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ロバート・ギブズ(Robert Gibbs)米大統領報道官 来月上旬辞任

2011-01-07 00:10:22 | アメリカ政治
2004年のイリノイ州上院議員選からオバマのスタッフとして働き、オバマ大統領就任以来ずっと報道官であった Robert Gibbs が来月上旬に辞任する事を発表した。今後、大統領の個人的なアドバイザーという何とも不思議な立場を続けながら、選挙活動のコンサルタント会社を立ち上げるとの事だ。

また、オバマとシカゴ時代から古い付き合いがあり、2008年の大統領選で重要な役割を果たし、現在大統領のシニアアドバイザーである David Axelrod もホワイトハウスを離れる事を表明している。

オバマに一番近いとされる選挙キャンペーンのプロ二人がホワイトハウスの雑務を外れるという事は、オバマが再選に向けて総力戦で臨む事が鮮明になった。

2008年のオバマの大統領選キャンペーンは歴史に残る程の大成功で、その他の要素もビックリする程味方して結局大統領になった訳だが、2012年はどうであろう?

この二人、ホワイトハウスの報道官、シニアアドバイザーとしては、お世辞にも上手くやったという評価はないであろう。特に Gibbs は、保守系の報道機関からは史上最悪の報道官との汚名を着せられていた。

肝心の再選に向けての戦略だが、Axelrod は最近のビジネスウィークのインタビューで、‘hope’ and ‘change’ を使い回す様な事を言っているので、オバマのイメージキャンペーンをもう一度やる気の様だ。

共和党が下院の過半数を取った事で、今後、‘hope’ and ‘change’ を邪魔する悪者扱いにする戦術を取れない事も無いが、果たして、アメリカ市民は、オバマの選挙キャンペーンチームに2度騙される程、馬鹿なのであろうか?

実績は自分の手柄、ミスは誰かのせいというオバマのレトリック自体の胡散臭さを、大統領選の鍵を握る所謂無党派中間層が嗅ぎ取っているだけに、厳しい戦いとなりそうである。

一番自分に近い二人を大統領選に備えてホワイトハウスを外すのは本末転倒とも言えるのだが、後任にはクリントン政権時代の実力者を据える腹づもりの様だ。但し、外交、特に中東、イラン、イスラエル問題は一触即発状態であるし、北朝鮮、アフガンと問題が多いので、比較的平穏だったクリントン時代の経験で乗り切れるかは疑問である。又、実務的には不手際が目立ったが、数年前までは未知数であったオバマに賭けた人々の結束で切り盛りしてきた事を、当のオバマやこの2人が過小評価している様な気がする。暫くホワイトハウスは落ち着かないだろう。

彼等はオバマを頂点とする選挙キャンペーンのプロ中のプロであったが、大統領の再選は手掛けた事が無いので、前回の成功体験が仇になる可能性は高いと思う。イメージだけではなく、良くも悪くも実績がある以上、選挙活動は煩雑になり、矛盾点を防戦せざるを得なくなり、どこかで破綻する危険性が常につきまとうと思われる。

もし、ヒラリーが民主党の予備選に出馬しなければ民主党の予備選にエネルギーをとられないので、その辺の対策をじっくり行う事が出来るだろう。(ヒラリー陣営とオバマ陣営は、何らかの協定が有る様な気がしてならない)アメリカにとって幸か不幸か不明なのは、今後のオバマの大統領としての決断が、全てに渡って再選を意識したものになっていく事である。共和党との強調での中道路線は、これまでの民主党単独超リベラル路線に比べればマシであるのだが、究極的には、オバマ再選はアメリカにとって、そしてそれは世界や日本にとっても不幸である事は間違いない。

大統領報道官の後任はまだ決まっていないが、Gibbs が辞める事で、毎日行われるホワイトハウスのブリーフィングが、もう少し上品で内容の有るものになると言う淡い期待はある。