファンキー節が最高! もちろん続くアドリブ・パートも大見得の連続です。ドラムスとピアノのコンビネーションをがっちり支えるのアンドリュー・シンプキンスの落ち着いたベース・ランニングも流石です。

そういう楽しさはB面で、尚一層、顕著になります。まず「I Could Write A Book」では、このトリオがお得意のリズム・パターン進行が延々とあり、満を持して楽しいテーマ・メロディが奏でられる瞬間が、たまりません♪ そしてミディアム・テンポで軽快にスイングしていくジーン・ハリスのピアノは、もちろんファンキーです。ブロック・コード弾きによる盛り上げというお約束も、きちんと守られています♪

続く「Jinne Lou」はジーン・ハリスのオリジナルで、作者がピアノとセレスタの二刀流を使い分けて楽しく聞かせてくれます。このセレスタという楽器はバイブの音がする鍵盤楽器と思って下さい。こういう二重奏は、なかなか味がありますが、それはもちろん、ブルースという隠し味が利いているのでした。

さらに「Nothing Ever Changes My Love For You」は躍動的なラテン・リズムが、やがて哀愁を滲ませるトリオの演奏にピッタリのアレンジで、当にスリー・サウンズでなければ表現出来ない境地だと思います。

そしてオーラスの「Falling In Love With Love」は再びのバカノリ大会♪ トリオが一丸となってアップテンポで突進していく様は痛快ですし、それが行き過ぎて、だんだん演奏そのものが早くなっていくというあたりが、最高に憎ません! これがジャズなんですねぇ♪

ということで、この黒人ピアノトリオはやっぱり楽しいです。その秘密は黒っぽくファンキーな中にも洗練された白人っぽさがあることで、これはナイトクラブでの下積みがあってのことかもしれません。ただしそれは純ジャズとして軽蔑すべきものでは無く、むしろそれこそが、モダンジャズが本当に人気があった時代の要請であり、現在では失われてしまった素晴らしい部分だと思います。

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買ってしまった……

2006-01-18 17:30:39 | Weblog

今日もまた、衝動買いしてしまったです……。昼メシ食いに入った店の隣がCD屋だったのが運のつき……。なんでこんなん、紙ジャケットになってるんだ!

The Soft Machine (Probe)

今や伝説の英国ジャズロック・バンドであるソフトマシーンのデビュー盤です。

メンバーはマイク・ラトリッジ(key)、ケビン・エアーズ(b)、ロバート・ワイアット(ds) の3人組で、録音は1968年にジミ・ヘンドリクスの前座としてアメリカ巡業をした時に吹き込まれたと言われています。

内容はギター抜きのバンドということで、ジャズ色が強いかと言えば、必ずしもそうではなく、当時流行していたサイケポップの延長としてのジャズ色という雰囲気です。ただし、そのジャズ色という部分が、なかなか本格的! 当時のニューロックに分類されていたロックバンドが演奏する長時間のアドリブとは一味違う奇妙な味があるのです。

で、このアルバムはポップな曲調とジャズっぽいアドリブのミスマッチが最高にハマった仕上がりとなり、同時期にアメリカで人気抜群だったドアーズを思わせるところまでもが、あるのです。そして実際、アメリカで大いに売れています。

その演奏面ではマイク・ラトリッジのキーボードが主役であり、またケビン・エアーズのエレキベースが硬質な響きで蠢き、ロバート・ワイアットが切れ味鋭いドラムスを聴かせるというのが持ち味で、このあたりはどこなく、初期のキング・クリムゾンを想起させられる瞬間もあります。

また、このジャケットが通称「回転ジャケット」と呼ばれるとおり、中央の円形歯車の部分が動かせるようになっています。ただしこれはオリジナルのアメリカ盤だけで、私が持っている日本盤はジャケットのデザインからして違っています。

で、この「回転ジャケット」仕様で、現在、復刻CDが発売されています。そして、それにつられて、つい買ってしまいましたが、これが大正解♪ リマスターもアナログ盤の雰囲気を大切にしつつもヌケが良く仕上げてありました。

