YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

オバマ外交戦略の失敗と日本の集団的自衛権

2014-06-22 18:36:55 | 政治の話題
集団的自衛権の本質は、中東での軍事行動をする為の法整備であろう。日本も否応無しにイスラム過激派、テロとの戦いを意識せざるを得ないのだ。

オバマ政権は、『アラブの春』で、リビア、エジプト、シリアのイスラム過激派の台頭を、独裁政権に対する民主化運動と勘違いをして支援したので、今日のイラクの混乱を招いた。オバマは、ブッシュによるイラクへの侵攻が間違っていたと激しく非難していたが、同じ間違いを犯している上に、やっとの事で落ち着いたイラクから撤兵する事で、イラク戦争以前より悪い状態にしている。イラクの混乱は、シリア、イランに拡大してしまった。

アメリカの厭戦気分は根強いが、国際外交舞台でのオバマ政権のあまりの拙劣振りに、支持率が最低レベルまで下がっている。先週イラクへの軍事アドバイザーの派遣を決定してるが、何をしたいのかハッキリしておらず、取り敢えず行動をとったと言うアリバイ作りでしかない。

中東の石油が世界にとって重要なのは間違いないが、アメリカ国防上の重要性は下がってきている。アメリカは資源開発の規制緩和と移民政策を厳しくすれば、孤立主義に向かう事も出来のだ。

中東の石油に大きく頼っているのは、中国と日本だ。日本は石油資源を中東に頼る以上、今後いやが上にも巻き込まれてしまうだろう。

集団的自衛権の根底には、自国の権益を守る為には世界へ出て行かざるを得ない国際経済の悲しい運命がある。そして、世界経済を混乱させるのは、イスラム過激派が暗躍する中東の国々なのだ。

中東では、日本が軍事的脅威と意識している中国と共同で軍事行動をする事になるであろう。

日本が軍事行動、特に中東に関与したく無いなら、ロシア、カナダ、アメリカとの石油、天然ガスの取引拡大と原子力発電の再開でエネルギー源の多様化が必要になる。アメリカ一辺倒では回らなくなってきている天然資源の無い日本は、外交的に巧みに立ち回るしか無いのだ。

自衛隊が中東でドンパチは理不尽だが、日本だけ平和で高見の見物とは行かないのだ。悲しいかなその遠因は、オバマ政権の戦略が無く失敗続きの外交政策にあるのだ。

階級格差社会、中国、日本、アメリカ

2013-11-20 22:53:16 | 政治の話題
NHK の「クローズアップ現代」で模索する中国を取り上げており、中国の人気作家がインタビューで「階級社会」が生まれ衝突が起きている、とノンビリ語っていた。

中国が難しい時期に来ている事は理解出来る。が、人気作家が海外放送局のインタビューで政府批判が出来る事を考えると、まだら模様ではあれ圧倒的に豊かになった社会を中国共産党は非常に巧妙に運営しているのではないかと思う。

日本は、風土的に社会主義、共産主義を受け入れる土壌がなく、階級闘争を叫んでいた人々も最終的は日和ってしまい、バブルを経た後の閉塞感のなかで格差がそれなりにクローズアップされたりする。

アメリカは、親の収入、学歴、人種などで、統計的にも日本よりも階級格差がある事がハッキリしている。

但し、アメリカも日本も(そして中国も多分)、その壁を突き破る方法がキッチリとあり広く知られている。義務教育終了後真面目に働く、頑張って大学を卒業すれば、階級闘争などしなくても普通に暮らせる様になる。

豊かになった社会で階級闘争を叫ぶものは、それが真摯な善意から出たものであっても、人の産み出した富の上前をはねようとする輩である。

中国は分裂するとずっと思っていたが、共産主義を掲げたまま普通の豊かな国であり続ける可能性は高そうだ。

高級住宅、車、スマホ、海外旅行、ブランド品、人の欲望に際限はないが、最低限の衣食住が確保されれば、暴動も闘争も起きない。多分、中国でも行き倒れる人は皆無であろう。

