OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

3歩進んで2歩さがる

2011-02-28 16:49:07 | Weblog

とほほ……。

国税と監査に苦しめられていますので、本日の1枚は休載です。

う~ん、ここんとこ、完全に2日に1枚ペースなのが悔しい!

こういう気持ちが未だ湧き上がるところに免じて、ご容赦お願い致します。

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イエスの超絶ライブ盤

2011-02-27 15:24:55 | Rock Jazz

Yes Songs / Yes (Atlantic)

洗練された様式美!

そうしたイエスの音楽性を支えているのは、メンバー各人の超絶的なテクニックであることは言うまでもありませんが、しかしそれでもスタジオで作られた作品群を聴けば、そこには音源編集やオーバーダビングの多用が明白でした。

しかも最初の黄金期とされる1970年代前半にやっていた楽曲は、従来の曲メロ~間奏アドリブ~曲メロという構成ではなく、最初から忽せに出来ない骨組みがあり、それを複雑なアンサンブルや基本のメロディで彩る方法論の中にアドリブパートをも組み込むという、実に恐ろしい目論見が追及されていたのですから、これを観客を前にしての実演ライプで、レコードどおりに再現するのは、それを発展させる事も含めて、現実的に不可能だろうというのがリアルタイムの思い込みでした。

ところが実際は、それが出来ていたんですねぇ~、イエスには!

そして1973年に世に出た本日ご紹介のアルバムこそ、その最初の証明となった驚愕のアナログ盤3枚組LPです。

 A-1 Opening (excerpts from Firebird Suite) / 「火の鳥」から抜粋
 A-2 Siberian Khatru
 A-3 Heart Of The Sunrise / 燃える朝やけ
 B-1 Perpetual Change
 B-2 And You And I / 同志
 C-1 Mood For A Day
 C-2 Excerpts From“The Six Wives Of Henry Ⅷ”/ ヘンリー八世の6人の妻
 C-3 Roundabout
 D-1 I've Seen All Good People
 D-2 Long Distance Runaround ~ The Fish
 E-1 Close To The Edge / 危機
 F-1 Your's Is No Disgrace
 F-2 Starship Trooper

既に述べたように、これはイエスの最初の黄金期とされる1971~1972年という、あまりにも短かった時代の記録ですから、上記演目もその間に制作発表された「サード・アルバム」「こわれもの」「危機」という3枚のアルバムから採られています。

しかし既に演奏メンバーは流動し、ジョン・アンダーソン(vo,per)、スティーヴ・ハウ(g,vo)、リック・ウェィクマン(key)、クリス・スクワイア(b,vo) に変動は無いものの、ビル・ブラッフォード(ds,per,vib) がアルバム「危機」の制作セッション完成直後に脱退してしまったので、この1972年に録音された音源の大部分にはアラン・ホワイト(ds,per) が急遽参加!

それでも全く揺るぎない演奏をやってしまうところに、イエスの真骨頂が痛感出来るという、これぞっ、逆もまた真なり! もちろん、それは既にセッションミュージシャンとして場数を踏んでいたアラン・ホワイトの物凄い力量があっての成果ですし、実際、イエスから突然の参加要請があって後、僅かの間に複雑怪奇(?)なバンドのライプ演目を覚えたというは奇蹟だと思いますが、そこに妥協を許さないグループの厳しい姿勢こそが、このアルハムを発表出来たポイントでしょう。

ちなみにそんな経緯もあり、ここでは「Perpetual Change」と「Long Distance Runaround ~ The Fish」の2曲でビル・ブラッフォード在籍時の音源も聴けるのが興味深いところです。

そこで肝心の内容ですが、まず初っ端がストラヴィンスキーの組曲「火の鳥」からの抜粋という事で、これはテープによるオーケストラ演奏の最終部分にバンドとしてのイエスがライプで加わり、そのまんま「Siberian Khatru」へ突入するという仕掛なんですが、観客からの期待のざわめきやイエスのメンバーが登場した時の拍手歓声等々が雰囲気満点に録られているのは結果オーライ♪♪~♪

ですから後は怒涛の超絶演奏が展開され、特に「Perpetual Change」は、何時の間にか天空に飛翔して燃え上がるスティーヴ・ハウのギターソロ、極めて自然発生的に炸裂するビル・ブラッフォードのドラムソロも含め、まさに圧巻!

しかし後任のアラン・ホワイトの奮闘も素晴らしく、そのタイトなドラミングはジャストでドライヴするクリス・スクワイアのベースワークと相性も良く、完璧さを求められるアンサンブルが必須というイエスの音楽性を決して壊していません。

またライプならではの楽しみというか、「ヘンリー八世の6人の妻」はリック・ウェイクマンの人気ソロアルバムからのサービスであり、そこから引き続いて始まる「RoundAbout」のヒット性感度の高さも侮れません。

こういうファンの気持を大切にするところが、プログレという頭でっかちに陥り易いジャンルで絶大な人気を集めたイエスの信条じゃないでしょうか。

ですからギリギリの緊張感が音楽的な快楽へと変換されていく後半は、例えばサイケおやじがリアルタイムで諦めの境地に追い込まれたスタジオバージョンの「危機」にしても、このライプバージョンでは、意外と素直に楽しめるんですよねぇ~♪

もちろん既に述べたように、レコードと生演奏の差異は無いに等しいのですから、これこそ不思議なイエスの魔法!?!

と同時に、スタジオバージョンとは似て非なるライプ用のアレンジや自然に置かれたアドリブパートも実は相当にあって、このあたりはスタジオバージョンに馴染んでいればこその楽しみが、ちゃ~んと仕込まれているんですねぇ~♪

そして全篇をリードし、纏め上げるジョン・アンダーソンのボーカルとバックコーラスの存在感の強さも流石だと思います。

あぁ、イエスは恐るべし!!

