YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

「20世紀は電気の時代」?????

2011-01-31 00:15:47 | 化石燃料、エネルギー関連
定期購読している週刊エコノミストの冒頭に、「経営者」編集長インタビューがある。今週は、三菱ケミカルホールディング社長の小林喜光氏であった。インタビュー自体は、普通に面白かったのだが、インタビュアーの一言として、『「20世紀は電気の時代」は、誰もが納得だろう。」21世紀は何か。ある人に言わせれば「光の世紀」となる。この方(小林喜光氏)「化学の世紀」と。』ある。

編集長インタビューなので、インタビュアーは内野雅一という事になると思うが、プロフィールはイマイチはっきりしないが、評論家としてテレビなどにも結構出演している様だ。(毎日新聞の記者だった?)

問題は、「20世紀は電気の時代」は、誰もが納得だろう。」という出だしだ。石油という物質に対して、化学という概念なので、まずアウト。電気、光というのは、微妙である。(石油も精製、合成など化学の一部ではあるが)科学的な考察が前提にあるのかもしれない。だとすれば、説明不足だし、表現が甘過ぎる。提灯記事の王道で、『この方(小林喜光氏)「化学の世紀」と。』定義する相手に迎合するために、無理矢理持ってきたのかもしれないが、この程度の見識で編集長をしているのであれば、週刊エコノミストの内容も、これまで以上に気をつけて読まなければならないだろう。

隔週で掲載される、冷泉彰彦の「論調米国」については、過去にも疑問を呈しているし、(本人に対しても、これとかあれとか)、その他、アメリカ絡みの記事には納得出来ないものが多くなった気する。映画評論「シネマ館」で副島隆彦の名前をみた時もビックリした。

では、20世紀は、どう定義出来るのだろうか。私は絶対に
「石油の世紀」
しかないと思う。

20世紀を理解するための(個人的ではあるが)推薦図書として、その名もズバリ「石油の世紀」(日本語訳を読んだ後、原書の "The Prize" も購入したものの積んだまま)がある。この本の影響をもろに受けている事は否定出来ないが、「20世紀を電気の時代」と括る事は、余りにも乱暴であろう。

石油のエネルギー源としての地位は相対的に低下するだろうけど、プラスチック等の化成品等の原料として、そして忘れてはならないのは、飛行機、船、自動車などの燃料として、末永く利用されるであろう。電気自動車だって実用性は怪しいのに、実用レベルで空を電気で飛ぶのは、不可能そうだ。

石油というのは、産業史をみても、政治史、戦争史を見ても、20世紀の主役であろう。エジソンの電球発明でランプ燃料としての需要が危ぶまれた時に、フォードが自動車の大量生産を始めた。スターリンはバクー油田の労働争議で頭角を現し、戦艦の燃料が石炭から石油に転換されることでイギリスがドイツに優位になり、日本はアメリカからの輸入を断たれた事で真珠湾攻撃となった。ラクダに乗って暮らしている人々の土地に豊富な埋蔵量があり、イスラム教を信じていたりするから、これ又ややこしくなるのである。

「20世紀を電気の時代」と強弁してもその3分の2は火力であり、炭化水素として括れば、電気のエネルギー源としての重要性は、21世紀になっても高まるばかりである。余りにも表層的過ぎる。19世紀半ばからの現代までの日本の歴史、江戸時代後半の漂流民から始まる日米関係さえも、石油抜きには考えられない。

「20世紀は電気の時代」は、誰もが納得だろう。」にここまで文句を言う事も無いのかもしれないが、いろんな意味で編集長のインテリジェンスを疑いたくなる様な一言であった。不用意な一言では済まされないと思う。

ブルーバード いきものがかり

2011-01-30 08:52:30 | 音楽関連
自分にとって人生の応援歌と言うと、渡辺美里の「My Revolution」が不動の位置を占めている。

大学を卒業して、勤め始めたものの面白くなく、鬱々していた時に、皮肉なのだが仕事関係の知り合いが、デビューアルバム「eyes」を紹介してくれた上に、テープ録音までしてくれた。

18歳なのに抜群の歌唱力と、若いゆえの危なっかしさがぐちゃぐちゃになった、もの凄く良いアルバムであった。30になる前にドラッグかなにかで死んでしまうのではと思わせる刹那さがあった。翌年に「My Revolution」が大ヒットとなった時に、最初から知っていると言うオタク的な喜びと、曲の良さ、そして転職が現実的になっていた自分の状況などが混然一体となって、人生の応援歌と言えば、これがやっぱりこれになる。

その後、渡辺美里は、死ぬ事も無く、歌手としては成功したが、印象に残る歌は無い。年と伴に太ってしまい、挙げ句の果てに「ドラえもんの主題歌」をおおらかに歌い上げるに至り、自分の中では、どうでも良いおばさん歌手に成り下がってしまった。

私の年代当たりでは、「My Revolution」を人生の応援歌としているひとが多いのではないかと思う。家内も、昔友達に誘われて(騙されて?)連れてゆかれたアムウェイの説明会の締めで、この曲が掛かって頑張ろうと盛り上げられたと証言していた。「一発当てよう」系の人には、ばっちりの不朽の名応援歌であろう。

いきものがかりを気に入っていた家内が、お正月に日本に帰った時に、ベストアルバムの「いきものばかり」を購入してきた。今日、娘を学校に送るのに家内を運転していったのだが、たまたまこの CD (2枚目)が入っていて、何と無く聞いていたら、結構良いではないか。

そして、「ブルーバード」を発見したのである。日本ではアニメの主題歌だったりして売れていたようだが、そこは、アメリカ在住22年という事で、お許し頂こう。

蒼いのだが、シンプルなメッセージにぐっときた次第だ。若者だけにこんな感情を許しすのは勿体ない。恋愛の歌の様だが、勝手に気に入ったサビだけで、ちゃっかり自分への応援歌にする事とした。(老練さがでているか?)