アメリカ、日本、ヨーロッパ等で時々騒動が起きたりするが、ある種の余興であろう。中国で年何万件ものデモがあるとの報道があるが、命懸けの闘争では無さそうだ。

レベルの差こそあれ、豊かな事は幸せな事だ。

小沢一郎の無罪に思う

2012-04-29 00:33:05 | 政治の話題
海外に住んでいると、適当に日本の現実と離れているので日々のくだらない大騒ぎに巻き込まれなくてすむ。

小沢一郎は、今更、政治資金問題で有罪になるような間抜けではないと言う事だろう。

政治生命の総仕上げとして、民主党政権誕生を果たしたが、お気に召さない様だ。(自分の寿命を考えた末に、思いっきり間違えたのかもしれない)

テレビ等で見る限りでは小康状態を保っている様なので、色気が出て来ているのかもしれない。

じゃあ、彼が首相になって何が出来るのかを考えると、消費税アップの阻止と言う事になると思うが、それじゃあ、スケールが小さ過ぎやしませんか?

結局、巨大な影を持った(それは田中角栄であり、竹下であり、金丸であり、そして自作も含めて)ブローカー的な政治家、というのが私の結論である。


関連エントリー

月刊誌「文芸春秋」3月号 (2-21-11)
岩上安身 小沢一郎衆議院議員への単独インタビュー (1-22-11)
小沢一郎は西郷隆盛になるのか (2-13-10)
小沢一郎の変節?(陰謀説風) (1-26-10)

沖縄米海兵隊の岩国移転、なんちゃって

2012-02-09 10:45:42 | 政治の話題
これって絶対に有り得ない話だと思う。司令部だけの分離移転とか、岩国基地に厚木基地の機能が移ってくる事を考えると、(日本的には)戯言の類であろう。

「岩国移転を米側が打診した」との報道されている様だが、アメリカ側の協議担当者か誰かが、単なる思い付きを口に出しただけだと思う。

アメリカ人と働いた事のある人、やり取りをした事のある人は経験があると思うのだが、アメリカ人は発想が無責任に自由で、絶対に実現しそうにないアイデアを(日本人的には軽々しく)口にする事は、日常茶飯事である。

この傾向は、重要問題であれ、担当者が上級になっても同じである。重要問題なので、上級者なので、軽々しい事は言わないだろうと考える日本人特有(?)の先入観があり、アメリカ人の突拍子もないアイデアを、日本人が流さずに受け止めてしまう事が多い。その後、意味の無い右往左往が暫く続く事になる。

山口県知事の「火の無い所に煙は立たず」発言も、典型的な日本人的な誤解に基づくものであろう。

こんなアメリカ人のパターンも知らない人々が、アメリカと交渉をしてたり、報道をしていると思うと、暗澹たる気持になってくる。

皆様、ご苦労様です。

参議院予算委員会 (追記あり)

2012-02-08 01:20:31 | 政治の話題
先週から、急な私用で日本に一週間行っていた。(今は乗り継ぎ待ちで、ソウルのインチョン空港)

今週の月曜日は運転しながらラジオで、火曜日はテレビで、参議院予算委員会なるものの中継を見聞(?)した。基本的に喜劇であるのだが、みんなが真面目にやっているだけに悲劇の様相を呈している。

質問の内容がバラバラなので、首相以下、各大臣、日銀総裁と、日本の国家運営に携わる面々が、それぞれの担当部門での回答をする事になる。時間の無駄以外の何者でもない。分野を絞って、集中的に審議していったほうが、効率が良いだろうに。

肝心の質疑応答レベルは、高校生程度であろうか。

どう考えても、国会議員が行政を担当するのは無理であろう。現行の仕組みでは仕方ないのであろうが、専門性の高い官僚の言いなりになるのは当然だ。

テレビ中継では、居眠りしている人が何人もいて、尚更、心寂しさを演出していた。予算委員会は、花形で最も重要な委員会だと思うが、谷亮子が並んでいるのを見て、一層物悲しくなった。