まさにプログレとイエスの蜜月を堪能出来るベスト盤でもあり、プログレというジャンルがリアルタイムでどのように成立し、受け入れられていたかを検証出来る最高のドキュメントでもあるわけですが、ちょうどこの3枚組アルバムが発売される直前の昭和48(1973)年春、イエスは待望の初来日を果たし、絶賛の嵐を巻き起こしています。

そして追い撃ちの如く登場した大作ライプ盤によって、イエス黄金期の伝説は確立されたのですが……。

個人的には、もっと暴れていると思ったクリス・スクワイアのペースが、そのショウケース的な即興パートの「The Fish」も含めて、以外にも基本に忠実というか、堅実さと調整能力の高さを示しているのは予想外でした。

その意味で安定感抜群のドラミングで忽ちイエスに馴染んだアラン・ホワイトとのコンビは、スリルとサスペンスが不足している気も致しますが、既に煮詰まりが表面化しつつあったプログレが、新たな段階へ進む方向性を提示していると感じます。

ご存じのとおり、イエスは次作アルバムで2枚組ながら4曲しか入っていない「海洋地形学の物語」を発表し、さらにはフュージョンど真ん中の人気盤「リレイヤー」を出すという進化を遂げた後、ついには些か長いお休みに入ったのですからっ!

結局、イエスの凄いところは、充実して完成度の高いスタジオ録音の作品群を出しつつ、活発なライプ活動も並行してやっていた事に尽きるのではないでしょうか。

つまりライプの現場で再現出来ないような演奏は作らないという主義が徹底しています。

そして、そう思って過去のアルバムを再鑑賞するという楽しみも、このライプ盤は与えてくれたのでした。

願わくば所謂アーカイヴ音源として、この第一期黄金時代のライプが蔵出しされますようにっ! これは全てのイエスファン、共通の祈りだと思います。

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不調……

2011-02-26 16:57:18 | Weblog

す、すみません……。

何度やっても、ストックがアップ出来ないんですよ……。

アップした瞬間、パッと消えるという感じです。

こっちが悪いのか、それとも……。

原因不明&追及のため、本日は休載致します、

こういう、短い文章なら、OKなんですけどね……。

失礼致しました。

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フェイセズの最初の一歩は再出発

2011-02-25 15:03:41 | Rock

First Step / Small Faces (Warner Bros.)

生粋のロンドンR&B系ビートバンドだったスモール・フェイセスフェイセズに転身したのは、リーダー格のスティーヴ・マリオットが同バンドを抜けた1969年春以降とされるのが定説です。

そのメンバーはロニー・レイン(vo,b,g)、イアン・マクレガン(key)、ケニー・ジョーンズ(ds) というオリジナルの3人に加え、ジェフ・ベック・グループから流れて来たロン・ウッド(g,b,vo) とロッド・スチュアー(vo) という5人組になりましたが、現実はスモール・フェイセスというアイドルバンドの名前が未だ重く、また後には看板スタアとなるロッド・スチュアートがブレイク前という事あり、そのスタートは決して派手なものではなかったと思います。

加えて、これは我国での状況なんですが、新たにフェイセズとして契約したワーナーの発売権が、ちょうど東芝からワーナーパイオニアに移った時期であったことで、まずは日本独自で出された心機一転のシングル盤もプロモーションが行き届かなかったのでしょう。全くの不発になっています。

そこで本日ご紹介のアルバムは、そうした仕切り直しの最初の1枚で、実は新生フェイセズの作品でありながら、ジャケットにあるバンド名はスモール・フェイセス!?!

ここが非常に微妙で不思議なポイントなんですが、まずスモール・フェイセスはイギリスや欧州各地では人気が高かった反面、アメリカではブロモーションツアーさえやった事がなく、それでいてアメリカのレコード会社と契約しての最初のアルバムがスモール・フェイセス名義なんですねぇ……。しかも本国イギリスでは、同じ内容のLPがフェイセズ名義での発売となったのですから、完全に???です。

それが1970年3月の事で、掲載した私有盤はアメリカプレスゆえに、スモール・フェィセス名義ですが、実はリアルタイムの日本でも事情は同じでした。

このあたりの経緯を時系列的に追ってみると――

 1969年3月:スモール・フェイセスからスティーヴ・マリオット脱退
 1969年5月:ロン・ウッドが新生フェィセズのリハーサルに参加
 1969年6月:ロッド・スチュアートがマーキュリーとソロ契約
 1969年7月:ジェフ・ペック・グループ解散
 1969年9月:ロッド&ロン、フェィセズに正式加入
 1969年秋:ロッド・スチュアートのファーストソロアルバム発売
 1969年末:新生フェィセズが本格的に活動開始
 1970年3月;アルバム「ファースト・ステップ」発売

――という大まかな流れがあるわけですが、スモール・フェイセスのオリジナルメンバー達にしろ、ロッド・スチュートやロン・ウッドにしろ、アメリカに狙いをつけた戦略は既にあったようで、米国ワーナーやマーキュリーとの契約も、そのひとつの表れでしょう。

ですから、バンドとしての最初のアルバムでは、当然ながらアメリカの最新流行が演じられて然るべきだったのです。

 A-1 Wicked Messenger
 A-2 Devotion
 A-3 Shake, Shudder
 A-4 Stone
 A-5 Around The Plynth
 B-1 Flying
 B-2 Pineapple And The Monkey
 B-3 Nobody Knows
 B-4 Looking Out The Window
 B-5 Three Button Hand Me Down

まずはA面ド頭の「Wicked Messenger」が所謂ダウン・トウ・アースなオルガンに導かれたスワンプロックの決定版! 原曲はボブ・ディランのオリジナルなんですが、ロッド・スチュアートが十八番のソウルフルなボーカルが冴えわたり、ギュンギュン唸るギターと蠢くベース、そしてヘヴィなドラムスがビシバシ炸裂する、如何にもダイナミックな歌と演奏は素晴らしいかぎり♪♪~♪

そして一転、次なる「Devotion」はロニー・レインが書いた畢生のスローパラードで、ここでも厳かなゴスペルオルガンとR&Bフィーリングが滲むギターが素晴らしい彩りを演じ、もちろんロッド・スチュアートがじっくりと歌ってくれますが、中盤では作者自らのジェントルなボーカルも味わい深く、これまたビシッと重いドラムスが最高のアクセントになっています。

あぁ、もう、この二連発で、このアルバムは間違いない!