飛翔(はばた)いたら 戻らないと言って
目指したのは 蒼い 蒼い あの空

イカロスは太陽に到達する事さえ出来ず、麻雀の青天井にさえ数学的限界がある。しかし、はばたいたら戻ってはいけないのである。私の人生も、Open End で良いのだと、勇気づけられている様だ。

メンバーの水野良樹って子、洗練されてないけど良い詞書くねー。

YouTube で探したが、適当なのが無く、鉄ちゃんがアップしている電車のイメージビデオで、オリジナルが聞けるので悪しからず。




探しいるうちに、こんなの見つけました。大爆笑。人生もいろいろと忙しいが、この位「突き抜たら」大丈夫でしょう。


プリズンの満月:吉村 昭

2011-01-29 10:01:39 | 書評
吉村昭は多分一番好きな作家なので、このブログでも彼の本の書評が多い。(といっても、随分と限られた数だが)いつか全集(出るのだろうか?)を揃えるつもりでいるのだが、去年は『アメリカ彦蔵』、『大黒屋光太夫』と読んでいる。

週一回のペースで飛行機での出張があるのだが、新聞、雑誌、購入したまま積読となっている英語の本を読む事が多い。今週はメキシコ出張で時間も取れるので、日本語の本を読了してやろうと思い『プリズンの満月』を持っていった。飛行時間の半分ぐらいは寝てたと思うが(なぜ飛行機に乗るとあんなに眠いのだろう?)、行き帰りでちょうど読み終えた。

この本は、巣鴨プリズンの事を書いた小説あるが、あとがきで著者自身も変則と書いている様に、主人公の刑務官、鶴岡は全くの想像人物で、プリズンを中心とした出来事はすべて真実との事だ。

変則2階建てだが、それぞれは非常に良く書けている。鶴岡は、妻との肉体関係をも含めて非常にストイックな人物像や引退後の日常生活の描写が鋭い。巣鴨プリズン、特に戦犯者の行動ついては、いつもの様に資料や証人への取材が丁寧にされており、出来事やエピソードなどが具体的である。

しかし、鶴岡が巣鴨プリズンで刑務官として勤務している中核の部分は、取って付けたような印象である。鶴岡が刑務官を退職後、巣鴨プリズン跡地に建設中の警備会社に勤務すると言うアイデアは良かったが、巣鴨プリズンの事実が重くて、切実なために、想像された架空の主人公、鶴岡の影が薄い。8年間巣鴨プリズンに勤務した事が定年退職しても心に重くのしかかるのは理解出来るが、その間の出来事がなぜ鶴岡への心理的圧迫感になるのかの描写が甘く、今一ピンと来ない。

小説としては、巣鴨プリズンでの出来事の詳細や歴史的を描いているものの、比較的簡単にまとまっており、気軽(?)に読めた。

巣鴨プリズン、同様に東京裁判に関しての私の知識は皆無と言って良い。刑務官として勤務する鶴岡の話なので、裁判の事についてはバックグラウンドとしてしかでてこない。収容されている戦犯についても軍の役職で表しており、実名をほぼ使っていない。出来事が真実であるだけに、特定個人と罪状(?)に興味が湧く。

殆どの巣鴨プリズンの戦犯達に戦争責任は無く、終戦から時間が経つに連れ、東京裁判自体が不当なものなのだという事を、連合国側、日本政府、世論が認識していく変化が、大きな流れとして横たわっている。

俄然、東京裁判、巣鴨プリズンについての興味が湧いてきた。折しも、アメリカは対テロ戦争中(?)なので、キューバの収容所に200人近い戦犯(?)が、もう10年も裁判を待っている。Military Tribunal (軍事裁判)とは何ぞや、そしてその意義と目的。東京裁判が不当であるなら、今後テロリストはどのような審判が下されるべきか、東京裁判を過去の出来事としてではなく、考えていけそうだ。

巣鴨プリズン跡地に建設された高層ビルは、池袋サンシャインである。大学が近かったので、展望台に上ったりした事もある。処刑台のあった所に置かれた『永久平和を願って』の碑なども、当時は、全然知らなかった。何処までも救いの無い、馬鹿学生であった。

Meredith Whitney

2011-01-28 04:36:14 | アメリカ経済
ペンシルベニア州の州都 Harrisburg の財政危機については、昨年、9月9日9月15日に続けてエントリーし、その後も地方自治体の財政危機のシンボルとして、注目している。

昨年11月には、将来の破産申請に備えての準備を,pro bono (無報酬での活動)でやると申し出てたニューヨークの有名な法律事務所 ( Cravath, Swaine & Moore LLP )に任す事を決定した事などを、つらつらと追っかけている。

市、郡、州、地方自治体だけでなく学校区や特定のプロジェクトまで、地方自治債は、$2.9 trillion (約240兆円)の発行残高がある。

連邦レベルでも、$14 .1 trillion (約1,150兆円)の残高があり、財政再建が大きな課題になっているのだが、地方レベルでも税収の減少で、急速に危なくなってきているところがある。

昨年の中間選挙における民主党の大敗北は、連邦、地方レベルで財源の裏づけもないまま歳出だけを拡大させた事も大きな要因である。(共和党も歳出拡大では同罪であるが、現在は歳出削減の公約を強く押し出している)

昨年一年で、地方自治体の債券は $8.2 billion (約6,700億円)の不履行がある。さて、今後、不履行が増えていくかどうかが、大きな焦点になっている。

そこで登場するのが、2007年に CitiCorp が配当を減らすと言うレポートを出し、結果的に2008年のリーマンショックを当てた感じになっている「悲観論の女王(?)」Meredith Whitney である。(彼女の会社のホームページはこちら)彼女は、多ければ100の地方自治債がディフォルトし、その金額は $100 billion (約8.2兆円)を超えるとしている。

一方で、地方自治体は、歳入をコントロール、つまり税金を上げることが出来るので、歳出削減と併せて、そこまでディフォルトすることはないであろうと言うのが、大勢の意見である。良い例(住んでいる人は御愁傷だが)が、州の中でも財政が一番厳しいイリノイ州は、歳入拡大のために州所得税の66%アップ(!)を決めたばかりである。(歳出削減はどうなっているのだろう)

懸念を示しながらも、投資対象として面白いと考えている人たちもいる。代表的になのは、絶妙のリスク管理でリーマンショックを軽微の損害で終わらした JPMorgan Chase CEO Jamie Dimon、世界最大のミューチュアルファンド "Total Return" (社債等が中心のポートフォリオ)を管理する PIMCO Bill Gross であろう。

2008年以降、発行自治体により金利(債券の価格)に違いが出てきたりしており、マーケット本来の機能が効いてきている。(逆を言えば、苦しいところはより苦しくなるのだが)今後は、安易な発行が難しくて、自然と財政規律が出来るようになりそうだ。

州債については、金利収入に対して収税の控除があったりして、国債より金利が高い上に、住んでいる州の財政が健全であれば、(税率にもよるが)30年物だと8%を越えるリターンが期待できる。チャンスと見ている人も多いようだ。

さて、Meredith Whitney だが、地道にアナリストとしてやってきたのであるが、CitiCorp の的中で有名になり、それなりにお綺麗なので、テレビのコメンテーターとして引っ張りだこである。本人もやや舞い上がったのか、独立したりしている。基本的に株専門のアナリストであり、債券は素人というのが業界の共通認識のようで、地方自治債の予想については、業界ではあまり相手にされてない。

