YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

ARB - Just a 16

2013-09-19 22:27:38 | 音楽関連


"Just a 16, 本当は神もわかっちゃいない”

初めて聞いた時に、このフレーズに鳥肌が立った。

わかっていなかったり、何も知らなかったりすのが、不特定多数の人であったり、俺だったり、親だったり、マッポだったり、神だったり、日本人の宗教観をこんなに見事に表現した芸術は無いと思う。神も自分と同じであり、人生に意味を求めず、静かな無常観で満たされている。

英語として "a" が入るのが正しいかどうかは微妙な気がする。映像の歌い出しの所で "Jast a 16" となっているのはご愛嬌であるが、この辺も日本人らしい英語のスペルミスで微笑ましい。


Sixteen と言えば忘れちゃならないのは "初めてのキス"。



私も、みんなも、翼の折れたエンジェル、か。

デジャヴ

2013-09-18 22:45:33 | アメリカ政治
来年度予算(来月から)と国債発行上限引き上げ(来月中旬で上限になる)を巡る連邦議会での攻防が騒々しくなってきた。どちらも既視感バリバリなのであるが、過去とは状況が違っている。

なんと言っても議会闘争の焦点は Obamacare である。いよいよ10月1日より部分的に施行が始まのだが、既に弊害が出ており兎に角評判が悪い。

シリアを巡るオバマの迷走ぶりも支持率の低下として顕われているが、もっと深いダメージを残した気がする。

これまで共和党はなかなかチャンスを活かせず今回も直前までバラバラであったが、やっと団結感が出てきた。下院の過半数しかないのだが、民主党が牛耳っている上院とホワイトハウスに決断を迫るような法案を用意しているようだ。

オバマ大統領と民主党首脳は、これまで同様に政府シャットダウンの可能性をネタに共和党にプレッシャーを掛けているが、共和党もキチンと反論を行なっており、狼少年のような雰囲気になりつつある。

あと10日、共和党の学習効果と腕前拝見と言う所である。

シリア中間総括

2013-09-06 21:29:50 | 中東問題
先週はメキシコ出張、夜はやることがないのでホテルでずっとテレビを見ていた。英語チャンネルはニュースと映画しかなく、面白い映画がなかったので必然的にニュースばかり、いつもの Fox News だけでは無く、CNN International, BBC も併せて観る事が出来た。

今一番のトピックはやっぱりシリア関連で、G20開催が重なったこともあるしオバマ政権の迷走があるので、大騒ぎだ。

自分なりに現時点での全体像が掴めた気がしてきたので、ここで一度まとめておこう。そして暫くは成り行きを見守る事にする。

まず何でこんなにもこんがらがっているのかを考えてみよう。オバマ政権が対応を間違えた影響が、アメリカ国内だけでなく世界を混乱させているのが私なりの結論だ。

伏線は、昨年8月のオバマ大統領の "Red Line" 発言に遡る。大統領選の最中で、ロムニーが勢いを増していた時期のコメントである。オバマは選挙キャンペーンの一環として、化学兵器絡み、リベラルらしい人道的な考慮を示しながら、テロに対してタフな大統領を強調する気持があった。(本心では無く、只のリップサービスとして)

一方で、シリア内戦が始まって2年、始終ドンパチやっているわけでは無いが、シリアとは40年も交戦状態にあり一番正確な情報を持っているイスラエルが、今年に入って4回シリアを空爆している。アサド政権が、イランから供給された武器をイスラム系テロ組織であるヒズポラに渡るのを阻止する為だ。ヒズボラは元々シリアとイランの支援を受けており、反イスラエルを強く打ち出しているテロ組織である。シリアでもアサド政権側で戦っているとの情報がある。

イスラエルとしては、アサド政権が化学兵器をシリア自国民に使用するとかの人道的な理由ではなく、自国防衛の一環としてヒズボラを介してレバノン等に武器が流れない様にする為に限定的な軍事介入をしていたのである。

アサド政権が内戦をやりながらそんな事が出来るのかと思うのだが、イランが支援している事と、劣勢になったらテロ組織や隣国も巻き込んでイスラエルを攻撃して泥沼化させる意図がある。歴史的にも危なくなった中東の独裁政権は、矛先をイスラエルに向ける傾向があるそうだ。

