松美の言絵(いえ)

私は誤解されるのが好きだ。言い訳する手間が省けるから。

浮世を忘れる、鳥海山の伏流水、「元滝」。

2015-08-06 18:23:35 | 日記・エッセイ・コラム

 鳥海山の1合目に当たる高さにある「元滝」は、滝と言っても沢水が集まって流れ落ちる滝ではない。正真正銘、鳥海山に降った雨水が地面に沁み込んで、そこから湧き出す泉なのだ。雨が少なかったにもかかわらず、そんなことを感じさせない豊富な量の伏流水だ。

 普通、手前の広い駐車場に車を置いて、700mの散歩道を行く。杉林の中に渓流が現れ、眺めながら進むと滝に出る。私たちは、昼飯の場所で会う約束をした関係上、時間を節約して奥まで車を進め、5台ほどしか置けない杉林の間に突っこむ。そこはかつて蜂の住処で、着くなり車に体当たりされて、しばらく外に出られなかった。その覚悟で止めると、意外に静かだった。

 少し進むと、清廉な水が流れるトヨが3本ほど現れる。その冷たい水を飲み、首筋に掛けて涼をとる。林の中に分かれ道があって、右が近道で厳しく、左が楽な回り道とある。迷わず近道を選ぶ。すると滝を目の前にして、切り株を積み重ねたような急な階段が現れた。

 だんだんと涼しくなった割に、元滝にいると、その涼しさが当たり前になる。

 帰り道は楽な方を選び、迂回する。そしたら知らぬ間に渓流沿いの長い道を歩いていた。

 間違えたことに気が付き引き返す。結局相当歩いた。杉林の中にもかかわらず、滝周辺の涼しさが恋しい。

 あそこに居た時は、下界との温度差なんか気にも留めなかった。外が暑いことも忘れていた。

コメント
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