地方自治体の財政危機は引き続き注目なのだが、彼女の予想が当たるかどうかも、注目しない訳にいかないだろう。

債券の素人ということでの批判は理解出来のだが、有名税なのであろう、旦那が元プロレスラーであると言う事で、不当な評価を、特に、女性からされている気がする。(男性も面白がって持ち上げているのかもしれない。私も同罪です)

Sputnik moment

2011-01-27 10:34:13 | 非常に個人的な昔話
昨日、オバマ大統領の一般教書演説で、アメリカが研究、教育の分野で遅れを取っている事を、われわれ世代の "Sputnik moment" であると定義していた。(今一よく分からなかったので、昨日のスピーチ原稿(冒頭から3分の1位の所)を読んでみたが、やっぱり、さっぱり分からない)

スプートニクは、ソ連が1957年に打ち上げた世界で初めての人工衛星である。私の記憶では、"Sputnik moment" (スプートニク・ショックSputnik crisis)は、ソ連の人工衛星がアメリカの上空を飛んでおり、いつでも核弾頭を打ち込まれる軍事的、心理的な恐怖感を象徴していたと思う。

その恐怖感から、NASA が誕生し、勢い余って月まで人を送り込んだのである。オバマは、バイオ、IT、クリーンエネルギーで、アメリカが出遅れている現状を "Sputnik moment" と言っている様だ。この遅れを取り戻すために、予算を議会に提出しる、そして雇用の拡大をすると仰っている。

歴史的な背景と展開は、部分的に当たっているが、「われわれ世代の "Sputnik moment"」と言うのは、無理があるだろう。

第一、オバマは私と同い年なので、スプートニクが打ち上がった1957年には、生まれてないのである。私だってピンと来ない上に、「?」が付くのに、スプートニク・ショックを体験した人にしてみれば、尚更だろう。その辺の機微は意識しているらしく "Sputnik moment" と微妙な言い換えをしている。

さて、私は愛媛県立宇和島東高等学校理数科卒業なのだが、オバマの演説よりずっと深く "Sputnik moment" が人生に拘わっている。(こっちには、出身者の一覧などがあって面白い)

高校3年生の時、英語の先生が、スプートニクのお陰で理数科のクラスが出来た事を言っていた。ウィキペディアでも、「日本でも、人類初の人工衛星は話題を呼んだ。文部省では、アメリカと同様に1971年(昭和46年)の学習指導要領改訂で理数教育の、現代化カリキュラムのきっかけとなった。」とある。

私が入学した頃の理数科は、進学校の上級(?)進学クラスという位置付けに堕落(?)しており、一応、普通科より1年生から数学の授業コマが多かっただけで、理科系進学クラスであった。理数科は一クラスしかなかったので五クラスある普通科と違って3年間クラス替えが無かった。愛媛県南予地方(といっても、八幡浜高校、大洲高校も進学校なので、北限は現在の西予市)の成績の優秀な中学生が集まっていた。私のように理数系に向かない同級生も中学の成績だけで入学したりしていた。結局、私も大学は物理学科へ行ったし、クラスの殆どが理科系の大学に行った。正確に言えば、40人同級生がいたが、半分が医者と歯医者になっている。後は、先生になったものが多い。(田舎の秀才君が、地元に戻ってそれなりの社会的地位で働こうとすると、医者、歯医者、先生くらいしかない。これって、日本の地方を考える上で非常に重大な問題だと思う)

ロケットサイエンティストには、1人もなっていない。(同級会、同窓会の類に顔を出していないので正確な情報が無く、風の噂と憶測によるのだが)

大学に入った時につくづく思ったのは、この理数科クラスのレベル(勉強出来るとか、頭が良いという意味で)がいかに高かったかと言う事である。まあ、私は40人中ビリから3番目位だったので当然なのだが、大学の同級生は、私のレベルで輪切りされた集団であり、勉強という事に限って言うと、その程度であり、刺激が無かった事を思い出す。

私のいた頃の宇和島東は、伝統のあるボート部が強くて全国制覇したりしていたが、その他のスポーツは全然であった。(校内レガッタが催される高校なんて全国でも珍しいであろう)甲子園で優勝したのも、卒業してから何年も経ってからである。今は済美高校の監督をやっている上甲監督が在学当時の監督で、母方の遠い親戚であった。今年度はサッカー部が全国大会に出場したり、いろいろと頑張っている。

余談だが、甲子園初優勝の時のメンバーは、リトルリーグ全国大会で優勝した地元チームがベースだったそうだ。運の良い事に、丸ごと宇和島東に入学してきたらしい。地元の中学校で先生をやっている理数科の同級生の教え子にメンバーの何人かがいて、中学生の時に、やりそうな雰囲気が既にあったそうだ。

地元でも有数の進学校だったのでクラスメートの殆どが宇和島東に通っていたと思うが、スプートニク・ショックがなくて、理数科が出来ていなければ、あんな40人(男38人、女2人)のユニークなクラスで3年一緒に過ごす事は出来なかったと、オバマの "Sputnik moment" を聞きながら、巡り合わせの不思議さを思わずにはいられなかった。

校歌がポップなので、甲子園で流れたら結構いけると、夢物語としてダベッた高校時代が懐かしい。(その頃は、甲子園に出場した事さえ無かった。松山商業、今治西は強かった)まあお一つ。


2011 一般教書演説

2011-01-26 00:26:00 | アメリカ政治
Flat!

が、今回のオバマ大統領一般教書演説を形容するのに最適であろう。

相変わらず長い演説であった。出だしから盛り上がらないので集中出来ず、雑用をしながら観た。今日は長距離ドライブの出張だったので、ずっとトークラジオを聞きっぱなしで、有る程度内容を知っていた事もあるが、これまでのオバマの演説のなかで、一番しょぼくれていた。2012年大統領選挙の開始演説であると身構えていたが、もしそんな意図があったのなら、思いっきり失敗であろう。(オーラが無くなったというより影が薄かった)中道路線への(見せかけの)変換だけでなく、落ち着いた演説スタイルへの脱却も狙っているのかしらん!?

