YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

負け惜しみか、優越感か

2010-10-30 15:16:20 | アメリカ政治
オバマ大統領誕生の大きな要因ともなった若い有権者の投票率を上げるべく、現職としては初めてこの層の視聴者が多い "The Daily Show" (Jon Stewart がホスト、本業はコメディアン?)に出演した。(中間選挙は大統領選がないので、自分の党の支持層の投票率を上げる事が肝心)「ブッシュ政権のせいで」と言い出しそうなのを Jon Stewart に "Dude" と呼ばれて遮られ、相変わらずアメリカ大統領の権威を傷つける様な事ばっかりをやっているのだが、気になったのは「世間は知らないけど、いろんな事をやり遂げている」と言っていた事だ。

Jon Stewart も単なるオバマの負け惜しみと考えていたようで全然追求をしなかったのだが、ひょっとすると本当に「知られてはマズい事」をいろいろやっていて、思わず自分だけが知っていると言う優越感で口を滑らせた可能性がある。

数日前に読んだ本 "Lights Out!" の中で、エネルギー長官になった筆者が一番最初にやった仕事が、クリントン政権lの最後の数日に決定された議会審議を経なくてよい政策についての洗い出しという部分があった。(クリントン大統領には、大統領最後の日に乱発した恩赦疑惑もある。)

ホワイトハウスの権限は多岐に渡っており、行政府でありながら議会の承認を得ずに出来る事も多い。

また、議会で可決された法案にも、法案と全く関係無い条項が入っていたりして、大統領が拒否権を発動しない限り、ひっそりと法律が出来たりする。

ObamaCare が成立する前、オバマ大統領就任直後に通した景気刺激策のなかに、実は ObamaCare の一部を推進する法案が入っていた事が知られている。つまり、オバマ大統領と民主党は、 ObamaCare の議会での可決を段階的に仕組んでいたのである。(例えば ObamaCare が不成立であったも将来への布石を打っていた事になる)俗称 Death panels と呼ばれる組織で、どのような治療を行うか政府が決める役割。医療費のコスト削減には何らかの合理性、例えば、70歳以上のがん患者は痛み止めだけ(この例えはオバマも ObamaCare の宣伝に使っていた)とかを決める組織で、その行政組織の長は、先日辞任した Rahm Emanuel (ラーム・エマニュエル)大統領首席補佐官実兄で、そこまでやらなくてもという露骨さであった。

もし、オバマの「世間は知らないけど、いろんな事をやり遂げている」発言が優越感の発露としてでたのであれば、オバマ政権のこれまでやってきた事を洗い出し、今後は、ホワイトハウス及び各省のやる事を注意深く観察しておく必要がある。中間選挙で共和党が下院で過半数をとった場合、次期の議長就任予定の John Boehner は、公聴会でオバマ政権のやり方をチェックして行く事を公約している。これまでもいろいろとキナ臭い話題はあったのだが、オバマ政権のスキャンダル(具体的にはなっていないが)に発展する可能性の噂もある。そうなるとニクソン政権のウォーターゲート事件やクリントンの罷免騒ぎの様に、ホワイトハウスが機能不全になる。オバマ大統領就任以来、アメリカは国内の政治問題で大変だったがもっと大変な事になり、イランの核兵器問題等、重要な国際問題が放置される危険性がある。

中間選挙まで後3日、共和党は勝利するのではなく、民主党/オバマ政権の失敗による、棚からぼた餅的なラッキーである事を理解しているようである。下院の過半数獲得は、保守回帰の始まりに過ぎ無いのである。

自己嫌悪

2010-10-29 20:25:08 | 雑記


オハイオ方面に車で出張する時に、必ず立ち寄るトレド郊外のスターバックスに飾ってあった "Donald Trumpkin" さんです。本物よりふさふさして整っているヘアースタイルがチャーミングです。思わずブラックベリーで撮影してしまいました。2012年の大統領選挙に共和党から出馬しようかなんて言ってらっしゃるのは、ハロウィンが近いせいでしょうか?昔、クライスラーを再建した直後のアイアコッカにも噂がありました。何回か倒産を経験している"Donald Trumpkin" さんが今のアメリカの大統領に適任の様な気がしてくるから不思議です。(右のサイン切れてますが、"You are fired" と決まり文句が書いてあります)

さて昔からブログでの相性が悪かった英語日本語ニュース (ejnews) さんが、私とのコメントのやり取りで鶏冠にきたのか、数日間だけとして最新エントリーに追加特別記事で、私のコメントに対して特別サービスをして頂いているので、ご紹介しておきます。ここまで的外れに罵倒されると、逆に ejnews さんの事が心配になる位です。

馬鹿が移るのを恐れて、相手をしない様にしていたのですが、先日自分のブログを整理していて、「非常に個人的な昔話」の初回エントリーへの薄汚いコメントを再読し、激し憤りを覚えて反応してしまいました。

人間、嫌な事をすると異常なエネルギーを消費するようで、激しい自己嫌悪に陥っています。反省してます。もう二度としません。

ハロウィンという事で、オドロオドロしいアメリカを紹介されている英語日本語ニュース さんのブログを改めて紹介致します。

Happy Halloween!!

馬鹿は死んでも直らない!?

