OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

偏愛してます

2007-06-30 18:37:57 | Weblog

単身赴任の快適さに、実家に戻るとペースが乱れるという我侭に陥っています。

本当はいけないことが分かっているんですが、片意地張ってしまう自分が情けない……。

ということで、本日は意地の1枚です――

Blue Serge / Serge Chaloff (Capitol)

不治の病で早世した白人バリトン・サックス奏者のサージ・チャロフは、全くレコーディングの少なさが残念なひとりです。

しかし残された演奏は、どれもが素晴らしく、このアルバムは最後のリーダーセッションを集めたものですが、ジャケットの素敵さもあって、偏愛している1枚です。

録音は1956年3月4日、メンバーはサージ・チャロフ(bs)、ソニー・クラーク(p)、ルロイ・ヴィネガー(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) というワンホーン体勢! 顔ぶれと録音時期からして東西入り乱れの面白さが白眉です――

A-1 A Handfull Of Stars
 バリトンサックス特有の重厚な響きを活かしつつも、軽妙洒脱なテーマメロディの解釈が素晴らしいです。けっこう消え入りそうな音使いとか、スカスカにソフトな音色、また逆にアタックの強い低音での呻き! もう全てが最高です。
 もちろんアドリブパートでの歌心とノリの軽妙さは唯一無二のスタイルで、同業のジェリー・マリガンとは一線を画する個性が、明らかになっています。
 またソニー・クラークが、これまた素晴らしいですねっ♪ イントロの作り方から地味な伴奏、そして歌心に満ちた粘っこいアドリブ! 何度聴いても飽きません。
 それとルロイ・ヴィネガーも言う事無しの快演ですし、フィリー・ジョーは自分の役割をしっかりと弁えているようです。終盤に4者がそれぞに見せ場のブレイクを披露し、ラストテーマに入っていくあたりの凄さは、地味ながら名手達の面目躍如でしょう。

A-2 The Goof And I
 一転してアップテンポの豪快な演奏です。
 アドリブパートは先発のソニー・クラークが小気味良くスイングすれば、フィリー・ジョーが抜群のクッションで後押しします。
 そしてサージ・チャロフは軽々と複雑なフレーズを吹きまくって痛快です! 決して濁らないソフトな音色が良いですねぇ。

A-3 Thanks For The Memory
 これはスローでじっくりと演奏される歌物で、サージ・チャロフのコントロールの効いたバリトンサックスの実力が存分に味わえます。強いアタックからソフトなサブトーンの響きまで、変幻自在の吹奏は驚異的! 歌心の豊かさも特筆されます。
 リズム隊の力強さも、流石に黒人トリオだと納得♪

A-4 All The Things You Are
 これが凄いです! アルバムの目玉演奏にして、数あるこの曲のモダンジャズバージョンでは、ベストテン級の名演だと思います。
 まずサージ・チャロフが自己主張するイントロからテーマ吹奏の崩し方、そしてアドリブパートの歌心とグルーヴィなノリは、天下一品です!
 リズム隊のハードバップな雰囲気も、実に良いですねぇ。まずソニー・クラークが、また自身の代表的な名演となる潔さ! ステックとブラシを使い分けて豪快かつ繊細なドラミングのフィリー・ジョーも最高ならば、定評あるウォーキングベースのルロイ・ヴィネガーはアドリブソロも絶妙です。
 あぁ、一期一会!

B-1 I've Got The World On A String
 B面に入っては、これも地味なスタンダード曲をじっくりと仕上げていくサージ・チャロフの大胆なバリトンサックスが楽しめ快演です。良くもまあ、ここまで楽器のコントロールが効くもんだと、心底、思いますねぇ。
 ちょっとハズし気味でもありますが、躍動的なフィリー・ジョーのドラムスに煽られてテンポを早くしていくあたりは、スリルがあります。
 まあ、そのあたりは、このリズム隊なればこそかもしれません。ソニー・クラークは相変わらず好調ですし、どっしりとしたルロイ・ヴィネガーの揺るがぬビートに感動したりします。

B-2 Susie's Blues
 快適なリズム隊がリードするハードバップのブルースなので、サージ・チャロフは軽快な中にも豪胆なフレーズも入れて奮戦しています。独特のアタックとかリズムに対する軽妙なノリは、本当に個性的で、早世が悔やまれますねぇ。
 リズム隊ではフィリー・ジョーが本領発揮のグッドオールド・エモーション♪ クッションの効いたスタイルは不滅の良さがありますし、これは代表的な名演のひとつでしょう。
 またソニー・クラークも十八番のフレーズを弾きまくり! 後年のネバリはほどほどながら、独特のマイナー感覚は、やっぱり魅力的です。

B-3 Stairway To The Stars
 オーラスは超スローテンポのバラード演奏で、サージ・チャロフがバリトンサックスの真髄を聞かせてくれます。それはコントロールの効いたサブトーンの響きであり、カタカタと鳴るキーワークの素晴らしさ、タンギングの超絶技巧、歌心とアドリブの構成力……等々、素人の思惑を超えたプロの必殺技がたっぷりです。
 リズムのグルーヴも申し分無く、何時までも聴いていたい気持ちの良さが、名盤の必須条件を提示しているのでした。

ということで、私的には大名盤だと思っているのですが、友人・知人関係は、私があまりこれを偏愛するので、呆れ顔です。

確かにバリトンサックスのブリブリ・ゴリゴリの魅力はありません。しかしそれが本来の魅力だなんて、誰が決めた!? と私は何時も反論しては、またまた呆れられている始末です。

ゆえに偏愛はますます強くなるという、依怙地のアルバムなのでした。

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素敵なEstate♪

2007-06-29 17:49:07 | Weblog

午前中は物凄いどしゃぶりでした。一部の道路は水没していたほどです。

で、午後は雨上がりの蒸し暑さ……。こいつも、たまらん! シャツがグッショリになるほど汗、かきましたです。

それが意外に爽快だったのも、結果オーライですかねぇ。

ということで、本日は――

In My Own Sweet Way / Woody Shaw (In + Out)

誰もがクロスオーバー&フュージョンに走っていた1970年代ジャズ界において、ひたすらに硬派な4ビートを守り通していたのが、ウディ・ショウという黒人トランペッターです。

そのキャリアは1960年代から認められており、常にハードな主流派ジャズを演奏していましたが、それが主流で無くなった1970年代には時代遅れの熱血漢として、ジャズ喫茶族に愛された存在でしょう。

ですから、世渡りも金儲けもヘタクソだったと思いますねぇ。このアルバムは1987年の欧州巡業からのライブ音源をCD化したワンホーン盤ですが、なんとリズム隊は現地調達のようです。

録音は1987年2月7&8日、メンバーはウディ・ショウ(tp) 以下、Fred Henke(p)、Neil Swainson(b)、Alex Deutsch(ds,per) となっています――