内容的にも、昨年の「中身が伴わない空虚な一般教書演説」よりも薄くなっており、過去2年の実績を声高に訴える訳でも無く、だからといってこれからの道筋を力強く打ち出す訳でもなく、オバマとしては、本当に珍しく、最後まで低空飛行であった。

民主党ベッタリという偏った政策の発表も無く、民主党、共和党の議員が混ざって座っていたせいもあり、熱烈なスタンディングオベーションが全く見られなかった。

民主党と共和党議員がペアになって座る事については、デートナイトと揶揄されたりしていたが、ペアルックが登場するに及んでは、馬鹿丸出しであった。オバマもデートナイトを意識しており、中道路線を強調する意図もあり、"Sit together today, work together tomorrow" とのコメントをしていた。(個人的には、今回の演説で一番印象に残ったフレーズ)下らな過ぎる。

一方の共和党 Paul Ryan の対抗スピーチは、非常に短いものであった。憲法保守派、下院の予算委員会議長として、小さな連邦政府、歳出削減と財政規律を力強くシンプルに訴えていた。上手くまとまっている演説であったが、インパクトとしては弱く、彼の事を知らない人がいきなり理解する事は難しいと思われるので、ちょっと勿体ない。

さて、財政規律については、オバマは昨年暮れに諮問委員会を設置(報告書は出来たが承認されず、お蔵入りした)したりして一応ポーズだけはとっているが、雇用と景気の回復を、Investment(投資)で押し進めようと方針である。(Investment(投資)は Spending(ばら撒き)を言い換えただけ)一方で、共和党は、歳出削減と財政規律を柱にして、規制緩和と、増税の不安を取り除く事で、雇用と景気の回復を目指している。

財政規律のついては、今日は仲良く座った両党の議員が、直ぐにせめぎ合いを行わなければならない重要な案件がある。

現在、アメリカの国債発行残高の上限は、$14.3 trillion(約1,173兆円)であり、3月末にはこれを超える見通しである。このままでは政府がシャットダウンする。上限の引き上げには議会承認が必要なのだが、共和党の上院議員が、今後、財政赤字を出さない様にするために、歳出が歳入を超えない、歳出が GDP の20%を上回らないという条件付きで、上限の引き上げに応じる提案をしている。(The Hatch/Cornyn plan) 

現時点で、ホワイトハウスは、歳出を制限されることになるので、難色を示している。

クリントン政権の時にあった政府のシャットダウンでは、結局、対決した共和党議会の方がダメージが多く、その次の選挙で過半数を失っている。

昨年の中間選挙敗北以来、同じ様な状況から蘇ったクリントンと対比される事の多いオバマであるが、この局面どのように乗り切るのかが、今後の政局ばかりでなく、2012年の大統領選挙を占う格好の材料となるだろう。

今日の一般教書演説は、セレモニー的なものでもあるので、思った以上に(というか以下)退屈で空虚であったが、アメリカの財政的な将来を決定付けるといっても過言ではない山場が、直ぐそこに迫っているのである。

人間は同じ間違いを繰り返す

2011-01-25 10:56:55 | ブログ探索
私は、懲りないダメ人間だ。深い自己嫌悪に堕ちて、2度とやるまい思った事を、又、やってしまった。

岩上安身 小沢一郎衆議院議員への単独インタビューのエントリー(TBも頂いている)のタイミングで、和久希世さんのブログ、Dendrodiumで、鳩山・小沢辞任に関するウィキリークス」というエントリーがされ、小沢のインタビューの紹介をした所、運命に操られる様に長々としたやり取りとなった。

前回の英語日本語ニュース (ejnews) さんと違い、ブログ主の和久希世さんは良い人っぽいので、異常なエネルギーを消費する事は無かったが、あれだけコメントを書くとさすがに疲れる。コメントのやり取りの最後の方で、打ち解けられる雰囲気になったのだが、叶いそうにない展開に逆戻りしてしまった。(私がくどい過ぎるのが原因なのであるが)

という事で、自己反省に意味を込めて紹介しておく。支離滅裂だが、味があって、なぜか読むのを止めれない不思議な魅力のあるブログだ。

圧巻なのはリンク集であろう。全部探索した訳ではないが、さすがと言うか、面白過ぎる。和久さん曰く『日本の大部分の人がマスコミに騙されて』いるらしいので、このリンク集を丹念に読み込めば、マスコミに騙されるれず、日本やアメリカの真実が理解出来き、日本の知的パワーエリートになれる事請け合いだ。

因に、私は、『もしかしたら非常に賢い人で、私を試しておられるか、又は欠点を見つけて(あら捜しをして)その発言を全否定する意図を持って、馬鹿な振りをしておられる方 』か、『もしくはアメリカにお住まいとの事ですから、アメリカのウヨ教育に洗脳されて、アメリカだから先進的だと丸信じしておられる単純な方』らしい。そして、『どちらも外れているのかもしれませんが・・・・・ 』と悩ましい点五つで、慎み深く余韻を残しながら、一気に総括されている。

アメリカ連邦議会は幼稚園!?一般教書演説はお遊戯発表会!?

2011-01-24 03:30:09 | アメリカ政治
来週火曜日に行われる一般教書演説については、昨日も2012年の大統領絡みで考えたりしているのだが、全く違う次元で、壮大な連邦議員の大バカ振りが晒される事になるだろう。

一般教書演説は、Capital Hill、議事堂の下院本会議場で行われる。聴衆は、合衆国の三権と軍の首脳なのであるが、両院の議員の数が圧倒的に多い。通常、民主党、共和党に別れて座っており、両党の間で対立する演説内容だと、一方はスタンディングオベーションなのに、一方は押し黙って座っているという光景が見られる。(オバマ大統領が民主党なので、今回の場合も立ったり座ったり忙しいのは民主党議員)

オバマ大統領就任以来、昨年の中間選挙までは民主党が上院、下院とも過半数と占めており、独善的な政策を進めた事で、両党の対立が激しく、市井ばかりか議会でも鋭い舌戦が繰り広げられきていた。先日のアリゾナ州の女性連邦下院議員銃撃事件の背景に、このような政治的な土壌があったと、全く的外れな見解をコメントする民主党議員が多く、挙げ句の果てに、オバマ大統領が犠牲者のメモリアルサービスのスピーチで、今回の事件を政治化せず対話を進めようと呼びかける始末である。

そんな流れに便乗して、コロラド州選出の民主党上院議員の Mark Udall が、先ず連邦議員が範を示すために、一般教書演説では、従来の着席形態を止め、民主党と共和党でペアとなって超党派状態で着席しようと呼びかけ、実施される事になった。

ここに至り、アメリカ連邦議会は、幼稚園レベルである事を内外に高らかに宣言す事と相成ったのである。

Mark Udall 民主党上院議員は、自らの提案が実施される事を誇らしげに宣伝している。(オフィシャルサイトは、こちら。御丁寧な事に、自分の選挙区の議員にもこの提案を呼びかけようと嘆願書の雛形まで掲載している。)共和党もペアになる事を承知している議員がいるので、超党派で幼稚園レベルになっている。

