アメリカ政府の閉鎖の出口が見えない。その上10月17日には国債発行上限に達する見通しで、アメリカ国債不履行の可能性が話題になっている。
まずアメリカ政府の閉鎖、重要な行政サービスは行なわれているので普通に暮らしている分について今の所影響は無い。アメリカ国債の不履行も、財務長官ばかりか大統領までその可能性をほのめかしているが、絶対にありえない。10月17日以降も財政的にいろいろと出来る。(大統領が不履行を口にする事自体、理論的には罷免に値するらしい)
10月1日から始まった新年度の予算が連邦議会で承認されないので、政府が閉鎖になっているわけだが、既に共和党が過半数を占めている下院は何度も妥協案を可決して上院に送っているのだが、上院は採決すらしていない。
ずばり、今回(と言うより2010年中間選挙で共和党が下院の過半数を取得して以降)の混乱は、全て上院議長の
Harry Reid の責任である。
上院議長には法案を採決に掛ける権限があるので、どんな法律も基本的にはストップ出来る。大統領ですら拒否権を発行しても議会の3分2が再採決すれば法案が成立する。
民主党はオバマ大統領のダメージになるような法案を上院で採決すらしないと方針を貫く気らしい。民主党としては、政府閉鎖、国債不履行で不安を煽る事で共和党にダメージを与え内部分裂を誘発し、最終的に2014年中間選挙で上院過半数の維持と下院過半数奪取を目指している。オバマ大統領就任最初の2年の再現を夢見ているのだ。自分以外の選挙では、自分以外の選挙では影響力はさほどではないのだが、大統領の露出度は桁違いであり、国政選挙となる2014年の中間選挙の民主党の広告塔としての利用価値はダントツである。
民主党の総意として、やりたい放題の2年間が実現するなら手段は選ばないのだ。
余りの混乱振りに、オバマのリーダーシップの無さが話題になっているが、もともとないのだから仕方ない。連邦上院議員たった2年の経験で、右も左も分からないのに大統領になったオバマを、当時の上院機長の Harry Reid と下院議長の
Nancy Polosi が非常に上手に操ったのだ。それは今でも続いている。そして、オバマもそれで良いのだ。大統領としてチヤホヤしてもらえるだけで本人は満足なのである。
2008年の民主党大統領候補者選びで、2人の議長がヒラリーではなくオバマを選択した意味がここに有る。(党員選挙では決着がつかず、最終的には連邦議員の裁定となった)
オバマが操り人形である証拠に、2010年以降は何もしてない。(2011、2012年は再選キャンペーンだけだ)
更なる証拠としては、アメリカ国内の様に大統領の威光が効かず、脅しようもないシリア問題では、ロシアばかりかアサドのようなチンピラ独裁者にも手玉に取られている。(化学兵器の使用無くなったが、内戦は続いている)
今回の混乱では、共和党に出口戦略が無いとの批判が多いのだが、ひょっとすると出口戦略無しという戦略なのかもしれない。政府の閉鎖が続き、不履行の可能性が本格的になると、矛先は大統領向かうと思われる。
まさに今は我慢比べの時である。
共和党の戦略(?)が正しいかどうかは別にして、ここで敗れたら未来永劫共和党の復活は難しくなるだろう。