01 The Organ Grinder
 ウディ・ショウのオリジナルですから、バリバリの新主流派ジャズ! つまりモード節にラテンビートまで絡ませたイントロから、痛快なテーマメロディまで、もうワクワクの展開です。
 アドリブパートでは、いきなりベースソロが始って、いかにも欧州系らしいリズム隊のノリともどもに、抜群の導入部になっています。
 そしてウディ・ショウのトランペットは張り切った音色と十八番のフレーズの乱れ打ち! ただし本国のリズム隊とは違和感があるんでしょうか、ややツッコミが足りない雰囲気が勿体無いところ……。
 しかし続くピアノのアドリブパートに入ると、自分達だけのグルーヴが表出されてきて、唸ります。

02 In Your Own Sweet Way
 作曲はデイブ・ブルーベック(p) ですが、トランペットではマイルス・デイビスの名演が残されていますから、ウディ・ショウも気合が入っているようです。
 ただし基本姿勢は和みでしょう。あえて意識したミュートで吹奏するあたりに意地が感じられ、それでいて自然体の歌心が素晴らしいと思います。しかもほとんどテーマの変奏しかしていない潔さ!
 緩やかにグイノリしていくリズム隊も、なかなかです。

03 The Dragon
 アフリカ色の強い、如何にもモードジャズという響きが、ジャズ喫茶にはうってつけという演奏です。作曲はピアニストの Fred Henke ですが、全く分かっているですねぇ~♪ ウディ・ショウも気持ち良さそうに自分の世界に没頭しているようです。

04 Just A Ballad For Woody
 タイトルどおりスローな演奏で、テーマメロディとアドリブには、どっかで聴いたようなフレーズがテンコ盛りです。あぁ、こういうのは和みますねぇ♪ というか、憎めません。
 リズム隊は、ちょっと雰囲気に押された感じですが、後半の巻き返しは立派だと思います。

05 Sippin' At Bells
 マイルス・デイビスが書いたビバップ丸出し曲で、テーマ部分からトランペットとベースのユニゾンが鮮やかです。じっくりと躍動的なドラムスも良い感じ♪
 そしてアドリブパートは、もうウディ・ショウが本場のハードバップをたっぷりと聞かせて聴衆をKOするのです。それも闇雲に突っ走るのではなく、抑制と激情のバランスが実に最高なんですねぇ~♪ リズム隊のサポートも的確ですし、こういう落ち着きは臨時編成ゆえの事かもしれませんが、結果オーライだと思います。

06 Estate
 これが素晴らしい演奏です!
 曲は今や定番となったラテン系の和み曲ですが、ここでは正統派のボサノバジャズとして、暖かく爽快に演じられています。
 まずブラシでボサノバのビートを敲く Alex Deutsch が快演です。そしてウディ・ショウのメロディ解釈と思わせぶりなテーマ吹奏が、たまりません。個人的には、このアルバムで一番好きな演奏です。ドラムスを聴いているだけで、ニンマリしてきます♪
 またピアノが夢見心地のアドリブですから、本当に素敵ですねぇ。ラストテーマの最後まで、間然することの無い出来だと思います。

07 Joshua C.
 オーラスは、少し重苦しいウディ・ショウのオリジナル曲ですが、ドラムスの軽快なリムショットが絶妙のアクセントになっていますから、疲れません。
 それどころかジンワリと盛り上げて熱くなっていくバンド全体のグルーヴが、ウディ・ショウだけのジャズ世界を見事に聞かせてくれます。決して派手さは無いのですが、これがジャズ! 硬派のジャズです。
 演奏はラストテーマに続き、短くバンドテーマが演奏され、メンバー紹介が行われますが、あんまりウケた拍手とは思えないのが???

ということで、ウディ・ショウの名演・名盤群の中にあっては、非情に地味で目立たないアルバムなんですが、「Estate」1曲で、愛聴盤になっています。

ご存知のように、ウディ・ショウは悲劇的な最期でしたし、実力を真っ当に評価されるにはイマイチ、時代が悪かったのかもしれません。しかし残された録音は、どれもが素晴らしく、ジャズ者には永久に愛される存在でしょう。

少なくとも、私は死ぬまで聴き続けます!

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猫なごみ

2007-06-28 15:39:45 | Weblog

重苦しい蒸し暑さと急ぎの仕事が重なって、煮詰まっています。

好きな事だったら、無理も出来ますが、仕事じゃなぁ……。

ということで、今日はただただ和みたいという一心で――

にゃんこ The Classic (ポニーキャニオン)

愛くるしい猫たちの動画のバックには、安らぎ系のクラシック音楽という、さもありなんの企画DVDです。

わかっちゃいるけど、買ってしまった1枚♪

どうやらフジテレビ系列で放送された中の抜粋らしいですが、まんまとリラックスさせられてしまいました。

ちなみに収録曲は――

 四季「冬」第2楽章 / ヴィヴァルディ
 変奏曲「パガニーニ」の想い出/ショパン
 愛のあいさつ / エルガー
 セレナード弦楽四重奏 第17番 / ハイドン
 ワルツ第1番「華麗なる円舞曲」/ ショパン
 愛の喜び / クライスラー
 アイネ・クライネ・ナハトムジーク第2楽章 / モーツァルト
 四季「春」第1楽章 / ヴィヴァルディ
 ノクターン第2番 / ショパン
 四季「春」第3楽章 / ヴィヴァルディ
 白鳥/サン=サーンス
 英雄ポロネーズ / ショパン
 おもちゃの交響曲より「アレグロ」/ L.モーツァルト
 歌劇「フィガロの結婚」序曲 / モーツァルト
 ラデツキー行進曲 / J.シュトラウス1世

――それにしても、猫は自由気ままというけれど、こんな商業主義の中で、何を考えているんでしょう。何もかも、全てお見通し! というようなカメラ目線の猫もいるような……。

と、生臭い気分も、結局は観ているうちに霧散するのですが♪

この次は「にゃんこ The Modern Jazz」を出してちょうだいませ。スコット・ラファロのベースで飛び跳ねる猫が、見たいよ~ん。

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これも聴きたい!

2007-06-27 17:18:35 | Weblog

何気なく聴いた1枚が呼び水となって、あれも聴きたい! と連鎖反応が起きる時は、やっぱり体調と気分が良い証でしょう。

昨日はトミフラの「ジャイアント・ステップス」を聴いて、2曲目の「Central Park West」にシビレたら、もちろん次は、これですね――

Coltrane's Sound / John Coltrane (Atlantic)

録音セッションは1960年秋でしたが、発売されたのは1964年! ということは、リアルタイムでも相当にブッ飛んだ演奏だったのでしょう。実際、何時聴いても、グゥ~ンと惹き込まれます♪

あらためて記すと、録音は1960年10月24~26日、メンバーはジョン・コルトレーン(ts,ss)、マッコイ・タイナー(p)、スティーヴ・デイビス(b)、エルビン・ジョーンズ(ds) というバリバリのレギュラーカルテットです――