両党入り乱れて仲良く着席する事を民主党がプッシュしている事について、昨年の中間選挙で、特に人数の多い下院で歴史的な敗北を喫したので、例年通りそれぞれの党でまとまって座っていると、対立している政策をオバマが発表した時に、スタンディングオベーションする民主党議員の数が少ない事がハッキリして、みすぼらしくなるので、全体に散らばる様にするための画策であると言う、穿った見方も有る。

日本でも生中継されるらしいので、民主党の超党派状態での着席作戦は、歴史的な全くお間抜けな見所の1つだと思う。

昨年の一般教書演説では、直前に出た、共和党有利と考えられている最高裁判決に対して、オバマは判決自体を批判すると言う品の無い事をした。最高裁判所判事は、慣習として無反応という事になっており、取り囲んだ民主党議員達がスタンディングオベーションをするで沈黙したまま着席していると言う、リンチみたいな光景が出現した。1人の判事がオバマの批判に対し、"Not Ture" と口を動かした事が話題となった。そんな事もあり、今年は保守派の何人かの判事が欠席を仄めかしている。

雇用と景気回復がメインテーマなので、これまでのパターンからすると、1つの話題の最後に、雇用と景気回復に結びつくという決まり文句が、唐突に全くの因果関係もなく挿入されるヘンテコリンな演説になると思われる。

慣習の1つとして、一般教書演説の直後に大統領の所属しない政党(現在は共和党)の代表(といっても基準がある訳ではなく、毎年話題性の高い州知事もしくは連邦議員等から選ばれる)が、対抗のスピーチをする。共和党の若手指導者3人の共著である Young Guns (民主党の似非仲良し作戦との対照的なネーミングが何とも皮肉だが)を紹介したが、そのうちの1人であるやっぱり以前紹介した事がある Paul Ryan が この演説を行う。財政の専門家で、現在下院予算委員会の議長であるので、財政規律と景気回復を行うために、小さな政府を目指すという方向性で、オバマ大統領の演説より中身が濃いものになるものと思われる。実質的にオバマにとっては2012年の大統領再選へのキャンペーンの幕開け演説なのだが、共和党にとってもホワイトハウス奪回への狼煙なのだ。本人は財政専門であり、大統領への色気は否定しているが、個人的には10年後とかの有力な大統領候補だと考えている。

2月6日のスーパーボールより、一般教書演説の方が面白そうだと思う私に、自分で笑ってしまう。(因にスーパーボールは、Green Bay Packers vs. Pittsburgh Steelers で、テキサス州のダラスで開催される)

$1,000,000,000 ($1 Billion)

2011-01-23 00:21:17 | アメリカ政治
ドルが安いので、約830億円にしかならないのであるが、$1,000,000,000 ($1 Billion) は、オバマが2012年の大統領選挙のために集めるだろうと予想されている寄付の額である。

2008年の大統領選挙選で、史上最高となる $745M を集めている事を考えると、驚く事は無いのだが、やっぱりビックリする金額である。2008年に敗れた共和党候補のマケインは $368M、2004年当選のブッシュは $367M であるので、2008年のオバマ人気が異様に高かった事を如実に示している。インターネットなどでの少額の献金が3分の2を占めていた事も特筆に値する。

ロバート・ギブズ(Robert Gibbs)米大統領報道官と大統領のシニアアドバイザーの David Axelrod が来月辞任して、オバマは、再選に向けての準備を本格化させる。オバマの選挙キャンペーン事務所は、地元であるシカゴに設置される事が既に決まっている。(David Axelrod の地元でもある)

オバマの側近中の側近であるこの2人がホワイトハウスを離れるのは、ホワイトハウスでの選挙活動が禁止されているので、要らぬ勘繰りをされないためと思われるが、これから、大統領の仕事より選挙戦を優先していくのはあきらかであろう。

ヒラリーが昨年暮れのコメント通り出馬しない場合、民主党内でこれと言った対抗馬がおらず予備選は無風なので、大統領選そのものに資金も活動も集中させる事が出来る。

昨年の中間選挙で民主党が大敗した事で、議会で法案を成立させて政策を進める事がほぼ不可能となった。よって、オバマは行政府の権限を最大限に使いながら自分の政策を実現しようと方向転換をしてきている。その決意は、前にも紹介した1月18日付けの WSJ に寄稿した "Toward a 21st-Century Regulatory System" でハッキリ自ら言っている。この記事自体は、親ビジネス的な雰囲気を醸し出そうとしているのであるが、図らずも議会を蔑ろにすると言っているのである。

政治家にとって最大の関心事は再選である。特にオバマの場合、再選されなければ基本的に上がりである。大統領就任直後は、必ずしも再選を目指さないとナイーブなコメントもあったが、中間選挙での大敗でオバマは、もし、再選されなければ ObamaCare の廃案の可能性が非常に高くなり、歴史上最悪な大統領になると言う屈辱を強く意識したに違いない。

中間選挙後、大統領首席補佐官にクリントン政権時代の商務長官を据えアメリカ商工会議所との関係修復を図ったり、昨年暮れのブッシュ減税の延長を行ったり、GE会長を Economic Recovery Advisory Board (景気回復諮問委員会)のトップに据えたりして、中道路線と親ビジネス路線を全面的に押し出しているが、これは偏に自分の再選のためだけと思われる。中道路線への変換イメージをアピールし無党派層の取り込みを画策し、親ビジネス路線で企業からの選挙資金確保を目指しているのであろう。

再選さえされれば、ホワイトハウスの権限を目一杯悪用(?)していろんな事が出来るのである。

来週火曜日に一般教書演説があるのだが、オバマ再選に向けてのキャンペーン演説と色眼鏡を掛けて聞く(見る?)方が、キチンと理解出来るであろう。

本質的に市民活動家であるオバマらしいのは、個人的な後援組織である Organizing for America でプレビューという小細工までしている。これまで何度も、最優先で不眠不休でやると宣言した雇用回復を、もう一度、最優先で不眠不休でやると宣言するつもりの様だ。

それにしても、大統領が個人的な後援組織のサイトで、一般教書演説のプレビューなんか発表して良いのであろうか?オバマ就任してからのホワイトハウスのサイトとデザインを統一しているようだが、意図的に個人後援会を公的なものと擬するインチキをしているのも、如何にもである。

オバマがインチキ臭く、詐欺師紛い(インチキ、詐欺師そのものといった方が当たっている)なのは今に始まった事ではないが、果たして $1,000,000,000 ($1 Billion) で、再選は買えるのだろうか?