2010-10-28 13:39:21 | 政治の話題
なぜリベラルはリベラルになるのかは、育った環境だけでは説明出来ない事から、遺伝子レベルの研究が行われ、DRD4 遺伝子の一部が強く影響していると結論が出た。青年期に活発な社会活動を行う事で活性化(?)するらしい。("Liberal Gene" で調べるといろいろと記事が出てくる。出所は1つみたいだけど)この遺伝子を持った人が社会経験を通していろんな考え方に触れると、リベラルになる傾向があるそうだ。

リベラルはオープンであるとかいろんなアイデアがあるという事は納得出来る。但し、個人的なイメージでは、青年期のリベラルな考え方が形成されて行く過程のみに適用される感じである。一度凝り固まると、保守的なアイデアや人々に対しては敵対的で頑なになる様な気がする。また、いろんな意味で偏ってきて、リベラル同士でも仲間はずれや対立が激しくなったりする。(最近では、Juan Williams の件が端的な例であろう)

もしこれが本当だとすると、発病(?)するとリベラルは治癒不可能という事になる。アメリカの場合、集団発生を防ぐために先天的遺伝子疾患と認定して、羊水検査でDRD4 を検出したら合法的に中絶出来るという手もある。(リベラルはPro-Choice (中絶推進)なので、逆に、DRD4 がなければ中絶を本当にやりそうで怖い)

DRD4 遺伝子の他の働きも調査してもらいたいものである、例えば、嘘つき、暴力指向性との関連とか。


LIGHTS OUT! : Spencer Abraham

2010-10-27 16:59:19 | 書評
"lights Out!" は、ブッシュ政権で2001年から05年までエネルギー長官であった Spencer Abraham が、エネルギー問題を巡る10迷信(と言うか妄想)を切り口に、エネルギー、主に電力の現状と現実的な解決方法を提案している本である。

今年読んだ本の中では、一番面白い本であった。アメリカ事情が中心なのであるが、エネルギー問題はグローバルにならざるを得ないので、是非日本でも翻訳が出版されて欲しい。もしくは、日本のエネルギー事情をこの本のように総括的に理解出来、政策提言にまで踏み込んだ本が出版される事を願う。

まず、10の迷信である。

1)アメリカはエネルギー自給が出来る
2)ガソリン価格の急激な上昇は石油会社の陰謀である
3)地球温暖化は全く事実無根である
4)原子力発電は危険である(スリーマイル島発電所のように)
5)再生エネルギーは環境に負荷を掛けない
6)石炭、石油の時代から天然ガスの時代に突入している
7)CAFE Standard (燃費総量規制)を30%厳しくすれば、石油消費が30%が減る
8)高圧電線はガンの原因である
9)政府が正しいエネルギー技術を選び、補助金を出すべきである
10)マンハッタン計画(原爆製造)のような画期的なプロジェクトでエネルギー問題は全て解決する

彼自身は共和党出身であるが、事実をもとにエネルギー問題を論じているし、10の迷信も政治的な偏重はなく非常に冷静である。

まず、過去、現在、予想される未来の分析から始めている。例えば、1960年に20%であった石油輸入は2009年は63%、現在21%である発電の原子力の割合は2050年には0%、2005年から2030年でグローバルのエネルギー消費量は38%増える事等が述べられている。

エネルギー市場でも経済原則が働く事(当たり前ではあるが)、地政学上の問題、環境問題を危機として捉え、なぜ過去のエネルギー政策が上手くいかなかったのかを、議会、行政、環境団体、マスコミ、実業界、エネルギー省、最後に人々と、多方面に渡り複雑に絡み合った問題点を的確に指摘している。その上で、夢のような解決策はなく、現在実用若しくは実用確実な全ての技術を有機的に発展さす事で解決を図ろうと提案している。

2030年の発電量として、原子力発電30%、再生エネルギーと効率化で30%(水力5%、再生エネルギー15%、スマートグリッド等の効率化で10%)、石炭、天然ガス25%、クリーン石炭5%でバランスを目指す事を提言している。それぞれ利点と限界を明らかにし、提案の根拠を示している。

再生エネルギー、風力や太陽電池については環境にやさしいというイメージとは裏腹に、環境を含めて問題が多く、限界が示されている。

逆に、原子力の安全性と将来性について詳しい。(個人的に勉強になったので、不必要なまでに詳しく書いておく)

まず、危険性についてだが、原子炉自体の安全性、原子力発電所へのテロの危険性、核兵器への転用、核廃棄物の問題(但し、再処理をすれば核廃棄物は限りなく少ないとしている)を挙げている。地震の心配をしていないのはアメリカらしいが、これは原子炉自体の安全性と関連する。

まず、原発用の濃縮ウランの話から始まる。ウラン鉱石の濃度は0.7%、原発用として利用するためには3%に濃縮する必要がある。核爆弾にするためには90%まで濃縮する必要がある。これには莫大な電力と年月が必要である。イランが何年も核の濃縮に掛かっているのは、こういう事情がある。

原子炉は構造的に暴走できないように出来ている。最悪の事態となったスリーマイル島の事故でも、近辺で検出された放射線はチェルノブイリ事故で同じ場所で検出されたそれより少なかった。これは原子炉を守る構造と核反応の媒体(スリーマイルでは水)の違いによるものである。(チェルノブイリは全く違う構造であった。今ではロシアさえも暴走出来ない構造になっている)日本では原発からの排水の放射能について心配しているが、その話は全然出てこない。(日本の心配は的外れか?)

