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アメリカ連邦議会は幼稚園!?一般教書演説はお遊戯発表会!?

2011-01-24 03:30:09 | アメリカ政治
来週火曜日に行われる一般教書演説については、昨日も2012年の大統領絡みで考えたりしているのだが、全く違う次元で、壮大な連邦議員の大バカ振りが晒される事になるだろう。

一般教書演説は、Capital Hill、議事堂の下院本会議場で行われる。聴衆は、合衆国の三権と軍の首脳なのであるが、両院の議員の数が圧倒的に多い。通常、民主党、共和党に別れて座っており、両党の間で対立する演説内容だと、一方はスタンディングオベーションなのに、一方は押し黙って座っているという光景が見られる。(オバマ大統領が民主党なので、今回の場合も立ったり座ったり忙しいのは民主党議員)

オバマ大統領就任以来、昨年の中間選挙までは民主党が上院、下院とも過半数と占めており、独善的な政策を進めた事で、両党の対立が激しく、市井ばかりか議会でも鋭い舌戦が繰り広げられきていた。先日のアリゾナ州の女性連邦下院議員銃撃事件の背景に、このような政治的な土壌があったと、全く的外れな見解をコメントする民主党議員が多く、挙げ句の果てに、オバマ大統領が犠牲者のメモリアルサービスのスピーチで、今回の事件を政治化せず対話を進めようと呼びかける始末である。

そんな流れに便乗して、コロラド州選出の民主党上院議員の Mark Udall が、先ず連邦議員が範を示すために、一般教書演説では、従来の着席形態を止め、民主党と共和党でペアとなって超党派状態で着席しようと呼びかけ、実施される事になった。

ここに至り、アメリカ連邦議会は、幼稚園レベルである事を内外に高らかに宣言す事と相成ったのである。

Mark Udall 民主党上院議員は、自らの提案が実施される事を誇らしげに宣伝している。(オフィシャルサイトは、こちら。御丁寧な事に、自分の選挙区の議員にもこの提案を呼びかけようと嘆願書の雛形まで掲載している。)共和党もペアになる事を承知している議員がいるので、超党派で幼稚園レベルになっている。

両党入り乱れて仲良く着席する事を民主党がプッシュしている事について、昨年の中間選挙で、特に人数の多い下院で歴史的な敗北を喫したので、例年通りそれぞれの党でまとまって座っていると、対立している政策をオバマが発表した時に、スタンディングオベーションする民主党議員の数が少ない事がハッキリして、みすぼらしくなるので、全体に散らばる様にするための画策であると言う、穿った見方も有る。

日本でも生中継されるらしいので、民主党の超党派状態での着席作戦は、歴史的な全くお間抜けな見所の1つだと思う。

昨年の一般教書演説では、直前に出た、共和党有利と考えられている最高裁判決に対して、オバマは判決自体を批判すると言う品の無い事をした。最高裁判所判事は、慣習として無反応という事になっており、取り囲んだ民主党議員達がスタンディングオベーションをするで沈黙したまま着席していると言う、リンチみたいな光景が出現した。1人の判事がオバマの批判に対し、"Not Ture" と口を動かした事が話題となった。そんな事もあり、今年は保守派の何人かの判事が欠席を仄めかしている。

雇用と景気回復がメインテーマなので、これまでのパターンからすると、1つの話題の最後に、雇用と景気回復に結びつくという決まり文句が、唐突に全くの因果関係もなく挿入されるヘンテコリンな演説になると思われる。

慣習の1つとして、一般教書演説の直後に大統領の所属しない政党(現在は共和党)の代表(といっても基準がある訳ではなく、毎年話題性の高い州知事もしくは連邦議員等から選ばれる)が、対抗のスピーチをする。共和党の若手指導者3人の共著である Young Guns (民主党の似非仲良し作戦との対照的なネーミングが何とも皮肉だが)を紹介したが、そのうちの1人であるやっぱり以前紹介した事がある Paul Ryan が この演説を行う。財政の専門家で、現在下院予算委員会の議長であるので、財政規律と景気回復を行うために、小さな政府を目指すという方向性で、オバマ大統領の演説より中身が濃いものになるものと思われる。実質的にオバマにとっては2012年の大統領再選へのキャンペーンの幕開け演説なのだが、共和党にとってもホワイトハウス奪回への狼煙なのだ。本人は財政専門であり、大統領への色気は否定しているが、個人的には10年後とかの有力な大統領候補だと考えている。

2月6日のスーパーボールより、一般教書演説の方が面白そうだと思う私に、自分で笑ってしまう。(因にスーパーボールは、Green Bay Packers vs. Pittsburgh Steelers で、テキサス州のダラスで開催される)