又、シリアが内戦で収まらずイスラエルに攻撃を仕掛けた場合、アメリカが何らかの形で介入せざるを得なくなる。それはアメリカの中東でのポジションとしては最悪で、シリアの後ろ盾であるイランに対し、最大の懸念である核兵器開発阻止の選択肢が狭まるので、アメリカはイスラエルの限定的軍事介入に協力する事を決めたのだと思われる。

2007年にシリアの核施設をイスラエルが攻撃しており、アメリカは核拡散の防止と将来のイランの核施設攻撃の参考にしていると言われている。また、アメリカ軍がイラクから撤退した事でイランのシリア支援が可能になった事もあり、アメリカとしてはイスラエルに借りがある状態になっている。

イスラエルも、シリア内戦が長引き段々と自分たちだけは重荷になってきたのでアメリカの応援を頼んだのだろう。

イスラエル首相との仲が悪いオバマであるが、リビアでの失態もありテロの拡大には敏感になっているので、イスラエル協調を決定したのであろう。

但し、大っぴらにイスラエル支援の為にシリアに対して軍事介入をするとは言えないので、化学兵器の使用を理由にしたのだ。アサド政権へのメッセージだとか、反政府を利する為ではないとか、アサド政権を倒すつもりでないとか、支離滅裂で歯切れが悪いのは、本当の事を言えないからだ。オバマが8月31日の声明で軍事介入に緊急度はなく明日でも、一週間後でも、一ヶ月後でも効果があると言ったのは本当なのだろう。つまり、その間に化学兵器が使用される事など念頭に無いのだ。(将来、この辺の発言の辻褄合わせにもオバマ政権は苦労しそうだ)

シリア内戦での正解はなさそうだが、イスラエルにしてもアメリカにしても、シリア内で化学兵器が使われようがそんな事には基本的には関心がなくて、だらだらと内戦が続き、テロ組織自体の潰し合い、アサド政権への支援をし続けるイランの消耗が、この時点での最適解だと考えているのだろう。

アメリカは、リビアでカダフィを殺した時の様にフランスを矢面に立てて、静かにイスラエルを支援すれば良かったのだ。アサド政権が化学兵器を使用した事で、図らずも錦の御旗を手にし、つい力んでしまったのだろう。

特に、ケリー国務長官の舞い上がりぶりはこちらが恥ずかしくなる位だ。8月30日の力強い記者会見では今にもトマホークを発射する勢いだった。隠密行動を取りたいイスラエルにとっては考えられない展開になってしまったので、アメリカに対して文句が出たのだろう。どんな了簡で騒ぎを大きくしているのだ、と。

オバマ政権としてもまずいと思い、連邦議会への合意を得ると言う奇策で時間稼ぎに走ったと言うのが現状であろう。

アメリカ国内、国際社会ともに冷ややかなのは、オバマ政権のアサド政権への非難と軍事行動計画に統一性が無くからだ。化学兵器使用という人道的な理由での軍事行動というのなら、部隊をシリアに投入して(Boots on the ground)化学兵器の確保出来る作戦が示されない限り、誰も納得出来るはずがない。

突然オバマ大統領に責任を押し付けられた形になった連邦議会の対応も情け無い。オバマ大統領は議会の賛成がなくても、戦争(とは言っていないが)を始める権限があると強弁し、もし否決されても行動するといっているので、採決自体がナンセンスになっているので、堂々と放棄すれば良い。

現在、議会がどちらに転ぶかは混沌としているが、もし承認されてもオバマは行動を起こさない可能性が高い。化学兵器の使用を止めさす為の行動と言い張る限り、トマホークと空爆のみで製造設備、保管場所等を徹底的に破壊するつもりなら、シリア市民を大きく巻き込む事になるし、化学兵器を安全に確保するつもりなら軍隊を進攻させなければならない。