日本は政治不毛地帯である事を初めて実感した。


追記 (2-8-12)

委員名簿を見ると三原じゅん子もいらっしゃいました。

テレビ中継で、ずいぶん女性が多いと思っ他のですが、片山さつき、猪口邦子も見かけました。テレビでは写っていなかったのだが、蓮舫も委員の一人です。

答弁では、小宮山洋子厚生労働大臣が一番まともな発言をしていた気がします。評判は今一のようですが、真面目で政治的でない回答が、質問者の男性をイライラさせている感じがあり、日本の女性の立場がそのまま反映している雰囲気でした。(「女はつらいよ」、ですね)

野田首相の受け答えも悪くはありませんでした。

ウィンストン・チャーチルの名言

2011-09-06 07:28:39 | 政治の話題
If you're not a liberal at twenty you have no heart, if you're not a conservative at forty you have no brain.

日本語版では、年齢が微妙に違っている。『25歳のときリベラルでない者は情熱が足りない。35歳のときコンサバーティブ(保守的)でないものは知恵が足りない』

日本人は、政治的に目覚めるのは遅くても良いが、転向まで時間が短い設定になっているのが、らしい。

後藤田正晴も同じ様な事を言っていた記憶がある。ひょっとすると、チャーチルの引用かも。

ハッキリした出典がないので、チャーチルの「架空の名言」としても有名なようだ。但し、チャーチルに言わせなくても、メッセージ自体が力強いので、違う人の名言になったりもしているようだ。

50にも、60にもなって、リベラルな発言をする人はみっともない。

世界中の財政危機で、リベラルの「おこちゃまアワー」は終わりそうだが、その代償は余りにも大き過ぎるかもしれない。

早起きしたら日本の次の首相が決まっていた

2011-08-29 05:04:02 | 政治の話題
事前の日本の雰囲気が全くわからず、事前に情報を収集しようと思っても、ニュースを読んでもブログをウロウロ探索しても、サッパリであった。但し、決選投票になる事は正しく分析しているものが多かった様な気がする。(小沢は終わったという事なのだろうか?)

で、野田佳彦ですか。唯一知っているのは増税派という事だが、これはマズいだろう。

一般会計歳入の半分を借金で賄っているのを増税で解決するとすれば、最終的に国民の税金負担は現在の倍になる計算である。アメリカもそうだが、日本も歳入の問題ではなく、間違いなく歳出の問題なのだが、議論がそちらの方向には行きそうに無い。

増税の方法として、一番手っ取り早いのが消費税アップだ。

日本の方々は、国の財政が大変だという事を重々承知のようで、財政再建の為に増税は仕方ないと思っていらっしゃる方が多い。(何かの世論調査の結果で驚いた事がある)よって、数%のアップは、割とスンナリと受け入れられると思われる。

だが、しかし、他の税収や消費が変わらないとして、単純に消費税を27%にしないと均衡しないのである。(2009年度で、消費税での歳入が約10兆円、国債での(借金による)歳入が約44兆円)

現実的には、段階的に消費税を均衡する所まで上げて行っても、今のままだと社会保障費は増えるし、歳入が増えると、何とか理由を付けて歳出を増やそうとする輩がわんさか出てきそうだ。最低でも財政均衡をセットにしておかないと大変な事になりそうだ。

増税派ということで、比較的長期政権になるという憶測があり(この憶測も凄いけど)、消費税の大幅アップと言う大仕事を成し遂げるかもしれない。(最低でも5%アップ?)

再び、アメリカの10年先を行きそうです。(それと、上では、未だに良く分からない特別会計の事には触れてません)

特別会計

2011-04-20 11:16:50 | 政治の話題
今更、日本の財政はどうなっているのと思って日本国勢図会〈2010/11年版〉をつらつら読んでいるのだが、とにかく複雑に出来ている。(私の頭が悪いだけか?)

