OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

奈美ちゃ~ん♪

2007-11-30 14:57:42 | Weblog

実は昨日の午後から出張中なんですが、泊まるのは実家なので、あまり意識はしていません。

今回の仕事は某会社と大きなプロジェクトの再建について、けっこうシビアな話がメインなんですが、なんと宿泊用のホテルまで用意してありました。

というか、この仕事が決まった2ヶ月前から、泊まりは実家にするから、宿泊手配は必要無いと先方に伝えていたのに、こういう無駄な事をしてしまうんですねぇ……。

これでは再建もなにも、あったもんじゃないし、今更、自分の宿泊費用をケチったところで、現状には何の影響も出ないのかもしれませんが、仮にも経営的に窮地に陥っている会社のやることではないでしょう。

というか、細かいところから考えていなかければ、再建なんて覚束ない! とビッシリ言い放ってしまった自分に、ちょっと自己嫌悪もあるという……。

まあ、ちょっとばかり難しい問題ではありますが、ひとり憤ってCD屋を徘徊していたら、こんなん発見♪ 速攻で買ってしまいました――

dankaiパンチ~東京に吹く風~昭和40年代フォーク (Victor Entertainment)

ジャケットを見て、おぉ♪ と歓喜悶絶する人は、私と同世代でしょう。

麻田奈美ですよっ! リンゴのヌードは平凡パンチの名作でした♪

実際、彼女の豊満な肉体は、当時の青少年の憧れだったのです。確か昭和48年の正月過ぎだったでしょうか、「平凡パンチ」のグラビアで鮮烈なデビューを飾り、あっという間に人気ナンバーワン♪

ところが5月頃には芸能界を引退して、多くのファンの嘆かせました……。

しかし彼女の残してくれたグラビアは永遠の青少年アイテムになっています。

さて、このアルバムは、彼女が人気アイドルだった昭和40年代末をイメージした歌謡フォークのオムニバス盤でした。収録演目は――

01 東京 / マイ・ペース
02 なのにあなたは京都へゆくの / チェリッシュ
03 時にまかせて / かねのぶさちこ
04 高円寺 / よしだたくろう
05 サルビアの花 / 岩淵リリ
06 空に星があるように / 荒木一郎
07 夏しぐれ / アルフィー
08 恋は風に乗って / 五つの赤い風船
09 宇宙にとびこめ / 中山千夏
10 12月の雨の日 / はっぴいえんど
11 学生街の喫茶店 / GARO
12 悩み多き者よ / 斉藤哲夫
13 受験生ブルース / 高石友也
14 雨上がりのビル街 / 遠藤賢司
15 塀の上で / はちみつぱい
16 一本道 / 友部正人

――という演目は、御馴染みの曲ばかりですが、正直、選曲が自分の好みからイマイチ、ズレています。

しかし麻田奈美のヌードを使ったのは流石というか、自分のような者を狙い撃ちされた感がありますねぇ~。

機会があれば、店頭で実物をご覧下さいませ。思わず手に取り、レジに足が向かっても、責任は……。

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ジャック・ウィルソンはジャズ喫茶のスタア

2007-11-29 17:19:03 | Weblog

今日も気持ち良く晴れた1日でしたが、やっぱり風が冷たくなってきました。熱い珈琲が、本当に美味いですね。

ということで、本日は――

The Two Sides Of Jack Wilson (Atlantic)

1970年代のジャズ喫茶では、マスコミに登場しない隠れた人気スタアが大勢居て、例えば黒人ピアニストのジャック・ウィルソンも、そのひとりでした。

芸歴の中ではブルーノートに残したアルバムが最も輝かしいものでしょうが、アトランティックの諸作も捨てがたく、中でも本日の1枚は正統派ピアノトリオの傑作盤! 意外なほどの入手の困難さもあって、リクエストが多かったと記憶しています。

録音は1964年5月13日、メンバーはジャック・ウィルソン(p)、リロイ・ヴィネガー(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) という極上のトリオです――

A-1 The Scene Is Clean
 ダッド・ダメロンが書いた優雅な名曲ですが、ジャズとして面白く演奏されるミソがあるようで、なかなか味わい深い演奏が楽しめます。
 まず優しいタッチのジャック・ウィルソンがアドリブパートでは淀みない運指を披露しつつも歌心優先主義が好ましく、フィリー・ジョーのメリハリの効いたドラミング、どっしりとウォーキングするリロイ・ヴィネガーのベース共々に強い存在感を示しています。
 ただし全体に漂う妙な倦怠感は、フィリー・ジョーの激したドラミングでも払拭出来ないようで、それゆえに中間部のドラムソロが、些かヤケクソ気味に聞こえてしまうのでした。

A-2 Glass Enclosure
 バド・パウエルのオリジナルで、全体が4部構成になっている不思議な作品ですから、失礼ながらジャック・ウィルソンにしても荷が重いという感じでしょか……。
 実際、聴いていてもイライラする部分は隠せません。しかし正統派4ビートで疾走するところは痛快ですし、ジャック・ウィルソンの器用な面が良く出た演奏だと思います。

A-3 Good Time Joe
 一転して、これは痛快!!!
 クッションの効いたフィリー・ジョーのドラミングを活かしたブルースで、ジャック・ウィルソンのピアノからはファンキーに色づけされた小粋なフレーズが連発されます。
 あぁ、楽しいなぁ~~♪
 しかしフィリー・ジョーのドラムスが、実はハズシ気味かも……? 妙な勘違いがあるように思います。
 その点、リロイ・ヴィネガーは見事ですねぇ♪ 地味ながら存在感の強いベースソロまでも聞かせてくれるのでした。

A-4 Kinta
 思わず笑いそうな曲タイトルですが、中身は熱いハードバップ! かなり早いテンポでバリバリと弾きまくるジャック・ウィルソンは、ジャズ喫茶の人気者になる条件を満たしています。

B-1 Once Upon A Summertime
 ミッシェル・ルグランが書いた名曲のひとつを優雅に演奏してくれるジャック・ウィルソン♪ カクテルピアノにギリギリまで近づきながら、かなりアブナイ部分でジャズの恐さを感じさせてくれます。
 リロイ・ヴィネガーのベースも1音を大切にした蠢きで結果オーライだと思いますが、全体的には隠しようもないロマンチックな香りが、最高に素敵ですねぇ~♪

