YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

The Killing Machine

2011-01-17 07:09:20 | 新聞、雑誌から
アリゾナの銃乱射事件から一週間経つが、未だにトップニュースとして扱われている。アメリカ銃社会の恐怖や、言論の自由のあり過ぎなど、意味不明の展開を見せていたが、その方面では、少し落ち着きを取り戻してきた。本質は「気違いに刃物」問題であるのだが、日本でも秋葉原通り魔事件で7人が死亡している事を考えると、人間の能力を超えた道具(銃であったり、車(トラック)であったり)が存在する限り、このような無差別殺人事件は一定の割合で発生するのは、仕方ないと思われる。(アメリカの銃による殺人事件はここ数年減少傾向にあり、銃以外での殺人事件の半分位しかない)

さて、オドロオドロしいタイトルは、今週号(Jan 17-23, 2011)の Businessweek の表紙である。今回の事件で使用された拳銃が Glock 社のものである事は、このエントリーのコメントで触れているのだが、このオーストラリアの会社の記事をどこかで読んだ記憶があり、ツラツラと考えていたのであるが、この Businessweek の表紙を見た瞬間、少し前のやはり Businessweek に Glock の記事があった事を思い出した。

先ずは、こちらの映像を見てみて下さい。

Glock と Smith & Wesson Revolver で、18発づつ撃っているのですが、Glock が 4.82 秒なのに対し S&W リボルバーは、14.47 秒掛かっている。素人目でも、明らかに Glock の方が撃ち易そうなのがわかる。アメリカの軍隊、警察、そして一般人に人気があるのが良く理解出来る。構造がシンプルで扱い易く、過酷な条件でも故障が無い。その上、金属部分が銃身と、弾丸を居れる magazine だけで、残りはプラスチックなので、非常に軽く出来ている。

今週の記事 "America's Gun" は、$1B (約800億円)と言われるアメリカのピストル市場で、オーストリアの会社がどのように急速に伸びていったか、また、magazine と呼ばれるグリップの所に弾丸を込めるカートリッジの制限をしたために、逆に大容量の magazine が大量に出回った事など、比較的歴史的な重点で書かれていた。また、この銃自体の性能の良さもキチンと書いてあり、警官が死ななくて済んだ例などがでている。一方で無差別的な銃撃事件で使われる事も多く、今回の事件のように、一回で33発撃てる事で、死傷者が増えている事も書いてある。

さて、私が思い出した2年前の記事 "Glock's Secret Path to Profits" であるが、アメリカへの売り込みが、違法であった可能性を探った記事となっている。

どうも Businessweek は、Glock に対する偏執的な興味がある様だ。今週の記事の最後に、編集者の1人が来年 "Glock and its influence in America" を出版する予定があり、この原稿を元にした記事である言及してあった。

今回の事件で、Glock が規制されるのではないかと言う憶測があり、事件以来、売上げが二倍になっているそうだ。Glock は$500 程度で購入出来るし、純正の17発の magazine は$20位だ。(因に、純正ではないが、33発 magazine が売っていると記事に書いてったので調べてみた。$12.99 だった。こちら。グリップの倍くらい長くて不細工だが、撃ちではありそうだ。)容疑者は、この33発の magazine を2、3本持っていたらしい。最初の magazine を撃ち尽くし、入れ替える時に、タックルされて取り押さえられた。