一般会計、特別会計、財政投融資、地方財政、多分最初は意味があってこのような形になったのであろうが、簡単にする努力をせずに、より複雑にしたのは、単に継続性のなれの果てというより、複雑にしておいた方が、何かと都合が良いという意図がモロに出ていると思う。(2003/04年度版の日本国勢図会には、なんと特別会計は、一般会計、特別会計の歳出額の表に出てくるだけ。2010/11年版でも歳出の項目はあるのだが、歳入の明細は無い)

特に、特別会計は2008年の歳出ベースで約 4.4 倍もあり、再差引純計でも一般会計の約 2.2 倍になり、270兆円、GDPが494兆円なので、54%が何らかの形で日本政府が絡んでいる事になる。(但し、171兆円が国債整理基金で、国債の借り換えだと単純に考えると、残りは100兆円となり、特別会計の実質は、17兆円という事になるのだと思うのだが、思いっきり間違っている様な気もする。なぜかと言うと特別会計の年金だけでも76兆円あるので、こんな単純な計算ではないような気がする。(馬鹿丸出しの気分))

但し、イメージ的に経済の54%に日本政府の指紋があると言うのは、やっぱり違和感がある。20%(100/494兆円)は、何と無く納得出来る。

本で理解したい私としては、いろいろ探してみたのだが、『亡国予算』と『特別会計への道案内』位しか見当たらない。(チャンスがあれば読んでみたい)

経済学部などで日本の財政をキチンと研究している所はないのだろうか?

特に特別会計については、事業仕分けとか埋蔵金とかに問題を矮小化したり、個人の頑張りで解明するのではなく、シンクタンクみたいな所で徹底的に暴いてもらいたい物である。

私の好きな歴史経済小説に『大君の通貨』があるのだが、長崎奉行の幕府への為替に関する報告書が、異常に難解である描写がある。実態が分からないようにする事で、お手盛りを隠す手段であったであろうとの推測がしてある。特別会計は、正にそれの現代版の様な気がする。

普通の人が普通に考えて分からない様な財政は、絶対に怪しい所が隠されていると思われる。

政治家の唯一の商売道具「言葉」

2011-03-28 00:30:55 | 政治の話題
オバマ政権のリビアに対する対応は、ころころ変わっていて、戦争したいのか、人権擁護したいのか、良く解らないのだが、批判が高まった事を受けて、先週土曜日のラジオ演説(オバマになってビデオ演説になっているが)で、人権擁護という方向性で一所懸命、自己弁護をしている。

さて、演説の1分47秒頃に、"countless civilians" を救う事が出来たと自慢しているが、リビアの人口は、カダフィ側を含めても全部で642万しかいないので、”countless” を使うのは不適当であろう。

アメリカ大統領ともあろうお人が、こんな意味の無い情緒的な言葉を演説で使う事は、基本的に間違っている。以前からオバマのスピーチライターの資質に疑問を呈しているが、書く方も書く方なら、それを承認して読んでしまう政治家も政治家である。

政治家の唯一の商売道具は「言葉」である事を考えると、由々しき問題であろう。

さて、「言葉」が唯一の商売道具で有る職業として、アジテーターとか職業的左翼があるが、これらの人々は、意味の有る言葉を使う事と論理が成り立たなくなるという不思議な職業である。よって、意味も無く大げさで、情緒的で、感情的な言葉を連ねる事を生業とする奇怪な存在である。

残念ながら、"change" を掲げたオバマに "change" は無く、オバマ本来の生業として、唯一の商売道具「言葉」を使ってしまったという事であろう。

料理人には良く切れる包丁が必要だが、良く切れる包丁は殺人者も必要なのである。罪無き「言葉」”countless” に同情してしまう。

政治は変わらないのか?

