競輪・競馬・競艇の公営ギャンブルをやったことはない。ないが外から見たことはある。例えば馬場を見ることや場外から競輪のジャンの音色を聴いたりボートでは鳴門、丸亀、住之江で白い航跡を残してエンジン音高く走る船を瞬時見たりすることはあった。
各ボートレース場のポスターにはいろんな客寄せのポスターがあり面白いものが多い。
それらのポスターの中にみつけたもの、挑戦を逆さまにすれば勝利となるポスターがある。
確かに挑戦することが勝利につながることはわかる。宝くじは買わなければ当たらない。
でも勝つことと同じように大事にしたいのは負けても・失敗しても再度チャレンジができる場所が必要であることだろうと・・。負けるもの、失敗するものを舞台から引きずりおろすことではなく敗者復活戦が社会には必ず要ることだろうと思う。で、本日の会議室。
彼とは今まで4回の面接を重ねた。彼は43才で西日本各地で風俗関係やら覚せい剤売買に関わっていた。Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ刑の罪名からすれば刑期が長いのもうなづける。小中の義務教育が終了するほど。
この長い期間の懲役生活に所内での彼の懲罰記録がない。同じ受刑者からのいろんないじめややっかみ、妬みがあったろうに・・我慢してたんだろう。いっさい反抗をしなかった。それが彼が娑婆に出る意気や志でもあったんだろうか。
私の役目はチャンスを作ること。彼が再起するための場所を作ろうと・・今日は釈放前の事業主面接を予定している。採否いかんによって仮釈放日が約半年ほどずれ込むことが予測される。でも今日はあいにくの天候、天候の悪い中、飛行機も飛ばないだろうと・・考えていた。・・でも彼にはan invisible enthusiasm見えざる熱意が通じたのかもしれない。約束時間通りに遠隔地にある仕事場の社長がやって来られた。
釈放前の採用面接をする。 このような面接会において私は彼に社会復帰のチャンスを与えてくれるかどうか・・をお願いするだけである。考えようによっては私たちが事業主に面接をしているかのようでもある。社長が犯罪やその動機のことを簡単に聞く以外は通常の一般社会での採用面接と変わることはない。やおら30分が過ぎる頃社長からの話が終わった。このような面接は月に2~3回実施している。しかし毎回欠けているもの、最も大事なことがある。私が彼のような身柄にいつも質問すること。社長さんのこの会社でいったい自分は何ができるのか?何を社長とこの場で男と男の約束ができるのか?君は仕事を通して何でありたいのか?を3つ言って欲しい・・。
今日の彼は、うつむき絞り出すように口から出たのは・・・この長い刑期で身に付いた早起きでの生活リズムを崩さない自信、どんなことがあろうと人さまから悪しきののしられようと我慢ができる。そして自分は会社で仕事を懸命にして普通の暮らしがしたい・・がです。。。と絞り出しながら口を開いていた。
面接が終われば彼は連行され作業場に戻った。そして社長から来ていただいてよろしいでしょう・
のサインをいただいた。
自分たちスタッフはこれからが本当の自分たちの仕事が始まっていく開始の合図でもある。