現在では、原発技術者さえ暴走できないような構造になっているので、万が一テロリストが原発を占領したとしても、そういう意味では心配ない。飛行機や船での体当たりも考えられるが、コンクリートの防護壁が強くてジャンボジェットが当たっても大丈夫らしい。(この映像でコンクリートの丈夫さがわかる)

使用済燃料には、核爆弾の原料となるプルトニウムが生成されて残る。(原子炉を活発に5ヶ月ほど運転すると比較的大量に出来る。北朝鮮はこうして核爆弾用のプルトニウムを取り出した)再処理されるとMOX燃料となり、高速増殖炉の燃料となる。現在、高速増殖炉に実用性が確立されていない。アメリカは、再処理自体をやめているので、使用済燃料は原発敷地内のプールで保管されている。(日本も結構、原発内に保管されている)再処理では医療用の放射線物質もとれる。(アメリカは医療用の全量をカナダからの輸入に頼っている)

アメリカでは再処理をしないので、使用済み核燃料を一括管理するためにネバダ州の地下に巨大な洞窟を掘り、氷河期が来ても大丈夫になっているのだが、未だに使用許可が下りていない。

現在アメリカでは104基の原発が稼動中だが、安全性の面から言えば今日のものに見劣りする。2030年に発電量の30%を賄おうとすると、50基の原発が新たに必要となる。スリーマイル事故以来、新規の原発建設がないので、アメリカでは製造技術がなくなってきている。これは行政側も同じあり、特に建設許可の経験者がいなくなってきている。

今後のことを考えると、同じ重量なら化石燃料の2百倍のエネルギーを発する核エネルギーを利用することは不可欠な事を強調し、エネルギーの現状、増え続ける需要、現在確立している技術、バランスの取れたエネルギー政策を迅速める事を強く訴えている。

"lights Out!" の日本語訳が出る事を期待するのと、資源エネルギー庁長官経験者なりが、同様な啓蒙的な本を出版する事を義務と感ずるべきだと思う。Spencer Abraham もエネルギー長官として、アメリカのみならず世界各国の事情を見ていること、公聴会での経験等を反映させており、そのことが現状分析、提言に深みと幅を与えている。

エネルギー問題を考える上で非常に参考になる一冊である。英語の読める人は是非。

アポロ 13:ジム・ラベル&ジェフリー・クルーガー

2010-10-27 08:35:48 | 書評
デトロイト郊外に日本人向けの雑貨屋さんっぽい店があり、古本も扱っている。漫画の方が多いくらいで、たいした品揃えではないのだが、文庫本に時々私のツボにはまる本がある。マイナーなものは価格設定も低めである。

先日書評エントリーした『ただ栄光のために』とか、今回の『アポロ13』は、2週間前に娘にせがまれて学習帳を買ったついでにそこで購入したものだ。『ただ栄光のために』が$0.49、『アポロ13』が$0.99、申し訳ないような値段だ。

さて、映画 "Appolo 13" を見たときから原作の "Lost Moon" を読んでみたいと思っていたが、ひょんなきっかけで翻訳本を先に読む事となった。随分昔に立花隆が訳した『アポロ13号 奇跡の生還 』を読んで、原書を探したのだがかなわず、読むアポロ13号は、不完全燃焼のままであった。

さて、『アポロ13』だが、会話や専門用語で訳のこなれていないところが多々あるものの、内容の重厚さに支えられて読み応えがあった。

原作は、アポロ13号の船長であった Jim Lovell とジャーナリストの共著になっており、Jim Lovell 本人も一人称での登場ではなく、事故全体のドキュメンタリーとなっている。

出だしの毒薬の錠剤(宇宙飛行士がいざと言うときに飲むと言う噂が常にあった)の話から、Jim Lovell の孫娘がアポロ13号の記念品を壊しそうになる最後まで、彼自身の個人的な経験や家族の事も上手く挿入されて、時代背景を上手く映し出している。

アポロ計画は、巨大なプロジェクトの割りに手作り感がある。Jim Lovell も高校生のとき手作りロケットを友人と一緒に打ち上げたりしている。アポロ13号が帰還した要因に NASA の素晴らしいチームワークがあったことは間違いないが、究極的には危機に直面したときの的確な咄嗟の判断をするクルーの力量も大きい。宇宙船の設計から関与しているからこそ次々に持ち上がる問題点に対応可能なのが、ひしひしと伝わってくる。

技術的な詳細とは別に全く知らなかった事実があった。月着陸船には、月面に設置する各種の計測機器の電源として小型の原子炉が搭載してあった。打ち上げに失敗して地球に墜落することも考えて頑丈な耐熱性のセラミック容器に封入してあったのだが、司令船の救命ボートとして地球の引力圏内まで戻ってきたために、地球に墜落する事となった。容器は衝撃に充分耐えれる設計であったが、念の為にニュージーランドの沖の深海に沈むように起動修正を行っている。(結果は書いてない。追記:フィージーの沖で漏れずに沈んでいる。詳細は、コメントで頂いたリンクで)月着陸船に載る位の小型原子炉の出力がどの様なものかは不明だし、原子力発電所から出た使用済みウランがどの位危険なのかは知らないが、究極のリサイクルとして電気自動車の電源に使えないものであろうか?