2010-11-16 08:42:58 | 政治の話題
アメリカの中間選挙の分析(アメリカ人のも、日本人のも)を読んでいると、評論家、そして一般の人々も、政治は変わらないという考え方が根底にずっしりとある。政権交代、政策の左右(リベラル、保守)への振れは、循環的で、行ったり来たりと思っている人が圧倒的である。

これらの考え方から導かれる答えは、結局、何も根本的には変わらないという絶望(人によっては希望であったりするのだが)しかない。

いくら歴史を学んでも、人々の判断は自分の経験をベースにしか出来ず、政治における歴史とは、往々にして語り手が経験してきた時代しか繁栄されていない。自分の経験を超えた現象は、歴史に照らし合わす事をせず、自分の経験の引き出しに答えを求めようとする傾向が強い。

アメリカ、世界のおかれている現状が、第二次世界大戦後の比較的平和な時代の流れの一点にしか過ぎないのか、大きな節目に来ているのかを先ず考える必要がある。9/11 は従来とは違う恐怖をアメリカのもたらしたが、政治の流れへのインパクトという意味では、変化がなかった。

問題は、現在も循環に一つのなかなのか、全く本質的に違うものかという事である。私は、違うと思っている。それは、巨大な累積赤字が重くのしかかっているからである。金本位制をやめて40年、政府の信用だけで通用している不換貨幣制度が軋んでいるからだ。(”End the Fed" を読んだ影響も多い。やっと読み終わりそうなので、何とか今週には書評を書くつもり)

政治は、人々の暮らし、現在においては端的にお金をどうするかと言う話である。(暮らしと一言で言っても漠然としすぎるのであるがそれは取り敢えずおいておく)もし、選挙が、もし間違った方向性であったとしても、所謂民意を正確に反映しているとすると、今回の選挙で明らかになった保守回帰の流れが、2012年そして2014年を確実に強くなって行くと考えているからである。

保守回帰と言っても、「小さい政府」と言う漠然とした、人それぞれの思いがあるが、内政問題では、今まででは考えられなかったような福祉政策の見直し、例えば Social Security (国民年金)の一部民営ではなく、段階的な廃止さえも俎上に上がろうとしている。外交も軍事費縮小という方向からのの見直しを否応無しに迫られるのである。

アメリカの政治は変わる可能性は大いにあるのである。忘れては行けないのは、アメリカの保守には、憲法と言う還る場所が場所があると言う事である。

アメリカの保守回帰の動きは、絶対に日本の政治に影響を及ぼす。福祉政策の見直しがタブーでなくなったり、外交軍事的にはアメリカの軍縮が日本の軍拡を欲するという矛盾した形で現れる。

日本でも、右翼的なイデオロギーからでなく、本質的な保守的な政治理念の論議と真に保守を理解した政党(自民党なりの党派)の出現すれば、近い将来絶対に主流になれる。そして、それは絶対に必要なことなのである。

馬鹿は死んでも直らない!?

2010-10-28 13:39:21 | 政治の話題
なぜリベラルはリベラルになるのかは、育った環境だけでは説明出来ない事から、遺伝子レベルの研究が行われ、DRD4 遺伝子の一部が強く影響していると結論が出た。青年期に活発な社会活動を行う事で活性化(?)するらしい。("Liberal Gene" で調べるといろいろと記事が出てくる。出所は1つみたいだけど)この遺伝子を持った人が社会経験を通していろんな考え方に触れると、リベラルになる傾向があるそうだ。

リベラルはオープンであるとかいろんなアイデアがあるという事は納得出来る。但し、個人的なイメージでは、青年期のリベラルな考え方が形成されて行く過程のみに適用される感じである。一度凝り固まると、保守的なアイデアや人々に対しては敵対的で頑なになる様な気がする。また、いろんな意味で偏ってきて、リベラル同士でも仲間はずれや対立が激しくなったりする。(最近では、Juan Williams の件が端的な例であろう)

もしこれが本当だとすると、発病(?)するとリベラルは治癒不可能という事になる。アメリカの場合、集団発生を防ぐために先天的遺伝子疾患と認定して、羊水検査でDRD4 を検出したら合法的に中絶出来るという手もある。(リベラルはPro-Choice (中絶推進)なので、逆に、DRD4 がなければ中絶を本当にやりそうで怖い)