そう思った次の瞬間、グッとエグ味の強いハードロックとして演じられるのが「Shake, Shudder」で、ここでもロッド&ロニーのツインボーカルとスライドギターの対決が熱いですねぇ~♪ こういうスタイルこそが、真にフェィセズならではの魅力じゃないでしょうか。

それはロン・ウッドとロニー・レインが共作した哀愁のパラード「Nobody Knows」でも良い味出しまくりとして楽しめますが、やはりアルバム全篇を通して聴けば、ロッド・スチュアートの存在感は圧倒的で、スライドギターや強靭なドラムスと激しく対峙する「Around The Plynth」でのド迫力や「Flying」でのプログレ風味のアレンジと演奏をブリティッシュロック王道路線へと軌道修正させていくボーカルの力量は、まさにスタア歌手として証明だと思います。

一方、オリジナルメンバーとして、スモール・フェイセスからの意地を貫き通すが如きロニー・レインの主張も個性的で、所謂アンプラグドで演じられる自らのオリジナル「Stone」は英国トラッドの温故知新な解釈とでも申しましょうか、そのなかなかの味わいは深いですよ♪♪~♪ ちなみにバンジョーはロッド・スチュアート、ハーモニカはロン・ウッドが演じているのも興味津々でしょうねぇ~♪ このあたりはストーンズの超名盤「ベガーズ・バンケット」収録曲にも通じるフィーリングですが、そう思えば曲タイトルも面白いところですし、前述した「Around The Plynth」だって、ロン・ウッド加入後のストーンズが演じたとしても、違和感の無い仕上がりになるんじゃないでしょうか。

そこでバンド全体の方針を探る手がかりとなるのが、インスト曲の「Pineapple And The Monkey」と「Looking Out The Window」で、特に前者は微妙なメロウグルーヴ感が滲んだ名演だと思いますが、後者に関しては些かカラオケ的な印象が勿体無いところ……。

しかし、お待たせしましたっ!

オーラスの「Three Button Hand Me Down」は、これぞっ、フェィセズが薬籠中の乱痴気騒ぎが存分に楽しめる痛快ロケンロール! グッとタメの効いたイントロから思わず腰が浮くリズムとビート! それが例のロッド節を盛り上げ、また歌が演奏をグイグイとノセていくという如何にも「らしい」展開は、このバンドだけが持っていた真の魅力でしょうねぇ~~♪ まさにフェィセズの代表的名演にして、個人的にもベストカセットを作る時には必ず入れていた傑作トラックです。

ということで、これほどの充実作にしても、実はリアルタイムでは決して売れたとは言い難く、皆様がご存じのとおり、ロッド・スチュアートが傑作ソロアルバム「ガソリン・アレイ」と大ヒットシングル「Maggie May」でブレイクした後に再注目されたのが本当のところでした。

それは実際、我国でも東芝レコードから「スモール・フェイセス」名義で1970年に発売されながら、ワーナーパイオニアへと権利が移動した再発時には、当然ながらロッド・スチュアートが大スタアになっていたとあって、「ロッド・スチュアート・ウイズ・フェイセズ」の作品にされていました。

もちろんサイケおやじも、このアルバムを中古でゲットしたのはリアルタイムではなく、ロッド&フェイセズの双方が人気を確立した1973年の事です。

結論から言えば、それゆえに当時はグイノリR&Rが持ち味とされていたフェイセズが、なんとスワンプにトラッド、さらにはR&Bとニューソウルにさえ意図的に接近していたという再デビュー期の実相に触れ、ちょいとした違和感を覚えた記憶も鮮明です。

しかし、それがまた別角度で心地良いのも確かであって、今では愛聴盤のひとつとして手放せません。

本来、スモール・フェイセスが気になる存在だったサイケおやじは、ここでますます過去に彷徨う迷い道の中でフェィセズ人脈に夢中になるのでした。

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旅先ですったもんだ

2011-02-24 16:54:17 | Weblog

いろいろとありまして……。

未だ旅の空……。

本日の1枚は休載、ご理解願います。

明早朝、帰ります。

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西海岸のハードな2人

2011-02-23 17:20:01 | Jazz

Hear Ye! / The Red Mitchell - Harold Land Quintet (Atlantic)

ハロルド・ランドという黒人テナーサックス奏者は決して超一流では無いと思いますが、所謂B級グルメ大会ともなれば、最高得票のひとりじゃないでしょうか。

スバリ、その本筋は西海岸ハード!

ご存じのとおり、マックス・ローチ(ds) とクリフォード・ブラウン(tp) がLAで旗揚げした史上最強のハードバップクインテットで1954年からレギュラーの座にあり、リーダーの2人が東海岸に拠点を戻した後は地元に留まりつつも、例えばカーティス・カウンス(b) のバンド等々でその主張を受け継いだ活動を展開し、見事なまでのジャズ魂を貫き通しています。

本日ご紹介のアルバムも、まさにそうした中の1枚で、制作録音されたのは1961年でしたから、時代はモードが最先端の所謂新主流派が台頭し始めた時期でありながら、ここで演じられたのは直球勝負の熱血ハードバップ!