B-2 Sometime Ago
 これが如何にも1960年代的な名曲ですから、モダンジャズでも名演は数多く残されていますが、このジャック・ウィルソンのバージョンもそのひとつでしょう。
 動きすぎる指と溢れる想いがマッチして、時には饒舌な部分もありますが、嫌味になっていません。なによりも魅惑のテーマメロディを蔑ろにしていないところに好感が持てます。

B-3 The Good Life
 おぉ、次に出るのが、これまたシャンソンの大名曲♪ 選曲とプログラムの流れの良さが、このアルバムの魅力です。
 ジャック・ウィルソンはスローなテンポの中で、思いっきり華麗なテクニックを披露し、リスナーを酔わせるのでした。
 洒落たカクテルラウンジに居る気分にさせられますよ。

B-4 The End Of A Love Affair
 これも幾多の名唱・名演が残されている歌物バラードですから、ジャック・ウィルソンもじっくりと構えて華麗にピアノを歌わせています。溢れる歌心とムードの醸し出し方は、流石の一言!
 中盤からはグッとビートが強くなり、フィリー・ジョーが十八番のノリを聞かせてくれる場面もありますが、あくまでもリーダーのピアノを盛り立てたサポートですから、雰囲気は最高です。

ということで、アルバムタイトルどおり、A面とB面では趣が異なっています。そして個人的にはスローサイドとも言うべきB面が大好きで、ジャズ喫茶でも良くリクエストしたものでした。

ですから逆にA面のくだけた感じが、やや惜しまれるんですが、これはアナログ盤という片面で完結する世界では、問題にならないと思います。つまりぶっ続けで聴くと、違和感が……。

これこそアナログ盤で聴きたい作品だと思います。

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ディクソン、グリーン、そしてパットン♪

2007-11-28 16:47:22 | Weblog

この時期の雪国にしては暖かい快晴♪

そこでバイクで仕事場へ行き、帰りはガソリン満タンにする予定です。またしても値上がり確実だし、タンクに空きがあると冬場はサビが心配ということです。まあ、それにしても帰りは寒さが身にしみそう……。

といことで、本日は急に聴きたくなった、この人のアルバムを――

Along Came John / “Big” John Patton (Blue Note)

オルガン奏者の第一人者と言えばジミー・スミスと決まっていますが、ブルーノートではもうひとり、良い仕事をしたのがジョン・パットンでしょう。

特にグラント・グリーン&ベン・ディクソンと組んだリズム隊は、毒々しいまでのグルーヴを発散させ、1962~1964年あたりのブルーノートを、ある意味で代表しています。例えばルー・ドナルドソン(as) の傑作盤「ナチュラルソウル」での粘っこくて痛快な雰囲気は、このリズム隊の活躍が大きなポイントだったと思います。

そして、このアルバムは、その3人組をメインに2本のテナーサックスが彩を添えた真っ黒な仕上がりで、もちろん根底にはR&Bの熱い奔流が流れています。

録音は1963年4月5日、メンバーはジョン・パットン(org)、グラント・グリーン(g)、ベン・ディクソン(ds)、フレッド・ジャクソン(ts)、ハロルド・ヴィック(ts) という、実はグラント・グリーン以外は全員がニューオリンズ系R&B歌手=ロイド・プライスのバックバンドメンバーでしたから、暗黙の了解による意志の疎通も見事で、モダンジャズとは一味違う黒いグルーヴがお約束♪ コテコテのズンドコビートが楽しい限りです――

A-1 The Silver Meter
 いきなり「Petter Gunn」みたいなリズムパターンとホーンの響き、そしてズンドコのビートがたまりませんねぇ~~♪ 粘っこいリフを作り出すギターとオルガン、タンバリンみたいな打楽器のスパイスも琴線に触れまくりです。
 テナーサックスのアドリブはフレッド・ジャクソンでしょうか? 凝ったフレーズを排除してストレートな黒っぽさを表現していますが、続くグラント・グリーンのギターが、これまた強烈です。あの、執拗に同じフレーズを繰り返す「針飛びフレーズ」が、これでもかと楽しめるんですねぇ♪
 またジョン・パットンのオルガンも粘っこくて分かり易い展開が、これまた最高! ベースパターンの毒々しさも特筆すべきでしょう。あぁ、このイナタイ雰囲気!
 最終パートで痺れるような感覚のテナーサックスが出るところは、ニューオリンズ系R&Bの真髄を再現しているのでした。

A-2 I'll Never Be Free
 あぁ、これはスローな歌物R&Bの世界です。というか2本のテナーサックスがつけるハーモニーからして、黒人コーラスグループの雰囲気になっているんですねぇ~♪
 ジョン・パットンのオルガンは泣きのメロディ展開を大切にした優れものですし、ここぞっ、で盛り上げていくベン・ディクソンのドラミングにもグッと惹きつけられます。
 グビグビっときてヒェ~~~~、と泣いていくソウルオルガンの醍醐味が、ここにあります。

A-3 Spiffy Diffy
 これまたグイノリのシャッフルビートがイナタイです! それをバックにしたグラント・グリーンのギターが、オトボケのテーマメロディからソウルフルなアドリブに入っていくところも、ジワジワっと泣けてきます。「間」の取り方が絶品!
 もちろんジョン・パットンのオルガンは「お約束」をきっちりと聞かせてくれますし、ベン・ディクソン&グラント・グリーンとのコラボレーションも素晴らしいかぎりです。
 テナーサックスのアドリブはハロルド・ヴィックでしょうか? 途中からフレッド・ジャクソンに代わっているようにも感じますが、そんなことはどーでもいい! というのが、この演奏の印象で、つまりバンド全体のグルーヴを素直に楽しんで正解じゃないでしょうか。

B-1 A Long Came John
 これまた楽しすぎるゴスペル&カントリーな演奏です。なにしろめベン・ディクソンのドラミングがシンプルでディープ、さらにオルガンのベースパターンがオトボケのドンチャン節ですから♪
 そしてグラント・グリーンのアドリブが魅力いっぱいのバカノリです! 全くゴキゲンですねぇ~~~♪
 そしてテナーサックスのアドリブはフレッド・ジャクソンでしょうか、シブイ泣きじゃくりが憎めません。
 肝心のジョン・パットンは、自作ということもあって、曲のツボを押えた快演ですが、とにかく粘っこいリズムパターンを出し続けるところが、たまりません。