アポロ11号が月に着陸した夏、漠然と月に行けると思っていた小学2年生であった。アポロ17号以来、人類は地球の引力圏からもう40年近く抜け出せていない。今では考えもしないような事で人工衛星の恩恵に与っているのだが、宇宙開発も、実現しなかった21世紀の夢の一つになりそうだ。

火星は、もっと遠い。

2泊3日メキシコ出張

2010-10-26 05:47:35 | 雑記
今週は2泊3日でメキシコ出張、月曜日はただの移動日になった。目的地は Queretaro (ケレタロ)、デトロイトからだとヒューストンで乗換えが便利なのだが、今回は急だったので満席で取れず、メキシコシティーに直行便で飛んでバス、タクシーを乗り継いでホテルに到着。

ケレタロまで来てタクシーに乗るのにペソが必要になり、慌ててバスターミナルで両替。$1=11.80ペソ、後で調べたら為替相場では12.26ペソなので良心的なレートのような気がした。(帰りにメキシコシティー空港の両替レートをチェックしてみよう)最後にメキシコに来たのは一年前以上だったと思うのだが、その時は$1=10ペソと言う記憶があるので、ドルも全通貨に対して安くなっているわけではないようだ。(こんなところで強がって何の意味がある?)

アメリカの携帯電話は、自動的に切り替わってアメリカからとアメリカへの電話は簡単なのだが、メキシコへの電話はローカルと同じに掛けろというのでちょっと混乱。メキシコ人同僚の携帯へ電話するのに、メキシコシティー( Roaming Area (彼の携帯にとっての) )からだと045を付け、ケレタロでは本来の10桁のみにしないと掛からない。アメリカからだと国番号の後に10桁のみで掛かるので、未だ騙された気分だ。

メキシコシティーでは、出発前のバスの運転手さんが丁寧に教えてくれ、ケレタロではホテルのフロントのオネーチャンがこれまた丁寧に教えてくれたので、何とか連絡が付いた。

いつも思うのは、メキシコへに入国は超簡単で、入国書類の滞在先の住所もいい加減に書いても咎められた事がない。税関検査もランダムなのだが、基準はボタンを押して緑ランプなら素通り、赤だと検査、いつも笑ってしまう。

久しぶりに言葉の通じない国に来るとメキシコと言えどもいやがうえにも異国情緒が高まる。私も段々、正当な Ugly American になりつつあり、自分の欲しいもの、知りたいものがあるときは、英語でがなるようになった。これが不思議と効果的なのである。

空港からボルボ製のリムジンバスに3時間揺られ、オンボロのニッサン(Tsuru ?)のタクシーで40分で無事にホテルに到着。バスは256ペソ、タクシーは110ペソ、バスは飲み物、スナック付きでフルリクライニングの上に映画上映があるので、非常に得した気分、タクシーはバスに比べて割高な気がするが、こんなものであろう。

ホテルは、ハシエンタ(昔の農園邸宅風?)である。今回泊まるのは比較的新しい建築なので、別の地方都市で泊まった事がある本格的に古いものとは比べ物にはならないのだが、それでも情緒があってよい感じである。朝食つきで一泊1295ペソ(税込み)。メキシコではそれなりに高級ホテルであろう。

同僚とお客さんと合流して夕食に行ったのだが、高度があるせいか大して飲んでもいないのに酔いの回りが速かった。

えひめ丸、ポアゾンの似合ういい女

2010-10-25 05:01:51 | 非常に個人的な昔話
飲み会などで思わず語ってしまう持ちネタはいくつかあるのだが、そのうちの1つが宇和島水産高校の修学旅行ネタであった。

宇和島市には、母校である宇和島東、宇和島南、そして宇和島水産高校と3つ高校がある。百姓の出でインテリな私は、漁業は全く関係なく、また通学列車の中で宇和島水産高校の制服で堂々とタバコを吸う生徒(この生徒は八幡浜から通っていた)にビビったりして、宇和島水産高校は全然別の世界であった。しかし、それなりの情報は入ってくるもので、文化祭で学校特製のツナ缶売っているなど、興味をそそられる話題は何と無く知っていた。(水産高校へ行く友達もいなかったので、文化祭も行った事が無いのだが)一番、面白いと思ったのは、研修を兼ねてマグロ延縄をしながらハワイまで修学旅行に行くと言う話であった。70年代の田舎の高校生にとって海外に行く事のインパクトは強かった。

水産高校は全国に思ったよりはあるのだが、やはり特殊な学校なので、知っている人にお目にかかった事がない。(ハワイへの延縄研修は、海が穏やかという事でほとんどの水産高校が実施しているらしい)意外性があり確認のしようがない話題なので、私の人柄と合わさってガセではないかと疑う人が多かった。

最後にこのネタを楽しく披露したのは、90年代の終わりのロンドンのパブだったと思う。ロンドンのバブはラストオーダーで鐘を鳴らすのだが、鐘の音で水産高校の漁船のを連想しての事だったと思う。(ロンドンのバブへ行ったのは、その時が最初で今のところ最後)

披露した相手はPOISON(ポアゾン)の似合ういい女であった。アムステルダムのイタリアンフレンチレストランで鳩の小骨を吐き出す姿が様になる、海外で普通に働く日本女性のハシリみたいな人であった。偶然にも大学の同窓生。文学部出身と記憶しているが、たまたま夏の講義でとった電算機プログラム(その当時はそう言っていた)がキッカケでプログラマーになったと言っていた。