A-1 The Night Has Thousand Eyes (1960年10月26日録音)
 ポリリズムのラテンビートを敲き出すエルビン・ジョーンズが、まず凄いです。素直にテーマメロディを吹いて、アドリブでは思いっきり混濁させていくジョン・コルトレーンも負けていません!
 アトランティックの録音は、ちょっと薄味なんで、聴いているとドンドン音量を上げてしまうんですが、これはその代表でしょうね。ボリュームを上げざるをえない修羅場に追い込まれていく感じが、恐いです。スピード感も満点♪
 マッコイ・タイナーも所謂「マッコイ節」が全開ですし、スティーヴ・デイビスは基本に忠実な分だけ、全体のグルーヴが止まるところを知りません。
 この曲はハードバップでも、色々なバンドによって、かなりのバージョンが残されていますが、このハードな解釈はそれを超えて新しい表現を提示した意義以上に、楽しさも格別だと思います。

A-2 Central Park West (1960年10月24日録音)
 さて、お目当ての名曲です。
 やすらぎのテーマメロディを優しく歌い綴るジョン・コルトレーンのソプラノサックスが最高に素敵です♪ ゆったりしたテンポで気持ちの良いコードを出してくるマッコイ・タイナーも、良いですねぇ~♪ アドリブも味わい深いし、ド派手なことはひとつもやっていませんが、ジンワリと染み入る全体の雰囲気に捨てがたい魅力があります。
 あぁ、もう1回、トミフラのバージョンが聴きたくなってきました。罪作り!

A-3 Liberia (1960年10月26日録音)
 ジョン・コルトレーンのオリジナルで、後々、様々に応用していくキメとアイディアがテンコ盛りになっています。
 まず厳かな出だしが、スピリッチャルと後年定義づけられる、ジョン・コルトレーンが十八番の持ち味です。そして自然にグイノリへ持っていって、リズム隊もろとも一丸となったキメとか、エルビン・ジョーンズのラテンビートまでもが、このバンドだけのトレードマークなんですねぇ♪
 アドリブパートでの激烈さは言わずもがな、それでも闇雲に熱くさせられる名曲・名演だと思います。

B-1 Body And Soul (1960年10月24日録音)
 有名スタンダードを熱く激烈にやってしまうという、ジョン・コルトレーンの得意技が存分に味わえます。ミディアムテンポでヘヴィなグルーヴを生み出しているリズム隊が、最初っから烈しいです。
 ジョン・コルトレーンも思う存分、好きな様に吹いている感じですが、オリジナルのメロディや歌心を必要以上に大切にしている雰囲気が侮れません。
 というのも、実は当時のジョン・コルトレーンはレコードの売行きが芳しくなく、スタンダード曲を分かり易く演奏することが要求されていたようです。
 このトラックはそうした折衷が上手くいった好例かもしれませんが、妙に媚びた姿勢が感じられないのは凄いと思います。

B-2 Equinox (1960年10月26日録音)
 一転してジョン・コルトレーンのドロドロにエグイ部分が出たオリジナル曲です。ガーン、ガーン、ガーンというリズムのリフは、このバンドの十八番ですが、ジョン・コルトレーンはそれに安心しきって好き勝手にやっているみたいですねぇ。グイグイと音を圧縮していくような凄みが強烈です。
 全体に重さが目立つ仕上がりなんですが、聴いているうちに、身も心も奪われていくのが自覚出来るのでした。

B-3 Satellite (1960年10月25日録音)
 これもダークな雰囲気から熱い真情吐露まで、変幻自在に吹きまくるジョン・コルトレーンが凄まじいです。既に述べたように、発売はセッションから4年後だったわけですが、当時としても革新的で、ついていけないリスナーがかなり居たんじゃないでしょうか?
 エルビン・ジョーンズのやけっぱちドラミングも強烈! その所為か否か、マッコイ・タイナーが出てきません。
 ハッと気がつくと、またまたボリュームを上げている自分が居ます♪

ということで、やっぱり恐いアルバムです。ドロドロに溶けたターミネイターのようなサイケ絵画のジャケットも良いですねぇ~♪

ただし録音日が異なる演奏を集めた所為で、マスタリングというか、ステレオの定位とかミックスの按配にバラツキが目立ちます。このあたりが最新CDでは、どう処理されているか、興味深々です。

と、最後にCD購入の言い訳を布石にしておきます。ご容赦下さい。

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これも本家だ!

2007-06-26 18:11:56 | Weblog

全く仕事で泣き言をたれる奴が多くて、情けなくなった日でした。世の中、厳しいのよっ! と言うのは簡単なんですが、言って分かるには時間がかかるんですねぇ……。実際、私も、そうでしたから……。

ということで、憂さばらしに痛快なこれを――

Giant Steps / Tommy Flanagan (Enja)

トミー・フラナガンほどの人気ピアニストになると、けっこう「あざとい」企画も押しつけられたと思うのですが、それだって名盤請負人として、多くのセッションで結果を出してきた勲章だと思います。

中でも一番期待されるのが、過去の名演よ、もう一度! でしょう。このアルバムは、その最右翼に位置する1枚で、なにせ、あの1959年に作られた歴史的名盤「ジャイアント・ステップス / ジョン・コルトレーン(Atlantic)」の思い出追求セッションですから! ジャケットには小さく「in Memory of John Coltrane」とサブタイトルを入れているほどです。つまり前述のアルバムでリズム隊の要を務めていたトミー・フラナガンに、その中の演目を再び弾いてもらおうという目論みです。

しかし出来上がったものは、流石ですねぇ~♪

録音は1982年2月17~18日、メンバーはトミー・フラナガン(p)、ジョージ・ムラーツ(b)、アル・フォスター(ds) という、硬軟併せ持ったピアノトリオです――

A-1 Mr. P.C.
 件のアルバムの中でも一際人気が高いマイナーブルースで、ジョン・コルトレーンが盟友のベーシストだったポール・チェンバースに捧げて書いたオリジナルというのは、言わずもがなでしょう。
 ここでは持ち前の「トミフラ節」に加えて、何時もよりも突っ込んだ力強さが良く出ていますが、それはビシビシに煽るドラムス&ベースの硬派な姿勢によるものかと思います。
 特にジョージ・ムラーツは唯我独尊のバッキングが、まず良いですねぇ。ただしアドリブソロは、もっと出来るはず? という感じなのが勿体無い……。
 またアル・フォスターは、シンプルなシンバルとドンスカのドラムソロが良い塩梅♪ そしてラストテーマの最後の最後で、グワァ~ンと恐さを垣間見せるトミー・フラナガンが、やっぱり流石の貫禄で、ここが一番、爽快です。

A-2 Central Park west
 これだけは「ジャイアント・ステップス」では無く、同じレーベルから発売された「コルトレーン・サウンド」に収録されていた曲です。そしてオリジナルのピアニストはマッコイ・タイナーだったんですが、なかなかにジェントルな味わい魅力的なテーマメロディでしたから、もしかするとトミー・フラナガン自らが希望して、ここに演奏されたものかもしれません。
 実際、綺麗で優しさの漂うピアノタッチを聴かせるトミー・フラナガンは、歌心も申し分なく、一瞬、ビル・エバンス風のアプローチになる瞬間までもが楽しめます。
 皮肉にも、このアルバムの中では一番、「らしい」演奏だと思います。

A-3 Syeeda's Song Flute
 リズム隊の動きとキメが魅力だったオリジナルの演奏に対し、そのリズム隊だけの演奏では、やはりテーマの解釈に物足りなさが残ります。
 しかしアドリブパートは快調そのもので、モダンジャズの真髄を抉り出す瞬間が、何度も訪れます。特にアル・フォスターのドンドン響くタムやバスドラが、たまりません。

