あ~ぁ、昨日からまたまた大雪・大吹雪です……。もういい加減、カンベンしてほしい! 毎日・毎朝、除雪ばっかりで……。
こういう時は温か味のあるアルバムを――
■The Autumn Stone / Small Faces (Immediate)
1960年代後半のイギリスで最高のアイドルバンドと言えば、スモール・フェイシズです。
メンバーは子役として活躍していたスティーヴ・マリオット(g,vo) を中心に、イアン・マクレガン(key)、ロニー・レイン(b)、ケニー・ジョーンズ(ds) の4人組で、バンド名は彼らが皆、小柄だったことに由来しておりますが、そのファッションセンスと演奏技量は抜群でした。もちろん1965年にデビューして忽ち、当時のロンドンのお洒落な若者達、つまりモッズ族に支持され、人気を獲得しています。
しかしそこに目をつけた興行師やレコード会社から過酷な巡業や不利益な契約をとられ、バンドは四苦八苦の日々……。おまけに毎週のように少女雑誌のグラビアを飾る彼等のステージには、ミーハーな女の子達がつめかけ、それは嬉しいことでしたが、メンバーは実力を正当に評価されないと悩むこともあったと言われています。
実際、彼等が作り出していた楽曲はかなりハイブラウなものを含んでいたのは、紛れも無い事実でした。
そして1969年にスティーヴ・マリオットが脱退して、バンドは人気絶頂のまま、活動休止となります。
このアルバムはその直後に発売されたもので、未発表曲やシングル盤オンリーの曲、ライブ音源等々がレーベルを越えて収録された、所謂アンソロジー盤ですが、これが曲の流れや彼等の活動変遷を一気に体験出来る優れものです。
その内容は「Here Comes the Nice」「All or Nohting」「Lazy Sunday」「I Can't Make It」「Afterglow of Your Love」「Sha La La La Lee」「The Universal」「My Mind's Eye」「Tin Soldier」「Just Passing」「Itchycoo Park」「Hey Girl」「Watcha Gonna Do About It」「Wham Bam Thank You Mam」がシングル盤で発売されたものですが、ステレオバージョンだったり、モノラルでありながらミックスが微妙に違うもの、あるいは編集されているもの等々、このアルバムでしか聴く事の出来ない貴重なお宝になっています。
また「Rollin' Over」「If I Were a Carpenter」「Every Littie Bit Hurts」の3曲はライブ音源で、まさに黄色い歓声に包まれた彼等のステージの様子がわかります。ちなみにこれは1968年5月の録音で、まだまだ同ステージからの未発表曲があり、それがいろいろなアルバムに分散しているのは残念です。
そして「The Autumn Stone」「Collibosher」「Red Balloon」「Call It Something Nice」「Wide Eyed Girl on the Wall」が当時、未発表だった音源で、これが素晴らしさの極致♪ 残念ながら頓挫したものの、彼等の次なるステップが間違いなく前進であったことの証明になっています。
という楽曲が、このアルバムでは非常に滑らかに、印象的に編纂されています。特にA面ド頭から続く内向的なソウル・ミュージックの「Here Comes the Nice」、シンミリ&ホノボノのアコースティック曲「The Autumn Stone」、刺激的なインスト「Collibosher」、妙なグルーヴが楽しい「All or Nohting」の4連発には完全脱帽です。中でも「The Autumn Stone」は本当に素敵な名曲ですよ!
またこのバンドはデビュー当時は黒っぽいR&B志向でしたが、いつしか独特のメロディ感覚とチャカしたようなノリ、それでいてグルーヴィな演奏、さらにクールで熱いボーカルという稀代の個性派だと思います。
その意味でデビュー曲からラストシングル、代表曲&未発表曲をそろえたこのアルバムは、彼等の真髄を味わえると思います。しかも現在、これがリマスターした上に紙ジャケット仕様で発売されているので、これから彼等を聴いてみようと思われる皆様は、ぜひともこれをゲットして下さい。もちろん私も本日購入し、聴きながらこれを書いているわけです♪