穂村弘氏の最新短歌

2016-06-01 00:00:45 | 書評
最近、二つの雑誌で穂村弘氏の短歌に出くわした。人気歌人というべきか。

一つは新潮社の月刊書評誌『波』。今月5月号連載33回目のお題は「逃げる」。

 二十一世紀に変わる瞬間につるりと手から逃げた石鹸(穂村弘)

その記念すべき瞬間に、人々は大したことをしていないはずだ。入浴中に石鹸を手から取り逃がすという、まったくつまらないことをしていた人もいるはずだ。

穂村氏は、最近は固形石鹸をやめ、液体石鹸になったそうだ。楽だからだそうだ。切りかえる時に最後の固形石鹸に感傷の一首はなかったのだろうか。22世紀には固形石鹸はないだろうというのが氏の未来予想。

実は、私は固形石鹸を使っている。体を洗うのにボディブラシを使っている関係で、ブラシには固形石鹸の方が似合う。


次に、Wedge誌2016年5月号。この雑誌、専門記事は正確とはいえないように感じることもあるのだが、短歌は関係ないだろう。今月のお題は「ICカード」。歌人も大変だ。

 入場もできないほどの残額にならないようにチャージする蟻(○○ミ來)

このチャージ額だが、なんとなく最初は小金額(2000円)で始めるのだが、5万円入れて使い始めると、気が大きくなる。入金も1万円単位になるものだ。自動チャージにした方がいい。

 賽銭の横に小さく予告状、もうすぐICOCA使えますよと(片山○○)

実話か空想か。想像を超えた未来の図か。先日、結婚式のスピーチを頼まれ、近い未来には紙幣やコインといった実体通貨は消滅するだろうと予言。そういえばお祝儀はネット銀行で振替といったことになるのだろうか。

 これまでの全財産をチャージしたSuicaが猿の手に奪われる(穂村弘)

あわてるだろうね。お願い、このバナナと取りかえてください。

ある意味、戦前の日本がこうだった、全財産をあずけた郵便貯金が政府発行の戦時国債になり、敗戦後、米国占領軍の前に、無価値になりそうになる。お願い、交換できるものは何もないのですが、返してください。
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汚れた赤を恋と呼ぶんだ(河野裕著)

2016-05-31 00:00:28 | 書評
「階段島」シリーズの三作目。一作目が「いなくなれ群青」、二作目が「その白さえ嘘だとしても」。書名としては二作目の続きのようなイメージだ。

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実は、読み始めてしばらくは、大いにとまどうことがあった。登場人物の名前は全二作と同じだが、そのキャラクターが異なる。ずいぶん人間的(変な表現だが)な人物が登場する。しかも時系列的に全二作よりも数年前に遡っているようにも感じる(自信はないが)。

全二作では「階段島」という社会から隔絶された空間で、「魔女」によって現実世界の人間が、嫌いな性格を抜き取ってしまい、その「嫌な性格の第二のわたし」達が集団生活をしているわけだ。だからこそ純粋性格の高校生たちの美しい物語が描かれる。

そして、ボケた頭にもやっと見えてくるのだが、第三作は、その現実社会の中で、自分の嫌な性格を魔女にどこかに持って行ってもらおうかどうかを悩む人たちや、失った性格の一部をもう一回取り戻そうと魔女を探す人たちの話のわけだ。

本来なら、こちらが表であちらが裏のはずが、転倒している。

だから、二作を読んだ人じゃないと、解読不能の書かもしれない。

そして、シリーズは、表と裏と今後別々に進んでいくのだろうか。よほど頭のいい人じゃないと振り切られるかもしれない。

まだまだ、シリーズの結末は先の方だろうし、現段階で評価をすることは控える。
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逃げたらどうなっただろう

2016-05-30 00:00:13 | 市民A
G7伊勢志摩サミットが終わり、街には安らぎが戻った感じだが、先週の始めに東京駅八重洲口から中央郵便局(KITTEビル)方面に行こうと、幅20メートルの横断歩道で信号待ちしていると、郵便局側に女性警官が10人ほど集まってきた。ちょうど9時の交代時間帯だったのだろうか。夜勤は男性がして、女性は朝からなのかな、とか考えながら、女性警官の先頭はモデルボクサーのような長身で筋肉質の遠目では美形に見えた。