彼女とはアムステルダムで知り合ったのだが、その後ロンドンへ引越していた。

以前務めていた会社のヨーロッパ事務所がアムステルダムの世界貿易センターにあり、彼女のオフィスも同じフロアーにあった。ヨーロッパ事務所が一人事務所だったため、そこに務める同僚とアメリカから出張した私が一緒に出張で不在にする時に、何かをお願いしたのが、彼女と知り合ったキッカケであった。この出張の帰りにお礼にポアゾンを買っていったことで仲良くなり、食事や飲みに行く様になった。(いつも3人で、念の為)

アムステルダムの世界貿易センターはおしゃれではあるのだが、高層だが狭苦しいビルであった。エレベーターも小さくて、挨拶する前の彼女と相乗りになった事があり、ポアゾンの匂いがプンプンしていた。

味音痴で嗅覚も鋭いとは言えない私が何故、ポアゾンと分かったかというと、大学時代に付き合っていた女の子がつけていたからである。世の中で認識出来る香水が2つあるのだが、そのうちに1つがポアゾンでもう1つはシャネルの19番。20歳そこそこの小娘が普通にポアゾンをつけていた事だけをとっても、80年代の日本は異常であった。

当時彼女は40前くらいで、本当にポアゾンの似合ういい女であった。酔っぱらった勢いで、25歳のフランス人にアムステルダムを離れる時にバラの花束を贈られて言い寄られたとか楽しそうに話すので、私も女に持てない資質を全開にして、後2、3年で(女性として)終わりですから今のうちに楽しんで下さいなどと、盛り上がった。これが彼女との最後の飲み会であった。

2001年にえひめ丸が起きたとき思ったのは、不謹慎ながら、私から宇和島水産高校のマグロ延縄研修修学旅行のネタを聞かされた事のある人が、ただの与太話ではなく本当だったと思い出してくれるのではないかという事であった。

事故の後もネタとして登場さす事はあったのだが、えひめ丸の沈没で終わるので、話に怪しげな雰囲気がなくなり、亡くなった方の事が話し手、聞き手にもよぎるので重くなってしまう。最近は、披露する事も無くなってきた。


追記(11-13-10):YouTubeで永ちゃんの "Somebody's Night" を聞いていたら、歌詞の中に「毒薬(ポアゾン)の香りだけ、手掛かりの女」があるのに気が付いた。売野雅勇、良い詩を書くなー。

Jessie's Girl-Rick Springfield

2010-10-23 09:15:25 | 音楽関連
数年前に、Michigan State Fair で Rick Springfield の無料コンサートがあったのだが、無料という事で自分の青春の一部が穢されている様な気がして、ガッカリした事がある。(結局、行かなかった)

最近、自叙伝(本当に自分で書いているらしい) ”Late Late at Night" が出版をしている。このインタビューで、人生の紆余曲折について語っている。(61歳で、こんなにカッコ良い)ベビードラッグをやる変わりに浮気しまくっていたとか、端正な顔でクールにトンでもない事を淡々と受け答えしていた。

なんだかんだ言っても大好きな一曲だ。無料コンサート行っとけば良かった。


Juan Williams

2010-10-22 07:15:15 | アメリカ政治
Political Correctness (ポリティカル・コレクトネス)の話題が出る度に、黒柳徹子が「ハゲ」の事を「髪の毛が不自由な人」とやらかした事を思い出す。

アメリカのおける Political Correctness は明らかに行き過ぎで、逆差別が起こる様な社会を反映して過剰になっている。特に差別問題に過敏であるリベラルは、テレビ発言などでちょっとした問題発言があると異常なまでに反応する。個人的には、 Political Correctness を気にする人が一番差別意識が強いと思っている。(逆に一般的に差別用語と思われる言葉を何の気兼ね使う人は、差別意識が本当に強い人と、全くない人がいると思う)

昨日、NPRNPR のホームページ) が所属のニュースアナリスト Juan Williams との契約を途中で打ち切った。(打ち切り後の Juan Williams 本人のインタビュー)理由は、FOX NEWS に出演した際、「個人的な感情として、飛行機に乗る際にイスラム風の服装の人が同乗すると、気になる」のコメントが不適当という事である。

Juan Williams はリベラルである。黒人でパナマからの移民でリベラルという、リベラルにとっては理想のリベラルである。但し、ほとんどのリベラルと違って考える頭がある。以前、保守の代表的な政治コラムニストとして Charles Krauthammer を紹介したが、彼がパネリストとしてレギュラー出演する FOX NEWS のニュース番組で、Juan Williams はリベラル側の代表として頻繁に出演している。個人的には彼の意見に同意する事はほとんど無いのだが、論理がしっかりしており、紳士的でユーモアがあるので、いつも好印象をもっていた。(こちらは、今朝の ABC News のインタビューであるが、観てもらえば好印象を持つ理由が理解してもらえると思う)

NPR (National Public Radio) は政府の補助金(最近は寄付の割合が多い)で運営されているラジオ局である。南部の田舎でドライブするとニュースラジオは NPR だけにしか聞けなかったりするので地元の人にとっては貴重なラジオ局であろう。アメリカの放送局としては国際ニュースが充実しており、一時熱心に聞いていた事がある。但し、国内問題ではリバラル色が強い事もあり、段々と聞かなくなっていた。補助金が入った放送局の存在に疑問の声がずっと上がっている上に、最近では政治的にニュートラルで無くなってきているので、批判が強まっていた。