ちなみにこのアルバムは契約の関係でイギリス盤は無いと言われていますので、これからソフトマシーンを聴いてみようとする皆様は、まず今回の復刻盤から入ってください。

これから後のソフトマシーンは、頻繁なメンバーチェンジを繰り返し、ジャズに接近しつつも独自の色合を完成させていくのです。それは現在、一部で過激なほど人気がある「カンタベリー派」と呼ばれるジャンルの雄として崇め奉られている彼らが、デビュー時にひとつの完成された形であったという、証明になっています。

例によってジャケ写からネタ元にリンクしてありますので、ぜひ、どうぞ。

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和みの首吊り盤

2006-01-17 16:31:12 | Weblog

今日は、ちょっと昔話を――

Runt. The Ballad Of Todd Rundgren (Bearsville)

ピアノに向かいながら首吊りしている男! 不気味なジャケットでしょう……。

誰だって死にたくなる時があるように、私もそういう時期がありました。

高校生の時、ある事情からメチャクチャに落ち込んで、死んでしまいたいという日、フラリと立ち寄った中古盤店で出会ったのが、このアルバムです。

いろいろなLPレコードが突っ込んである、通称エサ箱を、何となく漁っている時、突如、私の前に現れた首吊りピアノマン! 思わず手にとりましたねぇ……。

その頃、昭和47(1972)年ですが、トッド・ラングレンなんて、日本ではほとんど知る人も無い存在でした。しかしそのジャケットは強烈な印象で、中身は分からなくとも、買わずにいられないほどの衝撃を私に与えたのです。値段は800円でした。

で、家に帰って聴いてみると、これが驚愕! 自分の好みモードにズバッと入った、和みのポップス曲がぎっしり詰まっていたのです♪

その曲調は、アル・クーパー~ローラ・ニーロ系のユダヤ人メロディの美しき流れ、仄かに屈折した偏愛メロディとでも申しましょうか、例えば山下達郎の「潮騒」とか「2000トンの雨」が好きな人ならば、きっと気に入る曲ばかりです。

そういえば、この3人は、いつも同じような曲ばっかり作っていますね♪

ちなみにこのアルバムは、後に幻の名盤としてポップスマニアの間では決定的な評価を与えられていくのですが、当時の私はそんなことは全く知らず、ただ好きだという感情だけで今日まで愛聴し続けているのでした。思えばオリジナル盤が800円という値段も、後からの高値からすれば、神様の思し召しだったのかもしれません。

もちろん聴くにつれて慰められたというか、死ぬ気持ちが無くなったのは言うまでもありません。むしろ、せつなく甘い感傷に浸ってしまった自分が、今では恥かしいという……。

で、今日もまた、昼時に聴いているこの作品は、現在CD再発されている紙ジャケット仕様のものです。これは音質が最高に向上していて、オススメです。

最後になりましたが、トッド・ラングレンは1960年代後半からナッズというバンドで活動し、1970年からはソロとして独立しましたが、自身がマルチプレイヤーなのでスタジオでの作業に没頭して幾つかの作品を発表するという、まあ、ポップスオタク系のミュージシャンです。

しかしそのセンスは業界内では高く評価され、マニアに信奉されて今日に至っています。もちろん本人もユートピアというバンドを率いてライブ活動も行っていますし、隠れ名曲を沢山発表しているので人気も高いのですが、あくまでもポップスマニア向けという位置付けにある人です。

その中では、このアルバムこそ、万人向けというかも、一番聴きやすく、末永く愛聴出来る作品ではないかと思います。

収録曲は全て傑作ですが、まず初っ端からクラビネットが唸り、重層コーラスが素敵な「Long Flowing Rove」が楽しく、続く「The Ballad」でシンミリとさせられます。そして「Waing Wall」ではピアノの弾語りから幽玄の世界が展開され、ほとんど山下達郎のスロー物の世界に引き込まれます。もちろん、こういう世界はトッド・ラングレンの方が元祖ですが♪ ただし黒っぽさは、ほどほどです。

