ユーロ圏の首脳会議(28~29日)前にして、ユーロ不安が再燃した。
NY株を始め世界の株価が大幅安になった。
先にヘッジファンドのソロスが「危機解決にはドイツがもっと介入すべきである」とイタリアでの講演で主張した。彼の提案はECBがユーロ圏の国債(イタリア、スペインなど)の購入に踏み切り、その原資としてユーロ共同債を発行することを提案した。
現在のユーロ圏を支えているのは実質的にはドイツだけに、当面はその力を発揮して、もっと迅速に動くことを主張する。今回のユーロ圏の不安で大きな利益を享受しているのはドイツである。ソロスはユーロ圏の崩壊はないと読んでいる。問題は時間を買う政策でなく、迅速にドイツが行動を起こす重要な時期を迎えているとする。きわめて単純明快な提案である。
彼は1992年には英ポンドの売りを仕掛け、イギリスのユーロ圏への参加を阻止した。また1998年のロシア危機の時はIMFを中心に救済策を提案した。
世界の金融危機の節目ではソロスは活発に発言してきた。
今回の提案もだれがみても納得のいく内容であるが、問題はメルケル首相がここでドイツが痛みを全面的に負わされることに反対していることである。
ソロスだけでなく米国も暗にドイツの迅速な行動を促してきたが、これまででは動かなかった。
28日からのユーロ首脳会議の動向はユーロ危機の方向性を読むうえでの大きな節目となりそうである。
世界の株価にも方向性をみるうえでの重要な材料である。