NPR は、Official Statement で、契約打ち切りの理由を説明しているが、興味深いのは、"Williams' presence on the largely conservative and often contentious prime-time talk shows of Fox News has long been a sore point with NPR News executives." の部分である。つまり、Juan Williams が FOX NEWS に出演している事が気にくわなかったと言っているのである。(この発表を書いた人は妙な所で本音が出て正直であるが、馬鹿であろう。これこそ政治的に不適当なコメントである)

FOX NEWS は唯一と言ってよい保守系の報道機関である故に、オバマ政権を筆頭にリベラルは毛嫌いしている。ホワイトハウスの品のなさで書いた事がある様に、一時期、 FOX NEWS をホワイトハウスから排除しようとした事がある。NPR が計らずも公式に FOX NEWS への不快感を示した事で、NPR への補助金が問題になるであろう。(今日、共和党の上院議員が補助金打ち切りを提案すると発表している)

リベラルは、リベラルが保守系と仲良くする事さえ我慢出来ないらしい。

表現の自由を根拠に、Juan Williams の契約打ち切りに抗議しているのは、何と保守系の放送関係者ばかりである。黒人の人道活動家、ヒスパニックの国会議員、リベラルのコラムニスト、未だに誰一人彼の擁護に立ち上がっていない。

話がややこしくなったが、NPR が Juan Williams の契約を打ち切ったという出来事は、Political Correctness の行き過ぎとリベラルの許容度の無さ、偽善を象徴している。

アメリカ中間選挙まで2週間

2010-10-21 16:34:55 | アメリカ政治
中間選挙まで2週間を切り、選挙活動が白熱してきた。2大政党体制のためどの選挙区でも「タイマン」張る事になるので、いやが上にも個人攻撃、誹謗中傷が激しくなる。20年も30年前の発言やら論文やら、学生の時に所属した団体とか、何でもありの状態になっている。

局地的な醜い選挙戦はどうでも良いのであるが、終盤に差し掛かってオバマ大統領が積極的に選挙応援に飛び回っている。年季の入った活動家らしくアジ演説(古いなー)は、さすがに胴に入っている。デタラメ、大嘘ばかりであるだけでなく、大統領としてあれだけ議会工作をして無理矢理通した Obamacare の宣伝も、景気刺激策の宣伝もない。理由は簡単で、$780B(約70兆円)の超大型であった景気刺激策は全くの不発で失業率は下がらず、Obamacare に至っては、実施され始めた法令が公約と全く正反対で、改悪になるケースが続発している。(改選を目指す民主党議員候補で、オバマ就任以来の法案成立を宣伝している議員は、ほとんどいない)2年前と変わらないスローガン、Hope & Change で、引き返す訳にはいかないと叫んでいる。

オバマのデタラメ、大嘘は今に始まった事ではないので驚く事ではないが、問題は大統領の立場を悪用して選挙民を懐柔、買収しようとしている事だ。

保険代が少ない変わりにカバーも最低限であるとか、重病の時だけ、子供だけと言った特殊な事情があり、マーケットしては小さいが多様なニーズに対応した健康保険が存在したので、個人も企業も選択肢がいろいろとあった。Obamacare では、最低カバーが決められたため、これらの保険の販売が来年から出来なくなる。しかし、不満の声が多く上がってきている事で、適用を棚上げする措置がとられた。オバマ政権は早速噴出した Obamacare の欠陥を、裁量行政で解決しようしている。

また、年金受給者に対して、必要のない物価調整分を上乗せする事を、選挙後の議会で可決する公約をしている。

オバマは、選挙演説をしたくて仕方ないのだろうが、誰のため、何のためにやっているのか自分でもよく分かっていないのではないかと思う。再選に向けてと考えられなくもないが、共和党が下院の過半数を取るとオバマの通したい法案は可決されなくなるので、大統領として行政権を最大行使して、自分の政策を進めていく事になる。共和党との妥協をする可能性は非常に低いので、議会からも保守傾向が強まっている世間からも強い批判が出続ける事が予想されている。

今回の選挙活動について、何らかの遠慮深謀があるのかと考えてみたりするのだが、馬鹿丸出しと考えた方がスッキリする。

better place

2010-10-20 17:05:07 | アメリカ自動車業界
電気自動車の普及に懐疑的な内容のエントリーを度々書いているが、現在の内燃機関の車に比べて航続距離が短い、充電時間が長い等、実用性が著しく劣るる事が、最大のネックだと考えている。

バッテリーを統一して、簡単に交換出来る様にすればある程度、解消するのではないかと考えている。ガソリンスタンドの変わりにバッテリースワップスタンドで、空のバッテリーを充電されたバッテリーと交換すれば良いのだ。

自動車業界全体としてはこのアイデアに懐疑的なようだが、同じ事を考えている人がいるもので、既に2007年に創立された better place という会社が、イスラエルとデンマークでそれぞれの政府のバックアップでネットワークを構築しつつある。オーストラリアと日本(政府の肝いりで、東京でのタクシーで試験的に実施)でのプロジェクトが始まる。

このアイデアに否定的な自動車業界の中にあって、ルノー・ニッサンのカルロス・ゴーンが例外的に、このアイデアを積極的に支持しており、スワップ出来る特別仕様になっている Renault Fluence (これって中身は Nissan Leaf ?)がこのスワップシステムの採用車種となっている。(Nissan Leaf は、スワップが出来ない設計)

