ZENZAIMU(全財務公式ブログ)

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守秘義務・・・刑事告発と公務員倫理

2010-11-16 08:10:05 | 日記
前回は中華人民共和国の吐鲁番(トルファン=前漢の時代に車師国の一つ車師前国があり、その王城は交河城(ヤルホト)と言い、シルクロード交易の要所であった)から、ブログにアップしましたが、11月1日、香港経由で無事?帰国しました。

新疆ウィグル自治区は、中国最大の民族問題や昨年の暴動などもあり、不安視する方も多いと思いますが、中華全国総工会の招きで訪問したこともあり、待遇は破格で、ウィグル自治区の党書記なども夜の送別会にご出席いただいたほどでした。

多様な民族が同居していることやウィグル族がイスラム教を信仰していることもあり、ある種、イスラム圏を訪問したと錯覚する光景も見受けられましたが、国際視野を広める観点で有意義な時間を過ごせたと思っています。

さて、尖閣諸島問題で日中関係が一時期より難しい関係にある中で、訪中し帰国後の動向をみると、政府間での関係改善への取り組みが進められているようですが、今、漁船衝突映像の公開の是非を巡って国会でも厳しい論議が交わされ、更に映像をインターネットに投稿した海上保安官の「逮捕見送り」に様々な反応があるようです。

今回の事件は、政治的な論争は別として、国家公務員の守秘義務について、改めて考えさせられる事件ではないでしょうか。

国家公務員法第100条第1項では「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」と規定されており、違反行為には同法109条第1項第12号で「一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」の罰則が科せられています。

今、情報の「機密性」が問題になっているようですが、これは刑事訴追する上での判断(要は裁判で有罪に問えるかどうか)であり、略式起訴や最終的には起訴猶予など様々な考え方が論じられているようです。

一方、(政治的・外交的事情や論評は別として)政府は当該衝突映像を公開しないとしていたわけですので、公務員の立場で考えれば、政府(或いは上司)の命令に反して、「個人の判断」で情報を公開したことについては、国家公務員法上も倫理上も問題なしと言えないと思います。

民間企業やあらゆる組織でも同様だと思いますが、組織の目的のために守るべき秘密は守る、職務上の正当な命令に服従すべきことは、組織統制上においては当然のことであり、一部「義憤に駆られた行為」として正当化する意見や論評もあるようですが、正義感と組織統制上の責任論は全く別なのではないかと、最近の報道を見て感じているところです。

ただ、今回の事件は対象外としても、組織内での犯罪行為など公益通報者保護法に基づく公益通報事案であった場合などは(公務員にも公益通報者保護制度の対象者となる(同法第7条))、更にさまざまな論議がなされるような気がします。

いずれにしても、今回の事件は、改めて公務員の守秘義務について考えさせられ、様々な議論を呼ぶ事件であったことは間違いないようです。私たちも適切なコンプライアンスを構築しつつ、主張すべきことは主張していく必要性を認識したところです。【谷】