切りバラを携えて商店街を歩く。1年ぶりに商店街を歩くと梅田や難波、阿倍野橋の人混み、池袋や新宿の人の群れ、仙台駅前の押し黙ったままの行きすぎる人の塊を眺める光景ではない。返って地方都市が抱える商店街沈没は読み取れる・・・、ウウン、この景色はどこで見たんだろうか・・・
鳥取駅前の商店街、いや・米子・角盤町にある商店街の景観ではなかったか。昼下がりの商店街は高校生の通学路、アーケードだから直射日光が当たらず雨にも濡れないという便利な通路。
ご城下おのぼりさんとして、mont-bell登山用杖をつき、商店街を右や左、時に遠望しながら珍しそうな顔もちで歩いていると青年に捕まった。青年のネームプレートには、商店街街作り・・と読み取れた。商店街活性化のためにアンケートを取り何かに生かそうとするんだろう。さっそく質問を受けることに。どこから来たとか、どれくらいの頻度で来てるかとか、目的は何かとか、何歳で、何を買うかとか、家は何人で住んでるかとか、そのような質問がだらだらと続く。私も面白がって付き合うことに。
答え。ハイ、1年に1回来るくらいかなぁ、買い物は全くしない、アマゾンなどネットで買う、たとえ数万するものでも。自宅は現在1人で住んでるよ、暇だからこうしてあんたの話に付き合ってるよ、来たのは陽いずる市の最東端からよ、ナニどうすれば楽しい街になるかって・・そんなこと知ったことじゃないよ・・。この町の商店街は、量販店を拒否した歴史がある。同じように高松の南新町や丸亀町の商店街でも大型店と共生する発想ではなく、近くにいれば客が逃げるとでもいうように魅力ある大型店を郊外に追いやった、もちろん駐車場など足のことも大きいけれど・・。
共生することを退け、商店街という自分ちだけの利益を追い求めた結果の行く末をどうすやいいんだと聞いたところで、どうにもワカラナイこと。そして、大街道の角っこにこのたびオープンする森ビル跡の衣服店などがテナントとして入居する雑居ビルホテルに興味を持っているかなどと、商店街として牽制する質問も用意されている。ハイ、見ましたよ、行くことはないと思うけれど・・。
このような私のバカ話をニコニコしながら聞いてくるのでバカ爺は悦にいってシャベル喋る。今、東北の女川町は波にすべて流され町を平野から作り直しておる。町の人に聞くと、街づくりのために中学生や高校生、青年から、もちろん大人のオジサンおばさん、漁協婦人部やらPTAからも意見を出している、と。そこで熱っぽくしゃべってくれたのは、これからの主役は若い人、中学生や高校生など。彼ら彼女たちが大きくなってからどんな町に住みたいか、を白紙からデザインしている。それを引っ張り出しているのは行政側であったり街の顔役のご老人。
ここの主役は立派な大金持ち、イヤ中金もち・小金もちくらいか・・そのやうなりっぱな方が儲けを算出するための図案を考えているのではないか・・。今の利益を追い求めず、未来の大きい利益を考えたいと思う。自分たちにとってネ。「next one」
私が描くデザインは、例えばシャッターの降りている店を一カ所に集めて、商店街の顔を文化としたい。近所のバレエ研究所に通う子供たちに1週間に1回は、可愛いドレスでレッスン発表としての場を持ちたい、隣のジュン君たちが持っているバンドを大音響とどろかせて毎日歌わせてやりたい。椅子、飲み物つきで、せいぜい20分を限度として老人の主張ができるストレス発散のためのスペースが欲しい。そのためにはステージがいる。片隅には嫁や姑の悪口発散のための仕掛けスペースも絶対いる。毎日テレビ画面から届くような面白おかしいことと同様に目の前で名もない市民がやればいい。スポーツ振興で若者の健全な育成を・・などと馬鹿なことを発想するのではなく、運動系は何も人が集まる場所ではなく、発表の場くらいの方がいい。筋肉を運動から鍛え上げるのと同様に頭と心を鍛え上げる場とするのを行政側に任さない、商売人側が引っ張る。かつて商店街が賑わっていた頃は、自分たちの部屋には箪笥が一つしかなかった、引出にもお気に入りの洋服が数枚しかなかったが、今は箪笥には一杯いらないものも仕舞われている。食べるものなど下手すりゃ制服だけ一人前の駆け出しの調理人やシェフより奥さんの方が料理上手な人も多い。時代が変わっているのに、いまだに一人勝ちを狙って活性活性などと言っておる。カッセイカッセイは次月から始まる高校野球の応援にとどめるのが丁度いい。
・・・と、一気にまくし立てたのは、よ~く考えてみると、現在独り住まいで話し相手不足であることだった。仕事上話を聴く機会は多いが。で、茨城県から転居した青年に問う、どうしてここに移ったの?、すると青年は、好きな彼女がここに住んでいるから引っ越してきた・・んだと・・ウヌ、ヌァントナァ。引付魅力度変数は、青年<彼女だったんか。
と、まぁ道草を食ってしまった。早く行かないと、市の人権委員会に遅れてしまう。実は今年から人権委員会に出てくれなどと言われて、断り切れなかった。
手に携えた薔薇はYさんに。追われる日常・・のYさんに少しは気晴らしにでもなれば・・と。