B-1 Cousin Mary
 極めて淡々とフレーズを続けていくトミー・フラナガンのクールな姿勢に熱くなる演奏です。意識的に黒いフィーリングを押し留めているあたりが、モードに対する意識なんでしょうか……?
 全篇に「トミフラ節」がいっぱいなんですが、途中でセロニアス・モンクみたいになったりするのが、憎めません。

B-2 Naima
 これもオリジナルではピアニストがウィントン・ケリーでしたが、静謐な人気曲なので、ぜひともトミー・フラナガンで聴いてみたいと思っていたファンには、嬉しいプレゼントでしょう。
 で、素直に思わせぶりを発揮するトミー・フラナガン! あまりにも期待通りなんで、拍子抜けするほどです。でも、やっぱり良いんですねぇ~~~♪ 罪作りだなぁ。

B-3 Giant Steps
 これは説明不要でしょう。あまりの凄さにリアルタイムでは、ほとんどカバーされていなかったはずですが、ここに本家本元という決定版のカバーバージョンが出たわけです。
 トミー・フラナガンはオリジナルよりも一層イケイケの姿勢を鮮明にしていますが、それは決して荒っぽいものではありません。寧ろ慎重に弾いている感じです。
 しかし逆に突っこんでくるベースとか、些か潔く無いドラムスが結果オーライのスパイスになっているという、幸せな演奏かもしれません。

ということで、今回はやや辛口の御紹介になった感があります。それはやっぱり企画がミエミエというか、私自身が当時から納得していなかった所為でしょう。

しかし中身は痛快な演奏なんで、頻繁にターンテーブルに乗せたのも、事実でした。

こういう自己矛盾もジャズ者の哀しさかもしれません。

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豪快我侭盤

2007-06-25 18:27:31 | Weblog

「金で買えない人生を送る」ということは素晴らしいかもしれませんが、自分のこれまでの人生は、金に支配され続けです。

仕事をするのだって、欲望に後押しされているわけですし……。

今朝はやたらに早く目が覚めて、注文して届いていたブツの梱包を解いたのですが、買ってしまうと安心してしまう自分が、なんだかなぁ……。

ということで――

Worktime / Sonny Rollins (Prestige)

アドリブの天才たるソニー・ロリンズが残した録音の中でも、特に豪放磊落な演奏が楽しめる大名盤! この人の最高傑作は「サキソフォンコロッサス(Prestige)」と衆目が一致するところですが、同時期に行われたセッションは、それぞれに味わい深い名演ばかりですから、何が愛聴盤になるかは、十人十色、その日の気分も大きく関係してくるでしょう。

で、本日の私は、このアルバムがどーしても聴きたくなったわけです。理由は尋ねてほしくありませんが――

録音は1955年12月2日、メンバーはソニー・ロリンズ(ts)、レイ・ブライアント(p)、ジョージ・モロウ(b)、マックス・ローチ(ds) という気心の知れた面々です。もちろんロリンズ、モロウ、ローチは当時のバンド仲間ですし、レイ・ブライアントは後に新編されたマックス・ローチのグループに入るわけですから、コンビネーションの良さは保証付き――

A-1 There's No Business Like Show Business / ショウほど素敵な商売はない
 ソニー・ロリンズというよりも、ジャズ史上に残る名演とされています。う~ん、確かに何度聴いても凄いとしか言えません!
 緩急自在の豪快なノリと太い音色でウネリまくるソニー・ロリンズはもちろんですが、何よりも凄いのは、そういう我侭な天才を支えて煽るリズム隊じゃないでしょうか? けっこう意地悪く突っ込んだり、外したりするソニー・ロリンズを無視して自分達だけでやっている雰囲気が、逆に天才を刺激しているように感じられます。
 アドリブパートでも小気味良いレイ・ブライアントが素晴らしく、またシャープなアップテンポを敲き出しているマックス・ローチは、ドラムソロでますます真価を発揮していますし、微動だにしないジョージ・モロウのベースも一級品!
 ですからソニー・ロリンズという天才でも必死にならざるをえないところに、溜飲が下がる思いなのでした。ラストテーマ最後の部分の咆哮に意地が感じられます。

A-2 Paradox
 これがまたまた強烈な演奏で、曲はソニー・ロリンズのオリジナル! そのタイトルどおりに逆説のノリが凄まじい限りです。リズム隊はラテンビートを主体にしており、テーマ部分から丁々発止の掛合いが楽しくて、屈折したテーマメロディに爽快感が出ています。
 もちろんアドリブパートはグルーヴィな4ビートで、グイノリのジョージ・モロウとポリリズムっぽいマックス・ローチのゴッタ煮がたまりません。
 そしてソニー・ロリンズは案外落ち着いた演奏をしているんですねぇ~。でも奥底では物凄いことをやっているんでしょうが、私のようなド素人には分かりかねる深みが、なんとなく感じられます。
 またレイ・ブライアントは歌心満点の展開を聞かせてくれますが、途中からマックス・ローチとソニー・ロリンズの2人芝居になるんで、ちょっと勿体無い中途半端です……。

A-3 Raincheck
 デューク・エリントン楽団の参報役だったビリー・ストレイホーンが書いた名曲を、ソニー・ロリンズとマックス・ローチは楽しいアドリブ主体のモダンジャズに仕立て上げています。
 まずテーマ部分から2人の掛け合いが楽しく、スリル満点♪ そしてアドリブに専念するソニー・ロリンズは、十八番のフレーズとノリの大盤振る舞いで、これぞソニー・ロリンズという快演になっています。
 もちろんマックス・ローチが一歩も譲りません。堂々の渡り合いから、その場を空気を緊張感いっぱいにしていくのです。
 しかし続くレイ・ブライアントが、繊細なピアノタッチとアドリブメロディの妙をたっぷりと聞かせてくれますから、ご安心下さい♪ なかなかバランスのとれた名演だと思います。

B-1 There Are Such Thing
 B面に入ってはソニー・ロリンズが己のテナーサックスの魅力を全開させたスローな演奏を聞かせてくれます。素材はフランク・シナトラの十八番になっていますが、私はこの演奏で、テーマメロディを知りました。ソニー・ロリンズの大らかで気配りのある解釈は本当に素敵だと思います。けっこう破天荒なフレーズも吹いているんですが、今、テーマのどこを吹いているか、ちゃ~んと分かる歌心が凄いですねぇ~♪
 またマックス・ローチが細やかなブラシの使い方で、流石と思わせます。ソニー・ロリンズのアドリブフレーズを先回りしてピッタリのオカズを入れてくるんですねぇ~♪ 天才は天才を知るってやつでしょうか!
 それとレイ・ブライアントが、ここでも泣きそうになるほど素敵なアドリブを聞かせてくれます。「間」の取り方が消え入りそうな感覚で、私の琴線を刺激するのでした。

B-2 It's Allright With Me
 オーラスはアップテンポの大ハードバップ大会です♪
 まずお馴染みのメロディを適度に崩しながら突進するソニー・ロリンズとリズム隊の対決がド迫力ですし、結果的にマックス・ローチに引張られ気味のソニー・ロリンズが、最後には立場を逆転させていくストーリーは、考え抜いていたものでしょうか、とにかく手に汗握る名演になっています。
 クライマックスのソニー対ローチの一騎打ちは、本当に熱くなりますよっ!