岩上安身 小沢一郎衆議院議員への単独インタビュー

2011-01-22 00:33:47 | 雑記
インターネットもクラウドもさっぱりピンと来ずに使っているだけなのだが、このインタビューをみて、本当に便利で非常に可能性のあるものである事を理解する次第だ。(40年遅れてますが)

さて、異色(?)のジャーナリスト岩上安身氏による小沢一郎衆議院議員への単独インタビューって、日本で話題になったのであろうか?

最近、アメリカ絡みでの日本の政治的話題が少ないので、疎くなってしまっている。このインタビューも昨年の12月23日に行われているが、知ったのが昨日。気が付かなかった事が、私の日本政治への興味のバロメーターの低下を如実に示している。岩上安身のオフィシャルサイトも、数ヶ月前からブックマークに入っているのだが、最近は全然読んでなかった。

さて、小沢一郎に関しては、以前にもちょっとだけ考えた事があったが、贔屓のジャーナリストとのインタビューなので、リラックスして喋っているのを観て、完全にイメージが変わってしまった。笑顔が可愛い訳ではなし、政治家としての凄み(テレビなどでの強面のイメージ)を出している訳ではないが、自信に裏付けされた余裕がある。少しでも華があれば、希代の政治家になった可能性もあっただろう。

さて、肝心のインタビューの内容だが、モラルの問題は別として、田中角栄や金丸信の成り行きを一番近い所で見ていた小沢が、あんな事で検察にしっぽを見せる様な間抜けな政治家なら、とっくの昔に葬さられているだろう。この前半部分は全く興味なし。(小沢が悪だと騒ぐ人は、ただのお調子者だ。小沢はそんな甘ちゃんでは無い。)

個人的に、このインタビューの一番大事な所だと思うのは、岩上氏が、田中角栄絡みの話で日本の政権に対するアメリカ陰謀説を持ち出してきた質問に対し、小沢が一笑に付す件であろう。小沢一郎は、田中角栄が逮捕されていた時には既に国会議員であり、薄っぺらなアメリカ陰謀説など、可笑しくて聞いていられない感じが非常に良く出ている。バランスの取れた外交感覚も評価出来る。

まあ、最近の政局や司法の視点を取り入れて、過去を語っている傾向があるのは、ちょっと違和感があるが、基本線では間違っていない。

立花隆のファンである(あったと言うべきか?)ので、一時期、田中角栄や日本の右翼と政治家の関係について、彼の視点で結構熱心に追い掛けた事があったが、田中角栄が転んだのは金の話で、真しやかに信じられているアメリカの頭越しに中国との国交回復をやったからなんて事実は、あの立花隆をしても、結局出てこない。

最近、立花隆は文芸春秋などで、小沢一郎を見限った様な事を書いたり、喋ったりしているが、これは、彼の関心が政治、政局から無くなって、自分の癌への影響で、興味がそちら方面に行ったからだと思っている。(立花隆が胡散臭くなってきた事は、過去にちょっとだけだがこちらに書いている)

「小沢一郎=西郷隆盛」説に組するものでは無いが、権力の中で生き抜いてきた実力を過小評価するべきではないし、1969年から国会議員としていつも政治の中心で活躍(?)してきたのであるから、語り部としての存在価値も決して無視出来るものではない。いっその事引退して、好々爺として全部喋った方が、今の様な状態で政治家を続けるより歴史的な存在価値としては抜群に高いであろうに。

岩上安身、折角小沢一郎とこんなに仲が良いのだから、次回はもっと歴史的な所から始めて今の政局についてという展開のインタビューにすれば、もっともっと深く、面白くなる事、間違いない。

こんなにじっくり政治家の話を聞いたのは初めてかもしれない。騙されたと思って観てみては如何でしょう?面白いですよ。

ObamaCare 廃案決議、下院で可決

2011-01-21 10:20:37 | アメリカ政治
アリゾナ州の銃撃事件で一週間遅れたが、共和党は中間選挙の公約通り、下院で ObamaCare の廃案決議を可決した。賛成票は245で、共和党の全議員と民主党3議員の合計である。10ヶ月前に、上院案を下院で可決したおりには、賛成票219票で、共和党が全員反対、民主党の反対も38票のあった。

今後、上院での採決という事になるが、上院の過半数を占める民主党リーダーは、議案として取り上げない意向を示している。しかし、リップサービスながら大統領も民主党の有力上院議員も、超党派でのより良いアイデアには賛成と表明しているので、上院で討議される事を避けると、大きな批判が出る事が考えられる。

上院は、昨年の中間選挙で約3分の一しか改選されておらず、民主党は、絶対過半数(60議席)は失ったものの、現在でも53議席(51+民主党よりの独立系2議員)を確保している。

2012年には、改選を控えている民主党議員が戦々恐々としており、廃案可決に回る可能性が高い民主党議員が複数いると推測されている。また、議会運営的には非常に難しいのであるが、共和党に乱れが無ければ、単純多数決での採決の可能性もあるとの事だ。但し、上院可決の可能性は極めて低い。

もし、奇跡の様な上院で廃案可決になっても、オバマ大統領が拒否権を発動すれば、万事休すである。

共和党の理想は、上院での可決、大統領の署名で廃案成立という事になるだろうが、オバマ大統領がサインをするはずがないので、作戦的には、上院での議論を活発に行いたいという事であろう。これは、政策全般に言える事で、ObamaCare だけで無く、これから下院で可決される法案、廃案、改定案、下院の上院での審議を全て拒む訳にいかないので、否応無しに民主党、究極的にはオバマ大統領の言動一致が試されていく事になるだろう。

今年に入って、ObamaCare のマイナーな部分の施行が始まっているが、既に、弊害があきらかになっている。会社が提供していた簡易的で安い医療保険が ObamaCare に適合してないので、従業員への提供が出来ない事が分かって、慌てて適用免除を認めたり、カリフォルニア州の医療保険が30%上がる事を例に挙げて、その抑制のために ObamaCare の必要性を訴えていたのに、法案が成立したら59%も医療費が上がったり、弁解のしようがない事態が次々と発生している。

フロリダ州が連邦裁判所に ObamaCare の違憲性を訴えている裁判も、当初の20州に6州が加わり、26州、つまり半分以上の州政府が違憲性を問うている。尚,バージニア州は独自の裁判を行って違憲判決を勝ち取っているので、計27州が ObamaCare に憲法違反という事で反対している。

オバマが大統領就任以来、最大の成果で有る ObamaCare がたった10ヶ月でこんな事になっているのは、非常に皮肉である。ちょうど、2012年の大統領選でのディベートでは、嘘八百を並べて擁護するしか無いし、選挙戦の真最中に最高裁判所の判断が出る予定になっているので、違憲ともなれば、オバマは、自分が一番だと思った手柄が逆噴射して、決定的に再選が不可能になる。

