YS Journal アメリカからの雑感

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オバマ、悲痛な軍へのメッセージ

2014-09-23 07:35:26 | 中東問題
アメリカによるシリア国内にあるイスラム国への空爆が始まった。

一番驚いたのは、アラブ諸国、サウジ、アラブ首長国連邦、ヨルダン、バーレーンが参加している事だ。アラブ諸国との連携が密かに進行していたようだ。

イスラム国に対する腰の定まらない発言や声明から憶測すると、オバマが舞台裏でアラブ諸国と連携を進めていたとは到底思えない。又、元オバマ政権閣僚からのオバマ批判、アメリカ軍幹部のオバマと矛盾するコメント等を総合して考えると、オバマが執拗にアメリカ地上軍の投入をしないと強調している真の意味が見えてくる。

オバマが大統領に就任して以来、アメリカ軍は不承不承従ってきたが、中東での軍事状況が悪化してきてホワイトハウスの世迷言に付き合っていられない状態になっていたのだ。

イスラム国への対応では、シリアの扱いを巡って対立があり、軍がオバマを押し切ったのであろう。軍がここまでやらざるを得ないのは別の意味で大問題であるが、それほどまでにオバマの外交、軍事戦略は酷かったのだと思う。

オバマが地上軍投入しないと繰り返すのは、中間選挙へ向けたアメリカ市民に対する政治的なアピールではなく、アメリカ軍に対する切実なメッセージだ。もうこれ以上は軍の言いなりにはならないと言うオバマの悲痛な叫びなのだ。

Sykes-Picot Agreement (サイクス・ピコ協定)

2014-09-19 20:36:56 | 中東問題
以前取り上げた Glenn Beck は、活動の場を自分自身で築き上げたインターネットメディアに移行している。(The Blaze)

最近はサテライトラジオでたまに聞くだけになってしまったが、今週は運転する事が多く、偶然にもイスラム国の特集テレビ番組の前宣伝に当たった。

Glenn Beck は大胆にも、イスラム国の根本的問題を "Sykes–Picot Agreement" (サイクス・ピコ協定)にあると断定している。

話は第一次世界大戦に遡る。連合国(イギリス、フランス、ロシア等々、アメリカも加担している)は、オスマントルコ帝国が押さえてい通商ルートを確保する為に、アラブ人に国家設立を約束しオスマントルコ帝国への反乱を支援する。(映画『アラビアのローレンス』が正にこの辺の事情を描いている)一方で、連合国側は大戦後のオスマントルコ帝国の分割を秘密裏に協議していた。この分割を上手く運用するために、いろんな王家を傀儡にし人工的な国境を設定して複数の国を作り、お互いに牽制し合う様にしたのだ。これらの傀儡のトップがアサド、カダフィらの独裁者なのである。

図らずも「アラブの春」は、これら傀儡政権の消滅過程であり、結果的に広大な空白地帯が出現した。そして、その空白にアラブ大国を目指す集団、つまりイスラム国が必然的に出現したというのだ。

Glenn Beck の結論は、現在の中東に正解や特効薬は存在しない。歴史を正しく認識して、その時々の最良策を打つしかないというものだ。

オバマ政権が重い腰を上げて取り組み始めているシリアの穏健反政府組織への軍事訓練や武器供与は、基本的に間違っている。対イスラム国ではなくアサド政権打倒に使われた挙げ句、最終的にはイスラム国に渡る可能性が高いと思われる。一年前、アサドに対して Red Line を通告しながら、結局何もしなかったオバマ政権は、国内外の信用を失ったが、究極的には正しい選択をしていたと思われる。ここに来て、弱腰批判に耐え切れないのとアメリカ軍の地上戦投入を避ける為に、間違った方針を打ち出している。

又、オバマ政権はイスラム国はテロ組織でムスリムではないと、トボケた事を言っているが、アラブの悲願としてイスラム国は傀儡政権の末裔を打倒する義務感があり、その延長にはイスラエルは勿論、パレスチナの殲滅すらある。イスラム国にとってはオスマントルコ帝国の領土が自分たちのものなのである。

