YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

Sequester

2013-02-23 00:33:26 | アメリカ政治
昨年暮れ(正確には今年の元旦)に "Fiscal Cliff" (財政の崖)を回避する為に暫定法案を成立させ2ヶ月の時間稼ぎをしたのだが、結局その間に何も進展せず、再び "Fiscal Cliff" が迫って来ている。(施行予定日は3月1日)

前回、年収40万ドル(夫婦で45万ドル)以上を除きブッシュ減税が(時限的ではなく永遠に)延長されたので、今回は自動的な予算カット "Sequester" が話題となっている。

"Sequester" は、2010年の中間選挙敗北の後、2012年の大統領選挙まで予算、国債発行額の上限アップでゴタゴタしたくないオバマが持ち出したアイデアであり、このアイデアに基づいて法案が成立している。

先週末タイガーウッズとやったゴルフが芳しくなかったのか、週明け火曜日にいきなり共和党を非難する会見を行い、"Sequester" を回避しないと一気に景気が後退すると、得意の脅し戦術 (Scare tactics) を全開で始めている。

これまでオバマの術中に嵌まって分断寸前だった共和党も、今回は少しだけまとまっている様に見受けられる。理由としては、この法案自体に増税の要素が無く、予算カットだけであると言う事が大きいと思われる。予算カットといっても政府の特殊な計算方法なので、実際の歳出額は増えるのである。

オバマとしては世論を味方に付け共和党を揺さぶろうとしているのだが、今回はちょっと効き目が悪い感じだ。まず、元々オバマ自身が署名した法律のせいで危機が訪れると矛盾した事を主張している事、このまま "Sequester" が実施されても急激に景気が悪くならないとの読みが共和党にある事が挙げられる。

"Sequester" が実施されても大きな変化が無ければ、オバマのオオカミ少年振りが炙り出される事になる。

しかし、オバマは運が良い。現在、ガソリン価格が過去最高価格近いし、Social Security の税率が元の6%に戻った事で可処分所得の減少が顕著になりつつあり、不況の入り口感が出てきている。共和党がこの辺をどう見るかである。

個人的には共和党が妥協し、何らかの "Sequester" 回避法案が成立する可能性が50%という所であろうか。


過去のエントリー

Fiscal Cliff 回避法案可決 (1-1-13)
Follow the money (12-14-12)
余りに政治的なアメリカの Fiscal Cliff (11-27-12)

American President !?

2013-02-21 00:06:29 | 雑記


コネチカット州の小学校での乱射事件の後、ホワイトハウスは銃規制にご執心である。

アメリカではまだ過半数が、個人が銃を持つ事を憲法上の権利だと考えているので、銃規制論者は銃を毛嫌いしているくせに、必ずと言って良い程、自分たちも銃の事を理解しているが規制が必要でしょうという論法を展開する。

オバマもご多分に漏れず、銃規制が盛り上がってきたこの時期に、キャンプデイビット(大統領週末用別荘)では射撃を楽しんでいるというコメント付きでこの写真(撮影日は昨年の誕生日)を公表している。

射撃の専門家のコメントとして、散弾銃なのにライフルの様に構えており、何発か撃つと右手が銃身に近過ぎるので熱くて持っていられなる位置であると指摘されている。(その上、クレー射撃にしては狙いが低過ぎるし、動きが無さ過ぎる)シューティングベストを着てないのも不自然との事だ。宣伝用に撮影されたというのが丸出しである。(もっとらしくすれば良いのにというコメントもあった)

写真を見た瞬間に素人の私でも分かる位、とにかく格好が悪い。本人はシャープシューター気取りなのであろう。銃に対する理解などひとかけらも無いのだろう。憲法学者のくせに、憲法上の銃を持つ権利を説明としてハンティングに反対している訳ではないと、トンチンカンな事を言っていただけの事はある。

格好悪いと言えば、投球する姿も見難いものである。"Throwing like a girl" と皮肉られていたが、それでは女の子が可哀想だ。長年やっているバスケットはまあまあだが、その他アメリカンっぽいスポーツはどうも苦手の様だ。


Japan Probe Pops Car-Part Keiretsu

2013-02-18 10:38:51 | アメリカ自動車業界
現在、日米合同で行われている自動車部品業界のカルテル捜査は、この手の捜査としては最大規模であるとの事だ。対象は日系企業と一部ヨーロッパ企業だそうだ。アメリカの会社はその辺コンプライアンスが厳しい傾向がある。