しかしセッションを残したグループの実態は、これまた西海岸をメインに凄い実績を既に残していた白人ベース奏者のレッド・ミッチェルとの双頭リーダーバンドでしたから、一筋縄ではいきません。

それはファンキーな感覚と如何にもスマートなセンスを同居させんとした試みかもしれず、また明るいスピード感が実に新鮮な、文字通りのモダンなジャズになっています。

録音は既に述べたように1961年10月14日&12月13日、メンバーはレッド・ミッチェル(b)、ハロルド・ランド(ts)、カーメル・ジョーンズ(tp)、フランク・ストラッゼリ(p)、レオン・ペッティーズ(ds) という正統派クインテットです。

A-1 Triplin' A While
 力強く演奏されるハロルド・ランドのオリジナル曲は、その最初のパートがテナーサックスとベースのユニゾンというのが、如何にもこのバンドを象徴しています。
 そして次いで正統派黒人ジャズがど真ん中のテーマ合奏、さらにガッツ溢れるハロルド・ランドの硬質なプローが流石に素晴らしく、短いセカンドリフのアクセントを経て登場するのが当時期待の新鋭だったカーメル・ジョーンズで、そのクリフォード・ブラウンに憧れきったスタイルが侮れません。
 いゃ~、実際、とことん天才を研究したんでしょうねぇ。もちろん輝きは及びませんが、ここまでやれれば大したもんだと思います。
 その意味でハロルド・ランドと組んだ狙いは外れるはずもなく、さらにフランク・ストラッゼリのピアノが疑似ウイントン・ケリー!?!
 このあたりを素直に喜びへ変換させることが出来れば、アルバム全篇は必ずや楽しめると思います。
 そしてレッド・ミッチェルの自意識過剰のベースワーク、堅実なサポートが好ましいレオン・ペッティーズのドラミングもニクイばかりですよ。 

A-2 Rosie's Spirit
 最初っから全力疾走のアップテンポで演奏されるのはレッド・ミッチェルのオリジナル曲ということで、作者本人のペースも大ハッスル! ツッコミ鋭い伴奏から過激スレスレのアドリブソロが冴えわたりですよっ!
 もちろんカーメル・ジョーンズとハロルド・ランドも手抜き一切無しの姿勢が潔く、フランク・ストラッゼリがウイントン・ケリーの夢よもう一度をやっていますが、個人的にはレオン・ペッティーズのシャープなドラミングが最高に好ましく思います。
 またバンドアンサンブルが如何にも西海岸派らしい仕掛けの中で、ハードな心意気を貫くメンバー各人の熱血も凄いの一言です。

A-3 Hear Ye!
 アルバムタイトル曲はミディアムテンポのワルツビートで演じられる所為でしょうか、些か混濁した雰囲気が隠しようもありません。それは逆に言えば、これこそが新しい時代へ向かうモダンジャズの最前線だったように思います。
 しかしパロルド・ランドにしろ、カーメル・ジョーンズにしろ、ストレートに分かり易アドリブを心がけているようですから、オリジナルの作者たるレッド・ミッチェルが些か独り善がりの浮きあがりも……。
 結論から言えば、リズム隊が提供する新しい表現は今日でも少しばかりですが、しっくりこないフィーリングかもしれません。
 ただし演奏の密度は各人のアドリブパートも含めて、濃いですよ。

B-1 Somara
 カーメル・ジョーンズが書いた勿体ぶったハードバップ曲なんですが、これがアドリブ主体に聴き進めば、なかなかに痛快至極です。
 特に先発のハロルド・ランドからレッド・ミッチェルに受け渡されていく得意技の完全披露は、この時代のアドリブがコード分解とモードの折衷に腐心していたという事情を解き明かすものかもしれません。
 しかし流石に作者のカーメル・ジョーンズは何も考えていないんでしょうねぇ~。感性の閃きを素直にトランペットからの音に託して吹きまくり♪♪~♪ 続くフランク・ストラッゼリも楽しいピアノを聞かせてくれますが、この演奏のハイライトは、なんといっても最終バートのバンドアンサンブルにおけるスリルとサスペンスですよっ!
 もう、そこを堪能するためだけに、それ以前のアドリブがあるといって過言ではないと思うほどです。

B-2 Catacomb
 これまた思わせぶりなテーマはハロルド・ランドのオリジナルとクレジットされているのが納得出来ないほど、ミョウチキリンな曲だと思います。しかしアドリブパートに入ってからは、作者本来の力強い魅力がバンド全体に波及していく有意変転が良い感じ♪♪~♪
 というよりも、もうひとりのリーダーであるレッド・ミッチェルの感性が強く出ているのかもしれません。なにしろアルコ弾きによるアドリブからは、当時のブルーノートあたりで作られていた新主流派作品とは似て非なる先進性が滲み出していますし、フランク・ストラッゼリの伴奏が少~しばかりセロニアス・モンクになっているのも意味深でしょう。
 ただしそれで難解かと問われれば、答えは否です。
 モダンジャズのひとつの魅力である、カッコ良い「わからなさ」がなんとも素敵なんですねぇ~♪
 特にカーメル・ジョーンズのアドリブを聴いていると、もしもクリフォード・ブラウンが生きていたら……、なぁ~んて妄想させられてしまう演奏が、ここにあるように思います。

B-3 Pari Passu
 オーラスはフランク・ストラッゼリが書いた猛烈なアップテンポのハードバップ!
 なんとアドリブの先発を演じる作者本人が縺れてしまうほどなんですが、流石にレッド・ミッチェルのベースワークは乱れることなく、刺戟的なオカズの調達に奔走するレオン・ペッティーズのドラミングを余裕でリードしています。
 もちろんアドリブでも強烈なツッコミをやらかしますし、このトラックに限っては、この白人ベース奏者が主役じゃないでしょうか。
 ただし、それだってバンドメンバー全員の意思の統一があってこそっ!

