YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

$1,000,000,000 ($1 Billion)

2011-01-23 00:21:17 | アメリカ政治
ドルが安いので、約830億円にしかならないのであるが、$1,000,000,000 ($1 Billion) は、オバマが2012年の大統領選挙のために集めるだろうと予想されている寄付の額である。

2008年の大統領選挙選で、史上最高となる $745M を集めている事を考えると、驚く事は無いのだが、やっぱりビックリする金額である。2008年に敗れた共和党候補のマケインは $368M、2004年当選のブッシュは $367M であるので、2008年のオバマ人気が異様に高かった事を如実に示している。インターネットなどでの少額の献金が3分の2を占めていた事も特筆に値する。

ロバート・ギブズ(Robert Gibbs)米大統領報道官と大統領のシニアアドバイザーの David Axelrod が来月辞任して、オバマは、再選に向けての準備を本格化させる。オバマの選挙キャンペーン事務所は、地元であるシカゴに設置される事が既に決まっている。(David Axelrod の地元でもある)

オバマの側近中の側近であるこの2人がホワイトハウスを離れるのは、ホワイトハウスでの選挙活動が禁止されているので、要らぬ勘繰りをされないためと思われるが、これから、大統領の仕事より選挙戦を優先していくのはあきらかであろう。

ヒラリーが昨年暮れのコメント通り出馬しない場合、民主党内でこれと言った対抗馬がおらず予備選は無風なので、大統領選そのものに資金も活動も集中させる事が出来る。

昨年の中間選挙で民主党が大敗した事で、議会で法案を成立させて政策を進める事がほぼ不可能となった。よって、オバマは行政府の権限を最大限に使いながら自分の政策を実現しようと方向転換をしてきている。その決意は、前にも紹介した1月18日付けの WSJ に寄稿した "Toward a 21st-Century Regulatory System" でハッキリ自ら言っている。この記事自体は、親ビジネス的な雰囲気を醸し出そうとしているのであるが、図らずも議会を蔑ろにすると言っているのである。

政治家にとって最大の関心事は再選である。特にオバマの場合、再選されなければ基本的に上がりである。大統領就任直後は、必ずしも再選を目指さないとナイーブなコメントもあったが、中間選挙での大敗でオバマは、もし、再選されなければ ObamaCare の廃案の可能性が非常に高くなり、歴史上最悪な大統領になると言う屈辱を強く意識したに違いない。

中間選挙後、大統領首席補佐官にクリントン政権時代の商務長官を据えアメリカ商工会議所との関係修復を図ったり、昨年暮れのブッシュ減税の延長を行ったり、GE会長を Economic Recovery Advisory Board (景気回復諮問委員会)のトップに据えたりして、中道路線と親ビジネス路線を全面的に押し出しているが、これは偏に自分の再選のためだけと思われる。中道路線への変換イメージをアピールし無党派層の取り込みを画策し、親ビジネス路線で企業からの選挙資金確保を目指しているのであろう。

再選さえされれば、ホワイトハウスの権限を目一杯悪用(?)していろんな事が出来るのである。

来週火曜日に一般教書演説があるのだが、オバマ再選に向けてのキャンペーン演説と色眼鏡を掛けて聞く(見る?)方が、キチンと理解出来るであろう。

本質的に市民活動家であるオバマらしいのは、個人的な後援組織である Organizing for America でプレビューという小細工までしている。これまで何度も、最優先で不眠不休でやると宣言した雇用回復を、もう一度、最優先で不眠不休でやると宣言するつもりの様だ。

それにしても、大統領が個人的な後援組織のサイトで、一般教書演説のプレビューなんか発表して良いのであろうか?オバマ就任してからのホワイトハウスのサイトとデザインを統一しているようだが、意図的に個人後援会を公的なものと擬するインチキをしているのも、如何にもである。

オバマがインチキ臭く、詐欺師紛い(インチキ、詐欺師そのものといった方が当たっている)なのは今に始まった事ではないが、果たして $1,000,000,000 ($1 Billion) で、再選は買えるのだろうか?