となると、大きめのカバンを持っていたのだが、その中からデジカメを取りだそうとカバンに手を入れながら横断歩道の向こう側をみると、私の一件不審な行動をさっそく察知したらしく、すでに右手は腰の皮ケースにあてがわれているではないか。

お許しくだされ〜って感じだ。あわてて行為中断し、カバンを閉じる。

しかし、20メートルの距離で、水平撃ちして命中するのだろうか。女性警官乱射事件になってしまうのではないだろうか。

さらに、仮に爆弾持っていたら、そんなの銃撃していいのだろうか。

後で思ったのだが、慌てふためいて走って逃げたらどうなったのだろう。近くの私服警官に暴行を受けるのだろうか。私服である場合でも、抵抗すると公務執行妨害になるのだろうか。もっとも私服警官ってどうみても刑事だよね。
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植田正治写真美術館

2016-05-29 00:00:49 | 美術館・博物館
米子の南にあたる伯耆町にある「植田正治写真美術館」へ。地元出身の写真家を記念して美術館になっている。建物そのものがアートという趣向である。

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まず、地元のループバスもあるものの、目印の少ない道を運転すると、「カーナビがなければ来られない、あるいは途中で断念ということになるだろう」と確信する。カーナビすら信用できないほど曲がりくねった道を走る。

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そして、思っていた規模の5倍もの大きな美術館が登場する。個人の美術館としては破格の大きさだ。バルセロナのピカソ美術館より大きいかもだ。

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今回は、植田正治氏が70歳代(1980年代)になした作品を展示している。どうも60歳代に次々に実生活で不幸が続き、意気消沈していた彼を、まわりの人たちが支えて復活させた時代の作品だそうだ。(わたしの場合は意気消沈したら周囲の人たちは大喜びなのだろう。)

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そして、コンクリートの建物と雄大な農地と巨大な火山である大山(だいせん)。色々な角度で撮影を楽しめる。

ただし、あくまでも大山から噴煙が見えないあいだだけだ。大山は、一万年に一回ずつ巨大爆発を起こしていて、前回の爆発から一万年が経過している。日本には、爆発したらその規模や被害が想像できない火山というのがあり、その一つだ。火山灰は東日本まで届くだろう。
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鳥取じゃなく飛取で

2016-05-28 00:00:02 | しょうぎ
5月14日出題作の解答。

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動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

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鳥取シリーズにこだわっているのだが、将棋ネタにつながらないので、苦し紛れに鳥取ではなく鳥の親戚の[「飛取」にしてみた。「ひっとり」と読めばいい。おまけに名産の二十世紀梨に由来し、「持駒なし」。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数と酷評を記していただければ、正誤判断。
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「のどぐろ」一山

2016-05-27 00:00:01 | あじ
のどぐろは日本海を代表する高級魚で、なかなかメジャー優勝できないテニスプレーヤーが推奨したこともあり人気魚である(彼が推奨している衣料品会社の製品の方は高級品ではないもののイマイチだが)。

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そして大漁港の境港にある「境港おさかなセンター」に行くと、30センチ近い成魚だと3000円前後なのだが、その半分ほどの小さいものは、一夜干しで一山1000円程度で、いわば叩き売りといった感じだ。

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それなら、捕まえないで大きくしてから漁獲すればいいような気がするが、漁法的な問題があるのだろうか。あるいはもっと深い経済的合理性があるのだろうか。

といっても目の前にある一山4匹の方が、一本物よりも消費者的には合理性があるように思って、買ってしまう。干してあるとはいえ、生ものなので、以後二日間のおかずが同一メニューになる。

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そしてフライパンに「こげつかないシート」を広げて焼き始めると、脂が果てしなく溢れてくる。思うに、のどぐろの特徴は、味と匂いと両面がある。味を重視して匂いを抑えるように、十分に火を通してみた。

大きいのどぐろと変わらないと思う。食べる前に喉の中を確認したところ、やはり黒っぽかったのでニセモノではないだろう。
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にぎわう『とっとり花回廊』

2016-05-26 00:00:51 | 美術館・博物館
鳥取ツアーも後半だが、最も賑わっていたのが『とっとり花回廊』だった。地元の人と、中国、韓国からの観光客。

