徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

文部科学大臣、あなたもですか

2008-11-18 15:30:00 | 雑感

中学生の娘は、父親をつかまえて言った。
 「お父さん、お父さん」
 「何だ」
 「学校でね、また大臣が漢字を読み間違えたって言う話があってね・・・」
 「ああ」
 「麻生総理大臣は、あんなことでずいぶん有名になってしまったけど・・・」
 「そうだな。情けない話だ」
 「そしたら、今度は文部科学大臣ですって!」
娘は息巻いていた。
 「あの、塩谷か」
 「そうそう、そんな名前の大臣よ」
 「その大臣が、“類まれな”って言うのを、“るいまれな”って言ったという、あの話だろう」
 「うん。それも、文化功労賞の顕彰式とかいう大事な挨拶の場でよ」
 「やっちゃったんだな。しかし、教育行政のトップまで、字が読めないとはね・・・」
 「一体どうなっちゃうのかしらね」
 「全くだ。この国の将来が本当に心配だ」
 「・・・でしょ?」
 「だって、“類まれな”なんて、小学校卒業までに覚えるレベルだそうよ。私だってもちろん知ってる」
 「そうだろうなあ」

それから、娘はさらに続けた。
 「聞いた話では、大臣になったときの会見の席でも、原稿を読み間違えたそうよ」
 「何て・・・?」
 「“卑近な”と言うのを、“ひっきんな”と読んだらしいわ」
 「そんな話、お前学校で聞いてくるのか」
 「だって、こういうこと良く知ってる人がいるの」
 「へえ、そうか。大人顔負けだな」
 「大臣て、頭の良い人がなるんでしょ?」
 「うん、まあ・・・。頭が悪くちゃなれないな」
 「頭は、良いにこしたことはないわね」

そんな娘に、父親は優しく笑いかけると、
 「・・・お前も、絵文字のメールばかりやっていないで、たまには本も読め」
 「読んでます!そういうお父さんこそ、今でも、通勤電車でマンガ雑誌読んでるんでしょ?」
 「まあ、たまにだけどな」
 「あら、そう。あれって、いい大人があまりよく見えないんだなあ」
 「そうかも知れんな」
 「マンガを読んでいけないとは思わないけど、ああいうの私はいやだな」
 「そうか」
父親は、そう言ってうなずいた。

父親は、あらたまって娘に言った。
 「毎日の新聞は、出来るだけ読むことだ。日本人が日本語を読めないなんて、情けない話だからね」
 「分かっているわよ。そんなことあたりまえでしょ。それなのに、総理大臣が新聞を読まないなんてどういうこと?」
 「本当だ。自慢できることではない」
 「ねえ、総理大臣だって、お子様いらっしゃるんでしょう」
 「・・・」
 「今度の騒ぎで、きっと、職場でも肩身が狭い思いをしているはずよ」
 「そうだな」
言いながら、父親は娘の顔をじっと見た。

娘が言った。
 「大臣になる人には、国語のテストをしたらいいのよ」
 「その通りだ」と言って、これには父親も笑った。
 「で・・・、お父さんは、ちゃんと隅から隅まで新聞読んでいるの?」
 「大体だな。読んでいるさ、新聞だって、書物だって」
 「いつ読んでるの?」
 「いつって、人の見ていないところでだって、読書は出来るさ」
 「・・・」
 「そうだ。この間、『源氏物語』を読み終えたばかりだ」
そう言ってしまってから、父親は一瞬しまったというような顔をした。
娘は少し驚いて、父親を見つめて、
 「本当に・・・?」
 「ああ」
 「全部?原文で読んだの?」
 「いやいや・・・」
 「ああ、口語訳ね。で、誰の訳なの?」
 「その・・・」
 「え?どうしたの。誰の訳で読んだの?それにしてもすごいわね。ねえ、誰の訳よ?」
 「いやぁ、その・・・」
 「その・・・?」
 「マンガで読んだんだ」
 「・・・!」