DRD4 遺伝子の他の働きも調査してもらいたいものである、例えば、嘘つき、暴力指向性との関連とか。


Fabian Socialism(フェビアン社会主義)

2010-10-06 18:30:17 | 政治の話題
「日本は世界中で一番上手に回っている社会主義だ」は、良く出来た冗談だと思っていたが、1942年に出版されたフェビアン社会主義のガイドブック(あくまでも、アメリカ向けだが)
"The Road We Are Traveling"を読むと、冗談ではなく真実なので背筋が寒くなる。

戦後の日本では、ガイドブックに示された13項目の計画ががキチンと実行されているのではないか!

リベラルで知られるアメリカの占領軍(GHQ)の影響なのか、日本が勝手に自走したのかは分からないが、お見事である。

1. Strong, centralized government. 強力な中央政権
2. Powerful Executive at the expense of Congress and the Judicial. 立法と司法を凌駕する強い官僚組織
3. Government controlled banking, credit and securities exchange. 政府による金融、株式市場のコントロール
4. Government control over employment. 政府による雇用のコントロール
5. Unemployment insurance, old age pensions. 失業保険と年金
6. Universal medical care, food and housing programs. 国民皆健康保険と食料及び住宅補助
7. Access to unlimited government borrowing. 上限のない政府の借金(無制限の国債発行)
8. A managed monetary system. 金融システムの管理
9. Government control over foreign trade. 政府による貿易のコントロール
10. Government control over natural energy sources, transportation and agricultural production. 政府によるエネルギー資源と農業生産のコントロール
11. Government regulation of labor. 政府による労働の規制
12. Youth camps devoted to health discipline, community service and ideological teaching consistent with those of the authorities. 青少年への健康的な生活、ボランティア活動の奨励と(フェビアン社会主義の)理想の権威者による教育
13. Heavy progressive taxation. 累進課税

フェビアン社会主義はイギリスで活動が始まったのだが、1940年代に包括的福祉国家化がほぼ確立したことで、活動としては終わっている。(但し、フェビアン協会はイギリス労働党の基盤団体として現存している)

フェビアン社会主義者が賢いと言うか、怖いのは、革命を通してではなく民主主義のやり方を上手く利用しながら、全ての経済活動を国営にしてしまおうという見事な戦略である。

2008年に書かれた記事 "Barack Obama, Fabian Socialist" で、筆者はオバマがフェビアン社会主義者であると喝破している。大統領候補の時も、大統領になっても(もう2年になろうとしている)、オバマの政治信念がまともに論じられる事は皆無であるが、これまでの政策を振り返ると、まさにこのガイドブックの通りにやっているとしか思えない。

早いうちから市民活動家として活躍しているので、活動家の方法論として "Rules for Radicals " を大統領になっても着実に実践している事は間違いない。また、法学部を卒業した弁護士で政治的野心が昔からあった以上、何らかの政治信念をずっと持っていたと思われる。

以前のエントリーで、無宗教であると言う推論から、Black Liberation Theology (これも結局、キリスト教の皮を被った黒人に迎合した階級闘争を中心にした社会主義)に根差した政治信念であると言う結論に達した。今までは、オバマが社会主義者である事に一応疑問をもっていたが、フェビアン社会主義を知るに至って、オバマは社会主義者(フェビアン社会主義)としか思えなくなった。

オバマは秀才なので、フェビアン社会主義をキチンと研究した上で自分の政治理念にしていると思う。そして、Black Liberation Theology への傾倒を誤魔化した様に、自分が社会主義者である事を上手にカモフラージュしている。そう言う意味では、民主党の超左寄りの現在の首脳陣よりも、ずっと過激な政治信念の持ち主であると言わざるを得ない。(フェビアン社会主義的な政策(例えば、ObamaCare)を売り込む時に、全く矛盾する雇用促進とか経済活動の活発化とかいったアメリカ市民に耳障りの良い言葉を組み合わせ、嘘でごまかしている)