但し、アメリカついては better place 創業者自身も未だ懐疑的で、小さな街乗り的な車では無く、SUVの様なサイズの電気自動車が開発されない限りの普及しないと考えている様だ。

市街地では、電気自動車の普及と二人三脚で、電気自動車の普及に不可欠なインフラとして急速に拡大する可能性も高いと思う。カーシェアリングでも、長時間のチャージの必要がなく回転効率が良くなるので、電気自動車の導入が進むだろう。

59秒でスワップ出来るらしい。電気自動車の充電の方法としては、これ以外にないと思う。(デモカーは、Nissan Leaf にしか見えない。右ハンドルだし)



しかし、フルチャージされたバッテリーで100マイル位しか走れないなら、私はやっぱり絶対にガソリン車だ。

やっぱり、グリップ

2010-10-19 07:01:18 | ゴルフ
シーズン終了に際し宣言した通り、ゴルフレッスンを受けてきた。

一時間のレッスンであったが、正味1時間半位であった。(月曜日の午後で、前後のレッスン予約なさそうでヒマそうだった事もある)半分は、私の考えているゴルフ理論を説明をベースにしたやり取りで、私の壮大な目標(来年スクラッチになりたい)とフォームを変えたくないという希望を、嫌な顔もせず聞いてくれて、早速、ビデオでのスイングチェックとなった。

相変わらず体の固いおっさんフォームなので、見ていて絶望的になるのであるが、さすがにアメリカ人のインストラクターだけあて良い所を見つけてくれる。それはインパクトの瞬間で、左腕とシャフトが一直線になり、右肘に少し余裕があり、(自分で言うのもなんだが)プロ様なインパクトになっていた。だが、その他は、滅茶苦茶とまではいかないが、自分でも恥ずかしいくらいのスイングであった。(ゴルフ仲間の1人が、私のアドレス(もの凄いハンドファースト)とスイングを練習場でみて、球に当たっている事がある種の奇跡で、打つだびに奇跡を起こしていると、誉められた(?)ことがある)

初回でもあるし、スイングをいじらないで欲しいという私の強い希望もあって、自分でも一番欠点であると自覚しているテイクバックでの下半身の動きを時間を掛けて直して行こうという事になった。(下半身が動かなくなって手だけでクラブを担ぎ上げてるので、ダウンで下半身がスパンアウトしてしまう)

と言いながら、早速右手のグリップを直された。ダウンの途中(右肘がスロットに入った所)からインパクトまでは、右上腕とクラブシャフトはスイングプレーン上で一直線になっていなくてはならないのらしいのだが、私の場合、右肘から先が随分上になっている。(結果的にスイングプレーンが出来ていない)そしてインパクトの直前に絶妙な調整で戻してきているのである。インパクトが安定しないはすだ。

自分でビデオを見ても奇妙なグリップだなーと思っていたので、異論はない。未だ半信半疑であるのだが、インストラクターの説明がこれまでに聞いた事のないものだったので、挑戦してみた。通常、正しいグリップを教える時は、から入るのだが、彼の場合、機能から説明してくれた。(結局は、同じグリップの形になるのだが)

右手でボールを遠くへ飛ばすというのだ。シャフトを右手で押しけるようにしろ。(下の写真の生命線に沿った線を、左手の親指の横)又、特に、人差し指の付け根のプレッショーポイントは、トップの切り返しで作ったシャフトのしなりをキープするセンサーの役目を担っているのでトップからインパクトまでは、常にプレッシャーを感じる様にせよと。(人差し指の根元の点)



これって、AJ Bonar の右手の意識と通じるものがある。

言われた通りのグリップにすると随分とウィークな感じになり、プレーン通りにテイクバックしようとすると、今まで(超ストロンググリップ)と違って右肘の自由がなくなるので、担ぐ上げる事が出来なくなる。但し、シーズン途中でフックが激しくなった時に、暫くウィークにしていたので、極端な違和感はない。直された直後に何発か打ったのだが、数発で慣れた。ものは試しで、一番苦手なドライバーも打ってみたが良い感じの球が何発かでたので、取り敢えず安心した。

家に帰って早速、素振りをしてみたが、テイクバック、ダウンスイング(ボールから2フィート位)で、右上腕がプレーンをなぞる事が出来る。インパクトでリリースするタイミングを、左手や右手で調整していたが、右手の平を意識するだけで出来そうだ。

1つだけ気になるのは、左腕のリードを気にしない事だ。(アメリカのゴルフ指導書に共通しているのだが)非日本人は、自然と左手が引けるのだろうか?この辺は、左腕の引き下ろし方で考えているが、右手のグリップが変だった時に考えているので、返らないヘッドを左手で無理矢理返すための苦肉の策だった可能性もある。しかし、右手の平でヘッドを意識出来れば、返りすぎる事はないので、よりヘッドスピードが上がるために必要な動きとも考えられる。

やっぱり、それも一番難しいグリップを直された訳だが、自分で試した事もあるだけに、今のところ納得している。月一回のペースで、一時間のレッスンを4-5回受けるつもりなのだが、少しづついじられて、全部直されそうな予感がある。但し、スイングを作ろうという感じではなく、矯正していこうというアプローチの様なので、拒否反応が少なそうな予感がある。次回聞いてみるつもりだが、彼の方針は、インパクトをいじらなくてよいので、インパクトまでの動きを合理的にしてやろうと考えているのではないかと思う。