ということで、決定的な名盤選には必ず登場するアルバムなんですが、欠点は聴いているうちに、ここでクリフォード・ブラウン(tp) が出たらなぁ……、と思ってしまうことでしょうか? 少なくとも私はそうなんで、これの次にはブラウン&ローチの盤を出してしまうのでした。

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正統派 part 2

2007-06-24 16:59:26 | Weblog

午前中はバンド練習に行って、楽しかったのに、午後からは仕事のゴタゴタした連絡や選挙のお願いとか、ドロドロした世界に引きずり込まれてウンザリでした。

ということで、本日も正統派の1枚を――

Spring Is Here / 小曽根真 (CBS / Sony)

小曽根真は今や世界でも有数の実力派ジャズピアニストになっていますが、それはデビュー当時から充分に予測出来た事だと言われています。

確か1985年頃から、ジャズマスコミは大々的にプッシュしていましたし、デビュー盤からして、ゲイリー・バートン(vib) が大きく関わっていたと記憶しています。

しかし私には、凄いんだろうけど、ちょっと……???

確かに誰の真似でもない高級テクニックと音楽性は感じられたのですが、なんとなく香りが高いというか……。やっている音楽がオリジナル曲ばっかりというのが、私のような凡人には取っ付きが悪かったのです。

すると、1987年になってようやく出たのが、この有名スタンダード曲ばっかりの正統派ピアノトリオ盤です。

録音は1986年12月、メンバーは小曽根真(p)、ジョージ・ムラーツ(b)、ロイ・ヘインズ(ds) というのですから、もう、ワクワクです――

01 Beautiful Love
 ビル・エバンス(p) が決定的な名演を残しているスタンダード曲ですから、私は聴く前から妙に肩に力が入っていたのですが、それを綺麗に解きほぐしてくれた小曽根真トリオの躍動的な演奏に、いきなりの拍手喝采です!
 あまりに素直なテーマ解釈ゆえに、これはサイドメンの手抜きが懸念されたんですが、リラックスしたノリが逆に良い結果をもたらしたようです。
 小曽根真のピアノスタイルはオスカー・ピーターソン系のバカテク派ですが、誰々の影響云々という話が出来ないほどに完成されていて、そこが物足りなかったりします。しかし、ここでは思わず音量を上げてしまうほどに、惹き込まれてしまうんですねぇ~。ただしそれは私的に素晴らしいとか、最高とかいうレペルではありません。ただジャズの本質を掴んだ演奏をもっと聴いていたいという欲求によるものです。
 演奏はジョージ・ムラーツのベースソロを挟んで、ロイ・ヘインズのドラムスと小曽根真が烈しく対決しますが、このパートが一番、「らしい」と思います。

02 Spring Is Here
 これもビル・エバンス(p) が素晴らしい演奏を残している曲なので、う~ん、と選曲に唸る他はないんですが、アルバムタイトルになっていますから、きっと凄い出来なんでしょう……。
 と思っていたら、全く正統派の解釈でジャズピアノの基本を聞かせてくれました。無味乾燥に美メロのアドリブを綴る小曽根真のピアノに対して、ピリリとスパイスの効いたベースとドラムスが、絶妙の味わいを醸し出していると思います。
 特にジョージ・ムラーツは失礼ながら、時には露骨な手抜きをしたりする人という個人的なイメージがあるんで、あまり期待していなかったのですが、このセッションでは御大ゲイリー・バートンがプロデュースに関わっていた所為か、なかなか落ち着いたプレイで好感が持てます。

03 Someday My Prince Will Come
 これはマイルス・デイビス(tp) 、そしてビル・エバンス(p) やデイブ・ブルーベック(p) 等々、人気演奏がゴマンとありますから、否が応でも期待が……。
 まずテーマ解釈がワルツのポリリズムビートになっていて、素直にテーマメロディを綴る小曽根真に対して執拗に絡むジョージ・ムラーツ、時として烈しく斬り込んで
来るロイ・ヘインズが、モダンジャズ王道のスリルを作り出しています。
 そしてトリオは、ゆったりとした中にも密度の濃いアドリブ世界を現出させるのですが、特に小曽根真は大らかなフレーズとノリで素晴らしく、ジョージ・ムラーツはガチンコの姿勢を鮮明にしていて、気持ちが良いところです。

04 On The Street Where You Live / 君住む街で
 これはミュージカル「マイ・フェア・レディ」からの有名曲で、オスカー・ピータソン(p) やアンドレ・プレヴィン(p) という、小曽根真と同系統の名手によって素晴らしい名演が残されていますから、ちょっと……。
 と懸念していたら、優るとも劣らない凄い演奏を聞かせてくれました。
 まずロイ・ヘインズのブラシ主体のドラムスが最高ですし、小曽根真のテーマ解釈の妙は若さと熟練の技が一体となった素晴らしさです♪ しかもアドリブが、また凄いんですねぇ~♪ もう全部が歌になっている即興メロディは、天才の証だと思います。粘りつつも歯切れの良いピアノタッチも驚異的!
 グルーヴィなノリを弾き出しているジョージ・ムラーツのベースも、実に良い味ですし、アドリブソロも堂々の「節」を披露しています。

05 The Night Has A Thousand Eyes / 夜は千の目を持つ
 これもモダンジャズでは人気曲♪ そして小曽根真は前曲に続いて好調な演奏を聞かせてくれました。
 それはもちろんラテンビートを使いつつも、かなり早いテンポを設定し、グルーヴィな4ビートが交錯する最高の舞台で大暴れするという展開です。
 あぁ、それにしてもロイ・ヘインズの張り切りは流石です。この人にはチック・コリア(p) とやった畢生のピアノトリオ・セッションが沢山ありますが、当にそのノリ! ですから小曽根真も安心して烈しいモード節と歌心に満ちたフレーズをゴッタ煮にしてブチまけているようです。

06 My One And Only Love
 これはジョン・コルトレーン(ts) の名演がジャズ者には染み付いているはずですから、小曽根真も油断がならないという雰囲気になっています。
 もちろん定石どおりにスローな解釈で、最初から小曽根真が一人舞台のテーマ演奏が、なかなか素直で好感が持てます。
 そしてアドリブパートではベースとドラムスを従えて、思わせぶりをたっぷりとやってくれますからねぇ~、唸りながらも最後には絶句させられます。ここまで正々堂々とした真っ向勝負は、己のピアノに相当の自信があるんでしょう。
 心底、流石だと思います。失礼ながら音程を外しそうになって姑息なゴマカシをやってしまうジョージ・ムラーツが、逆に憎めないですねっ♪