B-2 Gee Gee
 ちょっと「Birks Works」そっくりなテーマメロディにベン・ディクソンのゴスペルドラムがジャスとミートした演奏で、早いテンポの4ビートがシャッフル系になっていくあたりが、侮れません。
 ジョン・パットンのオルガンもヒーヒーと泣きまくりですし、テナーサックスのアドリブは先発がフレッド・ジャクソンでしょうか? シブイ泣きが実に良い雰囲気ですが、二番手のハロルド・ヴィックはソフトな音色に音符過多なフレーズという、不思議系なスタイルが魅力です。
 そしてグラント・グリーンが、これまた絶好調! スピートがついた「針飛びフレーズ」に加えて絶妙のチョーキング、アタックの強いピッキング、さらにブルース魂が溢れるアドリブ構成が流石だと思います。
 またジョン・パットンを要にしたリズム隊の纏まりも天下一品! これでノレなければ、楽しくありませんよ。

B-3 Pig Foots
 またまたニューオリンズ系R&B丸出しの演奏♪ 作者のベン・ディクソンが自然体で敲きまくるズンドコビートが、まず最高です。ちなみに「A-1」と「A-3」も、このドラマーが書いた曲なんですねぇ~♪ ほんと、素敵です。
 もちろんジョン・パットンのオルガンもグビグビと蠢くベースパターンとブルースでしか和めないアドリブの真髄を披露しています。
 テナーサックスのアドリブは先発がハロルド・ヴィック、二番手がフレッド・ジャクソンかと思いますが、両人ともジョン・コルトレーン風のフレーズを入れた熱演ながら、やはり後者はR&Bテナーサックスの隠し技をかなり披露していますので、これは聴いてのお楽しみ♪
 ところで、ここにグラント・グリーンは居るの?

ということで、なんと正統派の4ビートがほとんど出ない演奏ばかり! これもリアルなブルーノートだと思います。

ですから1970年代までのジャズ喫茶では完全無視状態……。ジャズマスコミでも取上げられることは、ほとんど無かったと思われますので、オリジナルのモノラル盤だって、今となっては愕くほどの安値で買えました。

現在はCD化もされていますから、2人のテナーサックス奏者の個性も、ずっと分かりやすいかもしれませんが、まずはバンド全体のグルーヴ、そしてリズム隊のネバネバして弾けるノリを体感して欲しいと思います。

虜になったら逆戻りは出来ませんよ♪

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ベイシー+クインシー=最高!

2007-11-27 16:44:08 | Weblog

隣の町に熟女バンドがいるというので、昨夜はスケベ心を出して練習を見学してきました♪

おぉ、かなり上手いんですねぇ~。予定されているイベントでは共演することになりますが、またまた下心をミエミエにして、ジョイントも提案しておきました、ふっふっふっ♪

ということで、本日は――

Basie One More Time / Count Basie (Rorlette)

カウント・ベイシーのオーケストラは何時の時代の演奏もゴキゲンですが、私が特に好きなのは、1950年代からの所謂モダンベイシー期です。

フレディ・グリーンのリズムギターを要にした強靭なリズムセクションに、一騎当千のブラス&リード陣、さらに優れたアレンジャーを起用した当時のバンドは、名盤をどっさり残していますが、本日の1枚はクインシー・ジョーンズが全篇に作編曲を担当した必殺の出来栄え♪

録音は1958年、メンバーはジャケットに記載が無いので、あくまでも推定ですが、カウント・ベイシー(p) 以下、ジョー・ニューマン(tp)、サド・ジョーンズ(tp)、ソニー・コーン(tp)、スヌーキー・ヤング(tp)、ヘンリー・コーカー(tb)、ベニー・パウエル(tb)、アル・グレイ(tb)、マーシャル・ロイヤル(as)、フランク・ウェス(as,fl)、フランク・フォスター(ts,fl)、ビリー・ミッチェル(ts)、チャーリー・フォークス(bs)、フレディ・グリーン(g)、エディ・ジョーンズ(b)、ソニー・ペイン(ds) が主力と思われます――

A-1 For Lena And Lennie
 いきなりスローで芳醇なバンドアンサンブルが、たっぷりと楽しめます。あぁ、このふくよかな響きに浸っていると、ジャズを好きで良かった♪ と思わざるをえません。
 曲は有名な歌手のレナ・ホーン夫妻に捧げられたジャジーなメロディが素晴らしく、アドリブパートの中心はジョー・ニューマンが魅惑のミュートトランペット♪ また、こういうテンポでのフレディ・グリーンのリズムギターも、たまりませんねぇ~♪

A-2 Rat Race
 一転してリズム隊がリードする、ベイシー楽団が十八番のグルーヴが満喫出来るアップテンポの名演です。
 クインシー・ジョーンズのアレンジはファジーな魅力というか、アドリブパートとバンドアンサンブルが自然体で融合していて、作り物という感じがしません。
 あぁ、それにしてもリズム隊の物凄さ! フレディ・グリーンは天才です!

A-3 Quince
 これまたミディアムテンポのグルーヴィな名曲・名演! フランク・ウェスのフルートも冴えわたりですが、ジョー・ニューマンのミュートトランペットも味わい深いところです。
 全篇に漂うリラックスしたブルースフィーリングは、素晴らしい限りだと思います。思わず指パッチンの世界♪

A-4 Meet B.B.
 R&Bやロックンロール感覚も入れたクインシー・ジョーンズの作編曲が最高で、しかもベイシーバンドの持ち味を極限まで発揮させた名演になっています。
 彩り豊かなバンドアンサンブル、フランク・ウェスのフルートやヘンリー・コーカーのトロンボーンによるアドリブも素晴らしく、もちろんフレディ・グリーンのリズムギターも痛快な響きなんですねぇ~~~♪
 ジョー・ニューマンとサド・ジョーンズのミュートトランペット対決も楽しいところでしょう。

A-5 The Big Walk
 如何にもカウント・ベイシーらしい、図太いスイング感が楽しい演奏です。ベイシー親分のブルースピアノとフレディ・グリーンの鉄壁リズムギターがある限り、バンドはどこまでもグルーヴして止みません。、

B-1 A Square At The Roundtable
 豪快にブッ飛ばすアップテンポの熱演で、相変わらずフレディ・グリーンのギターが心地良く、バンドアンサンブルもジャズの楽しさに満ちています。
 テナーサックスのアドリブは、多分ビリー・ミッチェルでしょうか? するとアルトサックスのソロはフランク・ウェス?