また「A Long Time, A Long Way To Go」は何となく初期~中期イーグルスのようなハーモニーとカントリー・フレイバーが漂いますし、「Be Nice To Me」は極みつきの和み名曲♪ オレに優しくしておくれ……、と泣きそうに歌うトッドの女々しさには共感です。ピアノの弾き語りと多重コーラスで織りなされるこの甘さと素敵なメロディは、どうしたら浮かんでくるのか!? まあ、元ネタはスモーキー・ロビンソンなんでしょうが、トッドの天才性がたっぷり出ています。

それは「Hope I'm Around」でもたっぷりと味わえますが、ここでの甘いメロディとコーラスを聴いていると、これはほとんどイーグルスのバラードの世界だと感じるはずです。全くイーグルスもやってくれますねぇ~、ふっふっふっ。

またトッド流ギターポップスが「Parole」で、ウキウキしてきますよ♪

ということで、これは局地的名盤ではありますが、ジンワリ染みて和みの世界に浮遊する作品です。

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雰囲気に浸ります

2006-01-16 15:49:52 | Weblog

なんか昨年末からの疲れが溜まっている感じです。そこで黙ってジャズのカッコ良さと魅力に浸れるアルバムを引張りだしました――

死刑台のエレベーター / マイルス・デイビス (Fontana)

今日はタイトル、演奏者ともに日本語で迫っていますが、この「死刑台の~」という響きが好きなんで、そのまんま、です。

ご存知のように、このアルバムは同名映画のサントラを集めたものですが、実は私は、このアルバムを聴く前にテレビで放送されたこの映画を観て、なんてカッコ良い音楽だろうと思いました。

なんていうか、ハードボイルドどっぷりの、ディープなソウル??? とにかく素敵だと思いましたね。もちろんその時は、マイルス・デイビスの事は知らないに等しく……。

そして後年、このアルバムが廉価盤として発売された時に飛びついて買い、以来、愛聴していますが、本音を言うと、これがマイルスの最高傑作じゃないの? とまで思っています。

収録された曲はすべて短い曲の断片ですし、テーマらしきテーマが無い、アドリブ・パートばっかりの演奏ですが、これで結果オーライ♪ ちなみに録音は1957年、マイルスが単独で渡仏しての巡業のヒトコマです。

いちいち曲の解説を書き込むよりも、まずは聴いて下さいませ! カッコ良いムードに浸れます。これも、ジャズの醍醐味ですよ♪ 本日は言い放ちます。暴言ご容赦下さい。

 

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春よ、こいっ

2006-01-15 17:55:58 | Weblog

今日は春のような暖かさでしたね。う~ん、今度は雪崩が心配でもありますが、赴任地に戻る道すがらでは大丈夫でした。春よこいっ、という気分では、この1枚でしょう――

Chet Baker Ouarter (Pacific Jazz)

ジャズはあくまでも個人芸ですが、やはり気の合う相棒がいた方が良い仕事が出来るのは、一般社会と同じだと思います。

今回の主役、チェット・ベイカーは1950年代に一番人気の白人トランペッターでしたが、その位置をキープ出来たのも、もちろん自分の実力ゆえの事ではありますが、スターダムにのし上がったのはジェリー・マリガン(bs) と組んでいた素晴らしいカルテットでの大ブレイク、そしてその後、独立してからラス・フリーマン(p) を参謀格にして活動した時期という、つまり素晴らしい相方の存在が無視出来ません。

このアルバムはそのラス・フリーマンと組んで作られた作品で、LP盤ではありますが、10インチ・サイズ=約25センチの直径をもつ、現代の30センチ盤にくらべて、すこし小さい形態になっています。当然、収録時間も短いわけですが、今となっては、それも含めてマニア心を刺激するブツになっています。

そしてジャケットも内容も素晴らしいのですから、たまりません。

メンバーはチェット・ベイカー(tp) とラス・フリーマン(p) を中心に、ボブ・ホイットロック(b)&ボビー・ホワイト(ds)、カーソン・スミス(b)&ラリー・バンカー(ds) というリズム隊の組み合わせが曲によって変わります。ちなみに録音は1953年7月です。