イギリス、日本が、フェビアン社会主義的な国家になったのは、大恐慌そして第二次世界大戦という大混乱があっての事と考えられるが、オバマも、2008年リーマンショック後の大不況という混乱直後に大統領就任という大きな幸運を最大に利用して、着々と手を打っているのである。(先日辞任した大統領首席補佐官が、通常ではとても成立しない法案を通せるので、"No crisis to waste"(危機を無駄にしてはいけない)とコメントしている)

問題なのは、イギリスも日本も、フェビアン社会主義的な国家は、戦後の復興と言うラッキーな時期であったにもかかわらず、50-60年を経て行き詰まっている事である。社会主義者は、失敗例が出る度に制度が悪いわけでなく、やり方が悪いという結論を持ち出すのが常だが、今まで人々に豊かな生活を持続的に提供出来た事は無いので、根本的に間違った制度であると断定出来る。

もっと、気をつけなくてはならないのは、フェビアン社会主義はエリートによる全体主義なので、基本的に選民思想が内在している。つまり、社会が必要としない人々を抹殺する事に躊躇が無いのである。

オバマを社会主義者と定義すると、自由主義、民主主義の最後の砦であるアメリカが、今回の中間選挙、2012年大統領選挙とその後で、どのように巻き返すかが、アメリカだけでなく世界中の国々にとってどれだけ重要かが理解出来る。もし、アメリカで保守復活が無ければ、世界は最後の砦を失う事になる。50年後、100年後には、世界中の国々で民主的な手法で選ばれた独裁者による市民の合意を得た合法的な大量殺人(ジェネサイド)が普通に行われる世界が来るだろう。

日本は、少し先を行っているので(行き詰まっているのだが、方向修正が出来ずに突き進むという意味)、このままだと10年後には、「痴ほう老人の強制的な安楽死」といった類いの話が普通に論じられる事になりそうだ。

ベーシックインカムに大反対

2010-10-03 06:14:06 | 政治の話題
週刊エコノミスト9月21日号で、「ベーシックインカム」の記事を読み、同じく時期に 「Business Media 誠」でちきりんさんと赤木智弘さんの対談を読み、ボンヤリと考えていた。

元々は、2007年にフィリップ・ヴァン・パレイスの論文を紹介した評論家・山崎元の「ベーシック・インカム」を支持しますが、議論の発端のようである。有名人(?)としては、ホリエモンが支持しいる。

ベーシックインカムに大反対。絶対に反対が、私の結論である。

やはり、生物の基本は、働かざるもの食うべからずであると考える。

ベーシックインカムの考え方の根本には、「みんながそこそこ食える」状態という比較的豊かな生活があり、参加者全員がある程度の教育を受けている前提がある。しかし、ベーシックインカムのような間抜けなアイデアが生まれるまでには、人々が営々と築いたものがあり、ベーシックインカムを導入をしたらあっという間に社会が瓦解してしまうと思う。

日本の場合、既に存在している福祉政策をチャラにして、ベーシックインカム制度にすれば効率が良くなり、財政的にも成立するという議論が出ていたりするが、政府が福祉政策(年金も含め)に介入する事自体に問題があるのに、恥の上塗りの様な事をいう人々の気が知れない。

ベーシックインカムの導入で、雇用制度の改善が進むとか、起業家精神が活発になるという議論もあるが、本末転倒の最たるもので、気が狂っているとしか言いようがない。

私は密かにちりきりんさんのファンであったのだが、最近変な事を言う事が多くなってきて、ブログもだんだんつまらなくなってきた。「ベーシックインカムの世界」では、鋭い考察や「貧困などよりよほどオドロオドロシイものをみることになる」という結論は、さすがであるが、「精神の解放」をおちゃらけでなく本気で思っているのであれば、絶望的である。ベーシックインカム実現に見当外れながら懐疑的ではあるのが救いか?