B-2 I Need To Be Bee'd With
 これもブルースですが、スローミディアムのテンポをきっちりとスイングさせていくベイシーバンドの本領が楽しめます。
 トロンボーンのアドリブはアル・グレイ♪ オトボケと言うよりはユーモラスな雰囲気が、実に和みます。王道路線のホーンアンサンブルは、クインシー・ジョーンズが分かっている証でしょうねぇ。

B-3 Jessica's Day
 クインシー・ジョーンズの愛娘に捧げた、これも楽しい名曲ですが、フランク・ウェスのフルートが、やはり素晴らしいと思います。

B-4 The Midnight Sun Never Sets / 真夜中の太陽は沈まず
 クインシー・ジョーンズの作品中では有名な名曲ですから、ここでの名演も保証付きです。スローで豊かな響きのバンドアンサンブルに彩られ、マーシャル・ロイヤルの甘いアルトサックスが、たっぷりと歌ってくれるのでした。

B-5 Muttnik
 オーラスは、またまたグルーヴィな演奏が存分に楽しめます。かなりレイドバックした雰囲気とはいえ、メリハリの効いたアンサンブルが見事で、特にサックスセクションの充実ぶりは驚異的でしょう。
 アドリブパートではジョー・ニューマンのミュートトランペットが最高ですし、アル・グレイのトロンボーンにも和みます。

ということで、特に凝ったことはしていないのに、心底グルーヴィなリズム隊の凄さは怖ろしいばかりで、もちろんフレディ・グリーンの天才性に乾杯!

それがベイシーバンドの魅力と底力でしょうし、またそれを完全に活かしきったクインシー・ジョーンズのアレンジとプロデュース能力は、やはり素晴らしいと思います。

ガイド本には紹介されていることは少ないかもしれませんが、全篇が捨て曲無しの充実盤♪ カウント・ベイシー入門用としても最適かもしれません。

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あの頃のジャズ喫茶モード

2007-11-26 18:03:24 | Weblog

昨日の大相撲も締まらない結末でしたが、本日の仕事も朝からブッ弛んだミスが多く……。

そこで昼飯時には仕事場でありながら、久々に大音量で、こんなアルバムを鳴らしてしまいました――

Out Front / Booker Little (Candid)

ブッカー・リトルは天才肌のトランペッターですが、けっこう好き嫌いが分かれるんじゃないでしょうか?

それはマイナー、というよりもネクラな節回しによるところが大きいと思われます。しかし、そういうところが1970年代までのジャズ喫茶では、大いにもてはやされた魅力でした。

残念ながら、ブッカー・リトルは1961年に23歳で夭逝していますが、そんな悲壮感もあって、残されたアルバムは全てがジャズ喫茶の人気盤になっています。

さて、このアルバムは人生最後の年に吹き込まれた意欲的な作品で、録音は1961年3&4月、メンバーはブッカー・リトル(tp)、ジュリアン・プリースター(tb)、エリック・ドルフィ(as,fl,bcl)、ドン・フリードマン(p)、マックス・ローチ(ds,per,vib)、そして3月のセッションではアート・デイビス(b)、4月のセッションではロン・カーター(b) が参加しています。しかも全曲がブッカー・リトルのオリジナル――

A-1 We Speak (1961年3月17日録音)
 悪い予感に満たされつつも、勢いと熱気が漂う素晴らしいテーマ、そしてテンションの高いアドリブで貫かれた名演です。途中でスローにテンポを落とした後、グイノリでアドリブに突入するという仕掛けも憎めません。
 ブッカー・リトル十八番のネクラ節を盛り立てるリズム隊では、ティンパニーまでも駆使するマックス・ローチが流石の存在感ですし、盟友のエリック・ドルフィが「馬の嘶き」で鮮やかに飛翔しています。

A-2 Strength And Sanity (1961年 4月4日録音)
 ドン・フリードマンの意味深なイントロから不安感に満ちたテーマメロディが流れてきた瞬間、どんよりと心が温もってしまいます。う~ん、このあたりは如何にも1970年代前半のジャズ喫茶モードなんですねぇ。
 演奏はアレンジされた部分が多く、バンド全体のアンサンブルの中で、ブッカー・リトルが何となくアドリブっぽい事をやるという展開ですが、ここでもマックス・ローチが絶妙のサポート♪
 ちなみにブッカー・リトルはマックス・ローチのバンドに雇われて注目された経緯がありますし、マックス・ローチにしてみれば、可愛い弟子のセッションに華を添える以上の働きも当然かと思います。

A-3 Quiet, Please (1961年3月17日録音)
 ゆったりしたテンポから少しずつビートが強くなり、グイノリの演奏に発展して行く強烈さが、たまりません。
 つまりはテンポのアップ&ダウンによる緊張感を狙ったのでしょうが、ここまで見事だと一概に「あざとい」とは言えません。ブッカー・リトルのネクラな情熱やマイナーな感性が、マックス・ローチ以下の恐いリズム隊に触発されて激してしまうあたりのジャズっぽさが、実に良いと思います。
 またドン・ブリードマンは、ご存知、エバンス派のピアニストですが、本家よりも「らしい」演奏を披露♪ またジュリアン・プリースターのモゴモゴしたトロンボーンも味わい深いところです。
 そしてクライマックスで飛び出すエリック・ドルフィーのエキセントリックなアルトサックスが、ジャズ喫茶全盛期の思い出を呼び覚ますのでした。

B-1 Moods In Free Time (1961年4月4日録音)
 複雑怪奇なテーマメロディは、ワルツや変形ロックビートが入り混じったリズムゆえに、全く和めません。あぁ、この不安感! マックス・ローチのドラミングは怪談の効果音のような……。
 しかし、そんな中でもブッカー・リトルは、せつない音色でネクラなフレーズを積み重ね、聴いているうちに心がしめつけられるような……。そしてエリック・ドルフィさえも、擬似フリーというか、お化け屋敷の泣き虫小僧のような……。
 背後で蠢くバンドのハーモニーも??? なんですが、全体で強引に押し切っていくパワーが凄いのでしょうか……。