07 O' Grande Amore
 これはボサノバの有名曲なんですが、ここでの演奏は少しばかりハズシ気味……。
 というか、ロイ・ヘインズが擬似ジャズロックみたいなリズムを敲いてしまって、せっかく小曽根真が美メロのアドリブを弾いているのにぃ~~~!
 ということで、本当に勿体無いのが、このトラックです……。
 ただしジョージ・ムラーツのベースソロのパートでは、意外にしっくりキマッていますから、あながち嘘はなかったということでしょうか? 続く後半の小曽根真は自分から歩み寄ったかのようなアドリブを聞かせてくれますが……。

08 Tnagerine
 という前曲の憂さを晴らしてくれるのが、この演奏です♪
 とにかく最初っからトリオのノリが半端ではありません。グイノリのジョージ・ムラーツ、シャープなロイ・ヘインズに煽られて、小曽根真は思いっきり炸裂しています。そのピアノ全体が鳴りまくったアドリブは、最初のブレイクから強烈至極! バリバリ・ガンガンに弾きっぱなしのバックドロップです! 両手ユニゾン&バラバラ弾きやビートを逆手にとった烈しい打楽器奏法、さらには変態コードの挿入等々、持てる思いを有りったけ吐露した凄さが感じられます。
 これには共演のジョージ・ムラーツも押され気味ながら、白熱のベースソロ! もちろんロイ・ヘインズもガチンコのドラムソロで対抗していますが、もう誰も小曽根真の勢いは止められないうちに、演奏は大団円を迎えるのでした。

というこのアルバムは、既にCDが普及し始めた頃に出た1枚です。

私も当時、とうとうCDプレイヤーを買っていたんですが、その時に一緒に買ったソフトが、これでしたので、随分と聴きまくった思い出があります。

ご存知のようにCDの利点には、曲順のプログラムが自分で設定出来るという楽しみがありますから、このアルバムも自分勝手に作って聴きましたですねぇ~♪ で、それは「1」→「4」→「5」→「2」→「3」→「8」というものです。

ちなみに最近の小曽根真は、またまたオリジナル曲に拘っているようですが、ぜひともこういう企画をやって欲しいもんです。9年ほど前に生ライブを聴いた時はゴッツイ黒人のサイドメンを引き連れたトリオでしたが、営業的な見地から、それでも数曲のスタンダードを演奏してくれましたから、ぜひともお願いしたいところです。

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テナーサックス正統派

2007-06-23 17:10:07 | Weblog

マニアとかコレクターと言われる人達は、同じタイトルのアルバムを何枚も持っていますが、若い頃の私には、それが不思議でなりませんでした。

だって、演奏が同じなんですから、とんでもない無駄遣いに思えたんですねぇ。もっと別な作品を買った方が良いわけですから……。

ところがある日、忽然とその意味が分かったのです。

例えばアナログ盤は同じ演奏を収録していても、レコードそのものの製造過程で音が完全に違う例が、多々存在しています。その原因はビニールの材質とかカッティングする時の音圧レベルの違いとか、出来上がったレコードの重量の差とか、キリが無いほど挙げられます。

で、それに気づかされたのが、本日のアルバムです――

YEAH ! / Charlie Rouse (Epic)

チャーリー・ラウズは、1959年頃からセロニアス・モンク(p) のバンドレギュラーとして活躍した黒人テナーサックス奏者で、そこで残された膨大な量の演奏が一番有名でしょう。

ただ、そこでの演奏は何時も同じ様なフレーズばっかり吹いているとか、あまり良いことは言われていないのが一般的かもしれません。少なくとも私の周囲では、そういう評価です。

しかし実は、しぶとくリーダー盤も出している実力者! それもセロニアス・モンクとの共演とは、ちょいと違った味わいがあって、どちらがこの人の正体かわからなくなるのが、深いところ♪

このアルバムは中でも特に素晴らしい出来栄えの隠れ人気盤です。

録音は1960年12月20~21日、メンバーはチャーリー・ラウズ(ts)、ビリー・ガードナー(p)、ペック・モリソン(b)、デイヴ・ベイリー(ds)という、所謂ワンホーン編成です――

A-1 You Don't Know What Love Is
 モダンジャズではソニー・ロリンズの名演が決定的なスタンダードですから、同じテナーサックス奏者のチャーリー・ラウズにとっては最初から分の悪いところですが、いえいえ、ここでは一味違った名演を聞かせてくれます。
 まずテナーサックス本来のハスキーな音色、フススススス~というサブトーンの響き、ちょっと思わせぶりに心をこめたテーマ吹奏にシビレます♪
 全体にゆったりしたテンポながら、力強いペック・モリソンのベースにリードされたリズム隊のグルーヴも最高ですねぇ♪ チャーリー・ラウズも気持ち良さそうに、ジワジワと染み入るアドリブを展開して素晴らしい限り♪ こういう一面はセロニアス・モンクとのセッションでは、あまり聞かせてくれませんからねぇ。本当に魅力があります。
 またピアニストのビリー・ガードナーは有名ではありませんが、レッド・ガーランド系の好ましいスタイルですから、このアルバムで目をつけたファンも多かろうと思います。

A-2 Lil Rousin'
 躍動的なゴスペル風のテーマが素敵なブルースで、そこから擬似ジャズロックになって、さらに痛快な4ビートに転じていくリズム隊が、まず秀逸です。
 チャーリー・ラウズは何時ものように、思い出し笑いのようなフレーズばっかりを執拗に連発していますが、同じ様に聴こえてもなお、不思議な味わいがたまりません。
 リズム隊では、ここでもペック・モリソンのベースが素晴らしいですねぇ。こういう自然体のグルーヴがあればこそ、バンド全体がスイングするんじゃないでしょうか。ビリー・ガードナーのグイノリも魅力があります。

A-3 Stella By Starlight
 これも有名スタンダードですから、ド頭の「You Don't Know What Love Is」と似たような解釈を聞かせてくれるチャーリー・ラウズのシブサに参ります。なによりもハスキーなサブトーンの音色がたまりません♪ バンド全体で醸し出す、ゆったり感のグルーヴも最高!
 これぞモダンジャズ正統派のテナーサックスだと思います。
 ビリー・ガードナーが聞かせるブロックコード弾き主体のピアノも、明らかにレッド・ガーランドの影響下ながら、より硬めのタッチが黒っぽさに繋がっていて、憎めません。

B-1 Billy's Blues
 そのビリー・ガードナーが書いたソウルフルなブルース曲は、如何にもハードバップの魅力に溢れていますが、チャーリー・ラウズのテナーサックスは流石にセロニアス・モンクとの共演で虐められているだけあって、一筋縄ではいきません。
 わざとタイミングをずらすようなフレーズの妙と変態アドリブメロディが、ありきたりのブルース解釈を逸脱していて新鮮です。
 対するビリー・ガードナーはゴスペル味までも滲ませて、こっちは真っ向勝負! このコントラストがバンド全体の気持ちが良いノリになった感があります。
 そしてここでもペック・モリソンが大活躍! エグイ伴奏と外し気味のベースソロは蠢くような迫力に満ちているのでした。

B-2 Rouse's Point
 タイトルどおりにチャーリー・ラウズのオリジナルですが、なんとなくジョン・コルトレーンに似たような曲があったような……。
 まあ、それはそれとして、ここはアップテンポで烈しく突っ込むチャーリー・ラウズとイケイケのリズム隊の対決がスリリングです。このあたりの適度な緊張感は、エキセントリックなセロニアス・モンクとの共演では楽しめない味ですから、同じ様なフレーズを吹いているチャーリー・ラウズにしても、リスナーは楽しみ方が自ずと違ってくるんじゃないでしょうか。
 ステックに持ち替えたデイブ・ベイリーが大奮闘です!