まずA面は本当にロマンチックな「Isn't It Romantic」でスタート、やさしく素直にテーマを吹奏するチェット・ベイカーに続いてラス・フリーマンが正統派ビバップ・ピアノを聴かせますが、エキセントリックでは無く、歌心を存分に発揮しています。もちろんチェット・ベイカーのアドリブパートも素敵ですが、やや危ない場面があるのはご愛嬌です♪

2曲目はややテンポアップし、ラテンリズムも交えた「Maid In Mexico」が軽快に演じられます。そしてアドリブ・パートでは強靭な4ビートにチェンジしたバンド全員が楽しくスイングしていく仕上がりです。

しかし3曲目の有名スタンダート「Imagination」は、スローな展開の中に甘さと厳しさを巧に同居させたチェット・ベイカーの一人舞台の、と言いたいところですが、実はバックをつけるラス・フリーマンのピアノが絶妙です。それがあってこそ、ハスキーに歌心を展開させていくチェット・ベイカーが輝いているのでした。素晴らしい……♪

そしてA面ラストは、溌剌とした「This Time The Dream's On Me」で、爽やかに疾走するチェット・ベイカーに対し、テンションの高いプレイで応戦するラス・フリーマンが、続く2人の掛け合いをエキサイトさせていきます。これがジャズですねっ♪

ちなみにここまでの演奏はすべて3分以内、つまりSP企画のレコーディングですが、ジャズの素晴らしさは、演奏時間の長さに比例していないという実例です。

でB面は白人ハードバップの先駆け的な「The Lamp Is Low」です。何しろテーマが終わってアドリブ・パートに入るやいなや、リズム隊が突如として躍動し、チェット・ベイカーがノセられて行きますし、ラス・フリーマンのピアノ・ソロも終りが見つからず、途中からチェット・ベイカーがテーマを吹奏して絡んでいくあたりは、スリル満点です。もっともこれは、最初からアレンジされた部分かもしれませんが、全く上手いです♪

続く「Russ Job」はタイトルどおり、ラス・フリーマンのオリジナルが軽快に演じられますが、これは多分、有名スタンダードの「All The Things You Are」の改作かと思われます。それにしても、この演奏の素晴らしさはどうでしょう! 歌心とハードなジャズ魂を両立させるチェット・ベイカー、そしてこれもビバップの真髄をスマートに解釈したラス・フリーマンのセンスが一体となった名演だと思います。

それは3曲目の「Easy To Love」でも同様に、強烈にスイングしていながら愁いを含んだチェット・ベイカーが最高です♪ 対するラス・フリーマンもややエキセントリックなフレーズを繰り出して応戦していますし、これも素晴らしい名演になっています。ラスト・テーマを変奏していくあたりも素敵です。

オーラスは、またまたラス・フリーマンのオリジナル「Batter Up」で、これが迫力のハードバップになっています。というか、あくまで白人的なスマートさがあってのハードバップなんですが、チェット・ベイカーとラス・フリーマンのユニゾンと絡みで演奏されるテーマのスピード感と意外に粘るリズム隊の妙味が、まず、あって、アドリブ・パートの自由度の高さがジャズの醍醐味に直結していくのです。まさにこの時期のウエストコースト・ジャズのひとつの高みに達している演奏だと思います。

ということで、これは大コレクターズ・アイテムにして必聴の名演集です。これらの演奏は、後に様々なタイトルの30センチLP盤に纏められ、また今日でもCD化されていると思われますので、機会があればぜひとも聴いていただきとうございます。

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時計!

2006-01-14 17:22:44 | Weblog

久々の休日、実家に帰っているのに野暮用が多くてスカッとしません。そこで本日はこれっ――

A Happy Afternoon / Dieter Reith (Saba)

ガッツーンときてグイグイ行くピアノが好きです。例えば1950年代のハンプトン・ホース、白人ではジョン・ウィリアムスとかドン・ランディあたりですが、今回の主役ディーター・ライスも、そのひとりです。

その素性は勉強不足で良く分からないのですが、どうやらドイツ系でヨーロッパを主戦場としているようです。しかも時代によって、自己のスタイルをその流行に合わせた作品を作っているようなので、なかなか正体が掴めません。なにせ最近はピップホップ入りのレア・グルーヴ盤まで出していますから……。