B-2 Man Of Words (1961年 4月4日録音)
 これまたスローで陰鬱、哀しいメロディが印象的! 正直、これなんかマイルス・デイビスの世界と通じるものがあると思うのですが、派手なフレーズを吹いても、どこか沈殿していくブッカー・リトルの個性は唯一無二と痛感させられるのでした。

B-3 Hazy Hues (1961年4月4日録音)
 エリック・ドルフィのフルートが絶妙のスパイスとなったテーマメロディはゆったりと始まり、途中からビシバシとキメが入ったグイノリ演奏へと変化が楽しいところ!
 否、「楽しい」というよりも、気分が良いという感じです。
 その要はマックス・ローチの変幻自在というドラミングでしょうし、ブッカー・リトルのアドリブは、かなり考え抜かれている感じでしょうか。
 ですからエリック・ドルフィの破天荒なアルトサックスさえも、どこかバンドアンサンブルを意識し過ぎたような……。

B-4 A New Day (1961年3月17日録音)
 これもエリック・ドルフィのフルートが効いたテーマの演奏が気持ち良く響きます。そしてネクラ節に撤するブッカー・リトルの潔さ! ポリリズムで強いビートを付けるマックス・ローチは、長めのドラムソロも披露していますが、聞いていて飽きないんですねぇ~♪
 それと幻想的なピアノソロを聴かせるドン・フリードマンが、やっぱり良いです。

ということで、決して自宅で聴いて楽しい作品ではありません。しかしジャズ喫茶で聴くと、これほどジャストミートするアルバムも無いほどです。

このあたりは昭和のジャズ喫茶の雰囲気を知っていないと、イマイチ馴染めないかもしれませんですね。それゆえに時たま、自宅でも大音量で鳴らしてしまうのですが……。

ちなみにブッカー・リトルとエリック・ドルフィーは、このセッションの後に正式にバンドを組んで、あの「5スポット」での名演ライブを残すのでした。

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なんて素敵なソニー・クラーク♪

2007-11-25 16:27:31 | Weblog

今日は暖かな休日でしたねぇ~♪ 昨日の騒動も治まり、早めに赴任地に戻って、これからバンドの練習に行くという、かなり贅沢をしてしまうのです。

で、車の中で聴いていたのが、この復刻CDでした――

Bennie Green Swings The Blues (Enrica / Blue Moon)

ソニー・クラークをオリジナル盤で集めて一番の難関が、このアルバムじゃないでしょうか?

もちろん我国の他にも再発はされているんですが、どうも音質にイマイチ納得が出来ないのは、私だけでしょうか?

と思い悩んで十数年……。ひょんな事から中古で入手してみたCDが、かなり満足度のあるブツでした。

肝心の内容は、黒くて楽しいモダンジャズをやらせては天下一品のトロンボーン奏者=ベニー・グリーンの快演盤♪ 録音は1959年、メンバーはベニー・グリーン(tb)、ジミー・フォレスト(ts)、ソニー・クラーク(p)、ジョージ・タッカー(b)、ポール・ガスマン(ds) という、思わずニンマリの面々です――

01 Been Walkin'
 まずソニー・クラークの粘っこいタッチが堪能できるイントロだけで、大満足の演奏でしょう♪ 続くトロンボーン&テナーサックスによる豊かな響きのテーマ合奏、それに絡んでいくソニー・クラーク♪ と、ここまで聴いただけで、このアルバムは間違い無い! と納得するのがハードバップのファンだと思います。
 もちろんアドリブパートの本編も最高! ファンキーで真っ黒なソロの連発にはモダンジャズ黄金期の魅力が満載されています。
 ソニー・クラーク最高!

02 Blue Mambo
 これまた躍動的なソニー・クラークのイントロに導かれて始る楽しい演奏です。タイトルの「マンボ」の部分はテーマのところだけで、それも擬似スタイルですから、アドリブパートは忽ち激烈な4ビート! まずはジミー・フォレストが力演です。
 ところが続くソニー・クラークのパートになると、再びマンボのリズムになって♪♪~♪ しかもベーニー・グリーンが出る瞬間には4ビートに逆戻りし、さらにジミー・フォレストのリフが絡んできますから、グッと熱く盛り上がります。
 おまけに最終パートではソニー・クラークが真正4ビートの名演まで聞かせてくれるんですねぇ~~~♪ 3分ちょっとの演奏ですが、中身は濃過ぎます!

03 Love At Last
 ソニー・クラークが、またしても魅惑のイントロをつけるスローな演奏で、ベニー・グリーンとジミー・フォレストも完全なるキャバレーモードですから、シビレます♪
 う~ん、ジミー・フォレストの太いサブトーンが、実に良いですねぇ~♪ そこはかとないソニー・クラークの泣き節も味わい深いと思います。

04 Penthouse Blues
 あぁ、ソニー・クラーク、最高! と痛感させられるアドリブ気味のイントロから、ベニー・グリーンの自然体なブロー、さらに熱っぽいジミー・フォレストと続く快演は、このアルバムを通してのパターンではありますが、これぞモダンジャズの黄金律です。
 ソニー・クラークは本当に絶好調で、アドリブソロはもちろんのこと、バッキングも素晴らしいかぎり♪

05 Hop, Skip And Jump
 これまた粘っこいソニー・クラークが、もう、たまりません♪ ちょっと重たいビートを出してくるベース&ドラムスとのコンビネーションも絶妙ですし、ホーンの背後で好き放題に煌くアドリブ伴奏も魅力がいっぱい♪
 もちろんフロントの2人も快演なんですが、やはりソニー・クラークが一番目立ってしまうのでした。

06 A Bun Dance
 ちょっと新しい響きが入ったハードバップなんですが、王道路線は外していません。スピードのついた演奏は痛快ですし、ベニー・グリーンのダーティなオトボケやジミー・フォレストの分かり易いアドリブは快楽的♪ ジャズは決して難しい音楽ではなく、カッコ良いと理解されるはずです。
 ちょっとジャズクルセーダーズっぽい感じです。