アメリカ、イギリス、フランス、そしてロシアは、過去の清算の意味も込めて(もしくは懐古的に)、ここは徹底的にイスラム国を叩いて置くべきであろう。サウジ等傀儡生き残り国家にも積極的な協力への圧力を掛けるべきだ。シリアで手を結ぶのは反政府軍ではなくアサド政権だ。軍事的にも隣国であるトルコも引っぱり込まなければならない。

どちらにしろ、中東問題への介入は、悪い選択と最悪の選択の間にしかないのだが、オバマにはそんな戦略も歴史認識も国際的信用も、そして一番肝心なやる気がないのだ。


特番は観ていないが、エッセンスはこれ。

"The 100-Year-Old Agreement You Need to Know About to Understand What’s Driving the Islamic State"

以前にも告白している様に、中東の事は全く分からない。しかし、日本の外務省中東専門家だって間抜けな事を言ったりする位なので、情報源の多様性とクロスチェックが欠かせない。Glenn Beck の分析はひとつの大きな側面として的を得ている。シンプルな解決策が無いと明言している謙虚さが、信憑性を高めていると思う。


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Mixed Messages

2014-09-14 18:20:06 | 中東問題
イスラム国(ISIS もしくは ISIL)への対応について、先週オバマ大統領は、積極的な対テロ展開を行うとの声明を発表した。アメリカ人ジャーナリスト二人の殺害ビデオが流布した事で、アメリカ世論も対テロへの関心が高まってきており、概ね好意的に受け止められている。

但し、攻撃は空爆のみで、地上戦への軍投入はない事、アメリカ単独ではなくイスラム諸国を含む連合体で対応する方針を打ち出している。

ここまでもイラクではイスラム国への空爆を行っている。よって、大きな違いは、イスラム国の首脳が居ると考えられているシリア国内への空爆を行う事と、シリアの反政府軍への軍事訓練と武器提供を行う事である。

オバマ政権は、イスラム国の急激な台頭について完全に対応を間違い続けている上に、後手に回っている。その上、今回の声明でも、過去の見解と正反対の方針が打ち出されており、オバマ声明の意図を巡りやや混乱状態になっている。

声明を聞きながら思ったのは、まず声明発表自体が政治的であるという事、自分の手の内を宣言する愚、兵力の逐次投入による泥沼化の心配(ベトナム戦争の悪夢)、そして、オバマが有言実行するのかという根本的な疑問である。(声明の中でも、数年も掛かるともコメントしており、最初から遂行責任の回避を決め込んでいる)

イスラム国問題の根が深いのは、イラクからのアメリカ軍撤退、シリア問題でのヘタ打ちにだけで無く、イランのヒズポラ支援とイスラエルーパレスチナ戦争が複雑に絡んでいるからだ。

オバマは「アラブの春」とか独裁者追放とか、アメリカのスーパーパワーをオモチャの様に使ったため、中東はひっちゃかめっちゃかになってしまった。

今でもアメリカ軍がイラクに静かに駐屯していれば、随分違った状況であったであろう。覆水盆に返らずとは、正にこの事だ。

アメリカの厭戦気分に訴えて大統領になったオバマは、政治的に戦争が出来ないという解釈が多いが、アフガン等での空爆にはやたら積極的で「私は人を殺すのが得意だ」とか言うジョークを飛ばす位だから、自分にとって無責任な人々への攻撃には頓着がない。

一方で、無神論者のオバマは、心の底から死が怖いのであろう。死が必然である軍隊に対して、最高司令官として自分の信念、覚悟、使命をキチンと受け入れた上で毅然とした命令が出せないでいる。だから、残虐な3万人規模のテロ集団との戦いに空爆だけで何とかなるという幻想に捕われているのだ。間違えてマレーシア航空機を撃ち落としても平然としらばっくれているプーチンとは役者が違う。