どちらもオバマはやりたく無いので、今頃、一所懸命軍事行動を取らなかった場合の言い訳を考えている事であろう。表舞台では、オバマ大統領が議会工作、ケリー国務長官が同盟国の説得に回っているが、付き合わされるアメリカ市民、各国外務官僚も良い迷惑だ。(今週火曜日に、オバマ大統領の国民に向けての演説が予定されている)

いい訳でなく、善後策をきちんと検討して欲しいものだ。

今更だが、オバマ政権の外交能力は余りにも酷過ぎる。今頃イスラエルとサウジ等の親アメリカの中東の国々の首脳は苦虫を噛み潰したようになっているだろうし、イランは高笑い、ロシアは面白半分にアメリカをおちょくっている。

アメリカが行動に出るなら、ロシアはミサイル防衛システムをシリアに提供すると発言しているが、これはオバマに軍事介入を思いとどまらせる為のネタを提供してやっているのだろう。これでロシアにも借りを作る事になってしまう。オバマが任期中は外交で世界をリードする事は不可能になりそうだ。

それにしても、アメリカの政治家、メディアも、オバマの不手際(それは当たっているのだが)を非難するばかりで、しっかりとした分析が全く提供されない。

中東問題に関しては自分も含めて、結局、誰も分かっちゃいない、と謙虚に考えるしかなさそうだ。


関連エントリー

"結局、誰も何も分かっちゃいない (関連新聞記事追加 2-15-11)" (2-11-11)

Credibility on the line

2013-09-05 05:58:57 | 中東問題
"my credibility is not on the line. The international community’s credibility is on the line. And America and Congress’s credibility is on the line because we give lip service to the notion that these international norms are important. "

これらは、昨日、外遊先スウェーデンでの記者会見におけるシリアへの制裁(軍事)行動を米国連邦議会に承認を求めている事に対する質問へのオバマ大統領のへの回答コメントだ。

「私の信頼性が試されているのではなく、国際社会、アメリカと連邦議会の信頼性が試されているのだ」と真剣な顔をして、大真面目に、恥ずかしげも無く、のたまわったのだ。


"I didn’t set a red line; the world set a red line. The world set a red line when governments representing 98 percent of the world’s population said the use of chemical weapons are abhorrent and passed a treaty forbidding their use even when countries are engaged in war. "

オバマ自らが発言した Red Line(化学兵器使用の一線)についても、自分が引いた訳ではないと言っている。


アメリカ議会は、国家としてのアメリカ、アメリカ大統領(オバマ個人ではなく)発言の信頼性を損なわないようにするために、シリア制裁を承認する方向に傾いているが、予断は許されない。(オバマ政権は、議会の承認が得られなくても行動を起こすと、全く矛盾した事を今でも言っている)

シリアに関しては、既にオバマ大統領の信頼性は失われているで、泥縄対応するよりで戦略を練り直した方が良さそうだ。


日本も他人事ではないのだ、何をするか分からない独裁者が近くにいるし、シリア問題の後ろにはイランがおりホルムズ海峡、石油輸送の問題がある。

オバマ大迷走

2013-09-01 10:52:51 | ブログ探索
アメリカのシリア情勢への対応は、大混乱、大迷走の様相を呈している。

日米を問わず、ここまでの経緯と現況を一番分かり易くコンパクトにまとめてあるのが、極東ブログの『米国のシリアへの軍事介入案をどう見るか』であろう。

限定的軍事介入がシリアに対するメッセージであるというは感じていたが、「化学兵器を使用するな」では無く「イスラエルに手を出すな」だとは考えても見なかった。(当たっているかどうかは不明だが)

イスラエルの事を理解しないと中東の事は理解出来ないの事をヒシヒシと感じる。

オバマは戦争が嫌いな事が見透かされている。アメリカ大統領として戦争を始める権限があると凄んでみせたのだが、いざとなるとやっぱり尻込みしてしまったというのが現時点での顛末であろう。

アサド政権はアメリカや世界の反応を見る為に、化学兵器を限定的に使用したのかもしれない。今後の使用が無ければダラダラ内戦が続くと言う微妙なバランスが成立する可能性がある。

結果的には、大迷走した挙げ句に軍事行動を取らなかったオバマが正解だったと言う事になるかも。