07 Pennies From Heaven
 和みの有名スタンダード曲なんですが、こんな演奏にまで粘っこい味を付けてしまうのが、ソニー・クラークのイントロです。
 テーマメロディのアレンジもホンワカと黒っぽく、ブリブリ吹いてヒェ~と泣くジミー・フォレストのプロ意識やホノボノとしたベニー・グリーンには安心感があります。
 ソニー・クラークも短いながら、流石の閃きを聞かせてくれます。

08 Change Up Blues
 オーラスは急速テンポのハードバップブルース! いきなりアドリブの応酬で始る演奏では、やはりソニー・クラークが素晴らしいと思います。
 う~ん、なんとなくJATPみたいなジャムセッションになるとはいえ、やはりこういうスタイルこそがメンバーの個性に合っているんでしょうねぇ~♪ 当に水を得た魚のようなソニー・クラークは絶好調で、十八番のフレーズを弾きまくりです。
 ただし途中でテープ編集疑惑あり、早めのフェードアウトがあったりして、つまり演奏が短くされてしまったのが残念です……。

ということで、多分「01」~「04」までがアナログ盤のA面収録かと思いますが、なにしろオリジナル盤を見たことがないので、確証がありません。

もし、そうだとすれば、個人的には前半=A面が好きということになりますが、とにかく全曲で最高のソニー・クラークが楽しめるのは間違いの無いところ!

もちろんベニー・グリーンやジミー・フォレストも本領発揮の大熱演ですから、決してオリジナル盤偏重主義者では無い私でも、ピカピカのブツに出会ったら、全てを投げ打つかもしれません。

それほどに魅力があるアルバムだと、ご理解願えれば幸いです。あぁ、CDで聴ける現在の幸せをかみしめて♪

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安堵して怠惰

2007-11-24 15:36:20 | Weblog

昨日は夕方、楽しみにしていた某イベント、ひし美ゆり子様と押井守監督のトークショウですが、そこへ出かけようとしていたら緊急の電話が!

なんと父が出かけていた宴会で倒れたという急報でした。

そこで病院へ駆けつけてみると、入っていないとの事で……!!!? スッタモンダのあげくに分かったのは、どうやらタライ回しになったらしい!!

幸いにも、なんとか収容された病院が近くと分かって、ホッとするやら、怒りが湧き出てくるような……。まあ、肝心の容態が、軽かったのは不幸中の幸いとはいえ、なんだかなぁ~。

とりあえず一晩は入院、先ほど帰宅出来ましたけれど……。

ということで、安堵と諦めがミックスされた気分で聴いたのが――

Lush Life / Lou Donaldson (Blue Note)

1960年代後半のブルーノートが得意満面で作っていた大編成シリーズの1枚ですが、確か発売は1980年代に入ってから、我国優先だったと思います。もちろんアルバムタイトルも「Sweet Slumber」とされ、ジャケットも別物でキングレコードからの発掘盤扱いだったと記憶しています。

録音は1967年1月20日、メンバーはルー・ドナルドソン(as) 以下、フレディ・ハバード(tp)、ガーネット・ブラウン(tb)、ジェリー・ドジィオン(as,fl)、ウェイン・ショーター(ts)、ペッパー・アダムス(bs)、マッコイ・タイナー(p)、ロン・カーター(b)、アル・ヘイウッド(ds)、デューク・ピアソン(p,arr)  という凄い猛者が揃いました。そして実はこのアルバムは、しばらくブルーノートを離れていたルー・ドナルドソンの、再契約後の復帰作として企画されたようです。――

A-1 Sweet Slumber
A-2 You've Changed
A-3 The Good Life
A-4 Stardust
B-1 What Will I Tell My Heart
B-2 It Might As Well Be Spring
B-3 Sweet And Lovely

主役のルー・ドナルドソンは正統派4ビートからソウル&ロック系のジャズまで、融通がききすぎるほどの名手であり、またアレンジを手掛けたのがデューク・ピアソンとあっては、手慣れた雰囲気に陥るのも、ぬるま湯の快楽として許せる範囲でしょう。

演目では甘い歌謡ブルースのタイトル曲「Sweet Slumber」がダントツの出来栄えで、ルー・ドナルドソンの艶っぽいアルトサックスが絶妙ですし、ウェイン・ショーターの生硬なアドリブ、フレディ・ハバードの勘違いした溌剌さも憎めません。

また有名なシャンソン「The Good Life」も、ゆったりした演奏で感傷的な気分に、どっぷりと浸れます。ジェリー・ドジィオンのフルートが素敵なアクセント♪ デューク・ピアソンのアレンジは流石ですねぇ~♪

肝心のルー・ドナルドソンは「Stardust」や「What Will I Tell My Heart」でのフェイク、そして「Sweet And Lovely」におけるソウルフルな吹きっぷりの良さに本領を発揮していますが、全体的には自重気味……。

ただしそれゆえに重厚なデューク・ピアソンのアレンジ、安定感のあるリズム隊のグルーヴが、意想外の良さとして楽しめます。

決して熱いアルバムではありませんが、今日の私のように倦怠した安堵感に包まれている時には至福の1枚♪ ある種のムードアルバムとして作られたのならば、それも良しとすべきかも……。

ちなみに私有は日本盤より後になって発売された米国盤で、ジャケットも見てのとおりの美女物♪ 如何にも1960年代末のブルーノート的快楽盤だと思います。

そしてルー・ドナルドソンは、続くセッションで、あの「アリゲーター・ブーガルー」を作ってしまうのでした。

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コテコテ名曲集

2007-11-23 16:47:47 | Weblog

昨日の停電は雪で倒れた樹木が送電線を切ってしまったらしいです。そしてバンド練習が中止になったので、実家に戻りました。

しかし何となく疎んじられているような……。トホホ……。

ということで、本日は――

Slammin' & Jammin' / Charles Earland (Savnt)

誰が言ったか、所謂「コテコテ」系のメンツが大集合! おまけに演目が、全くのソレばかりですから、ジャケットも気合が入ったアルバムです。ちなみに発売は1998年頃でしたので、もちろんCDしか無いと思うのですが、これなんかアナログ盤でも欲しい雰囲気が横溢しています。