オバマの外交政策の失敗、特に中東でのミスは、世界中に長い間禍根を残すであろう。


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C-Max 11,864mile

2014-09-13 14:05:27 | 雑記
8月末に 10,000mile を越え、初のオイル交換。最近のエンジンは、オイル交換のメーカー推奨が 10,000mile 間隔になっている。ついでにプログラム関係のリコールと、インパネ上部からきしみ音をの修理を依頼。

ここまで何の問題も無い。時々エンターテイメントのスクリーンで誤表示が出ていたが、最近はそれも無くなった。きしみ音はスピーカーの枠が擦れている感じなのだが、今回の修理でも無くならない。ラジオの音量を少し大きくすると気にならない程度なので、次回のオイル交換時に再び頼んでみようと思う。

初めてのハイブリッドその上 CVT なので、感覚の違いに戸惑ったが慣れてしまった。ブレーキ、それも軽い踏んだ時普通のガソリン車よりも効きが良い。家内のハイランダーに久しぶりに乗るとブレーキの効きが急に悪くなり止まらないような錯覚に陥る事がある。

2回下方訂正のあったメーカー公式燃費は 40M/Gだが、ここまでの累積燃費は 36.14M/G (15.37km/l)。高速運転が多い事を考えるとまあまあだろう。発表当時 47M/G、購入時には既に第一回目の訂正が入っており 43M/G であった。虚偽表示っぽいが公式には計測方法の認識違いという事で、$475 の差額補償のチェックが送られてきた。

ヨーロッパでは元々ミニバン(リアはスライドドア)として販売されている車なので、アメリカ仕様の4ドアだと剛性が高い。よって、乗り心地はやや固めではあるが、非常に安定している。エンジン、トランスミッションの設定も燃費より走りを重視しており、高速合流などでストレスが全くない。

見た目よりも室内も広い。大人4人でも窮屈さを感じない。コミューターとしては申し分無し。

冷房も問題無し。一方で、寒い時には、低速、充電されていても暖房用に始動からエンジンが回るので燃費がガクンと落ちる。

バックアップカメラ、センサーがついており、知らず知らずに頼る様になっており、運転が下手になった気分。

音声認識システムも、私のへたくそな英語でも簡単なコマンドは理解してくれる。タッチスクリーンの方がイライラが募らないので、もっぱらこちらを使っているのではあるが。GPS のデータが古いので、そのうちにアップデートを考えている。

6年ローンが払い終わるまで所有しようと思っているので、時々アップデート掲載の予定。


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"気分転換" (3-29-2014)

ある宇和島市議会議員のトレーニング

2014-09-11 12:56:12 | ブログ探索
地元、宇和島市で市議会議員をされている武田元介さんのブログ「ある宇和島市議会議員のトレーニング」。地元と言っても、私は周辺の郡部出身なのでちょっと口幅ったい。しかし、高校の同窓ではある。(中川雅文先生と同級でらっしゃるので二つ上?)熱く愚直に宇和島のために働いていらっしゃる雰囲気がヒシヒシと伝わってくる。

このブログの不思議な所は、「難波紘二ブログ」の様相を呈している事だ。お二人の関係がどのようなものか知らないのであるが、宇和島市立病院(もしくは宇和島徳洲会病院)を通じてと推測される。

その難波先生が、ノンフィクション小説「修復腎移植ものがたり」を連載されている。始まったばかりで、肝心の修復腎移植の話まで到達してないのだが、昭和40年代の宇和島が舞台なので、訳も無く懐かしい。

登場人物は実名も仮名もあるとの事だが、市立宇和島病院の初代の泌尿器科部長で、のちに宇和島で最初に透析専門病院を開設した田尻葵矩夫の登場にはビックリした。なぜかと言うと高校の同級生のお父さんなのだ。

医学的な事はサッパリ分からないのだが、田尻君とご家族の暮らしぶりにぶっ飛んだ記憶がある。

土曜日午後遊びに行くとお寿司の出前を取ってくれるは、当時(それこそ昭和40年代)100万円を超えるオーディオセットが彼の部屋にあるは、モータードライブの付いたニコン一眼レフは持っているは、ドン百姓の子倅の想像を遥かに超えるものだった。

