5月13日に政府から「国家公務員給与の一律1割削減」が提案されて以降、公務員連絡会と政府との労使合意に至るまでの間、私自身いろんな想いを抱きながら、「組合員の皆さんの生活防衛」の観点で取り組みを進めてきました。
とはいえ、主体は公務員連絡会・国公連合ということからすれば、全財務独自に何か個別の要求を行うことができず、中央本部としては、徹底した教宣活動(4回)と職場集会(2回)を通じて、実質的に交渉過程に組合員の皆さんに参画いただき、また当初より合意による決着をめざしていたことからも、その間のプロセスについて、可能なかぎり組合員の皆さんに明らかにし、わかりやすくお伝えすることに力を注いでまいりました。
結果だけを見ると、平成26年3月までの間という期間限定ではあるものの、本俸の5~8%、ボーナスの10%がカットされるということは、組合員の皆さんの生活面への影響は極めて大きいものがありますが、すでに全財務委員長が「見解」にも記載しているとおり、私たちにとっては「労使交渉で決着させた」ことの成果(到達点)として、次の点について確認することができると思います。
①当初の一律削減について、俸給部分のみとは言え中堅・若手層に配慮した一定の譲歩を引き出したこと、
②今回の給与削減提案と自律的労使関係制度の確立の同時成立については、政府全体として努力することを確認したこと、
③今回の措置が異例であり再度の引下げは全く考えていないこと、並びに、人勧制度下においても今回の交渉は重要で人勧よりも組合との合意が優先する旨確認されたこと、
④事実上、純減目標を掲げた大掛かりな定員削減を行うことは困難であることを確認し、超過勤務予算の確保について実態に即した支給となるよう必要な検討を行うとされたこと、
⑤退職手当については、明確に反映させないとの回答を引き出したこと など
私自身は、これらとは別に、今回の交渉を通じて多くのもの(特に2点)を私たち自身が得ることができたと思っています。
1つは、「公務員給与はどういう水準であるべきか?」ということについて、私たちだけでなく国民全体で考える契機となったこと、もう1つは、労働組合の存在意義・重要性について再認識することができた、ことです。
前者についてですが、今回の給与削減の提案が行われる前までは、「公務員の給与は民間に比べて高いので2割カットしろ」だとか「数が多いので人数を減らせ」といった論調が多かったように思います。しかし、13日に具体的に提案がされて以降は、Yahoo!ニュースに寄せられるコメントも「どうして公務員ばかりねらい打ちするのか」とか「夜中まで頑張っている人もいるのに可哀想だ」「民間企業を含めた社会全体にとってマイナスの影響だ」といった意見が多く、「もっと削減できるだろ」といった意見は少数だったと思います。
これは、私個人の意見ですが、現実的に国家公務員給与が引き下げられる提案がされたことによって、これまで「他人事」であったものを自分の賃金にも影響しかねない「自分事」として認識した結果ではないかと思いますし、よく使われる「公務員給与の社会的合意」ということにも通じるのではないかと思います。
後者については、先に成果(到達点)を記載しているように、職員の代表である労働組合がなければ、半ば一方的に政治の力で給与削減が強行されていたと思いますし、中堅・若手層に対する一定の譲歩(配慮)といったものも得ることができていなかったと思います。
また、当然のことながら、組合員の皆さんへの情報提供や交渉への意見反映といったことも、職場に労働組合が存在していなければできなかったと思います。
全財務は6月17~18日に、第59回定期大会を開催し、確固たる2011運動方針を代議員の皆さんの熱心な議論によって確立することを予定しています。
組合員の皆さんには来週前半までには議案書をお手元に届けできると思いますので、職場討議を通じた定期大会への実質的な参加をお願いいたします。(Nagano)