民主党の中間選挙での大敗北の影響で大人しくなり、昨年暮れのブッシュ減税の延長で中道よりの印象になってきたオバマであるが、本当の所はどうなのであろう。1月18日付けの WSJ に "Toward a 21st-Century Regulatory System" を寄稿したりして、親ビジネス的な雰囲気を醸し出そうとしている。

景気もやっと回復の兆しを見せていたのであるが、食料品やガソリン等が高騰しており、原油の値上げで関連の工業製品のインフレの気配もあり、景気の腰折れが心配になってきている。肝心の失業率も改善の兆しが見えたり、隠れたりで、なかなか景気の良い話にはならない。リーマンショック後に就任したアンラッキーはあるが、的外れな大型景気対策を行った事と大きな政府を指向してビジネス界が先行きを見通せない不安な状態にした罪も問われるだろう。

今後、オバマ大統領は、ObamaCare だけで無く、その他の策、無策もかなり強い真っ当な批判を受ける事であろう。特に、生活に直結するガソリン価格がこれから一層高騰すれば、メキシコ湾の原油流失事故の対応、それに続く根拠が無い深海採油の許可の不当な規制について、不満が噴出しそうだ。

さて来週の一般教書演説でオバマ大統領はどんな絵空事を言うのであろう。これまでの一般教書演説で表明して成し遂げた事は、軍の Don't tell, don't ask を撤廃した事くらいか?それでも上出来と思うべきであろう。これから2年間、変な事をするより、無駄な大統領選挙運動に集中してもらった方が、国としては幸せかもしれない。

亜酸化窒素

2011-01-20 05:03:03 | 歯のはなし(治療日記)
亜酸化窒素」とカッコつけたものの、笑気ガスだ。N2Oだ。

昨日、右上のブリッジのポストになっている既に神経もない歯を抜いてきた。ついでに全体のデープクリーニングもやってもらった。

Lorazepam という催眠鎮静剤を事前に飲んでこいと指示されていたので、クリニックに到着した頃には、少し気分が良くなっており、その上、手術が始まる前に、リラックスしていこうと笑気ガスのマスクを鼻につけられた。

デープクリーニングをやるので、口の中全体に痛み止めクリームを塗られて、抜歯の所へは、麻酔の注射をバンバン打たれた。注射はそれなりにいたいし、奥の方をガリガリやる時は痛いときもあったが、催眠鎮静剤と笑気ガスのおかげで、気分はラリっており、気持よく手術は終わった。

必ず、運転手を連れてこいという事で、家内に送り迎えしてもらったのだが、思い出そうとしても、帰り道の記憶がない。

お昼頃に帰宅し、横になって気が付いたら子供たちが学校から帰ってくる4時、軽い夕食をとって横になってテレビを観てたらウトウトしてたら12時、ベットに入って気付いたら翌朝5時だった。(こんなに寝れて幸せ)

抜歯(プラス、グラフティング)したのに痛みは全然無く、一日が完全に消えた様な変な錯覚がある。でも、仕事用のメールアドレスと携帯には、メールとメッセージが一杯になっている。今日も勤務日と言いながらダラダラするつもりだったが、そういう訳にもいきそうにない。

日本のバブルの頃であったが、歯医者の知り合いが「笑気ガスパーティー」を開く事があると言っていたが、参加してみたかったなー。元々、笑気ガスは麻酔薬というより、パーティーを盛り上げるために使われ出したらしいので、今考えると彼は正統的だったのだ。個人的には、覚醒系の方が会っていると思っている(やった事は無いので、誤解無き様)、笑気ガス吸っている間は、甘い匂いと相まって、本当に気持よかった。

6週間後、インプラント入れる時に又味わえそうだ。楽しみだ!?プロスポーツ選手で、痛み止め中毒になる人がいるが、その気持よく分かる。

デトロイトモーターショー

2011-01-19 10:26:00 | アメリカ自動車業界
デトロイトモーターショーこと、North American International Auto Show に、今週月曜日、Martin Luther King, Jr. の誕生日で学校がお休みの上の娘と行ってきました。(昨年のエントリーは、こちら。自分で読み返しながら、全体的な印象としては去年をより一層パワーダウンした感じ、内容的にはデジャブーな感じ)

テレビジャパンでやってる NHK ニュースでは、ホンダとトヨタしか出展してないと報道しておりましたが、大きな間違いで、マツダとスバルもちゃんと出展しておりました。(大勢に影響無いですけど)Chevrolet Volt が Car of The Year をとったりして、なにかと電気自動車が話題となっているのに、今年もニッサンは出展していない。

韓国勢は、Hyundai と Kia、中国は BYD のみの出展であった。

Hyundai は、個人的に興味の有るが、売れるかどうか疑問を持っている先月売り出されたばかりの高級車、EQUUS が置いてあった。運転席や後部座席に座ってみたが、結構良い。自分には関係無いクラスの車なので、これ以上の印象はない。韓国2社は、アメリカでのマーケットシェアも伸びており、デザインもあか抜けてきているので、後数年は、順調であろう。Kia 2011年モデルの OPTIMA のデザインも格段と良くなっており、サイズ的に、アコードやカムリ、シビックやカローラの中間といた感じなのだが、この辺の日本車のシェアを喰う可能性が高い。

一方、BYD は酷い。まず塗装がざらざら。内装もチープで、いかにアメリカ市場が価格に敏感であっても、購入の選択肢になるのには時間が掛かりそうだ。Geely は諦めたのか、出展していなかった。でも、年々中国人入場者が増えている様に思う。

どんな義理があるのか知らないが、部品会社である Denso, Michelin が、完全脱力状態で出展していた。

デトロイトに住んでいる限り、このショーは欠かさず見学しているし、これからも間違いなく行くと思いますが、ハッキリ言って終わっている。現在の経済状況と自動車産業の変遷で、デトロイトというロケーションに何のオーラもなくなってしまった。会場もデトロイト市が財政難で、立て替え計画も頓挫状態で老朽化するばかりだ。惨めなものだ。

ディスプレーも、申し訳程度にメーカーのコンセプトカーが置いてあるが、基本的に販売されている車を並べてあるだけだ。昔は、例えば、Jeep のブースでは、高い天井に届きそうな滝のディスプレイを登る Wrangler とかあったが、今年はカーペットの上にちょこんと展示してあるだけだ。各ブースにコンパニオン(死語?)はそれなりに配置されているのだが、キャデラックのブースで、黒のイブニングドレスを着た綺麗所が揃っていたりしたのは、遠い過去の事になってしまった。