B-3 No Greater Love
 オーラスは、またまた有名スタンダード曲が穏やかに演奏されていますが、ここでのチャーリー・ラウズは比較的硬めの音色でテーマメロディを吹いていますし、寄添うペック・モリソンのベースも基本に忠実です。
 こういうリラックスした安心感というものも、ジャズの楽しみのひとつなんでしょうねぇ。ちょっと緊張感が足りないような気も致しますが、結果オーライのやすらぎがいっぱいです。

ということで、個人的にはA面をひたすらに愛聴しています。

で、冒頭の話に戻りますが、私は最初、ソニーから1300円で発売された廉価盤を聴いていました。ところがある日、ジャズ喫茶に集う先輩の家でオリジナル盤を聞かせてもらったところ、その音の密度というか、鳴りの凄さに驚愕させられました。

まあ、その時はオーディオ装置も違うしなぁ、と思っていたんですが、ひょんな事からその先輩のオリジナル盤を私が借りられる幸運に恵まれ、喜び勇んで自分のプレイヤーで再生したところ、やっぱり私有の廉価盤とは全く違う音が出てきたんですから、驚愕です。

それはまず、音圧の違いというか、盤面の溝み刻まれた音を針が抉り出すが如きグイッという音なんですねぇ~。ベースの音の太さ、ピアノタッチの強さ、テナーサックスのサブトーンの深み、シンバルの潔さ……、等々が本当に生々しいわけです。

今になって思えば、それがオリジナルの魅力なんですが、当時の私にはそれよりも、アメリカの凄さみたいなものを強く感じました。なにせ、なんでもアメリカ一番という教育を受けた世代ですから……。

ということで、そうやってオリジナル盤の魅力の虜になった私は、数年後に念願のそれを入手して聴きまくりでした。

ただし今は手元にありません。実は神戸地震で被災した友人を助けるためにオークションに出したのです。そして今はCDを愛聴しているのですが、これもまた時代の音というか、仕事場での憩いに流したりすると、やっぱり安らぐ演奏の魅力に参っているのでした。

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チェット・ベイカーと組員

2007-06-22 17:06:12 | Weblog

頼んでいたブツが、ドサッと届いたのは嬉しいんですが、楽しんでいる時間が無い……。

そして今日は、ストーンズの最新ライブDVD4枚組とかサイモン&ガーファンクルの「1969年ライブ」盤とか、いろいろと頼んでしまった……。

いゃー、ネット通販は便利でいいけど、ますます自分の時間とお金が減っていく感じですねぇ……。人生をすり減らしているような気さえ、しています。

ということで、本日は――

Chet Baker & Crew (Pacific Jazz)

チェット・ベイカーは説明不要の人気トランペッターですが、悪いクスリの所為で演奏にムラがあったり、人生を踏み外した時期もありました……。しかし生涯、自分のスタイルを貫き通したのは流石だと思います。

そこには白人らしいスマートな歌心と快適なドライブ感があって、しかもジャンルを超越して屹立するモダンジャズの本質が溢れていると思います。

このアルバムでのチェット・ベイカーは、ハードバッブに挑んだ感が強く、しかし実相は少しも変わっていないという、当に基本の1枚かと思います。ちなみにこの頃のチェット・ベイカーは、前年秋からの長い欧州巡業を終え、地元西海岸に戻ったばかりでしたが、当時のジャズ界で最高にブッ飛んでいたのは黒人主導の所謂ハードバップだった事から、黒人を入れたバンドを編成してレコーディングに臨んだようです。

録音は1956年7月24~25日&31日、メンバーはチェット・ベイカー(tp)、フィル・アーソ(ts)、ボビー・ティモンズ(p)、ジミー・ボンド(ds)、ピーター・リットマン(ds) に加えて、1曲だけ Bill Loughbrough(per) が参加した白黒混成! どうやらレギュラーバンドだったようです――

A-1 To Mickey's Memory
 アップテンポでスマートな西海岸製のハードバップ♪ とにかくテーマがカッコ良すぎます! ラテンリズムとグルーヴィな4ビートの混合が、最高に上手くいっているんですねぇ。ゲスト参加の Bill Loughbrough によるチャカポコ楽しいパーカッションや、ボビー・ティモンズの力強い伴奏も印象的♪
 そしてアドリブハートでは、先発のフィル・アーソが爽快にして滑らかなフレーズを聞かせれば、チェット・ペイカーは荒っぽくも痛快なノリで勝負しています。もちろん独自の歌心も忘れていません♪
 またピアノとペースが黒人の所為でしょうか、ピーター・リットマンの如何にも白人らしい歯切れの良いドラムスを挟み込んだ「オレオビスケット」状態のリズム隊が、独創的なグルーヴを生み出しています!

A-2 Slightly Above Moderate
 これは曲がつまらないのですが、チェット・ベイカーのアドリブだけは素晴らしいという、皮肉な演奏です。しかも緩いテンポですから、ジャズ喫茶ならば居眠りモード……。
 ただしリズム隊に不思議なグルーヴがありますから、妙なスリルがあったりします。アドリブハートは力強いんですよ。

A-3 Halema
 ちょっと当時のホレス・シルバーあたりが書きそうな印象的な曲です。穏やかな哀愁というか、個人的には気に入っているテーマメロディですし、それをリードする、ややハスキーなチェット・ベイカーのトランペット、歌心いっぱいのフィル・アーソのアドリブは、素晴らしいと思います。
 また意外にも小粋なピアノを聞かせるボビー・ティモンズも♪
 ただし、演奏そのものに、テープ編集疑惑があるかもしれません。

A-4 Revelation
 ジェリー・マリガンが書いた幾何学的なブルースですが、このリズム隊ですから、なかなか黒くて力感ある演奏になっています。
 まずフィル・アーソがズート・シムズっぽいドライブ感を聞かせれば、チェット・ベイカーはマイルス・デイビスのような思わせぶり♪ また業を煮やしてゴスペル調の伴奏をつけるボビー・ティモンズが、最高です! 短いながらアドリブも充実しているのでした。

B-1 Something For Liza
 これは如何にも西海岸ジャズというテーマメロディとアレンジ、そして演奏そのものがスマート過ぎる感じです。アップテンポの楽しい演奏ではあるんですが、なんとなく時代遅れというか……。
 ただしリズム隊のアレンジにちょっとした仕掛けがあって、なかなか刺激的なところがあります。
 アドリブではフィル・アーソが滑らかなフレーズを連発! しかしチェット・ベイカーに調子が出ていません。そこで前述したリズム隊のキメが出るんですねぇ~。すると一瞬、生き返ったかのように良いフレーズを出すチェット・ベイカーに、ジャズの面白さを感じたりします。
 ピーター・リットマンのドラムスが熱演です。