一般消費者を相手にした独占企業の価格操作ではなく、自動車部品それも特定の部品群での談合で大儲けしようというわけではなく、安定的な受注と適正な価格の確保を目指したものである。アメリカ当局は、それでも消費者への不利になると言う大前提の元で捜査を進めている。

アメリカ当局の考え方は分かるが、日本人的にはちょっと違和感が残る。

これまで摘発された部品郡は、ワイヤーハーネス、防振ゴムといったもので、それなりの技術は必要だがブラックボックス化された所は全く無く、いくら共謀して高く売ろうと思っても、顧客である自動車メーカーはそんなに甘くなく、通常の利益を確保出来る程度だ。

日本語で記事を探してもなかなか詳細が分からないのだが、アメリカの記事では会社名や逮捕者の実名まで出てくる。("Japan Probe Pops Car-Part Keiretsu")

カルテルに関係した会社はコンプライアンスの強化を表明しているが、私が一番興味があるのが、服役した日本人達が出所後どのような待遇を出身会社から受けるかである。

会社の事を思い、あげくの果てに1-2年の服役をそれもアメリカでさせられた人々を、摘発された日本企業はどのように扱うのだろう?

上の記事に、以前取引で付き合いのあった人の実名が出ており、気になっている。

ジューイッシュロビー

2013-02-17 10:44:08 | アメリカ政治
アメリカ連邦上院にて共和党は、次期国防長官の承認を議事妨害(フィリバスター)の否決という議会上の手続きで拒んだ。

候補である Chuck Hagel は、元共和党の上院議員であるが、ブッシュ政権後期に外交政策への批判を強めていた。特にイラク戦争そに反対していた事で、大統領候補であったオバマと繋がりを深めた。

上院での承認公聴会で過去の発言が問題になっている。傑作なのは「アメリカ上院はジューイッシュロビーの影響を受けており、その圧力に屈する議員がおり、イスラエルよりの法案が作られている」というものである。具体的に誰の事を、どの法案の事を指しているにかとの質問に、ひとつも思い付かないという何ともお間抜けな回答をしている。

アメリカ政治のユダヤ人の影響については、その強大さ、陰謀がよく語られるが、実態はこんなものだろう。連邦上院議員が信じる程その幻想は大きいとも言えし、受けを狙っての発言であったりもするのだろう。

現実をきちんと把握しない人が「ジューイッシュロビー」などと実態不明なオドロオドロしい集団を持ち出して、考えを止めてしまう時のパターンだ。

最終的には Chuck Hagel は承認される見通しのようだが、共和党には断固として拒否して欲しいものだ。

フー・マンチュー

2013-02-12 20:27:29 | 非常に個人的な昔話
長い休みの時は髭を剃らない。

去年のクリスマス、正月休みは2週間も無精髭を生やしたままにしていた。休みが明けてマスタッシュ、ゴーティのコンビネーションに形に整えて、そのまま残している。

休み明けに、イギリス人の同僚に「フー・マンチュー」を気取っているのかとからかわれた。フー・マンチューが誰だか、どんな人相をしているのだかサッパリ思い付かなかったが、語感が愉快だったので家族に話しら、それから家ではそう呼ばれる様になった。(呼び名は愉快がっているが、髭はいつもの通り不評である)

昔から何だか妙に髭に憧れが有り、時々こうして生やすのだが、結局手入れが面倒になったり鬱陶しくなって剃ってしまう。今日は一日中会議だったので手持ち無沙汰で弄っていたら、案の定鬱陶しくなってきた。今週末にでも剃ろうと思う。

小学校3,4年頃の冬休みのある日、なぜだか親父の使っている電気髭剃りに突然興味を持った事がある。10歳そこらの男の子に髭がある訳が無いし、頭髪を剃るは出来ない。突然閃いて、眉毛、それも両方ともを綺麗に剃った。見事な剃り味であった。