各メーカーとも電気自動車に力を入れているのだが、やっぱりパッとしない。原油価格が$90を超え、ガソリン価格がガロン$3を超えているのに、全然盛り上がらない。やっぱり徒花だと確信した。話は横道にそれるが、今週ガソリンを入れる度に、この価格のままでは、消費者マインドが冷えきって(というか、消費に回すお金が無くなって)不況になるという思いが駆け巡った。

娘が楽しそうにいろんな車に潜り込んでいたのと、車に詳しいという事で父の威厳を示せたのが、救いだっただけだ。本当に寂しい。

入場料は、大人$12、子供$6、会場であるコボホール屋上の駐車代が$10。祝日で学校が休みなのに、ジャケットを着ずに会場まで行ける所に駐車出来るなんて、これも本当に寂しい。今週末まで開催されているが、私の様に惰性で毎年行くという人以外には、お勧め出来ない。

入れ歯

2011-01-18 05:21:32 | 歯のはなし(治療日記)
発狂しそう。

「さしすせそ」が上手く言えない。

外した後の粘着材が気持悪い。

翌朝起きたら、肩が凝っていた。


今週水曜日に、右上のブリッジのポストとなっている歯2本を抜きインプラントをするのに先立ち、昨日、掛かり付けの歯医者の方で、このブリッジを外して、ポストになっていた歯(といっても神経はとっくの昔に抜いてある)を歯茎のラインの下まで削った。このままだと、インプラントをポストにブリッジするまでの半年間、歯抜け爺になるので、入れ歯をする。先月、治療法の検討とこの入れ歯の為に、既に型は取ってあった。

もう一度治療計画を読んでみたら、今週水曜日は抜歯とグラフティングだけの様だ。インプラントは4-6週間後に入れる様だ。(また手術)前歯2本の矯正で噛み合わせを整えるのではなく、インプラントで新たに入れる右のブリッジと左側のブリッジ(これもそのうち交換という事だろう)を下に伸ばす様な調整を行い、噛み合わせが均一になる様にする計画の様だ。掛かり付けの歯医者も、野心的な矯正方法だと、半信半疑な感じであった。(大丈夫なのか?)

入れ歯は、上全体のものであるが、右側のブリッジの所と、サポートするために左側は透明で表はちょっと引っかかる様に、裏側は厚めに出来ている。総入れ歯の様では無いので、歯の裏側が厚くなる作りになっており、舌があたるので、さ行が言い難くて仕方がない。

依然、下の奥歯をインプラントにした時も入れ歯を作ったが、同じ様な状態になり2、3日でするのを止めて、半年間したの奥歯無しの生活を送った事がある。しかし、今回はルックスの問題もあるので、やらない訳にはいかない。

この状態が6ヶ月も続くと思うと、憂鬱だ。しかし、これで死ぬまで持つなら我慢するとしよう。(希望的に考えないとやってられない)

昨日、1月の第3月曜日は、学校が、Martin Luther King, Jr. の誕生日でお休みなので、上の娘とデトロイトダウンにオートショーを観に行ったのだが、それどころではなかった。

お昼から入れており、晩ご飯を食べるや否や外したのであるが、縛り上げられる拷問(うけた事はないが)から解放されて、チャクラが開かれる様(経験した事はないが)な開放感があった。(マゾ的には、結構いけてる感覚かも)

The Killing Machine

2011-01-17 07:09:20 | 新聞、雑誌から
アリゾナの銃乱射事件から一週間経つが、未だにトップニュースとして扱われている。アメリカ銃社会の恐怖や、言論の自由のあり過ぎなど、意味不明の展開を見せていたが、その方面では、少し落ち着きを取り戻してきた。本質は「気違いに刃物」問題であるのだが、日本でも秋葉原通り魔事件で7人が死亡している事を考えると、人間の能力を超えた道具(銃であったり、車(トラック)であったり)が存在する限り、このような無差別殺人事件は一定の割合で発生するのは、仕方ないと思われる。(アメリカの銃による殺人事件はここ数年減少傾向にあり、銃以外での殺人事件の半分位しかない)

さて、オドロオドロしいタイトルは、今週号(Jan 17-23, 2011)の Businessweek の表紙である。今回の事件で使用された拳銃が Glock 社のものである事は、このエントリーのコメントで触れているのだが、このオーストラリアの会社の記事をどこかで読んだ記憶があり、ツラツラと考えていたのであるが、この Businessweek の表紙を見た瞬間、少し前のやはり Businessweek に Glock の記事があった事を思い出した。

先ずは、こちらの映像を見てみて下さい。

Glock と Smith & Wesson Revolver で、18発づつ撃っているのですが、Glock が 4.82 秒なのに対し S&W リボルバーは、14.47 秒掛かっている。素人目でも、明らかに Glock の方が撃ち易そうなのがわかる。アメリカの軍隊、警察、そして一般人に人気があるのが良く理解出来る。構造がシンプルで扱い易く、過酷な条件でも故障が無い。その上、金属部分が銃身と、弾丸を居れる magazine だけで、残りはプラスチックなので、非常に軽く出来ている。

今週の記事 "America's Gun" は、$1B (約800億円)と言われるアメリカのピストル市場で、オーストリアの会社がどのように急速に伸びていったか、また、magazine と呼ばれるグリップの所に弾丸を込めるカートリッジの制限をしたために、逆に大容量の magazine が大量に出回った事など、比較的歴史的な重点で書かれていた。また、この銃自体の性能の良さもキチンと書いてあり、警官が死ななくて済んだ例などがでている。一方で無差別的な銃撃事件で使われる事も多く、今回の事件のように、一回で33発撃てる事で、死傷者が増えている事も書いてある。

さて、私が思い出した2年前の記事 "Glock's Secret Path to Profits" であるが、アメリカへの売り込みが、違法であった可能性を探った記事となっている。

どうも Businessweek は、Glock に対する偏執的な興味がある様だ。今週の記事の最後に、編集者の1人が来年 "Glock and its influence in America" を出版する予定があり、この原稿を元にした記事である言及してあった。

今回の事件で、Glock が規制されるのではないかと言う憶測があり、事件以来、売上げが二倍になっているそうだ。Glock は$500 程度で購入出来るし、純正の17発の magazine は$20位だ。(因に、純正ではないが、33発 magazine が売っていると記事に書いてったので調べてみた。$12.99 だった。こちら。グリップの倍くらい長くて不細工だが、撃ちではありそうだ。)容疑者は、この33発の magazine を2、3本持っていたらしい。最初の magazine を撃ち尽くし、入れ替える時に、タックルされて取り押さえられた。