ということで、名盤扱いのアルバムではないと思いますが、聴くほどに熱くなる傑作だと思います。

冒頭で述べたように、自分としてはハロルド・ランドを聴きたくて、これを入手したわけですし、そこにある参加メンバー的な面白さに、さらなる興味を抱いたことも確かです。

そして実際に聴いた時、その妥協しないハードな勢いにシビれましたですねぇ~♪

なにしろ白人のレッド・ミッチェルにしても、1950年代からハンプトン・ホーズのトリオでは真性ハードバップを演じていたわけですし、その明瞭にして鋭いベースプレイは明らかに時代を先駆けていたのですから、このセッションが軟弱で終わるはずもありません。

またカーメル・ジョーンズとフランク・ストラッゼリは共に地方からLAに出て来たばかりだったそうで、如何にその実力が高く評価されていたかは、ここに充分記録されていると思います。

なによりも当時は無名の新人が、リーダーのふたりと互角に対峙したというところに、モダンジャズの全盛期が証明された気さえするのです。

アルバム全体として、親しみ易い曲は特にありませんが、そのハードで一本気な演奏は、必ずやジャズ者の心を捕らえて放さない魅力に溢れていますよ。

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ギル・エバンスの覚悟の名盤

2011-02-22 16:28:55 | Jazz

Out Of The Cool / Gil Evance Orchestra (Impuls!)

ギル・エバンスは非常に個性的で革新的な作編曲者という評価を否定致しませんが、しかしジャズ者にとっては、少しばかり困った存在じゃないでしょうか?

何故ならば、一応はオーケストラを率いてのリーダー作を残していながら、そこにはデューク・エリントンのような美メロも無く、またカウント・ベイシーのようなストレートなジャズグルーヴも出ず、はたまたクインシー・ジョーンズが提供してくれるカッコ良い大衆性もありません。

しかしギル・エバンスを無視出来ないのは、マイルス・デイビスとの一連のコラポレーション作品がジャズの歴史では決定的な名作と認定され、好き嫌いはあるにしろ、それらはやっぱり説明不可の感動を呼び覚ますのですから、ギル・エバンス本人の天才性が気にならないと言えば、それは嘘でしょう。

そこで勇躍、ギル・エバンス名義のリーダー盤を聴いてみれば、そのほとんどに最初から煮え切らないものを感じてしまうのが、本音かと思いますが、いかがなものでしょうか?

さて、そこで本日ご紹介の1枚は、そんなギル・エバンスのオーケストラ作品としては、比較的聴き易く、また名盤認定作品の最右翼盤として、ガイド本にも紹介されることが多いアルバムです。

制作録音されたのは1960年11&12月、メンバーはギル・エバンス(p,arr) 以下、レイ・クロフォード(g)、ロン・カーター(b)、エルビン・ジョーンズ(ds)、チャーリー・パーシップ(ds.per) のリズム隊をメインにジョニー・コールズ(tp)、フィル・サンケル(tp)、ジミー・ネッパー(tb)、トニー・チュード(tb)、バド・ジョンソン(ts) 等々、当時のギル・エバンスが重宝していたブラス&リードの名手が多数参加しています。

A-1 La Nevada
 ギル・エバンスが十八番の作風というか、なんとなく始まる短いリフメロディの繰り返しが、参加者各人のアドリブと不思議な膨らみが秘められたハーモニーによって彩られていく演奏です。
 しかもギル・エバンス本人が弾く、なにかミョウチキリンでミステリアスなピアノのイントロを打ち消さんとする力強いドラムスと思わせぶりなギター、さらには自在に蠢くベースという流れが加速して行き、ついにグイノリの4ビートが確立された直後、いよいよジョニー・コールズのトランペットが疑似マイルス・デイビスを演じるのですから、う~ん、これは素直に歓喜して良いんでしょうねぇ。
 実際、これは本当にジャズ者の琴線に触れる部分だと思いますし、「マイルスもどき」と決めつければジョニー・コールズには失礼かもしれませんが、それはそれで充分な存在感が認められてしまうのは、如何にもジャズの素晴らしさだと思います。
 そして続くトニー・スチュードのトロンボーンがモードジャズの秘密を解き明かせば、一般的にはモダンスイング系のミュージシャンとされるバド・ジョンソンが、なかなか新しい感覚でテナーサックスを吹きまくるのですから、参加メンバーを知らずに聴いていたら、何の違和感も無いどころか、その真相に触れて仰天させられるのが、これまたジャズの面白さでしょう♪♪~♪
 またエルビン・ジョーンズでしかありえないドラミングも心地良く、ロン・カーターとの相性が新主流派の前夜祭という感じでしょうか。このあたりも、セッション全体が聴き易くなっているポイントだと思います。
 それと要注意なのがレイ・クロフォードのギターで、この人はR&Bからラウンジ系の演奏まで幅広くやってしまう名手のひとりですから、モダンジャズでもハードバップやジャズロック、そしてモード&フリーも俺に任せろっ! ジャズ者にとっての、一番有名なセッションはソニー・クリスの人気盤「クリス・クラフト(Muse)」でしょうが、このアルバムでの存在感も抜群ですよ♪♪~♪
 もちろん、これまでに書き連ねた諸々は、ギル・エバンスならではのアレンジがあってこその輝きであることは、あらためて言うまでもないと思います。

A-2 Where Flamingos Fly
 これは一応、スタンダード曲で、確かギル・エバンスはヘレン・メリルのボーカル作品でアレンジを提供した事もあったと記憶していますが、とにかく幽玄なアレンジが原曲メロディを解体再構築しているようなムードの中、ジミー・ネッパーのトロンホーンがアンニュイなソロを演じるという奥深さが素敵です。
 このあたりは、例によってマイルス・デイビスとの一連の共演セッションでもやってきた事ではありますが、やはり既に確立されたギル・エバンスの手法がクッキリと表現されていて、個人的には大好きな世界です。
 