お父さんはベンツとポルシェを所有しており、スピード違反の取締りが出来ない国道56号線法華津トンネル内で時速160キロでかっ飛ばす話も聞いた。

この小説によると、人工透析が国民保険で費用全額負担になった頃なので大繁盛していたのだろう。

田尻君も医者を目指していたが、どうしているのだろう。

てんぱった顔

2014-09-07 18:27:03 | アメリカ政治
6月に米国務省ハーフ副報道官このインタビューを観た時、本格的にてんぱっってるなーと思った。

国務省の公式会見でも、いつも憑きものが付いている感じがする。

現在のホワイトハウス、国務省の報道官は、オバマの選挙キャンペーンのスタッフである。若くて頭は良いのだろうが、経験不足であり、基本的に記者団、引いては国民を小馬鹿にしている。でもって、自分たちへの批評には敏感であるので厄介である。

報道官でありながら記者の質問にきちんと答えず、関係無い事を延々と喋り続ける。これは全くオバマのインタビューでの対応と同じである。自分たちに都合が悪い事実を認める事が出来ない可哀想な人たちである。


こんな事をエントリーしようと思いながら放っておいたら、意外な所でハーフ副報道官が話題になっている。極東ブログ『米国務省のサキ報道官批判の話題は、何が問題だったのだろうか』が詳しいが、報道官としての役不足への批判を、女性差別と公の場で言ってしまう事が、既に失格である。

女性差別の気配が微塵も無いのに、ハーフ副報道官が勝手に騒いでいるだけだ。オバマ批判を何でもかんでも人種差別と言うのと同根である。

まあ、リベラル教の異端であるオバマ派はある種の新興宗教みたいなもので、ズッポリは待っている人は異常である。その典型がこのハーフ副報道官である。

生理的な嫌悪感さえあるのに気になるのは、てんぱった若い女性の醸し出す独特の色気を強く感じるからだと思う。

2014年、中間選挙の行方

2014-09-01 21:16:52 | アメリカ政治
中間選挙まで2ヶ月。最大の焦点は、共和党が上院で過半数を確保するかである。必要数は純増で6議席。

現時点では、7議席を確保する予想が出ている。

中間選挙、特に大統領2期目の中間選挙は、大統領の所属する党が不利になる傾向がある。オバマ政権は、特に外交問題でミスを連発しており支持率が低いので、尚更である。

未だ、オバマの個人的なアピールは残っているが、候補者の直接応援はマイナスになるという計算があるらしく、オバマの活動はもっぱら選挙資金集めのパーティの人寄せパンダである。

政権運営にも影響が出始めている。まず、中南米からの不法移民に対する大統領命令による実質的恩赦(滞在許可、もしくは市民権への簡易な方法の導入)の実施は見送られそうだ。民主党内で、オバマが突っ走ると選挙の予想がし難くなるので、中間選挙後まで延期が決まった様だ。

又、議会が再会されると直ぐに予算審議が始まるが、オバマ政権、民主党内は、共和党主導の下院案に、上院で反対する事で政府シャットダウンし、前回の時の様に共和党にダメージを与える作戦が既に練られているとの噂もある。

予想通り共和党が上院の過半数を奪取すると、オバマは本格的にレイムダックとなる。(下院の共和党過半数維持は間違いないと考えられている)

民主党は、上院での過半数を最大に悪用して審議さえしていない下院の可決法案を、バンバンオバマに送りつけてやれば良いのだ。オバマは、拒否権の発動をする事になるが、説明する必要がある。オバマは、就任7年目にして初めて法案を真剣に読まざるを得なくなるのだ。

でも、共和党はいざというとき弱腰で、2010年中間選挙での上院、2012年大統領選挙と、勝てるチャンスをみすみす逃している。たまには学習能力のある所を示して欲しいものだ。