で、このアルバムはそんなディーター・ライスが一番ハードバップに近づいた作品で、録音は1966年8月23&24日、メンバーはディーター・ライス(p)、ペーター・ウィッティ(b)、チャーリー・アントリーニ(ds) のトリオになっています。

ちなみに、このアルバムの通称はジャケ写からそのまんまの「時計」です。

まずA面1曲目の「A Happy Afternoon」はアルバムタイトルにもなっているだけあって、出だしから暑苦しいばからの熱気が迸る豪快な演奏です。そのミソはビシバシのドラムスとブリブリに唸るベース! そこにガランガランと強引に乗っかってくるピアノが、最後までグイグイと突っ込んでいきます。これはディーター・ライスのオリジナルですが、その曲調・演奏スタイルはモードを取り込んだ本当に派手なものです。

こういうノリは2曲目の「酒とばらの日々」でも全開で、ここでは有名スタンダードの解釈に巨匠オスカー・ピーターソンのスタイルを借用しつつ、猛烈なスイング感を発揮して楽しく演奏していきます。トリオとしての一体感も申し分なく、黒いファンキー節と白人らしいスマートなセンスの織り交ぜ具合も絶妙です。

それは3曲目の「Blues」にも顕著で、タイトルどおり黒人感覚に挑戦するディーター・ライスは、最初から完全なピアノソロで最後まで手を緩めません。ちなみにこの曲もリーダーのオリジナルですが、テーマらしき部分は無く、即興の極みというところです。

そしてA面ラストはモダンジャズ定番の「On Green Dolphin Street」が鮮やかに演奏されます。それはお約束のラテンリズムをイケイケのビートに変換していくドラムスとベースのコンビネーションに支えられた軽妙なピアノという前半から、後半は完全にハードバップな様相を呈していくトリオ全体の素晴らしさです。とにかくブンブン唸るベースとビッシーンというオカズが最高なドラムス! 快演です。

B面に入っては、まず1曲目がバート・バカラックの有名曲「Wives And Lovers」というだけで嬉しく、それを巧に変奏しながら豪快にスイングさせていくディーター・ライスのピアノが最高です。ベースとドラムスもグリグリに迫っており、録音された音が歪むほどの音圧です。

そして続く「Just In Time」は洒脱にスイングしつつ、徐々にファンキー感覚を横溢させていくところが、本当にジャズの醍醐味になっています。このあたりは完全にオスカー・ピーターソンをお手本にしているのですが、ディーター・ライスはもちろんその域まで到達出来ない自己を認識し、あくまでも自分なりの歌心で勝負している姿勢が、逆に潔いと感じます。そしてもちろん、それをサポートしているのが、ドラムスとベースのイケイケ・リズム隊というわけです。

その後にくる「Fly To The Moon」はスローな展開で、再びソロ・ピアノで演じられますが、カクテル・ラウンジのスタイルにはなっておらず、中盤からは執拗な掻き回しでジャズを構築していきます。ただし個人的には、このあたりで甘さが欲しかったので、???ですが……。

そこでオーラスに演じられるのがスカッとした「How About Blues」で、これぞハードバップです! ただし、それほど黒人感覚が表出しているわけではなく、あくまでも白人らしいというか、これこそディーター・ライスがイメージしているブルースなのかもしれません。しかしそれでもトリオが一丸となって大団円に突っ込んでいく様は痛快です♪

ということで、これは1990年代になってから、ようやく一部のマニアによって持ち上げられた隠れ人気盤というところでしょう。実際、私はその頃に知り合いのコレクターから聴かせてもらい、そのあまりの素晴らしさに狂喜♪ 必死で頼み込みコピーしてもらったカセットを愛聴していました。

それが日本でCD化されたのが1998年で、この度、ようやく再プレスされるようです。豪快にスイングするピアノ・トリオがお好きならば、ぜひとも一度、聴いてみて下さいませ。ジャケ写からネタ元へリンクしてあります。