B-1 Bilbao Song
 これはクルト・ワイルの作曲となっていますが、こうして作られた演奏はギル・エバンス以外の何物でもありません。
 それは静謐な音の世界で蠢くベースソロの「わからなさ」であり、また独得の「色使い」としか言えないホーンアレンジの妙でもあり、聴いているうちにイライラしてくる瞬間さえあるんですが、全ては「ギル・エバンス」という免罪符に直結しているというか……。

B-2 Stratusphunk
 そこで前曲から繋がっているのが、これまた煮え切らない、この演奏です。
 基本的な曲を書いたのは、ギル・エバンスと同列の鬼才として有名なジョージ・ラッセルということで、現代音楽的でもあり、先進的なモダンジャズの変化球というべきかもしれませんが、些かのネタばれとは言え、演奏が進むにつれ、それがブルースであることにハッとさせれますよ。
 ミステリアスなホーンリフを背景にアドリブするレイ・クロフォードのギターはクールであり、その都会的なセンスがギル・エバンスのアレンジにジャストミートの潔さ! さらにジョニー・コールズのトランペットがマイルス・デイビスになっているのは全くの期待どおりですから、たまりません♪♪~♪
 最終的に、何時しか漂っている濃密なモダンジャズのグルーヴに酔わされるはずです。

B-3 Sunken Treasure
 オーラスは再びミステリアスなギル・エバンスのオリジナルですが、不思議な美しさが強く表出した仕上がりは本当に凄い! その一言に尽きます。
 しかもジョニー・コールズが主役とあって、ど~してもリスナーはマイルス&ギルのコラポレーション作品を意識せざるをえないわけですが、失礼ながらマイルス・デイビスのような傲岸不遜の自信を表出させないジョニー・コールズの個性が、この名演トラックの要因だと思います。

ということで、これはジャズ喫茶でも、それなりの人気盤だったんじゃないでしょうか。

また、オーケストラ作品でありながら、必ずしも大音量で聴く必要性もそれほど無いと思われますから、個人のコレクションにも優先された1枚かもしれません。

それは主に低音&木管楽器を操る、アドリブプレイヤー以外のオーケストラ構成メンバー各々の力量をギル・エバンスが信頼しての結果であり、唯一無二の音世界へ虚心坦懐に浸りきる覚悟を要求するものでしょう。

ですから、一般的なジャズとは異なるフィーリングにリスナーの好みが合うか否かが、ギル・エバンスの場合は特に尊重されるのです。

その意味で、このアルバムが名盤扱いになったのは、そのあたりのバランスの良さというか、ちょいと違うものを聴いているという優越感さえも刺戟する目論見がニクイところ!?

流石は名盤という思いを強くしているのでした。

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CN&Yのライブは雰囲気も最高

2011-02-21 16:41:17 | Singer Song Writer

Concert For Jailhous / Crosby, Nash & Young (Vintage Master = bootleg CD)

人生には仕事も含めて、人間関係の良し悪しが大きく関与しています。

と、いきなり偉そうなことを書いてしまったのは、最近のサイケおやじが未だにそうした問題を考えざるをえない局面に立たされているからなんですが、例えば、ここに、この人がいなければなぁ……、という解決策が一番手っ取り早いと思えるようになったら、もう、お終いである事は言うまでもありません。

そうした縮図は、例えば音楽業界だと、1970年代に大きく盛り上がったシンガーソングライターブームの立役者たるクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング=CSN&Yにも顕著でしょう。

ご存じのとおり、あえて自分達の名前を連ねてグループ名にしているほどの個性的な面々の集まりですから、CSN&Yがリアルタイムでは長続きせず、その後も離散集合を繰り返しながら、今日まで存続しているのは、ひとつの学習効果かもしれません。

中でもバッファロー・スプリングフィールド以来の盟友であり、ライバルを超越した宿敵とも言うべきスティーヴン・スティルスとニール・ヤングは、その奇妙な友情が思い余って憎さ百倍なんでしょうか???

とにかく事ある毎に良い仕事をやる反面、ファンにとっては知りたくもない嫌な話もどっさり残すんですから……。

しかし他のふたりのデイヴィッド・クロスピーとグラハム・ナッシュはウマが合うというか、共に素晴らしく個性的なシンガーソングライターにして、ハーモニーボーカルの天才ですから、CSN&Yが活動停止状態の中でも、共演作品を出し続けていたのは嬉しいことでした。

さて、そこで本日ご紹介の1枚はブートではありますが、そんなクロスビー&ナッシュのライプにニール・ヤングが加わった、つまりはCN&Yの音質良好音源♪♪~♪

録音は1972年3月26日、サンフランシスコにあった「ウインターランド」におけるライプで、どうやら刑務所に対する救済が目的のコンサートらしいのですが、特に拘る必要もないでしょう。

 01 Wooden Ships / David Crosby
 02 I Used To Be A King / Graham Nash
 03 Lee Shore / David Crosby
 04 Harvest / Neil Young
 05 Only Love Can Break Your Heart / Neil Young
 06 Southbound Train / Graham Nash & David Crosby
 07 Almost Cut My Hair / David Crosby
 08 Page 43 / David Crosby
 09 And So It Goes / Graham Nash
 10 Immigration Man / Graham Nash & David Crosby
 11 Heart Of Gold / Neil Young
 12 The Needle And The Damage Done / Neil Young
 13 Teach Your Children / Graham Nash
 14 Military Madness / Graham Nash
 15 Chicago / Graham Nash

上記の収録演目は既にお馴染みのものばかり♪♪~♪

それをデイヴィッド・クロスピー(vo,g)、グラハム・ナッシュ(vo,p,g)、ニール・ヤング(vo,g,p) の3人が、所謂アンプラグドのアコースティックセットでやってくれるんですから、それぞれの楽曲の良さに加えて、十八番のハーモニーワークもライプならではの味わいで、たまりません。

しかも本日の「お題」である人間関係と雰囲気の良さは、ここに記録された「音」だけで充分に伝わってくるんですよっ!