録音は1997年5月5日という子供の日! メンバーはチャールズ・アーランド(org)、カルロス・ガーネット(ts)、メルヴィン・スパークス(g)、Eric Sealls(el-b)、バーナード・パーディ(ds)、Gary Fritz(per) ですから、名前だけでヒクヒクしてしまいます――

01 Honky Tonk
 ビル・ドゲットが1956年8月にチャートの2位まで送り込んだ、元祖オルガンインストヒット曲のカバー♪ ここでの演奏は、メルヴィン・スパークスのギターを要にオリジナルのイナタイ雰囲気を大切にしながら、キメるところは現代感覚という楽しさが満喫出来ます。
 カルロス・ガーネットは1970年代前半ではバリバリの一線で活躍したモード系のテナーサックス奏者でしたが、何時しか消息不明となり、ここではテキサステナーのスタイルで見事に復活したというところでしょうか……。

02 Sugar
 ご存知、スタンリー・タレンタイン(ts) がオリジナルという哀愁のファンキー曲が、ここではちょっと早いテンポの4ビートで演奏されます。意外に軽やかなバーナード・パーディのドラミングが印象的!
 そしてアドリブパートでは、これも軽い雰囲気のメルヴィン・スパークスのギターが快調ですし、チャールズ・アーランドのオルガンは独特の浮遊感が嬉しいモード節♪ ここではエレキベースが抜けていますから、力感のある左手&足のベースウォーキングも楽しめます。

03 Mercy Mercy
 おお、次はキャノンボール・アダレイの大ヒット曲ですよっ♪ ここまでやると、もはやある種のハコバン状態ではあるんですが、憎めません。
 肝心の演奏はオリジナルのキモだったネバリ&もっさり感を排除し、エレキベースがビンビンのアクセントを付けたゴリゴリの雰囲気になっていますから、好き嫌いが別れるかもしれません。
 メルヴィン・スパークスがリードするテーマメロディから、ヒィヒィと泣いていくチャールズ・アーランドのオルガンアドリブ、さらにフックが効いたテーマメロディのリピート♪ 腰が浮きます。
 アドリブパートにおける脂っこさも良い感じのギターに絡んでくるオルガンと打楽器の執拗さも、個人的にはツボです。

04 When Johnny Comes Marching Home / ジョニーが凱旋する時
 あぁぁぁぁ~、今度はジミー・スミスの十八番に果敢な挑戦!
 イントロから炸裂するバーナード・パーディのセカンドライン系のマーチングドラムからチャールズ・アーランドの浮遊していくオルガンが、最高の気持ち良さです。
 そしてアドリブパートに入っては、痛快な4ビートでメルヴィン・スパークスが大熱演! ブッ飛ばしすぎてギスギスしている部分もあるんですが、止まらないスピード感は流石だと思います。
 するとチャールズ・アーランドも直線的なツッコミという得意技で対抗し、演奏はガンガン盛り上がっていくのでした。
 バーナード・パーディの凄さにも驚愕させられます。

05 Organyk Groove
 コンガがチャカポコと冴えわたる楽しい4ビート曲で、作者のカルロス・ガーネットがメインとなった演奏です。しかし実際に良いのはチャールス・アーランドのオルガンアドリブやリズム隊の快適なグルーヴでしょう。
 とは言え、ジョン・コルトレーン風の音符過多のスタイルを取り戻して熱演するカルロス・ガーネットには、胸を熱くする私なのでした。

06 Let The Music Play
 おぉ、これぞ待ってました! 16ビートの大ファンキー大会です♪
 メルヴィン・スパークスのリズムギターも気持ち良く、バンドアンサンブルのキメとかイナタイ雰囲気のサックスあたりは、ちょっとフィリンピンバンドみたいでもありますが、演奏が進むにつれて熱していくバンドのグルーヴは最高です。
 バーナード・パーディのヘヴィで軽いドラミングも素晴らしく、亜空間を彷徨うチャールズ・アーランドのオルガンやノリまくったメルヴィン・スパークスのギターソロ、さらには我が道を行くカルロス・ガーネットの開き直った熱演! 全くのファンキー天国が現出します。

07 Blues For Seaila
 一転して4ビートジャズの世界に逆戻りというか、痛快なグルーヴが持続した名演です。このスピード感は、たまりませんねっ!
 チャールズ・アーランドも正統派のフレーズを積み重ねていきますし、メルヴィン・スパークスはアドリブソロだけでなく、バッキングのコード弾きも快感です。

08 Mr. Magic
 オーラスはグローヴァー・ワシントンが十八番にしている往年のクロスオーバーヒット曲を、このメンツが演奏してくれるんですから、悶絶する他はありません。
 グッと重いビートが素晴らしく、カルロス・ガーネットが思わせぶりの強いテーマ吹奏♪ ちょっと微熱の気分ですが、後を引き継ぐメルヴィン・スパークスが、またまた快演! 正直、ちょっと飽き易いフレーズばかりなのですが、結果オーライでしょう。
 するとカロルス・ガーネットが魂の熱演というか、本領発揮の激烈吹奏です。この人は1970年代前半にはフュージョンにも色気を出していたわけですが、当時はイマイチ煮え切らなかったものに、ここで再挑戦した潔さに乾杯!
 またチャールズ・アーランドもシンプルで執拗な独自のオルガンスタイルを披露しています。

ということで、実は「コテコテ」よりも意外にジャズっぽい演奏が多いという肩透かしがあります。しかしそれが鮮やかなので♪♪~♪

特にメルヴィン・スパークスのギターは流れ過ぎるほどに流麗で、ちょっと飽きがくる感じなんですが……。またカロルス・ガーネットの久々の一線復帰も嬉しいところです。

個人的にはバーナード・パーディの活躍がイマイチ物足りないのが残念とはいえ、演目の良さもあって、ちょいと手放せない魅力に浸っています。

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半端しゃない強風

2007-11-22 16:59:07 | Weblog
今日は未明から物凄い強風のために断続的に停電しています。

そのため、何も聴けず状態でした……。

まあ、こういう日もあるということで、本日の1枚は休載致します。

ご理解下さい。
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A面ド頭の罠

2007-11-21 16:33:29 | Weblog

朝から雪まじりの悪天候、横殴りの強雨が続きました。

いよいよ、冬か……。昨年は、ほとんど雪がなかったからなぁ。

ということで、本日は密かな愛聴盤を――

West Coast Blues ! / Harold Land (Jazzland)