ただ栄光のために:海老沢 泰久

2010-10-18 21:03:54 | 書評
この本は、巨人軍のピッチャーであった堀内恒夫の(選手の時の)ドキュメンタリーである。

巨人軍が9連覇をした黄金時代は、小学校から中学校に掛けてなので、それなりの記憶があるのだが、元々映像が少ない事で記憶を強化出来る機会がなかった事で、イメージがあまり残っていない。どちらかと言うと後に書かれたもので理解している事が多い。長島、王という圧倒的な存在があるので、堀内もその他大勢と言う感じで記憶になっている。

しかし、堀内に関しては、奇妙に覚えている映像がある。それは、もう選手としても終わりに近い頃のキャンプでのものだった。和やかな投手の守備練習で、緩いゴロを処理して一塁に送球するウォーミングアップみたいな練習だったが、堀内は後ろに回したグローブで両足の間を抜けてくるゴロをひょいとキャッチして、無駄のない動きで送球をしていたのである。

私は、スポーツ選手の余興でやる技が大好きで、例えばタイガーのウエッジでのリフティングとか、イチローの背面キャッチ等をみると、子供の様に(子供以上に)うれしくなるたちである。

巨人のエースだったというイメージだけしかなかった堀内が、そんな芸当を難無くこなすのをみて、ひょっとすると人とてつもない野球センスがあるのではないかと思った事を覚えている。(私もキャッチボールの時にまねてみたが、取る事は簡単だが、送球へ移る動作がぎこちなくなる)

堀内が高校生の時から野球センスが抜群で、プロに入っていきなり13連勝等のとてつもない偉業をさりげなくやっている事で、彼の凄さが分かる。一方で紳士たれと言われた巨人軍、特に川上監督が堀内を理解出来なかった事も納得出来る。

9連覇の頃は、巨人軍が圧倒的に強いため、その他の球団は親の敵の様に闘志剥き出しで挑んでくるなかで長年エースとして実績を残した堀内の偉大さが、淡々と書かれている。

淡い記憶にある古き良き時代の野球を思い出しながら、読んでいる間中、幸せであった。

作家の海老沢泰久は、昨年亡くなっている。昔、何冊かは読んだ記憶があるのだが、近藤唯之の様な、くさい表現が無くて、それなりの好感を持っていた。スポーツドキュメンタリーは、本の中でも一番大好きなジャンルなのだが、良い作品が余りに少ない。沢木耕太郎のスポーツものはストイック過ぎるし、大好きな山際淳司もちょっと甘ったる過ぎると感じる時がある。

現在、日本でどんなスポーツライターが活躍しているのか疎いのだが、読んでいる間こんなに幸せにしてくれる作家がいる事を望むばかりだ。

Young Guns - A New Generation of Conservative Leaders: Paul Ryan, Eric Cantor, and Kevin McCarthy

2010-10-17 21:28:04 | 書評
共和党の若手指導者3人を Young Gun のエントリー で紹介したが、彼等の共著である "Young Guns - A New Generation of Conservative Leaders を読んだ。

中間選挙に向けた宣伝要素の強い本だと言う認識だったが、全くその通りであった。3人の対談で始まり、それぞれの政治体験やワシントンでの経験、特にオバマ政権発足からの、民主党の横暴について詳しく書いてある。フェアであるのは、共和党の失敗についても素直に反省しており、自分たちの手で共和党そして国を、建国の理念にさかのぼって立て直すという強い決意を表明している。

具体的な政策については、原則論ばかりで詳しく記述されているわけではないので、具体性に欠けている事は否めない。共和党若手保守派に馴染みのない人にとっては取っ付き易く入門書的に読む事が出来るが、多少なりとも政治に興味を持っている人にとっては、完全に物足りない。

それなりの分量のある本であるが、出張の行き帰りの飛行機(正味2時間位)で読めた。英語の速読が急に出来る様になった訳ではなく、内容的に知っている事が多いので、スピードが格段に上がっただけである。自分がアメリカ政治を強い関心を持っている期間と重なっているし、基本的に自分と同じ政治信念がベースになっている事が読書スピードアップに貢献しているのだろう。

まあ、本の内容はどうでも良くて、中間選挙で共和党が下院の過半数を取った場合に、この3人には下馬評通り、いや、それ以上の活躍をしてもらいたいものである。

Michelle Rhee の辞職

2010-10-17 11:49:23 | 教育
このブログでも何回か取り上げた Michelle Rhee (過去のエントリーは、3/28/10, 7/3/10, 9/18/10)が先週、3年半務めたワシントンDC教育監を辞職した。(詳細は、前回のエントリーを参照して下さい)結局は、教員組合と痛み分けという事なのだと思う。彼女の辞職は、アメリカでの教育改革、特に公立学校システムの改革が限りなく不可能に近い事を暗示している。

ニューヨークのグランドゼロモスク問題とかで、不必要に地方の問題に口を出すオバマ大統領は、このお膝元のワシントンDCの件については、黙りを決め込んだままだ。"WAITING FOR "SUPERMAN"" にでている彼女や Geoffrey Canada 支持を表明しているのだから、禁を破ってでも、 事前に Michelle Rhee の続投を望むコメントを出すべきではなかったか?

昨日観た映画 "WAITING FOR "SUPERMAN"" で芋づる式に思い出した映画 "Lean On Me" 。アメリカの教育の虚しさと希望は、映画タイトルになったこの曲に詰まっている様な気がする。