YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

恋するフォーチュンクッキー、デトロイトver. Fortune Cookie in Love

2014-08-11 08:37:41 | Detroit Bankrupcy


補習校、領事館の方々のご尽力で作成されたと聞いております。地元デトロイターと日本人コミュニティがデトロイトの様々なランドマークで­一緒に踊ってます。デトロイト日本人コミュニティからデトロイト再興へのエールです。

元デトロイト市長デニスアーチャーが踊りの上手いのにビックリ。

閲覧数が増えると AKB の公式サイトにアップされるらしい。

デトロイト市、破産申請承認

2013-12-07 12:35:55 | Detroit Bankrupcy
今年7月のデトロイト市による破産申請が承認され、いよいよ処理が始まる。

承認された大きな理由は、負債額が $18B (約1兆8千億円)と巨額であり、通常の再建交渉では解決不可能であり、破産処理で一気に解決するしか方法が残されていないとの判断からである。

一番の関心は、年金をどうするかにある。

ミシガンの州法では地方自治体の年金の支払い義務は破産処理の対象外とされいるが、今回の判決では、連邦法では例外とされていない事を根拠に、年金の支払い義務を例外としなかった。

これまでにも破産した自治体はあるのだが、州法で守られていたり、その他の理由で年金の支払い義務に手付かずの状態であった。

公務員の組合は、年金が守られる事で財政が悪化しても減額等の見直し交渉に応じてこなかったが、今後財政再建を進める自治体では交渉せざるを得なくなった。破産してしまえば何も残らないからだ。

今後、州政府を含む地方自治体の年金も、給付額確定から拠出額確定タイプに移行すると思われる。究極的には、行き詰まりが確実な Social Security (国民年金制度)をどう改革するかが本丸である。

デトロイト市の現在の人口は70万人、一人当たりの負債額は $25,000 (約250万円)。何だか微妙な数字だなー。

デトロイト破産申請に至る歴史の誤解、その後

2013-08-09 11:46:57 | Detroit Bankrupcy
8月7日付け日経新聞、経済教室「デトロイト破綻の教訓」の記事、著者は矢作弘という都市政策の専門家である。最近の著作等では縮小都市が専門のようだ。

日本で一般的にデトロイトの衰退がどのように考えられているか分からないのだが、経済、産業を中心に要因を求めていくと勘違いが起こりそうだ。その上、都市再生の例として注目したりすると更に奇妙な事になりそうだ。

矢作氏は、人口の郊外流出による空洞化、製造業の転出による雇用機会の喪失を衰退の要因としている。当たっているのだが、これらがなぜ起きたのかについてはアメリカ自動車産業の歴史の上っ面を撫ぜただけのものになっている。

60年代から急激にデトロイトから人口が流出した理由は、アフリカ系アメリカ人公民権運動の行き過ぎによる暴動と、その後の民主党黒人市長の腐敗と黒人の被害意識を悪用した行政によるものである。汚職が蔓延り、前市長は現在刑務所の中だ。(デトロイト市を選挙区とする民主党連邦議員も同じ穴の狢だ。服役中の元市長の母親は下院議員である)そんな状況で、税金が郊外に比べて高くなり行政サービスが劣化したので人もビジネスも逃げ出したのである。

いくら郊外に人が流出してもデトロイト市を中心に経済圏が広がっているわけで、観念的ではあるがデトロイトの魅力は残ってきたのである。過去の自動車産業の繁栄は偉大でデトロイトに大都市として不可欠なものをもたらし、現在に至っても健在である。大学、劇場、美術館、スタジアム、プロスポーツチーム、歴史のあるユニークなレストランなど、アメリカのしょぼくれた地方都市では味わえないものが揃っている。

