年金受給者の日々へ 悪戦苦闘の記録から

自分のXデーに向かってまっすぐに走る日々
   年金受給前の悪戦苦闘の日々より

3回忌

2016-11-19 00:00:00 | Weblog
 弟が逝ってから2年が経った。今日は3回忌をすることにした。 
 花言葉「秘めた意志」をもつホトトギスが法事を行ったお寺の庭の片隅に咲いておる。

 私夫婦と3男家族の3人と、妹夫婦に老人ホームから連れ出した母親のあわせて8人が改めて弟の死後に向かう。でも1歳10ヶ月のAちゃんを、遺影と位牌だけになった弟は知らない。

 2年前の11月21日、息を引き取る寸前のことに立ち合うができなかった早朝の出来事。慌てて病院に駆け付けた時にはすでに弟は息をすることはなかった。誰に看取られることなく独りで逝ってしまった。その年の5月には長年の主治医からいつ心臓が止まってもおかしくない状態です・・・と告げられていたけれど、それでも弟はベッドに横たわって私と冗談を言い合っていた。何か欲しいものは?と聞くと、タバコ吸いたい・・と言う。病室では吸うことができないゆえに外に連れ出すことができていた時は車いすに乗せて外に連出し美味しそうにタバコを吸っていたもののそれさえできなくなった。仕方なく電子タバコを与えてみたものの、吸うと朱い火が灯る電子タバコを何回吸っても満足することがなかった。

 幼い時は、浜辺に出て瀬戸内海に浮かぶ青島に向かって小石を投げてよく二人で遊んだ。私も弟も力いっぱい小石を投げたが今朝の雨上がりうっすらと見える青島までは届くことがなかった。
 近頃よく想う。一人でぽつねんといる時、誰かと話したい、会いたいと思う時がある。教室で挙手することのなかった小学生時の自分にか、自分の思いを誰かに伝えることのできない恥ずかしい思いをした若い時の自分にか、失敗をして大恥をかいた自分にか、何を思ったのか突然勉強をしたくなり机に12時もとっくに過ぎるまで座ると成績もぐんぐん伸びて一番で卒業できそうな時代の自分にか、また何かしら表彰状をもらい壇上に上がった自分にか、どうしようもなく大きな壁があった時のもがいている自分にか、はたまた初恋の人か、亡くなった父親や世話になった叔母にか・・しかし、そのようなことを思い浮かぶことはない。
 いや、弟に一番会いたいと思っている。透析を受けて病院から連れて帰り、まだまだしゃべることができた3年前までの弟の自宅や病院のベッド脇にいて、昔のバカな話やアホな話をアニキの私から弟に話すことではなく、弟のしでかしたアホな話を聴くのが楽しみの時間ではあったと気付く。

 お寺の本堂で線香の煙が揺らぎ、その香とともに僧侶の20分足らずの読経を聞き、すぐ近くのお墓へ参ると40分で終了。それから8人でご飯を食べる。今日の午後に奥さんが予約を入れたお店は弟も母親や妹達と共に数回ごはんを食べたお店、そのお店で2年前までみんなで弟と過ごした話をまん中において食べる食べる。弟が亡くなった翌月にAちゃんが生まれた。そのAちゃんも愉快そうにご飯を食べてジュースを飲んでおった。
 そのお店の玄関前にはフクロウの石彫刻があった。不苦労だったろうか。