B-2 Lucius Lu
 緩い脱力系モダンジャズなんですが、リズム隊がグルーヴィですから、ダレていません。ジミー・ボンドの重たいベースが流石!
 するとフィル・アーソが会心のアドリブを聞かせてくれます。この歌心と構成力は、名演と言って良いと思います。続くチェット・ベイカーは、まあ、平均点でしょうか……。
 しかしボビー・ティモンズのピアノがファンキーですねぇ♪ ベースのジミー・ボンドもビンビンのアドリブソロですから、たまりません。ピーター・リットマンのドラムスも入れて、このリズム隊だけが異次元を作り出している雰囲気です。

B-3 Worrying The Life Out Of Me
 これも穏やかなテンポのスタンダート解釈を聞かせてくれるバンドの纏まりが、最高です。やっぱりチェット・ベイカーは、こういう歌物をやらせると素敵♪ テーマメロディの巧みな変奏に、グッときます。
 そして何よりも、トランペットとテナーサックスによるハーモニーとメロディリードの按配が、絶妙なのでした。

B-4 Medium Rock
 オーラスは、これぞ西海岸ハードバッブという演奏です。
 ます、せつなく楽しくテーマメロディが素敵ですし、アレンジの妙から力強いリズム隊のノリ、さらに各人のアドリブの素晴らしさ♪ 特にチェット・ベイカーのバックでマーチ調のビートを刻むリズム隊が、印象的です。

ということで、チェット・ベイカーのアルバムとしては、ちょっと異質の仕上がりかもしれません。個人的には、力強く不思議なグルーヴを生み出しているリズム隊が聴きたくて、これを引っ張り出すという告白をしておきます。

ちなみにチェット・ベイカーは、この後、どういうわけか再び西海岸派どっぷりの演奏に戻っています。と言うか、実はこのレギュラーバンドが解散したようなんですねぇ……。ボビー・ティモンズはご存知のように東海岸へ行ってゴスペルハードバップの立役者になりますし……。

歴史的には2年後に「チェット・ペイカー・イン・ニューヨーク(Riverside)」という傑作ハードバッブ盤を吹き込むわけですから、聴き比べも楽しいかと思います。

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男の道行き

2007-06-21 17:32:36 | Weblog

今日は、どしゃぶりの雨の中でした。

というのも、山道を車で走っていたら、前方に事故った大型トラックが!

脱輪していたので、ジャッキで持ち上げる手伝いしてたら突然の豪雨!

それが半端じゃなくて、忽ち全身がズブヌレでした。

まあ、こういう日もあります。

ということで、本日は――

Archie Shepp - Horace Parlan En Concert 2nd Set (52 Rue Est)

アーチー・シェップはジョン・コルトレーン晩年のスタイルを継承した前衛派の闘将というイメージですが、フリーやデタラメばかりのサックス奏者ではありません。

もちろん、そういう印象もハズレでは無いのですが、1970年代初め頃からはジャズそのものに根ざしたルーツミュージックを追求し、当然、自身のサックスプレイや演奏の根底も変化しています。

このアルバムは1987年にパリで演じたコンサートのライブ音源で、何とピアノとのデュオで押し切った真情吐露盤です。

あらためてデータを記すと、録音は1987年10月24日のパリ、メンバーはアーチーシェップ(ts,ss,vo) とホレス・パーラン(p) の一騎打ちとなっています――

01 Make Me A Pallet On The Floor
02 Ruby My Dear
03 Nobody Knows You When You Are Down And Out
04 Trouble In Mind
05 Deep River
06 Sophisticated Lady

演目はゴスペルや伝承歌、そしてデューク・エリントやセロニアス・モンクの有名オリジナルですから、ある意味、親しみ易い演奏になっています。

そしてアーチー・シェップのテナー&ソプラノサックスは、ジルジルブリブリに煮詰まった音色と情熱いっぱいのフレーズで、腹の底から湧き上がるエモーションを表現しています。

と、こう書くと、なにやら難しい事をやっているかと思われるかもしれませんが、けっこうストレートなフレーズが多いですね。演奏のテンポも中庸なんで、あくまでもメロディを大切にしたテーマ吹奏とアドリブのバランスが最高です。

相方のホレス・パーランはモダンジャズ全盛期の1950年代後半から1960年代半ばまで、名門「ブルーノート」を中心に真っ黒な情念を爆発させた演奏をどっさり残した黒人ピアニストで、そのアクの強さは天下一品! ですから、アーチー・シェップが相手とならば、手加減抜きのガチンコ伴奏と粘っこいフィーリングに満ちたアドリブで勝負しています。

ちなみにこの人は、失礼ながら手に障害があった所為で妙に捻れたアタックの強さが個性になっており、そこが人気の秘密なんですが、ここではそれよりも、もっとディープな心の叫びというような演奏をしているように感じます。シンプルにして味わい深いんですねぇ~。

肝心の演奏は、冒頭「Make Me A Pallet On The Floor」での軽妙な軽さが、後半でせつなく変化する名演ですし、ゴスペルの「Deep River」ではテナーサックス本来の野太い音色、フススススス~というサブトーン、ジルジルと呻く歌いまわしが素晴らしいです。録音でも音割れ寸前の低音域の伸びが、快感です。

寄り添うホレス・パーランも的確な伴奏で、これは一種の歌伴でしょうねぇ~。最初に「一騎打ち」なんて書いて、筆が滑りました。

そのあたりは有名なデューク・エリントンの歌物「Sophisticated Lady」で遺憾なく発揮されていますし、アーチー・シェップにしても十八番ですから、本当に最後を飾る名演になっています。ジンワリと滲みこんでくる歌心とヒステリックな節回しのコントラストが絶妙ですからねぇ~♪ サックスの音色も素晴らしいと思います。

またソプラノサックスで奇妙な味を聞かせてくれる「Nobody Knows You When You Are Down And Out」も良いです。スローな解釈にしてシンミリ感を強調しつつも、熱い想いの心情吐露が、たまりません。ホレス・パーランとの遣り取りは、もう男の世界というか、昭和残侠伝!

そして「Trouble In Mind」では、激した末に飛び出すアーチー・シェップのダミ声ボーカルが強烈です。もちろんホレス・パーランは上手いブルース伴奏♪ あぁ、ブルースの世界です。

それと気になるセロニアス・モンクの「Ruby My Dear」ですが、これも非常にオリジナルに忠実というか、テーマメロディのストレートな解釈からテナーサックスの音色で勝負という思惑が、ストライクゾーンにビシッ!

ということで、ここに収められた1時間弱の演奏は、どれも似たようなスローテンポなんですが、聴き手のブルース&ソウルのツボを上手く刺激するベテランの味になっています。

前衛派は、どうも……。という皆様にも虚心坦懐に聴いていただければ、納得されるアルバムかと思います。

ちなみに私は夜、PCでサイト用の文章を打っている時には必需品♪ 黒い男の道行き演奏なんで、ちょっと鬱陶しいかもしれませんが、この頃は愛聴しているのでした。

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