だからこそ、ここ数年デトロイトを再生しようする人々が政治にもビジネスにも出てきている。

但し、市財政は50年にも及ぶ衰退の負の遺産が大きすぎて、当然の帰結としての破産申請に至ったのだ。

破産申請後にデトロイト市に足を入れたわけではないが、一般生活においては特に変わった気配は感じられない。

しかし、影響は確実に出始めている。

破産申請から2週間が経ち、デトロイトではなくミシガン州を始めとする地方自治体の債権市場が騒がしい。まず足元のミシガン州のいくつかの郡、市では、投資家の要求金利が上がり、発行延期を余儀なくされている。他州の地方債でも予定より高い金利での発行になったりしている。

地方自治体の債権は、徴税権があるのでずっと安全だと考えられていたが、それでは追いつかない事がはっきり分かったので、$3.7T (約350兆円)の地方債のリスクに対する感覚が変わり始めている。

デトロイト市の債務は約18B(約1兆8000億円)と言われているが、そのうち約5B(約5000億円)は上下水道設備に関するものである。これらの債務は上下水道を利用する他の地方自治体からの使用料が担保に設定されており、その他の債務とは異なるのだが、ミシガン州から任命されている責任者は一緒に処理したいと考えているようだ。(デトロイト市の財政が本格的に厳しい事が報道されるようになって値上がりが著しい。今後大幅値上げがあるかも)

債権者にとってはメリットがないので可能性は低いらしいのだが、最も安全と考えられていた上下水道施設関係の債務も、もし一括で処理される事になると、本格的なパニックが起こりそうだ。

前回も書いたが、債権処理で一番の注目は年金債務を他の債務と一緒に処理できるかと言う事である。大都市としては初めての破産申請となるデトロイト市が大きく取り上げているのはそういう理由だ。もし、年金債務を特別扱いせず本当に整理出来れば、大きくて有名な都市が破産申請を始めるだろう。

結論が出るまでに最短でも一年半は掛かると予想されているのだが、節目節目で進展に注目が集まる事であろう。


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Detroit Bankruptcy (7-28-13)

Detroit Bankruptcy

2013-07-28 20:54:43 | Detroit Bankrupcy
フロリダでミッキーに散財させられている隙に、デトロイト市が破産申請を行った。随分前から財政的に行き詰まっていたのだが、厳しい決断を先延ばしにしてきていた。今回の破産申請は遅い位である。

破産に至る経緯については追々エントリーするつもりであるが、アメリカが注目しているのは破産申請の処理である。

以前にも地方自治体の破産問題については少しづつ書いてきたが、破産処理で一番関心が高いのがこれらの自治体公務員の年金問題(及び健康保険費負担)である。支給額を保証した年金制度は運用実績が予想より低いし財政から補填出来る余裕もなくなっているので、裏付けのない債務として膨らんでいる。

民間の場合は破産すればこれらがチャラになる。例外として GM, クライスラーは UAW の影響が強く連邦政府(オバマ政権)が深く関与し、組合に再建後の株式を譲渡する特殊で歪な処理が行われた。

破産申請についてこれから裁判所が審判を出してゆくのだが、連邦政府、州政府も財政支援をする気配は今の所ないので、年金債務も通常債務と同様に処理されていくと思われる。

オバマ大統領は今回の破産申請に関して、何もコメントを発表していない。関係無い所に首を突っ込みたがるオバマにしては珍しい。連邦政府が出来る事はお金を出す位しかないので、オバマ政権は本能的に避けていると思われる。(この判断は正しいのだが、他にも黙っていなくてはならない事は山ほどある)

この破産処理で、今後財政が厳しい地方自治体の方向性が決まる可能性が高い。

個人的には年金も他の債務と同じ様に処理する方向が望ましいと考えている。民間は拠出額確定型年金(401K)に移行しているのだから、地方自治体も支給額確定型の年金を見直す良い機会だと思う。

更には、このままだと間違いなく破綻すると試算されている Social Security, Medicare の Reform が真剣に見当される絶好にチャンスになる可能性がある。

破産申請後のデトロイトには出向いてないが、ダウンタウンでは今日も普通にタイガースの試合が行われていた。


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