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「花を愛する」という行為は文化の高級化度合いを示すらしいが、実際には数値化が難しいのだが、確かにそうだろう。今、日本は水族館ブームだが、鳥取県民(交通警官は除く)は高級だ。

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中国や韓国には、こういったものが少ないのだろうか。となると、国家を含めた行政のレベルよりも人々の民度の方が高いことになる(というかそうなのだけど)。

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この回廊ということばだが、イメージ的に使われているのではなく、本当に回廊がある。敷地の中央に建物があって、そこから直角に四方に屋根付きの回廊があって、それぞれに建物がある。そしてその四つの建物が回廊でつながっている。上空から見ると、クルマのハンドル状に見えるわけだ。

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もちろん、ほとんどの花は、地上に「花畑」という形状に広がっていて、なんらかの温度コントロールが必要な植物が建物の中にある。

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そして、敷地の奥の方では、背景を大山(だいせん)とした、ポピー畑が美しい。カイバル峠を間近にするアフガニスタンのケシ畑を連想させる(行ったことはないが)。

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花の栽培でもしようかな、という考えが大脳のどこかから発生し、通常は、そういう思いつきは瞬時に消え失せるのだが、まだ脳内から駆除されていない感じだ・・
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皆生温泉のお風呂屋さん

2016-05-25 00:00:18 | たび
皆生(かいけ)温泉といえば、『蟹』と『色街』で有名という位しか知識はなかったのだが、米子と境港の間にあるではないか、と地図を見て発見。夏の昼間に行くとなると『蟹』も『色』も堪能できないので、日帰り温泉に立ち寄るという方針で調べ始めると、意外なことに、湯質について、あまり好意的な表現が少ない。

どうも「海水の化石」とかひどい表現もあるし、塩分で体がべとべとになるようだし、源泉かけ流しではないところは、消毒のにおいがあるとか・・

なんとなくネット上は作為的なものを感じないでもない。

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といっても、もともと計画外なのだから、深く考えなくてもいいわけで、海は見えないものの格安のスーパー銭湯「OU(おーゆ)ランド」へ行ってみる。

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温泉内では撮影しないことにしているので、パンフ写真を紹介だが、大規模施設なので、清掃はしっかりしているので、大浴場(おー風呂)も露天風呂も問題はどこにもない。

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湯質だが、べとべとなどしないし、無色だ。東京都内の大型施設の湯の方が塩辛いし、茶色だ。もちろん、温泉毎に湯質は異なるので、好き好きについては単なる個人的問題だし、比較するほど温泉めぐりをしているわけではない。ついでにチャポン派だ。

パンフを読むと、「創業120年の温泉供給会社」となっている。温泉の井戸元をやっていたのだろうか。近隣の温泉旅館などに供給していたのだろう。そして、近年になって、自分でも格安施設を始めたということなのだろう。つまり、「産地直売」方式。こういう産業にまで「サプライチェーンマネジメント」が浸透しているということなのだろう。
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妖怪都市、境港へ

2016-05-24 00:00:17 | たび
米子から日本海に向かうと突き当りが境港(さかいみなと)。遠洋漁業の町が妖怪都市に変わったのは、この町の出身の水木しげる氏の「ゲゲゲの鬼太郎」のおかげだ。具体的には水木氏の実家が海運業者であり、ここを仕事の拠点にしていたからだ。水木しげるロードからほんの3分歩けば、日本有数の大漁港である。

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まず、足を向けたのが「妖怪神社」。妖怪パワーをいただける場所だ。1億円寄贈すると本物の妖怪の仲間に入れてもらえる。その場合、妖怪相互銀行の発行する1億円札が必要なので事前に用意しておく必要がある。近くに鳥取銀行の妖怪ATMもある。

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そして、テレビで知っていた鬼太郎が歩いていた。究極のご当地キャラというべきか。こどもサイズかと思っていたらジャイアントだった。ゲタなど飛ばさなくても格闘技が強そうだ。少女と一緒に被写体となっているが、この少女の素顔は、まさに猫娘と同じ顔だ。

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その他にも後姿がねずみ男と同じ服装の女性も歩いていたし、観光客の1割ぐらいは妖怪世界から実世界に送り込まれたスパイだ。妖怪神社でお賽銭を払わない人や観光地で財布を使わない人間には空からカラスが落し物を見舞うことになっている。