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お風呂♪

2006-01-13 15:23:26 | Weblog

さてさて、今日は久々に実家に帰る予定です。何事も起りませんように……。そして本日は約束どおり、これを――

I Get A Boot Of You / Marty Paich (Warner Brothers)

昨日の「踊り子」に続いて、本日はその姉妹盤「お風呂」です。その通称については、ジャケ写をご覧いただければ納得の1枚でしょう♪

内容に関しても「踊り子」の路線を踏襲しており、録音はそれから約半年後の1959年の6月末~7月初旬、メンバーはジャック・シェルドン(tp)、アル・ボルチーノ(tp)、コンテ・カンドリ(tp)、ボブ・エネボルゼン(v-tb)、ジョージ・ロバーツ(tb)、アート・ペッパー(as)、ビル・パーキンス(ts)、ビル・フッド(bs)、ピンス・ド・ローサ(fhr)、ビクター・フェルドマン(vib,per)、ラス・フリーマン(p)、ジョー・モンドラゴン(b)、メル・ルイス(ds) という前作の主要人物を残しつつ、勝るとも劣らない布陣です。

もちろんここでの目玉もアート・ペッパーの参加ですが、今回のマーティ・ペイチがアレンジに専念しているところも要注意かもしれません。

で、A面はデューク・エリントンが書いた永遠のジャズ・テーマ「It Don't Mean A Thing」が、もちろんウエストコースト・ジャズらしく、要所に多彩な仕掛けを施してあるものの、文字通り「スイングしなけりゃ意味ないよ」状態で、豪華絢爛に演奏されます。そのアドリブパートの先発はアート・ペッパーで、リズムの隙間を縫うような得意のリックを連発して華麗に飛翔すれば、他のメンバーも負けてはいません。しかもそのバックではシャープなホーン隊のリフとビクター・フェルドマンのバイブによる隠し味ハーモニーが浮遊するのですから、身も心もスイングさせられます。

2曲目はスローな「No More」がジャック・シェルドンのハスキーなトランペットを中心にして演奏されますが、全体のアレンジが豊かなハーモニーに彩られており、良い気持ちにさせられます。

続く「Love For Sale」はお約束のラテンリズムも交えて鮮やかに演奏されますが、アドリブパートではビクター・フェルドマンのバイブが素晴らしい! またアレンジが最高にシャープで冴えています。

4曲目は愕くなかれ、ジャズ・メッセンジャーズでお馴染みという黒人丸出しのファンキー曲「Moanin'」です! しかもこれをアート・ペッパーが熱いエモーションでアドリブするのですから、そのあまりの突っ込みの鋭さには仰天です。そしてコンテ・カンドリのトランペットも熱っぽく、またアレンジも最高にハードボイルドでカッコ良いです♪ 白人の演奏だからといって聴かず嫌いになっていると損をするバージョンだと思います。

そしていよいよ、このアルバムの目玉という「Violets For Your Furs」はアート・ペッパー畢生の名演になっています。スローな展開の中で泣き濡れていく情緒と、それを堪えて涙を隠すハードボイルドな男の心情がたっぷりと味わえるのです。思わず溜息が……、という演出はもちろん、マーティ・ペイチによる絶妙なアレンジの賜物で、この1曲だけでこのアルバムの価値があると言っても過言ではありません。

続く「What Am I Here For / Cottontail」はその余韻を残しつつ巧にアレンジされたエリントン・ナンバーで、前半ではビクター・フェルドマンのバイブが爽やかにスイングし、サックス陣が華を添えるあたりに旨味があります。そして後半はメル・ルイスの軽快なドラムスに煽られて、バンド全体が強烈にスイングしていく醍醐味が♪ ここでもまたビクター・フェルドマンが素敵ですし、猛烈にドライブするアート・ペッパーにもゾクゾクさせられます。

さらに続くエリントン・ナンバーは、まず和みの「Warm Valley」がビル・フッドのバリトンサックスをメインに、比較的オリジナルの雰囲気を壊さないよう配慮されているあたりが、逆に流石だと思います。