ベーシックインカムのある様な社会では、ちきりんさんが、楽しみで楽しみで眠れなくなっちゃうくらいの「”よくやく”航空ビックバン?が実現する可能性はゼロだ。本人の中で矛盾していないのだろうか?

赤木智弘は、この対談で初めて知ったが、「今の若者は何も持っていないので失うものがないので戦争でも」という鮮烈なメッセージは凄みがあるが、富を再分配する事を政府に託してしまうリベラル指向が、現実認識の浅さ、思考の足りなさ、精神の貧弱さ、を露呈している。

ホリエモンは、給料と社会コストのアンバランスという証明の出来ない変な根拠でおもしろがっているが、基本的に社会進化論からの考察であり、アメリカで結構存在している「大金持ちリベラル」の匂いがプンプンしている。(ホリエモンって、無一文になったのだっけ?)

という訳で、ベーシックインカムに賛同する人は、根本的に何かが間違っており、今後、人物判断のリトマス試験紙として使えそうだ。

それにしても、ちょっとググっても、賛成派は結構、論理的でしっかりしているのに、反対派は幼稚なものが多く、議論したら賛成派が圧勝しそうだ。これは、典型的なリベラルの議論で、直感的に怪しくて、変だという事を屁理屈で理論武装しているだけだ。

乞食でさえ街頭で乞うという働きをするのに、食べていくために働く事を否定したら、人間社会ではなくなると言う単純な事が、何故分からないのだろう?複雑に働く人々がいるので、現在私達が手に入れている利便性が存在する事位、ちょっと考えれば分かりそうなものである。

世の中不思議な事を思い付く人がいるもんだ。そして、同調する馬鹿は万国に掃いて捨てるほどいるという事だ。

Term Limit

2010-09-07 11:25:46 | 政治の話題
日本では議員の世襲制の議論があるが、アメリカでは Term Limit、任期の制限についての議論がある。極論としては、政治をプロフェッショナルな政治家に任せる事への不信感が強い。

日本もいっその事、議員の連続任期を10年以下とかにすれば、世襲制廃止などと陰湿な議論をしなくてよく、スッキリする。(知事や首長も同様にする)

現在、国政にかかわる政治家は世襲、秘書、官僚出身、松下村塾と特殊な修行場にアクセス出来る人達で構成され淀んでいる。(例外は、スポーツ選手、有名人)いろんな所で任期に制限をつければ、国政を目指す政治家は、地方政治を鍛錬の場として、経験を積みながら這い上がってくる事が出来る。(勿論、いきなり全国大会出場も)

長引く経済不振や最近の円高で、経済界などからも政治に対する注文がでるが、この人達にも国政に参加するチャンスが広がると思う。リーダーシップやアイデアがあれば、どんどん参加出来る仕組みを作ってやれば良いと思う。



I have a Dream

2010-08-21 11:50:42 | 政治の話題
昨日のエントリーを書きながら、Glenn Beckが8月28日にワシントンDCのリンカーンメモリアルで行うイベントが、1963年8月28日に同じ場所で行われた、キング牧師の "I have a dream" 演説が有名な、ワシントン大行進のトリビュートとして行われる事に気が付いた。



演説が行われたのはリンカーンメモリアルの階段である。リンカーンメモリアルからワシントンモニュメントを見た事がある人は分かると思うが、アメリカの聖地があるとすればここしか無いであろうという場所である。

非暴力主義のキング牧師は暗殺され、暴力も辞さないと考えたマルコムXも暗殺され、黒人暴動があり、黒人大統領まで誕生したが、キング牧師の夢は、実現されていない。黒人公民権活動の指導者の中には(白人の公民権活動家というのは聞いた事が無い)、白人である Glenn Beck が8月28日にこの場所でエベントを行う事に対して、黒人に対する冒涜と憤るという的外れな批判をする人までいる。

"Restoring Honor"のタイトルで、宗教的でも政治的でもないととのことだ。個人的には、歴史的にインパクトのある希望と勇気の溢れるイベントになってほしいと勝手に思っている。