ご推察のとおり、ファンには申し訳ないんですが、もしもスティーヴン・スティルスが同じステージに立っていたら、こうはならなかったんじゃ……。そうした思いを打ち消せないのがサイケおやじの本音です。

肝心の歌と演奏は、各々がメインとなった楽曲に共演者がハーモニーで彩りを添えるばかりではなく、時にはツインボーカルならではの掛け合いや熱い伴奏によるコラポレーションが、まさにライプならではのリアルな質感を伴って繰り広げられています。

それは厳しさがジワジワと滲み出すデイヴィッド・クロスピーの傑作曲「Wooden Ships」から始まり、それを受け継いだグラハム・ナッシュの「I Used To Be A King」、さらにそんな緊張と緩和が見事な「Lee Shore」と流れる冒頭3曲で、ツカミはOK♪♪~♪

ですから客席のムードも出来上がったところで登場するニール・ヤングが人気曲「Harvest」と「Only Love Can Break Your Heart」を披露すれば、その場は既に最高潮ですよ。

そして我国歌謡フォークに限りなくパクられまくった「Southbound Train」のソフトな哀愁がトドメの一撃となって、前半が終了という構成です。

しかし中盤はデイヴィッド・クロスピーの毒気が強烈な一人舞台で、そのシリアスな感性が客席にも伝染したのでしょうか、「Almost Cut My Hair」では恒例の自然発生的なコール&レスポンスによる曲の進行がクールで熱いっ! おそらくは変則チューニングのギターワークにはジャズっぽいテンションコードが頻発し、気迫のボーカルにジャストミートしています。

当然ながらMCも内輪ウケが中心のようですが、お客さんの局地的な反応からして、かなりアブナイ話じゃないかと思わせるあたりが、デイヴィッド・クロスピーの真骨頂かもしれません。

ですから続く「Page 43」の静謐な世界から、グラハム・ナッシュがピアノで弾き語る「And So It Goes」の内向きな力強さまで、そこには如何にも1972年らしいムードが濃厚に漂っていますが、このあたりを現代の若い皆様が、どのように感じられるのか、ちょいと気になるところです。

そしていよいよ終盤は怒涛(?)のヒットパレード!

ナッシュ&クロスビーの「Immigration Man」は言わずもがな、ニール・ヤングの「孤独の旅路 / Heart Of Gold」が出た瞬間の客席の熱狂は、そのまんま「The Needle And The Damage Done」と「Teach Your Children」に引き継がれ、グラハム・ナッシュが渾身の「Military Madness」と「Chicago」で大団円を迎えるのですから、なかなか見事な構成だと思います。

実際、1時間5分位の収録時間が、アッという間に聴き終えてしまう感じなんですよっ!

さらに冒頭の話に戻せば、スティーヴン・スティルスの不在がファンにとっては残念な事に違いはなく、しかし、この音源を聴き終えた時には、何故かホッとするのも、また事実じゃないかと思います。

ちなみにCN&Yはデイヴィッド・クロスピーの最初のソロアルバムでド頭を飾っていた輪唱形式の名曲「Music Is Love」を共作したほど相性が良かったのですから、ここでの雰囲気の良さもムペなるかな!

いゃ~、スティーヴン・スティルスのファンには本当に申し訳ない、と再び述べる他はありません。

ただし、やっぱりCSN&Yが揃ってこその魅力は確かにありますよねぇ。そのあたりの物足りなさが、この素晴らしい音源の裏証明というのは、決して贔屓の引き倒しではないと思います。

音質も良好ですから、機会があれば、皆様もお楽しみ下さいませ。

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初買いLPもビートルズ

2011-02-20 16:43:21 | Beatles

Help / The Beatles (Parlophone / 東芝オデオン)


これは少年時代のサイケおやじが初めて買ったビートルズのLPです。

 A-1 Help
 A-2 The Night Before
 A-3 You've Got To Hide Your Love Away / 悲しみはぶっとばせ
 A-4 I Need You
 A-5 Another Girl
 A-6 You're Going To Lose That Girl / 恋のアドバイス
 A-7 Ticket To Ride / 涙の乗車券
 B-1 Act Naturally
 B-2 It's Only Love
 B-3 You Like Me To Much
 B-4 Tell Me What You See
 B-5 I've Just Seen A Face / 夢の人
 B-6 Yesterday
 B-7 Dizzy Miss Lizzy

説明不要、ビートルズが人気絶頂時に出したアルバムで、「涙の乗車券」「Help」「Yesterday」の三大メガヒットが収録された傑作ではありますが、掲載ジャケ写を裏表逆にしてあるのは、日本で発売された昭和40(1965)年当時、レコード屋では実際にそうしてディスプレイしている店が普通だったんですよっ!