ジャズは個人芸の集合体ですから、リーダーよりは共演者の魅力に惹きつけられて聴くことが可能な音楽です。

この作品は私にとって、特にそうした1枚で、お目当てはトランペッターのジョー・ゴードンでした。それにウェス・モンゴメリー! おまけにリズム隊がキャノンボール・アダレイのバンドレギュラーときては、ワクワクするしかありません♪

ジョー・ゴードンについては、ホレス・シルバーの「シルバーズ・ブルー(Epic)」を聴いて忽ち好きになり、リズム隊の素晴らしさは言わずもがなでしょう。

肝心のリーダー、ハロルド・ランドはブラウン&ローチのクインテットでレギュラーを務めた黒人テナーサックス奏者とはいえ、このセッションメンバーの中では、ちょいと地味な存在……。

と不遜な事を思っていたら、これがとんでもない思い違いでした! 初めて聴いた瞬間から、全く自分の若気の至りが狂おしいまでに恥ずかしく……。

録音は1960年5月17&18日、メンバーをあらためて記せば、ジョー・ゴードン(tp)、ハロルド・ランド(ts)、ウェス・モンゴメリー(g)、バリー・ハリス(p)、サム・ジョーンズ(b)、ルイス・ヘイズ(ds) という、たまらない個性派ばかりです――

A-1 Ursula (1960年5月18日録音)
 ハロルド・ランドのオリジナル曲で、ちょっとミステリアスな煮え切らないテーマメロディが、???です……。う~ん、失礼ながらこんな曲をド頭に持ってくるなんて、と先が思いやられた記憶が今も鮮明です。
 実際、アドリブも全然、面白くないんですねぇ……。ただ、そこにあるスペースを埋めていくだけという雰囲気が濃厚です。こう思ってしまうのは、私だけなんでしょうかねぇ? リズム隊は一応、グイノリなんですが……。

A-2 Klactoveedsedstene (1960年5月18日録音)
 ところが一転して、痛快至極なハードバップが始ります。
 曲はチャーリー・パーカー(as) のエキセントリックなオリジナルですが、ソウルフルで強いビートを出してくるリズム隊の存在ゆえに、烈しいアップテンポのアドリブ合戦が楽しめます。
 まずハロルド・ランドが豪快にブッ飛ばせば、ジョー・ゴードンはビバップ魂を発揮したツッコミで応えます。そしてウェス・モンゴメリーが登場すると、その場は完全にハードバップの修羅場と化すのですから、たまりません。燃えるシングルトーンの早弾きはピッキングも力強く、とても親指だけとは思えません!
 また繰り返しますが、リズム隊が素晴らしく、ブンブンブリブリのサム・ジョーンズ、ビシバシにキメまくりのルイス・ヘイズに煽られて、バリー・ハリスが会心のビバップ節を炸裂させるのです!
 さらにクライマックスのドラムス対ホーンの対決は、どこまでも熱く燃え上がるのですが、あぁ、こうなってみると、前曲の煮え切らなさが計算ずくのプログラムだったのかっ!? と勘ぐってしまうのでした。

A-3 Don't Explain (1960年5月18日録音)
 ビリー・ホリディ(vo) が十八番にしていたブルーなムードのバラード曲ですから、ハロルド・ランドも気合が入っているようです。強いビートのリズム隊を従えて変奏していくテーマメロディの味わい深さ♪ それはジョー・ゴードンのミュートによって、一層、煮詰められていきます。
 もちろんアドリブパートにおけるハロルド・ランドの歌いっぷりは男気に満ちています。というか、ちょっと歌心が欠如しているようにも聞こえますが、ハードボイルドということで……。

B-1 West Coast Blues (1960年5月18日録音)
 ウェス・モンゴメリーが書いた有名なワルツ曲を、ここでは朴訥な真っ向勝負で演じる潔さ! アドリブ先発はもちろんウェス・モンゴメリーが、素晴らしい「お手本」を示します。
 するとハロルド・ランドがハードバップの王道を行くテナーサックを聞かせてくれますし、ジョー・ゴードンは個性的な節回しとノリのコントラストを披露するのです。
 バリー・ハリスとサム・ジョーンズも落ち着いた好演ですし、バンドが一丸となった快適なグルーヴは、何度聴いても飽きません。

B-2 Terrain (1960年5月17日録音)
 ちょっと変わった、セロニアス・モンク調の曲ですが、実はハロルド・ランドのオリジナル! 微妙なファンキー風味が魅力です。
 そしてアドリブパートでは、ジョン・コルトレーンからの影響を滲ませるフレーズを聞かせるハロルド・ランドが新機軸! これも時代ということでしょうか……。
 しかしバリー・ハリスは「我が道を行く」快演で、こんな曲にも歌心を発揮するのですから、本当に素晴らしいと思います。それに影響されたかのようなジョー・ゴードンのアドリブも流石の輝きながら、途中で有名曲のメロディを引用する茶目っ気も♪
 またウェス・モンゴメリーが、当然、凄いです。リズム隊のテンションの高さを逆手に取ったようなブレイクとか、流れるようなフレーズ展開には、グッときます。
 サム・ジョーンズの短いベースソロが終わってみると、その場は完全にファンキーと化しているのでした。

B-3 Compulsion (1960年5月17日録音)
 オーラスは、これもハロルド・ランドのオリジナル曲ですが、ウェス・モンゴメリーが最高のイントロをつけたアップテンポのハードバップ! 屈折気味のテーマには微妙に新しい感覚が入っているのですが、憎めません。
 そしてアドリブパートでは、まずハロルド・ランドがゴリゴリに吹きまくり、ウェス・モンゴメリーとジョー・ゴードンが凄い快演で続きます。ガンガン迫ってくるバリー・ハリスも、良いですねぇ~~♪
 最後まで揺るぎ無いリズム隊の勢いも痛快の一言です。

ということで、聞き終わってみれば、ド頭の煮え切らなさは何だったんだぁ~~~!? という気分ですが、個人的には相等な愛聴盤になっています。

特にA面、1~2曲目の落差が聞きたくて、というのが本音かもしれません、ふっふっふっ♪ 結局、罠に落ちたということでしょうねぇ。

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