それは最後の「Things Ain't What They Uses To Be」でデューク・エリントンへの敬意として表されているように感じます。なにしろラス・フリーマンのピアノがエリントン色を濃くしていますし、ミディアム・テンポでスイングするリズム隊の間のとり方が、全くのそれになっています♪ このグルーヴィな雰囲気がジャズ、ですね。アート・ペッパーはもちろん快演です。

ということで、これまたアート・ペッパーのウラ名盤♪ 幸いなことに昨日ご紹介の「踊り子」とカップリングでCD再発されています。ただし残念ながら、ここに掲載した「お風呂」のジャケ写は付いていません。とりあえずネタ元にリンクしてありますが、ジャズ喫茶でリクエストして現物ジャケットに接するのが、一番かもしれません。

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踊り子♪

2006-01-12 17:13:21 | Weblog

スカッと和みたいというのが、願望です。そんな気分の時に私が聴くのは、このアルバムです――

The Broadway Bit / Marty Paich (Warner Brothers)

マーティ・ペイチは、現在ではスタジオ系ロックバンドのトトのオリジナルメンバーであるデビット・ペイチの父親として有名ですが、本来はジャズピアニストにしてウエストコースト随一のアレンジャーなので、1950年代からハリウッドを中心に、ポップス~ロックや映画音楽でも夥しい仕事を残した天才職人です。もちろんジャズでも素敵なアルバムを作っており、この作品は豪華絢爛な演奏内容とジャケットの魅力が見事に融合した傑作盤です。

ちなみに通称はジャケ写をご覧なれば一目瞭然の「踊り子」です♪

肝心の中身はタイトルどおり、ブロードウェイでヒットした楽曲を如何にも西海岸らしくスマートに演奏したもので、メンバーはマーティ・ペイチ(p,arr) 以下、フランク・ビーチ(tp)、スチュ・ウイリアムソン(tp,v-tb)、ボブ・エネボルゼン(v-tb)、ジョージ・ロバーツ(tb)、ビンス・ド・ローザ(fhr)、アート・ペッパー(as)、ビル・パーキンス(ts)、ジミー・ジェフリー(cl,bs)、ビクター・フェルドマン(per,vib)、スコット・ラファロ(b)、メル・ルイス(ds) という超一流の凄腕達です。

その中でも特に注目は、もちろんアート・ペッパーの参加で、結論から言うと、この天才のウラ名盤でもあります。ちなみに録音は1959年の1月ということで、アート・ペッパー個人としてはクスリ代の追われて、闇雲にスタジオやライブの仕事をこなしていたという、つまり、やや演奏が荒れ気味の時期でしたが、なんのなんの、この作品での演奏は、けっして余人が真似できない全盛期の輝きに満ちています。

まずA面はコール・ポーターの軽快な名曲「It's All Right With Me」がスマートに演じられます。とは言っても、そのアレンジはけっして上滑りしておらず、スコット・ラファロの太くドライブするベースとふくよかなトロンボーンの響きが、鋭いブラス&リードのアンサンブルを縫って登場するビクター・フェルドマンのバイプ・ソロに繋がるあたりは、もう最高です。またメル・ルイスのドラムスも切れ味するどく、心底、ノセられてしまいますし、最後に出てくるスコット・ラファロのベースソロでは、突如、異次元に飛ばされますよ。ブンブンブン♪

2曲目の「I've Ground Accustopmed To Her Face」は、ジミー・ジェフリーのクラリネットを中心に、とても都会的にアレンジされており、その間隙を縫ってアート・ペッパーの素晴らしいアルト・ソロが堪能出来ます。しかもスローな曲調・展開なのに力強いリズムを配してダレない流れは流石です。

それが3曲目では一転、またまた弾むように楽しくアレンジされた「I've Never Been In Love Before」で、これもアート・ペッパーが素晴らしいフェイクを披露してのテーマ吹奏が完璧! さらにそのまま続くアドリブパートではジミー・ジェフリーとの絶妙な掛け合いにゾクゾクさせられます。メル・ルイスのドラムスがリードするリズム・アンサンブルも一糸乱れずにホーン隊をノセていくところも快感です。