このあたりは、加山雄三主演の大ヒット映画「エレキの若大将」の劇中、スミちゃんが働いている楽器店でも、そうなっていましたから、皆様にはご確認していただきたいところです。

もちろん度々述べてきたとおり、当時の我国はベンチャーズが一番人気で、それを猛追していたのがビートルズという真相も、所謂ミーハーという女の子のファンが多かったのはビートルズがアイドルだったからです。

そしてリアルタイムで作られた映画「Help」を文字通りの邦題「4人はアイドル」として公開し、このLPがサントラ盤として売り出された実態も忘れられないところでしょう。

しかし、その内容が単なるR&Rやアイドルポップスを超越していたのは言うまでもありません。

まず先行シングルとなった「涙の乗車券」のヘヴィなギターサウンドは、これが日本で発売されてヒットした昭和40(1965)年の梅雨時において、モノラル放送のラジオでは雑音スレスレの歪みとなっていたほどの衝撃力がありましたし、個人的にはズレたようなコーラスやドタバタしたドラムスが逆に強いビート感を放出しているところに心地良い違和感を覚えていしました。

また今となっては虚無的という言葉で表現出来る、煮え切らない胸キュンメロディも最高ですよねぇ~♪ 最終コーラスの「my baby don't care」のフェードアウトリフレインも潔くない感じで、それが妙に印象的でした。

さらに次なるシングル曲として夏に発売された「Help」が、これまた強烈!

いきなりのシャウト一発! そこからスピードのついたパワーポップな展開の中で、ジョンのリードボーカルを表裏一体で追いかけるポールとジョージのコーラス♪♪~♪ エレキギターの合の手ってぽいキメのアルペジオも好ましく、ビートルズの楽曲の中でも特に上位にランクされる傑作だと思います。

ちなみに前述の映画「4人はアイドル」が日本で封切られたのは確か11月頃だったと記憶していますが、このアルバムが発売されたのは、それに先立つ9月の事で、なんと同時にシングルカット曲として「Dizzy Miss Lizzy」が日本独自で出され、これは黒人R&Bのビートルズ的カパーの決定版でしたから、その刺激的なギターリフや熱いジョンのシャウトがウケまくり♪♪~♪ まさにピカピカの新曲として、個人的にもシビれましたですねぇ~~♪

しかし当時の少年にとって、LPを買うなんていうことは本当に大事業であり、容易なことではありませんでした。そのあたりの事情はサイケおやじと同世代の皆様以外でも、充分に共感していただけるものと思いますが、レコード会社の思惑も同じところにあって、なんと年末までには、このアルバム収録の人気曲が幾つもシングル盤やコンパクト盤にカットされて発売され、もちろんラジオからは流れまくりの大ヒットになっています。

それは10月に出た胸キュンのフォークロック「恋のアドバイス」、そのB面に収められた、ちょいとラテンポップな「Tell Me What You See」が流行っていた11月には「The Night Before」と「Another Girl」のカップリングシングルが出るという勢いです。とりわけ「The Night Before」は、独得のスピード感とビートルズならではのメロディ展開が気持良すぎる隠れ名曲として人気が高かったですねぇ~♪ これは今でも変わりないと思います。

気になる永遠のスタンダード「Yesterday」は、もちろん同じ頃にシングルカットされましたが、驚くなかれ、リアルタイムの我国ではリンゴが歌うC&Wのカパー曲「Act Naturally」のB面扱いだったんですよっ! しかも最初はそんなに爆発的な評判にはなっていなかったと記憶しているのですが……。

まあ、それはそれとして、サイケおやじは当然ながら、それらのシングル盤をリアルタイムでは買っていません。何故ならば、既にLPをゲットする覚悟を決めていましたし、それでなくとも乏しい小遣いの中では、他にもお金の使い道が沢山ありました。

そして幸せだったことに、ビートルズの楽曲は毎日、常にラジオから流れていましたし、従姉からレコードを聴かせてもらう事も出来たのです。

しかし、それでも、このアルバムを買ったのは、「LPを買う」という行為そのものが大人へのステップであり、そうした背伸びが、少なくとも少年時代のサイケおやじには必要だったからに他なりません。

まあ、このあたりは未成年でありながら成人映画館へ入ったり、酒やタバコに手を出したりする事と共通の心理と行動ではありますが、高価なLPを買うためには小遣いの倹約が必須であり、非常な忍耐を要しましたですねぇ。

例えば10円のカップアイスを割り箸で作られた5円のアイスキャンディーにするとか、漫画雑誌は実家の隣にあった町医者の待合室で楽しむとか、もちろん他のレコードもプラモデルも買わず、所謂我慢の子に徹していたのですから、若い頃の苦労はなんとやら!?!

ですから、ついに年末になって、このLPを買えた時の嬉しさは、今でも筆舌に尽くし難いものがあります。

そして何よりも感動したのが、今まではモノラルでしか聴けなかった歌と演奏が、最新音響で作られたリアルステレオミックスで楽しめるという事実でした。実際、それは明瞭にシビれるエレキギターの迫力や当時は良く分からなかった隠し味的なエレピの音色の不思議さ、また力強くて用意周到なボーカル&コーラス、さらに粒選りの楽曲の新鮮さ!

それがLPという長時間メディアであれば、アナログ盤片面毎の流れも実に素晴らしく、最新ロックのA面に、ちょっと静的なB面の対比が提供された最後の最後で炸裂するロック王道の「Dizzy Miss Lizzy」は、本当に痛快至極でした。

ということで、映画の「4人はアイドル」を観たのは翌年になっていたんですが、このアルバムを自分だけのものにした頃のサイケおやじは、純粋なビートルズファンになっていました。

う~ん、我ながら、このあたりのビートルズを聴くと、ウブだったあの頃が懐かしくも面映ゆい気分になるのでした。

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今日は本気でシビれたぜっ!

2011-02-19 17:03:37 | Weblog

久々におやじバンドの練習に顔を出したしたら……。

シビれました!

もちろん感電事故です。

エレキインストをやろうという事になって、バンド仲間が持ち込んだ改造テレキャスターを弾いていたら、突然、ビリビリッ~~!?!

ヒューズが飛ばなかったら、危なかったと思いますねぇ~~!?

そういえばプロのミュージシャンも1970年代までは、そうした事故で他界する者をいましたが、まさか今頃、忘れていたような事があろうとは!?

クワバラ、クワバラ……。

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