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水木しげる記念館は水木しげるロードのほぼ一番先にあり、相当立派である。彼の一生を俯瞰できるようになっていて、基本的に楽天的な人だったのだなあ、と感心する。「水木」は本名ではなく住んでいたアパート「水木荘」から無断借用したもので、「ゲゲゲ」の方はこどもの時の「あだ名」だそうだ。自分の名前である「しげる」がきちんと発音できずに「げげげ」と他人に聞こえたようで、いわゆるパワハラに近い。

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一番感心したのが、妖怪のキャラ作り。戦争で片手を失ったのは既知のとおりだが、それでも有名になり始めたころから、片手でバッグを転がし世界各地に妖怪探しの旅に出ている。その回数、数十回。単に旅行に行っても簡単に妖怪に会えるわけでもないし、そもそも文献で調べるなら密林や荒野を歩く必要はないし、風景画を描くわけでもなく、そこが常人と違うところなのだろう。

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近くに山陰線発祥の地の記念碑があるようだが、正確な場所が検索できなかったのでパス。発祥の地と言っても山陰線敷設のための鉄道資材を陸揚げするために境港が選ばれたということだそうだ。軍事用語では橋頭堡だ。ノルマンジー上陸作戦など。
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絶景のはずの米子城が・・

2016-05-23 00:00:07 | The 城
鳥取シリーズは西部に移り、米子市周辺へ。


まず、米子城。鳥取県には、鳥取城と支城としての米子城がある。鳥取城は秀吉による飢え死に作戦にはまり日本史上最悪の落城となったことが有名になり過ぎているが、米子城についても、あまりいいことはない。

何しろ、金欠に泣き続けた城のわけだ。なにしろ天守閣を築き始めたのは吉川広家だが、完成前に関ケ原の合戦になる。実は広家は裏工作で大活躍して毛利家の存続には功績があるが、色々と板挟みになり、岩国城主ということに落ち着く。徳川にも毛利にも恨まれる。

ということで、米子城は城主を失い、豊臣家臣ながら東軍に寝返った中村氏が入城するが、これまたお家騒動とか色々あり、嫡男を得る前に病死し、お取りつぶしとなる。

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その後、加藤家を経て池田家が鳥取城主となり支城という扱いとなったのだが、実は米子城の方が大きいわけだ。しかも眺望は極めて美しい。そして明治維新となり、再び試練が訪れ、米子城はある家臣に数千円で払い下げられるも、維持困難となり、叩き売りとなる。叩き売り直前の古い写真が残っているが、結局、廃材扱いとして風呂屋の燃料となった。

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当時の城の残存物で唯一の物は、「はしご」。なぜ、はしごだけが残ったのかは不明だ。たきぎにするには、はしごの方が簡単な気がするが、おそらく、簡単にとりはずしして残せるものが一本のはしごだけだったのだろう。

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という財政的な不幸がつきまとう城だが、城の入口に到着したのは、夕方である。城まで車で行けるかと思ったが、地上から見上げた山の上に石垣が見えるが、どうも歩いて登るらしく、断念。翌朝のお仕事とする。

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一夜明け、最初に城攻めから始めるが、やはり駐車場は平地にあり、山道を歩く。たぶん、鳥取城のように「熊・猪・蜂」の三点セットだろう。散歩の人達から離れないように警戒しながら登るが、10年後には無理かもしれない。

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そして石垣を登り切ると眺望が開け、四方が望める。海と湖、山と人間の作った街。境港もかすんで見える。

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しかし、あまり絶景ではないわけだ。かなり黄色く霞んでいるが、これは鳥取砂丘のせいじゃない。前日の鳥取東部でもそうだが、空が黄色いのは、中国大陸からのプレゼントである「黄砂」の影響。気管支炎には悪影響だ。眼も痛い。

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そして、どうも米子城に天守閣を復元しようという計画があることを確認する。

前述の古写真が決め手になったのだろう。権威付けにはリアリティが必要で、架空の城では付加価値がない。たった一枚の写真で、その観光価値が高くなるのだ。しかし、財政的には不幸の連続の城なので、うまくいくことを願いたい。建設途中で、建設反対派の市長が当選して工事の長期塩漬けになったりして・・

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山を下り、境港に向かう。
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