眉毛の無い私を見た母は、ビックリと言うか呆れた表情で、その日、町に歳末の買い物に付いて行く私に眉墨で、眉を書いてくれた。

2012年 US 自動車販売と北米生産台数

2013-02-10 22:44:20 | アメリカ自動車業界
ちょっと遅くなったのだが、2012年を総括しておこう。

US 自動車販売台数は、14,492,398、北米(カナダ、メキシコを含む)生産台数は、15,422,946。

どちらも予想を大きく上回り、上出来であった。自動車部品業界のものとしては、年初にあちこちの大増産で生産キャパが足りなくなって、航空便を飛ばしまくった記憶が蘇る。

販売台数であるが、前年比で17%のアップである。最悪だった2009年に比べれば40%近いアップになっており、改めてリーマンショックの衝撃の凄さを思う。生産台数も同様である。

2011年に震災、タイの洪水で大きく落ち込んだトヨタ、ホンダの復活が著しい。何が売れているかピンと来ないのだが、クライスラーも随分伸びている。又、絶対数はまだまだ少ないのだが、近頃良く見掛ける VW の伸びも凄い。

ひょっとするとアコードを抜くかと思っていたヒュンダイのソナタは23万台と健闘したものの、33万台のアコードには遠く及ばなかった。アコードは12年モデルに続きフルモデルチェンジをした13モデルでも同じ様な値引きをしており、なり振り構わず売りまくったという感じがある。シビックも好調な上に、CR-V が28万台と予想外の売れ行きであった。

一番売れた乗用車はトヨタカムリで40万台、アコードも前述通り33万台で、この2車種でトップを争う気配であるが、今年のダークホースはずばりフォードのフュージョン。2年連続して25万台近くを売っているし、フルモデルチェンジをしたばかりなのでどこまで上乗せ出来るかに注目したい。

一時期、ミニバンと言えばホンダのオデッセイという感じがあったのだが、12万台しか売れていない。(良い年は20万台位売っていた記憶が有る)トヨタのシエナも同数くらいで冴えない。ダッジのキャラバンが14万台。やはり乗用車ベースの SUV に喰われている感じだ。CR-V の23万台だけでなく、トヨタの RAV 4 も14万台。これらよりちょっと大きな GM Equinox / GMC Terrain が計で31万台、フォードの Escape が26万台も売れている。(ヒュンダイの Santa Fe / Tucson 計で11万台)

目立った所では、昨年13万台と一息ついた感じのあったプリウスが23万台も売れている。ガソリン価格がガロン当たりずっと$3を超えているので、ハイブリッド、そして燃費の良いディーゼルの需要はこれからも根強いであろう。(VW 人気のひとつの要因はディーゼルが強い事にもある)

一方で小型車、例えばトヨタヤリス、ホンダフィットは前年より売上げが落ちており、燃費に関心が高いものの、ここまで小さい車はアメリカでは限界がありそうだ。

EV は GM Volt (純粋な EV では無いが)が2万3千台、ニッサンリーフが2012年も1万台を超えれな掛かった。走行距離が長いアメリカでは EV はやっぱり厳しそうだ。

今年の販売数は1500万台を超えると予想されている。政局大混乱で不況に突入でもしない限り達成出来そうな感じは有る。

Japanese Banks Seek To Fill Gap in Lending

2013-02-03 07:04:16 | 新聞、雑誌から
1月30日付けの WSJ に "Japanese Banks Seek To Fill Gap in Lending" というベタ記事があった。欧米の金融機関が不良債権の処理に忙しく資本不足でなかなか貸し出しが出来ないので、そのギャップを日本の銀行が埋めている状況があるとの内容だ。(この記事のリンクが見当たらず)

日本の銀行の国際ローンにおけるシェアは、1980年代には30%だったのが、2008年前には6%に下がった。現在は10%で、2000年代始めの日本経済が持ち直した時の水準まで戻して来ている。ここ一年でを見ると、日本3大銀行の国際ローンは20%増加している。

日本の銀行のバランスシートの25%は日本の国債であるそうだ。日本国内ではなかなか貸出先が無く、現金が積み上がっているし、国債値下がりのリスクが高まっているので、慎重ながら国際ローンを増やして行く方針は継続しそうとの予想されている。

日本の銀行も日本国債を買ってばかりではリスクも高くなるし、やって行けなくなるので、海外とはいえ地道に本来業務を拡大しているのであろう。

国債発行も安倍政権で急増しそうだし、いよいよ長期金利の上昇しそうな気配もある。国が破産しても経済活動が無くなる事はないので、盲滅法日本国債を買いますより良いだろう。

国内資産がまだまだ有るので、国債の発行余地がまだまだ有ると考えている人達は、日本が鎖国して無い事を認識しておくべきであろう。