しかしA目ラストの「I Love Paris」はダークでヘヴィなアレンジになっています。ただし黒人のそれとは違い、あくまでもスマートなふくよかさを基調としていますので、重苦しくなっていません。そしてそこで登場するリーダーのマーティ・ペイチのピアノソロがハードボイルドなのは、なにやらハリウッド産のサスペンス映画サントラを思わせます。おまけにジミー・ジェフリーのハスキーでモダンなクラリネットが花を添えていますし、スチュ・ウイリアムソンのミュート・トランペット・ソロはマイルス・デイビスよりも上手くて美味しいフレーズを吹いています。

さてB面では、まずトップの「Too Close For Comfort」が快演で、スコット・ラファロのベースがその源です。実際、その野太いウォーキングを聴いているだけでシビレます。そしてそれに乗ってアート・ペッパーが独自のグルーヴを披露するのですから、たまりません♪  ブラス陣の繰り出すリフもシャープで、本当に気持ちの良い演奏です。

ここでさらに追い討ちとなるのが「Younger Than Springtime / The Surrey With The Fringe On Top」のメドレーです。なにしろアレンジに厚みがあり、分かりやすいギル・エバンスというか、否、やはりこれはマーティ・ペイチも持ち味であるスマートさが存分に発揮された賜物でしょう。そしてここでもアート・ペッパーが鮮やかさの極みつき♪ 私はブレイクからのあまりの見事さに、思わず唸ります。

そのスマートさは、続く「If I Were A Bell」でも全開で、複雑に絡み合うテーマでのサックスの響きと悠然としたリズム隊の対比は、ジャズの醍醐味です。もちろんその主役はアート・ペッパーですが、ビル・パーキンスやビクター・フェルドマンもクールに応戦していくのでした。

そしてB面4曲目が色彩豊かなスローなアレンジが素晴らしい「Laxy Afternoon」で、アート・ペッパーのアルトサックスがこよなく美しく、マーティ・ペイチのビアノは本当に幻想的です♪ そのお膳立てをするビンス・ド・ローザのフレンチホルンにもご注目願います。

ということで、フィナーレは軽快な「Just In Time」です。ここではビル・パーキンスが本領発揮の和みの美メロをアドリブでたっぷりと披露し、シャープなアート・ペッパーと対峙しますが、その緩衝材がジミー・ジェフリーのバリトン・ソロというのが、洒落た演出で、何度聴いても飽きません♪ リズム隊のウキウキとしたグルーヴも、この時期のウエストコーストでしか出せない味と技だと思います。

さて以上のように、このアルバムに収録の作品はジャズとしては比較的短めの演奏ばかりですが、全体を聴いているとアドリブ・ソロ・パートの短さは、ジャズそのものの素晴らしさには何の関係も無いことが分かります。否、むしろ凝縮されたスリルが確実に存在しているのです。ただしそれは、超一流の者だけが演じることが出来る必殺技! 当にウエストコースト・ジャズ、ここに在り! という大名盤だと思います。

また短い時間に美味しいところをテンコ盛にするアレンジの素晴らしさは、マーティ・ペイチがポップスの分野でも成功した秘訣というところでしょう。しかもここでは、きちんとジャズを意識しており、それは常日頃のスタジオの仕事とは違った、ヒトクセあるメンツを召集してレコーディングに望んだ事でも明らかです。そしてその仕上がりの素晴らしさは、とにかく聴いていただければ必ずや、良い! とシビレるはずです。

それと実はこの「踊り子」には姉妹盤として「お風呂」と呼ばれる、もう1枚の傑作が存在しています。それは明日取上げるとして、幸いにもその2枚を1枚に収めた再発CDが現在出ています。音質も素晴らしく、特に後年、ビル・エバンス・トリオで一世を風靡するスコット・ラファロのベースが完璧に楽しめますので、激オススメです。ジャケ写からリンクしてありますので、チェックしてみて下さい。

う~ん、それにしてもジャケットが素敵です。そしてこの彼女が、後にどういう人生を歩んだのか、このアルバムを聴くたびに、それが気になる私です。

 

コメント (4)
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